JP6418116B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車の近傍を走行し且つ自車と無線通信(車車間通信)を行う他車の中から、自車の直前を走行し且つ自車がその無線通信により送信されてくる情報を利用しながら追従走行すべき通信追従対象車を特定し、自車をその通信追従対象車に追従走行させる車両制御装置に関する。
従来から所謂CACC制御(Cooperative Adaptive Cruise Control)が知られている。
CACC制御とは、車両(以下、「自車」と称呼する場合がある)が自身の直前に位置する先行車との間で無線通信(車車間通信)を行いながら先行車の加速度に関する情報を取得し、その情報を用いて自車を先行車に対して協調して追従走行させる制御である。
自車の周囲を複数の他車が走行している場合、自車が「自車の直前を走行している先行車」と通信を行いながらCACC制御を実行するためには、自車は自身が通信を行っている複数の他車の中から先行車を特定し、その特定した先行車を通信追従対象車として認識する必要がある。
特許文献1は、通信追従対象車を特定可能な車両制御装置を開示している。
特許文献1の車両制御装置が搭載された自車は、自車の速度である自車速を検出する自車速検出手段を備えている。
さらに自車はレーダセンサ及び無線通信手段を備えている。
自車はレーダセンサから出射され且つ先行車によって後方に反射された検出波を受信すする。そして車両制御装置は、受信した検出波に基づいて先行車の自車に対する相対速度を演算する。
さらに自車の車両制御装置は、自車速及び相対速度に基づいて、先行車の速度である先行車速度を演算する。
さらに自車は、無線通信手段を利用して自車の周囲に位置する他車と無線通信を行う。自車と無線通信を行っている通信車である当該他車は、自身の車速である通信車速度を無線通信によって自車へ送信する。従って、自車は当該他車(通信車)の速度である通信車速度を取得可能である。
自車の車両制御装置は、取得した先行車速度及び通信車速度に基づいて、通信車(他車)と先行車との類似度を算出する。具体的には、先行車速度と通信車速度の最大速度平均二乗誤差、最大加速度変動量差及び速度相関係数などを用いて複数の類似度を算出する。各類似度は0〜1の間の大きさの数値によって表される。
そして車両制御装置は各類似度の積を最終先行車確率として求める。最終先行車確率は0〜1の間の大きさの数値によって表される。
最終先行車確率が1に近いほど通信車(他車)が先行車である確率は高く、最終先行車確率が0に近いほど通信車が先行車である確率は低くなる。
従って、最終先行車確率が1に近い場合は、車両制御装置は自車が無線通信を行っている通信車が先行車であると認識し、この先行車(通信車)を通信追従対象車として特定する。そして車両制御装置は、この通信追従対象車(先行車)と無線通信を行いながら自車をCACC制御する。
特開2013−228804号公報
ところで、先行車が、その先行車の直前に位置する先先行車に対してCACC制御を行っているような場合、先先行車と先行車との速度の時系列データ(速度変化の履歴)が非常に類似することがある。
そのため特許文献1はこのような場合に、先先行車が本来は自車にとっての通信追従対象車ではないにも関わらず、この先先行車を通信追従対象車と誤認するおそれがあった。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、通信車である先先行車の直後に位置する非通信車である先行車を通信追従対象車であると誤判定する可能性を低減し、以て、通信追従対象車をより精度よく特定することができる車両制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の車両走行制御装置は、
自車(10)の速度である自車速を検出する自車速検出手段(42)と、
前記自車の直前を走行し且つ同自車が追従走行すべき先行車(11)の同自車に対する相対速度を取得する相対速度取得手段(60、61)と、
前記自車速及び前記相対速度に基づいて前記先行車の速度である先行車速度を演算する先行車速度演算手段(20)と、
前記自車の周囲に存在する他車(11〜13)と無線通信を行って同他車から同他車の速度である通信車速度を含む他車通信情報を取得する通信車速度取得手段(80、81)と、
前記先行車速度及び前記通信車速度に基づいて、前記他車と前記先行車との類似度を演算する類似度演算手段(20)と、
前記他車が前記先行車である確率を前記類似度が大きくなるにつれてより高くなるように演算し、且つ、演算した確率に基づいて前記他車が前記先行車であるか否かを判定する先行車判定手段(20)と、
前記先行車であると判定された前記他車との無線通信によって取得される前記他車通信情報に基づいて前記自車の加速度を制御することにより、同自車を同他車に追従して走行させる走行制御手段(20)と、
を備える車両制御装置において、
前記先行車判定手段が、
前記先行車速度の現在値と前記先行車速度の現在から第1微小時間前の過去値との差(A)(dVfr)と、前記通信車速度の現在値と前記通信車速度の現在から前記第1微小時間前の過去値との差(B)(dVc)と、の差分の絶対値(|A−B|)を正規化した第1指標値(e1)と、
前記先行車速度の現在値と前記先行車速度の現在から第2微小時間前の過去値との差(C)(dVfr’)と、前記通信車速度の現在からオフセット時間前の過去値と前記通信車速度の現在から前記オフセット時間前の時点から更に前記第2微小時間前の過去値との差(D)(dVc’)と、の差分の絶対値(|C−D|)を正規化した第2指標値(e2)と、
を算出し、
前記第1指標値が前記第2指標値以下のとき、前記第1指標値が前記第2指標値より大きいときと比べて前記確率を高めに算出するように構成される。
先行車速度の現在値と先行車速度の現在から第1微小時間前の過去値との差(A)と、通信車速度の現在値と通信車速度の現在から第1微小時間前の過去値との差(B)と、の差分の絶対値(|A−B|)を正規化した第1指標値(e1)が、先行車速度の現在値と先行車速度の現在から第2微小時間前の過去値との差(C)と、通信車速度の現在からオフセット時間前の過去値と通信車速度の現在からオフセット時間前の時点から更に第2微小時間前の過去値との差(D)と、の差分の絶対値(|C−D|)を正規化した第2指標値(e2)以下のときは、通信車である他車が先先行車であり且つ先行車が先先行車に対して追従走行している可能性が高いことが経験的に知られている。従って、この経験的事実を反映させながら通信車である他車が先行車である確率を演算しないと、求めた確率が不正確な値になるおそれがある。
しかし本発明の先行車判定手段は、第1指標値が第2指標値以下のときに、第1指標値が第2指標値より大きいときと比べて前記確率を高めに算出するように構成されている。
従って、本発明の先行車判定手段は、通信車である先先行車の直後に位置する先行車を通信車であると誤判定するおそれを小さくしながら、通信車である他車が先行車である確率を高い精度で算出できる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る車両制御装置を搭載した自車と他車を示す図である。 自車の車両制御装置が通信車速度、先行車速度及び自車と先行車の相対速度を取得するための処理を示すフローチャートである。 車両制御装置が通信車を特定するための処理を表すフローチャートである。 車両制御装置が速度変動量SHnを算出するための処理を表すフローチャートである。 ΔVfrと補正係数k1との関係を示すグラフである。 (a)(b)はいずれも通信車速度Vcb、先行車速度Vfr及び相対速度Vrの時間経過に伴う変化を示すグラフである。 車両制御装置が非先先行車度apnを算出するための処理を表すフローチャートである。 通信車速度Vcbと先行車速度Vfrの時間経過に伴う変化を示すグラフである。 車両制御装置が補正係数fnを求めるために利用するルックアップテーブル(マップ)の一例である。 車両制御装置が平均二乗誤差の平均化処理を行うためのフローチャートである。 車両制御装置が速度相関関数の平均化処理を実行する前に行う処理を表すフローチャートである。 閾値Pthの時間経過に伴う変化を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る車両制御装置について図面を参照しながら説明する。先ず、本明細書、図面及び特許請求の範囲等において使用される主たる用語について説明する。
・自車:自己の車両(着目している車両)
・他車:自車以外の車両
・先行車:自車が備えるセンサ(自車レーダセンサ、即ち、相対情報取得手段)により捕捉している自車の直前を走行している他車
・他車通信情報:自車と他車とが無線通信(車車間通信)を行うことにより当該自車が取得する当該他車に関する情報
・通信車:他車通信情報を送信してくる他車
・通信追従対象車:自車と無線通信を行うことにより当該自車が当該無線通信によって得られた他車通信情報に基づいて当該自車の加速度を制御し、以て、当該自車が追従走行すべき先行車
なお、後述するように、本発明の実施形態に係る車両制御装置は、他車の中から通信追従対象車を特定する装置(即ち、通信追従対象車特定装置)を含むと言うことができる。更に、他車は「自車が搭載している車両制御装置」と同様な車両制御装置を備えているとして説明する。
(構成)
図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両制御装置は自車10に搭載される。
自車10は、車両制御ECU20、エンジン制御ECU30、ブレーキ制御ECU40、ステアリング制御ECU50、センサECU60、GPS装置70及び無線制御ECU80を塔載している。これらのECUは、通信・センサ系CAN(Controller Area Network)101を介してデータ交換可能(通信可能)となっている。なお、ECUは、エレクトリックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクションを実行することにより後述する各種機能を実現する。
車両制御ECU20は、後述するセンサ以外の「複数の車両制御用センサ21」、及び、CACCスイッチ22、と接続され、これらのセンサ21及びスイッチ22からの信号を受け取るようになっている。
CACCスイッチ22は、自車10の乗員によって操作されるON−OFFスイッチである。CACCスイッチ22は、その位置がオン位置に設定されると、CACC要求信号を出力するようになっている。
エンジン制御ECU30は、アクセル操作量センサ31、及び、その他の複数のエンジン制御用センサ(図示略)と接続され、これらのセンサの検出信号を受け取るようになっている。
アクセル操作量センサ31は、アクセル操作子としてのアクセルペダル91の操作量(以下、「アクセル操作量」と称呼する。)APを検出し、そのアクセル操作量APを表す信号を出力する。
エンジン制御ECU30は、スロットル弁アクチュエータ及び燃料噴射弁等のエンジンアクチュエータ32と接続されている。エンジン制御ECU30は、エンジンアクチュエータ32を駆動することによって、図示しないエンジンが発生するトルクを変更し、自車10の加速度を調整するようになっている。
ブレーキ制御ECU40は、ブレーキ操作量センサ41、車速センサ42、及び、その他の複数の制動制御用センサ(図示略)と接続され、これらのセンサの検出信号を受け取るようになっている。
ブレーキ操作量センサ41は、ブレーキ操作子としてのブレーキペダル93の操作量(以下、「ブレーキ操作量」と称呼する。)BPを検出し、そのブレーキ操作量BPを表す信号を出力する。
車速センサ42は、自車の速度(自車速)Vjを検出し、その自車速Vjを表す信号を出力する。
ブレーキ制御ECU40は、油圧制御装置を含むブレーキアクチュエータ43と接続されている。ブレーキアクチュエータ43は、ブレーキペダル93の踏力によって作動油を加圧するマスタシリンダと、各車輪に設けられる周知のホイールシリンダを含む摩擦ブレーキ装置と、の間の油圧回路(何れも、図示略)に配設される。ブレーキアクチュエータ43はホイールシリンダに供給する油圧を調整する。ブレーキ制御ECU40は、ブレーキアクチュエータ43を駆動することにより各車輪に制動力を発生させ、自車10の加速度(負の加速度、即ち、減速度)を調整するようになっている。
ステアリング制御ECU50は、自車10の操舵輪の操舵角αを検出する操舵角センサ51、及び、その他の複数のステアリング制御用センサ(図示略)と接続され、これらのセンサの検出信号を受け取るようになっている。
ステアリング制御ECU50は、図示しない電動式パワーステアリング装置のモータである操舵アクチュエータ52と接続され、その操舵アクチュエータ52を駆動するようになっている。
センサECU60は自車レーダセンサ61と接続されている。自車レーダセンサ61は、周知のミリ波レーダセンサである。自車レーダセンサ61は、センサECU60の指示に従って自車10の前方にミリ波を送信する。そのミリ波は、先行車11により反射される。自車レーダセンサ61は、この反射波を受信する。
センサECU60は、自車レーダセンサ61から送信されたミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、相対速度Vr、車間距離Dr及び相対方位θp等を所定時間の経過毎に演算して取得する。センサECU60は、相対速度Vr、車間距離Dr及び相対方位θp等をそのRAMに時系列的に格納(記憶)するようになっている。なお、自車レーダセンサ61及びセンサECU60によって取得される「相対速度Vr、車間距離Dr及び相対方位θp等を含む情報(データ)」は「自車センサ情報」とも称呼される。
車両制御ECU20は、自車速Vjと相対速度Vrとを加算することにより、先行車11の先行車速度Vfrを取得する。換言すると、相対速度Vrは、自車10の自車速Vjと先行車11の先行車速度Vfrとの差(=Vfr−Vj)である。
車間距離Drは、自車10と先行車11と間の距離である。
相対方位θpは、自車10の位置を基準にした自車10の進行方向に対する先行車11の進行方向の角度(相対方位)である。
GPS装置70は周知であり、GPS衛星から送信されたGPS信号に基づいて自車10が走行している位置(自車位置)を所定時間が経過する毎に取得し、取得した位置をそのRAMに時系列的に格納するようになっている。自車10の位置は、経度X及び緯度Yにより特定される。
無線制御ECU80は、他車との無線通信(車車間通信)を行うための無線アンテナ81と接続されている。無線制御ECU80は、他車(図1においては他車11〜13)から送信されて来る他車に関する情報(以下、「他車通信情報」とも称呼する。)を、その他車通信情報を送信してきた他車を識別するID(他車ID)と共に所定時間が経過する毎に受信する。無線制御ECU80は、車車間通信により受信した情報を、他車ID別に且つ時系列的にそのRAMに格納するようになっている。
他車通信情報は、他車(即ち、通信車)の運転状態を表す下記の情報を含んでいる。
(A)通信車のブレーキ制御ECU40が取得した当該通信車の車速(通信車速度)Vcb。
(B)通信車のGPS装置70が取得した当該通信車の位置Pc。
(C)通信車の車両制御装置が、後述する「協調追従走行制御(CACC)及び車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)」の何れも実行していない場合において、当該通信車の車両制御ECU20が当該通信車の「アクセル操作量AP及びブレーキ操作量BP」に基づいて算出した当該通信車の推定加速度である要求加速度Gc。
(D)通信車の車両制御装置が「協調追従走行制御及び車間距離制御」の何れかの制御を実行している場合において、その制御を行うために算出している(当該通信車に要求している)加速度である要求加速度Gc。
(E)通信車の車速(他車速)Vcbを当該通信車の車両制御ECU20が時間微分することにより取得している当該通信車の実加速度Ga(=dVcb/dt)。
無線制御ECU80は、所定時間が経過する毎に、後続車(自車10の後方を走行している車両)のために、自車10についての上記他車通信情報を外部に送信(発信)するようになっている。
(自車10の基本的な走行制御)
続いて車両制御ECU20による自車10の基本的な走行制御方法について説明する。
自車10のCACCスイッチ22がオフ位置にある場合、自車10の走行モードは通常走行モード(非自動運転モード)になる。通常走行モードにおいて、エンジン制御ECU30はアクセルペダル操作量APに応じてエンジンアクチュエータ32を制御し、ブレーキ制御ECU40はブレーキ操作量BPに基づいてブレーキアクチュエータ43を制御する。従って、自車10は運転者の運転操作に従って走行する。
自車10の乗員がCACCスイッチ22をオン位置に位置変更すると、自車10の走行モードは自動運転モードになる。自動運転モードにおいて、自車10の車両制御ECU20は先行車11を通信追従対象車(通信先行車)として特定したときに、その先行車11に協調しながら追従して走行する。
より具体的に述べると、自車センサ61及びセンサECU60は、自車センサ情報(自車10と先行車11との「相対速度Vr及び車間距離Dr」等)を所定の周期で取得し、自車センサ情報を車両制御ECU20へ送信する。
さらに車両制御ECU20は車速センサ42からの信号に基づいて自車10の自車速Vjを取得(算出)し、自車10と先行車11との車間時間(=車間距離Dr/自車速Vj)Tjを算出する。
さらに車両制御ECU20は、算出された車間時間Tjと所定の目標車間時間Ttgtとの差をゼロにするための加速度である目標加速度を車間時間Tjと所定の目標車間時間Ttgtとに基づいてFB要求G(フィードバック要求加速度)として算出する。目標車間時間Ttgtは、目標車間距離Drtgtを自車速度Vjにより除した値である。従って、車両制御ECU20は、車間距離Drと目標車間車間距離Drtgtとの差をゼロにするためのFB要求Gを算出する。より具体的に述べると、車間距離Lが目標車間車間距離Ltgtより長ければ加速が必要であるので、FB要求Gが所定の正の値だけ増大させられる。逆に、車間距離Lが目標車間車間距離Ltgtより短ければ減速が必要であるので、FB要求Gが所定の正の値だけ減少させられる。なお、目標車間距離Drtgtは、一定値であってもよいし、図示しない設定スイッチにより自車10の乗員により選択される可変値であってもよい。
さらに車両制御ECU20は、無線制御ECU80及び無線アンテナ81を用いて受信した「通信車からの要求加速度Gc及び通信車の実加速度Ga」を取得し、要求加速度Gc及び実加速度Gaに基づいてFF要求G(フィードフォワード要求加速度)を算出する。より具体的に述べると、本例において、車両制御ECU20は、要求加速度Gcに対してハイパスフィルタ処理を施した値と、実加速度Gaにローパスフィルタ処理した値と、の和に基づいてFF要求Gを算出する。
そして車両制御ECU16は、FB要求GとFF要求Gとの和を、最終的に自車10に要求される目標加速度(即ち、CACC要求G)として算出する。なお、車両制御ECU16は、FF要求G及びFB要求Gの加重平均値を目標加速度Gtgtとして算出してもよい。
さらに車両制御ECU20は、算出したCACC要求Gに基づく要求指令信号を、エンジン制御ECU30及びブレーキ制御ECU40にCAN101を介して送信する。エンジン制御ECU30及びブレーキ制御ECU40は、要求指令信号を受信すると、その要求指令信号に応じてエンジンアクチュエータ32及びブレーキアクチュエータ43をそれぞれ制御する。この結果、自車10の加速度がCACC要求Gに一致するように制御される。以上が、CACC制御における基本的作動である。
また、車両制御ECU20が先行車11を通信追従対象車(通信車)として特定しないときは、車両制御ECU20はFB要求Gのみに基づく制御であるACC制御(Adaptive Cruise Control)に基づいて自車10を制御する。
(通信追従対象車の特定)
上述のように自車10は先行車11が通信車である場合にのみ、先行車11を通信追従対象車とするCACC制御を実行可能である。換言すると、通信車が先行車11以外の他車の場合には、自車10はCACC制御を実行できない。そのため自車10は、以下の方法によって通信車が先行車11か否かを判定する。
自車10の車両制御ECU20のCPU(以下、単にCPUと表現する)は、図2及び図3のフローチャートに従って、複数の他車の中から先行車11を特定する。
まず図2のフローチャートの処理について説明する。自車10のCACCスイッチ22がオン位置にある場合、自車10のCPUは所定時間(例えば数msec)おきに図2のフローチャートに示したルーチンを繰り返し実行する。
自車10はステップ201において、無線制御ECU80及び無線アンテナ81を利用して、通信車である他車11〜13から他車通信情報を取得する。この他車通信情報には、各他車11〜13の通信車速度Vcb等が含まれる。
続いて自車10はステップ202において、自車センサ61及びセンサECU60を利用して自車センサ情報を取得する。この自車センサ情報には、先行車11の相対速度Vr及び自車10と先行車11の車間距離Dr等が含まれる。さらにCPUはステップ202において、自車速Vjと相対速度Vrとを加算することにより先行車速度Vfrを算出する。
続いて自車10はステップ203において、通信車速度Vcb、相対速度Vr及び先行車速度Vfrを車両制御ECU20のRAMのバッファメモリに記憶させる。
さらにCPUはステップ204に進んで、バッファメモリに記憶された通信車速度Vcbを補正する。具体的には、下記の式を用いて速度バイアス(Vb(t))を演算し、バッファメモリに記憶させた通信車速度Vcbから速度バイアス(Vb(t))を差し引く。なお、この速度バイアスは、車速センサ42の信号に基づいて算出された自車速Vjと、実際の(真の)自車速との間の定常的な誤差である。この誤差は、自車10のタイヤ径などの設計値からの偏差により生じる。

Vb(t)=k×{Vcb(t−dt)−Vfr(t−dt)}+(1−k)×Vb(t−dt)
k:フィルタ係数
dt:演算周期
t:現在時刻

以下、このようにして補正された通信車速度を通信車速度(バイアス補正後通信車速度)Vcと表記する。
続いて図3のフローチャートについて説明する。自車10のCACCスイッチ22がオン位置にある場合、自車10のCPUは所定時間(例えば数msec)おきに図3のフローチャートに示したルーチンを繰り返し実行する。
このフローチャートの詳細な説明は後述することにし、まずはこのフローチャートの基本的な技術思想の概略を説明する。
CPUはステップ306、309、312において、図2のフローチャートの処理中に取得した通信車速度Vc及び先行車速度Vfrに基づいて、平均二乗誤差の平均値H2Eに基づく類似度g1n、速度平均乖離度e1の平均値He1に基づく類似度g2n及び速度相関係数coefの平均値Hcfに基づく類似度g3nを算出する。
これらの類似度g1n、g2n、g3nはいずれも、先行車11と通信車の類似度、即ち、通信車が先行車11である可能性を表す数値である。なおnは1〜3の数である。即ち、類似度g1n、g2n、g3nはそれぞれ三種類ずつ算出される。類似度g1n、g2n、g3nの大きさはいずれも0以上且つ1以下である。
上述したように従来例では、求めた類似度g1n、g2n、g3nどうしを掛け合わすことにより最終先行車確率を求めていた。即ち、通信車速度Vc及び先行車速度Vfrの一定時間当たりの変化量を考慮せずに最終先行車確率を求めていた。
しかし、このようにして算出した最終先行車確率は、特に、先行車が略一定の速度で走行している場合に先行車以外の通信車が同様に実質的に同じ一定速度で走行していると、その先行車以外の通信車と先行車との間の速度の類似度が高くなり、よって、最終先行車確率の信用度が低くなる。つまり、先行車以外の通信車を先行車であると誤認識する可能性が高くなってしまう。
そのため本実施形態では、図3のフローチャートのステップ301乃至303において、通信車速度Vc、相対速度Vr及び先行車速度Vfrの変動量に基づいて補正係数(先行車確率の補正係数)fnを算出する。より具体的には、ステップ301、302において自車10、先行車11及び通信車の速度変化量SHn(以下、単に「速度変動量SHn」と称呼する)及び通信車の非先先行車度(先先行車らしくなさ)apn(以下、単に「非先先行車度」と称呼する)を算出する。そして、速度変動量SHn及び非先先行車度apnに基づいて、ステップ303において補正係数fnを算出する。類似度g1n、g2n、g3nと同様に、補正係数fnも三種類(f1、f2、f3)算出される。
この補正係数fnは、通信車速度Vc、相対速度Vr及び先行車速度Vfrの変動量が最終先行車確率Pnに及ぼす影響を踏まえて演算された数値であり、その大きさはいずれも0以上且つ1以下である。補正係数fnは、基本的には、速度変動量SHnが大きいほど「1」に近づき、非先先行車度apnが大きいほど「1」に近づくように算出される。
CPUは、ステップ313において類似度g1n、g2n、g3n及び補正係数fnのnの値が同じものどうしを掛け合わせて最終先行車確率Pn(=P1、P2、P3)を算出する。さらにCPUは、求めた最終先行車確率Pnの中で最も値が大きいものが所定の閾値Pthを超えた場合に「その最終先行車確率Pnの基礎となる類似度g1n、g2n、g3n及び補正係数fnの元データ(通信車速度Vcb等)を含む他車通信情報を送信してきた通信車が先行車11である」と判定する。なお、最終先行車確率Pnは0以上且つ1以下の数値であり、「1」に近いほど「通信車が先行車11である確率が高い」ことを表し、「0」に近いほど「通信車が先行車11である確率が低い」ことを表す。
このように、類似度g1n、g2n、g3nのみならず補正係数fnをも考慮した上でCPUが算出した最終先行車確率Pnの信用度は高い。換言すると、この最終先行車確率Pnは類似度g1n、g2n、g3nのみに基づいて算出された最終先行車確率に比べて、通信車が先行車11である確率をより正確に表している。
従って、補正係数fnを利用して求めた最終先行車確率Pnと閾値Pthに基づいてCPUが「通信車が先行車11である」と判定した場合は、その先行車11が実際に通信車である確率は高くなる。
続いて図3のフローチャートの処理内容を具体的に説明する。
CPUはステップ301において速度変動量SHnを算出する。
ステップ301の処理は、図4のフローチャートに従って行われる。
自車10のCACCスイッチ22がオン位置にある場合、自車10のCPUは所定時間(例えば数msec)おきに図4のフローチャートに示したルーチンを繰り返し実行する。
まずCPUはステップ401において、自動運転モードになってから現時点までの間にバッファメモリに記憶された全ての先行車速度Vfr、相対速度Vr及び対象としている(即ち、着目している)通信車の速度Vcの中から、それぞれの「最大値Vfrmax、Vrmax及びVcmax」と「最小値Vfrmin、Vrmin及びVcmin}を選択する。
さらにCPUはステップ402に進んで、最大値Vfrmax、Vrmax及びVcmaxと最小値Vfrmin、Vrmin及びVcminとに基づいて、先行車速度の変動量ΔVfr=Vfrmax−Vfrmin、通信車速度の変動量ΔVc=Vcmax−Vcmin及び相対速度の変動量ΔVr=Vrmax−Vrminをそれぞれ算出する。
さらにCPUはステップ403に進んで、ΔVfr×k1(ΔVfr)<ΔVcが成立しているか否かを判定する。後述するように、値k1(ΔVfr)は補正係数であり、図5に示したルックアップテーブルに従って先行車速度の変動量ΔVfrに基づき求められる値である。
仮に対象としている通信車が先行車11の直前に位置する先先行車(図示略)であり且つ非通信車である先行車11が先先行車に追従すべくACC制御を行っているとき、先先行車(通信車)のΔVcがΔVfrより大きくなり易いことが、経験的な事実として知られている。これは、例えば、先先行車が加速した後に先行車が加速し始めるからである。
即ち、ΔVfr×k1(ΔVfr)<ΔVcが成立している場合は、通信車が先行車11である可能性よりも、通信車が先先行車である可能性の方が高いと推測できる。
但し、ΔVfrが大きい場合は、CPUが非通信車である先行車を通信車であると誤認するおそれは小さいことが経験的に知られている。そのため、ステップ403ではΔVfrとΔVcとを直接比較するのではなく、ΔVfrの大きさに応じて決まる補正係数k1をΔVfrに乗じて、この乗じた値とΔVcとの大小関係を比較する。
図5に示すように、ΔVfrが0から所定の大きさであるΔVfr1の間の大きさのときはk1=1である。しかしΔVfrがΔVfr1を超えるとk1は徐々に大きくなり、ΔVfrが所定の大きさであるΔVfr2を超えるとk1は1より大きい一定値となる。
従って図4のフローチャートでは、ΔVfrが所定の大きさであるΔVfr1を超えた場合は、超えない場合と比べて通信車が先行車11であると判定される可能性が高くなる。
CPUがステップ403でYESと判定した場合、換言するとΔVfr及びΔVcの値に基づいて「通信車が先先行車らしい」と判定した場合は、CPUはステップ404へ進む。そしてCPUは、「通信車が先先行車らしい」度合を表す値であるΔVcinv=ΔVc−ΔVfr×k1(ΔVfr)を算出する。
後述するステップ414に示したように、図4のフローチャートは最終的に速度変動量SHnを算出する。さらに後述するように、速度変動量SHnの値が大きくなるほど補正係数fnの値は大きくなる。換言すると、速度変動量SHnの値が大きくなるほど、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性が高くなる。
そしてΔVcinvは(後述するステップ413でΔVinvとして選択された場合は)、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。換言するとΔVcinvは、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性を低くするために利用される。そのため、ステップ404で求めたΔVcinvの値が大きくなればなるほど、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性が低くなる。
一方、CPUがステップ403でNOと判定した場合、換言すると「通信車が先先行車らしいとは言えない」と判定した場合は、CPUはステップ405へ進んでΔVcinvを「0(ゼロ)」に設定する。
上述の説明から明らかなように、ΔVcinvが0に設定された場合(且つΔVcinvがステップ413でΔVinvとして選択される場合)、CPUはステップ414において速度変動量SHnの値を大きめに算出する。即ち、CPUが「通信車が先行車11である」と判定する可能性が高くなる。
ステップ404又は405の処理を終えたCPUは、続いてステップ406へ進む。
CPUはステップ406において、dVrmax/dt>0(今回のステップ406処理時のVrmaxが前回のステップ406処理時のVrmaxより大きければ、dVrmax/dt>0となる。逆に、今回のステップ406処理時のVrmaxが前回のステップ406処理時のVrmax以下であれば、dVrmax/dt>0とはならない。)、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立しているか否かを判定する。
先行車11が加速し且つ自車10の速度が殆ど変化しない場合にdVrmax/dt>0及びdVfr/dt>0が成立する。その一方で、通信車が減速している場合にdVc/dt<0が成立する。即ち、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立するときは、先行車11の加速度の符号(プラスとマイナス)と通信車の加速度の符号とが互いに異なる。
そのため、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0の全てが成立する場合は、「通信車は先行車11らしくない」と推測できる。
CPUはステップ406でNOと判定した場合、ステップ407へ進んでdVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0の全てが成立しているか否かを判定する。
先行車11が減速し且つ自車10の速度が殆ど変化しない場合にdVrmax/dt<0及びdVfr/dt<0が成立する。その一方で、通信車が加速している場合にdVc/dt>0が成立する。即ち、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0の全てが成立するときは、先行車11の加速度の符号と通信車の加速度の符号とが互いに異なる。
そのため、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0の全てが成立する場合も、「通信車は先行車11らしくない」と推測できる。
図6(a)、(b)は、ステップ406、407で想定している先行車速度Vfr、相対速度Vr及び通信車速度Vcの時間経過に伴う変化を表している。図示するように図6(a)と図6(b)の時刻0から時刻taまでの先行車速度Vfr、相対速度Vr及び通信車速度Vcの変化態様は互いに同一である。その一方で、時刻taを経過すると、「先行車速度Vfr及び相対速度Vr」と「通信車速度Vc」とは、互いに異なる態様で変化する。
図6(a)、(b)のグラフの時刻ta以前の時刻においては、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt>0となっている。即ち、時刻ta以前の時刻においてCPUがステップ406の処理を行うとき、そのステップ406にてNOと判定してステップ407へ進む。さらに図6(a)、(b)の時刻ta以前の時刻においてCPUがステップ407の処理を行うと、そのステップ407にてNOと判定してステップ409へ進む。
その一方で、図6(a)のグラフでは時刻taが経過すると、dVrmax/dt>0、dVfr/dt>0及びdVc/dt<0となる。従って、先行車速度Vfr、相対速度Vr及び通信車速度Vcが図6(a)のように変化する場合に時刻taを経過した時刻においてCPUがステップ406の処理を行うとき、CPUはYESと判定してステップ408へ進む。
また図6(b)のグラフでは時刻taが経過すると、dVrmax/dt<0、dVfr/dt<0及びdVc/dt>0となる。従って、先行車速度Vfr、相対速度Vr及び通信車速度Vcが図6(b)のように変化する場合に時刻taを経過した時刻においてCPUがステップ407の処理を行うとき、CPUはYESと判定してステップ408へ進む。
CPUはステップ409へ進んだときに「無効カウンタ」を初期化する(即ち「0」にする)。
この無効カウンタとは、ステップ406、407の判定結果に基づいて算出される「対象としている通信車が先行車11らしくない」度合を表すものであり、その数値が大きくなればなるほど「対象としている通信車が先行車11らしくない」度合が高くなる。
さらにCPUはステップ409においてΔVrbaseとして現時点におけるΔVrを設定する。即ち、図6(a)、(b)のグラフの時刻ta以前の現在時刻におけるΔVrをΔVrbaseとして設定する。
なお、後述するようにこのΔVrbaseは、ステップ411においてΔVrinvを求めるための値である。
一方、CPUがステップ408へ進んだ場合は「無効カウンタ」に「1」を加算する。
さらにCPUはステップ408において、ΔVrbaseとして前回の図4のフローチャート処理時のステップ409又はステップ408で求めたΔVrbaseである前回値を保持する。ここで、例えば今回のステップ408の処理時刻が図6(a)、(b)のグラフの時刻tbであり且つ前回の処理時が時刻taの場合は、ΔVrbaseの前回値は時刻taにおけるΔVrとなる。また、例えば今回のステップ408の処理時刻が図6(a)、(b)のグラフの時刻tcであり且つ前回の処理時が時刻tbの場合は、ΔVrbaseの前回値は時刻tbにおけるΔVrbase、即ち時刻taにおけるΔVrとなる。即ち、ステップ408にて設定されるΔVrbaseは、時刻ta以前にステップ409で最後に取得されたΔVrとなる。
ステップ408又は409を経たCPUは、続いてステップ410へ進んで、無効カウンタ数が所定の閾値invを超えたか否かを判定する。
CPUが閾値invを超えたと判断した場合、即ち、「通信車が先行車11らしくない」可能性がある程度の高さで推測できると判断した場合は、CPUはステップ410でYESと判定してステップ411へ進む。
CPUはステップ411において、現時点でのΔVrからステップ409又は408で求めたΔVrbaseを引いた値をΔVrinvとして算出する。
このΔVrinvはΔVcinvと同様に(後述するステップ413でΔVinvとして選択された場合に)、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。そのため、ΔVrinvの値が大きくなればなるほど、CPUは最終的にステップ414において速度変動量SHnの値を小さめに算出することになる。
例えば、図6(a)、(b)における時刻ta以前にCPUがステップ406、407の処理を行ったときに、CPUはステップ409を経てからステップ410へ進み、さらにステップ410でNOと判定する。
上述したように、この場合は先行車速度Vfrと通信車速度Vcの加速度の符号が同じである。即ち、実際に通信車が先行車11である可能性が十分に考えられるため、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくする必要がない。
そのため、この場合はCPUはステップ412に進んでΔVrinvを0にする。
一方、図6(a)、(b)における時刻taを経過した後にCPUがステップ406、407の処理を行ったときに、CPUはステップ408を経てからステップ410へ進む。この場合はCPUがステップ410でYESと判定する可能性があり、YESと判定した場合はCPUはステップ411へ進む。
上述したように、この場合は先行車速度Vfrと通信車速度Vcの加速度の符号が互いに異なる。即ち、「通信車が先行車11らしくない」可能性がある程度の高さで推測できるため、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくする必要がある。
そのため、この場合はΔVrinvをゼロにしない。即ち、CPUはステップ411においてΔVrinv=ΔVr−ΔVrbaseを算出する。
しかし、仮に時刻taを経過した後に取得された現時点でのΔVrをステップ411においてそのままΔVrbaseとして用いると、ΔVrinvがゼロになってしまう。即ち、「通信車が先行車11らしくない」可能性がある程度の高さで推測できる状況にあるにも拘わらず、CPUが通信車を先行車11であると判断し易くなってしまう。そのため、この場合はΔVrbaseとして現時点でのΔVrを利用すべきでない。
その一方で、時刻ta以前の状況では「通信車が先行車11らしい」可能性がある程度推測できる(即ち、通信車が先行車11らしくない可能性が高いとは言えない)ため、この時間帯に取得されたΔVrをΔVrbaseとして現時点でのΔVrから差し引いてΔVrinvを算出する。このようにしてΔVrinvを算出すると、ΔVrbase=0のときよりも、ステップ411で「通信車が先行車11である」と判定される可能性が高くなる。しかし、このΔVrは「通信車が先行車11らしい」可能性がある程度推測できる時間帯のΔVrなので、このΔVrinvを用いて算出した通信車が先行車11であるか否かの判定結果が、現実と大きく乖離するおそれは小さいと考えられる。
そのため、この場合のステップ411では、時刻ta以前の時間帯にステップ409で最後に取得されたΔVrをΔVrbaseとした上でVrinv=ΔVr−ΔVrbaseを取得する。
ステップ411又はステップ412の処理を終えたCPUはステップ413へ進んで、直前のステップ404のΔVcinvと、直前のステップ411のΔVrinvと、前回のステップ413の処理時におけるΔVinvと、の中で最も数値が大きいものをΔVinvとして選択する。
このΔVinvは、ステップ414において速度変動量SHnの値を小さくするために利用される。
ステップ413で最も数値が大きいものを選ぶ理由は、ΔVinvを大きな値とすることにより、ステップ414で求められる速度変動量SHnをできるだけ小さくするためである。換言すると、最終的にCPUが「通信車が先行車11である」と誤判定する可能性を低くするためである。
さらにCPUはステップ414へ進んで、ΔVfr、ΔVr及びΔVcの中の最小値からΔVrinvを引いた値を速度変動量SHnとして算出する。従って、ΔVfr、ΔVr及びΔVcの値が大きいほど速度変動量SHnは大きくなり、ΔVrinvの値が大きいほど速度変動量SHnは小さくなる。
ステップ414でΔVfr、ΔVr及びΔVcの中から最も数値が小さいものを選ぶ理由は、最終的に算出される速度変動量SHnをできるだけ小さくするためである。換言すると、最終的にCPUが「通信車が先行車11である」と誤判定する可能性を低くするためである。
さらに、仮に自車10の直後に位置する後続車(図示略)が自車10と無線通信を行うことによりCACC制御を実行し且つ非通信車である先行車11と自車10のΔVrが小さい場合は、先行車11と後続車の速度がほぼ一致してしまう。この状況では、自車10のCPUが先行車11と後続車を識別するのが難しくなる。そのため、このような状況ではCPUが、通信車(即ち、後続車)が先行車11であると誤判定するリスクが高くなる。その一方で、後続車が自車10と通信を行うことによりCACC制御を実行する場合においても、自車10と先行車11のΔVrが大きいときは、先行車11と後続車の速度は一致し難い。そのため、ΔVrが大きいときは、自車10のCPUは先行車11と後続車を容易に識別できる。従って、このような状況においては、CPUが通信車(即ち、後続車)を先行車11であると誤判定するリスクは低くなる。
図4のフローチャートではステップ414においてΔVrが速度変動量SHnの算出要素となっている。そのため、ΔVrが小さい場合、即ちCPUが先行車11と後続車を識別し難い場合は、ステップ414で算出される速度変動量SHnの値は小さくなり易い。その一方で、ΔVrが大きい場合、即ちCPUが先行車11と後続車を容易に識別できる場合は、ステップ414で算出される速度変動量SHnの値は大きくなり易い。
このようにステップ414においてΔVrを速度変動量SHnの算出要素とすることにより、ΔVrの大小に起因する先行車11と後続車の識別の困難度を速度変動量SHnの算出値に反映させている。従って、「通信車が後続車ではなく先行車11である」とCPUが誤判定するおそれを小さくできる。
前述したように、ステップ414(ステップ301)で求めた速度変動量SHnが大きくなるほど、補正係数fnの値が大きくなる(「1」に近づく。)。換言すると、速度変動量SHnの値が大きくなるほど、最終的に「対象としている通信車が先行車11である」と判定される可能性が高くなる。
逆に、速度変動量SHnが小さくなるほど、補正係数fnの値が小さくなる(「0」に近づく。)。換言すると、速度変動量SHnの値が小さくなるほど、最終的に「対象としている通信車が先行車11である」と判定される可能性が低くなる。
図3のステップ301(図4のステップ401乃至414)の処理を終えたCPUは、続いてステップ302へ進んで非先先行車度apnを算出する。
ステップ302の処理は図7のフローチャートに従って行われる。
自車10のCACCスイッチ22がオン位置にある場合、自車10のCPUは所定時間(例えば数msec)おきに図7のフローチャートに示したルーチンを繰り返し実行する。
CPUはステップ701において、e1(第1指標値)=|dVc−dVfr|/min(|dVc|、|dVfr|)を演算する。さらにCPUは、算出したe1をバッファメモリに記憶させる。
ここで、dVc、dVfrは以下のように定義される。
dVc:現在の時刻tから微小時間t1だけ前の時刻(第1時刻=t−t1)から現在の時刻までの間の通信車速度Vcの変化量(=Vc(t)−Vc(t−t1)、図8のグラフを参照)。
dVfr:現在の時刻tから微小時間t1だけ前の時刻(第1時刻=t−t1)から現在の時刻までの間の先行車速度Vfrの変化量(=Vfr(t)−Vfr(t−t1)、図8のグラフを参照)。
このe1は先行車11と通信車の速度変化の乖離度(以下、単に「速度変化の乖離度」と称する)を示している。
仮に通信車が先先行車であり且つ先行車11が先先行車に追従走行する場合は、同じ時間帯における通信車速度VcのdVcと先行車速度VfrのdVfrとの間に差が生じることが経験的に知られている。従って、速度変化の乖離度e1の値が大きいほど、換言すると|dVc−dVfr|の値が大きいほど、「通信車が先先行車らしい(即ち、通信車が先行車11らしくない)」と推測できる。その一方で、速度変化の乖離度e1の値が小さいほど、換言すると|dVc−dVfr|が小さいほど、「通信車が先先行車らしくない(即ち、通信車が先行車11らしい)」と推測できる。なお、min(|dVc|、|dVfr|)は|dVc|と|dVfr|のうちの小さい方の値であり、速度変化の乖離度e1を正規化するための値である。
続いてCPUはステップ702へ進んで、e2(第2指標値)=|dVc’−dVfr’|/min(|dVc’|、|dVfr’|)を演算する。さらにCPUは、算出したe2をバッファメモリに記憶させる。
ここで、dVc’、dVfr’は以下のように定義される。
dVc’:現在の時刻tからオフセット時間toffだけ前の時刻から更に微小時間t2前の時刻(第2時刻=t−toff−t2)から、現在の時刻tからオフセット時間toffだけ前の時刻(=t−toff)までの間の通信車速度Vcの変化量(=Vc(t−toff)−Vc(t−toff−t2)、図8のグラフを参照)。
dVfr’:現在の時刻tから微小時間t2前の時刻(=t−t2)から、現在の時刻tまでの間の先行車速度Vfrの変化量(=Vfr(t)−Vfr(t−t2)、図8のグラフを参照)。
なお、この微小時間t2は微小時間t1と異なる長さであってもよいし、同じ長さであってもよい。また、オフセット時間toffは、先先行車が通信車であり且つ先行車が先先行車にACC制御により追従している非通信車である場合に、通信車速度(先先行車速度)Vcが変化してから先行車速度Vfrが変化し始めるまでの遅れ時間(例えば、0.5〜2s)であり、実験的に定められる値である。
このe2も先行車11と通信車の速度変化の乖離度(以下、単に「速度変化の乖離度」と称する)を示している。
仮に通信車が先先行車であり且つ先行車11が先先行車に追従走行する場合は、ある時間帯において通信車速度VcがdVc’だけ変化すると、それからオフセット時間toffだけ経過した後に、先行車速度VfrがdVc’と(ほぼ)同じだけ変化することが経験的に知られている。従って、速度変化の乖離度e2の値が小さいほど、換言すると|dVc’−dVfr’|がゼロに近づくほど、「通信車が先先行車らしい」と推測できる。その一方で、速度変化の乖離度e2の値が大きいほど、換言すると|dVc’−dVfr’|が大きいほど、「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。なお、min(|dVc’|、|dVfr’|)は|dVc’|と|dVfr’|のうちの小さい方の値であり、速度変化の乖離度e2を正規化するための値である。
続いてCPUはステップ703において、現時点でバッファメモリに記憶されている速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数を取得する。
続いてCPUはステップ704へ進んで、直前のステップ701とステップ702でそれぞれ算出された速度変化の乖離度e1と速度変化の乖離度e2の大小関係を比較する。
上述したように、速度変化の乖離度e1の値が小さいほど「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。また、速度変化の乖離度e2の値が大きいほど「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。
そのため、速度変化の乖離度e1≦速度変化の乖離度e2が成立する場合は、「通信車が先先行車らしくない」と推測できる。
その一方で、速度変化の乖離度e1≦速度変化の乖離度e2が成立しない場合は、「通信車が先先行車らしい」と推測できる。
CPUはステップ704でYESと判定した場合、ステップ705へ進んで、自車10と通信車との間の通信データが更新されているか否かを判定する。
CPUはステップ705でYESと判定した場合はステップ706へ進んで、非先先行車度カウンタに「1」を加算する。
この非先先行車度カウンタとは、速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2に基づいて算出される「通信車が先先行車らしくない」度合を表すものであり、数値が大きくなればなる程「通信車が先先行車らしくない」度合が高くなる。
続いてCPUはステップ707へ進んで、バッファメモリに記憶されている速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数(バッファ数)が所定値以上か否かを判定する。
速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数が所定値以上であれば、先行車11と通信車との乖離度を判定するのに十分な数の速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2が既に取得されていると判断できる。
なお、ステップ704及びステップ705の何れかでNOと判定した場合は、CPUはステップ706を経ずにステップ707へ直接進む。
CPUはステップ707でYESと判定した場合、ステップ708へ進んで、非先先行車度apn=非先先行車度カウント数/バッファデータ数を算出する。即ち、CPUは現在の時刻までに取得された全ての速度変化の乖離度e1と速度変化の乖離度e2のペアの中に、どの程度の割合で速度変化の乖離度e1≦速度変化の乖離度e2の条件を満たしているペアが存在しているかを算出する。非先先行車度apnの数値が大きくなればなるほど、通信車が先先行車らしくないと推測することが可能である。
その一方で、ステップ707でNOと判定した場合は、CPUはステップ709へ進んで非先先行車度apnとして「0」を設定する。
ステップ707でNOと判定した場合とは、先行車11と通信車との乖離度を判定するための速度変化の乖離度e1及び速度変化の乖離度e2の数が不十分な場合である。
図3のステップ302(図7のステップ701乃至709)の処理を終えたCPUは、続いてCPUはステップ303へ進み、ステップ301、302で求めた速度変動量SHn及び非先先行車度apnを引数とするルックアップテーブル(マップ)を利用して補正係数fnを求める。
図9に示すように、補正係数fn(n=1、2、3)を求めるためのルックアップテーブルは三種類(Mapf1、Mapf2、Mapf3)が用意されている。
即ち、図9の(a)及び(b)に例示されたテーブルMapf1は速度変動量SHnの変動量が小さいSH1に対し特に適合されたテーブルである。
図9の(c)及び(d)に例示されたテーブルMapf2は速度変動量SHnの変動量が中程度のSH2に対し特に適合されたテーブルである。
図9の(e)及び(f)に例示されたテーブルMapf3は速度変動量SHnの変動量が大きいSH3に対し特に適合されたテーブルである。
なお、図9に示したテーブル(Mapf1、Mapf2、Mapf3)のそれぞれは、非先先行車度apnが0.5及び0.7である場合のテーブルであるが、実際には、各テーブルは、非先先行車度apnの取り得る範囲(0〜1)のそれぞれの値に対して作成されている。また、各テーブルの引数である「速度変動量SHn及び非先先行車度apn」は各テーブルに対して共通である。
CPUは、ルックアップテーブルMapf1、Mapf2及びMapf3のそれぞれに基づいて三種類の補正係数f1、f2、及びf3をそれぞれ求める。
ルックアップテーブルMapf1、Mapf2及びMapf3は、速度変動量SHnが大きくなればなるほど補正係数fnが大きくなり(「1」に近づいた後「1」を維持する)、且つ、速度変動量SHnが小さくなればなるほど補正係数fnが小さくなる(「0」に近づいた後「0」を維持する)ように作成されている。またルックアップテーブルMapf1、Mapf2及びMapf3は、非先先行車度apnが大きくなればなるほど補正係数fnが大きくなり、且つ、非先先行車度apnが小さくなればなるほど補正係数fnが小さくなるように作成されている。従って、前述したように、速度変動量SHn及び非先先行車度apnが大きい場合に補正係数fnは大きくなり(「1」に近づき)、速度変動量SHn及び非先先行車度apnが小さい場合に補正係数fnは小さくなる(「0」に近づく)。
このように速度変動量SHnの大きさに対応した三種類のルックアップテーブルMapf1、Mapf2及びMapf3を用いて補正係数fnを算出しているので、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、速度変動量SHnの程度に応じた補正係数fnを精度よく算出することが可能である。
さらにCPUはステップ301乃至303の処理と並行して、ステップ304乃至312の処理を行う。
CPUはステップ304において、下記の式を利用して通信車速度Vcと先行車速度Vfrの平均二乗誤差MSを演算する。そして演算した平均二乗誤差MSをバッファメモリに記憶させる。

Figure 0006418116
m:バッファメモリに記憶されている通信車速度Vc及び先行車速度Vfrの数
先行車速度Vfrと通信車速度Vcとが、過去の所定時点から現時点までの期間において近しい値を取り続けているほど平均二乗誤差MSは小さくなる。即ち、平均二乗誤差MSは、先行車速度Vfrと通信車速度Vcとが類似している程度を表す指標値(誤差統計量の一つ)である。
さらにCPUはステップ305に進んで、取得した平均二乗誤差MS全てを平均化処理する。
この平均化処理は図10のフローチャートに沿って行われる。
まずCPUはステップ1001において、前回のステップ305の処理から今回の処理の間に、自車10の直前に位置する車両が先行車11から別の車両に変化したか、又は、通信車と自車10との間の無線通信が遮断したか否かを判定する。
CPUがステップ1001でYESと判定した場合は、CPUはステップ1002へ進んで、これまでに取得した平均二乗誤差MSをバッファメモリから全て消去する。そしてCPUは、これまでに取得した平均二乗誤差MSの総和(合計値)及び総個数をいずれも「0」に設定する。
一方、CPUがステップ1001でNOと判定した場合は、CPUはステップ1003へ進む。CPUは、前回のステップ305の処理時から今回の処理時の間に通信車情報が更新されたか否かを判定する。
CPUがステップ1003でYESと判定した場合は、CPUはステップ1004に進んで現時点での平均二乗誤差MSの総和を演算する。具体的には、前回のステップ1004の処理時に取得した平均二乗誤差MSの和(前回値)に、直前のステップ304で取得した平均二乗誤差MSの値を加算することにより、平均二乗誤差MSの総和を更新する。
さらにCPUはステップ1005へ進んで、現時点での平均二乗誤差MSの総個数を演算する。具体的には、前回のステップ1005の処理時に取得した平均二乗誤差MSの合計数に「1」を加算することにより、平均二乗誤差MSの総個数を更新する。
ステップ1002若しくは1005の処理を終えるか又はステップ1003でNOと判定したCPUはステップ1006へ進む。CPUは、ステップ1002又は1005を経た場合は、ステップ1002又は1004で取得した平均二乗誤差MSの総個数が、所定の閾値bl(下限数)以上であるか否かをステップ1006で判定する。一方、CPUがステップ1003でNOと判定した場合は、前回のステップ305の処理時のステップ1002又は1004で取得した平均二乗誤差MSの総個数が閾値bl以上であるか否かをステップ1006で判定する。
CPUはステップ1006でYESと判定した場合はステップ1007へ進み、ステップ1002又は1004で取得した平均二乗誤差MSの総和を、ステップ1002又は1005で取得した平均二乗誤差MSの総個数で除して平均二乗誤差MSの平均値(H2E)を演算する。
一方、CPUはステップ1006でNOと判定した場合はステップ1008へ進み、バッファメモリに記憶されている初期値(定数)を平均二乗誤差MSの平均値として設定する。
この初期値は大きな値の定数である。そのため、自車10の直前に位置する車両が先行車11から別の車両に変化したり、バッファメモリに蓄積された平均二乗誤差MSの個数が少なかったりした場合のように、通信車が先行車11であるか否かを正確に判定するためにはまだ平均二乗誤差MSのデータが少ない場合に、平均二乗誤差MSの平均値が小さな値となることがない。即ち、ステップ1008をこのような処理とすることにより、このような場合にCPUが「先行車速度Vfrと通信車速度Vcとが類似している」という誤判定を行うリスクを低くしている。
さらに図3のステップ305の処理を終えたCPUはステップ306に進んで、ステップ305で取得した平均二乗誤差MSの平均値(H2E)を引数とするルックアップテーブル(マップ)を利用して類似度g1nを求める。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg11、Mapg12、Mapg13)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg11、Mapg12及びMapg13のそれぞれは、平均二乗誤差MSの平均値(H2E)が小さいほど類似度g1n(n=1,2,3)の値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg11、Mapg12及びMapg13に基づいて三種類の類似度g1nをg11、g12及びg13としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、平均値(H2E)の程度に応じた類似度g1nを精度よく算出することが可能である。
またCPUはステップ307において、速度変化の乖離度e1=|dVc−dVfr|/min(|dVc|、|dVfr|)を演算する。そしてCPUは、算出した速度変化の乖離度e1をバッファメモリに記憶させる。
続いてCPUはステップ308において、速度変化の乖離度e1を平均化処理して、速度変化の乖離度e1の平均値(He1)を求める。この平均化処理の方法はステップ305(図10のフローチャート)と同様である。
さらにCPUはステップ309に進んで、ステップ308で取得した速度変化の乖離度e1の平均値(He1)を引数とするルックアップテーブル(マップ)を利用して類似度g2n(n=1,2,3)を求める。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg21、Mapg22、Mapg23)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg21、Mapg22及びMapg23のそれぞれは、乖離度e1の平均値(He1)が小さいほど類似度g2nの値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg21、Mapg22、Mapg23に基づいて三種類の類似度g2nをg21、g22及びg23としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、平均値(He1)の程度に応じた類似度g2nを精度よく算出することが可能である。
またCPUはステップ310において、下記の式を利用して速度相関係数coef(correlation coefficient)を演算する。そして演算した速度相関係数coefをバッファメモリに記憶させる。
Figure 0006418116
周知なように、相関係数coefは、2つのパラメータの間の相関(類似性の度合い)を示す統計量である。原則的には、相関係数は−1から1の間の実数であり、相関係数が1に近いほど2つのパラメータには正の相関があり、2つのパラメータの類似度は高い。相関係数が0に近くなるにつれ2つのパラメータの相関は弱くなる。相関係数が−1に近いほど2つのパラメータには負の相関がある。従って、本例において速度相関係数coefが1に近いほど、通信車速度Vcと先行車速度Vfrとの類似性は高い。
さらにCPUは、ステップ310の処理と並行して図11にフローチャートの処理を実行する。
即ち、CPUはステップ1101において、a=sum((Vfr(i)−ave(Vfr))が所定の閾値x以下であるか否かを判定し、さらにステップ1102においてb=sum((Vc(i)−ave(Vc))が所定の閾値y以下であるか否かを判定する。なお、sum(Z)は、変数Zの総和をとる関数であり、ave(Z)は変数Zの平均をとる関数である。
通信車速度Vcと先行車速度Vfrの速度変動量が小さい場合に、ステップ1101又は1102でCPUがNOと判定する。通信車速度Vcと先行車速度Vfrの速度変動量が小さい場合は、CPUによる通信車の特定に関する最終判定に誤りが発生し易い。そのため、CPUがステップ1101又は1102でNOと判定した場合は、ステップ310で取得した速度相関係数coefを、続いて行われるステップ311の平均化処理に利用しない方がよい。従って、この場合はCPUはステップ1104へ進む。即ち、CPUは前回のステップ311で取得した平均値Hcfを保持し且つステップ312へ進む。
その一方で、CPUがステップ1101及び1102でYESと判定した場合は、ステップ310で取得した速度相関係数coefを平均化処理に利用すべく、CPUはステップ1103へ進む。即ち、CPUはステップ311へ進む。
CPUはステップ311において、速度相関係数coefを平均化処理して、速度相関係数coefの平均値(Hcf)を求める。この平均化処理の方法はステップ305(図10のフローチャート)と同様である。
さらにCPUはステップ312に進んで、ステップ311で取得した速度相関係数coefの平均値(Hcf)を引数とするルックアップテーブル(マップ)を利用して類似度g3nを求める。
補正係数fn用のルックアップテーブルと同様にこのルップアップテーブルも、速度変動量SHnの大きさ(大、中、小)のそれぞれに特化した三種類(Mapg31、Mapg32、Mapg33)が用意されている(図示略)。
ルックアップテーブルMapg31、Mapg32、Mapg33のそれぞれは、速度相関係数coefの平均値(Hcf)が1に近いほど類似度g3n(n=1,2,3)の値が大きくなるように作成されている。
そしてCPUは、ルックアップテーブルMapg31、Mapg32及びMapg33に基づいて三種類の類似度g3nをg31、g32及びg33としてそれぞれ求める。従って、速度変動量SHnの程度が大中小のいずれの場合も、類似度g3nを精度よく算出することが可能である。
CPUはステップ303、306、309及び312の処理が完了したらステップ313へ進む。
CPUはステップ313において類似度g1n、g2n、g3n及び補正係数fnのnの値が同じものどうしを掛け合わせて最終先行車確率Pn(=P1、P2、P3)を算出する。
続いてCPUはステップ314へ進んで、ステップ313で求めたP1、P2及びP3の中から最も数値が大きいものを最終先行車確率Pとして一つだけ選択する。
さらにCPUはステップ315へ進んで、ステップ314で選択した一つの最終先行車確率Pが所定の閾値Pthを超えているか否かを判定する。
図12に示すように、この閾値PthはCPUが図3のフローチャートの処理を開始してからの経過時間に応じて変化する。即ち、時刻teまでは閾値Pthは最も大きな値の一定値をとる。しかし、時刻teを経過すると閾値Pthは徐々に低下し、時刻tf以降は最小値を維持する。
図3のフローチャートの処理開始から時間があまり経過していないときは、バッファメモリに蓄積された通信車速度Vc、相対速度Vr及び先行車速度Vfr等のデータ数が少ないので、この時点でCPUが通信車が先行車11であるか否かの最終判定を行うと、CPUが「真の通信追従対象車ではない通信車が先行車11である」という誤判定を起こし易い。そのため、図3のフローチャートの処理を開始してからの経過時間が時刻teに至るまでは、閾値Pthの値を大きくしている。その一方で、図3のフローチャートの処理開始から時間がある程度経過すればバッファメモリに蓄積されるデータ数が多くなるので、この場合は閾値Pthの値を多少低めにしても、CPUが「真の通信追従対象車ではない通信車が先行車11である」という誤判定を起こすおそれは低い。
そのため、閾値Pthの値を図12のグラフのように変化させている。
仮に他車11〜13の中で通信車が先行車11のみの場合は、CPUがステップ315でYESと判定したときに、CPUはステップ316で先行車11を通信車として特定する。
その一方で、他車11〜13の全てが通信車の場合は、CPUはステップ313において通信車と同数の最終先行車確率Pnを取得し、さらにステップ314において通信車と同数の最終先行車確率Pを取得する。さらにCPUは、ステップ315において各最終先行車確率Pと閾値Pthとを比較する。そして複数の最終先行車確率Pが閾値Pthを超えた場合は、CPUはステップ316において、閾値Pthを超えた複数の最終先行車確率Pの中で最も数値が大きい最終先行車確率Pと対応する一つの他車11〜13を通信追従対象車と判定する。従って、先行車11に対応する最終先行車確率Pが最大且つ閾値Pthを超えた場合に、CPUはステップ316で先行車11を通信追従対象車として特定する。
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、通信車速度Vcではなく通信車速度Vcbを利用して速度変動量SHn及び非先先行車度apnを算出してもよい。
図5に示した補正係数k1を、ΔVfrの大きさに拘らず「1」としてもよい。
10・・・自車、11〜13・・・他車、11・・・先行車、20・・・車両制御ECU、30・・・エンジン制御ECU、60・・・センサECU、61・・・自車レーダセンサ、80・・・無線制御ECU。

Claims (1)

  1. 自車の速度である自車速を検出する自車速検出手段と、
    前記自車の直前を走行し且つ同自車が追従走行すべき先行車の同自車に対する相対速度を取得する相対速度取得手段と、
    前記自車速及び前記相対速度に基づいて前記先行車の速度である先行車速度を演算する先行車速度演算手段と、
    前記自車の周囲に存在する他車と無線通信を行って同他車から同他車の速度である通信車速度を含む他車通信情報を取得する通信車速度取得手段と、
    前記先行車速度及び前記通信車速度に基づいて、前記他車と前記先行車との類似度を演算する類似度演算手段と、
    前記他車が前記先行車である確率を前記類似度が大きくなるにつれてより高くなるように演算し、且つ、演算した確率に基づいて前記他車が前記先行車であるか否かを判定する先行車判定手段と、
    前記先行車であると判定された前記他車との無線通信によって取得される前記他車通信情報に基づいて前記自車の加速度を制御することにより、同自車を同他車に追従して走行させる走行制御手段と、
    を備える車両制御装置において、
    前記先行車判定手段が、
    前記先行車速度の現在値と前記先行車速度の現在から第1微小時間前の過去値との差(A)と、前記通信車速度の現在値と前記通信車速度の現在から前記第1微小時間前の過去値との差(B)と、の差分の絶対値(|A−B|)を正規化した第1指標値(e1)と、
    前記先行車速度の現在値と前記先行車速度の現在から第2微小時間前の過去値との差(C)と、前記通信車速度の現在からオフセット時間前の過去値と前記通信車速度の現在から前記オフセット時間前の時点から更に前記第2微小時間前の過去値との差(D)と、の差分の絶対値(|C−D|)を正規化した第2指標値(e2)と、
    を算出し、
    前記第1指標値が前記第2指標値以下のとき、前記第1指標値が前記第2指標値より大きいときと比べて前記確率を高めに算出するように構成された、車両制御装置。
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