JP6417487B1 - 穿刺器具ガイド装置 - Google Patents

Abstract

【課題】より簡単に穿刺器具をガイドすることのできる穿刺器具ガイド装置を提供する。【解決手段】椎弓根基部の目標点に向かって脊椎後方側から前方向に配置して基準となる基準ピンと、一端部が基準ピンの基端側に位置し他端部が側方へ延びるロッド部材と、該ロッド部材の他端部に該ロッド部材に対して所定の角度で設置され先端が前記目標点に向かって開口し穿刺器具を貫通してガイドする筒状のスリーブとを備え、スリーブの側面には、切込み方向がスリーブの中心軸に対して前記所定の角度と同じ角度の複数のスリットおよび該スリットの切込み方向と平行な貫通孔を形成する。スリーブが正確に所定の角度に設置される場合、Ｘ線透視によりスリットが重なって綺麗に抜けて見える。また、貫通孔が一直線に重なるとＸ線透視により抜けて見えるので、スリーブの回旋も把握することができる。【選択図】図１

Description

本発明は、脊椎の外科手術である脊椎固定術に用いる椎弓根スクリューを埋設するための下孔を穿刺器具で椎骨に形成する際に、穿刺器具の刺入の位置及び方向を正確にガイドするための穿刺器具ガイド装置に関するものである。

頸椎等の固定術は、脊椎に椎弓根スクリューを埋設する手法が多く採用されている。この椎弓根スクリューの埋設は、プローブ等の穿刺器具を刺し入れ、予め下孔を形成しておき、その下孔に椎弓根スクリューをねじ込むことにより行われる。

ところで、脊椎付近には、脊髄、神経根、血管、臓器等の重要な器官が密集しており、特に、頸椎に下孔を形成するためにプローブ等の穿刺器具の刺し入れ位置を誤ると、上記の器官に重篤な障害を及ぼすおそれがある。したがって、穿刺器具の刺し入れにあたって形成される下孔は、正確な刺し入れ位置と方向を決定する必要がある。

従来は、レントゲン装置にて脊椎の正面画像と側面画像とを投影し、プローブを刺し入れる椎弓根の位置を確認してプローブをガイド無しで刺し入れていた。しかし、このようなガイド無しでのプローブの操作は術者の経験値と技量に大きく左右され、刺し入れ精度にばらつきが生じる問題がある。また，正確なプローブ刺入が行われた後であっても，タップやスクリュー挿入時に角度がずれて逸脱する恐れが残る．

本出願人が開示した特許文献１には、椎弓根基部に脊椎後方側から前方向に刺して基準となる基準ピンと、前記基準ピンの基端側から側方に延びるアーム体とからなり、該アーム体には基準ピン尖端遺体に向かって開口し、穿刺器具をガイドするガイド孔が形成され、該ガイド孔は、基準ピンの先端位置を中心として放射状に複数個形成されている穿刺器具ガイド装置が開示されている。

この特許文献１の穿刺器具ガイド装置によれば、アーム体に形成されたガイド孔に穿刺器具を通すことにより、刺し入れ角度を正確にガイドすることができる。また、複数のガイド孔が基準ピンの尖端位置を中心に放射状に配置されているので、穿刺器具の刺し入れ角度を椎弓根の傾斜角度に応じて変更し、椎弓根に穿刺器具を定説な傾斜角度で刺し入れることができる。

同じく本出願人が開示した特許文献２においては、下孔を形成するための穿刺針と、該穿刺針から所定の角度を有して設けられ、穿刺針を所望の位置でかつ所望の角度で導くための基準となる基準バーを備え、基準バーの基端部と先端部に基準バーと直交する方向に突出する第１の補助バーと第２の補助バーとを設け、両補助バーは、基準バーを挟んで互いに逆方向に突出させるようにした穿刺器具が開示されている。

この特許文献２の穿刺器具によれば、穿刺針に所定の角度の基準バーを設け、この基準バーにより穿刺針を所望の刺し入れ位置に所望の角度で導くようにしているので、穿刺針を目標位置に導く特別なガイド装置を別に設ける必要がなく、簡単な構成で椎弓根に対する刺し入れ位置及び方向を正確に制御することができる。しかも、第１の補助バーと第２の補助バーが基準バーの基端部と先端部とに設置されているので、脊椎を側面からレントゲン透視した画像では、基準バーが水平である限り、第１の補助バー及び第２の補助バーは一直線上に並ぶことになり、２つの補助バーによって基準バーの水平状態を容易に確認することができる。

また、特許文献３には、隣接する第１の椎骨と第２の椎骨との間の椎間関節を横切ってねじを配置するための最小侵襲性の装置が開示されている。この装置は、第１の椎骨の棘突起に挿入するための第１のワイヤと、第１のワイヤに取り外し可能に接続された第１の固定ブロックと、第２の椎骨の横方向プロセスに挿入するための第２のワイヤと、第２のワイヤに取り外し可能に接続された第２の固定ブロックとを含み、ロッド部材は、第１および第２の固定ブロックの両方に取り外し可能に接続され、旋回ブロックアッセンブリは、相対的に移動可能な第１および第２ブロック部材を含み、ロッド部材は第１のブロック部材に取り外し可能に接続され、カニューレが第２のブロック部材から延びている。そして、ガイドワイヤをカニューレに挿入したり、ファセットスクリューをカニューレに挿入し、隣接する椎骨を融合させるようにしている。

特開２００９−２６１４８５号公報 特開２０１３−３４７７７号公報 国際公開２００６／０３８９５９号公報

ところで、互いに直交する３軸をＸ軸，Ｙ軸，Ｚ軸とし、脊椎の前後方向をＺ軸、脊椎の横方向をＸ軸、椎骨間をＹ軸方向とそれぞれ定義すると、特許文献１のガイド装置では、基準ピンとアーム体のガイド孔とでなす平面（Ｘ軸−Ｚ軸を含む平面）上では、所定の角度を正確に把握することができるが、Ｙ軸方向で正確な位置を把握するには術者の熟練が必要となる。特許文献３においては、特許文献１と同様に、Ｙ軸方向での正確な位置決めに熟練を要することになる。

一方、特許文献２は、穿刺器具とは別にガイド装置を必要としないが、穿刺針の刺し込み方向と所定の角度で基準バーをＸ軸方向に張り出す構成となっており、さらに、基準バーに対して直交するＹ軸方向に第１および第２の補助バーを張り出す構成となるため、皮膚の切開部分が大きくなる可能性がある。そのため、さらなる最小低侵襲での施術が可能な穿刺器具ガイド装置の出現が望まれているところである。

本発明は、上記課題に鑑み、より簡単に穿刺器具をガイドすることのできる穿刺器具ガイド装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明の一つの態様として、椎弓根に椎弓根スクリュー埋設用の下孔を形成する穿刺器具をガイドするための装置であって、椎弓根基部の目標点に向かって脊椎後方側から前方向に配置して基準となる直線状の基準ピンと、スリーブ中心軸が前記基準ピンに対して所定の刺入角度で配置され、先端が前記目標点に向かって開口し前記穿刺器具を貫通してガイドする筒状のスリーブと、前記基準ピンの基端側と前記スリーブとを連結し前記スリーブ中心軸を基準ピンに対して前記所定の刺入角度に維持するロッド部材とを備え、レントゲン透視画像により当該穿刺器具ガイド装置が椎弓根に正確に設置されているか否かを確認するためのスリットが前記スリーブの側面に形成され、前記スリットは、その切込み方向が前記基準ピンに対して直交する方向に形成されていることを特徴とする穿刺器具ガイド装置を提供することができる。

換言すると、スリットの切込み方向は、直線状の基準ピンと直交する方向である。また、スリットは、その切込み方向に直交する断面が矩形の切込み凹部を有する形状とすることができる。さらに、スリットは、１個に限らず、スリーブの軸方向に間隔をおいて複数個形成する態様であってもよい。また、図２に示すように、複数個のスリットを、スリーブの軸方向に間隔をおいて３個以上設け、これらのスリットをスリーブの筒壁にその中心軸を挟んで軸方向に千鳥状に配置することもできる。さらに、上記構成に加えて、スリーブには、スリットとは別にスリットの切込み方向と平行に貫通する貫通孔を形成することもできる。

本発明によると、スリーブに形成されたガイド孔に穿刺器具を通すことにより、刺入角度を正確にガイドすることができる。特に、スリーブにスリットが形成されているので、レントゲン透視により任意の角度が分かるようになる。例えば、スリーブの角度を予め４０度のスリットにしておくと、正確に４０度の場合、レントゲン透視で見た時に、スリットが重なって綺麗に抜けて見える。４０度からずれている場合、スリット幅が狭く見えたり、全く見えなかったりする。すなわち、レントゲン透視によって角度が分かるようになる。

また、スリーブにおいて、対向する筒壁に形成される貫通孔が一直線に重なると、Ｘ軸方向からの透視で抜けて見え、これによってスリーブの回旋も分かり、Ｙ軸方向でも正確な刺し入れ位置を把握することができる。

本発明の実施形態を示す穿刺器具ガイド装置の正面図 同じく穿刺器具ガイド装置の側面図 同じく穿刺器具ガイド装置を脊椎に使用した場合の概念図 （ａ）は椎弓根への穿刺器具ガイド装置の刺し入れ角度が最適な状態を示すレントゲン撮影図、（ｂ）は同じくそのときの椎骨のＣＴ（コンピュータ断層撮影、以下同じ）による断面図である。 （ａ）は椎弓根への穿刺器具ガイド装置の刺し入れ角度が不適切で傾いた状態を示すレントゲン撮影図、（ｂ）は同じくそのときの椎骨のＣＴによる断面図である。 （ａ）は椎弓根への穿刺器具ガイド装置の刺し入れ状態が回旋しているときのレントゲン撮影図、（ｂ）は同じくそのときの椎骨のＣＴによる断面図である。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態における穿刺器具ガイド装置１は、椎弓根に椎弓根スクリュー埋設用の下孔を形成する穿刺器具２をガイドするためのものである。

穿刺器具ガイド装置１は、椎弓根基部の目標点Ｓに向かって脊椎後方側から前方向に配置して基準となる基準ピン３と、一端部が前記基準ピン３の基端側に位置し他端部が側方へ延びる直線状のロッド部材４と、該ロッド部材４の他端部に該ロッド部材４に対して第１の所定角度θ１で設置され先端が前記目標点Ｓ（以後、単に「Ｓポイント」という場合もある。）に向かって開口し前記穿刺器具２を貫通してガイドする筒状のスリーブ５とを備えている。

さらに、スリーブ５の側面には、切込み方向がスリーブ５の中心軸に対して第１の所定角度θ１と同じ角度で複数のスリット６，７，８が形成されている。言い換えれば、直線状のロッド部材４と平行な複数のスリット６，７，８が、スリーブ５の軸方向に間隔をおいて形成されている。さらに、スリーブ５には、前記複数のスリット６，７，８とは別に前記スリット６，７，８の切込み方向と平行に貫通する上下２個の貫通孔９，１０が形成されている。

基準ピン３は、その素材について特に限定されるものではないが、本例ではステンレス製のものを採用している。基準ピン３は、直線状に形成されており、その先端側が他のピン部分よりも小径とされる。本例の基準ピン３は脊椎後方側から椎弓に当てて使用する長さに設定されている。他の態様として、基準ピン３を脊椎後方側から椎弓を通して椎弓根基部まで挿入できる長さに設定し、基準ピン３を椎弓根に刺し込んで使用するものを採用してもよい。

基準ピン３は、ロッド部材４の一端側にロッド部材４の軸方向と直交する方向に穿孔された縦孔に挿入され、リング状の基端側抜け止め部材１０により抜け止めされている。抜け止め部材１３は、基準ピン３の椎弓側への挿入長さによって、基準ピン３の軸方向に沿って移動・固定自在とすることができる。また、基準ピン３は、椎弓への挿入長さによって、異なる複数種類の基準ピンを準備し、適宜、ロッド部材４に着脱可能に装着することもできる。本例における基準ピン３は、直径１．８ｍｍ程度の小径に形成されているが、直径はこれに限定されるものではない。

ロッド部材４は、その素材について特に限定されるものではないが、本例ではステンレス製のものを採用している。ロッド部材４は、棒状部材あるいは筒状部材により直線状に形成されている。ロッド部材４の一端部には、軸方と直交する方向に穿孔された縦孔を有し、この縦孔に基準ピン３が上下方向から通される。ロッド部材４の他端部には、第１の所定角度θ１をもって斜め下方の基準ピン３側に向かうスリーブ５が固定されている。

スリーブ５は、その素材について特に限定されるものではないが、本例ではステンレス製の筒状部材を採用している。スリーブ５の筒内が椎弓根基部の目標点Ｓに向かって開口するガイド孔１２とされる。ガイド孔１２は、穿刺器具２の刺入方向をガイドする。ガイド孔１２の大きさは、ドリル等の穿刺器具２を挿入可能に形成されており、穿刺器具２の径とほぼ同じにするのが好ましい。また、ガイド孔１２の形は円形とされるが、穿刺器具２の断面形状に合わせて変更してもよい。また、ガイド孔１２の長さは、少なくとも穿刺器具２の刺入方向を支持できる程度必要である。

スリーブ５は、ロッド部材４に固定される大径部５ａと、大径部に連続して基準ピン側に斜め下方に延長され大径部５ａよりもわずかに小径の本体部５ｂと、本体部５ｂよりも先端がテーパー状に細くなる先端部５ｃとを備えている。そして、スリーブ５の軸方向延長線と基準ピン３の延長線とが交差する角度として第２の所定角度θ２のものを用意する。

ここで、直線状の基準ピン３と直線状のロッド部材４とは直角（９０度）に交わるので、第２の所定角度θ２と第１の所定角度θ１とは余角（θ１+θ２＝９０度）の関係にある。第２の所定角度θ２は、例えば、３０度、３５度、４０度、４５度、５０度、５５度、６０度と５度違いで７種類程度の角度をいい、このような所定角度θ２のスリーブ５を備えた穿刺器具ガイド装置１を用意する。これらの中から最適な傾斜角度θ２を有するガイド装置１を選択して、そのスリーブ５内に穿刺器具２を通せば、椎骨の形状に応じて最適な刺入角度θ２を選定することができる。穿刺器具２としては、ドリル、タップ、スクリュー等の穿刺機能を有する器具が用いられる。

スリーブ５に間隔をおいて形成された複数のスリット６，７，８の切込み方向は、直線状の基準ピン３と直交する方向であるとも言える。３個のスリットをスリーブの先端側から順次第１、第２、第３のスリットとすると、図２において、第１のスリット６と第３のスリット８はスリーブ５の右側側面に細長く形成され、第２のスリット７は、第１のスリット６と第３のスリット８の中間に形成されている。なお、スリットは上記のごとく３個に限らず、１個ないしそれ以上であってもよい。

ここで、互いに直交する３軸をＸ軸，Ｙ軸，Ｚ軸とし、脊椎の前後方向をＺ軸、脊椎の横方向をＸ軸、椎骨間方向をＹ軸方向とそれぞれ定義すると、直線状の基準ピン３はＺ軸方向に配置され、直線状のロッド部材４はＸ軸方向に配置される。水平方向に配置されたスリット６，７，８を見ると、図２に示すように、矩形の切込み凹部を有する形状となる。さらに、上下２個の貫通孔９，１０は、図２に示すように、対向する筒壁に形成された各貫通孔９，１０は、Ｘ軸方向に貫通して見える。本例では、貫通孔９，１０がスリット６，７，８よりも上段と下段にそれぞれスリット６，８と間隔をおいて配置される。

上記構成の穿刺器具ガイド装置１を用いて、後方展開による脊椎固定術の手術を行う場合について説明する。まず、図３を用いて椎骨の断面構造を説明する。図３に示すように、椎骨２０は、前方に位置する椎体２１と、後方に位置する椎弓２２とから構成される。椎弓２２は椎体２１から後方に向かって出る鱗状の部分で、椎体２１につく椎弓根２２ａと、それより後の板を曲げたような椎弓板２２ｂとから構成される。椎弓板２２ｂは正中で合し、後方に向かって棘突起２２ｃを形成する。椎体２１と椎弓２２によって囲まれる大きな孔が椎孔２３であって、ここは脊髄２４が通る場所となり、これの縦の連なりを脊柱管という。

ＣＴ（コンピュータ断層撮影）による断面画像で、図３に示すように、椎体２１の後面の接線Ａと椎孔２３（脊柱管）の外縁の垂線Ｂの交点Ｓを割出し、この交点Ｓが目標点となるＳポイントになるので、目標のＳポイントから椎弓根２２ａの傾きに平行な直線を引き、この直線から穿刺器具２の刺入角度θ２を割り出す。刺入角度θ２は穿刺器具２の中心軸と垂線Ｂとでなす第２の所定角度である。この刺入角度θ２に合った穿刺器具ガイド装置１を選択する。刺入角度θ２に合った穿刺器具ガイド装置１とは、基準ピン３とスリーブ５の中心軸がなす第２の所定角度が刺入角度θ２になる装置である。

次に、Ｓポイントを通り、椎弓根２２ａの傾きに平行な直線の延長線と椎弓板２２ｂ等の表面との交点Ｃに印を付け、この交点Ｃをスリーブ５の設置ポイントとする。また、目標のＳポイントから引いた垂線Ｂと椎弓板２２ｂ等の表面との交点Ｄに印を付け、基準ピン３の設置ポイントとする。

そして、スリーブ５が適切な傾きθ２の穿刺器具ガイド装置１を選択して、基準ピン３を交点Ｄに設置し、また、スリーブ５を設置ポイントＣに合わせる。このとき、スリーブ５のスリット６，７，８が水平状態になるようにし、また、貫通孔９，１０も水平になるように設置する。

この状態で、スリーブ５にタップやスクリュー等の穿刺器具２を挿入する。穿刺器具２の尖端がＢ線に達するまでの長さは、穿刺器具２にライン等の目印を付けて術者に分かるようにしておく。穿刺器具２をその目印の長さまで挿入したときに、基準ピン３がＢ線上に位置しているならば、穿刺器具２の尖端がレントゲン透視でＡ線上にあり、安全性の高いＳポイントに到達していることになる。

このように、ロッド部材４の一端に設けられた基準ピン３の先端の垂線（Ｂ線）上にＳポイントがあり、ドリル、タップ、スクリュー等の穿刺器具が椎体後壁（Ｓポイント)に達したときに、基準ピン３が脊柱管外縁上にあれば、穿刺器具２の先端がＳポイントに位置することになる。

図４（ａ）（ｂ）はガイド装置１が最適な状態で設置された状態を示す。同図（ａ）に示すように、側方（Ｘ軸方向）から撮影したレントゲン透視画像で見ると、スリーブ５のスリット６，７，８の切込み凹部がＸ軸方向で重なって綺麗に抜けて見える。また、上下の貫通孔９，１０も綺麗に抜けて見える。

図５（ａ）（ｂ）は基準ピン３がＳポイントを通る垂線から外れた状態で、スリーブ５の中心軸の延長線がＳポイントからずれた状態を示す。この状態では、図５（ａ）に示すように、側方（Ｘ軸方向）から撮影したレントゲン透視画像で見ると、スリーブ５のスリット６，７，８が水平状態から傾いているので、その切込み凹部のＸ軸方向での重なりが少なく、線状に見える。また、上下の貫通孔９，１０も重なりが少なく、図５のように黒点のように見える。

図６（ａ）（ｂ）はスリーブ５が基準ピン３周りに回旋した状態を示す。この状態では、同図（ａ）に示すように、側方（Ｘ軸方向）から撮影したレントゲン透視画像で見ると、スリーブ５の左右のスリット６，７，８の左右幅が同じに見えない。また、上下の貫通孔９，１０も重なりが少なく、図のように黒点のように見える。

以上のとおり、本発明の実施形態によると、スリーブ５にスリット６，７,８が複数個所に形成されており、レントゲン透視画像で任意の角度が分かるようになる。例えば、スリーブの角度を予め所定の角度のスリットにしておくと、正確に所定の角度の場合、Ｘ軸方向から見たとき、スリットが重なって綺麗に抜けて見える。また、スリーブ５の貫通孔９，１０が一直線に重なるとＸ軸方向からの透視で抜けて見え、これによってスリーブ５の回旋状態も判別することができ、正確な刺し入れ位置を把握することができる。

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態のロッド部材４は、直線状のものを使用し、スリットの切込み方向（ロッド部材と平行な方向）を決定する基準の一つとしたが、ロッド部材４は、直線状のものに限らず、他の形状、例えば円弧状のものを採用し、スリットの切込み方向の基準を、他の部材、例えば直線状の基準ピンを採用するようにしてもよい。要するに、切込み方向がスリーブの軸方向と所定の角度をなすスリットを形成し、このスリットを利用してガイド装置が正確に設置されているか否かを確認できる態様であればよい。スリットの上下に形成された貫通孔についても同様であり、また、この貫通孔も複数のスリットの上下部に形成する態様ではなく、複数のスリットの間に形成する態様であってもよい。

１ 穿刺器具ガイド装置
２ 穿刺器具
３ 基準ピン
４ ロッド部材
５ スリーブ
６，７，８ スリット
９，１０ 貫通孔
１２ ガイド孔
Ａ 椎体の後面の接線
Ｂ 椎孔（脊柱管）の外縁の垂線
Ｃ 交点
Ｄ 交点
Ｓ 目標点（Ｓポイント）
θ１ スリーブの軸方向とスリットの切込み方向とおなす角度
θ２ 基準ピンとスリーブとの交差角度

Claims (5)

1. 椎弓根に椎弓根スクリュー埋設用の下孔を形成する穿刺器具をガイドするための装置であって、椎弓根基部の目標点に向かって脊椎後方側から前方向に配置して基準となる直線状の基準ピンと、スリーブ中心軸が前記基準ピンに対して所定の刺入角度で配置され、先端が前記目標点に向かって開口し前記穿刺器具を貫通してガイドする筒状のスリーブと、前記基準ピンの基端側と前記スリーブとを連結し前記スリーブ中心軸を基準ピンに対して前記所定の刺入角度に維持するロッド部材とを備え、
   レントゲン透視画像により当該穿刺器具ガイド装置が椎弓根に正確に設置されているか否かを確認するためのスリットが前記スリーブの側面に形成され、前記スリットは、その切込み方向が前記基準ピンに対して直交する方向に形成されていることを特徴とする穿刺器具ガイド装置。
2. 前記スリットは、その切込み方向に直交する断面が矩形の切込み凹部を有する形状とされたことを特徴とする請求項１に記載の穿刺器具ガイド装置。
3. 前記スリットが前記スリーブの軸方向に間隔をおいて複数個形成されている請求項１又は２に記載の穿刺器具ガイド装置。
4. 前記スリットが前記スリーブの軸方向に間隔をおいて３個以上設けられ、これらのスリットが前記スリーブの筒壁にその中心軸を挟んで軸方向に千鳥状に配置されている請求項３に記載の穿刺器具ガイド装置。
5. 前記スリーブには、前記スリットとは別に前記スリットの切込み方向と平行に貫通する貫通孔が形成されている、請求項１〜４のいずれかに記載の穿刺器具ガイド装置。

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