JP6416813B2 - 架橋性樹脂組成物ならびにイミド基含有樹脂およびその製造方法 - Google Patents

架橋性樹脂組成物ならびにイミド基含有樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヘミアセタールエステル化合物溶液、架橋性樹脂組成物ならびにイミド基含有樹脂およびその製造方法に関する。
携帯電話などのモバイル機器は、運搬時に落下することがあり、落下衝撃による変形や内部部品の破壊を抑える必要に迫られている。そのための対策としては、筐体内に隙間を大きく取る必要があるが、利便性の追求から、薄型の製品設計が要望されるが、部品への剛性を維持するには、ダイキャスト金属や鉄板加工品が使用されることも多く、製品の高密度化により衝撃への負荷が増大する矛盾を抱えている。
そのため、素材軽量化を目的に金属に代わる剛性の高い樹脂の応用が進んでおり、高強度かつ高耐久な材料が要望されている。
耐久性向上には、架橋による分子量の増大が有効であり、イソシアネート、アジリジン等数多くの構造が提案されている。しかし、これらの利用には化学反応が介在するため材料を取り扱う際の粘度が極度に上昇する、ゲル化を伴うなど制御には限界がある。また、剛性に優れる架橋成分は、結晶性も高くなる傾向にあり、そのまま混合、また汎用有機溶剤を使用しても素材に均一に分配されず、十分な特性が得られない。それにより目的の架橋機構も発現しないため逆に特性を悪化させる傾向がある。
テトラカルボン酸は優れた架橋性化合物であり、アミンと混合し加熱処理を施すことで環状イミド骨格をつくり、確実に剛性や強度、耐久性を付与できることが知られている。
しかし、通常のテトラカルボン酸は、耐熱や強靭性など高度の耐久性を求められる用途では芳香族組成が選ばれることが多い一方、化合物自身の結晶性から常温の汎用溶剤では溶解性が乏しい、取扱う手法はワニス調製用の溶媒を加熱する、乾燥エネルギーが過剰に必要な高極性溶剤を用いる等使用上の制約がある。そのため、当該樹脂を用いた架橋性樹脂組成物の製造では環境負荷、作業環境および安全面に関して多くの課題がある。
テトラカルボン酸を使用し素材の耐性を向上する例として、特許文献1のようなフェノール樹脂をベンゾオキサジンと混合した検討例を報告している。例えば特許文献1では、テトラカルボン酸を溶媒中で溶解し反応するのに、トルエンの沸点付近の110℃まで加熱を必要としている。
特開2011−168671号公報
本発明は、汎用有機溶媒への溶解性に優れ、かつ硬化物が高い樹脂強度、耐久性を有し、工業用部品材料への適用が可能となるヘミアセタールエステル化合物を含む架橋性樹脂組成物を提供することを目的とする。
汎用有機溶媒への溶解性および硬化物への樹脂強度、耐久性付与を両立できるような新しい架橋性化合物を含む樹脂組成物について検討を行った。
本発明は、以下の(1)〜()である。
n−ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロ−2H−ピランおよび1−ベンゾフランから選ばれるビニルエーテル化合物と、ビニルエーテル化合物とビフェニルテトラカルボン酸無水物とが付加して得られるヘミアセタールエステル化合物およびフェニレンジアミンとビフェニルテトラカルボン酸とが反応してなるポリアミンならびに有機溶剤を含有することを特徴とする架橋性樹脂組成物。
フェニレンジアミンとビフェニルテトラカルボン酸無水物とが反応して得られるポリアミン溶液を調製し、該ポリアミン溶液に、n−ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロ−2H−ピランおよび1−ベンゾフランから選ばれるビニルエーテル化合物と、ビフェニルテトラカルボン酸とが付加して得られるヘミアセタールエステル化合物を混合後、加熱処理して、硬化させるイミド基含有樹脂の製造方法。
)()に記載の製造方法によって得られるイミド基含有樹脂。
本発明によれば、汎用有機溶剤への溶解性に優れ、素材に均一に分配され、加熱硬化時にはイミド官能基の形成により、樹脂強度、耐久性が向上した架橋性樹脂組成物を提供することができる。
本発明は、ビニルエーテルとテトラカルボン酸を組み合わせた架橋性化合物、および硬化対象の成分をポリアミンとすることで目的とする性能を得た。以下に本発明について詳述する。
本発明で用いられる架橋性化合物の構造の具体例として、下記一般式(D)に示したヘミアセタールエステル化合物が挙げられる。
式(D)中、R7、R8、R9、R10はそれぞれ独立に下記一般式(E)の構造を有する1価の有機基または水素であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。ただし、R7、R8、R9、R10の少なくとも1つは、式(E)に示す有機基である。
式(E)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、R4、R5はそれぞれ独立に1価の有機基であり、R4及びR5のうち反応性基を有する有機基は35モル%以下であり、R6は水素またはハロゲン原子であり、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。
本発明の架橋性化合物は、汎用有機溶剤への溶解性に優れるため、汎用有機溶剤とともに用いることで、素材に均一に分配することが可能となり、かつ硬化物の樹脂強度、耐久性の高い熱硬化性樹脂を得ることができる。硬化物の樹脂強度、耐久性が改善される理由は、開裂反応によりテトラカルボン酸が再生され、脱水反応と競合することで生成するイミド官能基の効果と推定できる。そのため、硬化物の樹脂強度、耐久性の向上を達成するためには、170℃のヘミアセタールエステル乖離により再生したテトラカルボン酸と反応した結果、イミド骨格を形成し得る、一般式(C)(後述)の構造のポリアミンを用いることが望ましい。
本発明で用いられるポリアミンは、ヘミアセタールエステルの乖離反応が起こる170℃で担持されていることが望ましく、より望ましくは、イミド化反応が進行する190℃以上で担持されていることが望ましい。
また、本発明の架橋性樹脂組成物に適したポリアミンの樹脂構造の具体的な例として、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの耐熱性樹脂が挙げられる。これらにはあらかじめ、公知の触媒、粘度調整剤、剥離剤等が添加されていても良く、架橋反応を損なわなければ顔料、フィラー、導電材などの成分を添加してもよい。
ここで使用するテトラカルボン酸については、イミド基を形成する反応を考慮する必要がある。そのため、添加するモル数は、硬化対象となるポリアミンのアミノ基のモル数に対し、50%を超えない量とするのが望ましい。閉環イミド骨格を容易に形成し得るテトラカルボン酸の具体的な例としては、例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸(メロファン酸)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド等が挙げられる。
また、架橋時のイミド化反応の進行しやすさから一般式(D)由来で形成される閉環イミド骨格が5員環ないしは6員環を形成し得るものが望ましく、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(D)に示したヘミアセタールエステル化合物は、下記式(A)で示されるビニルエーテル化合物と、下記式(B)で示されるテトラカルボン酸とが付加することにより得られる。
式(B)中、Xは4価の有機基(アミノ基と反応性を有する基を含むものを除く。)を示す。
一般式(A)で表されるビニルエーテルの付加したヘミアセタールエステルが、水と共存すると副反応による失活が起こり得るが、一般式(A)のR2をR4、R5、R6の何れかと結合し環状骨格としたビニルエーテルを使用することで溶剤に水が共存していても耐久性を損なわない架橋性組成物を提供できる。
上記式(A)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基である。上記式(A)中のR1、R2、R3は、水素、または、置換または無置換のアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。特に原料入手の容易性から、水素であることが好ましい。また、1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素を有する置換基は含まないことが好ましい。この場合の活性水素を有する置換基とは、ヘミアセタールエステル結合と交換反応可能な置換基を示し、具体的には水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。
上記式(A)中のR4及びR5はそれぞれ独立に、炭素数が1以上の1価の有機基であり、R4及びR5のうち反応性基を有する有機基は35モル%以下である。すなわち、保護部位R4及びR5の合計モル数を100モル%とした場合に、反応性基を有するR4及び反応性基を有するR5の合計が35モル%以下である。R4及びR5としては、炭化水素骨格を有する基が例示される。それらは、ヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素骨格を有する基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖或いは脂環式の飽和又は不飽和炭化水素基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にエーテル結合を含有する基(例えば、−(R−O)n−R’、ここでR及びR’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、nは1以上の整数;−R”−(O−R”’)m、ここでR”及びR”’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、mは1以上の整数、−(O−R”’)mはR”の末端とは異なる炭素に結合している、などが挙げられる。)、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にチオエーテル結合を含有する基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にハロゲン原子、シアノ基、シリル基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。R4及びR5はそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。また、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。
1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素を有する置換基を含むと、ヘミアセタールエステル結合が分解しやすくなることから保存安定性が低下するので、上記式(A)中のR4及びR5は、活性水素を含有しないことが好ましい。
更に、上記式(A)中のR4及びR5は、反応性を有するエチレン性不飽和結合などの反応性基が含まれる場合には、保存安定性が悪くなる傾向がある。さらには、イミド化後のポリイミドに分解残渣が残存しやすくなる。そのため、反応性を有する不飽和結合を含有する場合であっても少量であることが好ましく、R4及びR5のうち反応性基を有する有機基は35モル%以下である。ヘミアセタールエステル結合が切断された後のR4及びR5の分解物をポリイミド膜中に、より残存し難くする点からは、上記式(A)中のR4及びR5には反応性基は含有しないことが好ましい。
上記式(A)中のR4及び/又はR5は、特に基板への密着性や保存安定性、耐はじき性、分解物の揮発性の観点から、炭化水素骨格中にエーテル結合を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を含んでいても良い。ポリオキシアルキレン骨格を含む場合のオキシアルキレンの繰り返し数は15以下であることが分解物の揮発性の点から好ましい。
ヘミアセタールエステル結合は、加熱によりカルボン酸とその他の生成物に分解するが、その分解温度は一般に、上記式(A)中のR4〜R6が結合している炭素、すなわち、酸素原子と結合する炭素が、第3級炭素原子<第2級炭素原子<第1級炭素原子の置換基の順で高くなる。すなわち熱安定性は、第1級炭素原子が最も高くなる。
一方、ヘミアセタールエステル結合を得るためのビニルエーテル化合物とカルボン酸の反応は、一般に、上記式(A)中のR4〜R6が結合している炭素、すなわち、酸素原子と結合する炭素が、第1級炭素原子<第2級炭素原子<第3級炭素原子の置換基の順で高い反応率を示す。
従って、本発明のように、酸素原子と結合する炭素が第2級炭素原子である2級のビニルエーテル化合物を用いて得られた架橋性樹脂組成物の硬化物は、3級のビニルエーテル化合物を用いたときに比べて架橋性樹脂組成物の硬化物の熱安定性が向上し、且つ、1級のビニルエーテル化合物を用いたときに比べてヘミアセタールエステル結合を得るためのビニルエーテル化合物とカルボン酸の反応率が向上し、ビニルエーテル化合物と共存させた場合の保存安定性が最も高くなる。
すなわち、使用するビニルエーテル化合物を2級のビニルエーテル化合物とすることにより、1級のビニルエーテル化合物の場合と3級のビニルエーテル化合物の場合の間の特性を示し、保存安定性、保護基の脱離性、及びヘミアセタールエステル結合への反応性のバランスの取れた架橋性樹脂組成物の硬化物を得ることができる。
上記式(A)中のR4及びR5は、炭素数が1〜30であることが、分解物の揮発性の点から好ましく、炭素数が1〜15であることが更に好ましい。
上記式(A)中のR4及びR5の構造において特に好ましい組み合わせは、活性水素を含まない構造であって、且つ、直鎖または分岐または環状の飽和炭化水素骨格中にエーテル結合を1つ以上含む構造である。
上記式(A)中のR4及びR5としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、等が挙げられる。
一方、上記式(A)中のR6は水素またはハロゲン原子である。原料入手の容易性からは、上記式(A)のR6は水素であることが好ましい。
また、一般に長鎖分子鎖のものは溶解性に富むため、付加対象となるテトラカルボン酸に充分な溶解性を付与したい場合は、長鎖分子鎖の置換基を導入するとよい。ただし、加熱硬化時に形成したヘミアセタールエステル骨格が乖離するのに必要な170℃以上で揮発除去できる置換基を選定することが望ましい。
上記式(A)の化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル化合物及びこれらに対応する脂肪族ビニルチオエーテル化合物、さらには2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、1−ベンゾフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウムなどの環状ビニルエーテル化合物及びこれらに対応する環状ビニルチオエーテル化合物などが挙げられる。
式(B)中、Xは4価の有機基である。Xはテトラカルボン酸に依存して定まる。
4価の有機基としては、例えば、エチレン、プロパン等の鎖式炭化水素を基本骨格に有する化合物、シクロヘキサン等の環式炭化水素を基本骨格に有する化合物、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素を基本骨格に有する化合物、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン骨格を有する化合物、ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル骨格を有する化合物、ジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン骨格を有する化合物、ビフェニル等のビフェニル骨格を有する化合物などから任意の4個の水素原子を除去した基が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
上記4価の有機基からは、アミノ基と反応性を有する基を含むものを除く。アミノ基と反応性を有する基としては、例えば、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、カルボニル基、アルデヒド基、ハロゲノカルボニル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
テトラカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸(メロファン酸)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド等が挙げられる。
テトラカルボン酸としては、ポリイミド前駆体組成物を乾燥、硬化させて得られるポリイミド樹脂の耐熱性、線熱膨張係数などの観点から、芳香族テトラカルボン酸が好ましく、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸(メロファン酸)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、またはビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルが好ましい。
テトラカルボン酸としては、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、またはビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルが好ましい。
テトラカルボン酸は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に使用する有機溶剤は、汎用有機溶剤、例えば、一般的な工業用有機溶剤であれば特に限定はされないが、硬化時にポリアミンが有するアミノ基との化学反応上の競合を避けるため、1級アミノ基、2級アミノ基を有しないことが望ましい。アミノ基を含有しない工業用有機溶媒としては、例えば、キシレンやトルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチルや酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、t−ブタノールやn−ブタノール等のアルコール類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、N−メチル−2ーピロリドンなどのラクタム類、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられる。また必要に応じて市販の各種シンナー類を混合してもよい。これらを使用する場合は、本発明の架橋性樹脂組成物に対して、5〜90重量%、特に20〜80重量%含むように調製して使用するのが望ましい。
架橋性樹脂組成物の製造工程において使用されるポリアミンは下記一般式(C)で表されるものである。
上記式(C)中、Yはm価の有機基であり、mは2以上の整数である。mの上限値は特に限定されないが、好ましくは2000、より好ましくは600である。Yおよびmは、ポリアミンに依存して定まる。
m価の有機基としては、例えば、エチレン、プロパン等の鎖式炭化水素を基本骨格に有する化合物、シクロヘキサン等の環式炭化水素を基本骨格に有する化合物、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素を基本骨格に有する化合物、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン骨格を有する化合物、ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル骨格を有する化合物、ジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン骨格を有する化合物、ビフェニル等のビフェニル骨格を有する化合物などから任意のm個の水素原子を除去した基などが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
上記m価の有機基からは、カルボキシ基と反応性を有する基を含むものを除く。カルボキシ基と反応性を有する基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ビニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミンとしては、具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス[2−(アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、メラミン、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
ポリアミンとしては、また、上記したポリアミンの芳香環上の水素原子の一部または全部をフッ素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基からなる群から選択される置換基で置換したポリアミンを使用することもできる。
ポリアミンとしては、上記したポリアミンのほか、1分子中に2個以上の第一級アミノ基(−NH2)を有するポリマー(第一級アミノ基で、カルボキシ基と反応性を有する基を含むものを除く)を使用してもよい。このようなポリアミンとしては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド等の主鎖または側鎖が2個以上の第一級アミノ基により修飾されたものが挙げられる。より具体的には、ポリマー側鎖のカルボキシ基とエチレンイミンとの反応性を利用して、アクリル酸系コポリマーの側鎖にポリエチレンイミンをグラフトした第一級アミノ基含有アクリル系ポリマー、テトラカルボン酸二無水物を過剰量のジアミンやトリアミンで伸長したポリアミック酸樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタンプレポリマーを過剰量のジアミンやトリアミンで伸長したポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂を過剰量のジアミンやトリアミンで伸長した変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
上記1分子中に2個以上の第一級アミノ基を有するポリマーからは、第一級アミノ基以外にカルボキシ基と反応性を有する基を含むものを除く。カルボキシ基と反応性を有する基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ビニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミンには、さらに目的に応じ、ポリイミド生成後に、さらなる架橋反応を行う際の反応点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ポリアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入していてもよい。
本発明の架橋性樹脂組成物から得る硬化膜や成形体は、公知の方法により作製することができる。例えば硬化膜は、本発明の架橋性組成物を基材上に塗布し、乾燥させて得ることができる。このときの基材は、テトラカルボン酸骨格の架橋反応に要する200℃以上の加熱条件でも耐熱性を有するものが望ましく、銅やステンレス等の金属、シリコンや金属酸化物、金属窒化物などの無機物、ガラス、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、カーボンファイバーなどの耐熱素材などを使用すればよいが、基材に耐久性が期待できない、基材への皮膜としての密着性を期待しない等の場合は、簡易的な溶媒乾燥後に、基材から剥離の上、改めて架橋反応のための加温処理を施してもよい。
塗布方法についても、グラビアコート、スピンコート、ダイコート、ディップコートなど、公知の手法を用いて行えばよく、インクジェット、スクリーン印刷などパターンを形成する塗布方法を用いてもよい。乾燥は、ホットプレートや熱風乾燥、オーブンなど、適宜、公知の手法を用いればよい。
また、本発明の架橋性樹脂組成物は、ヘミアセタールエステル結合が、約170℃で乖離することから、150〜170℃前後での加熱時間を長く保ち、分離したビニルエーテルの除去工程を設けてもよく、必要に応じ窒素、アルゴンなど不活性ガス雰囲気下、減圧下で硬化を実施しても良い。
本発明の架橋性樹脂組成物は、フィルム、シート、チューブなどの成形材料に応用でき、基材に対するコーティング剤、塗料やインキ用のバインダー、接着剤等の各種用途に用いることができる。
コーティング剤として用いる場合には、本発明の架橋性樹脂組成物に、必要に応じコーティング剤用添加剤を添加し調製すればよい。
塗料やインキ用のバインダーとして用いる場合には、本発明の架橋性樹脂組成物に、必要に応じ塗料やインキ用の添加剤を添加し調製すればよい。
接着剤として用いる場合には、本発明の架橋性樹脂組成物に、必要に応じ接着剤用添加剤を添加し調製すればよい。
そのほか、必要に応じて、顔料、フィラー等の充填剤、着色剤、接着付与剤、離型剤、カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、イオントラッパー、重合禁止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止剤、など公知の添加剤を添加することができる。
実際に多層配線基板に本発明の架橋性樹脂組成物を適用するには、有機溶剤を使用した樹脂素材にあらかじめ架橋性組成物を溶解し共存させておき、素地となる銅箔やプリプレグに塗工、加熱乾燥を行い使用すればよい。これによって、公知の方法により配線基板用途に提供することも可能となる。
以下、本発明を実施例、比較例により詳細に説明する。
(実施例および比較例)
ヘミアセタールエステル化合物の有機溶剤への溶解性を評価するため、溶液を次の方法で調製した。200mlの三角フラスコに、表1に示す量のテトラカルボン酸、酢酸エチル、2−プロパノールを入れ、25℃で撹拌し、テトラカルボン酸を拡散させた。ここに、表1に示す量のビニルエーテルを滴下して、溶媒が揮発しないよう、アルミ箔で覆った上、振とう機で4時間撹拌した溶液の溶解性を目視確認した。
参考例1〜6にて得られたヘミアセタールエステル化合物は、いずれもグラビア塗工で広く採用される酢酸エチル/2−プロパノール系に溶解した。一方、比較例1で得られた化合物は、酢酸エチル/2−プロパノール系に溶解しなかった。

参考例1,5,6にて得られたヘミアセタールエステル化合物は、エバポレータによる簡易的な溶媒除去、常温での真空乾燥を経て、白色固体として分取し、続く硬化膜の機械強度と耐屈曲性の評価に使用した。
実施例7
1LのセパラブルフラスコにNMP447.0gとパラフェニレンジアミン41.10gを仕込み、30℃で2時間攪拌した。その溶液に3,3‘4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物107.98gを加え、そのまま6時間撹拌し得られたポリアミン溶液に参考例1の溶媒除去にて得られたヘミアセタールエステル化合物8.61gを添加したところ、2時間の撹拌混合で完全溶解状態となった。得られた溶液の粘度は92Pa・s/22℃であった。
実施例8
実施例7において、NMPを446.2g、ヘミアセタールエステル化合物として、参考例5で得られたもの9.50gを用いた以外は実施例7と同様の手順でポリアミン溶液を得た。ヘミアセタールエステル化合物添加後、2時間の撹拌混合で完全溶解状態となった。得られた溶液の粘度は77Pa・s/22℃であった。
実施例9
実施例7において、NMPを445.2g、ヘミアセタールエステル化合物として、参考例6で得られたもの10.40gを用いた以外は実施例7と同様の手順でポリアミン溶液を得た。ヘミアセタールエステル化合物添加後、2時間の撹拌混合で完全溶解状態となった。得られた溶液の粘度は98Pa・s/22℃であった。
比較例2
1LのセパラブルフラスコにNMP(N−メチル−2−ピロリドン)450.7gとパラフェニレンジアミン42.27gを仕込み、30℃で2時間攪拌した。その溶液に3,3‘4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物111.04gを加え、そのまま6時間撹拌し、粘度93Pa・s/22℃のポリアミン溶液を得た。
比較例3
1LのセパラブルフラスコにNMP451.3gとパラフェニレンジアミン41.10gを仕込んだ後、30℃で2時間攪拌した溶液に3,3‘4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物107.98gを加え、そのまま6時間撹拌し、ポリアミン溶液を得た。この溶液に3,3‘4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸4.27gを添加したところ、8時間の撹拌混合を経ても溶液内の結晶消失には至らなかった。
実施例7,8,9、比較例2で得られた透明ポリアミン溶液は、それぞれガラス板上に塗布、皮膜を形成し、その皮膜をホットプレート上で、100℃にて30分、150℃にて60分、200℃にて30分加熱乾燥した後、加熱乾燥炉内で350℃にて30分、400℃で20分焼成処理を行い、厚み約60μmの硬化膜とした。得られた硬化膜の機械強度と耐屈曲性を次の条件で評価し、表2の結果を得た。実施例7,8,9の硬化膜は、比較例2よりも機械強度、耐屈曲性が高かった。
比較例3で調製した樹脂溶液は、結晶残渣の影響で塗工の実施が困難であった。
引張試験
試験には島津製作所製オートグラフ(500N)を用いた。前項のとおり作成した試料片を幅10mm×長さ90mmの短冊状に切り取り、つかみ具間50mm、引張り速度10mm/分にて応力−ひずみ曲線として測定値を得た。測定値については、10点反復試行の平均値を採用した。
耐屈曲性試験
得られたポリイミド硬化膜から、10mm×100mmの試験片を10本切り出し、テスター産業製MIT試験機を用いて耐屈曲性試験を行った。試験は、評価開始から硬化膜が破断され評価装置が停止するまでの往復折り曲げ回数を評価値とした。試験に際し、装置内各治具の設定は、荷重300g、屈曲速度175rpm、屈曲角135°、先端R値0.38とした。

Claims (3)

  1. n−ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロ−2H−ピランおよび1−ベンゾフランから選ばれるビニルエーテル化合物とビフェニルテトラカルボン酸とが付加してなるヘミアセタールエステル化合物、フェニレンジアミンとビフェニルテトラカルボン酸無水物とが反応してなるポリアミンならびに有機溶剤を含有することを特徴とする架橋性樹脂組成物。
  2. フェニレンジアミンとビフェニルテトラカルボン酸無水物とが反応して得られるポリアミン溶液を調製し、該ポリアミン溶液に、n−ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロ−2H−ピランおよび1−ベンゾフランから選ばれるビニルエーテル化合物とビフェニルテトラカルボン酸とが付加して得られるヘミアセタールエステル化合物を混合後、加熱処理して、硬化させるイミド基含有樹脂の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法によって得られるイミド基含有樹脂。
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