詳細な説明
本開示は、疾患の処置および防止の領域において使用され有用である単離されたペプチドを記載する。具体的には、本発明は、ヒト疾患における防止効果および治療効果を有する、単離されたペプチドおよび/または合成されたペプチドならびにこれらのペプチドに基づく合成類似体を提供する。例えば、ペプチドは、炎症、自己免疫性組織破壊、例えば、ループスおよび宿主対移植片病における自己免疫性組織破壊、慢性関節リウマチ、嚢胞性繊維症、湿疹、乾癬を処置するかまたは防止するため、II型およびI型糖尿病を処置するため、例えば、糖尿病を有する個体におけるβ細胞量の増大を刺激するため、炎症性腸疾患を処置するため、そして急性放射線被曝後の内毒血症および熱傷患者における内毒血症を処置するかまたは防止するため、使用され得る。
本明細書に記載されたペプチドは、驚異的に有効な抗炎症特性を有し、かつネイティブセルピンタンパク質と比較してはるかに有用な治療的適用のためのサイズを有する、セルピンに基づく、具体的に定義された、短い、単離されたC末端ペプチドまたは合成されたC末端ペプチドならびにそれらのバリアントおよび誘導体である。単離されたペプチドは、図1〜2に示される。図1は、多様なセルピンのC末端断片のアミノ酸配列を示す。各ペプチドには、2列目、ペプチドのすぐ左に、SEQ ID NO:が付けられている。図2は、図1に示されたC末端断片ならびにそれらのバリアントおよび誘導体の短縮を示す。ここでも、各ペプチドには、2列目、ペプチドのすぐ隣に、SEQ ID NO:が付けられている。
本発明者らは、ヒトαアンチトリプシンに由来するSP16(SEQ ID NO:1)が、親タンパク質α-1-アンチトリプシンのものに類似した抗炎症特性および免疫調整特性を示すことを発見した。SP16は、自己免疫疾患、炎症性疾患、および代謝疾患の処置のための画期的なペプチドマスタースイッチであるようである。理論によって拘束されることは望まないが、本発明のペプチドは、親タンパク質α-1-アンチトリプシンの良好な安全性プロファイルに基づく、良好な安全性プロファイルを提供することができる。しかしながら、本発明のペプチドは、親タンパク質よりはるかに小さいため、はるかに作製するのが容易で、従って、はるかに安価である。
本発明者らは、同族セリンプロテアーゼのうちの1種によるセルピン分子の切断から得られたC末端ペプチドが、親完全セルピン分子のプロテアーゼ阻害機能とは異なる固有の生物学的機能を有することを発見した。例えば、AAT、アンチキモトリプシン、およびカリスタチンに由来するC末端ペプチドは、変動する程度の抗炎症効果を有する。本発明者らの研究に基づき、本発明者らは、セルピン分子のライフサイクルからの副産物である、これらの抗炎症性かつ/または免疫調整性のペプチドは、免疫および炎症(ホメオスタシス)に関する「マスタースイッチ」を表すと考える。
さらに、遺伝子組換え細胞株からの本発明者らのデータは、SP16がTLR-4シグナリングではなくTLR-2シグナリング経路を活性化することを示す。SP16との配列類似性を共有しない別の免疫調整性ペプチドDiaPep277が、類似したTLR活性化プロファイルを有するため、このことは興味深い。理論によって拘束されることは望まないが、これらの観察に基づき、本発明者らは、SP16が、サイトカイン分泌をTh2抗炎症性サイトカインプロファイル(IL-4およびIL-10)にするため、TLR2受容体および可能性のあるT細胞受容体を通して作用することを提唱する。自己免疫疾患において、SP16は、制御性T細胞集団の増大を誘導し、それによって、炎症応答を制御応答へシフトさせると予測される。
従って、本発明者らは、セルピン分子のC末端ペプチドに由来する新規の抗炎症性分子、およびセルピンのC末端断片を修飾することによって付加的な抗炎症性分子を開発する新規の手段を提供する。
セルピンの既知の機能は、セリンプロテアーゼ酵素の機能の阻害に関する。少数のセルピンは他の型のタンパク質を阻害し、数種は阻害機能を有していない。
セルピンは、構造的に類似しているが、機能的には多様である、セリンプロテアーゼ阻害物質の大きいファミリー(>1000)である。それらは、哺乳動物において多数の生理学的過程に関与しており、ホメオスタシスにとって重要である。個々のセルピンにおける遺伝子変異は、COPD、血栓症、および肺気腫を含む種々のヒト疾患において明らかにされている。
阻害的役割を有する各セルピンは、1種または複数種のタンパク質の活性の阻止を担っている。セルピンは、標的タンパク質に結合して、さらなる反応の完了を防止する。標的に結合すると、セルピンタンパク質の構造の不可逆性の変化が起こる。ある種の細胞が、セルピンが標的に結合している時、認識し、付着したタンパク質を血流から除去する。
α-1-アンチトリプシン(AAT)は、原型セルピンである。PROLASTIN(登録商標)(Talecris)、ZEMAIRA(登録商標)(Aventis Behring)、およびARALAST(登録商標)(Baxter)は、COPDの処置のためにFDAによって承認されたヒト血清由来AAT製剤である。AATは、現在、新規発症I型糖尿病、移植片対宿主病、および嚢胞性繊維症の処置のため、臨床試験中である。
研究者は、ヒトにおいて少なくとも37種の異なるセルピン遺伝子を同定した。本発明者らの研究に基づき、本発明者らは、セルピンタンパク質の単離されたC末端断片および合成されたC末端断片が、抗炎症性分子の新規の起源を提供すると考える。従って、本発明者らは、少なくとも表AにリストされたセルピンのC末端断片が、抗炎症性分子として有用であると考える。
本発明者らは、下記表Bに示される、単離された修飾型SP16ペプチドまたは合成された修飾型SP16ペプチドが、炎症についてのマウスモデルにおいてTNF-αレベルを低下させるのに特に有効であることを示したアラニンスクリーンをさらに実施した。具体的には、本発明者らは、これらの特定の断片において、最もN末端の3個および最もC末端の2個のアミノ酸の置換が、LPSによって抗原投与された敗血症のマウスモデルにおいて、TNF-αレベルを低下させるペプチドの能力を低下させるようであったため(図10)、それらがペプチドの抗炎症特性において役割を果たすようであることを発見した。従って、本発明の全ての態様のいくつかの局面において、ペプチドは、SP40、SP43、SP46、およびSP49から選択される。それらのペプチド配列は表Bに示される。
表Bは、SP16;SP40;SP43;SP46;およびSP49と命名されたペプチドが、敗血症のマウスモデルへ投与された時に、特に優れた抗炎症効果を提供したことを示す(図10を参照のこと)。
本発明のいくつかの態様および局面に従い、SEQ ID NO:8、10、19〜34、および38〜49に示される配列からなるかまたはから本質的になる単離されたペプチドのいずれかは、炎症を低下させるために使用され得る。SEQ ID NO:8、10、19〜34、および38〜49に示される配列からなるかまたはから本質的になるペプチドのいずれかは、対象におけるTNF-αを低下させるためにも使用され得る。ある種の態様において、血清中のTNF-αの量は、ペプチドを投与する前の血清中のその量と比較して、50%以上または75%以上も低下する。
下記表Cは、LPS抗原投与を受けたマウスにおいてTNF-αレベルを低下させるために使用された付加的な例示的なペプチドを提示する。図10Bも参照すること。図10Bに示されるTNF-αレベルを低下させる能力を有するペプチドも、本発明において、組成物、薬学的組成物、ならびに炎症性状態の処置における使用法のために企図される。
(表C)出現順にそれぞれSEQ ID NO 18〜32、1、および33〜34
SP1(SEQ ID NO:18);SP2(SEQ ID NO:19);SP3(SEQ ID NO:20);SP4(SEQ ID NO:21);SP5(SEQ ID NO:22);SP6(SEQ ID NO:23);SP7(SEQ ID NO:24);SP8(SEQ ID NO:25);SP9(SEQ ID NO:26);SP10(SEQ ID NO:27);SP11(SEQ ID NO:28);SP12(SEQ ID NO:29);SP13(SEQ ID NO:30);SP14(SEQ ID NO:31);SP15(SEQ ID NO:32);SP16(SEQ ID NO:1);SP17(SEQ ID NO:33);SP18(SEQ ID NO:34)。
「から本質的になる」という語句は、本明細書において、指定された材料アミノ酸へペプチドの範囲を定義し、特許請求の範囲に記載された本発明の基本的な新規の特徴、即ち、短い単離されたペプチドまたは合成されたペプチドの抗炎症能力に実質的に影響しない付加的なアミノ酸または変化のみを含むことを意味する。完全セルピンタンパク質の配列を有するペプチドは、その定義から特別に除外され、天然に存在するセルピンタンパク質の37アミノ酸以上のペプチド配列も、その定義から特別に除外される。
理論によって拘束されることは望まないが、本発明者らは、本明細書において製造された抗炎症性ペプチドのための、コアを提供する重要なアミノ酸および可能な修飾も同定した。従って、下記式に包含される単離されたペプチドも、提供され、炎症を低下させるために使用され得る。
ヒトAAT、アンチキモトリプシン、およびカリスタチンは、抗炎症特性を有する要素を含有することが公知である。しかしながら、これらの要素は以前に同定されていない。本発明者らは、例えば、マウス内毒血症モデル(LPS誘導内毒血症)を使用して、強力な抗炎症効果を有するヒトセルピン由来ペプチドの新しいファミリーを本発明において確立した。マウス炎症モデルにおけるペプチドの効力、ペプチドサイズ、および親タンパク質の安全性プロファイルに基づき、AATに基づくペプチド、SP16のようなペプチド、ならびにそれらの断片および誘導体は、ヒトにおける炎症を処置するための新規の改善された分子を提供する。
式Iは、アミノ酸配列
を含むか、から本質的になるか、またはからなるペプチドを含む組成物を提供し、式中、
X1はVまたはLであり;
X2はV、L、またはMであり;
X3はM、I、またはVであり;
Z1は任意のアミノ酸であり;
Z2は任意の2アミノ酸の配列であり;かつ
Z3は任意の5アミノ酸の配列であり;
かつ該ペプチドは37個以下のアミノ酸を含む。
全ての態様のある種の局面において、単離されたペプチドは、ヒト対象へ有効量で投与された時に、単離されたペプチドを投与する前に測定された血清レベルと比較して50%または75%の血清TNF-αレベルの減少を引き起こす。本発明の全ての態様のいくつかの局面において、ペプチドは融合タンパク質をさらに含む。融合タンパク質は、エピトープタグおよび半減期延長物質またはそれらの組み合わせから選択され得る。
全ての態様のある種の局面において、単離されたペプチドは、例えば、A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および/または経口糖負荷試験(OGTT)を使用して測定されるような、糖尿病対象における血糖コントロールの改善を引き起こす。前糖尿病個体は、典型的には、A1C試験で5.7%以上6.5%未満のスコアを示し、糖尿病患者は、この試験で6.5%以上のスコアを示す。FPG試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、100mg/dl以上126mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病患者は126mg/dl以上のスコアを示す。OGTT試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、140以上200mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病個体は200mg/dl以上のスコアを示す。
式IIは、アミノ酸配列
を含むか、から本質的になるか、またはからなる単離されたペプチドを含む組成物を提供すし、式中、
X1はVまたはLであり;
X2はKまたはRであり;
X3はV、L、またはMであり;
X4はM、I、またはVであり;
X5はKまたはQであり;
Z1は任意のアミノ酸であり;
Z2は任意の2アミノ酸の配列であり;
Z3は任意の5アミノ酸の配列であり;
かつ単離されたペプチドは、ヒト対象へ有効量で投与された時に、単離されたペプチドを投与する前の血清レベルと比較して75%の血清TNF-αレベルの減少を引き起こす。
ある種の態様において、前記定義の
のアミノ酸配列を含むペプチドは、多くとも35個、22個、または21個のアミノ酸残基を含む。本発明の全ての態様のある種の局面において、ペプチドは融合タンパク質をさらに含む。具体的には、融合タンパク質は、エピトープタグおよび半減期延長物質またはそれらの組み合わせから選択され得る。
本発明の全ての方法および使用のいくつかの局面において、ペプチドはSP16である。
従って、本発明は、炎症の処置のために使用され得る、アミノ酸配列
からなるかまたはから本質的になる単離されたペプチドも提供する。ある種の態様において、ペプチドは、ヒト対象へ有効量で投与された時に、単離されたペプチドを投与する前の血清TNF-αレベルと比較して50%または75%の血清TNF-αレベルの減少を引き起こす。本発明の全ての態様のいくつかの局面において、単離されたペプチドは融合タンパク質をさらに含む。具体的には、融合タンパク質は、エピトープタグおよび半減期延長物質から選択され得る。他の態様において、単離されたペプチドは、多くとも100個、35個、22個、21個、16個、または9個のアミノ酸を含む。他の態様において、単離されたペプチドは、
のアミノ酸配列を含み、式中、Z1およびZ2は、独立に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、6個、7個、8個、9個、10個、または1〜3個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、もしくは1〜10個の塩基性アミノ酸である。
本発明の全ての態様のいくつかの局面において、単離されたペプチドは、
のアミノ酸配列から本質的になるかまたはからなる。本開示は、
のアミノ酸配列から本質的になるかまたはからなるペプチドを含む組成物も提供する。
ある種の態様において、単離されたペプチドは、
のアミノ酸配列に由来する5個以上の連続アミノ酸を含む。これらのペプチドは、対象における炎症を低下させるかまたはTNF-αレベルを低下させるために使用され得る。ある種の態様において、血清中のTNF-αレベルの量は、単離されたペプチドを投与する前の血清中のTNF-αの量と比較して低下する。ある種の態様において、A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および経口糖負荷試験(OGTT)のような試験を使用して測定されるような血糖コントロールが改善される。糖尿病個体における改善を測定する時に、TNF-αレベルおよび血糖コントロールの両方が使用されてもよい。
いくつかの局面において、炎症の処置の方法は、単離されたペプチドを投与する前、および単離されたペプチドを投与した後のTNF-α血清レベルの分析をさらに含む。TNF-α血清レベルが30%未満減少した場合には、初回の用量と比較して、同一のペプチドの用量で、またはより大きい用量で、投与工程が繰り返されてもよい。
上記のペプチドのいずれかの断片は、サイズに関して変動することができる。例えば、これらの断片は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、または37アミノ酸長であり得る。
上記のペプチドは、一般に、炎症を低下させるために使用される。ペプチドは、抗炎症効果および免疫調整効果を発揮し、さらに、直接または間接的にβ細胞再生を刺激する。ある種の態様において、これらのペプチドは、TNF-αの活性または発現を低下させることによって炎症を低下させる。TNF-αの活性は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%低下し得る。TNF-αの発現は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%低下し得る。治療的に投与される時、ペプチド組成物は、典型的には、薬学的に許容される溶液または担体をさらに含む。
上記のペプチドは、数種の病理を処置するか、防止するか、またはそれらの症状を改善するためにも使用され得る。これらの病理には、炎症、自己免疫性組織破壊、および高血糖が含まれる。上記のペプチドは、糖尿病を有する個体においてβ細胞量の増大を刺激するため、嚢胞性繊維症の処置のため、そして急性放射線被曝後の内毒血症および熱傷患者における内毒血症の処置または防止において、使用され得る。
従って、本開示は、本明細書に記載されたペプチドのいずれか1種またはそれらの組み合わせを、炎症の処置を必要とする対象へ投与する工程を含む、炎症を処置する方法をさらに提供する。いくつかの局面において、対象は、その処置の前にαアンチトリプシンによって処置されていない。いくつかの局面において、方法は、個体が増加した血清TNF-αレベルを有するか否かをアッセイする工程、および対象が増加した血清TNF-αレベルを有する場合にペプチドを対象へ投与し、そうでない場合にはペプチドを対象へ投与しない工程を含む。
本開示は、ペプチドのいずれかまたはそれらの組み合わせを、炎症の防止を必要とする対象へ投与する工程を含む、炎症の発症を防止する方法も可能にする。いくつかの局面において、対象は、その処置の前にαアンチトリプシンによって処置されていない。いくつかの局面において、方法は、個体が増加した血清TNF-αレベルを有するか否かをアッセイする工程、および対象が増加した血清TNF-αレベルを有する場合にペプチドを対象へ投与し、そうでない場合にはペプチドを対象へ投与しない工程を含む。
本開示は、ペプチドのいずれか1種またはそれらの組み合わせを、自己免疫性組織破壊の防止を必要とする対象へ投与する工程を含む、自己免疫性組織破壊を防止する方法も可能にする。いくつかの局面において、対象は、その処置の前にαアンチトリプシンによって処置されていない。いくつかの局面において、方法は、個体が増加した血清TNF-αレベルを有するか否かをアッセイする工程、および対象が増加した血清TNF-αレベルを有する場合にペプチドを対象へ投与し、そうでない場合にはペプチドを対象へ投与しない工程を含む。
本開示は、自己免疫性組織破壊の防止を必要とする対象へ、ペプチドのいずれか1種またはそれらの組み合わせを投与する工程を含む、糖尿病を有する個体における血糖コントロールを改善する方法も可能にする。いくつかの局面において、対象は、その処置の前にαアンチトリプシンによって処置されていない。いくつかの局面において、方法は、例えば、A1C試験、空腹時血糖試験、および/もしくは経口糖負荷試験、または血糖コントロールの機能性を測定するためのその他の任意の公知の試験によって、個体が改善された血糖コントロールを有するか否かをアッセイする工程を含む。
一つの態様において、本開示は、炎症、およびTNF-αレベルが増加する炎症の処置のための、単離されたペプチドまたは合成されたペプチドのいずれか1種または組み合わせの使用を提供する。
全ての態様のある種の局面において、炎症は、1型もしくは2型糖尿病、慢性関節リウマチ、またはCOPDに関する。
本発明は、本発明のペプチドのいずれか1種または組み合わせを使用した、嚢胞性繊維症ならびに急性放射線被曝後の内毒血症および熱傷患者における内毒血症の処置および防止の方法も提供する。
便宜のため、(明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲を含む)本願全体において利用されるある種の用語は、明細書の全体を通して定義される。他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
「野生型」という用語は、通常インビボで存在するような、天然に存在する、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列もしくはその一部分、またはタンパク質配列もしくはその一部分をそれぞれさす。
「変異体」という用語は、生物の遺伝材料の任意の変化、具体的には、野生型ポリヌクレオチド配列の変化(即ち、欠失、置換、付加、もしくは改変)または野生型タンパク質配列の任意の変化をさす。遺伝材料の変化はタンパク質の機能の変化をもたらすとしばしば想定されるが、「変異体」という用語は、その変化がタンパク質の機能を改変する(例えば、増加させる、減少させる、新しい機能を与える)か、それともその変化がタンパク質の機能に対して効果を及ぼさない(例えば、変異または変動がサイレントである)かに関わらず、野生型タンパク質の配列の変化をさす。本願において、変異という用語は、多形と交換可能に本明細書において使用される。
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の単離された重合体をさすために交換可能に使用され、他に定義されない限り、最小の長さに限定されない。ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体等も、生物学的に産生され天然環境から単離されたか、組換えテクノロジーを使用して作製されたか、または典型的に天然に存在するアミノ酸を使用して合成的に作製されたかに関わらず、ペプチド結合によって連結された直鎖状に配置されたアミノ酸から構成される。
いくつかの局面において、ポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在しないアミノ酸を含む「修飾型ポリペプチド」である。いくつかの局面において、ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸と天然に存在しないアミノ酸との組み合わせを含み、いくつかの態様において、ペプチドは、天然に存在しないアミノ酸のみを含む。
本発明の全ての態様のいくつかの局面において、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、タンパク質分解(例えば、フューリンまたはメタロプロテアーゼによる切断)等のような翻訳中および翻訳後の(C末端ペプチド切断)修飾が、単離されたペプチドの抗炎症特性または血糖コントロールを改善する能力に影響しないのであれば、ペプチドまたは修飾型ペプチドは、そのような修飾をさらに含む。
本発明のいくつかの局面において、ポリペプチドは改変される。「改変型ポリペプチド」という用語は、タンパク質が、所望の活性、即ち、抗炎症活性または血糖コントロールを改善するかもしくは高血糖を低下させる能力を維持する限り、ネイティブ配列に対する欠失、付加、および置換(一般に、アラニンのような、当業者に公知である保存的なもの)のような改変を含むペプチドをさす。これらの修飾は、部位特異的変異誘発によるもののような計画的なものであってもよいし、またはタンパク質を産生する遺伝学的に操作された細菌、酵母、もしくは哺乳動物の細胞のような人工宿主の変異、またはPCR増幅もしくはその他の組換えDNA法によるエラーによるもののような偶発的なものであってもよい。ポリペプチドまたはタンパク質は、ペプチド結合によって連結された直鎖状に配置されたアミノ酸から構成されるが、ペプチドとは対照的に、明確なコンフォメーションを有する。タンパク質は、ペプチドとは反対に、一般に、50アミノ酸以上の鎖からなる。
「ペプチド」という用語は、本明細書において使用されるように、典型的には、ペプチド結合によって接合されたアミノ酸の一本鎖から作成されたアミノ酸の配列をさす。一般に、他に定義されない限り、ペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸残基を含有し、約50アミノ酸未満の長さを有する。
「修飾型ペプチド」には、非天然アミノ酸の本発明のペプチドへの組み入れが含まれ得、合成非ネイティブアミノ酸、置換型アミノ酸、または1つもしくは複数のD-アミノ酸のペプチド(またはプロテアーゼ認識配列を除く、組成物の他の成分)への組み入れが、ある種の状況において、望ましい。D-アミノ酸含有ペプチドは、L-アミノ酸含有型と比較して、インビトロまたはインビボで、増加した安定性を示す。従って、より大きいインビボまたは細胞内の安定性が望まれるかまたは必要とされる時、D-アミノ酸が組み入れられたペプチドの構築は、特に有用であり得る。より具体的には、D-ペプチドは、内在性のペプチダーゼおよびプロテアーゼに対して抵抗性であり、それによって、そのような特性が望ましい時、連結された薬物およびコンジュゲートのより良好な経口経上皮送達および経皮送達を提供し、膜浸透性複合体の改善された生物学的利用能を提供し(さらなる考察については下記を参照のこと)、血管内および間質における延長された寿命を提供する。D-異性体ペプチドの使用は、連結された薬物およびその他の積荷分子の経皮送達および経口経上皮送達も増強することができる。さらに、D-ペプチドは、主要組織適合抗原クラスII拘束性のTヘルパー細胞への提示のために効率的にプロセシングされ得ず、従って、完全生物において体液性免疫反応を誘導する可能性がより低い。従って、ペプチドコンジュゲートは、例えば、D-異性体型の細胞透過性ペプチド配列、L-異性体型の切断部位、およびD-異性体型の治療用ペプチドを使用して構築され得る。従って、いくつかの態様において、開示されるペプチドは、Lアミノ酸およびDアミノ酸を含み、多くとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のD-アミノ酸が含まれる。ある種の局面において、ペプチドは10個より多いD-アミノ酸を含み、ある種の局面において、ペプチドの全てのアミノ酸がD-アミノ酸である。
さらなる局面において、ペプチドまたはその断片もしくは誘導体は、「レトロインバーソペプチド」であり得る。「レトロインバーソペプチド」とは、少なくとも一つの位置におけるペプチド結合の方向の逆転、即ち、アミノ酸の側鎖に対するアミノ末端およびカルボキシ末端の逆転を有するペプチドをさす。従って、レトロインバーソ類似体は、ネイティブペプチド配列における側鎖のトポロジーをほぼ維持しつつ、逆転した末端およびペプチド結合の逆転した方向を有する。レトロインバーソペプチドは、L-アミノ酸もしくはD-アミノ酸、またはL-アミノ酸とD-アミノ酸との混合物を含有することができ、最大でアミノ酸の全てがD-異性体であり得る。部分レトロインバーソペプチド類似体とは、配列の一部分のみが、逆転し、鏡像異性体アミノ酸残基に置換されているポリペプチドである。そのような類似体のレトロインバーソ部分は、逆転したアミノ末端およびカルボキシ末端を有するため、レトロインバーソ部分に隣接するアミノ酸残基は、側鎖が類似しているα置換型ジェミナルジアミノメタンおよびマロン酸にそれぞれ置換される。細胞透過性ペプチドのレトロインバーソ型は、天然型と同等の効率で膜を通って移動することが見出されている。レトロインバーソペプチド類似体の合成は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Bonelli,F.et al.,Int J Pept Protein Res.24(6):553-6(1984);Verdini,A and Viscomi,G.C,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1:697-701(1985);および米国特許第6,261,569号に記載されている。部分レトロインバーソペプチド類似体の固相合成法が記載されており(EP 97994-B)、それも、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
「相同性」、「同一性」、および「類似性」という用語は、2種のペプチドの間の、または2種の最適に整列化された核酸分子の間の配列類似性の程度をさす。相同性および同一性は、各々、比較の目的のために整列化され得る各配列における位置を比較することによって決定され得る。例えば、それは、BLASTバージョン2.2.14のようなデフォルト位置における標準的な相同性ソフトウェアの使用に基づく。比較された配列における等価な位置が同一の塩基またはアミノ酸によって占有されている時、分子はその位置において同一であり;等価な部位が類似している(例えば、保存的アミノ酸置換のように、例えば、立体的性質および/または電子的性質が類似している)アミノ酸残基によって占有されている時、分子はその位置において相同である(類似している)と呼ばれ得る。相同性/類似性または同一性の割合としての表現は、比較された配列によって共有される位置における類似しているかまたは同一であるアミノ酸の数の関数をそれぞれさす。「無関係な」または「非相同の」配列は、本明細書に開示される配列と、40%未満の同一性、好ましくは、25%未満の同一性を共有する。
本明細書において使用されるように、「配列同一性」という用語は、2種のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が、比較ウィンドウにおいて(即ち、ヌクレオチド単位または残基単位で)同一であることを意味する。「配列同一率」という用語は、比較ウィンドウにおいて2種の最適に整列化された配列を比較し、両方の配列に同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、もしくはI)または残基が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を与え、一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(即ち、ウィンドウサイズ)によって割り、その結果に100を掛けて、配列同一率を与えることよって計算される。
「実質的同一性」という用語は、本明細書において使用されるように、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸が、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウィンドウ、しばしば、少なくとも24〜48ヌクレオチド(8〜16アミノ酸)位置の比較ウィンドウにおいて、参照配列と比較して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは、少なくとも90%〜95%の配列同一性、より一般的には、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特徴を意味する。ここで、配列同一率は、比較ウィンドウにおいて、参照配列を、参照配列の合計20%以下となる欠失または付加を含み得る配列と比較することによって計算される。参照配列は、より大きい配列のサブセットであってもよい。「類似性」という用語は、ポリペプチドを記載するために使用される時、一方のポリペプチドのアミノ酸配列および保存されたアミノ酸置換物を、第二のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。
本明細書において使用されるように、「相同」または「ホモログ」という用語は、交換可能に使用され、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを記載するために使用される時、2種のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはそれらの指定された配列が、例えば、アライメントのためのデフォルトパラメータ(本明細書を参照のこと)を用いたBLASTバージョン2.2.14を使用して、最適に整列化され比較された時、適切なヌクレオチドの挿入もしくは欠失またはアミノ酸の挿入もしくは欠失を含むが、ヌクレオチドの少なくとも70%、一般的には、約75%〜99%、より好ましくは、ヌクレオチドの少なくとも約98〜99%において同一であることを示す。「ホモログ」または「相同」という用語は、本明細書において使用されるように、構造および/または機能に関する相同性もさす。配列相同性に関して、配列は、少なくとも50%、少なくとも60、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%同一、少なくとも97%同一、または少なくとも99%同一である場合、ホモログである。本発明の遺伝子またはペプチドのホモログの決定は、当業者によって容易に確認され得る。
「実質的に相同」という用語は、少なくとも90%、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である配列をさす。相同配列は、異なる種の同一機能の遺伝子であり得る。本発明の遺伝子またはペプチドのホモログの決定は、当業者によって容易に確認され得る。
配列比較のためには、典型的には、一方の配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する時、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要であれば、サブシーケンス座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメータに基づき、参照配列に対する試験配列の配列同一率を計算する。
比較のための配列の最適な整列化は、例えば、SmithおよびWatermanのローカルホモロジーアルゴリズム(参照によって本明細書に組み入れられる、Adv.Appl.Math.2:482(1981))、NeedlemanおよびWunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(参照によって本明細書に組み入れられる、J.Mol.Biol.48:443-53(1970))、PearsonおよびLipmanの類似性検索(search for similarity)法(参照によって本明細書に組み入れられる、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444-48(1988))、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(例えば、Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査(Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,4th ed.,John Wiley and Sons,New York(1999)を一般に参照のこと)によって実施され得る。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、配列同一率を示すため、プログレッシブペアワイズアライメントを使用して、関連する配列の群からマルチプル配列アライメントを作出する。それは、アライメントを作出するために使用されるクラスター関係を示すツリーまたはデンドログラムもプロットする。PILEUPは、FengおよびDoolittleのプログレッシブアライメント法(参照によって本明細書に組み入れられる、J.Mol.Evol.25:351-60(1987))の単純化を使用する。使用される方法は、HigginsおよびSharp(参照によって本明細書に組み入れられる、Comput.Appl.Biosci.5:151-53(1989))によって記載された方法に類似している。プログラムは、各々最大5,000ヌクレオチドまたは5,000アミノ酸の長さの300もの配列を整列化することができる。マルチプルアライメント法は、2種の整列化された配列のクラスタを作製する、2種の最も類似している配列のペアワイズアライメントから開始する。次いで、このクラスタが、整列化された配列の次に最も関連した配列またはクラスタと整列化される。2種の個々の配列のペアワイズアライメントの単純な拡張によって、配列の2個のクラスタが整列化される。最終的な整列化は、一連のプログレッシブペアワイズアライメントによって達成される。プログラムは、配列比較の領域のための特定の配列およびそれらのアミノ酸座標またはヌクレオチド座標を指定し、プログラムパラメータを指定することによって実行される。例えば、参照配列は、以下のパラメータを使用して、配列同一率関係を決定するため、他の試験配列と比較され得る:デフォルトギャップウェイト(3.00)、デフォルトギャップ長ウェイト(0.10)、および加重末端ギャップ。
配列同一率および配列類似率の決定のために適当なアルゴリズムの別の例は、Altschulら(参照によって本明細書に組み入れられる、J.Mol.Biol.215:403-410(1990))によって記載されているBLASTアルゴリズムである(参照によって本明細書に組み入れられる、Zhang et al.,Nucleic Acid Res.26:3986-90(1998);Altschul et al.,Nucleic Acid Res.25:3389-402(1997)も参照のこと)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationインターネットウェブサイトを通して公に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列内の同一の長さのワードと整列化された時、正の値のしきいスコアTと一致するかまたはそれを満たす、問合せ配列内の長さWのショートワードを同定することによって、高スコア配列対(HSP)をまず同定することを含む。Tは近隣ワードスコアしきい値(Altschul et al.(1990)、前記)と呼ばれる。これらの初期近隣ワードヒットは、それらを含有しているより長いHSPを見出すための探索を開始するためのシードとして機能する。次いで、ワードヒットを、累積アライメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に拡張する。各方向へのワードヒットの拡張は、累積アライメントスコアが最大達成値から量Xだけ減少するか;1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントの蓄積のため、累積スコアがゼロ以下になるか;またはいずれかの配列の末端に到達した時、停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXが、アライメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(参照によって本明細書に組み入れられる、Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-9(1992)を参照のこと)アライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を使用する。
配列同一率の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2種の配列の間の類似性の統計分析も実施する(例えば、参照によって本明細書に組み入れられる、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-77(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の一つの尺度は、2種のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の一致が偶然起こる確率の指標を提供する最小合計確率(P(N))である。例えば、試験アミノ酸と参照アミノ酸との比較において、最小合計確率が、約0.1未満、より典型的には、約0.01未満、最も典型的には、約0.001未満である場合、アミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と類似していると見なされる。
「バリアント」という用語は、本明細書において使用されるように、1つまたは複数のアミノ酸または核酸の欠失、付加、置換、または側鎖修飾によって、ポリペプチドまたは核酸と異なっているが、天然に存在する分子の1種または複数種の特異的な機能または生物学的活性を保持しているペプチドまたは核酸をさす。アミノ酸置換には、あるアミノ酸が、異なる天然に存在するアミノ酸残基または非慣習的なアミノ酸残基と交換される改変が含まれる。そのような置換は、「保存的」なものとして分類され得、その場合、ポリペプチドに含有されているアミノ酸残基が、極性、側鎖機能性、またはサイズのいずれかに関して類似している属性を有する他の天然に存在するアミノ酸と交換される。そのような保存的置換は、当技術分野において周知である。本発明に包含される置換は、ペプチド内に存在するアミノ酸残基が、異なる群からの天然に存在するアミノ酸のような、異なる特性を有するアミノ酸と置換されるか(例えば、電荷を有するかまたは疎水性のアミノ酸のアラニンへの置換)、あるいは天然に存在するアミノ酸が非慣習的なアミノ酸と置換される「非保存的」なものであってもよい。いくつかの態様において、アミノ酸置換は保存的である。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される時、バリアントという用語には、それぞれ参照ポリヌクレオチドまたは参照ポリペプチドと比較して(例えば、野生型ポリヌクレオチドまたは野生型ポリペプチドと比較して)、一次構造、二次構造、または三次構造が変動し得るポリヌクレオチドまたはポリペプチドも包含される。
バリアントは、当技術分野において周知の方法を使用して単離されたかまたは生成された、合成の、組換えの、または化学的に修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドであってもよい。バリアントは、下記のような、保存的または非保存的なアミノ酸変化を含み得る。ポリヌクレオチド変化は、参照配列によってコードされたポリペプチドのアミノ酸の置換、付加、欠失、融合、および短縮をもたらし得る。バリアントは、そのバリアントの基となったペプチド配列に通常存在しないアミノ酸およびその他の分子の挿入および置換、例えば、これに限定されないが、通常ヒトタンパク質に存在しないオルニチンの挿入を含む、アミノ酸の挿入、欠失、または置換も含み得る。「保存的置換」という用語は、ポリペプチドを記載する時、ポリペプチドの活性を実質的に改変しないポリペプチドのアミノ酸組成の変化をさす。例えば、保存的置換とは、あるアミノ酸残基を、類似した化学的特性を有する異なるアミノ酸残基に置換することをさす。保存的アミノ酸置換には、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換、またはトレオニンのセリンへの置換が含まれる。
「保存的アミノ酸置換」は、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換、またはトレオニンのセリンへの置換のような、あるアミノ酸の、類似した構造的特性および/または化学的特性を有する他のアミノ酸への置換に起因する。従って、特定のアミノ酸配列の「保存的置換」とは、ポリペプチド活性にとって重大でないアミノ酸の置換、または重大なアミノ酸の置換であっても、ペプチドの活性(即ち、ペプチドの脳血液関門(BBB)を透過する能力)を低下させないような、類似した特性(例えば、酸性、塩基性、正もしくは負の電荷、極性、または非極性等)を有する他のアミノ酸へのアミノ酸の置換をさす。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当技術分野において周知である。例えば、以下の六つの群は、各々、相互に保存的置換であるアミノ酸を含有している:(1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);(4)アルギニン(R)、リジン(K);(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)(参照によってその全体が組み入れられる、Creighton,Proteins,W.H.Freeman and Company(1984)も参照のこと)。いくつかの態様において、その変化がペプチドの活性を低下させない場合には、単一のアミノ酸または少ない割合のアミノ酸を改変するか、付加するか、または欠失させる、個々の置換、欠失、または付加も、「保存的置換」と見なされ得る。挿入または欠失は、典型的には、約1〜5個のアミノ酸の範囲にある。保存的アミノ酸の選択は、ペプチド内の置換されるアミノ酸の位置、例えば、アミノ酸が、ペプチドの外側にあって、溶媒に曝されているか、それとも内側にあって、溶媒に曝されていないか、に基づき選択され得る。
別の態様において、既存のアミノ酸の位置、即ち、溶媒への曝露(即ち、溶媒に曝されていない内側に位置するアミノ酸と比較して、アミノ酸が、溶媒に曝されているかまたはペプチドもしくはポリペプチドの外表面に存在するか)に基づき、既存のアミノ酸と置換するアミノ酸を選択することが可能である。そのような保存的アミノ酸置換の選択は、例えば、Dordo et al,J.Mol Biol,1999,217,721-739およびTaylor et al,J.Theor.Biol.119(1986);205-218およびS.French and B.Robson,J.Mol.Evol.19(1983)171に開示されているように、当技術分野において周知である。従って、タンパク質またはペプチドの外側にあるアミノ酸(即ち、溶媒に曝されているアミノ酸)のために適当な保存的アミノ酸置換を選択することができ、例えば、限定されないが、以下の置換を使用することができる:YのFへの置換、TのSまたはKへの置換、PのAへの置換、EのDまたはQへの置換、NのDまたはGへの置換、RのKへの置換、GのNまたはAへの置換、TのSまたはKへの置換、DのNまたはEへの置換、IのLまたはVへの置換、FのYへの置換、SのTまたはAへの置換、RのKへの置換、GのNまたはAへの置換、KのRへの置換、AのS、K、またはPへの置換。
別の態様において、タンパク質またはペプチドの内側のアミノ酸のために適当な包含される保存的アミノ酸置換を選択することもでき、例えば、タンパク質またはペプチドの内側のアミノ酸(即ち、アミノ酸は溶媒に曝されていない)のための適当な保存的置換を使用することができ、例えば、これらに限定されないが、以下の保存的置換を使用することができる:YのFへの置換、TのAまたはSへの置換、IのLまたはVへの置換、WのYへの置換、MのLへの置換、NのDへの置換、GのAへの置換、TのAまたはSへの置換、DのNへの置換、IのLまたはVへの置換、FのYまたはLへの置換、SのAまたはTへの置換、およびAのS、G、T、またはVへの置換。いくつかの態様において、非保存的アミノ酸置換も、バリアントという用語に包含される。
「誘導体」という用語は、本明細書において使用されるように、例えば、これらに限定されないが、ユビキチン化、標識、PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、脂質付加、グリコシル化、またはその他の分子の付加のような技術によって、化学的に修飾されたペプチドをさす。分子は、通常は分子の一部分でない付加的な化学モエティを含有している時も、他の分子の「誘導体」である。そのようなモエティは、分子の可溶性、吸収、生物学的半減期等を改善し得る。あるいは、モエティは、分子の毒性を減少させるか、分子の不要な副作用を排除するかまたは軽減することができる。そのような効果を媒介することができるモエティは、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,MackPubl.,Easton,PA(1990)に開示されている。
従って、本発明の全ての態様のある種の局面において、本発明のペプチドには、PEG化ペプチドのようなペプチド誘導体が含まれる。
「機能性」という用語は、「誘導体」または「バリアント」と共に使用される時、機能性誘導体またはその機能性バリアントの基となった実体または分子の生物学的活性、即ち、本明細書に記載されたペプチドの場合、抗炎症活性に実質的に類似している生物学的活性(機能的または構造的)を保有している本発明のペプチドをさす。機能性誘導体という用語には、分子の断片、類似体、または化学的誘導体が含まれるものとする。
「挿入」または「欠失」という用語は、典型的には、約1〜5アミノ酸の範囲にある。可能な変動は、組換えDNA技術を使用して、配列内のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を系統的に作成しながら、ペプチドを合成的に作製することによって、実験的に決定され得る。
「置換」という用語は、ペプチドをさす時、アミノ酸の、異なる実体、例えば、他のアミノ酸またはアミノ酸モエティへの変化をさす。置換は、保存的置換または非保存的置換であり得る。
ペプチドのような分子の「類似体」とは、分子全体またはその断片と機能が類似している分子をさす。「類似体」という用語には、対立遺伝子種および誘導されたバリアントも含まれるものとする。類似体は、典型的には、しばしば保存的置換によって、1個または少数の位置において、天然に存在するペプチドと異なっている。類似体は、典型的には、天然ペプチドとの少なくとも80%または90%の配列同一性を示す。いくつかの類似体は、非天然アミノ酸またはN末端もしくはC末端のアミノ酸の修飾も含む。非天然アミノ酸の例は、例えば、二置換型アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、4-ヒドロキシプロリン、γカルボキシグルタミン酸、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニンであるが、これらに限定されない。断片および類似体は、下記のようなトランスジェニック動物モデルにおいて、予防的または治療的な効力についてスクリーニングされ得る。
「共有結合」とは、共有結合性の化学結合によって直接または間接的に(例えば、リンカーを通して)接合されていることを意味する。本発明の全ての態様のいくつかの局面において、融合ペプチドは共有結合している。
「融合タンパク質」という用語は、本明細書において使用されるように、2種以上のタンパク質の組換えタンパク質をさす。融合タンパク質は、例えば、意図されたタンパク質を全て保有する単一のポリペプチドへ細胞において翻訳され得る単一のオープンリーディングフレームを構成するよう、別のタンパク質をコードする核酸と接合された、1種のタンパク質をコードする核酸配列によって産生され得る。タンパク質の配置の順序は、変動し得る。融合タンパク質は、エピトープタグまたは半減期延長物質を含むことができる。エピトープタグには、ビオチン、FLAGタグ、c-myc、赤血球凝集素、His6(SEQ ID NO:37)、ジゴキシゲニン、FITC、Cy3、Cy5、緑色蛍光タンパク質、V5エピトープタグ、GST、βガラクトシダーゼ、AU1、AU5、およびアビジンが含まれる。半減期延長物質には、Fcドメインおよび血清アルブミンが含まれる。
「対象」および「個体」および「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に開示される薬学的組成物による、予防的処置を含む、処置が提供される動物、例えば、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)をさす。「対象」という用語は、本明細書において使用されるように、ヒトおよび非ヒト動物をさす。「非ヒト動物」という用語には、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(具体的には、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシのような哺乳動物、およびニワトリ、両生類、爬虫類等のような非哺乳動物が含まれる。一つの態様において、対象はヒトである。別の態様において、対象は疾患モデルとしての実験動物または動物代用物である。非ヒト哺乳動物には、非ヒト霊長類(具体的には、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、およびウシのような哺乳動物が含まれる。いくつかの局面において、非ヒト動物は、イヌまたはネコのようなペットである。
対象における疾患もしくは状態を「処置すること」または疾患もしくは状態を有している患者を「処置すること」とは、疾患または状態の少なくとも一つの症状が減少するかまたは安定するよう、個体を、薬学的処置、例えば、薬物の投与に供することをさす。典型的には、ペプチドは、処置として治療的に投与される時、炎症の一つまたは複数の症状を呈する対象へ投与される。
「防止」という用語は、症状の防止、または無症状性状態の時点からの症状発症の減速に関して使用される。典型的には、ペプチドは、防止的に投与される時、炎症の切迫した症状を呈しない対象へ投与される。典型的には、対象は、家族歴、検査結果、遺伝子試験、または生活習慣のため、糖尿病またはCOPDのような炎症を発症するリスクを有している。いくつかの局面において、熱傷被害者または急性放射線被曝を受けた人々は、熱傷または放射線によって引き起こされた組織傷害の結果として内毒血症を発症するリスクを有するため、「防止」は、内毒血症を発症する前の、これらの対象へのペプチドの投与に関する。
「特異的に結合する」または「特異的結合」とは、試料、例えば、本発明のポリペプチドを天然に含んでいる生物学的試料の中の、所望のポリペプチドを認識しそれに結合するが、他の分子は実質的に認識せず結合しない化合物または抗体を意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以下の解離定数を特徴とする。他の態様において、解離定数は、少なくとも約1×10-7M、1×10-8M、または1×10-9Mである。2個の分子が特異的に結合するか否かを決定する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等を含む。
「単離された」とは、ポリペプチドが、体液、例えば、血液のような天然環境から分離されており、ペプチドに天然に付随している成分から分離されていることを意味する。
単離されており「実質的に純粋な」とは、それに天然に付随している成分から分離されており、少なくともある程度まで精製されているポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、それが天然に会合しているタンパク質および天然に存在する有機分子を、少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、含まない時、実質的に純粋である。例えば、実質的に純粋なポリペプチドは、天然起源からの抽出、そのタンパク質を通常は発現しない細胞における組換え核酸の発現、または化学合成によって入手され得る。
レベル、例えば、TNF-αレベルに関して使用される「減少」または「阻害」とは、血液または組織試料、細胞、細胞抽出物、または細胞上清のような生物学的試料の中のタンパク質の量の低下をさす。例えば、そのような減少は、低下したRNAの安定性、転写、もしくは翻訳、増加したタンパク質分解、またはRNA干渉により得る。好ましくは、この減少は、参照値と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%である。
「参照値」という用語は、特許請求の範囲および本願に関して、典型的には、炎症に冒されているかまたは罹患している個体に見出される異常に高いTNF-αレベルをさす。参照値は、典型的には、本発明のペプチドを投与する前の個体におけるTNF-αの量である。血糖コントロールに関する全ての態様のいくつかの局面において、「参照値」という用語は、対象における血糖コントロールの測定において使用される数値をさす。例えば、ヒト対象が前糖尿病に冒されているか否かを決定するために使用され得る多数の試験が存在する。そのような試験には、例えば、A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および経口糖負荷試験(OGTT)が含まれる。これらの方法を使用した場合の参照値の例は、以下の通りである:前糖尿病個体は、典型的には、A1C試験で5.7%以上6.5%未満のスコアを示し、糖尿病患者はこの試験で6.5%以上のスコアを示す。FPG試験を使用した場合には、前糖尿病個体は、典型的には、100mg/dl以上126mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病患者は126mg/dl以上のスコアを示す。OGTT試験を使用した場合には、前糖尿病個体は、典型的には、140以上200mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病個体は200mg/dl以上のスコアを示す。従って、前述の試験を使用して測定が実施される時、正常血糖参照値に当てはまる以下のカットオフ数を使用することが可能である:A1C試験−5.7%未満;FPG試験−100mg/dl未満;OGTT−140mg/dl未満。
遺伝子またはタンパク質の発現または活性の「増加」とは、細胞、細胞抽出物、または細胞上清におけるタンパク質または核酸のレベルまたは活性の正の変化を意味する。例えば、そのような増加は、増加したRNAの安定性、転写、もしくは翻訳、または減少したタンパク質分解により得る。好ましくは、この増加は、少なくとも5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、または約500%以上、対照条件下での発現または活性のレベルを上回るものである。
核酸分子を記載するため、本明細書において使用されるような「組換え」という用語は、その起源または操作のため、それが天然に会合しているポリヌクレオチドの全部または一部分と会合していない、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成、および/または合成の起源のポリヌクレオチドを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して使用されるような組換えという用語は、組換えポリヌクレオチドの発現によって作製されたポリペプチドを意味する。宿主細胞に関して使用されるような組換え体という用語は、組換えポリヌクレオチドが導入されている宿主細胞を意味する。組換えとは、本明細書において、材料(例えば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)に関して、異種の材料(例えば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)の導入によって材料が修飾されていることをさすためにも使用される。
「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子をさし;プラスミドは「ベクター」に包含される部類の一種である。「ベクター」という用語は、典型的には、複製開始点を含有している核酸配列、および宿主細胞における複製および/または維持のために必要なその他の実体をさす。機能的に連結されている遺伝子および/または核酸配列の発現を指図することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、有用な発現ベクターは、しばしば、「プラスミド」の形態をとっている。「プラスミド」とは、ベクター型で、染色体に結合しておらず、典型的には、安定的なもしくは一過性の発現のための実体またはコードされたDNAを含む、環状二本鎖DNAループをさす。他の発現ベクター、例えば、これらに限定されないが、プラスミド、エピソーム、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージ、またはウイルスベクターが、本明細書に開示される方法において使用されてもよく、そのようなベクターは、宿主のゲノムに組み込まれるか、または特定の細胞において自律複製することができる。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであり得る。等価な機能を果たす当業者に公知の発現ベクターの他の型、例えば、自己複製性染色体外ベクターまたは宿主ゲノムへ組み込まれるベクターも使用され得る。好ましいベクターは、自律複製することができ、かつ/または連結された核酸を発現させることができるものである。機能的に連結された遺伝子の発現を指図することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
「ウイルスベクター」という用語は、核酸構築物の細胞への担体としての、ウイルスまたはウイルス関連ベクターの使用をさす。構築物は、細胞への感染または形質導入のため、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、もしくは単純ヘルペスウイルス(HSV)、またはレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターを含むその他のような非複製性欠陥ウイルスゲノムへ組み込まれパッケージングされ得る。ベクターは、細胞のゲノムに取り込まれてもよいしまたは取り込まれなくてもよい。構築物は、所望によって、トランスフェクションのためのウイルス配列を含んでいてもよい。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えば、EPVベクターおよびEBVベクターに取り込まれてもよい。
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1または複数(即ち、少なくとも1)をさすため、本明細書において使用される。例えば、「要素」とは、一つの要素または複数の要素を意味する。実施例または他に示された場合を除き、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表す全ての数が、必ず「約」という用語によって修飾されているものと理解されなければならない。「約」という用語は、割合に関して使用された時、+1%を意味することができる。以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
本発明は、本明細書に記載された特定の方法論、プロトコル、試薬等に限定されず、従って、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は、特定の態様を記載するためのものに過ぎず、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を制限するためのものではない。本発明のその他の特色および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明白になるであろう。
本発明の処置法
本発明の一つの局面は、本明細書に記載されたペプチドおよびそれらの変異体、バリアント、類似体、または誘導体の使用に関する。具体的には、これらの方法は、薬学的に許容される担体の中の本明細書に記載されるペプチドまたはそれらの薬学的に許容される修飾のいずれか1つの、その必要がある対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、即ち、炎症もしくは自己免疫性組織破壊を有する対象、または2型糖尿病を有する個体のような、高血糖もしくは損なわれた血糖コントロールを有しており、β細胞量を保護しかつ/もしくはその増大を刺激する必要がある個体、または嚢胞性繊維症を有すると診断された個体、または熱傷もしくは急性放射線被曝の結果として内毒血症を発症する高いリスクを有する個体への投与に関する。本発明者らは、ループスおよび移植片対宿主病、ぶどう膜炎、湿疹、乾癬、IBD、ならびに新規発症I型糖尿病の処置も提供する。
これらの疾患の臨床的説明は周知である。いくつかの局面において、ヒトは、本発明のペプチドのうちの1種または複数種を投与する前に、まず、疾患の一つまたは複数の症状を有していると診断される。いくつかの態様において、ヒトは、症状のための処置としてAATを以前に投与されていない。
例えば、本発明者らは、II型糖尿病(db/db)、慢性関節リウマチ(CAIA)、および致死性内毒血症を含む、ヒト疾患についての確立されている前臨床マウスモデルにおいて、例えば、SP16ペプチドが症状を有意に改善することを示した。
本発明者らは、例えば、SP16ペプチドが、よく確立されている前臨床安全性研究を使用して、安全に投与され得ることの証拠も提供した。例えば、本発明者らは、FastPatchアッセイを使用して、例えば、SP16ペプチドがhERG活性に影響しないことも示し、ヒト受容体パニング研究(GenSEP Explorer)においてSP16ペプチドについてのヒットを同定することもできなかった。
db/dbマウスは、食欲および代謝を制御する能力を損なう欠陥レプチン受容体を保持している。動物は3〜4週齢で肥満となり、初期にインスリン抵抗性を示し、その後、約4〜8週齢で高血糖を示す。重度高血糖と同時に、膵島のインスリン産生b細胞の枯渇が起こり、10ヶ月齢までに死亡する。
db/db動物は、ヒトにおけるII型糖尿病の異なる期のモデルとなる(図14)。本発明者らは、本発明のペプチドが、疾患の初期および後期の段階で利益を提供することを示した。例えば、本発明者らは、SP16がdb/dbモデルにおいて血糖コントロールを改善することを示した。
血糖値およびHbA1cレベルは、SP16処置が高血糖を低下させ、血糖コントロールを改善することを示した。この研究においては、5週齢前糖尿病db/dbマウスを、10匹の群へ割り当てた。群は、生理食塩水(媒体対照)、週2回の0.6mg/kg SP16、または週2回の25mg/kgロシグリタゾンを受容した。非空腹時血糖値を、血糖値計を使用して、週2回決定した。HbA1cレベルは「A1cNow」モニターを使用して決定された。値は、各群についての平均値を表す。(**)はp<0.01、(*)はp<0.05(媒体対照群との比較)(t検定)を示す。図8Aを参照すること。ヒト糖尿病患者についての正常化を目指す際の目標値が、正常マウスにも当てはまり、従って、ヒトII型糖尿病に直接関連する結果がマウスモデルから確立されることも公知である。
図8Bおよび8Dは、II型糖尿病のdb/dbマウスモデルにおける血清Cペプチドレベル(8B)および島過形成(8D)を要約したグラフを例示している。処置された群において、増加した血清Cペプチドレベルは、改善されたβ細胞機能と一致している。5週齢前糖尿病db/dbマウスを、10匹の群へ割り当てた。群は、生理食塩水(モック)、0.6mg/kg SP16、または25mg/kgロシグリタゾンを週2回受容した。プールされた血清におけるCペプチドレベルを各群について決定した。(*)はp<0.05、(**)はp<0.01(媒体対照との比較)を示す。
本発明者らは、媒体対照と比較した時、SP16が血清CRPレベルを低下させることも示した(図8E)。SP16によって処置されたマウスの群において、減少したCRPレベルは、低下した炎症と一致している。同様に、SP16によって処置されたマウスにおける増加したTGFβレベルは、ペプチド処置による抗炎症性サイトカインプロファイルの促進と一致している(図8F)。本発明者らは、8週齢糖尿病db/dbマウスを8群へ割り当てた。群は、12週間、隔週で、生理食塩水(モック)または0.6mg/kg SP16を受容した。プールされた血清におけるCRPおよびTGFβのレベルを各群について決定した。(*)はp<0.05、(**)はp<0.01(媒体対照群との比較)を示す。
慢性関節リウマチの前臨床CAIAモデルは、Balb/cマウスにおいて関節炎が誘導される短期研究である。0日目に、関節におけるコラーゲンの自己免疫性破壊を開始するコラーゲン抗体カクテル(MD Biosciences)を、動物に静脈内注射する。3日目に、自己免疫反応および炎症を悪化させるため、LPSの腹腔内注射を使用する。このモデルにおけるリードアウトは、足腫脹および関節びらんの組織学的査定である。疾患は、典型的には、7〜10日後に鎮静し始める。
本発明者らは、SP16が前臨床CAIAマウスモデルにおいて効力を示すことを証明した。具体的には、本発明者らは、5匹の動物の群について、疾患のピーク時(7日目)に全ての足についての累積腫脹スコアを測定した。Balb/cマウスに、0日目に、コラーゲン抗体カクテル(MD Biosciences)をIV注射し、3日目にLPSをIP注射した。正常対照動物は、注射を受容せず、無疾患ベースライン対照として役立った。毎日の12μg/日のSP16注射は、デキサメタゾンと等価な保護を提供し、3日に1回の12μgの注射は、媒体対照による処置と比較して、ほぼ50%、炎症を低下させた。例えば、図9を参照すること。
本発明者らは、SP16が、細胞ベースのアッセイにおいてマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP-1)分泌を低下させることも示した。これは、慢性関節リウマチについてのインビボCAIAモデルからの結果を反映している。細胞を、10μMの示されたペプチド、および0ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、または30ng/ml IL1βと共に48時間インキュベートした。IL1β刺激によって、細胞は、関節炎における細胞外マトリックスの破壊に関与しているメタロプロテアーゼMMP1を分泌する。アッセイをトリプリケートに行い、標準偏差と共に平均値をプロットした。SP16は、20ng/ml IL1βで、スクランブル対照ペプチドと比較して、MMP1分泌を低下させた。(*)はp<0.05(スクランブルペプチド対照との比較)を示す。例えば、図15を参照すること。
本発明者らは、急性放射線症候群における敗血症からの保護についての指標として、致死性内毒血症モデルを使用した。リポ多糖(LPS)は、グラム陰性菌から精製される内毒素である。動物において、LPSは、増加した炎症誘導性血清サイトカインレベルおよび高用量での致死によって証拠付けられるような強力な免疫応答を誘導する。急性放射線症候群においては、GI系から漏出するグラム陰性菌が、全身性炎症応答症候群および致死に寄与する。動物モデルにおいて、ペプチドを、T=-2時間、T=0時間、またはT=0.5時間の時点で投与した。LPSを、T=0時間に注射した。本発明者らは、SP16が、致死性内毒血症における生存率を増加させることを示し、従って、ペプチドがヒト熱傷被害者またはヒト急性放射線症候群において処置を提供するであろうと外挿することができた。示されるように、致死性内毒血症の誘導の2時間前、誘導時、および/または誘導の0.5時間後に、10匹の動物の群に注射を与えた。内毒血症を15mg/kg LPSの注射によって誘導した。4時間目、8時間目、24時間目、28時間目、32時間目、48時間目、52時間目、56時間目、および72時間目に生存率をモニタリングした(図7)。
従って、一つの局面において、本発明者らは、本発明のペプチドのうちの少なくとも1種を含む組成物を、その必要があるヒト対象へ投与する工程を含む、II型糖尿病、慢性関節リウマチ、ならびに熱傷および/または放射線によって引き起こされる内毒血症の処置の方法を提供する。いくつかの局面において、ペプチドはSP16を含む。
本発明者らは、本発明のペプチド、例えば、SP16が、Toll様受容体2アゴニストであることを示した。従って、理論によって拘束されることは望まないが、SP16のようなペプチドは、抗炎症性サイトカインプロファイルを促進することによって、抗炎症薬として作用する。また、理論によって拘束されることは望まないが、SP16のようなペプチドは、免疫寛容原性の保護的な制御性T細胞(T-reg)の増大を誘導することによって、免疫モジュレーターとしても作用することができる。さらに、理論によって拘束されることは望まないが、SP16のようなペプチドは、全身性の免疫学的抑制を誘導することなく、自己免疫応答をダウンレギュレートし、従って、全身性免疫抑制薬によって処置される間、処置される個体を感染のリスクに曝す、免疫系を全身性に抑制する現在利用可能な処置の大部分と比較して、自己免疫疾患のための優れた処置を提供することができる。
ペプチドはAATに由来するため、インビボおよびインビトロのモデルにおける結果を考慮すると、AATの治療効果の大部分が、SP16のような本発明のペプチドにも当てはまると予想することは、合理的である。具体的には、AATは、T細胞増殖およびNFκB活性化をモジュレートし;NK標的細胞相互作用を損ない;上皮細胞EGFR/TLR-4シグナリングのセリンプロテアーゼによる活性化を阻害し;TNF-αによって誘導される遺伝子発現およびアポトーシスまたは内皮細胞に関与し;大腸菌による赤血球溶血を防止し、循環血中の好酸球数を減少させ;好中球走化性、NADHPオキシダーゼ、およびANCAシグナリングを阻害し;単球およびマクロファージによるサイトカイン放出およびCD14発現の制御を阻害し、マスト細胞によるヒスタミン放出を阻害し;B細胞増殖およびサイトカイン産生をモジュレートすることが示されている。
従って、いくつかの態様において、本発明者らは、本発明のペプチドのうちの少なくとも1種を含む組成物をヒト対象へ投与する工程を含む、T細胞増殖およびNFκB活性化をモジュレートし;NK標的細胞相互作用を損ない;上皮細胞EGFR/TLR-4シグナリングのセリンプロテアーゼによる活性化を阻害し;TNF-αによって誘導される遺伝子発現およびアポトーシスまたは内皮細胞をモジュレートし;大腸菌による赤血球溶血を防止し、循環血中の好酸球数を減少させ;好中球走化性、NADHPオキシダーゼ、およびANCAシグナリングを阻害し;単球およびマクロファージによるサイトカイン放出およびCD14発現の制御を阻害し、マスト細胞によるヒスタミン放出を阻害し;B細胞増殖およびサイトカイン産生をモジュレートする方法を提供する。いくつかの局面において、ペプチドは、PEG化等のようなペプチドの生物学的利用能および/または貯蔵寿命を増強するために典型的に実施される1つまたは複数の修飾を含んでいてもよいSP16である。
本発明者らは、TLR-2アッセイによる、アラニンスキャンを使用したペプチド最適化アッセイも実施した。データは、遺伝子組換えTLR-2指標細胞株(HEK-BLUE(商標)mTLR2、Invivogen)を用いた実験を使用して入手された。細胞を、20μg/mlの示されたペプチドと共に24時間インキュベートした。TLR2活性化によって、細胞はアルカリホスファターゼを分泌するため、それをアッセイすることができる。アッセイをトリプリケートに行い、平均値をプロットした。ペプチドSP34はスクランブルペプチド対照(黄)であり、PAM(Pam3CSK4;赤)は陽性対照である。例えば、図12を参照のこと。
下記表は、SP16の薬物動態プロファイルについてのアッセイからの結果を提供する。
アッセイの実施において、3匹の正常ラットに5mg/kg SP16を静脈内注射し、注射後の8回の時点でSP16の血漿濃度を確立した。各時点について、SP16レベルをLC/MS/MSによって決定し、その値をCmax(2.5ug/ml)およびT1/2(1.9時間)を計算するために使用した。アッセイはApredica(Boston,MA)によって実行された。従って、本発明者らは、SP16が正常ラットにおいて1.9時間の半減期を有することを決定した。
SP16安全性プロファイルは、hERGデータも含んでいた。hERG FastPatchアッセイは、SP16が25μMまでの用量でhERGを阻害しないことを示した。このデータは、SP16が、ヒトにおける心臓安全性に関する問題点を有しないであろうと予測する。研究はApredica(Boston,MA)によって実行された。
さらに、本発明者らは、ヒト受容体パニングを使用したプロファイルも実施した。GenSEP Explorerパネルは、薬物/化学物質の生物学的活性を査定するために注意深く選択された111種のインビトロアッセイ標的を含有している。アッセイカテゴリには、GPCR、電位開口型イオンチャネル、リガンド開口型イオンチャネル、神経伝達物質トランスポーター、核受容体、およびステロイドが含まれ、ホスホジエステラーゼ、キナーゼ、およびその他の関連酵素を含む生化学的標的の多様なセットも含まれる。研究はCaliper LifeSciencesによって実行された。結果は下記表に要約される。SP16は、111種のヒト受容体に対して効果を及ぼさないようであり、そのことから、SP16が優れたヒト安全性プロファイルを有することが示された。
SP16の安全性プロファイルを考慮すると、本明細書に提供されるその他のペプチド断片も、ヒトへの投与のために安全であろうと合理的に外挿することができる。
一つの態様において、本明細書に記載された処置の方法は、炎症のような状態または機能障害を処置するため、本明細書に開示されるペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を投与する前に、上記状態のいずれか、例えば、炎症から発生するものを有する対象を選択するかまたは診断する工程をさらに含む。そのような選択は、多数の利用可能な方法、例えば、本明細書に記載される症状の査定によって、熟練した当業者によって実施される。例えば、対象に存在する炎症の量を決定するため、対象におけるTNF-αの量を査定することが可能である。糖尿病の場合には、明確な血糖値を使用して、血糖コントロールを測定することができる。本発明の全ての態様のいくつかの局面において、2型糖尿病の発症を防止するため、前糖尿病期を有する個体へ、ペプチドを投与することができる。例えば、ヒト対象が前糖尿病に冒されているか否かを決定するために使用され得る多数の試験が存在する。そのような試験には、例えば、A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および経口糖負荷試験(OGTT)が含まれる。前糖尿病個体は、典型的には、A1C試験で、5.7%以上6.5%未満のスコアを示し、糖尿病患者は、この試験で、6.5%以上のスコアを示す。FPG試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、100mg/dl以上126mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病患者は126mg/dl以上のスコアを示す。OGTT試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、140以上200mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病個体は200mg/dl以上のスコアを示す。従って、本発明に従って糖尿病を防止する方法は、例えば、上記方法のいずれかを使用して、まず前糖尿病を有すると診断された個体へ、ペプチドを投与する工程を含み得る。いくつかの局面において、方法は、対象における2型糖尿病を同定する工程、次いで、本発明の合成ペプチドを対象へ投与する工程を含む。
全ての態様のいくつかの局面において、炎症または処置効力についてのマーカーとしてC反応性タンパク質を使用することが可能である。C反応性タンパク質(CRP)は、体内の何処かにおける組織損傷または感染が強く推測される場合に、炎症を検出するために使用される。CRPは、感染および炎症についての一般的なマーカーとして機能し、急性または慢性の炎症状態について個体を評価するために使用され得る。高いかまたは増加中である血中のCRP量は、炎症の存在を示唆する。重篤な細菌感染を有すると推測される個体において、高いCRPは、その存在を示唆する。慢性炎症状態を有する人々において、高レベルのCRPは、再燃、または処置が有効でなかったことを示唆する。健康なヒトの血清における正常濃度は、一般的には、10mg/L未満であるが、加齢と共にわずかに増加する。より高いレベルは、妊娠後期の女性、軽度の炎症およびウイルス感染(10〜40mg/L)、活動性炎症、細菌感染(40〜200mg/L)、重度の細菌感染および熱傷(>200mg/L)において見出される。いくつかの局面において、CRPが炎症についての診断テストとして使用される時、「参照値」という用語は、CRPの測定値をさす。
いくつかの局面において、対象が嚢胞性繊維症(CF)を有すると診断されている時のように、対象は診断された遺伝子変異を保持する場合がある。CFは、タンパク質嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の遺伝子の変異によって引き起こされる常染色体劣性疾患である。いくつかの局面において、本発明は、対象においてCFを引き起こす変異をまず同定し、次いで、本発明の合成ペプチドを対象へ投与する方法を提供する。現在、1913種の変異が、Cystic Fibrosis Centre at the Hospital for Sick Children(Toronto,Canada)によって維持されている公に利用可能なCFデータベースへ報告されている。しばしば、ΔF508のような最も一般的な変異を分析するための試験が使用される。親の病歴および民族起源は、冒された子供においてスクリーニングすることができる変異の種類についての手掛かりを提供し得る。CFの診断には、塩辛い皮膚、正常な摂食にも関わらず不良の成長および不良の体重増加、濃厚な粘着性の粘液の蓄積、頻繁な胸部感染、ならびに咳または息切れの検出も含まれ得る。男性は、精管の先天的な欠如のために不妊であり得る。新生児における胎便性イレウスによる腸閉塞のように、症状は、しばしば、乳児期および小児期に現われる。子供は成長するにつれて、肺胞内の粘液を放出する訓練をしなければならない。患者の線毛上皮細胞は、異常に粘着性の粘液生成をもたらす変異型タンパク質を有する。
いくつかの局面において、対象が、熱傷を有し、従って、熱傷関連内毒血症を発症する高いリスクを有すると診断され、続いて、本発明のペプチドが、内毒血症の発症を防止するため、対象へ投与され得る。いくつかの局面において、熱傷被害者は、炎症状態、糖尿病、COPD、またはCFを有しておらず、そのための処置を受けていない。いくつかの局面において、対象は、放射線を被爆したことがあり、急性放射線損傷を有し、続いて、本発明のペプチドが、内毒血症の発症を防止するため、対象へ投与され得る。いくつかの局面において、対象は、内毒血症の徴候または症状を有しており、本発明のペプチドは、そのような対象へも投与され得る。電離放射線被曝後、線量が十分に高い場合には、グラム陰性菌が胃腸系から漏出し、内毒血症(敗血症)を引き起こす場合がある。本発明者らは、ペプチドが、マウスモデルにおいて誘導された致死性内毒血症において生存率を改善することを示した。従って、これらの結果に基づき、本発明者らは、類似した状態、即ち、熱傷または急性放射線被爆の結果としての内毒血症または敗血症のリスクを有するヒトにおいても、ペプチドを使用することができると結論付けることができる。
成功したまたは有効な処置は、本明細書に記述される状態または機能障害の一つまたは複数の症状の改善によって証拠付けられる。本明細書に開示されるペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の、その必要がある対象への投与は、本明細書に記載された状態および身体的機能障害(例えば、炎症もしくは自己免疫性組織破壊から発生するもの、または糖尿病を有する個体におけるβ細胞量の増大の刺激によって寛解する状態)の発症を防止するかまたは遅延させると予想される。「防止」という用語は、防止される特定の状態を対象がまだ有していない、即ち、それが認識可能な形態で顕在化していない状況をさすために使用される。防止には、症状の発症および/または重症度の防止または減速が包含される(対象が他の状態の一つまたは複数の症状を既に有している場合を含む)。防止は、一般に、状態または身体的機能障害の発症のリスクを有する対象において実施される。そのような対象は、防止の必要があると言われる。例えば、本発明のペプチドを投与する前のレベルと比較したTNF-αレベルの低下は、成功した処置の証拠になるであろう。血糖コントロールの改善は、処置が効果を及ぼしたことを示すもう一つの手段である。A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および経口糖負荷試験(OGTT)が、前糖尿病試験結果が前糖尿病試験レベルのままであることを示す場合にも、前糖尿病対象における糖尿病の防止が成功したと結論付けることができる。熱傷被害者もしくは急性放射線損傷に曝された対象が、内毒血症を発症しないか、または内毒血症の徴候および症状が軽度である場合にも、ペプチドの投与は、防止において効果を有すると見なされ得る。
一つの態様において、本明細書に記載された防止の方法は、状態または機能障害を防止するため、ペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を対象へ投与する前に、状態、例えば、炎症もしくは自己免疫性組織破壊から発生するもの、または糖尿病を有する個体におけるβ細胞量の増大の刺激によって寛解する状態のリスクを有するそのような対象、または重度熱傷を有しているかもしくは急性放射線損傷に罹患しており、従って、内毒血症に感受性の高い対象、または喫煙者であって、従って、COPD、もしくは本明細書に記載される身体的機能障害に感受性の高い対象を選択する工程をさらに含む。そのような選択は、多数の利用可能な方法によって、熟練した当業者によって実施される。例えば、状態もしくは機能障害を引き起こすことが公知である疾患、または状態もしくは機能障害を引き起こすことが公知の処置もしくは治療のリスクファクターの査定または診断。状態に寄与することが公知である疾患または損傷または関連する家族歴を有する対象は、一般に、増加したリスクを有すると見なされる。
本明細書において使用されるように、「処置する」または「処置」または「処置すること」という用語は、炎症に関連した状態、疾患、または障害の少なくとも一つの効果または症状の低下のような、疾患の発症を防止するかまたは減速させることを目的とした治療的処置の措置をさす。その用語が本明細書において定義されるように、一つまたは複数の症状が改善されるか、またはTNF-α、CRP、血糖、および/もしくはHbA1cのような臨床マーカーのレベルが、状態に依って炎症もしくは不良の血糖コントロールを反映する異常値ではなく、正常値の範囲内にあるかもしくは正常参照値に近い場合、処置は一般に「有効である」。あるいは、疾患の進行が減速し、疾患の症状またはマーカーの呈示が低下する場合、処置は「有効である」。即ち、「処置」には、症状もしくはマーカーの改善、進行の減速、または処置の非存在下で予想されるであろう少なくとも一つの症状の悪化の減速が含まれる。有益なまたは望ましい臨床結果には、一つまたは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患の安定した(即ち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の寛解または寛和が含まれるが、これらに限定されない。「処置」とは、処置を受けない場合に予想される生存と比較した生存の延長も意味することができる。処置の必要があるものには、慢性関節リウマチ、COPD、または1型および2型糖尿病を含む糖尿病に関連した症状のような、炎症の一つまたは複数の症状を有する患者が含まれる。本発明の全ての態様のいくつかの局面において、処置の必要がある対象は、嚢胞性繊維症を有するか、または熱傷もしくは急性放射線を受けており、従って、内毒血症を発症する高いリスクを有する。
TNF-αレベルは、例えば、容易に入手可能な多数の市販のELISAキットを使用して査定され得る。A1C試験、FPG、およびOGTTは、糖尿病および前糖尿病の診断および管理において、血糖コントロールを査定するため、一般的に使用される。
いくつかの局面において、本発明は、記載されるペプチドを、炎症の症状をまだ呈していない個体へ投与することによって、炎症を防止する方法に関する。例えば、ペプチドは、発症の減速または前糖尿病段階からの糖尿病への進展の防止を支援するため、糖尿病を発症する高いリスクを有するか、または前糖尿病(まだ糖尿病とは見なされないが、増加した血糖値によって定義される状態)を有すると診断されているが、まだ糖尿病は有していない個体へ投与され得る。
人々は、2型糖尿病を発症する前に、ほぼ必ず、「前糖尿病」、即ち、正常より高いが、糖尿病と診断されるほど十分には高くない血糖値を有する。最近の研究は、身体、特に、心臓および循環系への何らかの長期的な傷害が、前糖尿病において既に起こっている可能性があることを示した。例えば、ヒト対象が前糖尿病に冒されているか否かを決定するために使用され得る多数の試験が存在する。そのような試験には、例えば、A1C試験、空腹時血糖試験(FPG)、および経口糖負荷試験(OGTT)が含まれる。前糖尿病個体は、A1C試験で、典型的には、5.7%以上6.5%未満のスコアを示し、糖尿病患者は、この試験で、6.5%以上のスコアを示す。FPG試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、100mg/dl以上126mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病患者は126mg/dl以上のスコアを示す。OGTT試験を使用した場合、前糖尿病個体は、典型的には、140以上200mg/dl未満のスコアを示し、糖尿病個体は200mg/dl以上のスコアを示す。従って、本発明に従って糖尿病を防止する方法は、例えば、上記方法のいずれかを使用して、前糖尿病と診断された個体へ、ペプチドを投与する工程を含み得る。
「有効量」という用語は、本明細書において使用されるように、疾患または障害の少なくとも一つまたは複数の症状を減少させるための、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含む薬学的組成物の量をさし、所望の効果を提供するために十分な薬理学的組成物の量に関する。「治療的に有効な量」という語句は、本明細書において使用されるように、医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、障害を処置するために十分な組成物の量を意味する。従って、「治療的に有効な量」という用語は、貧血、炎症またはI型糖尿病の貧血を有する典型的な対象へ投与された時に、炎症または高血糖の増加したレベルに関連した症状または臨床マーカーの低下を治療的にまたは予防的にもたらすために十分な、本明細書に開示される組成物の量をさす。典型的には、炎症マーカー、例えば、TNF-αのような疾患マーカーの20%を超える低下が、有効な処置を示す。いくつかの事例において、本発明のペプチドを投与する前の個体におけるTNF-αレベルの量からの50%を超えるまたは75%を超える低下が、有効な処置を示す。
治療的にまたは予防的に有意な症状の低下は、対照または未処置の対象またはペプチドを投与する前の対象の状態と比較して、測定されたパラメータの、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、またはそれ以上である。測定されたまたは測定可能なパラメータには、疾患の臨床的に検出可能なマーカー、例えば、TNF-αのような生物学的マーカーのレベルの上昇または低下が含まれ、症状の臨床的に認められている尺度または炎症のマーカーに関するパラメータも含まれる。しかしながら、本明細書に開示される組成物および製剤の全一日使用は、正当な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されるであろうことが理解されるであろう。必要とされる正確な量は、処置される疾患の型、対象の性別、年齢、および体重のような因子に依って変動するであろう。
炎症、自己免疫性組織破壊、またはI型糖尿病を有する対象の処置に関して、「治療的に有効な量」という用語は、安全であり、かつ一つまたは複数の症状の発生を遅延させるのに十分であり、かつペプチドを投与する前の炎症マーカーの量または血糖値と比較して、患者における炎症マーカーの量、例えば、TNF-αもしくはCRPの濃度の減少、または血糖値の改善をもたらす量をさす。従って、その量は、炎症、自己免疫性組織破壊、もしくはI型糖尿病を改善するかもしくはそれらの少なくとも一つの症状の減少を引き起こすか、または疾患進行の経過を減速させることができ、例えば、血糖値を安定化することができる。疾患の処置のための有効量は、疾患の型、処置される種、対象の年齢および全身状態、投与のモード等に依る。従って、正確な「有効量」を指定することは不可能である。しかしながら、所定の症例について、適切な「有効量」は、ルーチンの実験のみを使用して、当業者によって決定され得る。処置の効力は、通常の技術を有する当業者によって判断され得、例えば、効力は、炎症(例えば、LPSモデル)、自己免疫性組織破壊(例えば、CAIAモデル)、または糖尿病(例えば、db/dbマウスモデル)の公知の動物モデルにおいて査定され得る。実験動物モデルを使用する時、処置の効力は、炎症、自己免疫性組織破壊、または高血糖の症状の低下が、未処置の動物に対して示された時に証拠付けられる。
本明細書において使用されるように、「投与すること」および「導入すること」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体のような治療剤を、そのような薬剤の所望の部位への送達をもたらす方法または経路によって、対象へ配置することをさす。化合物は、対象において有効な処置をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る。
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体は、当技術分野において公知の、または本明細書に記載された任意の経路、例えば、経口、非経口(例えば、静脈内もしくは筋肉内)、腹腔内、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または眼によって投与され得る。本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体は、任意の用量または投薬計画で投与され得る。インスリン投与のために使用されるもののようなポンプが使用されてもよい。
投薬量
本発明の治療法に関して、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の投与は、特定の投与モード、投薬量、または投薬頻度に限定されるものではなく;本発明は、筋肉内、静脈内、腹腔内、小胞内、関節内、病巣内、皮下、または炎症関連障害を処置するために充分な用量を提供するのに十分なその他の任意の経路を含む、全ての投与モードを企図する。治療薬は、患者へ単回投与されてもよいしまたは複数回投与されてもよい。複数回投与される時、投与は、例えば、1時間、3時間、6時間、8時間、1日、2日、1週間、2週間、または1ヶ月、相互に隔てられ得る。例えば、治療薬は、例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、10週間、15週間、20週間、またはそれ以上にわたり投与され得る。特定の対象について、具体的な投薬計画は、個々の必要性、および組成物を投与するかまたは投与を管理する者の専門的判断に従って、経時的に調整されなければならないことが理解されるべきである。例えば、より低い用量が十分な治療活性を提供しない場合には、治療薬の投薬量を増加させることができる。
主治医が最終的に適切な量および投薬計画を決定するであろうが、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の治療的に有効な量は、0.0001、0.01、0.01、0.1、1、5、10、25、50、100、500、または1,000mg/kgまたはμg/kgの用量で提供され得る。有効用量は、インビトロまたは動物モデルにおける試験バイオアッセイまたは系から得られた用量応答曲線から外挿され得る。
特定の患者または対象のための投薬量は、従来の考慮を使用して(例えば、適切な従来の薬理学的プロトコルによって)当業者によって決定され得る。医師は、例えば、最初に比較的低い用量を処方し、続いて、適切な応答が得られるまで、用量を増加させることができる。患者へ投与される用量は、経時的に患者において有益な治療的応答をもたらすため、または、例えば、適用に依って、症状もしくはその他の適切な活性を低下させるために十分なものである。用量は、特定の製剤の効力、および本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の活性、安定性、または血清半減期、および患者の状態、ならびに処置される患者の体重または体表面積によって決定される。用量のサイズは、特定の対象における特定のベクター、製剤等の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含む治療用組成物は、当技術分野において周知の方法に従って、効力、組織代謝を確認し、投薬量を推定するため、炎症または糖尿病のモデルのような1種または複数種の適切なインビトロおよび/またはインビボの疾患の動物モデルにおいて、任意で、試験される。具体的には、投薬量は、関連するアッセイにおいて、活性、安定性、またはその他の適当な測定値の処置と未処置との比較(例えば、処置された細胞または動物モデルと、未処置の細胞または動物モデルとの比較)によって最初に決定され得る。製剤は、関連する製剤のLD50、および/または本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の副作用の観察によって決定された速度で投与される。投与は、単一のまたは分割された用量を介して達成され得る。
疾患の処置または予防において投与される、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の有効量の決定において、医師は、循環血漿レベル、製剤の毒性、および疾患の進行を評価する。
化合物の効力および毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手法、例えば、ED50(その用量は集団の50%において有効である)およびLD50(その用量は集団の50%に致死である)によって決定され得る。毒性効果と治療効果との用量比率が、治療指数であり、比率LD50/ED50として表され得る。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。
これらの化合物は、経口、例えば、スプレーによるような鼻、直腸、膣内、非経口、大槽内、ならびに粉末、軟膏、またはドロップ(バッカルおよび舌下を含む)によるような局部を含む、小さいペプチドのために使用可能な任意の適当な投与経路によって、治療のため、ヒトおよびその他の動物へ投与され得る。
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、対象にとって毒性であることなく、特定の対象、組成物、および投与モードについて、所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るため、変動し得る。
選択される投薬量レベルは、利用される特定の本発明の化合物またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、利用される特定の化合物の排泄速度、処置の期間、利用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態、ならびに過去の病歴等の医学分野において周知の因子を含む、多様な因子に依るであろう。
薬学的組成物の製剤化−「薬学的に許容される担体」
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の投与は、障害を処置するタンパク質の濃度をもたらす任意の適当な手段によることができる。化合物は、適当な担体物質の中に適切な量で含有され得、一般に、組成物の全重量の1〜95重量%の量で存在する。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内もしくは筋肉内)、腹腔内、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、肌(パッチ)、または眼の投与経路のために適当な剤形で提供され得る。従って、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、懸濁剤、乳剤、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏剤、水薬、浸透圧送達デバイス、坐剤、浣腸、注射可能剤、インプラント、スプレー、またはエアロゾルの形態であり得る。薬学的組成物は、従来の薬学的実務(例えば、本明細書に参照によってその全体が組み入れられる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000,ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照のこと)に従って製剤化され得る。
本発明に係る薬学的組成物は、投与後直ちに、活性化合物を放出するよう製剤化されてもよいし、または投与後の任意の予定された時点もしくは期間で、活性化合物を放出するよう製剤化されてもよい。後者の型の組成物は、放出制御型製剤として一般に公知であり、それには、(i)長期にわたり体内の本発明の薬剤の実質的に一定の濃度を作出する製剤;(ii)予定された遅延時間の後、長期にわたり体内の本発明の薬剤の実質的に一定の濃度を作出する製剤;(iii)体内の薬剤の比較的一定の有効レベルを維持し、同時に、薬剤の血漿レベルの変動(のこぎり波状動態パターン)に関連した望ましくない副作用を最小化することによって、予定された期間、薬剤作用を持続させる製剤;(iv)薬剤の作用を局在化する製剤、例えば、疾患を有する組織もしくは器官またはそれらの近傍への放出制御型組成物の空間的配置;(v)投薬の便利さを達成する製剤、例えば、1週間に1回または2週間に1回の組成物の投与、ならびに(vi)特定の標的細胞型へ治療薬を送達するため、担体または化学的誘導体を使用することによって、薬剤の作用をターゲティングする製剤が含まれる。放出制御型製剤の形態でのタンパク質の投与は、胃腸管における狭い吸収ウィンドウまたは比較的短い生物学的半減期を有する化合物のため、特に好ましい。
放出速度が当該化合物の代謝速度を上回る放出制御を得るため、多数の戦略のいずれかが実行され得る。一例において、放出制御は、例えば、様々な型の放出制御型の組成物およびコーティングを含む、様々な製剤パラメータおよび成分の適切な選択によって得られる。従って、タンパク質は、投与時に、調節された様式でタンパク質を放出する薬学的組成物へ、適切な賦形剤によって製剤化される。例には、単一単位または複数単位の錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、分子錯体、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームが含まれる。
本明細書において使用されるように、「非経口投与」および「非経口投与される」という語句は、本明細書において使用されるように、経腸投与および局部投与以外の投与モード、一般的には、注射によるものを意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されない。「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」、および「末梢投与される」という語句は、本明細書において使用されるように、動物の全身へ入り、従って、代謝等の過程を受けるような、腫瘍への直接投与以外の治療用組成物の投与を意味する。
「薬学的に許容される」という語句は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、またはその他の問題もしくは併発症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために適当であり、合理的な利益/リスク比に相応である、化合物、材料、組成物、および/または剤形をさすために本明細書において利用される。「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書において使用されるように、主薬剤の活性の維持、またはある器官もしくは身体の一部分から他の器官もしくは身体の一部分への主薬剤の運搬もしくは輸送に関与する、液状または固形の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料のような、薬学的に許容される材料、組成物、または媒体を意味する。その用語が本明細書において定義されるように、「薬学的に許容される」ことに加えて、各担体は、製剤の他の成分と適合性であるという意味においても「許容される」ものでなければならない。1種または複数種の薬学的に許容される成分と組み合わせて、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含む薬学的製剤。担体は、固形、半固形、または液状の希釈剤、クリーム、またはカプセルの形態であり得る。これらの薬学的調製物は、本発明のさらなる目的である。一般的に、活性化合物の量は、非経口使用のための調製物においては、調製物の0.1〜95重量%、好ましくは、0.2〜20重量%であり、経口投与のための調製物においては、好ましくは、1〜50重量%である。本発明の方法の臨床的使用のため、本発明の標的送達組成物は、非経口投与、例えば、静脈内;粘膜、例えば、鼻腔内;腸、例えば、経口;局部、例えば、経皮;眼、例えば、角膜乱切、またはその他の投与モードのための薬学的組成物または薬学的製剤へと製剤化される。薬学的組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される成分と組み合わせて、本発明の化合物を含有している。担体は、固形、半固形、もしくは液状の希釈剤、クリーム、またはカプセルの形態であり得る。
「薬学的に許容される担体」という用語には、所望の特定の剤形に適した、全ての溶媒、希釈剤、またはその他の液状媒体、分散または懸濁の助剤、界面活性剤、等張剤、濃化剤または乳化剤、保存剤、固形結合剤、滑沢剤等が含まれるものとする。典型的には、そのような化合物は、ある器官もしくは身体の一部分から、他の器官もしくは身体の一部分へ運搬されるかまたは輸送される。各担体は、製剤の他の成分と適合性であって、患者にとって有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例には、ラクトース、グルコース、およびショ糖のような糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプンのようなデンプン;セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースのようなその機能性誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤ロウのような賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質不含水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに薬学的製剤において利用されるその他の無毒の適合性の物質が含まれる。
「薬学的組成物」という用語は、当技術分野において慣習的であり、哺乳動物、好ましくは、ヒトまたはヒト細胞への投与のために適当である、薬学的に許容される担体のような賦形剤を一般的に含む組成物または製剤をさすために、本明細書において使用される。そのような組成物は、具体的には、経口、眼、非経口、静脈内、動脈内、皮下、鼻腔内、舌下、脊髄内、脳室内等を含むが、これらに限定されない、多数の経路のうちの一つまたは複数を介した投与のために製剤化され得る。さらに、局部投与(例えば、口腔粘膜、呼吸粘膜)および/または経口投与のための組成物は、当技術分野において公知であり、本明細書に記載されるような、溶液、懸濁剤、錠剤、錠剤、カプセル、徐放性製剤、含嗽剤、または粉末を形成することができる。組成物は、安定剤および保存剤も含み得る。担体、安定剤、および佐剤の例については、University of the Sciences in Philadelphia(2005)Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons,21st Ed。
ある種の態様において、本発明の化合物は、1つまたは複数の酸性官能基を含有している場合があり、従って、薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。「薬学的に許容される塩、エステル、アミド、およびプロドラッグ」という用語は、本明細書において使用されるように、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なしに、患者の組織と接触させて使用するために適当であり、合理的な利益/リスク比に相応であり、本発明の化合物の意図された使用のために有効である、本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド、およびプロドラッグをさす。「塩」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒の無機および有機の酸付加塩をさす。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで調製されてもよいし、または遊離塩基型の精製された化合物を適当な有機もしくは無機の酸と別々に反応させ、そのようにして形成された塩を単離することによって調製されてもよい。これらには、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づく陽イオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、これらに限定されない、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミン陽イオンが含まれ得る(例えば、参照によって本明細書に組み入れられる、Berge S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66,1を参照のこと)。
「薬学的に許容されるエステル」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒のエステル化生成物をさす。これらのエステルは、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで調製されてもよいし、または遊離酸型の精製された化合物もしくはヒドロキシルを適当なエステル化剤と別々に反応させることによって調製されてもよい。カルボン酸は、触媒の存在下で、アルコールによる処理を介してエステルへ変換され得る。その用語には、生理学的条件下で溶媒和し得る低級炭化水素基、例えば、アルキルエステル、メチルエステル、エチルエステル、およびプロピルエステルがさらに含まれるものとする。
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される塩またはプロドラッグ」とは、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なしに、対象の組織と接触させて使用するために適当であり、合理的な利益/リスク比に相応であり、意図された使用のために有効である塩またはプロドラッグである。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書に開示される1種または複数種の機能的に活性なペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を与えるためにインビボで急速に変換される化合物をさす。完全な考察は、いずれも参照によって本明細書に組み入れられる、T.Higachi and V.Stella,"Pro-drugs as Novel Delivery Systems,"Vol.14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in:Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されている。本明細書において使用されるように、プロドラッグとは、インビボ投与時に、生物学的、薬学的、または治療的に活性型の化合物へ代謝されるかまたはその他の方法で変換される化合物である。本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体のプロドラッグは、本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の代謝的安定性もしくは輸送特徴を改変するため、副作用もしくは毒性を遮蔽するため、化合物の風味を改善するため、または化合物のその他の特徴もしくは特性を改変するため、設計され得る。本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の薬学的活性型のインビボの薬力学的過程および薬物代謝の知識によって、薬学分野の当業者は、一般に、化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,N.Y.,pages 388-392を参照のこと)。適当なプロドラッグの選択および調製のための従来の手法は、例えば、"Design of Prodrugs,"ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。プロドラッグの適当な例には、対応する酸のメチルエステル、エチルエステル、およびグリセロールエステルが含まれる。
非経口投与用組成物
薬学的組成物は、従来の無毒の薬学的に許容される担体およびアジュバントを含有している剤形、製剤で、または適当な送達デバイスもしくはインプラントを介して、注射、注入、または植込み(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内等)によって非経口投与され得る。そのような組成物の製剤化および調製は、薬学的製剤化の分野の当業者へ周知である。
非経口使用のための組成物は、単位剤形(例えば、単一用量アンプル)で提供されてもよいし、または数回分の用量を含有しているバイアルで提供されてもよく、それらには適当な保存剤が添加され得る(下記参照)。組成物は、溶液、懸濁剤、乳剤、注入器具、もしくは植込みのための送達デバイスの形態であってもよいし、または使用前に水もしくは他の適当な媒体によって再生される乾燥粉末として提示されてもよい。活性薬剤とは別に、組成物は、適当な非経口的に許容される担体および/または賦形剤を含み得る。活性薬剤は、放出制御のため、マイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム等に組み入れられてもよい。さらに、組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、および/または分散剤を含み得る。
上述のように、本発明に係る薬学的組成物は、無菌注射のために適当な形態であり得る。そのような組成物を調製するためには、適当な活性薬剤を非経口的に許容される液状媒体に溶解させるかまたは懸濁させる。利用され得る許容される媒体および溶媒としては、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウム、または適当な緩衝剤の添加によって適当なpHへ調整された水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、デキストロース溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。水性製剤は、1種または複数種の保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、またはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル)も含有し得る。化合物のうちの1種が、水にやや難溶性または難溶性である場合には、溶解増強剤もしくは可溶化剤が添加されてもよいし、または溶媒が10〜60%w/wのプロピレングリコール等を含んでいてもよい。
湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤も、組成物中に存在し得る。
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性の抗酸化剤;アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、αトコフェロール等のような油可溶性の抗酸化剤;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤が含まれる。
本発明の製剤には、静脈内投与、経口投与、鼻投与、局部投与、経皮投与、頬投与、舌下投与、直腸投与、膣投与、および/または非経口投与のために適当なものが含まれる。製剤は、単位剤形で便利に提示され得、薬学分野において周知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を作製するために担体材料と組み合わせられ得る活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量であろう。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体と会合させ、任意で、1種または複数種の補助成分と会合させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液状担体または微粉砕された固形担体または両方と均一に密接に会合させ、次いで、必要であれば、生成物を成型することによって調製される。
経口投与のために適当な本発明の製剤は、予定された量の本発明の化合物を活性成分として各々含有している、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味付きの基剤、一般的には、ショ糖およびアラビアゴムもしくはトラガントを使用)、粉末、顆粒の形態、または水性もしくは非水性の液体の中の溶液もしくは懸濁剤、または水中油型もしくは油中水型の乳剤、またはエリキシルもしくはシロップ、またはトローチ(pastilles)(ゼラチンおよびグリセリンもしくはショ糖およびアラビアゴムのような不活性基剤を使用)、ならびに/または含嗽剤等であり得る。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤(electuary)、またはペーストとして投与されてもよい。
非経口投与のために適当な本発明の薬学的組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される無菌の等張の水性もしくは非水性の溶液、分散剤、懸濁剤、もしくは乳剤、または使用直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散剤へと再生され得る無菌の粉末と組み合わせて、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含み、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは濃化剤を含有していてもよい。
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含む薬学的組成物において利用され得る適当な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)ポリオール、およびそれらの適当な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適度の流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材料の使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持され得る。
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような佐剤も含有することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を含めることによって確実にされ得る。糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を組成物に含めることも、望ましい場合がある。さらに、注射可能な薬学的形態の吸収の長期化は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような、吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。
いくつかの場合には、薬物の効果を長期化するため、皮下注射または筋肉注射からの薬物の吸収を減速させることが望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶性または非結晶性の材料の液状懸濁剤の使用によって達成され得る。その場合、薬物の吸収速度は、溶解速度に依り、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶型に依り得る。あるいは、非経口投与された薬物型の吸収の遅延は、油媒体に薬物を溶解させるかまたは懸濁させることによって達成される。
注射可能デポー型は、乳酸グリコール酸共重合体のような生分解性重合体において主化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成させることによって作成される。薬物と重合体との比率および利用される特定の重合体の性質に依って、薬物放出の速度は調節され得る。その他の生分解性重合体の例には、ポリオルトエステルおよびポリ酸無水物が含まれる。デポー注射可能製剤は、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体のような薬物を、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョンの中に捕捉することによっても調製される。
選択された投与経路に関わらず、適当な水和型で使用され得る本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される剤形へ製剤化される。
放出制御型非経口投与用組成物
放出制御型非経口投与用組成物は、水性懸濁剤、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油溶液、油懸濁剤、または乳剤の形態であり得る。組成物は、生体適合性の担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または注入器具に組み入れられていてもよい。
マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製において使用するための材料は、例えば、ポリガラクチア(polygalactia)ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-L-グルタミン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびそれらの混合物のような生分解性/生体浸食性(bioerodible)重合体である。放出制御型非経口投与用製剤を製剤化する時に使用され得る生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントにおいて使用するための材料は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)または生分解性(例えば、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、もしくはポリオルトエステル)またはそれらの組み合わせであり得る。
経口使用のための固形剤形
経口使用のための製剤には、無毒の薬学的に許容される賦形剤と混合された活性成分を含有している錠剤が含まれ、そのような製剤は、当業者に公知である(例えば、参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許第5,817,307号;第5,824,300号;第5,830,456号;第5,846,526号;第5,882,640号;第5,910,304号;第6,036,949号;第6,036,949号;および第6,372,218号)。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤または増量剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、糖、マンニトール、微晶質セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒剤および崩壊剤(例えば、微晶質セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに滑沢剤、流動促進剤(glidants)、および癒着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、またはタルク)であり得る。その他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、風味剤、可塑剤、保水剤、緩衝剤等であり得る。
錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、または、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって、より長期間にわたり持続的な作用を提供するため、公知の技術によって、任意で、コーティングされていてもよい。コーティングは、予定されたパターンでタンパク質を放出するため(例えば、放出制御型製剤を達成するため)適応していてもよいし、または胃通過後まで薬剤を放出しないよう適応していてもよい(腸溶コーティング)。コーティングは、糖衣、(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、および/もしくはポリビニルピロリドンに基づく)フィルムコーティング、または(例えば、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、および/もしくはエチルセルロースに基づく)腸溶性コーティングであり得る。さらに、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような遅延材料が利用され得る。
固形錠剤組成物は、不要な化学変化(例えば、活性物質の放出前の化学分解)から組成物を保護するために適応したコーティングを含み得る。Encyclopedia of Pharmaceutical Technology(前記)に記載されたのと同様に、コーティングが固形剤形に適用されてもよい。
本発明の組成物は、錠剤内で混合されていてもよいし、または分配されていてもよい。一例において、第一の薬剤の放出の前に、第二の薬剤の実質的な部分が放出されるよう、第一の薬剤が錠剤の内側に含有され、第二の薬剤が外側にある。
経口使用のための製剤は、咀嚼錠として、活性成分が不活性の固形希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微晶質セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリン)と混合される硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとしても提示され得る。粉末および顆粒は、例えば、撹拌機、流動床装置、噴霧乾燥機を使用して、従来の様式で、錠剤およびカプセルに関して上に記述された成分を使用して調製され得る。
経口投与のための本発明の固形剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒等)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸水素カルシウムのような1種または複数種の薬学的に許容される担体、および/または下記のいずれかと混合される:デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸のような増量剤またはエキステンダー;例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、および/またはアラビアゴムのような結合剤;グリセロールのような保水剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤;四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような滑沢剤;ならびに着色剤。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、薬学的組成物は緩衝剤も含み得る。類似した型の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコール等を使用した軟充填ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセルにおいて、増量剤としても利用され得る。
錠剤は、任意で、1種または複数種の補助成分を用いて、圧縮または鋳造(molding)によって作成され得る。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。湿性錠剤(molded tablets)は、不活性の液状希釈剤によって湿らせた粉末状化合物の混合物を、適当な機械において鋳造することによって作成され得る。
錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒のような本発明の薬学的組成物のその他の固形剤形は、任意で、割線を施されてもよく、または腸溶コーティング、および薬学的製剤化の分野において周知のその他のコーティングのような、コーティングおよびシェルによって調製されてもよい。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための変動する割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他の重合体マトリックス、リポソーム、および/またはマイクロスフェアを使用して、その中の活性成分の徐放または放出制御を提供するよう、製剤化されてもよい。それらは、例えば、細菌を保持するフィルタによるろ過によって、または使用直前に滅菌水もしくはその他の何らかの無菌の注射可能な媒体に溶解させられ得る無菌の固形組成物の形態へ殺菌剤を組み入れることによって、滅菌され得る。これらの組成物は、任意で、不透明化剤を含有していてもよく、胃腸管のある部分において、活性成分のみを、または活性成分を優先的に、任意で徐放的に、放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、重合体物質およびロウが含まれる。活性成分は、適宜、上記賦形剤のうちの1種または複数種を含む、マイクロカプセル形態であってもよい。一つの局面において、レゾルビンおよび/もしくはプロテクチンまたはそれらの前駆体もしくは類似体の溶液は、眼新血管新生のための点眼薬として、または耳炎を処置するための点耳薬として投与され得る。
本発明の化合物の経口投与のための液状剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁剤、シロップ、およびエリキシルが含まれる。
活性成分に加えて、液状剤形は、例えば、水またはその他の溶媒のような、当技術分野において一般に使用されている不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(具体的には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物のような可溶化剤および乳化剤を含有していてもよい。不活性希釈剤の他に、経口投与用組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、風味剤、着色剤、芳香剤、ならびに保存剤のような佐剤も含み得る。
懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガント、ならびにそれらの混合物のような懸濁化剤を含有し得る。
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の局部投与または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合され得る。
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、ならびに酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含有し得る。粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含有し得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンのような揮発性非置換型炭化水素のような習慣的な噴霧剤をさらに含有し得る。
経皮パッチは、本発明の化合物(レゾルビンおよび/もしくはプロテクチンならびに/またはそれらの前駆体もしくは類似体)の身体への調節された送達を提供するという追加の利点を有する。そのような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解させるかまたは分散させることによって作成され得る。吸収増強剤も、皮膚を通る化合物の流動を増加させるために使用され得る。そのような流動の速度は、速度調節膜を提供するか、または重合体マトリックスもしくはゲルに活性化合物を分散させることによって調節され得る。別の局面において、生分解性または吸収性の重合体が、ポリペプチド薬剤の放出の長期化を提供し、しばしば、局在化も提供することができる。治療剤についての半減期の増加または放出の長期化の潜在的な利益は、明らかである。放出の局在化の潜在的な利益は、より広範囲の全身投与に比べて、より長い期間にわたりはるかに高い局在化された投薬量または濃度を達成することが可能であり、全身投与で起こり得る可能性のある望ましくない副作用も回避できる可能性がある点である。
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の送達のために適当な生体吸収性の重合体マトリックスは、文献中に広範に記載されている多様な合成生体吸収性重合体から選択され得る。数週間または数ヶ月間にわたりタンパク質を放出し得るそのような合成の生体吸収性の生体適合性の重合体には、例えば、ポリαヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびそれらの共重合体)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのセグメント化(segmented)ブロック共重合体(Polyactive(商標))、チロシン誘導体重合体、またはポリエステルアミドが含まれ得る。薬物送達材料およびインプラントの製造において使用される適当な生体吸収性重合体は、例えば、とりわけ、米国特許第4,968,317号、第5,618,563号、および"Biomedical Polymers"edited by S.W.Shalaby,Carl Hanser Verlag,Munich,Vienna,New York,1994、ならびに上記刊行物の中に引用された多くの参照に記述されている。選択されるべき特定の生体吸収性重合体は、処置される特定の患者に依るであろう。
遺伝子治療
本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体は、遺伝子治療による処置において有効に使用され得る。一般に、例えば、参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許第5,399,346号を参照のこと。一般原理は、患者の標的細胞へポリヌクレオチドを導入することである。
細胞への侵入は、適当なベクターの形態でのポリヌクレオチドの提供、またはリポソームへのポリヌクレオチドの封入のような、当技術分野において公知の適当な技術によって容易にされる。
遺伝子治療の所望のモードは、細胞内部で複製するよう、ポリヌクレオチドを提供して、所望の効果を増強し長期化することである。従って、ポリヌクレオチドは、対応する遺伝子の天然プロモーター、肝細胞、ニューロン細胞、骨細胞、筋細胞、皮膚細胞、関節細胞、もしくは軟骨細胞において本質的に活性の異種プロモーター、または適当な薬剤によって誘導され得る異種プロモーターのような、適当なプロモーターに機能的に連結される。
真核細胞と適合性の発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合性のものが、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を含む融合タンパク質を含む、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の発現のための組換え構築物を作製するため、使用され得る。真核細胞発現ベクターは、当技術分野において周知であり、いくつかの商業的供給元から入手可能である。典型的には、そのようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿入のための便利な制限部位を含有して、提供される。これらのベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、オルソポックス(ワクシニアおよび弱毒化ワクシニア)、トリポックスのようなポックスウイルス、レンチウイルス、マウスモロニー白血病ウイルス等のようなウイルスベクターであり得る。あるいは、プラスミド発現ベクターが使用され得る。
本発明において利用され得るウイルスベクター系には、(a)アデノウイルスベクター;(b)レトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス、例えば、ワクシニアウイルスベクターまたはトリポックス、例えば、カナリアポックスもしくは鶏痘のようなポックスウイルスベクター;および(j)ヘルパー依存性またはガットレス(gutless)アデノウイルスが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、ベクターはアデノウイルスである。複製欠損ウイルスも有利であり得る。
ベクターは、細胞ゲノムに組み込まれてもよいしまたは組み込まれなくてもよい。所望により、構築物は、トランスフェクションのためのウイルス配列を含んでいてもよい。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えば、EPVベクターおよびEBVベクターに組み込まれてもよい。
「機能的に連結された」とは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が制御配列に結合した時に、核酸分子の産物(例えば、タンパク質)の発現および/または分泌を可能にするよう、核酸分子と1種または複数種の制御配列(例えば、プロモーター)とが接続されていることを意味する。換言すると、「機能的に連結された」という用語は、本明細書において使用されるように、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳の終止部位、ならびにその他のシグナル配列のようなヌクレオチドの制御配列との、核酸配列の機能的関係をさす。例えば、核酸配列、典型的には、DNAと、制御配列またはプロモーター領域との機能的連結とは、DNAを特異的に認識し結合し転写するRNAポリメラーゼによって、そのようなDNAの転写が制御配列またはプロモーターから開始されるような、DNAと制御配列またはプロモーターとの間の物理的および機能的関係をさす。発現および/またはインビトロ転写を最適化するため、発現される細胞型における核酸またはDNAの発現のための制御配列を修飾することが必要である場合がある。そのような修飾の望ましさまたは必要性は、経験的に決定され得る。発現すべき機能的に連結されたポリヌクレオチドは、典型的には、適切な開始シグナル(例えば、ATG)を含み、発現調節配列の調節下でのポリヌクレオチド配列の発現、およびポリヌクレオチド配列によってコードされた所望のポリペプチドの産生を可能にするための正確なリーディングフレームを維持している。
本明細書において使用されるように、「プロモーター」または「プロモーター領域」または「プロモーター要素」という用語は、本明細書において定義され、機能的に連結された核酸配列の転写を調節する核酸配列のセグメント、典型的には、DNAもしくはRNAまたはそれらの類似体をさすが、これらに限定されない。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼの認識、結合、および転写開始のために十分な特異的な配列を含む。プロモーター領域のこの部分は、プロモーターと呼ばれる。さらに、プロモーター領域は、RNAポリメラーゼのこの認識、結合、および転写開始の活性をモジュレートする配列を含む。これらの配列は、シス作用性であってもよいし、またはトランス作用性因子に対して応答性であってもよい。プロモーターは、制御の性質に依って、構成性または制御性であり得る。
「制御配列」という用語は、本明細書において「制御要素」と交換可能に使用され、機能的に連結された核酸配列の転写をモジュレートし、従って、転写モジュレーターとして作用する、核酸のセグメント、典型的には、DNAもしくはRNAまたはそれらの類似体をさすが、これらに限定されない。制御配列は、機能的に連結された遺伝子および/または核酸配列の発現をモジュレートする。転写結合ドメインであって、転写タンパク質の核酸結合ドメインおよび/または転写因子、リプレッサー、もしくはエンハンサー等によって認識される核酸配列である「制御要素」を、制御配列は、しばしば含む。典型的な制御配列には、転写プロモーター、誘導性プロモーター、および転写要素、任意の、転写を調節するオペレート(operate)配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および/または翻訳の終結を調節する配列が含まれるが、これらに限定されない。「制御要素」という用語には、機能的に連結されたタンパク質コード配列の転写を誘導するかまたは調節する、開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーターのような核酸配列が含まれる。いくつかの例において、組換え遺伝子の転写は、発現が意図される細胞型における組換え遺伝子の発現を調節するプロモーター配列(またはその他の転写制御配列)の調節下にある。組換え遺伝子は、タンパク質の天然に存在する型の転写を調節する配列と同一である転写制御配列の調節下にあってもよいし、または異なる転写制御配列の調節下にあってもよいことも理解されるであろう。いくつかの事例において、プロモーター配列は、特異的な遺伝子の転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識される。
制御配列は、単一制御配列または多重制御配列または修飾型制御配列またはそれらの断片であり得る。修飾型制御配列とは、何らかの手段、例えば、これらに限定されないが、変異、メチル化等によって、核酸配列が変化しているかまたは修飾されている制御配列である。
本明細書に開示される方法において有用な制御配列は、プロモーター依存性の遺伝子発現を、調節可能にするため、例えば、細胞型特異的、組織特異的、または外部シグナルもしくは薬剤(例えば、エンハンサーもしくはリプレッサー)によって誘導可能にするために十分なプロモーター要素であり;そのような要素は、ネイティブ遺伝子の5'領域もしくは3'領域またはイントロン内に位置し得る。
本明細書において使用されるように、「組織特異的プロモーター」という用語は、組織の特定の細胞においてプロモーターとして役立つ、即ち、プロモーターに機能的に連結された選択された核酸配列の発現を制御し、選択された核酸配列の発現に選択的に影響する核酸配列を意味する。
いくつかの態様において、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の発現を、組織特異的または細胞特異的に指図することが有利であり得る。筋肉特異的発現は、例えば、(参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願WO2007/100722に開示されたような)骨格筋MKCプロモーター、または骨格筋に特異的であるαミオシン重鎖、ミオシン軽鎖2(Shani et al.,Nature,314;283-86,1985)のようなその他の筋肉特異的プロモーター、視床下部において活性の性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Mason et al,Science,234;1372-78,1986)、ならびに平滑筋プロモーターSM22aを使用して達成され得、これらは、全て、当技術分野において一般的に公知である。
「構成的活性型プロモーター」という用語は、所定の細胞において常時発現される遺伝子のプロモーターをさす。哺乳動物細胞において使用するための例示的なプロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)が含まれ、原核細胞において使用するためのものには、バクテリオファージT7プロモーターおよびT3プロモーター等が含まれる。「誘導可能プロモーター」という用語は、所定のシグナル、例えば、薬剤の添加または低下に応答して発現され得る遺伝子のプロモーターをさす。誘導可能プロモーターの非限定的な例は、「tet-on」プロモーターおよび「tet-off」プロモーター、または特定の組織型において制御されるプロモーターである。
具体的な態様において、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする核酸配列を含有しているウイルスベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが使用され得る(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581-599(1993)を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みのために必要な成分を含有している。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、幹細胞を化学療法に対してより抵抗性にするため、造血系幹細胞へmdrl遺伝子を送達するためのレトロウイルスベクターの使用を記載している、Boesen et al.,Biotherapy 6:291-302(1994)に見出され得る。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を例示しているその他の参照は、Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644-651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467-1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129-141(1993);およびGrossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110-114(1993)である。
関心対象の遺伝子を保持する組換えレトロウイルスベクターの作製は、典型的には、二段階で達成される。第一に、(ウイルス末端反復配列(LTR)または内部プロモーター/エンハンサーおよび関連するスプライシングシグナルによって提供され得るプロモーター要素および/またはエンハンサー要素を含む)代謝制御因子の効率的な発現のために必要な配列、ウイルスRNAの感染性ビリオンへの効率的なパッケージングのために必要とされる配列(例えば、パッケージングシグナル(Psi)、tRNAプライマー結合部位(-PBS)、逆転写のために必要とされる3'制御配列(+PBS)、およびウイルスLTR)を含有しているレトロウイルスベクターへ、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする配列を挿入することができる。LTRは、ウイルスゲノムRNA、逆転写酵素、およびインテグラーゼの機能の会合のために必要とされる配列、ならびにウイルス粒子へパッケージングされるゲノムRNAの発現の指図に関与する配列を含有している。
組換えレトロウイルスベクターの構築後、ベクターDNAをパッケージング細胞株へ導入する。パッケージング細胞株は、所望の宿主範囲を有するウイルス粒子へのウイルスゲノムRNAのパッケージングのためトランスで必要とされるウイルスタンパク質(例えば、ウイルスによってコードされたコア(gag)タンパク質、ポリメラーゼ(pol)タンパク質、およびエンベロープ(env)タンパク質)を提供する。宿主範囲は、一部分、ウイルス粒子の表面上に発現されたエンベロープ遺伝子産物の型によって調節される。パッケージング細胞株は、狭宿主性、広宿主性、または異種指向性のエンベロープ遺伝子産物を発現することができる。あるいは、パッケージング細胞株は、ウイルスエンベロープ(env)タンパク質をコードする配列を欠いていてもよい。この場合、パッケージング細胞株は、膜関連タンパク質(例えば、envタンパク質)を欠く粒子へウイルスゲノムをパッケージングすることができる。細胞へのウイルスの侵入を可能にする、膜関連タンパク質を含有しているウイルス粒子を作製するためには、レトロウイルス配列を含有しているパッケージング細胞株を、膜関連タンパク質(例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)のGタンパク質)をコードする配列によってトランスフェクトすることができる。次いで、トランスフェクトされたパッケージング細胞は、トランスフェクトされたパッケージング細胞株によって発現された膜関連タンパク質を含有しているウイルス粒子を産生することができる;他のウイルスのエンベロープタンパク質によってキャプシド形成された、あるウイルスに由来するウイルスゲノムRNAを含有しているこれらのウイルス粒子は、シュードタイプ(pseudotyped)ウイルス粒子であると言われる。
アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸上皮へ遺伝子を送達するための特に魅力的な媒体である。アデノウイルスは、呼吸上皮を天然に感染させ、そこで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスに基づく送達系のその他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞を感染させることができるという利点を有する。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503(1993)は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概説を提示している。Bout et al.,Human Gene Therapy 5:3-10(1994)は、アカゲザルの呼吸上皮へ遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用を証明した。もう1種の好ましいウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば、修飾型ウイルスアンカラ(Modified Virus Ankara)(MVA)またはNYVACのような弱毒化ワクシニア、鶏痘またはカナリアポックスのようなトリポックスのようなポックスウイルスである。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用のその他の事例は、Rosenfeld et al.,Science 252:431-434(1991);Rosenfeld et al.,Cell 68:143-155(1992);Mastrangeli et al.,J.Clin.Invest.91:225-234(1993);PCT公開WO94/12649;およびWang,et al.,Gene Therapy 2:775-783(1995)に見出され得る。別の態様において、参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許第6,143,520号;第5,665,557号;および第5,981,276号に記載されたHIVに基づくベクターのようなレンチウイルスベクターが使用される。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用も企図される(参照によって本明細書に組み入れられる、Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289-300(1993);および米国特許第5,436,146号)。
遺伝子治療の別のアプローチは、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウムによって媒介されるトランスフェクション、またはウイルス感染のような方法による、組織培養物中の細胞への遺伝子の移入を含む。一般的には、移入の方法は、選択可能マーカーの細胞への移入を含む。次いで、移入された遺伝子を取り込み発現している細胞を単離するため、細胞を選択下に置く。次いで、それらの細胞を患者へ送達する。
(参照によって本明細書に組み入れられる)米国特許第5,676,954号は、陽イオン性リポソーム担体と複合体化された遺伝材料のマウスへの注射について報告している。(参照によって本明細書に組み入れられる)米国特許第4,897,355号、第4,946,787号、第5,049,386号、第5,459,127号、第5,589,466号、第5,693,622号、第5,580,859号、第5,703,055号、および国際公開番号:WO94/9469は、細胞および哺乳動物へDNAをトランスフェクトするために使用するための陽イオン性脂質を提供する。(参照によって本明細書に組み入れられる)米国特許第5,589,466号、第5,693,622号、第5,580,859号、第5,703,055号、および国際公開番号:WO94/9469は、DNA-陽イオン脂質複合体を哺乳動物へ送達する方法を提供する。そのような陽イオン性脂質複合体またはナノ粒子は、タンパク質を送達するためにも使用され得る。
遺伝子または核酸配列は、任意の適当な方法によって、標的細胞へ導入され得る。例えば、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の構築物は、トランスフェクション(例えば、リン酸カルシウムまたはDEAEデキストランによって媒介されるトランスフェクション)、リポフェクション、電気穿孔、(例えば、裸のDNAの直接注射による)微量注入、微粒子銃(biolistics)、筋肉関連トランスジーンを含有しているウイルスベクターによる感染、細胞融合、染色体によって媒介される遺伝子移入、微小核体によって媒介される遺伝子移入、核移入等によって、細胞へ導入され得る。本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする核酸は、電気穿孔(例えば、Wong and Neumann,Biochem.Biophys.Res.Commun.107:584-87(1982)を参照のこと)および微粒子銃(例えば、遺伝子銃;Johnston and Tang,Methods Cell Biol.43 Pt A:353-65(1994);Fynan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11478-82(1993))によって、細胞へ導入されてもよい。
ある種の態様において、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする遺伝子または核酸配列は、トランスフェクションまたはリポフェクションによって、標的細胞へ導入され得る。トランスフェクションまたはリポフェクションのために適当な薬剤には、例えば、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、リポフェクチン、リポフェクタミン、DIMRIE C、Superfect、およびEffectin(Qiagen)、unifectin、maxifectin、DOTMA、DOGS(Transfectam;ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)、DOPE(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、DHDEAB(N,N-ジ-n-ヘキサデシル-N,N-ジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、HDEAB(N-n-ヘキサデシル-N,N-ジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、ポリブレン、ポリエチレンイミン(PEI)等が含まれる(例えば、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Banerjee et al.,Med.Chem.42:4292-99(1999);Godbey et al.,Gene Ther.6:1380-88(1999);Kichler et al.,Gene Ther.5:855-60(1998);Birchaa et al.,J.Pharm.183:195-207(1999)を参照のこと)。
タンパク質および/または核酸のような薬剤の治療的送達のための当技術分野において公知の方法、例えば、細胞トランスフェクション、遺伝子治療、送達媒体または薬学的に許容される担体による直接投与、本発明のターゲティング融合ポリペプチドをコードする核酸を含む組換え細胞の提供による間接送達が、ポリペプチド、または本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする核酸の送達のために使用され得る。
様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、化合物を発現することができる組換え細胞、および受容体によって媒介されるエンドシトーシス(例えば、Wu and Wu,1987,J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照のこと)が、公知であり、本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体のような治療用ポリペプチド、および/または本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をコードする核酸を、直接投与するために使用され得る。導入の方法は、経腸また非経口であり得、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、肺、鼻腔内、眼内、硬膜外、および経口の経路を含むが、これらに限定されない。薬剤は、任意の便利な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射、上皮または皮膚粘膜の裏打ち(例えば、口腔粘膜、直腸および腸の粘膜等)による吸収によって投与され得、他の生物学的に活性の薬剤と共に投与されてもよい。投与は全身または局所であり得る。
具体的な態様において、処置を必要とする区域へ局所的に本発明の薬学的組成物を投与することが望ましい場合があり;これは、例えば、これらに限定されないが、手術中の局所注入、局部適用、例えば、注射、カテーテル、またはシアラスティック(sialastic)膜、繊維、もしくは市販の皮膚代用物のような膜を含む多孔性、非多孔性、もしくはゼラチン状の材料であるインプラントによって達成され得る。
別の態様において、活性薬剤は、小胞、具体的には、リポソームで送達され得る(Langer(1990)Science 249:1527-1533を参照のこと)。さらに別の態様において、活性薬剤は、放出制御系で送達され得る。一つの態様において、ポンプが使用されてもよい(Langer(1990)(前記)を参照のこと)。別の態様において、重合体材料が使用されてもよい(Howard et al.(1989)J.Neurosurg.71:105を参照のこと)。
従って、多様な遺伝子移入/遺伝子治療のためのベクターおよび構築物が、当技術分野において公知である。これらのベクターは、本発明の方法において使用するために容易に適応する。機能的に連結されたポリペプチドをコードする核酸セグメントを、選択された発現/送達ベクターへ挿入するための、組換えDNA/分子生物学技術を使用した適切な操作によって、本明細書に記載された方法の実施のための多くの等価なベクターが生成され得る。
他の態様
以上の説明から、様々な使用法および条件へ採用するため、本明細書に記載された本発明に対して変動および修飾を施し得ることは明白であろう。そのような態様も、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
本開示は、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を提供するためのラベル付き容器である製品も企図する。製品は、包装材料、および包装材料内に含有された本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の薬学的薬剤を含む。
製品内の薬学的薬剤は、本明細書に開示される1種または複数種のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体を提供するために適当な本発明の組成物のいずれかであり、開示された指示に従って本明細書に記載される薬学的に許容される形態へ製剤化されている。従って、組成物は、本明細書に開示される1種または複数種のペプチド、もしくその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体、またはそのようなペプチドを発現することができるDNA分子を含み得る。
製品は、単位投薬量または多重投薬量のいずれかで、本明細書に示された状態の処置において使用するために十分な量の薬学的薬剤を含有している。包装材料は、その中に含有された薬学的薬剤の使用を示すラベルを含む。
ラベルは、使用のための説明、および販売のために必要とされ得る関連情報をさらに含み得る。包装材料は、薬学的薬剤の保管のための容器を含み得る。
本明細書において使用されるように、包装材料という用語は、固定手段内に薬学的薬剤を収容することができる、ガラス、プラスチック、ペーパー、ホイル等のような材料をさす。従って、例えば、包装材料は、薬学的薬剤を含む薬学的組成物を含有するために使用される、プラスチックまたはガラスのバイアル、ラミネートエンベロープ等の容器であり得る。
好ましい態様において、包装材料は、製品の内容物、およびその中に含有された薬学的薬剤の使用を記載している有形表示であるラベルを含む。
実施例1 マウス敗血症モデルにおける抗炎症能の試験
精製された細菌リポ多糖(LPS)(グラム陰性菌の菌細胞壁の主成分)による処置の後の炎症性サイトカインを低下させる能力について、ペプチド薬物の能力を試験した。一過性免疫応答および血清炎症性サイトカインの急増を誘導するLPSをマウスに注射する炎症のモデルを使用した。免疫応答は90分後にピークに達し、24時間後に鎮静する。注射の90分後に、LPSによって処置されたマウスと未処置のマウスとの間で、重要な血清炎症マーカーのレベルを比較した。
本発明者らは、hAAT配列(アクセッション番号AAB59371)に基づく18種の異なるペプチドを設計し、従来のFMOC化学を使用してこれらを合成した。インビボの抗炎症能および治療能を査定するため、マウスリポ多糖(LPS)抗原投与モデルにおいて、血清TNF-αレベルをリードアウトとして、ペプチドを試験した。参照としてデキサメタゾンを使用して、3匹の動物の群に、LPS抗原投与の2時間前に0.2mg/kgペプチドをIP注射し、LPS抗原投与の30分後にELISAによって血清TNF-αレベルを決定した。最も高性能のペプチドは、1mg/kgデキサメタゾンによって達成されたものと等価に血清TNF-αレベルを低下させた。次に、このペプチドの短縮バージョンを合成し、マウスLPS抗原投与モデルにおいて試験したところ、17アミノ酸ペプチドSP16が、さらなる特徴決定のためのリード開発候補として出現した。次に、胃腸系から漏出するグラム陰性菌が致死性内毒血症を引き起こし得る、急性放射線被曝後の内毒血症のモデルとなる致死性内毒血症モデルにおいて、SP16を試験した。この実験において、ペプチド処置は、生存を改善した(図7)。インビボの抗炎症効果と一致して、SP16は、インビトロで、THP1細胞におけるLPSによって誘導されるNFκB活性化を低下させる。
マウスに、0.5mg、0.1mg、0.02mg、および0.004mgの各ペプチドを注射した。陽性対照としてのデキサメタゾン、および陰性対照としての媒体によっても、マウスを処置した。2時間後、各マウスにLPSを注射した。LPS注射の90分後に試料を採取した。
結果は図3および4に示される。図3は、各量の各ペプチドを注射されたマウスにおける血液からのTNF-αレベルを示す。図4は、0.004mgの各ペプチドを注射されたマウスについての結果のみを示す。
結果は、本明細書に記載されたペプチドが、TNF-αレベルの減少において有効であり、従って、哺乳動物対象における炎症の低下において有効であることを示す。
実施例2:敗血症マウスモデルにおけるアラニンスクリーニングされたペプチド
SP16ペプチド内の異なるアミノ酸の免疫調整効果についての効果を評価するため、本発明者らはアラニンスクリーンを作出した。アラニンスクリーンにおける異なるペプチドは、表Bに示される。図10は、最末端の3個のアミノ酸がアラニンに交換されたN末端およびC末端のアラニン置換ペプチドが、両方とも、TNF-αレベルを低下させる能力の大部分を失ったことを示す。SP16のアミノ酸4〜14において置換が起こったペプチドは、対照デキサメタゾンと比較して、TNF-αレベルを低下させる能力を維持し、むしろ改善するようであった。LPSマウスモデルは、ヒトにおける敗血症についての確立されたモデルであり、従って、本発明者らは、アミノ酸1〜3および15〜17が存在するペプチドは、内毒血症を発症する高いリスクにヒトを曝す、熱傷または急性放射線のような状態において、敗血症を処置するかまたは防止するため、ヒトにおいて有効に使用され得ると結論付ける。
実施例3 慢性関節リウマチのコラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)モデルにおける抗炎症能の試験
マウス関節炎モデル:CAIAモデルにおいて、炎症および足浮腫を低下させる能力について、ペプチド薬物の能力を試験した。Balb/cマウスに、0日目にコラーゲン抗体カクテルを注射し、3日目にLPSブーストを与えた。LPSブースト後、足腫脹を各足についてスコア化した。図5に示される結果については、(SP16とも呼ばれる)SEQ ID NO:1に示されるペプチドを0.2mg/kg、毎日、動物に投薬した。図6においては、Balb/cマウスに、0日目にコラーゲン抗体カクテル(MD Biosciences)を静脈内注射し、3日目にLPSを腹腔内注射した。0日目、3日目、4日目、5日目、6日目、および7日目に足腫脹を決定した。グラフは、5匹の動物の各実験群の全ての足についての累積スコアを示す。未処置対照は、CAIAカクテルまたはLPSを受容しなかった。モック群は、抗体カクテルおよびLPSブーストの両方を受容した。デキサメタゾンは、1mg/kgで毎日投与された。SEQ ID NO:1に示されるペプチドは、水に溶解させられ、0.6mg/kgで毎日腹腔内投与されるか、または3日目に0.6mg/kgの用量で単回投与された。
図9は、RAの前臨床CAIAマウスモデルにおけるSP16の効力を示す。グラフは、マウスCAIA RAモデルにおける研究からのデータを要約したものである。グラフは、5匹の動物の群についての疾患のピーク時(7日目)の全ての足についての累積腫脹スコアを示す。Balb/cマウスに、0日目にコラーゲン抗体カクテル(MD Biosciences)を静脈内注射し、3日目にLPSを腹腔内注射した。正常対照動物は注射を受容せず、無疾患ベースライン対照として役立った。本発明者らは、毎日のSP16注射が、デキサメタゾンと等価な保護を提供したことを示す。
図5、6、および9に示されるように、ペプチド:VKFNKPFVFLMIEQNTK(SEQ ID NO:1)は、敗血症モデルにおいて有効な抗炎症性かつ/または免疫調整性の薬剤である。
実施例4:SP16はdb/dbモデルII型糖尿病における血糖コントロールを改善する
敗血症およびRAのデータに励まされ、本発明者らは、SP16が、糖毒性および脂肪毒性によって誘導されるβ細胞損失から、II型糖尿病(T2DM)モデルであるdb/dbマウスを保護し、インスリン抵抗性を低下させるであろうという仮説を立てた(25、39)。この仮説を試験するため、db/db動物における研究を設計し実行した。NODマウスにおける研究より(顕性の糖尿病のタイミングおよび同期発症のため)管理するのが容易であり、従って、よりコスト効率が高いため、本発明者らは、T2DMのdb/dbモデルにおいて研究を開始した。
db/dbモデルにおいて、SP16処置は、非空腹時血糖値およびHbA1cレベルの低下、Cペプチドレベルの増加、ならびに耐糖能の改善をもたらした(図8)。非空腹時血糖および耐糖能が媒体対照群より改善されたが、ロシグリタゾン群はSP16群より良好な値を示した。総合すると、これらのデータは、SP16処置が、確立されたII型糖尿病モデルにおける血糖コントロールを改善したことを示す。
これらのデータは、敗血症およびRAの結果と併せると、SP16が、親タンパク質hAATの抗炎症特性および免疫調整特性を保有しており、従って、新たに発見されたペプチド断片のサイズはhATTより有意に小さいため、はるかにコスト効率の高い処置の手段を提供することを示している。
実施例5:SP16ペプチドはToll様受容体2アゴニストである
Toll様受容体2(TLR-2)は、免疫系において役割を果たし、病原体認識および自然免疫の活性化において基本的な役割を果たすToll様受容体(TLR)ファミリーのメンバーである。TLR-2遺伝子は、末梢血白血球に最も豊富に発現しており、NFκBの刺激を介してグラム陽性菌および酵母に対する宿主応答を媒介することが示されている。
遺伝子組換え細胞株からの本発明者らのデータは、SP16が、TLR-2シグナリング経路を活性化し、TLR-4シグナリングは活性化しないことを示す。SP16との配列類似性を共有しないもう1種の免疫調整ペプチドDiaPep277が、類似したTLR活性化プロファイルを有するため、これは興味深い。理論によって拘束されることは望まないが、これらの観察に基づき、本発明者らは、SP16が、サイトカイン分泌をTh2抗炎症性サイトカインプロファイル(IL-4およびIL-10)にするため、TLR2受容体および可能性のあるT細胞受容体を通して作用することを提唱する。自己免疫疾患において、SP16は、制御性T細胞集団の増大を誘導し、それによって、炎症応答を制御応答へシフトさせると予測される。
具体的には、図11は、SP16がTLR2アゴニストであることを示す。遺伝子組換えTLR-2指標細胞株(HEK-BLUE(商標)mTLR2、Invivogen)による実験からのデータを要約しているグラフ。細胞を、示された濃度のペプチドと共に24時間インキュベートした。TLR2活性化によって、細胞は、アルカリホスファターゼを分泌するため、それをアッセイすることができる。アッセイをトリプリケートに行い、標準偏差と共に平均値をプロットした。SP16は、TLR-2リガンド特性を示し、用量依存的にTLR-2シグナリングを誘導した。スクランブル対照ペプチド(SP34)は、TLR2誘導を示さなかった。*p<0.05(スクランブル対照(SP34)との比較)。
図12は、SP16についての構造活性関係分析を示す。遺伝子組換えTLR-2指標細胞株(HEK-Blue(商標)mTLR2、Invivogen)を、SP16ペプチドのアミノ酸残基のアラニンへの置換(「アラニンスキャン」)の影響を試験するために使用した実験からのデータを要約しているグラフ。細胞を、20μg/mlの示されたペプチドと共に24時間インキュベートした。TLR2活性化によって、細胞はアルカリホスファターゼを分泌するため、それをアッセイすることができる。アッセイをトリプリケートに行い、平均値をプロットした。ペプチド配列は以下の図に示される。*p<0.05(スクランブル対照(SP34)との比較)。
図13は、SP16についての構造活性関係分析を示す。TLR-2指標細胞株を使用して試験されたペプチドのアミノ酸配列を示す表(図12のデータを参照のこと)。表の右側は、ペプチドのTLR-2シグナリングに対する影響を要約したものである(*は低い影響を示し、*****は高い影響を示し、N/Aはシグナリングに対して影響を及ぼさなかった)。
データは、最初の3個の残基がTLR-2シグナリングの誘導に寄与することを示唆する。残基1〜3をアラニンに置換した場合(SP37)、変異体ペプチドは、TLR2に対して影響を及ぼさない。しかしながら、個々に置換した時(SP52〜SP54)、ペプチドはTLR-2を刺激する能力を保持する。驚くべきことに、3位のフェニルアラニン残基のより小さいアラニン残基への置換は、SP16と比較して、TLR-2シグナリングを刺激する能力を増強する。