以下、鉄心巻締装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における鉄心巻締装置1の平面図(図1(a))および正面図(図1(b))である。ここでは、説明のため、鉄心巻締装置1に巻締めの対象となる巻鉄心61が巻回された巻枠60が保持されている状態を例に挙げて説明する。この巻枠60の外側面60aには、例えば、巻線(図示せず)が巻回されているものとする。ここでは、巻枠60の開口部(図示せず)に対向する側から見た形状が、角丸矩形形状である場合について説明するが、巻枠60の開口部に対向する側から見た形状は、矩形形状等、どのような形状であっても良い。
鉄心巻締装置1は、第一の巻締手段10、第二の巻締手段20、負荷取得手段30、制御手段40、および鉄心保持手段50を備える。鉄心巻締装置1は、第一の巻締手段10および第二の巻締手段20により巻枠に巻回された巻鉄心の巻締を行なうものである。
鉄心保持手段50は、巻枠60が上面に載置される載置台501と、載置台501の上面に載置された巻枠60の下辺を左右の両側からクランプして、巻枠60を載置台501上に固定するための固定具であるエアシリンダ502とを有している。鉄心保持手段50には、例えば、巻鉄心61の軸心方向が鉛直方向となるよう巻枠60が載置される。巻鉄心61の軸心方向とは、例えば、巻鉄心の仮想の中心軸の軸心方向である。巻鉄心61の軸心方向は、巻鉄心61により巻き込まれた巻枠60の辺、すなわち巻枠60の脚部の長手方向や、変圧器(図示せず)等の巻線の巻鉄心61により巻き込まれた部分の軸心方向と考えてもよい。通常、巻鉄心61の軸心側(例えば、巻鉄心61の巻き込み開始部分)は、巻枠60と接続されている。エアシリンダ502は、例えば、巻枠60を、巻枠60の外側面60aの幅方向が鉄心巻締装置1の左右方向となるようクランプする位置に設置されている。ただし、上記のように巻枠60をクランプすることが可能であれば、エアシリンダ502以外のクランプを行なう固定具、例えば、万力等を用いてもよい。また、上記のような配置となるよう巻枠60を、載置台501に固定可能であれば、クランプを行なう固定具以外の固定具、例えば、巻枠60の下辺の外側部等に設けられたネジ穴等に嵌め込まれる載置台501の上面に設けられた1以上のネジ等の固定具等を用いても良い。巻枠60は載置台501上に直接載置されても良く、他の部材(図示せず)等を介して間接的に載置されても良い。
なお、鉄心保持手段50は、巻鉄心61が巻付けられた巻枠60を保持するものであれば、上記以外の構成であっても良い。ただし、鉄心保持手段50は、巻枠60を巻鉄心61の軸心方向が鉛直方向となるよう保持可能なものであることが好ましい。
なお、ここでは、説明の便宜上、鉄心巻締装置1の正面を、鉄心保持手段50が保持する巻枠60の外側面60aの幅方向に垂直な方向に位置する側であって、巻鉄心61の軸心方向に対して垂直である方向に位置する側のうちの一方の側とする。鉄心保持手段50が保持する巻枠60の外側面60aの幅方向を、鉄心巻締装置1の左右方向とする。
第一の巻締手段10と第二の巻締手段20とは、巻鉄心61の両側となる位置に配置されている。具体的には、第一の巻締手段10と第二の巻締手段20とは、鉄心保持手段50の両側、すなわち左右に配置されている。ここでは、鉄心巻締装置1の正面からみて、第一の巻締手段10が右側に、第二の巻締手段20が左側に、それぞれ配置されている例について説明する。ただし、第一の巻締手段10が左側に、第二の巻締手段20が右側に、配置されていても良い。
第一の巻締手段10は、一対のローラ101、ベルト102、駆動部103、移動部104を備える。一対のローラ101は、ローラ101aとローラ101bとを備えている。駆動部103は、駆動ローラ1031、サーボモータ1032、ガイドローラ1033a、およびガイドローラ1033bを備えている。移動部104は、固定台1040、移動ステージ1041、ボールネジ1042、移動用モータ1043、スライドレール1044および開口部1045を備えている。
一対のローラ101は、軸心周りに回転可能な2つのローラで構成されている。ここでは、一対のローラ101を構成する2つのローラを、ローラ101aおよびローラ101bと呼ぶ。一対のローラ101を構成するローラ101aとローラ101bとは、軸心方向が、鉄心巻締装置1による巻締め対象となる巻鉄心61の軸心方向と平行となるように設けられている。一対のローラ101および巻鉄心61は、軸心方向が、鉛直方向となるように設けることが好ましい。ただし、鉛直方向に対し、誤差程度傾斜していても良い。ローラ101aおよびローラ101bの外周面の幅(すなわち外周面の軸心方向の長さ)は、後述するベルト102を掛け渡すことが可能な幅であれば良く、通常、ベルト102の幅以上の幅である。一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bは、ベルト102が掛け渡し可能な高さに設置されている。ローラ101aおよびローラ101bは、例えば、外周面が略同じ高さとなるように移動ステージ1041に設置されている。ここでの外周面の高さとは、例えば、外周面の幅方向の中心位置の高さであるが、外周面の下辺の高さと考えても良く、外周面の上辺の高さと考えてもよい。かかることは、他のローラ等においても同様である。ローラ101aおよびローラ101bとしては、通常は同じサイズのローラが用いられるが、異なるサイズのローラを用いても良い。一対のローラ101を構成するローラ101aとローラ101bとは、例えば、これらの軸心を有する仮想の平面が、巻鉄心61の側面に対向するように設置される。
一対のローラ101を構成するローラ101aとローラ101bとは、予め決められた距離を隔てて配置される。ローラ101aとローラ101bとの距離は、このローラ101aとローラ101bとに掛け渡されて走行している後述するベルト102の、このローラ101aとローラ101bとに掛け渡された部分(すなわち、ベルト102のローラ101aの外周面に接する部分とローラ101bの外周面に接する部分との間の、ローラ101aとローラ101bとに接していない部分)を、巻鉄心61の外周面に押し当てた際に、ローラ101aまたはローラ101bと、巻鉄心61との間に、ベルト102が挟み込まれないような距離とすることが好ましい。なお、一対のローラ101は、巻鉄心61の巻締めに用いられるローラであるため、巻締ローラと考えてもよい。
一対のローラ101であるローラ101aおよびローラ101bは、例えば、この一対のローラ101を後述する移動部103が移動(例えば、水平移動)させた場合に、この一対のローラ101に掛け渡されるベルト102の、この一対のローラ101に掛け渡された部分が、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の外周面に当接可能となるよう設置される。例えば、ベルト102の幅が巻鉄心61の外周面の幅以下である場合、ローラ101aおよびローラ101bを、これらに掛け渡されるベルト102の下方の側面と上方の側面とが、巻鉄心61の下方の側面と上方の側面との間に位置するよう設置する。また、ベルト102の幅が巻鉄心61の外周面の幅より大きい場合、ローラ101aおよびローラ101bを、これらに掛け渡されるベルト102の下方の側面と上方の側面との間に、巻鉄心61の下方の側面と上方の側面とが位置するよう設置してもよい。本実施の形態においては、一対のローラ101であるローラ101aおよびローラ101bに掛け渡されるベルト102の幅方向の中心と、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の外周面の幅方向の中心とが略同じ高さとなるように、一対のローラ101が設定されている場合について説明する。
なお、載置台501として、上面の高さを変更可能な台等を用いることにより、鉄心保持手段50が保持する巻鉄心61の高さを可変として、一対のローラ101を後述する移動部103が移動(例えば、水平移動)させた場合に、ベルト102の、この一対のローラ101に掛け渡された部分が、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の外周面に当接可能となるように、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の高さ位置を変更できるようにしてもよい。例えば、一対のローラ101であるローラ101aおよびローラ101bに掛け渡されるベルト102の幅方向の中心と、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の外周面の幅方向の中心とが略同じ高さとなるように、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の高さ位置を変更できるようにしてもよい。このようにすることで、外周面の幅が様々なサイズの巻鉄心61の締付を適切に行なうことが可能となる。なお、鉄心保持手段50に保持される巻鉄心61の高さを可変とする代り、その他の部分の高さを可変としても良い。
一対のローラ101であるローラ101aとローラ101bとには、ベルト102が掛け渡されている。ベルト102の一対のローラ101に掛け渡された部分を、以下、当接部1021と呼ぶ。なお、走行中のベルト102の当接部1021は、走行中におけるベルト102の一対のローラ101に掛け渡された状態となっている部分等と考えてもよい。ここでは、ベルト102は、更に、駆動部103が有する駆動ローラ1031にも掛けられている。駆動ローラ1031は、軸心方向が、一対のローラ101の軸心方向と平行となる設置されたローラである。また、ベルト102のローラ101aと駆動ローラ1031との間、およびローラ101bと駆動ローラ1031との間には、上方からみて、ローラ101aとローラ101bと駆動ローラ1031とで構成される三角形の内側方向にベルト102が曲がるようにガイドローラ1033aおよびガイドローラ1033bがそれぞれ設置されている。ガイドローラ1033aおよびガイドローラ1033bは、ベルト102のテンション等を調整するために設けられている。ガイドローラ1033aおよびガイドローラ1033bは、軸心の周りに回転可能なローラであって、軸心方向が、一対のローラ101の軸心方向と平行となる設置されたローラである。
ベルト102は、例えば、帯状のベルトである。ベルト102の材質は、クロロブレンゴム等のゴムや、樹脂等の、巻鉄心61の外周面にベルト102の表面を当接させた際に、巻鉄心の外周面を、ベルト102の走行方向に引っ張ることが可能な十分な摩擦が外周面との間に得られる材質であることが好ましい。なお、ベルト102は、ローラ101a、ローラ101b等の外周面の幅方向に並列となるよう互いに平行に掛けられた2以上のベルトで構成されていても良い。この2以上のベルトのそれぞれは、紐状のベルトであってもよい。
ベルト102の幅は、通常、このベルト102が掛けられる一対のローラ101等のローラの外周面の幅以下の幅を有している。ベルト102は、例えば、その幅方向の中心が、このベルト102が掛けられる一対のローラ101等のローラの外周面の幅方向の中心と略同じ高さとなるよう取付けられている。本実施の形態のベルト102は、幅が、巻鉄心61の外周面の幅よりも狭い幅の帯状のベルトであるとする。ただし、ベルト102として、幅が、巻鉄心61の外周面の幅よりも広いベルトを用いても良い。
なお、ここでは、ベルト102がエンドレスのベルトである場合について説明したが、ただし、十分長さを有するベルトであれば、エンドレスではないベルトを用いても良い。
駆動部103は、ベルト102を巻鉄心61の巻回方向と一致する方向に走行させる。巻回方向とは、巻鉄心61を巻回する方向である。例えば、巻回方向は、図2(a)の矢印70が示す方向である。駆動部103は、少なくとも、ベルト102のローラ101aとローラ101bとに掛け渡された部分である当接部1021を巻鉄心61の巻回方向と一致する方向に走行させることができればよい。ローラ101aとローラ101bとはベルト102の走行に沿って軸心周りに回転する。駆動部103の駆動ローラ1031は、駆動部103のサーボモータ1032の回転軸(図示せず)と接続されており、サーボモータ1032の回転軸を回転させることで、駆動ローラ1031が軸心を回転中心として回転する。駆動ローラ1031が回転することで、駆動ローラ1031に掛けられたベルト102が走行して、ローラ101aとローラ101bとに掛け渡されたベルト102を走行させることができる。サーボモータ1032の回転軸(図示せず)と、駆動ローラ1031の中心軸(図示せず)等とは、直接接続されていても良く、ギヤや、プーリー等を介して間接的に接続されていてもよい。ガイドローラ1033aおよびガイドローラ1033bは、ベルト102の走行に応じて、それぞれの軸心周りを回転する。ガイドローラ1033aおよびガイドローラ1033bは、ベルト102のテンションを調節するために設けられており、これらの位置を、ローラ101aとローラ101bと駆動ローラ1031とで構成される三角形の内側方向に移動させることで、テンションを高めることができ、三角形の外側方向に移動させることで、テンションを下げることができる。なお、駆動部103が有するガイドローラの数や配置される位置等は問わない。また、一対のローラ101間に掛け渡されるベルト102のテンションが十分なテンションであれば、ガイドローラ1033aおよび1033b等は省略しても良い。ベルト102は、一対のローラ101間において、0.5cm〜1.5cmの範囲でたわんでいる状態とすることが好ましい。ただし、このたわみの程度は、ベルト102の材質や、一対のローラ101間の距離や、一対のローラ101と、駆動ローラ1031との距離に応じて、適宜変更してもよい。
駆動部103が、ベルト102を走行させる速度は、一定の速度であっても良く、一定の速度でなくても良い。例えば、サーボモータ1032をサーボ制御により一定速度で回転させることで、ベルト102の走行速度を一定に保つようにしても良い。
本実施の形態においては、駆動部103が、移動ステージ1041に設置されている例を示している。例えば、駆動部103の駆動ローラ1031、ガイドローラ1033a、およびガイドローラ1033bは、例えば、ローラ101aおよびローラ101bとともに、外周面の幅方向の中心が略同じ高さとなるように移動ステージ1041上に設置されている。また、サーボモータ1032は、回転軸が駆動ローラ1031と接続されるよう、ここでは、移動ステージ1041の下方に設置されている。
なお、ここでは、駆動部103が、サーボモータ1032を有しており、このサーボモータ1032を回転させることで、この回転をベルト102に掛けられた駆動ローラ1031に伝達し、駆動ローラを回転させることで、ベルト102を走行させるようにしたが、駆動部103は、ローラ101aとローラ101bとに掛け渡されたベルト102を、少なくともローラ101aとローラ101bとの間で走行させることが可能なものであれば、どのような構造を有していても良い。例えば、駆動部103は、サーボモータ1032の代りに、サーボ機構(図示せず)等を有さないモータ等の回転装置を用いても良い。
移動部104は、ベルト102が掛け渡された一対のローラ101を、ベルト102とともに移動させる。移動部104は、例えば、ベルト102の走行中に、一対のローラ101を移動させる。移動部104は、例えば、一対のローラ101を、巻鉄心61の方向(以下、巻鉄心方向と称す)に移動させる。巻鉄心方向に移動させるということは、例えば、巻鉄心61に近づける方向に移動させることである。また、巻鉄心方向は、巻鉄心61の軸心に向かう方向と考えてもよい。巻鉄心方向に移動させるということは、例えば、巻鉄心61の軸心の方向に移動させることであってもよい。移動部104は、通常、一直線上を移動するが、一直線上を移動しなくても良く、例えば、曲線状を移動しても良い。移動部104は、例えば、ベルト102の当接部1021が、巻締めの対象となる巻鉄心61の外周面に当接されるよう、一対のローラ101を移動させる。また、移動部104は、通常、ベルト102の当接部1021が、巻締めの対象となる巻鉄心61の外周面に当接されたあとも、当接させる際に移動した方向と同じ方向に、一対のローラ101を移動させる。移動は、例えば、後述する制御手段40が巻締めを終了させるまで行なわれる。ここでのベルト102は、例えば、駆動部103によって走行しているベルト102である。例えば、走行中のベルト102の当接部1021が、巻鉄心61の軸心に向かう方向に移動するよう、移動部104が一対のローラ101を移動させることで、走行中のベルト102の当接部1021が、巻締めの対象となる巻鉄心61の外周面に当接される。また、移動部104は、例えば、ベルト102の当接部1021が、巻鉄心61の外周面に当接された後も、当接部1021が、巻鉄心61の軸心に近づくように、ローラ101aおよびローラ101bの移動を続ける。
移動部104は、ベルト102の当接部1021を巻鉄心61(具体的には巻鉄心61の外周面)に対向させた状態で、一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる。移動部104は、例えば、一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの両方の軸心を有する仮想の平面と、この両方の軸心から略等距離(好ましくは等距離)にある仮想の直線と巻鉄心61の軸心とを含む仮想の平面とが、略垂直(好ましくは垂直)に交わるようにした状態で、一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させることが好ましい。本実施の形態においては、一対のローラ101が、この一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの両方の軸心を含む面と、この両方の軸心から略等距離にある直線と巻鉄心61の軸心とを含む面とが、移動部104により移動させられる前から略垂直に交わるように設置されており、移動部104は、一対のローラ101を、一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの両方の軸心を含む面に垂直な方向において、巻鉄心61の軸心に近づけるよう移動させることによって、一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる場合を例に挙げて説明する。ただし、ベルト102の当接部1021を巻鉄心61(具体的には巻鉄心61の外周面)に対向させた状態で一対のローラ101を移動させるということは、最終的に巻鉄心方向へ移動している際(好ましくは巻鉄心61にベルト102の当接部1021が当接される直前)に、ベルト102の当接部1021が巻鉄心61に対向した状態であればよく、移動前の状態(例えば、一対のローラ101の初期配置等)や、巻鉄心方向へ移動していない際において、ベルト102の当接部1021が巻鉄心61に対向させるよう配置されているか否かは問わない。
移動部104が一対のローラ101を構成するローラ101aとローラ101bとを移動させる速度は、一定であっても良く、経時的に変化しても良い。例えば、移動部104は、走行中のベルト102の当接部1021が巻鉄心方向に移動するよう、ローラ101aとローラ101bとを一定の速度で移動させる。
移動部104は、固定台1040に対して、水平方向に移動可能に取付けられた移動ステージ1041を移動させることにより、この移動ステージ1041に設置されたローラ101aおよびローラ101bを移動させる。ここでは、移動部104は、移動ステージ1041を移動させることにより、移動ステージ1041に設置された一対のローラ101であるローラ101aとローラ101bとともに、同じ移動ステージ1041に設置された駆動部103、すなわち、駆動ローラ1031、サーボモータ1032、ガイドローラ1033a、およびガイドローラ1033bと、ローラ101aおよびローラ101bに掛け渡されたベルト102を移動させる。
移動ステージ1041は、例えば上面が平面である板状の部材である。固定台1040には、移動ステージ1041の移動方向が長手方向となる開口部1045が設けられており、移動ステージ1041は、この開口部1045を覆うように設置されている。固定台1040の、移動ステージ1041の両側部に沿った領域には、移動ステージ1041の移動方向に沿って伸びるよう配置されたスライドレール1044がそれぞれ設けられており、移動ステージ1041の両側部近傍には、このスライドレール1044に移動可能に配置されるスライダー(図示せず)が取付けられており、このスライダーを、スライドレール1044に沿ってスライドすることで、固定台1040がスライドレール1044に沿って移動可能となっている。移動ステージ1041の両側部とは、移動ステージ1041の移動方向に垂直な端部側の部分である。移動ステージ1041の下方に取付けられたサーボモータ1032等は、固定台1040の開口部1045内に配置されているため、移動ステージ1041の移動に伴って、サーボモータ1032等も移動させることができる。なお、ここでの固定台1040に対して移動ステージ1041をスライドさせるスライド機構は一例であり、他のスライド機構を用いても良い。
固定台1040には、ボールネジ1042が、ネジ軸の軸心方向が移動ステージ1041の移動方向となるよう、設置されている。このボールネジ1042のネジ軸に取付けられたナット(図示せず)が移動ステージ1041の側部に取付けられている。また、固定台1040には、回転軸(図示せず)がボールネジ1042のネジ軸と接続された移動用モータ1043が設けられており、この移動用モータ1043を回転させることで、ボールネジ1042のネジ軸を回転させて、ナットをネジ軸の軸心方向に移動させることで、このナットに取付けられた移動ステージ1041をネジ軸の軸心方向に移動させることができる。このボールネジ1042の回転方向を切替えることで、移動ステージ1041の移動方向を逆方向に変更することができる。これにより、一対のローラ101の巻鉄心方向への移動と、巻鉄心から離れる方向への移動とを切替えることができる。
なお、ここで述べた移動ステージ1041を所望の方向に移動させるための構成は、一例であり、移動ステージ1041を移動させるための構成はどのような構成であってもよい。例えば、移動ステージ1041を、固定台1040に移動可能に取付けるための構造は、他のどのような構造であっても良い。また、例えば、ボールネジ1042を用いる代りに、ラック・アンド・ピニオン等を用いて、移動ステージ1041を移動させるようにしてもよい。また、ここでは、移動ステージ1041を移動させることで、一対のローラ101を移動させる場合について説明したが、一対のローラ101を移動させるための構成はどのような構成であっても良く、例えば、移動ステージ1041を用いずに、一対のローラ101を移動させる構成を実現しても良い。
第二の巻締手段20は、第一の巻締手段10と同様の構成を有している。具体的には、第二の巻締手段20は、第一の巻締手段10が有する一対のローラ101、ベルト102、駆動部103、および移動部104にそれぞれ相当する一対のローラ201、ベルト202、駆動部203、および移動部204を有している。一対のローラ201は、ローラ101aおよびローラ101bに相当するローラ201aおよびローラ201bで構成されている。駆動部203は、駆動ローラ1031、サーボモータ1032、ガイドローラ1033a、およびガイドローラ1033bにそれぞれ相当する駆動ローラ2031、サーボモータ2032、ガイドローラ2033a、およびガイドローラ2033bを有している。また、移動部204は、固定台1040、移動ステージ1041、ボールネジ1042、移動用モータ1043、スライドレール1044、および開口部1045に相当する固定台2040、移動ステージ2041、ボールネジ2042、移動用モータ2043、スライドレール2044、および開口部2045を有している。当接部1021と同様に、ベルト202の一対のローラ201の間に掛け渡された部分をここでは当接部2021と呼ぶ。また、第二の巻締手段20における各手段等の配置関係についても、第一の巻締手段10と同様である。第二の巻締手段20が第一の巻締手段10と同様の構成を有しているため、第二の巻締手段20の構成についての詳細な説明はここでは省略する。なお、第一の巻締手段10が有する一対のローラ101、ベルト102、駆動部103、および移動部104と、これらに相当する第二の巻締手段20の一対のローラ201、ベルト202、駆動部203、および移動部204とは、実質的な機能等が同じとなる構成であれば、異なる構成で実現されてもよい。
本実施の形態においては、一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの間隔と、一対のローラ201を構成するローラ201aおよびローラ201bの間隔とは同じとしている。ただし、間隔が異なるようにしてもよい。一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの配列方向と、一対のローラ201を構成するローラ201aおよびローラ201bの配列方向が平行となるよう配置されている。軸心が平行である2つのローラの配列方向とは、2つのローラの軸心の両方に垂直な方向であり、2つのローラの軸心の両方に垂直な直線が伸びる方向である。ローラの配列方向とは、ローラの軸心の配列方向と考えてもよい。
第一の巻締手段10が有する移動部104および第二の巻締手段20が有する移動部204は、第一の巻締手段10が有するベルト102の当接部1021および第二の巻締手段20が有するベルト202の当接部2021により、巻鉄心61が挟持された状態となるよう巻鉄心方向に一対のローラ101および一対のローラ201をそれぞれ移動させる。ここでの挟持とは、例えば、ベルト102の当接部1021およびベルト201の当接部2021を、巻鉄心61が挟み込むように巻鉄心61に当接させることであってもよく、必ずしもベルト102の当接部1021およびベルト201の当接部2021だけで巻鉄心61を挟んで持たなくてもよい。また、この場合の当接させる時間の長さも問わない。例えば、ベルト102の当接部1021およびベルト201の当接部2021を、瞬間的に、同時に当接させることであっても良く、例えば、一秒以上ベルト102の当接部1021およびベルト201の当接部2021を同時に当接させることや、ベルト102の当接部1021およびベルト201の当接部2021を、巻鉄心61に当接させた後、巻締めが終了するまで当接させることであっても良い。
ここでは、ローラ101aおよびローラ101bは、それぞれ、このローラ101aおよびローラ101bの配列方向に平行な面であって、巻鉄心61の軸心を有する面を対称面として、ローラ201aおよびローラ201bに対して面対称となるよう配置されている。ローラ101aおよびローラ101bの配列方向に平行な面は、ローラ101aの軸心とローラ101bの軸心とを有する仮想の平面に平行な仮想の平面と考えてもよい。これにより、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、ベルトのたるみ等を無視した場合に、平行となるよう配置されているとともに、互いに対向した状態となっている。また、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021の、ローラ101aおよびローラ101bの配列方向における両端の位置が同じとなっている。
また、ここでは、一対のローラ101および一対のローラ201は、ローラ101aの軸心とローラ101bの軸心とから等距離にある直線と、ローラ201aの軸心とローラ201bの軸心とから等距離にある直線と、を有する平面が、巻鉄心61の軸心を有する平面となるよう配置されている。これにより、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021のそれぞれが、巻鉄心61に対向(具体的には、巻鉄心61の外周面に対向)するとともに、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が、巻鉄心61を挟んで対向している状態となっている。なお、ここでの挟むとは、巻鉄心61が、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021との間にある状態と考えてもよく、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61に接しているか否かは問わない。
移動部104は、一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの配列方向が、一対のローラ201を構成するローラ201aおよびローラ201bの配列方向に対して平行となる状態を保ちながら、一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる。例えば、ローラ101aの軸心とローラ101bの軸心とから等距離にある直線と、巻鉄心61の軸心との両方に垂直となる方向において、巻鉄心方向に一対のローラ101を移動させる。同様に、移動部204は、一対のローラ201を構成するローラ201aおよびローラ201bの配列方向が、一対のローラ101を構成するローラ101aおよびローラ101bの配列方向に対して平行となる状態を保ちながら、一対のローラ201を巻鉄心方向に移動させる。例えば、ローラ201aの軸心とローラ201bの軸心とから等距離にある直線と、巻鉄心61の軸心との両方に垂直となる方向において、巻鉄心方向に一対のローラ201を移動させる。これにより、移動部104は、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、巻鉄心方向に移動して、巻鉄心61を両側から挟み込むように、一対のローラ101と一対のローラ201とを移動させることができる。また、一対のローラ101の配列方向が、一対のローラ201の配列方向に対して平行となる状態を保ちながら巻鉄心にベルト102およびベルト202を当接させることができる。このように移動部104および移動部204は、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021で巻鉄心61が挟持される状態となるよう、一対のローラ101および一対のローラ201をそれぞれ巻鉄心方向に移動させる。
この実施の形態においては、一例として、移動部104は、一対のローラ101が設置された移動ステージ1041を、ローラ101aの軸心とローラ101bの軸心とから等距離にある直線と、巻鉄心61の軸心との両方に垂直となる方向において巻鉄心方向に移動させることで、上記のように一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる。同様に、移動部204は、一対のローラ201が設置された移動ステージ2041を、ローラ201aの軸心とローラ201bの軸心とから等距離にある直線と、巻鉄心61の軸心との両方に垂直となる方向において巻鉄心方向に移動させることで、上記のように一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる。これにより、ここでは、一対のローラ101を移動させる方向と、一対のローラ201を移動させる方向とは、180度異なる方向となっている。
移動部104が一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる速度と、移動部204が一対のローラ101を巻鉄心方向に移動させる速度とをここでは同じとしている。ただし、速度の違いが誤差程度の大きさである場合は、速度が同じと考えてもよい。なお、上記の速度は、巻締めに支障が生じない程度の速度の違いを有していても良い。
移動部104および移動部204は、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が、同時に巻鉄心61の外周面に当接されるように、一対のローラ101および一対のローラ201をそれぞれ移動させることが好ましい。ただし、当接される時間差が、誤差程度の時間差や、巻締め前の巻鉄心61の外周形状の不均一さによって生じる程度の時間差である場合には、同時に当接されたと考えてもよい。ここでは、巻鉄心61と移動前の状態の一対のローラ101と、巻鉄心61と移動前の状態の一対のローラ201との距離が等距離であり、移動部104による一対のローラ101の移動開始と、移動部204による一対のローラ201の移動開始とが同時に行なわれる場合について説明する。ただし、巻鉄心61と移動前の状態の一対のローラ101との距離を、巻鉄心61と移動前の状態の一対のローラ101との距離よりも遠くし、移動部104が一対のローラ101を先に巻鉄心方向に移動させ、巻鉄心61との距離が、巻鉄心61と移動前の状態の一対のローラ201との距離と等距離となった時点で、移動部204が、一対のローラ101を移動させる速度と同じ速度で、一対のローラ201の移動を開始させるようにしてもよい。
移動部104および移動部204は、ベルト102およびベルト202が駆動部103および駆動部203により、巻鉄心61の巻回方向と一致する方向にそれぞれ走行させられている状態において、上記のように一対のローラ101および一対のローラ201を巻鉄心方向に移動させる。例えば、巻鉄心61の巻回方向と一致する方向にベルト102を走行させるということは、走行しているベルト102の当接部1021を巻鉄心61の外周面に当接させた場合に、ベルト102によって(例えば、ベルトとの摩擦等によって)、巻鉄心61が巻締められる方向に(例えば、巻鉄心61の外周面61aに、巻鉄心61を巻締める方向の力が加えられる方向に)ベルト102を走行させることと考えてもよい。同様に、巻鉄心61の巻回方向と一致する方向にベルト202を走行させるということは、走行しているベルト202の当接部2021を巻鉄心61の外周面に当接させた場合に、ベルト202によって(例えば、ベルト202との摩擦等によって)、巻鉄心61が巻締められる方向に(例えば、巻鉄心61の外周面61aに、巻鉄心61を巻締める方向の力が加えられる方向に)ベルト102を走行させることと考えてもよい。巻鉄心61を巻締める方向とは、巻鉄心61の最外周端を引っ張る方向(すなわち、巻付けられた鋼板の終端部分を引っ張る方向)と考えてもよい。例えば、図1に示すように、正面から見て、巻鉄心61右側に、一対のローラ101が位置しており、左側に一対のローラ201が位置している場合において、仮に、巻鉄心61の巻回方向が上方からみて時計回りであり、巻鉄心61が、上方から見て時計回りに回転しながら、外側に向かって広がっている渦巻き形状を有するとすると、駆動部103は、一対のローラ101に掛け渡されたベルト102が、正面奥から正面手前側に向かって走行するようベルト102を走行させ、駆動部203は、一対のローラ201に掛け渡されたベルト202が、正面手前から正面奥側に向かって移動するようベルト202を走行させる。駆動部103および駆動部203は、ベルト102が当接部1021において走行する方向と、ベルト202が当接部2021において走行する方向とが逆方向となるよう、ベルト102およびベルト202を走行させる。例えば、駆動部103のサーボモータ1032の回転方向と、駆動部203のサーボモータ2032の回転方向とは逆方向となる。このように駆動部103により走行させた状態のベルト102が掛け渡された一対のローラ101と、このように駆動部203により走行させた状態のベルト202が掛け渡された一対のローラ201と、を巻鉄心方向に順次移動させながら、走行しているベルト102の当接部1021を、巻鉄心61の外周面に当接させ、走行しているベルト202の当接部2021を、巻鉄心61の外周面の、ベルト102が当接されている側とは反対側に当接させることで、巻鉄心61の外周面に、巻鉄心61を巻締める方向の力を加えて、巻鉄心61を巻締める。
なお、上記において説明した第一の巻締手段10および第二の巻締手段20の、一対のローラ101と一対のローラ201との位置関係や、これらを移動させる方向等は一例であり、第一の巻締手段10が有する移動部104と、第二の巻締手段20とが有する移動部204とが、第一の巻締手段10が有するベルト102の当接部1021と、第二の巻締手段20が有するベルト202の当接部2021とにより、巻鉄心61が挟持された状態となるように巻鉄心方向に一対のローラ101および一対のローラ201をそれぞれ移動させることができれば、上記以外の構成を有していても良い。
例えば、上記においては、一対のローラ101の配列方向と、一対のローラ201の配列方向とを平行としたが、これらの配列方向は、平行でなくても良く、例えば、一対のローラ101の配列方向と、一対のローラ201の配列方向とが、鋭角をなしていてもよい。ただし、平行であることが最も好ましい。また、上記においては、一対のローラ101の移動方向と、一対のローラ201の移動方向とが180度異なる方向としたが、これらの移動方向のなす角度が、180度未満の鈍角となるようにしてもよい。また、一対のローラ101の間隔と、一対のローラ201の間隔とは同じでなくても良い。ただし、いずれの場合においても、ローラ101およびローラ201が巻鉄心方向に移動していく際に、巻鉄心61がベルト102を介してローラ101と当接されたり、巻鉄心61がベルト22を介してローラ201と当接されたりすることがないよう、ローラ101およびローラ201の配置や、移動方向を設定することが好ましい。
なお、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61を挟んで対向した状態とは、例えば、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが対向した状態であって、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021との間に、巻鉄心61が位置する状態である。
なお、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021は、移動部104および移動部204がこれらの部分を巻鉄心方向に移動させている際(より好ましくは移動によって、これらの部分が巻鉄心61の外周面に当接される際)に、巻鉄心61を挟んで対向した状態であれば良く、ベルト102の一対のローラ101に掛け渡された部分、およびベルト202の一対のローラ201に掛け渡された部分は、移動前の状態や、巻鉄心方向に移動する前の状態において、巻鉄心61を挟んで対向した状態となっていなくてもよい。
移動部104および移動部204は、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心方向に移動するよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させ、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61に当接された状態において、一回以上、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させるようにしてもよい。例えば、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021がそれぞれ巻鉄心方向の逆方向へ移動するよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させるようにしてもよい。この巻鉄心61から離れる移動は、例えば、予め決められた時間だけ行なうようにしてもよく、予め決められた距離だけ行なわれるようにしても良い。
また、上記のように、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れるよう、一対のローラ101を移動させたあと、移動部104および移動部204が、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61を挟んだ状態で、巻鉄心方向に移動するように、一対のローラ101と一対のローラ201とを移動させるようにしてもよい。ここでの移動は、移動部104および移動部204が移動を開始した当初の移動を再開することと考えてもよい。
ここでのベルト102およびベルト202は、例えば、走行中であるとする。ベルト102が巻鉄心61に当接された状態とは、例えば、ベルト102の表面が巻鉄心61の外周面に当接されている状態である。ベルト102の当接部1021が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101を移動させるということは、例えば、一対のローラ101を、巻鉄心方向とは逆方向に移動させることである。かかることは、ベルト202についても同様である。
移動部104が、一回以上、ベルト102の当接部1021が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101を移動させるということは、ベルト102の当接部1021が巻鉄心61から離れる方向に移動するよう一対のローラ101を移動させることと、ベルト102の当接部1021が巻鉄心方向へ移動するように一対のローラ101を移動させることとの組を、1回、または2回以上繰り返すことと考えてもよい。例えば、移動部104は、このような移動の組を、予め決められた時間毎に、巻締めが終了するまで1回以上繰り返し行なうようにしても良い。また、この移動の組は、一対のローラ101間のベルト102が、巻鉄心61に当接されるよりも前から繰り返し行なわれるようにしても良い。かかることは、移動部204についても同様である。
移動部104および移動部204は、例えば、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心方向に移動するよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させ、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61に当接された状態において、予め決められたタイミングや、予め決められたトリガーを受け付けた場合に、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させる。この一対のローラ101および一対のローラ201を移動させるタイミングやトリガーは、問わない。例えば、この移動の開始は、ユーザの指示等に応じて行なわれても良く、移動開始からの経過時間等で決定される予め決められたタイミングで行なわれても良く、図示しないセンサや、後述する負荷取得手段30が取得した負荷の値に応じて決定されたタイミングで行なわれても良い。また、この移動の開始は、一対のローラ101や一対のローラ201の位置や、移動台1041や移動台2041の位置に応じて決定しても良い。例えば、固定台1040の予め決められた位置に設置した近接センサ等のセンサ(図示せず)が、移動台1041が予め決められた位置に最初に達したことを検出した時点で、上記の巻鉄心61から離れる方向の移動を開始してもよい。この移動のタイミングやトリガーの判断等は、例えば、移動部104および移動部204の少なくとも一方が行なっても良く、後述する制御手段40等が行なっても良い。
また、この移動の開始を判断する際に、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61に当接された状態であることを、検出するか否かは問わない。例えば、移動部104および移動部204は、少なくとも、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させ、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61に当接された状態において、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させることができればよく、上記のような状況の検出を行なうか否かは問わない。例えば、移動部104による移動開始から、上記のような状況となるまでに要する時間が予めわかっている場合は、移動の経過時間等から上記のような状況となったか否かを判断可能であることから、上記のような当接された状況を検出しなくても良い。また、一対のローラ101および一対のローラ201の位置等を近接センサ(図示せず)等で検出して、上記の移動開始を判断する場合、巻鉄心61のサイズと一対のローラ101および一対のローラ201の位置から、ベルト102およびベルト202が巻鉄心61に当接されているか否かが予めわかることから、上記のような当接された状況の検出は不要である。また、ユーザから移動開始の指示を受け付ける場合も、上記のような状況を、ユーザが目視等で判断すればよいことから、上記のような当接された状況を検出しなくても良い。また、上記のようなベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れるようするための、一対のローラ101および一対のローラ201の移動を繰り返す場合も、繰り返すうちに、上記のような状況になると考えられることから、上記のような当接された状況の検出は不要である。なお、ベルト102およびベルト202の巻鉄心61に対する当接は、例えば、一対のローラ101および一対のローラ201の位置によって検出しても良く、サーボモータ1032およびサーボモータ2032の負荷によって検出しても良い。
なお、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021に掛け渡された部分が巻鉄心61から離れるようにするための一対のローラ101および一対のローラ201の移動と、その後に、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021を巻鉄心方向に移動させるための一対のローラ101および一対のローラ201の移動との間に、移動を停止している期間を設けても良い。この期間は、例えば、予め決められた一定の長さの期間である。
負荷取得手段30は、第一の巻締手段10および第二の巻締手段20が有する駆動部103および駆動部203の負荷の情報を取得する。例えば、負荷取得手段30は、ベルト102および202を走行させている際の、駆動部103および駆動部203にそれぞれかかる負荷の情報を取得する。負荷取得手段30は、例えば、連続して負荷の情報を取得しても良く、予め決められた一定または不定の時間間隔毎に順次負荷の情報を取得してもよい。ここでの負荷は、例えば、ベルト102およびベルト202をそれぞれ走行させる際に、駆動部103および駆動部203にかかる負荷である。本実施の形態における負荷は、例えば、ベルト102を回転させる駆動ローラ1031と接続された駆動部103のサーボモータ1032、およびベルト202を回転させる駆動ローラ2031と接続された駆動部203のサーボモータ2032にかかる負荷である。負荷は、例えば、トルクである。負荷の情報は、例えば、負荷を示す電流値や、負荷率や、トルク値である。ただし、負荷の情報は、駆動部103および駆動部203の負荷の大きさ等を判断可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。負荷取得手段30は、例えば、サーボモータ1032およびサーボモータ2032が、ベルト102およびベルト202を走行させている際に出力する負荷を示す情報(例えば、電流値等)を順次取得する。なお、サーボモータ1032およびサーボモータ2032が、トルク値等を順次取得して出力可能なものである場合、負荷取得手段30は、このトルク値等を取得しても良い。
なお、駆動部103および駆動部203が、ベルト102およびベルト202を走行させる際の負荷の情報を取得する手段を有していない場合、負荷取得手段30が、ベルト102およびベルト202を走行させる際の負荷の情報を取得するロードセルやセンサ等の手段を更に有するようにし、この負荷の情報を取得する手段が取得して出力する負荷の情報を取得するようにしても良い。負荷の情報を取得する手段は、駆動部103および駆動部203に個別に設けても良く、個別に設けなくてもよい。例えば、駆動部103および駆動部203がそれぞれ有する、ベルト102およびベルト202を走行させるためのモータ(図示せず)が、サーボ機構を有さない通常のモータである場合、それぞれのモータの回転軸等にトルク等を検出するためのロードセル(図示せず)を取付けて、このロードセルが出力するトルクを示す情報等を、負荷の情報として順次取得しても良い。
なお、ここでは、負荷取得手段30は、第一の巻締手段10および第二の巻締手段20が有する駆動部103および駆動部203の負荷の情報を取得するようにしたが、負荷取得手段30は、第一の巻締手段10が有する駆動部103および第二の巻締手段20が有する駆動部203の少なくとも一方の負荷の情報を取得するようにしてもよい。
負荷取得手段30は、例えば、MPUやメモリ等から実現され得る。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。例えば、負荷取得手段30は、値等の信号の入力を受け付ける入力インターフェース回路等であっても良い。また、負荷取得手段30は、上述したようなロードセル等の負荷の情報を取得する手段を有していても良い。
制御手段40は、負荷取得手段30が取得した負荷の情報に応じて、巻鉄心61の巻締を終了させる。巻締を終了させるということは、例えば、駆動部103および駆動部203によるベルト102およびベルト202の走行を中止させることであっても良く、移動部104および移動部204が、一対のローラ101に掛け渡されたベルト102および一対のローラ201に掛け渡されたベルト202が巻鉄心61から離れる方向に、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させることであっても良く、その両方の組合せであっても良い。制御手段40は、通常、第一の巻締手段10と第二の巻締手段20との両方を同時に制御して、巻締を終了させる。制御手段40は、例えば、巻締を終了させるための命令や制御信号を駆動部103および駆動部203や移動部104および移動部204等に送信することで、巻締を終了させる。
制御手段40が、負荷取得手段30が取得した負荷の値がどのような値である場合に、巻締めを終了させるかは問わない。例えば、制御手段40は、負荷取得手段30が駆動部103および駆動部203から取得した負荷の情報(例えば、電流値や、トルク値等の負荷の値)の少なくとも一方が、予め決められた閾値を越えた場合に、巻締を終了させ、閾値を越えない場合は、巻締を継続しても良い。ここでの閾値は、例えば、巻鉄心61の巻締が完了した状態でかかる負荷の値であり、例えば、実測データや、シミュレーション等により取得可能である。また、例えば、制御手段40は、負荷取得手段30が駆動部103および駆動部203から取得した負荷の情報の両方が閾値を越えた場合や、両方の平均値が閾値を超えた場合に、巻締を継続しても良い。また、負荷の情報の変化量に応じて(例えば、変化量が閾値を超えた場合等に)巻締を終了させても良い。負荷の情報の変化量は、例えば、負荷の値の微分値等である。
なお、負荷取得手段30が取得する負荷の値が、駆動部103および駆動部203のいずれか一方のみの負荷の情報である場合、制御手段40は、この負荷の情報だけに応じて(例えば、この負荷の値が閾値を越えた場合等に)巻締を終了させても良い。
制御手段40は、負荷取得手段30が順次取得する負荷の情報を順次受け付け、受け付けた負荷の情報を用いて、巻締を終了するか否かの判断(例えば、負荷の値が、閾値を超えたか否かの判断等)を行ない、巻締を終了すると判断した場合に、巻締を終了するための命令や制御信号を出力する。
なお、制御手段40は、上記のような巻締めを終了させるための制御以外の、鉄心巻締装置1の制御や、制御に必要な判断の実行等を行なうようにしても良い。この制御は、例えば、駆動部103および駆動部203の動作の制御(例えば、ベルト102およびベルト202を走行の開始や停止の制御)や、移動部104および移動部204の動作の制御(例えば、一対のローラ101および一対のローラ201の移動の開始の制御や、移動方向の変更の制御や、移動停止の制御や、移動速度の制御等)である。例えば、制御手段40は、一対のローラ101および一対のローラ201が、ベルト102およびベルト202が巻鉄心611の外周面61aに当接されている状態となっている位置であって、巻締が終了する前の予め決められた位置に達したか否か等の判断を行ない、達したと判断した場合に、移動部104および移動部204を制御して、一対のローラ101および一対のローラ201の移動方向が巻鉄心61から離れる方向となるようにしてもよい。
制御手段40は、例えば、MPUやメモリ等から実現され得る。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
次に、本実施の形態の鉄心巻締装置1の具体的な動作について例を挙げて説明する。
図2は、鉄心巻締装置1による巻鉄心の巻締めの動作を説明するための、鉄心巻締装置1の主要部の平面模式図(図2(a)〜図2(d))である。
まず、図2(a)に示すように、巻鉄心61を巻付けた巻枠60を、鉄心保持手段50の載置台501上に載置し、エアシリンダ502でクランプして固定する。ここでは、巻鉄心61の巻回方向が矢印70に示す方向であり、この矢印70が示す方向が、巻鉄心61を巻締める際に加える必要がある力の方向であるとする。矢印70が示す方向は、ここでは、鉄心巻締装置1の上方からみた巻鉄心61の渦の、軸心側から外側に向かう方向である。一対のローラ101および一対のローラ201の配列方向は平行となっており、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61を挟んで対向した状態となっている。
次に、駆動部103のサーボモータ1032を回転させて、駆動ローラ1031を回転させ、駆動ローラ1031に掛けられたベルト102を走行させる。ここでは、当接部1021におけるベルト102の走行方向が、矢印70が示す巻鉄心61の巻回方向と一致する方向71となるようにサーボモータ1032を回転させる。すなわち、ベルト102の当接部1021を巻鉄心61に当接させた場合に、巻鉄心61の外周面61aに、摩擦によって、巻鉄心61の巻締める方向(すなわち、矢印70に示す方向)に巻鉄心61を回転させようとする力が加わるような方向71となるよう、サーボモータ1032を回転させる。ここでは、正面から見て巻鉄心61の右に位置するベルト102の当接部1021は、後方から正面に向かって走行する。なお、サーボモータ1032は、回転速度が一定速度にサーボ制御されているものとする。
また、駆動部203のサーボモータ2032を回転させて、駆動ローラ2031を回転させ、駆動ローラ2031に掛けられたベルト202を走行させる。ここでは、当接部2021におけるベルト202の走行方向が、矢印70が示す巻鉄心61の巻回方向と一致する方向72となるようにサーボモータ2032を回転させる。すなわち、ベルト202の当接部2021を巻鉄心61に当接させた場合に、巻鉄心61の外周面61aに、摩擦によって、巻鉄心61の巻締める方向(すなわち、矢印70に示す方向)に回転させようとする力が加わるような方向72となるよう、サーボモータ2032を回転させる。ここでは、正面から見て巻鉄心61の左に位置するベルト202の当接部2021は、正面から後方に向かって走行する。なお、サーボモータ2032は、回転速度が一定速度にサーボ制御されているものとする。
負荷取得手段30は、サーボモータ1032およびサーボモータ2032が連続して出力する負荷の情報である電流値を順次取得し、制御手段40は、負荷取得手段30が順次取得した電流値の一方が、予め決められた閾値を超えたか否かの判断を繰り返す。閾値を越えていない場合は、制御手段40は、巻締めを終了させる制御を行なわない。
そして、ベルト102を走行させた状態で、移動用モータ1043を回転させて、ボールネジ1042を回転させることにより、移動ステージ1041の巻鉄心方向73の移動を開始する。これにより、一対のローラ101の巻鉄心方向73への移動が開始する。ここでは、移動用モータ1043の回転速度を一定に保つことで、一対のローラ101の移動速度を一定とする。
また、同時に、ベルト202を走行させた状態で、移動用モータ2043を回転させて、ボールネジ2042を回転させることにより、移動ステージ2041の巻鉄心方向74への移動を開始する。これにより、一対のローラ201の巻鉄心方向74への移動が開始する。ここでは、移動用モータ2043の回転速度を一定に保つことで、一対のローラ201の移動速度を一定とする。
正面から見て右側の一対のローラ101が巻鉄心方向73に移動していくとともに、正面から見て左側の一対のローラ201が巻鉄心方向74に移動していくことにより、図2(b)に示すように、走行しているベルト102の当接部1021と、走行しているベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61を挟んで対向した状態で、巻鉄心方向に移動して、同時、あるいは略同時に、巻鉄心61の外周面61aに対して左右両側から当接され、当接部1021および当接部2021により巻鉄心61が挟持される。当接された際の一対のローラ101と一対のローラ201との配列方向はここでは平行である。当接されると、ベルト102が矢印71に示す方向に移動しているため、巻鉄心61の外周面61aには、ベルト102から、摩擦によって、巻鉄心61の巻回方向、すなわち巻鉄心61を巻締める方向(矢印70に示す方向)に巻鉄心61を回転させようとする力を受ける。同様に、ベルト202が矢印72に示す方向に移動しているため、巻鉄心61の外周面61aには、ベルト202から、摩擦によって、巻鉄心61の巻回方向、すなわち巻鉄心61を巻締める方向(矢印70に示す方向)に巻鉄心61を回転させようとする力を受ける。これにより、巻鉄心61の外周面61aには、左右の両側から、巻鉄心61を、巻鉄心61の巻締める方向(矢印70に示す方向)に巻鉄心61を回転させようとする力が加えられることとなり、巻鉄心61の外周面61aに遠心力が発生して、巻鉄心61が巻締められていく。
ベルト102およびベルト202が巻鉄心61に当接された後も、一対のローラ101の巻鉄心方向73への移動と、一対のローラ201の巻鉄心方向74への移動とが継続されることにより、更に、巻鉄心61が巻締められていく。巻締めが行なわれている際には、巻鉄心61の最外周端62は、ベルト102の当接部1021と巻鉄心61の外周端との間、またはベルト202の当接部2021と、巻鉄心61の外周端との間に巻き込まれる。
ここで、制御手段40が、ベルト102の当接部2021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れるよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させるタイミングであるか否かを、制御手段40が繰り返し判断しており、ここでは、予め決められたタイミングであると判断したとする。例えば、制御手段40は、図示しない時計等を用いて取得される一対のローラ101および一対のローラ201の移動開始からの経過時間が、予め決められた時間となったか否かを繰り返し判断し、予め決められた時間となった場合に、移動させるタイミングであると判断する。この予め決められた時間は、例えば、巻鉄心61に、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が最初に当接されると考えられる時間から、予め決められた時間が経過した時間である。予め決められたタイミングとなったため、制御手段40は、ベルト102当接部1021と、ベルト202の当接部2021とを、それぞれ、巻鉄心61から離れるよう移動させるための制御信号を、移動部104および移動部204に出力する。この制御信号に応じて、図2(c)に示すように、移動部104は、移動ステージ1041を、移動方向が巻鉄心方向73の逆方向の矢印75に示す方向となるよう移動させて、一対のローラ101を巻鉄心方向73の逆方向に移動させるとともに、移動部204は、移動ステージ2041を移動方向が巻鉄心方向74の逆方向の矢印76に示す方向となるよう移動させて一対のローラ201を巻鉄心方向74の逆方向に移動させる。この逆方向への移動は、例えば、予め決められた距離、または時間だけ行なわれる。
そして、逆方向に移動させた後、再度、制御手段40が、上記と同様に、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とを、それぞれ、巻鉄心方向に移動させるための制御信号を、移動部104および移動部204に出力すると、移動部104は、一対のローラ101を巻鉄心方向73に移動させるとともに、移動部204は、一対のローラ201を巻鉄心方向74に移動させる。これにより、図2(d)に示すように、走行しているベルト102の当接部1021と、走行しているベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61の外周面61aに対して左右両側から当接され、巻締が再開される。
巻鉄心61を締付けるために巻鉄心61の外周面に摩擦を加えると、この摩擦によって、巻鉄心61の幅方向の端面が部分的に上方にせり上がってしまう場合がある。このような状態でさらに巻締めを進めると、せり上がった部分が巻締め終了後に戻らなくなり、巻鉄心の品質が劣化してしまうことが考えられる。このため、上記のように、巻締めの途中で、一旦、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021を巻鉄心61の外周面から離す、すなわち、巻鉄心61を当接部1021および当接部2021により挟持した状態から開放することで、自重にて巻鉄心61のせり上がった部分が元に戻すことができる。そして、その後に、再度巻締めを行なうことで、端面がせり上がらないよう巻鉄心61を巻締めることができ、巻鉄心の品質を向上させることができる。なお、制御手段40は、一旦予め決められた位置に達したと判断した場合、同じ位置については、再度、達したか否かの判断は行なわないようにする。
その後、制御手段40が、負荷取得手段30が順次取得した電流値の一方が、予め決められた閾値を超えたと判断したとすると、制御手段40は、巻締めを終了させる制御を行なう。具体的には、制御手段40は、駆動部103および駆動部203を制御して、ベルト102およびベルト202の走行を中止させ、移動部104および移動部204を制御して、一対のローラ101を巻鉄心方向73とは逆方向に移動させるとともに、一対のローラ201を巻鉄心方向74とは逆方向に移動させ、それぞれの、巻締めの処理を開始する前の位置に戻す。これにより、巻鉄心61の巻締めが終了する。
なお、上記具体例においては、制御手段40が、移動方向の制御、すなわち、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021との移動方向を、一旦、巻鉄心61から離れる方向に変更し、その後、再度、巻鉄心方向に戻す制御、を行なうために検出する予め決められた時間が一つである場合について説明したが、予め決められた時間を、複数設定しておくようにし、各時間に達する毎に、上記のような移動方向の制御を行なうようにしても良い。また、移動開始から、予め決められた時間毎に移動方向の制御を繰り返し行なうようにしてもよく、移動開始からの経過時間等の時間が、予め決められた時間となった以降、予め決められた時間毎に移動方向の制御を繰り返し行なうようにしてもよい。この場合、繰り返しの周期が短ければ、ベルト102およびベルト202が巻鉄心61に当接されるタイミング等を考慮しなくても、移動の繰り返しによって、結果的に、ベルト102およびベルト202が巻鉄心61に当接されている間に、1回以上、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部1021との移動方向が、巻鉄心61から離れる方向に変更されるよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させることとなる。
また、ユーザが移動方向を制御する指示を図示しない入力デバイス等を介して制御手段40等に与えた場合に、上記のような一対のローラ101および一対のローラ201の移動方向の変更を行なうようにしても良い。また、巻鉄心61の上側の端面に現れるせり上がり部分を検出するセンサ(図示せず)を設け、このセンサが、せり上がり部分を検出した場合に、上記のような移動方向の変更を行なうようにしても良い。
また、上記のような一対のローラ101および一対のローラ201の移動方向の変更を行なう代りに、移動方向の変更を行なうタイミングやトリガーと同じタイミングやトリガーにおいて、制御手段40は、駆動部103と駆動部203とを制御して、駆動部103と駆動部203とがベルト102およびベルト202の走行を一定時間停止させるとともに、移動部104と移動部204とを制御して、移動部104と移動部204とが、一対のローラ101と一対のローラ201とを巻鉄心方向へ移動させることを停止させて、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021との巻鉄心方向への移動を一定時間停止させても良い。この停止によって、巻鉄心61の端面のせり上がりを予防したり低減させたりすることができる。なお、ベルト102およびベルト202の走行は停止させず、移動部104と移動部204とによる、一対のローラ101と一対のローラ201との巻鉄心方向への移動だけを停止させて、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021との巻鉄心方向への移動だけを一定時間停止させても良い。上記の一時停止時間の長さは問わない。
以上、本実施の形態によれば、ベルト102およびベルト202を巻鉄心61の巻回方向と一致する方向に走行させ、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とにより、巻鉄心61を挟持された状態となるよう、移動部104が一対のローラ101を、また、移動部204が一対のローラ201を移動させるようにしたことにより、巻締めの際に、巻鉄心61の最外周の遠心力が大きくなって、最外周が膨らんだ場合であっても、巻鉄心61の最外周端62が、巻鉄心61を挟むように位置している走行中のベルト102の当接部1021、または走行中のベルト202の当接部2021に当たって、これらと巻鉄心61の外周面61aとの間に確実に巻き込まれるようにして、巻鉄心61が、外側に弾かれないようにすることができ、巻鉄心61を適切に巻締めることができる。これにより、例えば、巻鉄心61を巻枠60の脚部等に巻付ける前の状態に復帰させることができ、鉄心特性の劣化を防ぐことができる。
また、巻付けローラで巻締めを行なう場合、従来の技術のように巻付けローラを用いた場合、巻付けローラと、巻鉄心の外周面との間に生じる摩擦を大きくすることが難しく、巻付けローラが滑ること等により、巻締める際の負荷を正確に検知することが困難であり、巻締めの程度を適切に制御することができない、という問題が生じる場合があるが、本実施の形態においては、ベルト102およびベルト202を用いて巻締めを行なうことにより、これらが巻鉄心61の外周面との間に生じる摩擦を大きくして、効率良く巻締めを行なうことができるとともに、制御手段40等が、巻締めの際の負荷を正確に検出することができ、巻鉄心の巻締の程度を精度良く調節することができる。
また、巻締めのために、ベルト102の当接部1021と、ベルト202の当接部2021とが巻鉄心方向に移動するよう、一対のローラ101および一対のローラ201を移動させ、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021とが、巻鉄心61に当接された状態において、ベルト102の当接部1021およびベルト202の当接部2021が巻鉄心61から離れる方向に一対のローラ101および一対のローラ201を移動させるようにしたことにより、巻鉄心61の端面のはね上がりを抑えることができ、品質のよい巻鉄心61を得ることができる。
なお、上記実施の形態においては、巻締めの対象となる巻鉄心が、外鉄型の変圧器に用いられる巻鉄心である場合を例に挙げて説明したが、巻締めの対象となる巻鉄心が、どのような巻鉄心であるかは問わない。例えば、巻締の対象となる巻鉄心は、内鉄型の変圧器に用いられる巻鉄心であっても良い。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。