JP6414727B2 - 関節疾患の治療予防剤 - Google Patents

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本発明は、関節疾患の治療及び/又は予防剤に関する。具体的には、変形性関節症や関節リウマチ、膠原病などの関節疾患の治療及び/又は予防剤に関する。
関節疾患とは、関節などに病変を有する疾患をいい、1998年度国民生活基礎調査によると、そういった筋や骨格などの病変に由来する訴えを有する患者は約3000万人に達するといわれている。具体的な疾患では、変形性関節症(Osteoarthritis:OA)、関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)などが挙げられる。人口の高齢化の影響もあり、これらの疾患に対する対応が重要である。
変形性関節症(OA)は、加齢又は力学的ストレスに伴い、軟骨変性及び骨棘形成を生じ、また滑膜炎を伴う疾患である。OAは、慢性に経過する関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と骨、軟骨の増殖性変化をきたす。OAでみられる滑膜炎については、上記変化に伴う二次的(続発性)な変化という見方が一般的であるが、一方で滑膜炎もOAの症状や疾患の進行に密接に関連する可能性も報告されている。OAは、年齢とともに罹患率が顕著に上昇する疾患で、日本国内で症状のある患者は約800万人、レントゲン上の変化が見られる者は、約3000万人以上と推定される。リスクファクターとしては、加齢以外に、性別(女性)、肥満、外傷(靭帯や半月板損傷など)が挙げられているが、病因については不明な点が多い。今後高齢化が進むに従い、より患者数が増加するものと考えられる。
OAの保存的治療としては、内服薬としては非ステロイド性抗炎症剤が一般的に用いられる。また、関節内注入療法としては、高分子のヒアルロン酸が使用される。しかしながら、OAの病態には不明な点が多く、軟骨変性を抑制することで、あるいは軟骨再生を促進することによって疾患の進行を抑止しうることができる薬剤は未だにない。
関節リウマチ(RA)は、自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病の一つで、炎症性自己免疫疾患である。RAの患者数は、70〜100万人であり、30〜50代の女性に好発する疾患である。ひとつの関節にとどまらず、左右対称性に全身の関節にこわばり、痛み、はれを生じ、関節の炎症が生じる。関節の炎症が持続すると、関節の破壊を引き起こし、関節の変形や強直をもたらし、その結果日常生活動作に制限を来たすこととなる。関節の破壊は発症2年以内に最も進行するため、極力早期に診断し、適切な治療を開始することが重要である。
骨を形成する骨芽細胞と軟骨細胞は、間葉系幹細胞より分化する。発生の過程において骨組織は膜性骨化(intramembranous ossification)又は内軟骨性骨化(endochondral ossification)により形成される。膜性骨化では、未分化間葉細胞が骨芽細胞に分化し、類骨(osteoid)、骨小柱(bone trabecula)を経て骨細胞となる。内軟骨性骨化では、間葉系細胞からまず軟骨原器が形成され、軟骨細胞は中心部に向かって増殖・成熟し、静止軟骨細胞層、増殖軟骨細胞層、肥大軟骨細胞層からなる成長板を形成する。肥大軟骨細胞層では軟骨細胞の肥大化とともに基質の石灰化が起こり、やがて軟骨細胞はアポトーシスを起こして死滅する。このような変化とともに石灰化した軟骨基質中に血管が侵入し、単球系の血液細胞から分化した破骨細胞が現れて基質を変性させる。基質が変性・消失したあとには未分化間葉系幹細胞から分化した骨芽細胞が入り込み、骨基質を形成する。軟骨はこのように発生の過程でほとんどが骨組織に置換される。しかし関節軟骨や椎間板などでは軟骨は骨組織に置換されないまま残り、細胞も一生軟骨細胞の性質を維持し、身体に可動性を与えている。このように、軟骨と骨は発生の段階では起源が共通であるが組織として異なる機能を持つものである。また、上述のごとく軟骨変性を明確に抑制し、又は軟骨再生を促進するような薬剤は未だにないのが、現状である。
血管内皮細胞を増殖させ、血管の形成を促す糖タンパク質として、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)が知られている。OAでは滑膜の病変が症状の発現や疾患の進行と密接に関連していることが知られている。OAにおける滑膜病変の機序については種々の説が報告されているが、本発明者はヒト検体の解析結果からVEGF-Aを介した血管新生がOAにおいて滑膜に病変を引き起こす重要な機序であることを明らかにし、抗VEGF抗体を有効成分とする、変形性関節症の治療及び/又は予防剤について開示した(特許文献1)。滑膜において血管新生が誘導されれば、血管新生に伴って誘導される複数のタンパク分解酵素の作用によって滑膜組織の変性が進み、また関節液中に遊離したタンパク分解酵素が軟骨基質の変性・喪失をもたらす。一方、RAでは滑膜の変化が病態の本態と考えられているが、RAの滑膜病変にもVEGF-Aを介した血管新生が大きく関与する(Koch AE. Ann Rheum Dis 2003)。したがってVEGF-Aの活性抑制はOA、RAなどの関節疾患において症状を軽減し疾患の進行を抑止する可能性がある。その後の研究により、抗VEGF抗体を関節内に投与することで、膝OAの症状が改善することが明らかとなったが、関節の特定の部位で痛みが軽減しないことも明らかとなった。抗VEGF抗体の分子量が大きく、組織内に浸透しにくいことが原因と考えられた。さらに、関節内への薬剤注入は侵襲性のある治療方法であって長期にわたって持続的に行いにくく、また症状の比較的軽い症例に対しても行いにくいことも判明した。従来、関節疾患に伴う疼痛への対処方法としては、例えばジクロフェナクナトリウム(Diclofenac sodium)(商品名:ボルタレン)などの疼痛剤を用いて、疼痛を軽減する対症療法であり、疾患の進行を停止又は遅延させ、症状を根源から軽快することのできる治療方法は存在しない。関節疾患に対してより効果的な薬剤の開発が望まれている。
国際公開パンフレットWO2012/144376号
本発明は、変形性関節症(OA)や関節リウマチ、膠原病などの関節疾患に対しての有効な治療及び/又は予防剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、血管内皮増殖因子受容体阻害剤が、上記疾患の臨床症状を改善しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下よりなる。
1.VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)受容体阻害剤を有効成分とする、関節疾患の治療及び/又は予防剤。
2.VEGF受容体阻害剤が、以下の構造式(I)で示す化合物又はその薬学的に許容しうる塩である、前項1に記載の関節疾患の治療及び/又は予防剤。
3.関節疾患が、変形性関節症又は関節リウマチである、前項1又は2に記載の関節疾患の治療及び/又は予防剤。
4.関節疾患の治療及び/又は予防剤が、外用剤である、前項1〜3のいずれか1に記載の関節疾患の治療及び/又は予防剤。
5.VEGF受容体阻害剤を使用することを特徴とする、関節疾患の治療方法及び/又は予防方法。
6.VEGF受容体阻害剤が、以下の構造式(I)で示す化合物又はその薬学的に許容しうる塩である、前項5に記載の関節疾患の治療方法及び/又は予防方法。
7.関節疾患が、変形性関節症又は関節リウマチである、前項5又は6に記載の関節疾患の治療方法及び/又は予防方法。
8.関節疾患の治療及び/又は予防剤が、外用剤である、前項5〜7のいずれか1に記載の関節疾患の治療方法及び/又は予防方法。
本発明のVEGF受容体阻害剤を有効成分とする関節疾患の治療及び/又は予防剤によると、関節疾患の発症を抑制し、症状を改善することができる。本発明のVEGF受容体阻害剤は低分子化合物であるため、軟膏剤等の外用剤として経皮的に使用することができる。従来薬物の注入(注射)による治療が困難であった小関節についても、外用剤を塗布することができる。また、従来の抗体製剤のように直接関節内に薬剤を投与する方法は、侵襲性のある治療方法であり、患者にとって負担が大きかったが、外用剤とすることでこのような負担を軽減化することができ、有用である。また外用剤として用いることで薬剤を長期にわたり継続的に投与することが容易となり、有用である。
OA患者と対照例について、visual analogue scale(VAS)評価の結果を示す図である。(実施例1)
本発明は、VEGF受容体阻害剤を有効成分とする、関節疾患の治療及び/又は予防剤に関する。本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤が適用される「関節疾患」とは骨や関節など骨格に病変を有する疾患をいい、具体的には変形性関節症(OA)や関節リウマチ(RA)が挙げられる。OAやRAは、膝、脊椎、頸椎、腰椎、足指、手指、股関節等、いずれの部位のOAであってもよい。特に、小関節に対しても適用することができる。ここで小関節とは、手や足の指節関節が挙げられ、例えばPIP関節、DIP関節、MCP関節、第1-5MTP関節、第1指IP関節、手関節等が挙げられる。
背景技術の欄でも示したように、OAにおける滑膜病変の機序については種々の説が報告されているが、本発明者はヒト検体の解析結果からVEGF-Aを介した血管新生がOAにおいて滑膜に病変を引き起こす重要な機序であることを明らかにした(特許文献1参照)。特許文献1では、抗VEGF抗体を用いて、OAに対する効果を確認したが、より効果的な治療方法及び予防方法が望まれていた。そこで、本発明者らは、血管新生のメカニズムをより詳細に検討し、VEGF受容体に着目した。
VEGFは主に血管内皮細胞表面にあるVEGF受容体にリガンドとして結合し、細胞分裂や遊走、分化を刺激したり、微小血管の血管透過性を亢進させたりする働きを有する。正常な体の血管新生に関わる他、腫瘍の血管形成や転移など、悪性化の過程にも関与していることが知られている。VEGFにはVEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、PlGF(胎盤増殖因子 placental growth factor)-1、PlGF-2の7種類が知られており、それぞれ特定のVEGF受容体(VEGFR)に結合する。例えば、VEGF-AはVEGFR-2(別名KDR、マウスではFlk-1)及びVEGFR-1(別名Flt-1)に、VEGF-BとPlGF-1、PlGF-2はVEGFR1に、VEGF-CとVEGF-DはVEGFR-2及びVEGFR-3(別名Flt-4)に、VEGF-EはVEGFR-2に結合するといわれている。
関節疾患ではVEGF-Aは線維芽細胞様滑膜細胞をはじめ滑膜中の複数の種類の細胞によって多量に産生される(Haywood L. et al., Arthritis Rheum 2003)。また血管新生は主にVEGF-Aの作用によると考えられるが、RAではVEGF-AのほかVEGF-Cの発現も亢進して血管新生に関与することが知られている(Paavonen K. et al., J Rheumatol 2002)。上述のようにVEGF-A はVEGFR-1及びVEGFR-2と結合するが、VEGF-CはVEGFR-2とVEGFR-3に結合してその生理活性を発現する。したがってVEGF-Aの活性のみを抑制するよりVEGFに対する3種の受容体の活性化を同時に阻害することで、関節疾患に対して効果的に作用するものと考えられた。
本明細書における「VEGF受容体阻害剤」は、VEGFR-1、VEGFR-2及びVEGFR-3のいずれを阻害するものであってもよく、いずれか2種又は3種のVEGF受容体を阻害するものであってもよい。好適には、VEGFR-2を阻害するVEGF受容体阻害剤が挙げられる。VEGF受容体阻害とは、VEGFがVEGF受容体と結合することで生じるシグナル伝達が阻害されるのであればよい。VEGF受容体のリン酸化を阻害し、その下流のシグナル伝達を阻害することが挙げられる。
VEGF受容体阻害剤としては、上記のような作用を有する物質であればよく、特に限定されないが、好ましくは分子量10000以下、より好ましくは分子量1000以下の低分子化合物が好適である。このような化合物としては、アキシチニブ(Axitinib): N-Methyl-2-{3-[(1E)-2-(pyridin-2-yl)ethen-1-yl]-1H-indazol-6-yl}sulfanyl)benzamide(分子式:C22H18N4OS) や(3Z)-3-[(3,5-dimethyl-1H-pyrrol-2-yl)methylidene]-1,3-dihydro-2H-indol-2-one(分子式: C15H14N2O)が挙げられ、特に以下の式(I)で表されるアキシチニブ又はその許容しうる塩が好適である。本発明のVEGF受容体阻害剤が、アキシチニブであれば、市販のアキシチニブ製剤であるインライタ(R)を用いることもできる。
本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤は、有効成分としてのVEGF受容体阻害剤を有効量含む他、一般に医薬に使用される添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等を挙げることができ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
具体的には、上記賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。上記結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を挙げることができる。上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカ等を挙げることができる。上記崩壊剤としては、例えば結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等を挙げることができる。上記着色剤としては、例えば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルミン、カラメル、β−カロチン、酸化チタン、タルク、リン酸リボフラビンナトリウム、黄色アルミニウムレーキ等、医薬品に添加することが許可されているものを挙げることができる。上記矯味矯臭剤としては、例えばココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、メントール、竜脳、桂皮末等を挙げることができる。上記乳化剤又は界面活性剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。上記溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等を挙げることができる。上記懸濁化剤としては、前記界面活性剤のほか、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子を挙げることができる。上記等張化剤としては、例えばブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができる。上記緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液を挙げることができる。上記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等を挙げることができる。上記抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等を挙げることができる。上記安定化剤としては、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、トコフェロール等を挙げることができる。上記吸収促進剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、トコフェロール、カルシフェロール等を挙げることができる。
本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤の投与方法としては、ローション剤、軟膏剤、テープ剤やパップ剤などの外用剤として経皮的に投与するほか、注射等による局所投与、静脈内注射投与や、経口投与等を行うことができる。治療及び/又は予防剤の剤形としては、最も好適には、ローション剤、軟膏剤、テープ剤やパップ剤などの外用剤が挙げられる。
本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤の投与量は、有効成分としてのVEGF受容体阻害剤が、レシピエントに対して毒性を示さない範囲の値で適宜設定することができる。例えば、レシピエントの体格や年齢、性別等により、また罹患関節の部位や数、症状の程度などにより至適量を適宜決定することができる。本発明のVEGF受容体阻害剤であって、市販のアキシチニブ製剤を用いる場合であれば、安全性が確認されている範囲の投与量を適宜選択して投与することができる。また投与間隔、回数についても同様である。例えば、2014年現在市販されているアキシチニブ製剤(インライタ(R))の場合、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対して、成人の場合は1回5〜10 mgを1日2回で2週間連続投与することが用法用量で特定されている。しかしながら、本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤として使用する場合には、0.1〜2mg/ml、好適には0.3〜1 mg/ml、最も好適には約0.3 mg/mlの濃度でアキシチニブを含む軟膏剤を1日に1回〜複数回、例えば2〜10回、好ましくは3〜5回程度関節の疼痛部位に0.2〜0.5ml程度塗布することができ、癌治療剤として使用する量に比べ、投与量を軽減化して使用することができる。このような外用剤を使用することで、手や足の指節関節等の小関節に対しても適用することが容易に行われ、有意である。また、従来の抗体製剤のように直接関節内に局所投与(注射による投与)する場合には、侵襲性のある治療方法であり、患者にとって負担が大きかったが、外用剤とすることでこのような負担を軽減化することができる。さらに外用剤とすることで長期にわたり継続的に使用することも容易となる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。本実施例の試験は、独立行政法人国立病院機構相模原病院の倫理委員会の承認を得て同院において厚生労働省の定める臨床研究(平成20年7月31日改正厚生労働省「臨床研究に関する倫理指針」参照)として行ったものである。以下の実施例において、変形性関節症を「OA」ということとする。
(実施例1)OA患者に対するVEGF受容体阻害剤の効果
臨床所見、血液・尿検査及びレントゲン所見によって手指の関節の一次性OAを伴うと診断された症例の中で外用薬による治療を行うのが適当と思われる症例を対象とした。
(1)参加条件
・年齢は50歳以上。性別は問わない。
・American College of Rheumatologyの診断(Arthritis Rheum 33:1601-1610, 1990)により一次性のOAと診断される。
・重篤な内科的疾患の既往がない。
・重篤な高血圧症の既往がない。
・関節リウマチ(RA)などの他の関節疾患の既往がない。
・薬物に対するアレルギー、過敏反応の既往がない。
・血液検査で明らかな異常が見られない。
・直近8週間以内に外用薬、内服薬、又は注射などによる治療が行われていない。
・正常な理解能、判断能を有している。
(2)薬剤の投与
アキシチニブを0.3 mg/mlの濃度で含む軟膏基剤(マクロゴール軟膏)又は有効成分を含まない軟膏基剤のみ(偽薬)を1週間にわたって1日5回関節の疼痛部位に0.2〜0.5 ml程度/回塗布した。
(3)有効性評価
有効性の評価は、症状の変化をvisual analogue scale (VAS)で評価した。OA患者に対するVEGF受容体阻害剤の効果を図1に示した。アキシチニブ含有軟膏を使用した症例では症状が有意に改善したのに対し(A、p = 0.047、paired t-test)、偽薬を使用した症例では症状の変化が見られなかった(B、p = 0.534、paired t-test)。
以上詳述したように、本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤によると、関節軟骨の変性及び/又は破壊を抑制することができる。本発明の関節疾患の治療及び/又は予防剤を外用剤として使用することで、小関節に対しても適用することが容易に行われ、有用である。また、従来の抗体製剤のように直接関節内に局所投与(関節内への注射による投与)する場合には、侵襲性のある治療方法であり、患者にとって負担が大きかったが、外用剤とすることでこのような負担を軽減化することができ、有用である。従来、関節疾患に伴う疼痛への対処方法としては、例えばジクロフェナクナトリウム(Diclofenac sodium)などの疼痛剤を用いて、疼痛を軽減する対症療法であったが、疾患の進行を停止又は遅延させ、症状を根源から軽快することができる。

Claims (1)

  1. 以下の構造式(I)で示す化合物又はその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする、外用剤からなるヒトの変形性関節症又は関節リウマチの治療及び/又は予防剤。
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