JP6412701B2 - 軟性内視鏡用外套管 - Google Patents

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Description

本発明は、灌流式ヒステロファイバースコピーなどのさいに軟性内視鏡の挿入部に外装して用いられる軟性内視鏡用外套管に関する。
例えば、子宮内ポリープや粘膜下筋腫など子宮内病変を疑う場合や子宮内膜除去手術のさいに、3mm〜6mmという細径なヒステロファイバースコープを子宮内に挿入し直視下に観察しながら検査、施術することは、的確な診断、治療をする上で極めて有用な手段となっている。そして、これにより子宮内を観察するさいは子宮を拡張させて行うため、ファイバースコープのチャンネルから子宮内に生理食塩水やブドウ糖溶液等の液体を注入するが、出血や組織浮遊物などにより子宮内に注入した液体が濁り、ファイバースコープによる観察視野が妨げられることがあり、これを解消するためにヒステロファイバースコープの挿入部の外周面に僅かの隙間を設けた外套管を取付け、外套管の先端(ヒステロファイバースコープの挿入部外周面との隙間部分)を排液口とし、該挿入部外周面と外套管内面の隙間を排液通路として子宮内に溜めた液体を持続的に灌流しながら観察する方法が行われている。
また、このさいに用いられるヒステロファイバースコープは、内腔の狭い子宮内でも内部を隈なく観察できるように内視鏡の挿入部は視野方向を任意に変えられる軟性内視鏡が用いられ、当然、これを内腔に挿着する外套管のシース部分も内視鏡の曲がりに対応して屈曲することのできる柔軟な可撓性シースが用いられる。また、子宮内に挿入する内視鏡の挿入部やこれを内挿する外套管は、患者への負担を小さくするため極力細径であることが好ましいことから、いずれも必要最小限の外径に形成すべく努力がなされており、現在では外径3mm程度の細径ヒステロファイバースコープが提供されている。
従来、これに対応する軟性内視鏡の挿入部に外装する外套管としては、内視鏡の挿入部を内腔に挿通可能な本体部(シース基)と、該本体部に内腔を連通して接続するシース体と、前記本体部に手元側に向け延出された長尺な保持部材からなり、操作性向上のため、該保持部材を把持して、本体部を支点として手で内視鏡を捻じって内視鏡の視野方向を変えようとする子宮内を適用とした内視鏡シース(特許文献1)や、内視鏡の挿入部を挿通可能な中空部が形成されたシース本体を備えた外套シースで、シース本体の周壁面に側孔を設けるとともに、前記シース本体の基端部に側孔に連通した口金を備えた尿道を適用とする内視鏡の外套シース(引用文献2)等が提案されている。
特開2000−201888号公報 実開平3−36602号公報
前記した通り、ヒステロファイバースコープを用いての子宮内の観察は、液体を持続灌流しながらのクリアな視野で、また、内視鏡の挿入部を屈曲させ観察方向を変えながら行われるが、引用文献1の内視鏡用シースでは、ヒステロファイバースコープのチャンネルを通して子宮内に液体注入して、子宮内に溜まった液体を灌流させるため子宮外部に排出する排液口はシース体の先端開口部の内視鏡の挿入部外周面との隙間だけで、また、排液通路は内視鏡の挿入部の外周面とシース体内面の隙間のみであり、チャンネルを通した安定、確実な液体注入に比較して、排液については排液口、排液通路とも狭い隙間が通路となるため、軟性内視鏡の観察のための屈曲により、シース体が変形して潰れるなどして該排液通路が細くなってしまい十分な灌流ができなくなり、最悪の場合、灌流が滞ってしまう懸念がある。
また、この懸念を解消すべく、排液通路や排液口を大きく確保するのに内腔の隙間を大きく設定すると、当然、シース体の外径が大きくなり、挿入を容易とするため細く形成されたヒステロファイバースコープの挿入部の細径の意味がなくなり、患者によっては痛みが強くなったり、径が大きすぎて挿入できなくなってしまったりするなど患者に負担をかけてしまう懸念がある。
また、引用文献2は子宮に適用するものではないが、側孔を備えており、該側孔部分を液体の排液口とすることができるものであるが、屈曲により側孔が潰れて塞がったり小さくなったりしてしまう懸念が残り、この懸念を払拭するため側孔を多数設けたり、大きくしたりすると外套管の強度が低下して子宮内への挿入等に支障を生じてしまう懸念がある。また、側孔により排液口の面積は大きくなるが、排出通路は前記同様に内視鏡の挿入部外周面とシース本体の内面の隙間であることに変わりなく、前記特許文献1と同様な懸念は払拭されるものではなく、外部に排出される灌流液の量は大きく改善されるものではない。
そこで、本発明は、ヒステロファイバースコープ等の軟性内視鏡を内挿する外套管において、シースの外径を大きくすることなく、また、その強度を大きく損なうことなく、十分な灌流液を安定して確実に排出することで、観察部位をクリアな状態に保つことができる軟性内視鏡用外套管を提供することを課題とした。
本発明の軟性内視鏡用外套管は、軟性内視鏡の挿入部を挿通する内腔を備えた長尺な可撓性のシースと、該シースと内腔を連通して末端部に接続するシース基と、該シース基から延設されシースを保持するシャフトより構成し、該シースには両端部分を除き軸方向に直線状に形成される切込みを設け、更に、該切込みの中間部の一部には軸方向に延びる長穴開口部を設けて形成する。
また、シースに軟性内視鏡の挿入部を挿通したさい、シース内面と軟性内視鏡の挿入部との隙間、及び、前記切込みが流体の灌流(排出)通路として形成される。
(作用)
前記手段の内視鏡用外套管によると、シース側面の軸方向に直線状の切れ込みを設け、更に、その一部を長穴開口部としたことにより、シースと内視鏡の挿入部の隙間を毛細管現象により、例えば子宮内部から外部に排出される灌流液体をシースの先端開口部に加え、切込みや長穴開口部を排液口として効率的に取り込むことができる。また、内視鏡の挿入部を屈曲するとき、追従して屈曲する可撓性のシースは切込みや長穴開口部が変形し、場所により周方向に僅かに開閉したり、内視鏡の挿入部との隙間を大小したりし、全体として灌流液の排液口や排液通路となる部位を完全に潰してしまうことが無く、結果、灌流を安定することができる。
また、前記の通り灌流液の排出に不足が無くなるため、排液経路となるシース内腔確保のためシースを太くする必要が無い。更に、シース両端部には切込みの無い部分を残しており、また、切込みや長穴開口部が軸方向に一直線に形成されているためシースの強度を大きく損なうことが無い。
更に、切込みや長穴開口部を基近くまで設定し、処置中該切込み末端部や長穴開口部末端を子宮外部に位置させ、一方、長穴開口部の多くの部分を液体が注入された観察部に位置するようなサイズに設定すると、長穴開口部のほとんどが有効な大きな排液取り入れ口となり、前記切込み部末端、及び、長穴開口部末端が、シース基末端と内視鏡の挿入部との隙間と共に排液を子宮外部へ排出する排出口となるため一層効率的に潅流することができる。
本発明の軟性内視鏡用外套管によると、シースの外径を大きくすることなく、また、その強度を大きく損なうことなく、内視鏡の挿入部とシースの隙間、及び、シースの切込みを通路として溜まった灌流液を効率よく体外に排出することにより安定した確実な灌流が可能となり、結果、観察部内部の視野をクリアに保つことができる。
本発明の実施の形態の一例を示す構成図。 前記形態の軟性内視鏡の挿入部を内挿した状態を示す構成図。 従来の持続灌流の状態を示す模式図。 本形態の持続灌流の状態を示す模式図。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参考に詳細に説明する。
図1は本実施の形態の軟性内視鏡用外套管を示す構成図で、図2は軟性内視鏡の挿入部を内挿した外套管を示している。
本形態の軟性内視鏡用外套管は、子宮内に挿入し、灌流液(生理食塩水やブドウ糖溶液)で持続灌流させながら子宮内部を観察するためのヒステロファイバースコープ9に装着して用いられる外套管で、本例では、適用となるヒステロファイバースコープ9として、挿入部91が軟性で任意に屈曲可能な外径が3.1mm(呼称)と細径な軟性内視鏡を想定しているが、用途やサイズ等は、ここに記載する例に限定するものではない。
本発明の外套管は、前記ヒステロファイバースコープ9の挿入部91を僅かな隙間を設けて内挿可能な内腔と両端部分を除く軸方向に一直線状に形成される切込み12、及び、該切込み12の一部に設ける長穴開口部13を備えたシース1と、該シース1の内腔と連通する内腔を備えてシース1の末端部に接続するシース基2と、シース基2から近位方向に延設して設ける操作部となる長尺なシャフト3より構成される。
シース1は、熱可塑性エラストマー等(本例においてはポリ塩化ビニル)の柔軟な樹脂により、前記の通りヒステロファイバースコープ9の挿入部91を、その外周面と液体(排液)通路となる隙間を設けて内挿可能な内径(本例においては約3.8mm)、子宮内に無理なく挿入可能でかつシース1の強度を損なうことのない外径(本例にいては約4.9mm)、及び、平均的な子宮頸管の長さより若干長い長さ(本例においては約110mm)に形成されたチューブによりなる。
そして、シース1内面と挿入部91の外周面の隙間に加え、灌流の排液通路を担う切込み12が、該シース1の軸方向に先端部分及び末端部分(本例においては先端部、及び、末端部から各々約5mm部分)を除いて一直線状に設けられ、該切込み12の一部分には、灌流液体のシース1内腔への取り入れ口、及び、子宮外部への排出口となる、軸方向に細長く形成(本例においてはシース先端20mmの位置から幅1mm、長さ50mmに形成された長方形の開口)される長穴開口部13を設けて形成した。
シース基2は、前記シース1と同様にヒステロファイバースコープ9の挿入部91を灌流通路となる隙間を有して内挿可能な内腔を備え、シース1の末端部に接続される基部で、材質は特定するものではないが、内視鏡を挿通するさいの安全性等を考慮して樹脂とすることが好ましい。そして、シース基2の内腔はシース1内腔と連通されており、末端部の開口部が末端排液口21として、子宮内からの灌流液体の自然排出口となる。
シャフト3は、前記シース基2から近位側に延設された金属あるいは硬質な樹脂よりなる棒状の長尺な把持部で、その末端部(近位端)を膣の外部まで突出する長さ(本例においてはシース基2末端部から約70mm)に設定し、子宮内に挿入されたシース1を体外から操作することができるものとした。このシャフト3により、例えば、ヒステロファイバースコープ9の屈曲の方向(シース1の屈曲方向)により灌流が上手くいかない場合、シャフト3の操作によりシース1の角度を変えることにより、前記切れ込み12、長穴開口部13の状態を変えて灌流を回復するといった使い方も考えられる。
次に、従来及び本発明の持続灌流における灌流液体の流れについて図面を参考に説明する。図3は従来のシース部分の灌流液の流れで、Aがヒステロファイバースコープ9及びシース体5の先端部分の状況、Bがシース器具末端部分の状況を示し、図4は本発明の灌流液の流れで、同様にAが先端部分、Bが末端部分の状況を示している。
従来の内視鏡シースにより灌流するさいは、灌流液として生理食塩水あるいはブドウ糖溶液をヒステロファイバースコープ9のチャンネルからが注入し、チャンネル内を通って、該チャンネルの先端の注液口93から子宮内に注液される。そして、注液された液体は、シース体5先端の先端開口部51とヒステロファイバースコープ9の挿入部91との隙間からシース1内に入り、シース体5と挿入部91の隙間として形成された排液通路を通って、シース体基6の末端開口部と挿入部91の隙間の末端排液口61から子宮外部に排液される。尚、末端排液口61からの自然排出ではなく、シース体基6に排液チューブを備えて、該チューブを通して排液するものであっても良い。
この場合、ヒステロファイバースコープ9の挿入部91がストレートに近い状態であれば、あるいは、挿入部91の外周面とシース体5の内面の隙間が十分にあれば灌流液の排出に問題はないが、挿入部91を深く屈曲した場合、柔軟樹脂からなるシース体が変形し潰れ、前記挿入部91とシース体5の隙間を閉塞してしまい灌流が滞って、内視鏡による明瞭な視野が確保できないことが懸念される。
一方、本発明の外套管による灌流は、灌流液注入は従来と同様にヒステロファイバースコープ9のチャンネルより子宮内に注入されるが、注入された灌流液は、従来のシースの先端開口部11と挿入部91の隙間に加え、スリット12の接触面のずれた部位や長穴開口部13からもシース1内腔へと排出され、シース1と挿入部91の隙間として形成された排液通路を通って、従来のシース基2の末端開口部と挿入部91の隙間の末端排液口21に加え、子宮口の外部に位置する切込み12の末端121や、位置によっては、長穴開口部13の末端131からも子宮外部に排出される。尚、前記同様末端排液口21からの自然排出ではなく、排液チューブを通して排液するものとしても良い。
本形態によると、灌流液の子宮内からシース1内腔への排出口として切込み12や長穴開口部13が、シース1から子宮外部への排液口に切込み末端121や長穴開口部末端131を備えることで、従来に比較して効率よく安定した灌流液の排出ができる。また、従来器具で問題となっていたヒステロファイバースコープ9の挿入部91を深く屈曲した場合でも、該屈曲に追従して柔軟なシース1が屈曲変形することで、シース1の先端から末端まで一直線状に長く形成された切込み12の接触面がずれて隙間を生じたり、長穴開口部13が開閉されたりして、シース1全体として灌流が滞ってしまうような潰れなどが生じることは考えにくく、万一、灌流不良を起こした場合でもシャフト3操作によりシースの方向、位置を変えることで容易に状況を改善することができる。
これにより、安定した確実な灌流ができ、観察視野を常にクリアな状態に保つことができる。
1. シース
11. 先端開口部
12. 切込み
121.切込み末端
13. 長穴開口部
131.長穴開口部末端
2. シース基
21. 末端排液口
3. シャフト
31. 接続ネジ
9. ヒステロファイバースコープ
91. 挿入部
92. 挿入部先端
93. 注液口(チャンネル先端)

Claims (2)

  1. 軟性内視鏡の挿入部を挿通する内腔を備えた長尺な可撓性のシースと、該シースと内腔を連通して末端部に接続するシース基と、該シース基から延設されシースを保持するシャフトより構成し、該シースには両端部分を除き軸方向に直線状に形成される切込みを設け、更に、該切込みの中間部の一部には軸方向に延びる長穴開口部を設けたことを特徴とする軟性内視鏡用外套管。
  2. 前記シースに軟性内視鏡の挿入部を挿通したさい、該シースと挿入部の隙間、及び、前記切込みが流体の灌流通路となる請求項1の軟性内視鏡用外套管。
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