JP6411865B2 - カッターの移動経路決定装置、カッティングシステム、およびカッターの移動経路決定方法 - Google Patents

カッターの移動経路決定装置、カッティングシステム、およびカッターの移動経路決定方法 Download PDF

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Description

本発明は、カッターの移動経路決定装置、カッティングシステム、およびカッターの移動経路決定方法に関する。
従来から、メディアをカットするカッターを有しかつ第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置とを備えたカッティング装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このようなカッティング装置では、カッターをメディアに突き刺した状態で第1の方向に適宜に移動させるとともに、メディアを第2の方向に適宜に移動させることにより、カッターをメディア上で自由に移動させることができる。これにより、メディアを任意の形状にカットすることができる。
カッティング装置には、メディアのどの部分をカットするかを指示するカッティングデータが入力される。カッティング装置は、そのカッティングデータに基づいてカッティングヘッドの移動およびメディアの移動を制御し、メディアを所望の形状にカットする。メディアのうちカッターによって切り取られる部分(以下、カット物という)は、そのカット物の輪郭線によって画定される。カッターがメディアに刺さった状態のまま上記輪郭線上を移動することにより、上記カット物が切り取られる。
カッティング装置を用いて、一枚のメディアから複数のカット物を切り取る場合がある。この場合、カッターは複数のカット物の輪郭線上を移動することになる。各カット物の輪郭線には、カットを始める点である始点が設定される。例えば図15に示すように、第1カット物A101には始点P101が設定され、第2カット物A102には始点P102が設定され、第3カット物A103には始点P103が設定される。なお、符号X、Yは、それぞれ第1の方向、第2の方向を表している。符号111は第1の方向に移動可能なカッティングヘッドを表し、符号112は第2の方向に移動可能なメディアを表している。
従来は、一枚のメディア112から複数のカット物A101〜A103を切り取る場合、例えば、予めユーザにより定められた順番にカッティングヘッド111のカッターを移動させることとしていた。例えば、始めに第1カット物A101の始点P101上にカッターを移動させ、その後、カッターをメディア112に突き刺し、第1カット物A101の輪郭線に沿ってカッターを移動させる。第1カット物A101を切り取った後、カッターをいったん上昇させ、第2カット物A102の始点P102上に移動させる。そして、カッターを再びメディア112に突き刺し、第2カット物A102の輪郭線に沿って移動させる。第2カット物A102を切り取った後は、カッターを再び上昇させ、第3カット物A103の始点P103上に移動させる。そして、カッターを再びメディア112に突き刺し、第3カット物A103の輪郭線に沿って移動させることにより、第3カット物A103を切り取る。
特開2011−218457号公報
しかし、上記方法では、カッターの総移動距離が長くなる場合があり、全カット物A101〜A103を切り取るまでの時間が長くなったり、全カット物A101〜A103を切り取るために必要な電力消費量が多くなる場合があった。また、第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置とを備えるカッティング装置は、レーザ照射装置が第1の方向および第2の方向に移動可能に構成されたレーザ加工装置等とは異なる特有の性質を有している。メディアを円滑に切り取るためには、カッティング装置の特性を考慮した上で、カッターの移動経路を決定することが好ましい。
また、カット物の輪郭線をカットする際に、始点から移動して始点に戻ってくるようにカッターを移動させる必要は必ずしもなく、結果的に全輪郭線上を移動するようにカッターを移動させればよく、途中の移動経路は特に限定されない。カッティング装置の特性を考慮した上で、メディアをより良好にカットできるようカッターの移動経路を決定することが好ましい。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置とを備えたカッティング装置において、カッティングヘッドのカッターの好適な移動経路を決定する装置および方法を提供することである。
本発明に係るカッターの移動経路決定装置は、第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、前記第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置と、前記カッティングヘッドに設けられ、前記第1の方向および前記第2の方向と垂直な第3の方向に移動可能なカッターと、を備えたカッティング装置において、前記メディアに対する前記カッターの移動経路を決定する移動経路決定装置である。本移動経路決定装置は、前記カッターによりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される入力部と、2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正する補正部と、前記入力部に前記データが入力されると、前記補正部による補正を受けながら、前記複数の点の全てを通りかつ総移動距離が最短となるような移動経路を遺伝的アルゴリズムを適用して演算する演算部と、を備える。
上記移動経路決定装置によれば、演算部により、総移動距離が最短となるような移動経路(なお、ここでいう総移動距離が最短となる移動経路とは、実際の総移動距離が最短となる移動経路ではなく、補正部による補正後の総移動距離が最短となる移動経路のことである。)が演算されるので、当該移動経路に沿ってカッターを移動させることにより、カット時間の短縮および電力消費量の低減が可能となる。また、補正部により、同一の距離であっても第2の方向の距離の方が第1の方向の距離よりも長いと見なされるような補正が行われるので、第2の方向の移動の方が第1の方向の移動よりも誤差が生じやすいというカッティング装置の特性を考慮した上で、移動経路を決定することができる。したがって、カッティング装置の特性を考慮した好適な移動経路とすることができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記カッティング装置は、同一のメディアから複数のカット物を切り取り可能に構成されている。前記データに含まれる前記複数の点には、前記各カット物の輪郭線上におけるカットされ始める点である始点が含まれる。前記補正部は、前記演算部が2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記カッティング装置は、前記カッティング装置が載置される床面よりも上方かつ前記カッターの下方において前記メディアを支持するプラテンを更に備えている。前記メディア上において前記メディアの前端部から前記第2の方向に所定距離離れた前記第1の方向に延びる直線を境界線としたときに、前記補正部は、前記演算部が2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記2つの始点を結ぶ線分が前記境界線と交差する場合の方が前記境界線と交差しない場合よりも移動距離が長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記データに含まれる前記複数の点には、前記メディアから切り取られる同一のカット物の輪郭線上に位置する複数の点が含まれる。前記補正部は、前記演算部が前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記メディア移動装置は、前記カッターよりも後方に配置され、前記メディアを前方および後方に移動させるグリッドローラを備えている。前記補正部は、前記演算部が前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記メディアを前方に移動させるときの距離の方が前記メディアを後方に移動させるときの距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている。
本発明に係るカッターの移動経路決定装置によれば、前記第1の方向、前記第2の方向の座標をそれぞれX、Yとしたときに、前記演算部は、X、Yの座標がそれぞれXa、Yaの点からX、Yの座標がそれぞれXb、Ybの点までの移動距離を、補正係数Kを用いて、[(Xa−Xb)+K(Ya−Yb)1/2と見なすように構成されている。前記補正部は、前記補正係数Kとして1よりも大きな値を設定するように構成されている。
本発明に係るカッティングシステムは、前記カッティング装置と、前記カッターの移動経路決定装置と、を備える。
本発明に係るカッターの移動経路決定方法は、第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、前記第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置と、前記カッティングヘッドに設けられ、前記第1の方向および前記第2の方向と垂直な第3の方向に移動可能なカッターと、を備えたカッティング装置において、前記メディアに対する前記カッターの移動経路を決定する移動経路決定方法である。本移動経路決定方法は、前記カッターによりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される入力ステップと、前記複数の点の全てを通りかつ総移動距離が最短となるような移動経路を遺伝的アルゴリズムを適用して演算する演算ステップと、を含み、前記演算ステップにおいて、2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なす。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記カッティング装置は、同一のメディアから複数のカット物を切り取り可能に構成されている。前記データに含まれる前記複数の点には、前記各カット物の輪郭線上におけるカットされ始める点である始点が含まれる。前記演算ステップにおいて、2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なす。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記カッティング装置は、前記カッティング装置が載置される床面よりも上方かつ前記カッターの下方において前記メディアを支持するプラテンを更に備える。前記メディア上において前記メディアの前端部から前記第2の方向に所定距離離れた前記第1の方向に延びる直線を境界線としたときに、前記演算ステップにおいて、2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記2つの始点を結ぶ線分が前記境界線と交差する場合の方が前記境界線と交差しない場合よりも移動距離が長いと見なす。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記データに含まれる前記複数の点には、前記メディアから切り取られる同一のカット物の輪郭線上に位置する複数の点が含まれる。前記演算ステップにおいて、前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なす。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記メディア移動装置は、前記カッターよりも後方に配置され、前記メディアを前方および後方に移動させるグリッドローラを備える。前記演算ステップにおいて、前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記メディアを前方に移動させるときの距離の方が前記メディアを後方に移動させるときの距離よりも長いと見なす。
本発明に係るカッターの移動経路決定方法によれば、前記第1の方向、前記第2の方向の座標をそれぞれX、Yとしたときに、前記演算ステップにおいて、X、Yの座標がそれぞれXa、Yaの点からX、Yの座標がそれぞれXb、Ybの点までの移動距離を、1よりも大きな補正係数Kを用いて、[(Xa−Xb)+K(Ya−Yb)1/2と見なす。
本発明によれば、第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置とを備えたカッティング装置において、カッティングヘッドのカッターの好適な移動経路を決定することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るカッティングシステムの構成図である。 図2は、カッティングヘッドおよびカッターの正面図である。 図3は、第1実施形態に係るカット物の説明図である。 図4は、移動経路の一例を示す説明図である。 図5は、移動経路の他の一例を示す説明図である。 図6は、輪郭線の各始点についての評価関数の値を記した表である。 図7は、遺伝的アルゴリズムを適用したカッターの移動経路の決定方法を示すフローチャートである。 図8は、初期集団の個体を表す図である。 図9は、ソート後の個体を表す図である。 図10は、2点交叉により新たな個体が生成される一例を表す図である。 図11は、部分射像交叉により新たな個体が生成される一例を表す図である。 図12は、突然変異により新たな個体が生成される一例を表す図である。 図13(a)は移動経路の一例を示す説明図であり、図13(b)は移動経路の他の一例を示す説明図である。 図14は、第3実施形態に係るカット物の説明図である。 図15は、従来のカッターの移動経路の一例を示す説明図である。
(第1実施形態)
図1に示すように、カッティングシステム1Aは、カッティング装置1およびカッターの移動経路決定装置(以下、移動経路決定装置という)20を備えている。カッティング装置1は、シート状のメディア50をカットする装置である。カッティング装置1には、移動経路決定装置20が有線または無線により通信可能に接続されている。移動経路決定装置20はカッティング装置1と別体であってもよく、カッティング装置1に内蔵されていてもよい。本実施形態では、移動経路決定装置20はコンピュータにより構成されている。移動経路決定装置20は、カッティング装置1のための専用のコンピュータであってもよく、汎用のコンピュータであってもよい。
メディア50の種類は特に限定されないが、例えば、紙、合成樹脂等である。本実施形態ではメディア50は可撓性を有しており、図1に示すように、重力により垂れ下がる性質を有している。
以下の説明では、左側、右側とは、カッティング装置1の正面から見て左側、右側をそれぞれ意味し、カッティング装置1の正面から見てカッティング装置1から遠ざかる側、近づく側をそれぞれ前側、後側という言うこととする。図中の符号L、R、F、Reは、それぞれ左、右、前、後を表す。図中の符号X、Y、Zで表される方向を、それぞれ第1方向、第2方向、第3方向とする。第1方向は左右方向であり、第2方向は前後方向であり、第3方向は上下方向である。第1方向、第2方向、および第3方向は、互いに垂直な方向である。ただし、上記方向は便宜上定めた方向に過ぎず、特に限定される訳ではない。
カッティング装置1は、左右方向に延びるガイドレール5と、ガイドレール5に沿って左方および右方に移動可能なカッティングヘッド10と、メディア50を支持するプラテン2とを備えている。プラテン2の左右の端部には、サイドカバー9L,9Rがそれぞれ配置されている。右側のサイドカバー9Rには、操作パネル6が設けられている。プラテン2の下方には、キャスター7aを有するスタンド7が設けられている。プラテン2は、カッティング装置1が載置された床面よりも上方に配置されている。
図示は省略するが、ガイドレール5の右端部分の近傍には駆動プーリが配置され、ガイドレール5の左端部分の近傍には従動プーリが配置され、それら駆動プーリおよび従動プーリにはベルトが巻かれている。駆動プーリには、両方向に回転可能な駆動モータが連結されている。カッティングヘッド10は、上記ベルトに固定されている。駆動モータが駆動すると駆動プーリが回転し、ベルトが循環する。ベルトが循環することにより、カッティングヘッド10は左方または右方に移動する。本実施形態ではこのような構成により、カッティングヘッド10は左右方向(すなわち第1方向)に移動可能となっている。ただし、カッティングヘッド10を左右方向に移動させる装置には公知の任意の装置を利用することができ、何ら限定されない。
プラテン2には、グリッドローラ3が設けられている。グリッドローラ3は、図示しないフィードモータによって駆動され、回転する。ガイドレール5はプラテン2の上方に配置されている。ガイドレール5の下方には、ピンチローラ4aが設けられている。ピンチローラ4aは、ガイドレール5に対して上下方向に揺動自在に取り付けられている。ピンチローラ4aはグリッドローラ3に対向している。メディア50がピンチローラ4aとグリッドローラ3との間に挟み込まれた状態でグリッドローラ3が回転すると、メディア50は前方または後方に移動する。本実施形態ではこのような構成により、メディア50は前後方向(すなわち第2方向)に移動可能となっている。グリッドローラ3および上記フィードモータは、メディア50を第2方向に移動させるメディア移動装置の一例である。ただし、メディア移動装置には公知の任意の装置を利用することができ、何ら限定されない。
カッティングヘッド10は、ガイドレール5に係合している。図2に概念的に示すように、カッティングヘッド10にはカッター12が設けられている。カッター12は、上下方向(すなわち第3方向)に移動可能に構成されている。カッター12は、メディア50に突き刺さるようにメディア50に接近可能であり、また、メディア50から離反可能である。カッター12を上昇および下降させる装置は特に限定されないが、例えば、アクチュエータとして電磁ソレノイドを備えた装置を好適に用いることができる。例えば、電磁ソレノイドに通電することによりカッター12を下降させ、その通電を解除することによりカッター12を上昇させる装置を好適に用いることができる。カッター12は、先端側に行くほど細くなるように形成されている。カッター12の刃先12aの輪郭は、メディア50の表面に対して傾斜している。そのため、カッター12を下降させると、カッター12は先端から徐々に深くメディア50に突き刺さる。カッター12は、刃先12aの向きが変更可能に構成されている。ここでは、カッター12は図示しない鉛直軸周りに360°の範囲で回転可能に構成されている。カッティングヘッド10がメディア50に対して移動する際に、カッター12は、カッティングヘッド10の移動の向きに応じて刃先12aの向きが変更するように構成されている。ただし、上記構成は一例に過ぎず、カッター12の構成は特に限定される訳ではない。
移動経路決定装置20は、カッター12によりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される入力部21と、カッター12の移動経路を演算する演算部22と、演算部22の演算に対して補正を加える補正部23とを備えている。
以上がカッティング装置1および移動経路決定装置20の構成である。次に、カッティング装置1を用いて、一枚のメディア50から複数のカット物を得る方法について説明する。ここでは、図3に示すように、一枚のメディア50から第1〜第9カット物A1〜A9を得る方法について説明する。
メディア50からカット物を切り取るためには、カッター12をメディア50に突き刺した状態のまま、カッター12の左右方向の移動およびメディア50の前後方向の移動を制御することにより、カッター12を当該カット物の輪郭線に沿って移動させる必要がある。各カット物の輪郭線上には、カットされ始める点である始点が定められている。カッター12は、メディア50の始点上の位置に移動した後、下降することによってメディア50に突き刺さり、メディア50に突き刺さった状態のまま始点から輪郭線上を移動し、再び始点に戻る。これにより、当該カット物が切り取られる。
一枚のメディア50から複数のカット物を切り取る場合、上述のようにして一つのカット物を切り取った後、カッター12をいったん上昇させ、カッター12を次のカット物の輪郭線の始点上に向けて移動させる。カッター12が次のカット物の輪郭線の始点上に到達すると、カッター12を再び下降させてメディア50に突き刺す。そして、カッター12がメディア50に突き刺さった状態のまま、カッター12を輪郭線に沿って移動させる。カッター12が再び始点に戻ることにより、次のカット物が切り取られる。以後、同様の動作を繰り返し、全てのカット物を切り取る。
第1〜第9カット物A1〜A9の輪郭線をそれぞれL1〜L9とし、輪郭線L1〜L9にはそれぞれ始点P1〜P9が定められているとする。一枚のメディア50から第1〜第9カット物A1〜A9を切り取る場合、始点P1〜P9の全てを通るようにカッター12を移動させなければならない。カッティング装置1を駆動する前に、予めカッター12の移動経路を決定しておかなければならない。本カッティングシステム1では、移動経路決定装置20がカッター12の移動経路を決定し、カッティング装置1がその移動経路に沿ってカッター12およびメディア50を移動させる。
一般的に、カッター12の総移動距離は短い方が好ましい。総移動距離が短いほど、短時間でカット作業を終えることができ、また、カッティング装置1の消費電力量を低減できるからである。そこで本実施形態では、カッター12の総移動距離が短くなるよう、カッターの移動経路を巡回セールスマン問題に準ずる問題として捉えることとした。しかし、巡回セールスマン問題に準ずる問題として移動経路を決定する場合、カット物の個数が多いと演算処理が膨大となり、コンピュータの演算負荷が大きくなり、また、演算に長時間を要する。そこで本実施形態では、遺伝的アルゴリズムを利用することにより演算を簡略化し、コンピュータの演算負荷を軽減することとした。また、演算時間を短縮することとした。一方、カッティング装置1では、カッター12の総移動距離が短い方が好ましいが、最も重要なことは全てのカット物A1〜A9を正確な形状に切り取ることである。そこで本実施形態では、カット物を正確な形状に切り取りやすいよう、遺伝的アルゴリズムの適用に際して、カッティング装置1の特性を評価関数の要素として加味することとした。
カッター12の移動距離は、2つの始点間のX方向距離およびY方向距離によって特定される。そこで、X方向の距離およびY方向の距離を評価関数の要素とする。ところで、カッティング装置1では、メディア50はピンチローラ4aとグリッドローラ3とに挟まれ、グリッドローラ3によって前後に搬送されるが、メディア50とピンチローラ4aとの間、または、メディア50とグリッドローラ3との間に滑りが発生することがある。そのため、Y方向の移動はX方向の移動に比べると誤差が生じやすい。そこで本実施形態では、X方向の移動に比べてY方向の移動が少なくなるように評価関数を設定する。本実施形態では、同一の距離であってもY方向の距離の方がX方向の距離よりも長いと見なされるように評価関数を設定する。
また、図1に示すように、本実施形態に係るカッティング装置1はスタンド7を備えており、プラテン2は床面よりも上方に配置されている。メディア50は可撓性を有しており、メディア50のうち前方に送り出された部分はプラテン2から垂れ下がる。床面からプラテン2までの高さをHとすると、メディア50が前方に長さHだけ送り出されたときに、メディア50の前端部が床面に接触する。メディア50はピンチローラ4aとグリッドローラ3とに挟まれることにより保持されるが、メディア50の前端部が床面に接触した瞬間、ピンチローラ4aおよびグリッドローラ3は若干の衝撃を受ける。その結果、メディア50の位置が若干ずれるおそれがあり、カット物の品質に悪影響を与えることが懸念される。そこで、本実施形態では、メディア50の前端部から長さHの部分を跨ぐようなカッター12の移動を評価関数の要素の一つとして考慮することとした。
X座標およびY座標の設定方法は何ら限定されないが、ここでは図3に示すように、メディア50の左前端を原点Oとし、原点Oから右向きにX軸、原点Oから後向きにY軸をとることとする。輪郭線L1〜L9の始点P1〜P9のうち任意の2つの点を点A(Xa,Ya)および点B(Xb,Yb)とすると、点Aと点Bとの間の実際の距離は下記の式(1)にて表される。
[(Xa−Xb)+(Ya−Yb)1/2 ・・・(1)
しかし本実施形態では、2点間の実際の距離で評価するのではなく、カッティング装置1の特性を考慮した係数Kを導入し、評価関数J(A,B)として下記の式(2)を用いる。
J(A,B)=[(Xa−Xb)+K(Ya−Yb)1/2 ・・・(2)
本実施形態では、カッター12の移動経路を巡回セールスマン問題に準ずる問題として捉えるので、評価関数Jの値が小さいほど好ましい経路と評価される。
係数Kは、下記式(3)にて定められる。
K=Y方向の重み付け係数Ky+プラテン高さ係数Kh ・・・(3)
係数Kyは、例えばピンチローラ4aおよびグリッドローラ3の種類、ピンチローラ4aのピンチ圧、メディア50の種類などに応じて適宜に設定することができる。例えば、メディア50が滑りやすい材料からなるメディアの場合、滑りにくいメディアからなる場合に比べて係数Kyの値を大きめに設定してもよい。このことにより、メディア50が滑りやすい場合ほど、Y方向の移動の少ない経路がより高く評価されることになる。例えば図4に示すように、点Aから点Bまでの実際の距離と、点Aから点Cまでの実際の距離とが等しいときであっても、メディア50が滑りやすいために係数Kyが大きい場合、Y方向の移動距離が短いA→Cという経路の方が、Y方向の移動距離が長い点A→Bという経路よりも評価が高くなる。
係数Khは、メディア50の前端部の床面に対する接触を考慮した係数である。係数Khは、メディア50上においてメディア50の前端部から後方へ距離H離れたX方向に延びる直線を境界線Lcとしたときに、2点間の移動が境界線Lcを跨ぐか否かによって値が異なる係数である。言い換えると、上記2点を結ぶ線分が境界線Lcと交差するか否かによって値が異なる係数である。上記2点を結ぶ線分が境界線Lcと交差する場合、交差しない場合に比べて係数Khの値は大きくなる。そのため、2点間の実際の距離が同一であっても、2点を結ぶ線分が境界線Lcと交差する場合の方が、境界線Lcと交差しない場合よりも、移動距離が長いと見なされるように補正が行われる。例えば図5に示すような点A、点B、点Cを考えた場合、点Aと点Bとを結ぶ線分は境界線Lcと交差するが、点Aと点Cとを結ぶ線分は境界線Lcと交差しないので、A→Bという経路をとるときの係数Khは、A→Cという経路をとるときの係数Khよりも大きくなる。例えば、A→B→Cという経路は、A→C→Bという経路よりも総移動距離は短いが、境界線Lcを2回跨ぐことになるので、A→C→Bという経路よりも評価が低くなる場合がある。境界線Lcを跨ぐ回数が多いほど誤差が生じやすいからである。
図6は、輪郭線L1〜L9の始点P1〜P9のそれぞれについて、評価関数の値を記した表である。すなわち、図6は、始点P1〜P9の任意の一つを点Aとし、他の任意の一つを点Bと見なして、前記式(1)〜(3)を用いて評価関数J(A,B)の値を演算した結果を表している。なお、原点からの距離は、(X+Y1/2により算出する。例えば、点A(Xa,Ya)、点B(Xb,Yb)の原点からの距離は、それぞれ(Xa+Ya1/2、(Xb+Yb1/2である。
図7は、本実施形態に係るカッターの移動経路の決定方法のフローチャートである。本決定方法では、遺伝的アルゴリズムを利用する。まず、ステップS1において、初期集団の生成を行う。ステップS1では、初めに、予め定められた数(以下、個体数nとする)の個体を生成する。各個体は、始点P1〜P9のいずれか一つからなる遺伝子を9個並べたものである。各個体の遺伝子の配列は乱数によって決定する。その結果、例えば図8に示すようなn個の個体G0、G0、G0、…、G0が得られる。なお、図8〜図12では、始点P1〜P9のことをそれぞれ単に“1”〜“9”と表記している。
次に、n個の個体を原点からの距離が近い順に並べ替える。すなわち、ソートを行う。具体的には、
(1)比較する2つの個体のうち、1番目の遺伝子が原点に近い方の個体を優秀な個体と見なし、高い評価を与えて上位に上げる。
(2)比較する2つの個体のうち、1番目の遺伝子の原点からの距離が等しい場合、2番目の遺伝子が原点に近い方の個体を優秀な個体と見なし、高い評価を与えて上位に上げる。
以下同様に、比較する2つの個体のうち、m−1(ここで、3<m≦nである。)番目までの遺伝子の原点からの距離がそれぞれ等しい場合、m番目の遺伝子が原点に近い方の個体を優秀な個体と見なし、高い評価を与えて上位に上げる。この結果、n個の個体G0、G0、G0、…、G0がソートされ、図9に示すように並び替えられる。図9では、ソート後のn個の個体を順にG1、G1、G1、…、G1としている。
次に、ステップS2の適応度の評価を行う。適応度の評価では、各個体の評価関数Jの合計値を演算する。例えば、図9の個体G1では、遺伝子が1→2→3→9→4→6→8→7→5の順に並んでいるので、評価関数の合計値として、J(P1,P2)+J(P2,P3)+J(P3,P9)+J(P9,P4)+J(P4,P6)+J(P6,P8)+J(P8,P7)+J(P7,P5)を演算する。そして、このようにして演算したn個の個体G1、G1、G1、…、G1の評価関数Jの合計値を比べ、評価関数の合計値が小さいものほど優秀な個体と見なし、高い評価を与える。そして、高い評価が与えられたものが上位となるように並べ替える。
なお、全ての遺伝子1〜9のうちいずれかを含まない個体では、カッター12がいずれかの始点を通らないことになるので、カット物A1〜A9の全てを得ることができない。そのため、全ての遺伝子1〜9を含んでいない個体は下位に位置づける。以下、ソート後のn個の個体を順にG2、G2、G2、…、G2とする。
次に、ステップS3の選択を行う。選択は、集団の中から優秀な個体をn個選ぶステップである。すなわち、選択は、適応度の評価において評価の高かったn個の個体を選ぶステップである。なお、1回目の選択では、集団に含まれる個体数はnであるので、全ての個体が選ばれる。
次に、ステップS4の交叉を行う。交叉の手法は特に限定されず、公知の各種の手法を用いることができる。公知の交叉の手法を組み合わせて適用してもよい。本実施形態では、処理の前半では2点交叉を用い、処理の後半では部分射像交叉を用いる。例えば最大の処理回数が2p回(pは自然数)に設定されている場合、1〜p回目のステップS4では2点交叉を用い、p+1〜2p回目のステップS4では部分射像交叉を用いる。
2点交叉では、適応度の評価において最も評価の高かった個体(以下、最優秀個体という)G2と、他の個体G2、G2、…、G2のうちの一つとをペアとする。次に、各ペアについて、最優秀個体G2の前半の遺伝子と他の個体の後半の遺伝子とを組み合わせた個体と、最優秀個体G2の前半の遺伝子を反転したものと他の個体の後半の遺伝子を反転させたものとを組み合わせた個体とを生成する。例えば図10に示すように、G2とG2とのペアから、G212およびG221が生成される。
部分射像交叉では、各ペアについて、最優秀個体の一部の区間を他の個体の当該区間と交換する。どの区間を交換するかはランダムに決定する。例えば、図11に示す最優秀個体GSと他の個体GSとのペアについて、3番目から6番目の区間を交換するとした場合、GSの当該区間の評価関数の合計値と、GSの当該区間の評価関数の合計値とを演算し、GSの当該区間の評価関数の合計値の方が小さい場合、GSの当該区間をGSの当該区間に置き換える。すなわち、J(P3,P9)+J(P9,P4)+J(P4,P6)>J(P3,P4)+J(P4,P5)+J(P5,P6)の場合、GSをGS´のように変更する。
次に、ステップS5の突然変異を行う。突然変異では、所定のルールに従って、新しい遺伝子の組み合わせを有する新たな個体を生成する。突然変異の手法は何ら限定されず、公知の各種手法を用いることができる。ここでは、最優秀個体以外の個体を対象として、所定の割合で突然変異を発生させる。例えば、最優秀個体以外の個体のうち所定の割合の個体について、所定の区間を反転させる。例えば、図12に示す個体GSに対し、5番目から8番目の区間の遺伝子を反転させる。その結果、突然変異の結果として、新たな個体GS´が生成される。
次に、ステップS6において、適応度の評価を行う。適応度の評価では、ステップS3で選択されたn個の個体と、ステップS4およびステップS5で生成された新たな個体とについて、それぞれ評価関数Jの合計値を演算する。そして、評価関数Jの合計値が小さい順にソートを行う。すなわち、評価関数Jの合計値が小さいものほど優秀な個体として上位に位置づける。そして、最も上位の個体が最優秀個体となる。
次に、ステップS7において、終了判定を行う。ステップS7は、次の(1)または(2)に該当するか否かを判定するステップである。
(1)ステップS3〜S6の処理の回数が予め定められた所定回数に達したこと。
(2)ステップS6で最優秀個体として選ばれた個体が、予め定められた所定回数の間、同じであること(言い換えると、同一の個体が所定回数連続で最優秀個体として選ばれること)。
ステップS7の判定の結果がNOであれば、ステップS3に戻り、再びステップS3以降の処理を繰り返す。一方、ステップS7の判定の結果がYESであれば、処理を終了する。その結果、最優秀個体で特定される移動経路が、カッターの最適な移動経路と見なされる。以上のようにして、カッターの移動経路が決定される。
次に、カッティング装置1の動作を簡単に説明する。まず、移動経路決定装置20の入力部21に、カッター12によりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される。本実施形態では、一枚のメディア50のどの領域にどのような形状のカットを行うかを特定するデータ(以下、カット物データという)が入力される。カット物データは、第1〜第9カット物A1〜A9の位置、寸法および形状を特定するデータである。
カット物データが入力された後、移動経路決定装置20の演算部22および補正部23が、メディア50に対するカッター12の移動経路を決定する。カッター12の移動経路の決定方法は上述の通りである。なお、補正部23は前記補正係数Kを決定し、演算部22は前述の各種演算を実行する。
カッター12の移動経路が決定された後、移動経路決定装置20は、カッター12の移動経路の情報を含むカッティングデータをカッティング装置1に送信する。カッティングデータを受信したカッティング装置1は、カッティングヘッド10をX方向に適宜移動させると共にメディア50をY方向に適宜移動させることにより、カッター12を上記移動経路に沿って移動させる。これにより、一枚のメディア50から第1〜第9カット物A1〜A9が切り取られる。
以上のように、本実施形態によれば、総移動距離が最短となるような移動経路(なお、ここでいう総移動距離が最短となる移動経路とは、実際の総移動距離が最短となる移動経路ではなく、補正部23による補正後の総移動距離が最短となる移動経路のことである。)が演算されるので、当該移動経路に沿ってカッター12を移動させることにより、カット時間の短縮および電力消費量の低減が可能となる。また、補正部23により、同一の距離であってもY方向の距離の方がX方向の距離よりも長いと見なされるような補正が行われるので、Y方向の移動の方がX方向の移動よりも誤差が生じやすいというカッティング装置1の特性を考慮した上で、カッター12の移動経路を決定することができる。したがって、カッター12の移動経路として、カッティング装置1の特性を考慮した好適な移動経路を選ぶことができる。
また、カットの途中でメディア50の前端部が床面に接触すると、カット位置の誤差が生じる可能性があるが、本実施形態によれば、このような誤差が生じにくいようにカッター12の移動経路が決定される。したがって、カッティング装置1の特性を考慮した更に好適な移動経路を選ぶことができる。
(第2実施形態)
第1実施形態におけるカッターの移動経路の決定方法は、複数のカット物の輪郭線の始点に対してカッター12をどのように移動させるかを決定する方法であり、カッター12がメディア50に刺さっていない状態でカッター12をどのように移動させるかを決定する方法である。これに対し、第2実施形態におけるカッターの移動経路の決定方法は、同一のカット物の輪郭線上の複数の点に対してカッター12をどのように移動させるかを決定する方法であり、主にカッター12がメディア50に刺さっている状態でカッター12をどのように移動させるかを決定する方法である。カッティング装置1および移動経路決定装置20の構成は第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
カッティング装置1において、グリッドローラ3はカッター12よりも後方に配置されている。そのため、カッティング装置1では、例えばY方向に延びる直線に沿ってカットを行う場合、カッター12をメディア50に押し付ける力(以下、カット圧という)が大きいと、メディア50を前方に移動させてカットする場合よりも、メディア50を後方に移動させてカットする場合の方がカットの品質が安定する。カット圧が大きい場合、メディア50を前方に移動させるときに、メディア50がグリッドローラ3とカッター12との間で撓んでしまうおそれがあるからである。
そこで本実施形態では、係数Kの要素の一つとして、カット圧と、メディア50に突き刺さった状態でのカッター12の移動の向きとを考慮したカッティング方向係数Kcを導入する。本実施形態では、係数Kは下記式(4)により定められる。
K=Y方向の重み付け係数Ky+カッティング方向係数Kc ・・・(4)
点A(Xa,Ya)から点B(Xb,Yb)への移動の際、係数Kcは下記式(5)により定められる。
Kc=[(Yb−Ya)/|Yb−Ya|]×(Pc/Pcmax) ・・・(5)
ここで、Pcはカット圧であり、Pcmaxはカッティングヘッド10のカット圧の最大値である。メディア50に突き刺さった状態でのカッター12の移動の向きが後方の場合(すなわち、メディア50が前方に移動する場合)、Kcは正の値となり、メディア50に突き刺さった状態でのカッター12の移動の向きが前方の場合(すなわち、メディア50が後方に移動する場合)、Kcは負の値となる。メディア50を後方に移動させてカットする場合の方が、メディア50を前方に移動させてカットする場合よりも、係数Kcの値が小さくなる。また、メディア50を前方に移動させてカットする場合、カット圧が小さい場合の方が、カット圧が大きい場合よりもKcの値は小さくなる。
本実施形態においても、遺伝的アルゴリズムを用いてカッター12の移動経路を決定する。すなわち、上記式(4)で定義される係数Kを含む評価関数J(前述の式(2)参照)を用い、遺伝的アルゴリムを適用して、カッター12の最適な移動経路を決定する。本実施形態では、評価関数J中の係数Kにカッティング方向係数Kcが含まれるので、例えば図13(a)に示す四角形を切り取る場合、必ずしも図13(a)に示す移動経路を採るとは限らず、図13(b)に示す移動経路を採る場合もあり得る。
図13(a)に示す移動経路では、始点P1においてカッター12を下降させてメディア50に突き刺した後、メディア50に突き刺さった状態のままカッター12をP1→P2→P3→P4→P1の順に移動させる。図13(b)に示す移動経路では、始点P1においてカッター12を下降させてメディア50に突き刺した後、メディア50に突き刺さった状態のままカッター12をP1→P2→P3の順に移動させ、その後いったんカッター12を上昇させる。次に、メディア50の上方においてカッター12をP3からP1に移動させた後、再びカッター12を下降させ、点P1においてメディア50に突き刺す。そして、メディア50に突き刺さった状態のままカッター12をP1→P4→P3の順に移動させる。
例えば、メディア50が硬質の材料で形成されているためにカット圧が高い場合、図13(a)に示す移動経路では、メディア50を前方に移動させてカットする経路P3→P4が含まれるが、図13(b)に示す移動経路では、メディア50を前方に移動させてカットする経路が含まれない。そのため、カットの品質を向上させることができる。
なお、遺伝的アルゴリズムの適用方法は第1実施形態と同様であり、図7のフローチャートに従って処理を行っていく。処理の方法は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。また、移動経路決定装置20によりカッター12の移動経路が決定された後の処理も第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
以上のように、カッティング装置1では、メディア50を前方に移動させながらカットを行う場合、グリッドローラ3とカッター12との間でメディア50が撓んでしまい、カット位置の誤差が生じるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、このような誤差が生じにくいようにカッター12の移動経路が決定される。したがって、カッティング装置1の特性を考慮した好適な移動経路とすることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態は第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせたものである。すなわち、第3実施形態におけるカッターの移動経路の決定方法は、例えば図14に示すように、複数の点を含む輪郭線により画定される複数のカット物をカットする場合に、カッター12をどのように移動させるかを決定する方法である。第3実施形態におけるカッターの移動経路の決定方法は、カッター12がメディア50に刺さっていない状態での移動と、カッター12がメディア50に刺さっている状態での移動との両方を含む場合に、カッターをどのように移動させるかを決定する方法である。
図14に示す例では、カット物A1には点P1−1、P1−2、P1−3、およびP1−4が含まれ、カット物A2には点P2−1、P2−2、P2−3、およびP2−4が含まれる。図示は省略するが同様に、カット物Anには点Pn−1、Pn−1、Pn−1、およびPn−4が含まれる(ただし、nは3以上かつ9以下の整数である)。
本実施形態では、係数Kの要素として、Y方向の重み付け係数Kyに加えて、第1実施形態と同様にプラテン高さ係数Khを考慮するとともに、第2実施形態と同様にカッティング方向係数Kcを考慮する。本実施形態では、係数Kは以下の式(6)により定められる。
K=Y方向の重み付け係数Ky+プラテン高さ係数Kh+カッティング方向係数Kc ・・・(6)
本実施形態においても、遺伝的アルゴリズムを用いてカッターの移動経路を決定する。すなわち、上記式(6)で定義される係数Kを含む評価関数J(前述の式(2)参照)を用い、遺伝的アルゴリムを適用して、カッター12の最適な移動経路を決定する。遺伝的アルゴリズムの適用方法は第1実施形態と同様であり、図7のフローチャートに従って処理を行っていく。処理の方法は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。また、移動経路決定装置20によりカッター12の移動経路が決定された後の処理も第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
本実施形態によれば、カッター12の移動経路として、カッティング装置1の特性を考慮した更に好適な移動経路を選ぶことが可能となる。
1 カッティング装置
1A カッティングシステム
10 カッティングヘッド
12 カッター
20 カッターの移動経路決定装置
21 入力部
22 演算部
23 補正部
50 メディア
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 第3の方向

Claims (11)

  1. 第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、
    前記第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置と、
    前記カッティングヘッドに設けられ、前記第1の方向および前記第2の方向と垂直な第3の方向に移動可能なカッターと、
    を備えたカッティング装置において、前記メディアに対する前記カッターの移動経路を決定する移動経路決定装置であって、
    前記カッターによりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される入力部と、
    2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正する補正部と、
    前記入力部に前記データが入力されると、前記補正部による補正を受けながら、前記複数の点の全てを通りかつ総移動距離が最短となるような移動経路を遺伝的アルゴリズムを適用して演算する演算部と、
    を備え
    前記第1の方向、前記第2の方向の座標をそれぞれX、Yとしたときに、
    前記演算部は、X、Yの座標がそれぞれXa、Yaの点からX、Yの座標がそれぞれXb、Ybの点までの移動距離を、補正係数Kを用いて、[(Xa−Xb) +K(Ya−Yb) 1/2 と見なすように構成され、
    前記補正部は、前記補正係数Kとして1よりも大きな値を設定するように構成されている、カッターの移動経路決定装置。
  2. 前記カッティング装置は、同一のメディアから複数のカット物を切り取り可能に構成され、
    前記データに含まれる前記複数の点には、前記各カット物の輪郭線上におけるカットされ始める点である始点が含まれ、
    前記補正部は、前記演算部が2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている、請求項1に記載のカッターの移動経路決定装置。
  3. 前記カッティング装置は、前記カッティング装置が載置される床面よりも上方かつ前記カッターの下方において前記メディアを支持するプラテンを更に備え、
    前記メディア上において前記メディアの前端部から前記第2の方向に所定距離離れた前記第1の方向に延びる直線を境界線としたときに、
    前記補正部は、前記演算部が2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記2つの始点を結ぶ線分が前記境界線と交差する場合の方が前記境界線と交差しない場合よりも移動距離が長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている、請求項2に記載のカッターの移動経路決定装置。
  4. 前記データに含まれる前記複数の点には、前記メディアから切り取られる同一のカット物の輪郭線上に位置する複数の点が含まれ、
    前記補正部は、前記演算部が前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている、請求項1に記載のカッターの移動経路決定装置。
  5. 前記メディア移動装置は、前記カッターよりも後方に配置され、前記メディアを前方および後方に移動させるグリッドローラを備え、
    前記補正部は、前記演算部が前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記メディアを前方に移動させるときの距離の方が前記メディアを後方に移動させるときの距離よりも長いと見なされるように前記移動距離を補正するように構成されている、請求項4に記載のカッターの移動経路決定装置。
  6. 前記カッティング装置と、
    請求項1〜のいずれか一つに記載のカッターの移動経路決定装置と、
    を備えたカッティングシステム。
  7. 第1の方向に移動可能なカッティングヘッドと、
    前記第1の方向と垂直な第2の方向にメディアを移動させるメディア移動装置と、
    前記カッティングヘッドに設けられ、前記第1の方向および前記第2の方向と垂直な第3の方向に移動可能なカッターと、
    を備えたカッティング装置において、前記メディアに対する前記カッターの移動経路を決定する移動経路決定方法であって、
    前記カッターによりカットされる複数の点の位置情報を含んだデータが入力される入力ステップと、
    前記複数の点の全てを通りかつ総移動距離が最短となるような移動経路を遺伝的アルゴリズムを適用して演算する演算ステップと、を含み、
    前記演算ステップにおいて、2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なし、
    前記第1の方向、前記第2の方向の座標をそれぞれX、Yとしたときに、
    前記演算ステップにおいて、X、Yの座標がそれぞれXa、Yaの点からX、Yの座標がそれぞれXb、Ybの点までの移動距離を、1よりも大きな補正係数Kを用いて、[(Xa−Xb) +K(Ya−Yb) 1/2 と見なす、カッターの移動経路決定方法。
  8. 前記カッティング装置は、同一のメディアから複数のカット物を切り取り可能に構成され、
    前記データに含まれる前記複数の点には、前記各カット物の輪郭線上におけるカットされ始める点である始点が含まれ、
    前記演算ステップにおいて、2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なす、請求項に記載のカッターの移動経路決定方法。
  9. 前記カッティング装置は、前記カッティング装置が載置される床面よりも上方かつ前記カッターの下方において前記メディアを支持するプラテンを更に備え、
    前記メディア上において前記メディアの前端部から前記第2の方向に所定距離離れた前記第1の方向に延びる直線を境界線としたときに、
    前記演算ステップにおいて、2つの始点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記2つの始点を結ぶ線分が前記境界線と交差する場合の方が前記境界線と交差しない場合よりも移動距離が長いと見なす、請求項に記載のカッターの移動経路決定方法。
  10. 前記データに含まれる前記複数の点には、前記メディアから切り取られる同一のカット物の輪郭線上に位置する複数の点が含まれ、
    前記演算ステップにおいて、前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても前記第2の方向の距離の方が前記第1の方向の距離よりも長いと見なす、請求項に記載のカッターの移動経路決定方法。
  11. 前記メディア移動装置は、前記カッターよりも後方に配置され、前記メディアを前方および後方に移動させるグリッドローラを備え、
    前記演算ステップにおいて、前記カット物の輪郭線上に位置する2点間の移動距離を演算する際に、同一の距離であっても、前記メディアを前方に移動させるときの距離の方が前記メディアを後方に移動させるときの距離よりも長いと見なす、請求項10に記載のカッターの移動経路決定方法。
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