JP6411586B2 - 骨代謝改善剤 - Google Patents
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Description
(1)バチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を有効成分とする骨代謝又は骨密度改善剤。
(2)培養物が大豆培養物である、上記(1)に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(3)バチルス属微生物の芽胞を含む、上記(1)又は(2)に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(4)バチルス属微生物がバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)又はバチルス・アミロリクファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(5)バチルス属微生物がバチルス・ズブチリス C−3102株(FERM BP−1096)である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(6)経口摂取される、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(7)1日あたり2.0×108〜2.5×1011CFUのバチルス属菌体を摂取できるように製剤化されている、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
たとえば、本発明の骨代謝又は骨密度改善剤が錠剤(素錠でも、糖衣錠でもよい)である場合、1錠あたり2.0×108〜5.0×1010CFUのバチルス属微生物の菌体を含むことが好ましく、1錠あたり4.0×108〜9.0×109CFUのバチルス属微生物の菌体を含むことが、より好ましい。また、前記錠剤は1日あたり1〜5錠服用されることが好ましい。
(8)1日あたり2.0×109〜2.0×1010CFUのバチルス属菌体を摂取できるように製剤化されている、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
(9)ビタミンK含有量が1日あたりの摂取量として45mg未満となるように、例えば36mg未満、27mg未満、18mg未満、9mg未満、5mg以下、1mg以下、500μg以下、100μg以下となるように製剤化されている、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
たとえば、本発明の骨代謝又は骨密度改善剤が錠剤(素錠でも、糖衣錠でもよい)である場合、ビタミンK含有量は1錠あたり9mg未満、好ましくは5mg以下、1mg以下、500μg以下、100μg以下、あるいは70μg以下となるように製剤化される。
(10)バチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善作用を有する飲食品又は飼料。
(11)バチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善用の医薬組成物。
(12)過剰な骨吸収を抑制する、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の骨代謝又は骨密度改善剤、上記(10)に記載の飲食品又は飼料、あるいは上記(11)に記載の医薬組成物。
なお、上記(10)に記載の飲食品又は飼料、及び上記(11)に記載の医薬組成物は、上記(2)〜(9)に記載された骨代謝又は骨密度改善剤と同じ特徴を有し得る。
1.1 有効成分
本発明の骨代謝又は骨密度改善剤は、バチルス(Bacillus)属微生物の菌体又は培養物を有効成分として含む。バチルス属微生物は、酵素の生産や食品の生産など、古くからヒトの生活に深くかかわっており、その機能性についての情報は多いが、骨代謝や骨密度については、ビタミンK高含有の枯草菌が骨粗鬆症改善効果を有することについて報告されているにすぎない(前掲)。バチルス属微生物は、偏性好気性のグラム陽性細菌で、芽胞(胞子)を形成し、芽胞は高温や消化酵素に対して耐久性を有する。本発明の骨代謝又は骨密度改善剤は、このバチルス属微生物を芽胞状態で含み、それゆえ、経口摂取しても生きたまま腸に届き、その効果を発揮することができる。
(1)グラム陽性
(2)卵円形の芽胞を形成
(3)桿菌
(4)運動性:あり
(5)好気性
(6)カタラーゼ:陽性
(7)50℃における発育:+
(8)pH5.7における発育:+
(9)クエン酸塩の利用:+
(10)糖類からの酸生成の有無:アラビノース、グルコース、キシロース、マンニット:+
(11)VP反応:+
(12)デンプンの加水分解:+
(13)硝酸塩の還元性:+
(14)インドールの生成:−
(15)ゼラチンの加水分解:+
(16)カゼインの加水分解:+
(17)液体培地での被膜形成:+
(18)牛乳の凝固:−
(19)牛乳のペプトン化:+
配列1:5'−GCCCCGCACATACGAAAAGACTGGCTGAAA−3'(配列番号1)
配列2:5'−GGATCCCACGTTGTGATTAAAAGCAGCGAT−3'(配列番号2)
(1)プラスミドDNAを有しない。
(2)ゲノムDNAを調製し、制限酵素NotIまたはSfiIで消化してアガロース電気泳動により分離したときの消化パターンは、既報(WO2008/023607の図1、WO2008/023608の図1)に示されるとおりである。
(3)アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネゾリド、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン、リファムピン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、トリメトプリム、バンコマイシンに対して耐性を有しない(いずれも最小阻害濃度0.03〜4μg/ml)。
バチルス属微生物は、培地として微生物培養に通常使用される炭素源、窒素源、無機物等を含む液体培地又は固体培地を用いて培養することができる。炭素源としては、バチルス属微生物が資化可能な炭素源であればよく、例えばグルコース、フルクトース、スクロース、スターチ、糖蜜等を、また窒素源としては、例えばペプトン、カゼイン加水分解物、肉エキス、硫安等を挙げることができる。更に、必要に応じて燐酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、鉄およびマンガン等の塩類、ビタミン類、アミノ酸類、界面活性剤等を添加することもできる。また、これらの合成培地の他、大豆油かすなどの天然物由来物質を用いて培養してもよい。培養条件としては、好気的条件が好ましく、培養装置としては例えばジャーファーメンターによる通気撹拌液体培養等が好ましい。培養温度は20〜50℃、特に30〜45℃が好ましく、培養時間は12時間〜7日間、培養初発pHはpH5〜9、特に好ましくはpH6〜8である。
本発明の骨代謝又は骨密度改善剤は、経口摂取により、安全かつ簡便に骨代謝・骨密度を改善する。
骨では、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収が常に繰り返されており(骨代謝)、この骨吸収と骨形成のバランスにより骨の正常な骨代謝が維持される。そして、そのバランスが乱れると、最終的に骨粗鬆症等の骨代謝異常疾患を生じる。本発明の骨代謝又は骨密度改善剤は、とくに骨吸収を行う破骨細胞の活性を抑制し、過剰な骨吸収を抑制することによって、骨代謝を改善し、骨密度を改善するものである。
本発明はバチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善作用を有する飲食品も提供する。飲食品の種類は特に限定されず、例えば、飲料、製菓錠菓、ペースト、パン、魚肉加工製品、乳製品、ゼリー、キャンディ、レトルト食品、クッキー、カステラ、ビスケット、チョコレートなどが挙げられる。あるいは、本発明の骨代謝又は骨密度改善剤をこれらの様々な食品素材に添加してもよい。本発明の飲食品は、健康飲料、健康食品あるいは機能性食品として提供することができる。
本発明は、バチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善作用を有する飼料も提供する。飼料の対象としては、ニワトリなどの鳥類、牛、豚、羊、ヤギ等の哺乳動物、魚類等を挙げることができるが、特に限定されない。飼料は、前記した本発明の骨代謝又は骨密度改善剤を既存の飼料に添加して製造してもよい。
本発明は、バチルス属微生物の菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善用の医薬組成物も提供する。
1.糖衣錠の調製
市販大豆油かす造粒品10kgに水5kgを加えて121℃、60分間殺菌し、予め前培養しておいたバチルス・ズブチリス C−3102株(生命工学工業技術研究所寄託番号 FERM BP−1096)の培養液を接種し、37℃程度で、60.5時間培養することにより、バチルス・ズブチリス C−3102株の大豆培養物を製造した。このようにして得られた培養物を乾燥粉砕し、下記の表に示す他の成分を配合して、糖衣錠を製造した。糖衣錠の組成を表1、2に示す。
健康な閉経後女性13名を対象とし、3錠あたり3.6×109CFUのバチルス・ズブチリス C−3102株を含む糖衣錠を1日3錠、13週間摂取させた。4週、8週、13週目に、骨量、骨吸収マーカーであるTRACP−5b、骨形成マーカーであるオステオカルシンおよび骨マトリックス関連マーカーであるペントシジン、ホモシステインの測定を実施した。
バチルス・ズブチリス及びバチルス・アミロリクファシエンス菌株の骨代謝改善効果を、ラット破骨細胞初代培養系を用いて検証した。
表4に示す各種バチルス・ズブチリス及びバチルス・アミロリクファシエンスの菌株を3%(w/v)のBD BBLTMトリプチケースTMソイブロス(日本BD)液体培地(TS液体培地)にて、初期菌数1×108CFU/ml、37℃の好気条件下で8時間振盪培養した。培養後、培養液を遠心分離し、上清を0.20μmの滅菌フィルターを通した後、使用するまで−80℃下で凍結保存した。
各培養上清の細胞毒性を確認するため、マウスマクロファージRAW264.7細胞(American Type Culture Collection)の生存率を測定した。10%(v/v)のFBS(Hyclone社)、1%(v/v)penicillin/streptomycin(Hyclone社)を含むDMEM培地(シグマアルドリッチ社)で前培養したRAW264.7細胞を5000cells/100μlとなるよう希釈し、96穴培養プレートに100μlずつ播種した。TS液体培地及び前記培養上清をそれぞれ0.01%(v/v)で添加し、37℃、5%CO2の条件で48時間培養した。水溶性のホルマザンを生成するテトラゾリウム塩WST−8を発色基質として含むCell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を各ウェルに10μlずつ添加し、37℃、5%CO2の条件で2時間反応させた。マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定することにより細胞生存率を測定し、細胞毒性を評価した。コントロール(DMEM)の細胞生存率を100%とした場合の相対値を図4に示す。TS液体培地及び前記培養上清に細胞毒性は確認されなかった。
SD(Sprague―Dawley)ラット由来の破骨細胞培養キット(コスモバイオ社)を用いた。破骨前駆細胞を10%(v/v)の血清、50ng/mlのM−CSF(マクロファージコロニー刺激因子)及び15ng/mlのRANKL(Receptor activator of nuclear factor kappa−B ligand)を含むα−MEM培地(分化用培地)に懸濁し、96穴培養プレートに2×105cells/wellとなるように分注した。37℃、5%CO2の条件で48時間前培養した後、各種バチルス・ズブチリスの培養上清を0.01%(v/v)添加した分化用培地に交換した。コントロール群は、TS液体培地を0.01%(v/v)添加した分化用培地に交換した。培地交換後、37℃、5%CO2の条件で72時間培養した。
細胞を1×PBSで洗浄し、Mildform(登録商標) 10N(和光純薬工業)で3分間固定した。超純水で3回洗浄した後、TRAP染色キット(コスモバイオ社)で破骨細胞を染色した。分化用培地群、コントロール群、C−3102株培養液添加群の染色像を図5Aに示す。分化用培地群、コントロール群では多核化し、TRAP染色陽性の破骨細胞が確認されたが、C−3102株培養液添加群においては明らかにその数が減少していた。また、顕微鏡下で3核以上の破骨細胞数を計数し、コントロール群の破骨細胞数を100%とした相対値を図5Bに示す。
細胞実験に用いたバチルス・ズブチリス C−3102株培養上清に既知の破骨細胞分化抑制因子であるメナキノン−4、メナキノン−7、ダイゼイン、ゲニステインが含まれるかどうかを検討するため、財団法人日本食品分析センターに定量を依頼した。その結果、C−3102株培養上清にはメナキノン−7が0.05μg/ml含まれることが確認された(表5)。破骨細胞培養時に培養上清は0.01%添加しているため、その濃度は5pg/mlである。メナキノン−7は、破骨細胞分化抑制能を有することが報告されているが、0.1μM(64.9ng/ml)の濃度においては効果を示さない(Food Funct. 2015 Oct;6(10):3351−8)。したがって、バチルス・ズブチリスの培養上清に含まれる破骨細胞分化抑制因子は新規の成分である可能性が示唆された。
バチルス・ズブチリス C−3102株の骨代謝改善効果を、卵巣摘出による骨粗鬆症モデルラットを用いて検証した。
動物
24匹の6週齢Wistar系雌性SPFラット(日本エスエルシー株式会社)を用いた。2週間の馴化期間後、卵巣摘出前日に、24匹の動物からSham群8匹と卵巣摘出モデル作製群16匹を選択した。更に、卵巣摘出モデル群は対照群及びバチルス・ズブチリス C−3102株摂取群(以下、C−3102株群と記す)に群分けした(1群8匹)。群分けは、体重層別化無作為抽出法により、各群の体重範囲が平均体重±20%以内になるように行った。
麻酔はキャリアーガスに純酸素を用いて、日本薬局方イソフルラン (マイラン製薬株式会社)をV1型吸入麻酔器 (VetEquip社)を用いて吸入麻酔を行った。左右側腹部の鎌部の周囲を中心とした広い範囲を電気バリカンで刈毛し、動物用イソジン及び消毒用エタノールで消毒した。卵巣摘出は、まず一方の腹部鎌部の皮膚,筋肉,腹膜を切開し,卵巣を外部に引き出し,卵管と血管をはさみ,鋏もしくはメスで卵巣を周囲の脂肪と共に摘出した。電気ゴテで止血を兼ねて術部を焼き,出血や卵巣の取り残しがないことを確認した後に、腹腔内に戻し、皮膚を縫合した。もう一方の卵巣を同じ方法で摘出した。Sham群の動物は麻酔後、卵巣摘出動物と同様の操作で皮膚を切開し、卵巣を外部に露出した後に卵巣を摘出せずに腹腔内にもどし、皮膚を縫合した。術後は化膿の防止のために術部を動物用イソジンで消毒し、プブレノルフィン(大塚製薬株式会社)を20μg/0.1mL/kgの用量で卵巣摘出モデル作製後から皮下投与した。手術翌日以降は、術野及び動物の状態を確認しながら3日間投与した。
試験期間中は、温度 24±3℃、湿度 50±20%、換気回数約12回/時間 (オールフレッシュエアー供給)及び照明時間 12時間/日(7:00点灯、19:00消灯)に設定された飼育室で1ケージ当たり1匹ずつ飼育した。
予め前培養しておいたバチルス・ズブチリス C−3102株の培養液をトリプチケースソイ寒天培地(Becton,Dickinson and Company)に塗布し、37℃、72時間通気撹拌培養を行った。培養後、菌体をコンラージ棒でかき集め、50mLの滅菌水に溶解した。10,000rpmで10分間遠心した後、上清を除き、50μg/mLのリゾチーム溶液(50mM Tris−HCl、pH7.2)を20mL添加し、よく撹拌した。撹拌後、37℃で2時間インキュベートした。10,000rpmで10分間遠心した後、上清を除き、20mLの1M NaClを添加し、よく撹拌した。10,000rpmで10分間遠心した後、上清を除き、20mLの滅菌水を添加し、よく撹拌した。10,000rpmで10分間遠心した後、上清を除き、20mLの0.05%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを添加し、よく撹拌した。10,000rpmで10分間遠心した後、上清を除き、20mLの滅菌水を添加し、よく撹拌した。この滅菌水による洗浄操作を3回繰り返したのち、5mLの滅菌水に菌体を希釈した。滅菌した金属製のバットに菌体の希釈液を滴下し、70℃で20時間乾燥させた。乾燥した芽胞粉末を滅菌した乳鉢に移してすりつぶし、466mgのバチルス・ズブチリス C−3102株芽胞粉末(4.15×1011CFU/g)を得た。
Sham群及び対照群は未滅菌のラット・マウス用実験動物用飼料(CE−2、日本クレア株式会社)を摂取させた。C−3102株群はバチルス・ズブチリス C−3102株芽胞粉末を2.48×105CFU/gとなるようにラット・マウス用実験動物用飼料に配合した飼料を8週間自由摂取させた。給餌は1週間に1回以上行い、容器は1週間に1回交換した。飲用水は、25μmフィルターで濾過した水道水を自動給水装置を用いて、それぞれ自由に摂取させた。
卵巣摘出前日、8週目に頚静脈から約0.6mL採血後、血清を分離した。採血時は日本薬局方イソフルランによる軽麻酔下で頸静脈からディスポーザブル注射器を用いて採血した。採取した血液は15〜30分間室温に放置した後に、直ちに氷冷下に移し、3,000rpm、15min、4℃で遠心し、血清を分離した。分離した血清サンプルは、測定まで−60℃以下で保存した。
採血した血清中のI型コラーゲンC末端テロペプチド(CTx)をRATLapsTM(CTX−1)EIA(Immunodiagnostic System Ltd.)を用いてELISA法によって測定した。I型コラーゲンは骨基質の90%以上を占める蛋白質であり、破骨細胞による骨吸収の際にその分解産物であるCTxが血中に放出される。そのため、血中CTx濃度は骨吸収量を反映する指標と考えられている。
対照群はSham群と比較し、血中CTx値が有意に増加しており、OVXにより骨吸収が亢進していることが確認された。一方、C−3102株群では対照群と比較し、血中CTx値の有意な抑制がみられ、C−3102株芽胞による骨吸収抑制作用が確認された(図6)。
実施例1にしたがい、バチルス・ズブチリス C−3102株の大豆培養物を製造した。得られた培養物を乾燥粉砕し、下記の表に示す他の成分を配合して、糖衣を施さない素錠
を製造した。素錠の組成を表6に示す。
バチルス・ズブチリス C−3102株の骨密度への影響を調べるため、二重盲検ランダム化プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。被験者は、閉経後2年以上経過した50〜69歳の健康な女性から募集した。医師による診断、アンケート及び骨密度の測定を実施し、骨粗しょう症の診断基準(J Bone Miner Metab.2013 May;31(3):247−57)に当てはまらず、健康に問題のない76名を被験者として選抜した。被験者は骨密度、TRACP−5b、BAP、年齢、BMIが均一になるよう無作為にC−3102株群、プラセボ群に群分けした。
ベースライン及び6か月後の腰椎(L2−L4)、大腿骨近位部(Total hip)の骨密度をDiscovery DXA system(Hologic社)を用いて測定した。その結果、C−3102株群において大腿骨近位部骨密度の変化率がプラセボ群と比較して有意に増加していることが明らかになり、C−3102株の骨密度増加作用が確認された(図7A:腰椎、図7B:大腿骨近位部)。
ベースライン、3か月後、6か月後において骨吸収マーカーである尿中NTx及び血中TRACP−5bについて測定した(図8A:尿中NTx、図8B:血中TRACP−5b)。その結果、C−3102株群において、摂取3か月後の尿中NTxの変化率がプラセボ群と比較して有意に改善していることが明らかとなった(図8A)。C−3102株群においては、12週後および24週後に尿中NTxの最少有意変化(27.3%)を超えて改善した被験者がそれぞれ7名、6名であったのに対し、プラセボ群においてはそれぞれ0名、1名のみであった。
素錠中に含まれる他の成分の影響を確認するため、骨代謝や骨密度への影響が報告されているビタミンK2、イソフラボン、カルシウムの含有量を財団法人日本食品分析センターにて分析したところ、下表8のとおりであった。
バチルス・ズブチリス C−3102株大豆培養物と食用油脂を混合し、常法により下記成分からなるソフトカプセル剤皮の中に充填し、1粒380mgのソフトカプセルを得た。
内容物
バチルス・ズブチリス C−3102株大豆培養物 100mg
食用油脂 150mg
剤皮
ゼラチン 100mg
グリセリン 30mg
下記成分を配合し、常法に従って造粒し、5g入りスティック顆粒を製造した。
配合
バチルス・ズブチリス C−3102株大豆培養物 5%
CMCNa 適宜
デキストリン 適宜
下記成分を配合し、常法に従って、水10kgを加えて液剤を調製した。
配合
バチルス・ズブチリス C−3102株大豆培養物 100g
液糖 4000g
DL−酒石酸ナトリウム 1g
クエン酸 50g
ビタミンC 50g
ビタミンE 150g
シクロデキストリン 25g
塩化カリウム 5g
硫酸マグネシウム 2g
配列番号2:合成DNA(リバースプライマー)
Claims (11)
- バチルス・ズブチリスの菌体及び/又は培養物を有効成分とする骨代謝又は骨密度改善剤。
- 培養物が大豆培養物である、請求項1に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- バチルス・ズブチリスの芽胞を含む、請求項1又は2に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- バチルス・ズブチリスがバチルス・ズブチリス C−3102株(FERM BP−1096)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- 経口摂取される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- 1日あたり2.0×108〜2.5×1011CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように製剤化されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- 1日あたり2.0×109〜2.0×1010CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように製剤化されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- ビタミンK含有量が1日あたりの摂取量として45mg未満となるよう製剤化されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤。
- バチルス・ズブチリスの菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善用の飲食品又は飼料。
- バチルス・ズブチリスの菌体及び/又は培養物を含む、骨代謝又は骨密度改善用の医薬組成物。
- 過剰な骨吸収を抑制する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の骨代謝又は骨密度改善剤、請求項9に記載の飲食品又は飼料、あるいは請求項10に記載の医薬組成物。
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