以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
画像形成装置100は、原稿を読み取って用紙に画像形成する複写機能を有しており、画像読取装置120、画像読取装置120の上側に設けられた原稿搬送装置(ADF)108、画像読取装置120の下側に設けられた装置本体110、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、および排出トレイ83を備えている。
原稿搬送装置108は、画像読取装置120に対して開閉自在に支持されている。原稿搬送装置108が開かれると、画像読取装置120の上方に設けられた原稿載置ガラス121が開放され、原稿を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送装置108は、載置された原稿を自動で搬送する。画像読取装置120は、載置された原稿または原稿搬送装置108から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。装置本体110には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、および帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられた4つの画像ステーションが構成されている。
ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
感光体ドラム3の上側には、中間転写ベルトユニット6の中間転写ローラ64が配置されており、感光体ドラム3と中間転写ローラ64とによって中間転写ベルト61が挟持されている。中間転写ベルト61は、転写ベルト駆動ローラ62および転写ベルト従動ローラ63に張架されて矢符Mの方向へ周回移動し、ベルトクリーニング装置65によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト61の表面にカラーのトナー像が形成される。
転写ローラ10は、中間転写ベルト61との間にニップ域が形成されており、用紙搬送路Sを通じて搬送されて来た用紙Pをニップ域に挟み込んで搬送する。用紙Pは、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト61の表面のトナー像が転写されて定着装置7に搬送される。
定着装置7は、用紙Pを挟んで回転する定着ローラ71および加圧ローラ72を備えている。定着ローラ71は、外部に設けられた加熱部73によって加熱されている。定着装置7は、定着ローラ71および加圧ローラ72の間にトナー像が転写された用紙Pを挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙Pに定着させる。
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙Pを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。給紙カセット81に蓄積された用紙Pは、ピックアップローラ11aによって給紙カセット81から引き出される。手差し給紙カセット82は、装置本体110の側面に開閉自在に設けられており、開放することで用紙Pを載置することができる。手差し給紙カセット82に蓄積された用紙Pは、ピックアップローラ11bによって引き出される。
装置本体110において、給紙カセット81および手差し給紙カセット82から供給された用紙Pは、用紙搬送路Sを介し、転写ローラ10および定着装置7を経て、排出トレイ83へ搬送される。用紙搬送路Sには、搬送ローラ12aないし搬送ローラ12dと、レジストローラ13と、排出ローラ21(排出部材の一例)とが設けられている。なお、排出ローラ21は、用紙搬送装置130の一部とされており、用紙搬送装置130については、後述する図2Aおよび図2Bを参照して、詳細に説明する。
搬送ローラ12aないし搬送ローラ12dは、用紙Pの搬送を促進および補助するローラであって、用紙搬送路Sに沿って設けられている。
レジストローラ13は、転写ローラ10の上流側に設けられ、用紙Pを一旦停止させて、用紙Pの搬送方向の下流側端(以下、先端P1と呼ぶ。)を揃えた後、中間転写ベルト61と転写ローラ10との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙Pの搬送を開始する。
画像形成装置100において、用紙Pへの片面印刷が要求された際、給紙カセット81および手差し給紙カセット82から供給された用紙Pは、搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、転写ローラ10および定着装置7を経て画像形成される。その後、用紙Pは、搬送ローラ12bおよび排出ローラ21を経て、排出トレイ83上に排出される。
また、用紙Pへの両面印刷が要求された際には、上述した片面印刷を行って、用紙Pを排出ローラ21まで搬送する。用紙Pの排出方向の上流側端(以下、後端P2と呼ぶ。)が、排出ローラ21と用紙搬送路Sの分岐部Saとの間に位置する状態で、排出ローラ21を逆回転させ、用紙Pを搬送ローラ12cおよび搬送ローラ12dへ導く。搬送ローラ12cおよび搬送ローラ12dを経由した用紙Pは、再度、レジストローラ13へ導かれることで、表裏が反転され、表面と同様にして裏面に画像形成を行うことができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置について、図面を参照して説明する。
図2Aは、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置の概略上面図であって、図2Bは、図2Aに示す用紙搬送装置の概略正面図である。なお、図2Aおよび図2Bは、複数の部材が重なった状態を示しているため、図面の見易さを考慮し、主要な部分のみを示して一部は省略している。
本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置130は、用紙Pが搬送される用紙搬送路Sと、用紙Pを用紙搬送路Sの外部へ排出する排出ローラ21と、用紙Pが搬送される方向(搬送方向Y)と直交する軸線方向Xへ排出ローラ21をシフト移動させるシフト駆動部25と、用紙Pの表面を押圧して用紙Pを波打たせる腰付けローラ54(腰付け部材の一例)とを備えている。排出ローラ21は、シフト駆動部25に応じたシフト移動によって、排出トレイ83へ排出する用紙Pを仕分ける構成とされている。腰付けローラ54は、排出ローラ21のシフト移動に連動して、用紙Pの表面を押圧する腰付け位置と、用紙Pの表面から離間した退避位置との間を移動する構成とされている。以下では説明のため、排出ローラ21の軸方向とされた軸線方向Xのうち、一方の側(図2Aでは、左方)へ向かう方向を第1軸線方向X1と呼び、他方の側(図2Aでは、右方)へ向かう方向を第2軸線方向X2と呼ぶ。
具体的に、用紙搬送装置130は、排出ローラ21、排出従動ローラ22、排出部材保持部30、スライド部材40、腰付け連結部50、シフト駆動部25、およびローラ駆動部24を備える構成とされている。排出部材保持部30、スライド部材40、および腰付け連結部50は、組み合わせることで、内部が空洞とされた箱状の仕分けユニットを構成する。排出ローラ21および排出従動ローラ22は、主要部(後述する排出ローラ回転体21bおよび従動ローラ22)が仕分けユニットの内部に収容されている。用紙Pは、軸線方向Xに直交する搬送方向Yに沿って搬送される。腰付け連結部50は、一辺(図2Aでは、上辺)が搬送ローラ12bに面しており、他辺(図2Bでは、下辺)が排出トレイ83に面している。また、以下では説明のため、軸線方向Xおよび搬送方向Yに直交する方向を押圧方向Zと呼ぶ。なお、押圧方向Zのうち、排出ローラ21を基準として、腰付け連結部50が設けられている側を上方と呼び、排出従動ローラ22が設けられている側を下方と呼ぶことがある。排出部材保持部30、スライド部材40、および腰付け連結部50は、メンテナンス等に際して、それぞれを分離できるように構成されており、互いに独立した部品とされている。以下では、排出部材保持部30、スライド部材40、および腰付け連結部50をそれぞれ抜き出して示した図面に基づいて、詳細に説明する。また、図2Aおよび図2Bについては、各部の断面と併せた説明を後述する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置の排出部材保持部の斜視図である。
排出部材保持部30は、1つの側面と上面とが開放された略直方体状とされている。つまり、排出部材保持部30は、軸線方向Xで対向する第1ローラ保持側板31および第2ローラ保持側板32と、搬送ローラ12bに面する側(図2Aの上辺)に設けられた用紙通過側板33と、ローラ保持底板34とで構成されており、排出トレイ83に面する側(図2Bの下辺)は開放されている。
第1ローラ保持側板31は、略矩形状とされており、第1保持上面31cの用紙通過側板33側の一部が上方へ突出している。また、第1ローラ保持側板31は、搬送方向Yの中央上方寄りに排出ローラ21の排出ローラ支持軸21aが挿入される第1ローラ孔31aが設けられており、第1保持上面31cから上方へ突出した部分に、腰付け連結部50の連結軸52(後述する図5参照)が挿入される第1連結軸孔31bが設けられている。さらに、第1ローラ保持側板31は、第1保持上面31cにスライド部材40を係止するためのスライド係止部36が設けられている。スライド係止部36は、第1保持上面31cから上方へ突出し、上部が搬送方向Yで幅広に形成されたT字状とされており、上部と下部とにおいて、搬送方向Yでの幅に差が設けられている。
第2ローラ保持側板32は、第1ローラ保持側板31と略同様の形状とされており、第1ローラ孔31aおよび第1連結軸孔31bに対向する位置に第2ローラ孔32aおよび第2連結軸孔32bが設けられている。また、第2ローラ保持側板32の第2保持上面32cにもスライド係止部36が形成されている。第2ローラ保持側板32は、排出トレイ83に面する側の下端部(図3では、手前側下部)にラックギア35が設けられている。ラックギア35は、回転方向の駆動を直線方向の駆動に変換するラック・アンド・ピニオンのギアで構成されており、第2ローラ保持側板32から第2軸線方向X2に向かって延伸されており、ギア歯が設けられている。
用紙通過側板33には、搬送ローラ12bと排出ローラ21との間で搬送される用紙Pを通過させる用紙通過孔33aが設けられている。用紙通過孔33aは、第1ローラ保持側板31から第2ローラ保持側板32まで軸線方向Xに沿った領域に設けられているが、用紙通過孔33aの軸線方向Xの幅は、搬送される用紙Pの幅よりも大きく設定されていればよい。ローラ保持底板34は、排出部材保持部30の下端に設けられた平板状とされているが、他の部材を係止するための突起や孔などを適宜形成してもよい。
なお、後述する第2実施形態における排出部材保持部30と区別するため、第1実施形態における排出部材保持部30を回動シフトフレーム30aと呼ぶことがある。
図4は、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置のスライド部材の斜視図である。
スライド部材40は、矩形状とされて軸線方向Xに対して幅広なスライド板41と、スライド板41の軸線方向Xでの両端部に立設された第1スライド横板42および第2スライド横板43とで構成されている。
スライド板41は、軸線方向Xでの幅が排出部材保持部30よりも大きく形成されており、第1保持上面31cと第2保持上面32cとに跨るように載置される(例えば、図7B参照)。また、スライド板41には、2つのスライド突起44と、2つのスライド係止孔45とが設けられている。
スライド突起44は、スライド板41から上方に向かって突出し、正面視において、三角形状とされている。つまり、スライド突起44は、上端に向かうに従って、軸線方向Xでの幅が狭くなるように形成されており、軸線方向Xで対向する側面が傾斜している。2つのスライド突起44は、それぞれ軸線方向Xで離間して設けられている。なお、スライド突起44の位置は、後述する腰付け連結部50の腰付け孔55に応じて配置されているため、図2Aおよび図2B、図8Aないし図8Cを参照して、詳細に説明する。
スライド係止孔45は、スライド板41の上面から下面まで貫通するように形成されており、軸線方向Xに沿って設けられた長孔部45aと、長孔部45aより搬送方向Yで幅広とされた挿入部45bとを備えている。つまり、スライド係止孔45は、上面視において、鉤型状に形成され、軸線方向Xに沿って延伸されており、第2軸線方向X2側の端部に挿入部45bが設けられている。2つのスライド係止孔45は、第1スライド横板42側の端部と、第2スライド横板43側の端部とにそれぞれ設けられている。スライド係止孔45の搬送方向Yの幅は、排出部材保持部30のスライド係止部36と関連しており、後述する図8Bを参照して、詳細に説明する。
なお、後述する第3実施形態におけるスライド部材40と区別するため、第1実施形態におけるスライド部材40を幅狭スライドフレーム40aと呼ぶことがある。
図5は、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置の腰付け連結部の斜視図である。
腰付け連結部50は、平板状とされた連結基板51を土台にして構成されている。連結基板51は、一端側(図5では、奥側)に2つの連結軸52が設けられ、他端側(図5では、手前側)に5つの腰付け支持部53が設けられている。2つの連結軸52は、連結基板51の軸線方向Xで対向する側面にそれぞれ設けられ、一方は連結基板51から第1軸線方向X1へ突出して形成され、他方は連結基板51から第2軸線方向X2へ突出して形成されている。2つの連結軸52は、軸線方向Xに平行な同一直線上に設けられており、1つの連続した軸としてみなすことができる。また、2つの連結軸52には、それぞれに付勢部材58(捩りコイルばね)が巻きつけられている。付勢部材58は、一端が連結基板51の側面に係止され、他端が第1ローラ保持側板31または第2ローラ保持側板32に係止される(詳しくは、図8B参照)。5つの腰付け支持部53は、連結基板51の下面から下方に向かって延伸されており、それぞれの先端に腰付けローラ54が回転自在に軸支されている。また、5つの腰付け支持部53は、軸線方向Xで等間隔に距離を設けて配置されている。なお、腰付けローラ54を設ける位置については、排出ローラ21の位置と関連しており、図2Aおよび図2B、図8Aないし図8Cを参照して、詳細に説明する。
連結基板51には、さらに、腰付け孔55、退避溝56、および弱押圧溝57がそれぞれ2つずつ形成されている。腰付け孔55、退避溝56、および弱押圧溝57は、それぞれ1つずつを軸線方向Xで並べて1組とされており、連結基板51の軸線方向Xの両端部寄りに、それぞれ1組ずつ設けられている。本実施の形態では、第2軸線方向X2に沿って、腰付け孔55、退避溝56、および弱押圧溝57の順に並べられている。
腰付け孔55は、連結基板51の上面から下面まで貫通するように形成されており、スライド部材40のスライド突起44が挿入される。腰付け孔55の形状は、適宜設定することができ、軸線方向Xにおいて、スライド突起44と同程度の幅とされていればよい。退避溝56は、連結基板51の下面に形成された凹部であって、スライド突起44の先端が退避溝56に入り込んで引っ掛かる。弱押圧溝57は、退避溝56と同様に、連結基板51の下面に形成された凹部であって、スライド突起44が引っ掛かる。また、弱押圧溝57は、退避溝56よりも大きく凹んだ形状とされている。本実施の形態において、退避溝56と弱押圧溝57とは、一体に形成された幅広の凹部とされており、それぞれに対応して深さが異なる部分が設けられている。また、退避溝56と弱押圧溝57との間には、スライド突起44を係止するように、周囲より下方へ突出した部分が設けられている。なお、これに限定されず、退避溝56と弱押圧溝57とを独立して設けたり、深さや形状などを適宜変更したりしてもよい。また、スライド突起44と退避溝56および弱押圧溝57との関係については、後述する図13等を参照して説明する。
なお、後述する第2実施形態における腰付け連結部50と区別するため、第1実施形態における腰付け連結部50を回動腰付けフレーム50aと呼ぶことがある。つまり、第1実施形態において、腰付け連結部50は、排出部材保持部30に連結された連結軸52を中心として回動する構成とされている(詳しくは、後述する図13参照)。
次に、用紙搬送装置から一部の部材を取り外した図面に基づいて、各部材の位置関係を詳細に説明する。
図6Aは、図2Aからスライド部材および腰付け連結部を取り外した状態を示す概略上面図であって、図6Bは、図6Aに示す状態の概略正面図である。
図6Aは、仕分けユニットからスライド部材および腰付け連結部を取り外した状態を示し、以下では特に、排出ローラ21および排出従動ローラ22について説明する。
排出ローラ21は、排出ローラ支持軸21a、4つの排出ローラ回転体21b、および排出ローラギア21cで構成されている。排出ローラ支持軸21aは、第1軸線方向X1側の端部が筐体の第1フレーム26に支持され、第2軸線方向X2側の端部が筐体の第2フレーム27に支持されており、第2フレーム27よりも第2軸線方向X2側に位置する先端に排出ローラギア21cが設けられている。4つの排出ローラ回転体21bは、排出ローラ支持軸21aにそれぞれ離間して固定されている。
排出従動ローラ22は、排出ローラ21の下方に設けられ、2つの従動ローラ支持軸22a、4つの従動ローラ回転体22b、および2つのローラ付勢ばね22cで構成されている。従動ローラ支持軸22aは、排出ローラ支持軸21aと平行に設けられ、2つの従動ローラ回転体22bが固定されている。ローラ付勢ばね22cは、排出部材保持部30(特に、ローラ保持底板34)と従動ローラ支持軸22aとの間に設けられ、従動ローラ支持軸22aを排出ローラ支持軸21aへ向かう方向(図6Bでは、上方向)へ付勢している。従動ローラ回転体22bは、それぞれ排出ローラ回転体21bに当接しており、排出ローラ回転体21bが回転するのに従って従動する。図6Bでは、2つの従動ローラ支持軸22aを設けた構造としたが、これに限定されず、連続した1つの従動ローラ支持軸22aとしてもよい。また、図6Bでは省略されているが、従動ローラ支持軸22aは、排出部材保持部30に適宜支持されていればよい。
排出ローラギア21cは、中間ギア23を介してローラ駆動部24から駆動力を伝達される。中間ギア23は、中間ギア軸23aと中間ギア本体23bとで構成されている。中間ギア本体23bは、軸線方向Xに充分に長く形成され、排出ローラギア21cがシフト移動するのに拘わらず、常に歯合した状態で当接する構成とされている。ローラ駆動部24は、ローラ駆動軸24a、ローラ駆動ギア24b、およびローラ駆動モータ24cで構成されている。ローラ駆動モータ24cは、例えば、ステッピングモータであって、ローラ駆動軸24aを正逆方向に回転させる。ローラ駆動ギア24bは、ローラ駆動軸24aに軸支され、中間ギア本体23bと歯合している。従って、ローラ駆動部24によって、排出ローラ21は、正逆方向に回転して用紙Pを搬送する。
排出部材保持部30は、ラックギア35を介してシフト駆動部25から駆動力を伝達される。シフト駆動部25は、シフト駆動軸25a、シフト駆動ギア25b、およびシフト駆動モータ25cで構成されている。シフト駆動モータ25cは、例えば、ステッピングモータであって、シフト駆動軸25aを正逆方向に回転させる。シフト駆動ギア25bは、シフト駆動軸25aに軸支され、ラックギア35と歯合している。従って、シフト駆動部25によって、排出部材保持部30は、軸線方向Xへシフト移動する。
排出ローラ支持軸21aは、第1フレーム26および第2フレーム27に設けられた孔に挿入されているが、第1フレーム26および第2フレーム27に対して固定されておらず、軸線方向Xで摺動させることができる。また、排出ローラ支持軸21aは、排出部材保持部30に回転自在に保持されているが、軸線方向Xにおいて、排出部材保持部30に対する相対的な位置が変化しないように係止されている。つまり、排出部材保持部30が軸線方向Xでシフト移動すると、排出ローラ支持軸21aも併せてシフト移動する。排出ローラ支持軸21aは、軸線方向Xでシフト移動した際、第1フレーム26および第2フレーム27から抜け落ちないように、充分な長さとされており、排出ローラギア21cは、第1軸線方向X1へ移動した際、第2フレーム27に当たらないように、第2フレーム27から離間した位置に設けられている。
図7Aは、図2Aから腰付け連結部を取り外した状態を示す概略上面図であって、図7Bは、図7Aに示す状態の概略正面図である。
図7Aは、図6Aに対して、排出部材保持部30にスライド部材40を取り付けた状態を示している。スライド部材40を排出部材保持部30に係止する際には、先ず、スライド係止部36と挿入部45bとが重なるように、排出部材保持部30の上にスライド部材40を載置する。そして、排出部材保持部30の位置を固定した状態で、スライド部材40を第2軸線方向X2へスライド移動させると、スライド係止部36は長孔部45aと重なる。つまり、スライド係止部36の上部は、搬送方向Yにおいて、長孔部45aより大きく、挿入部45bより小さく形成されており、挿入部45bを介することで、スライド係止部36をスライド係止孔45に挿入することができる。また、スライド係止部36の下部は、搬送方向Yにおいて、長孔部45aと同程度の幅(詳しくは、図8B参照)とされているので、スライド部材40が軸線方向Xでスライド移動することを妨げない。スライド部材40は、スライド板41より上方へ突出したスライド係止部36によって、長孔部45aが係止されているので、排出部材保持部30から離間して浮き上がることがない。また、スライド係止孔45が軸線方向Xに延伸されているので、スライド部材40は、移動する方向が軸線方向Xとなるように規制されている。
第1フレーム26には、第1スライド横板42に対向する位置に第1フレーム当接部26aが設けられ、第2フレーム27には、第2スライド横板43に対向する位置に第2フレーム当接部27aが設けられている。第1フレーム当接部26aおよび第2フレーム当接部27aは、仕分けユニット(スライド部材40)に向かって突出している。第1スライド横板42から第1フレーム当接部26aまでの距離は、第1ローラ保持側板31から第1フレーム当接部26aまでの距離よりも短く、仕分けユニットを第1軸線方向X1へシフト移動した際には、第1スライド横板42と第1フレーム当接部26aとが当接する(後述する図11参照)。また、第2スライド横板43から第2フレーム当接部27aまでの距離も同様に、第2ローラ保持側板32から第2フレーム当接部27aまでの距離よりも短く、仕分けユニットを第2軸線方向X2へシフト移動した際には、第2スライド横板43と第2フレーム当接部27aとが当接する(後述する図14参照)。
上述した図2Aは、図7Aに示す状態に対して、排出部材保持部30に腰付け連結部50が連結された状態を示している。つまり、第1連結軸孔31bおよび第2連結軸孔32bに連結軸52を挿入することで、腰付け連結部50は、排出部材保持部30に保持された状態となり、仕分けユニットが組み立てられる。以下では、用紙搬送装置130の各部の断面図と図2Aおよび図2Bとを併せて、用紙搬送装置130を詳細に説明する。
図8Aは、図2Bにおける矢符A−Aでの概略断面図であって、図8Bは、図2Bにおける矢符B−Bでの概略断面図であって、図8Cは、図2Bにおける矢符C−Cでの概略断面図である。なお、図8Aないし図8Cは、複数の部材が重なった状態を示しているため、図面の見易さを考慮し、主要な部分のみを示して一部は省略している。
本実施の形態では、軸線方向Xにおいて、腰付けローラ54と排出ローラ回転体21bとが交互に並べられている(図2B参照)。つまり、腰付けローラ54は、軸線方向Xで排出ローラ回転体21bと重ならない位置に設けられている。図2Aおよび図2Bは、仕分けユニットが第1フレーム26と第2フレーム27との略中央に設けられた標準位置に位置している状態を示しており、基準線KSは、標準位置において、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示している。
図8Bに示すように、付勢部材58は、一端が腰付け連結部50に係止され、他端が排出部材保持部30に係止されている。腰付け連結部50は、付勢部材58によって、連結軸52を中心にして回転し、腰付けローラ54が下方へ向かうように付勢されている。なお、図8Bでは、連結基板51の側面と第2ローラ保持側板32とに設けられた突起に付勢部材58が係止されているが、孔などに端部を挿入して付勢部材58を係止する構造としてもよい。
図8Cに示すように、スライド突起44は、腰付け孔55に挿入されている。つまり、2つのスライド突起44同士の間隔は、2つの腰付け孔55同士の間隔と一致しており(図2B参照)、スライド部材40と腰付け連結部50とを重ねた際、2つの腰付け孔55のそれぞれに、対応するスライド突起44が挿入される。なお、以下では説明のため、スライド部材40の腰付け連結部50に対する位置について、スライド突起44と腰付け孔55とが重なる位置を孔重複位置と呼ぶ。
図8Cに示す用紙補助線PLは、用紙搬送装置130を通過する際の用紙Pの位置を示している。図8Cに示す状態において、腰付けローラ54は、用紙補助線PLよりも下方に突出して、用紙補助線PLと重なっている。つまり、腰付けローラ54は、排出ローラ21より下方の腰付け位置に位置している。用紙Pは、用紙通過孔33aから仕分けユニットに挿入された際、排出ローラ21と排出従動ローラ22との当接部を通過した後、腰付けローラ54に到達する。そして、用紙Pは、腰付けローラ54が設けられている部分において下方に押下げられ、それ以外の部分においては用紙補助線PLに沿って搬送される。つまり、腰付けローラ54は、用紙Pの表面を部分的に押圧することで、用紙Pを波打たせて腰付けしている。
次に、用紙搬送装置130で用紙Pを仕分ける動作について、図面を参照して説明する。
図9Aは、用紙搬送装置が第1シフト位置に位置している状態を示す概略上面図であり、図9Bは、用紙搬送装置が第2シフト位置に位置している状態を示す概略上面図である。
図9Aは、図2Aに示す状態に対して、用紙搬送装置130(仕分けユニット)は第1軸線方向X1へ移動し、第1シフト位置に位置している。図9Aに示す第1中心線TS1は、第1シフト位置において、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示している。つまり、基準線KSから第1中心線TS1までの距離(第1シフト距離SW1)が、用紙搬送装置130がシフト移動した距離である。第1シフト位置において、第1スライド横板42と第1フレーム当接部26aとの間には、僅かに隙間が設けられている。
図9Bは、図2Aに示す状態に対して、仕分けユニットは第2軸線方向X2へ移動し、第2シフト位置に位置している。図9Bに示す第2中心線TS2は、第2シフト位置において、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示している。つまり、基準線KSから第2中心線TS2までの距離(第2シフト距離SW2)が、用紙搬送装置130がシフト移動した距離である。第2シフト位置において、第2スライド横板43と第2フレーム当接部27aとの間には、隙間が設けられている。
用紙搬送装置130は、用紙Pを仕分ける際、排出ローラ21および排出従動ローラ22によって用紙Pを挟持した状態で、第1シフト位置または第2シフト位置へ移動し、排出トレイ83へ用紙Pを排出する。第1シフト位置と第2シフト位置とは、軸線方向Xでの位置が異なるため、排出トレイ83に排出された用紙Pは、位置が異なるように仕分けられる。
図10Aは、用紙搬送装置が第1シフト位置に位置している状態を示す模式正面図であり、図10Bは、用紙搬送装置が第2シフト位置に位置している状態を示す模式正面図である。なお、以下に示す図10Aないし図18(図13および図17は除く)では、連結軸52、ローラ駆動部24、およびシフト駆動部25などを省略して、用紙搬送装置130の構造を簡略化した記載としている。腰付け連結部50については、排出ローラ21に対する腰付けローラ54の押圧方向Zでの位置を重視し、搬送方向Yでの位置を模式的に示している。つまり、図10Aおよび図10Bは、図9Aおよび図9Bに示す状態を排出トレイ83の側から見た図面に相当する。
次に、腰付けローラ54を移動させる動作について、図面を参照して説明する。
図11は、第1スライド横板と第1フレーム当接部とを当接させた状態を示す模式正面図である。
図11は、図10Aに示す状態に対して、仕分けユニットが第1軸線方向X1へ移動し、第1スライド横板42と第1フレーム当接部26aとが当接している。第3中心線TS3は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、仕分けユニットは、基準線KSから第3中心線TS3までの距離(第3シフト距離SW3)だけシフト移動している。
図12は、スライド部材を退避溝位置へスライド移動させた状態を示す模式正面図である。
図12は、図11に示す状態に対して、仕分けユニットは、さらに第1軸線方向X1へ移動した第1スライド位置(スライド位置の一例)に位置している。第4中心線TS4は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、排出部材保持部30および腰付け連結部50は、基準線KSから第4中心線TS4までの距離(第4シフト距離SW4)だけシフト移動している。ここで、スライド部材40は、第1スライド横板42が第1フレーム当接部26aに当接しているため、第1軸線方向X1へ移動しない。つまり、第1軸線方向X1へシフト移動(矢符R1の方向)する排出部材保持部30および腰付け連結部50に対して、スライド部材40は、位置が固定されているため、相対的に第2軸線方向X2へスライド移動(矢符Q1の方向)する。その結果、スライド部材40は、スライド突起44と退避溝56とが重なる退避溝位置へ移動する。そして、腰付け連結部50は、スライド突起44に押し上げられ、腰付けローラ54は上方の退避位置へ移動する。
図13は、腰付けローラが退避位置に位置している状態を示す概略断面図である。
図13は、第2ローラ保持側板の側から仕分けユニットを見た図面であって、スライド突起44近傍の断面を模式的に示している。腰付け連結部50は、図8Cに示す状態に対し、連結軸52を中心にして回転し、腰付けローラ54を設けられた側の端部が上方へ移動している。その結果、腰付けローラ54は、用紙補助線PLよりも上方の退避位置に位置しており、用紙補助線PLとは重なっていない。この状態で搬送される用紙Pは、腰付けローラ54に押圧されること無く搬送され、腰付けされない。
図14は、第2スライド横板と第2フレーム当接部とを当接させた状態を示す模式正面図である。
図14は、図10Bに示す状態に対して、仕分けユニットが第2軸線方向X2へ移動し、第2スライド横板43と第2フレーム当接部27aとが当接している。スライド部材40は退避溝位置に位置しており、腰付けローラ54は退避位置に位置している。第5中心線TS5は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、仕分けユニットは、基準線KSから第5中心線TS5までの距離(第5シフト距離SW5)だけシフト移動している。
図15は、スライド部材を孔重複位置へスライド移動させた状態を示す模式正面図である。
図15は、図14に示す状態に対して、仕分けユニットは、さらに第2軸線方向X2へ移動した第2スライド位置(スライド位置の一例)に位置している。第6中心線TS6は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、排出部材保持部30および腰付け連結部50は、基準線KSから第6中心線TS6までの距離(第6シフト距離SW6)だけシフト移動(矢符R2の方向)している。ここで、スライド部材40は、図12と同様に、第2スライド横板43が第2フレーム当接部27aに当接しているため、第2軸線方向X2へ移動しない。その結果、位置が固定されたスライド部材40は、排出部材保持部30および腰付け連結部50に対して、相対的に第1軸線方向X1へスライド移動(矢符Q2の方向)し、スライド突起44と腰付け孔55とが重なる孔重複位置へ移動する。スライド部材40が孔重複位置へ移動したことで、腰付けローラ54は、腰付け位置(例えば、図8Cに示す状態)へ移動する。
図16は、スライド部材を弱押圧溝位置へスライド移動させた状態を示す模式正面図である。
図16は、図11に示す状態に対して、仕分けユニットは、さらに第1軸線方向X1へ移動して停止している。つまり、図16では、図12に示す状態よりも仕分けユニットが第1軸線方向X1へ移動している。第7中心線TS7は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、排出部材保持部30および腰付け連結部50は、基準線KSから第7中心線TS7までの距離(第7シフト距離SW7)だけシフト移動している。その結果、第1軸線方向X1へシフト移動(矢符R3の方向)する排出部材保持部30および腰付け連結部50に対して、スライド部材40は、相対的に第2軸線方向X2へスライド移動(矢符Q3の方向)し、スライド突起44と弱押圧溝57とが重なる弱押圧溝位置へ移動する。そして、腰付け連結部50は、スライド突起44に押し上げられ、腰付けローラ54は上方の弱押圧位置へ移動する。
図17は、腰付けローラが弱押圧位置に位置している状態を示す概略断面図である。
図17は、第2ローラ保持側板の側から仕分けユニットを見た図面であって、スライド突起44近傍の断面を模式的に示している。腰付け連結部50は、図8Cに示す状態に対し、連結軸52を中心にして回転し、腰付けローラ54を設けられた側の端部が上方へ移動している。その結果、腰付けローラ54は、用紙補助線PLよりも下方であって、腰付け位置よりも上方の弱押圧位置に位置しており、用紙補助線PLと重なる。腰付け位置と比較すると、弱押圧位置では、腰付けローラ54が用紙補助線PLより突出している距離が小さいため、用紙Pは、押圧される距離が小さくなり、腰付けの程度が弱くなる。
図18は、第2スライド横板と第2フレーム当接部とを当接させた状態を示す模式正面図である。
図18は、図16に示す状態に対して、仕分けユニットが第2軸線方向X2へ移動し、第2スライド横板43と第2フレーム当接部27aとが当接している。スライド部材40は弱押圧溝位置に位置しており、腰付けローラ54は弱押圧位置に位置している。第8中心線TS8は、中央の腰付けローラ54の軸線方向Xでの位置を示しており、仕分けユニットは、基準線KSから第8中心線TS8までの距離(第8シフト距離SW8)だけシフト移動している。
図18に示す状態から、仕分けユニットをさらに第2軸線方向X2へ移動させることで、スライド部材40は、排出部材保持部30および腰付け連結部50に対してスライド移動し、図14や図15に示すように、腰付けローラ54を退避位置や腰付け位置に移動させることができる。
上述したように、仕分けユニットをシフト移動させて、スライド部材40をスライド移動させることで、腰付けローラ54の位置を、腰付け位置、退避位置、および弱押圧位置に適宜切り換えることができる。また、用紙Pを仕分ける際には、腰付けローラ54の位置を固定した状態で、仕分けユニットをシフト移動させることができる。つまり、用紙Pの種類や搬送状況などに応じて、腰付けローラ54を移動させることで、用紙Pに腰を付けて積載される用紙Pの整合性を保つことと、腰を付けずに搬送して用紙Pを傷つけないこととを両立することができる。また、シフト駆動部25は、排出ローラ21のシフト移動と腰付けローラ54の移動との両方を実施する構成とされ、それぞれに独立した駆動源を備える必要が無くなるため、用紙搬送装置130の小型化および低コスト化を図ることができる。
上述したように、用紙搬送装置130は、排出ローラ21を保持する排出部材保持部30と、腰付けローラ54を保持する腰付け連結部50とを備えている。腰付け連結部50は、連結軸52を介して排出部材保持部30に連結された構成とされている。つまり、排出部材保持部30と腰付け連結部50とを連結させることで、排出ローラ21と腰付けローラ54とが併せてシフト移動する構造とすることができる。従って、腰付けローラ54は、排出ローラ21に対する相対的な位置が変化しないため、排出ローラ21による仕分けに拘わらず、用紙Pの同じ部分を押圧する構造とすることができる。
また、用紙搬送装置130では、排出部材保持部30と腰付け連結部50との間にスライド部材40が設けられている。スライド部材40は、排出ローラ21がシフト移動した際、排出部材保持部30に対し軸線方向Xでスライド移動する構成とされている。腰付け連結部50は、スライド部材40がスライド移動した際、腰付けローラ54を腰付け位置と退避位置との間で移動させる。従って、排出部材保持部30に対してスライド移動するスライド部材40を設けることで、シフト駆動部25から腰付け連結部50へ力を伝達することができる。
排出ローラ21は、軸線方向Xに対して予め設定された第1シフト位置と第2シフト位置との間を移動して用紙を仕分ける構成とされている。腰付けローラ54は、第1シフト位置から第2シフト位置までの範囲外に設定されたスライド位置に排出ローラ21が到達した際、腰付け位置および退避位置のいずれかに位置を切り換える。つまり、第1シフト位置から第2シフト位置までの範囲外に設定されたスライド位置で腰付けローラ54を移動させるため、排出ローラ21をシフト移動させて用紙Pを仕分ける際には、腰付けローラ54が移動しない構造とすることができる。従って、用紙Pの仕分け動作と腰付けローラ54の離接動作とを別々に実施でき、必要に応じて腰付けローラ54を動作させればよいので、腰付けローラ54の過剰な動作を規制し、動作音などを抑制することができる。
排出ローラ21は、用紙Pを排出する方向に対して反対方向となるように、用紙Pを用紙搬送路Sの内部へ反転搬送する構成とされている。腰付けローラ54は、用紙Pを用紙搬送路Sの内部へ反転搬送する際、退避位置に位置している。従って、反転搬送する際には腰付けローラ54を退避させることで、用紙Pに腰を付けずに搬送することができ、用紙搬送路Sの内部での紙詰まりや異音の発生を防止することができる。つまり、用紙搬送路Sは、腰が付けられていない平坦な状態の用紙Pを導くように、幅が狭く形成されており、腰が付けられて波打った状態の用紙Pでは、搬送を阻害される虞がある。
腰付けローラ54は、腰付け位置と退避位置との間に設定され、腰付け位置に位置している状態よりも用紙を弱く腰付ける弱押圧位置に移動する構成とされている。つまり、腰付けローラ54を弱押圧位置に移動させることで、種類(剛性)やサイズなどが異なる用紙Pに対して、腰付けの程度を変更することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る用紙搬送装置について、図面を参照して説明する。
図19Aは、本発明の第2実施形態に係る用紙搬送装置の概略上面図であって、図19Bは、図19Aに示す用紙搬送装置の概略正面図である。なお、第1実施形態と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、第1実施形態に対して、排出部材保持部30および腰付け連結部50の構造が異なっている。具体的に、第1実施形態では、腰付け連結部50が排出部材保持部30に回動自在に保持されていたが、第2実施形態では、腰付け連結部50が排出部材保持部30に揺動自在に保持されている。なお、以下では、第1実施形態と区別するため、第2実施形態における排出部材保持部30を揺動シフトフレーム30bと呼び、第2実施形態における腰付け連結部50を揺動腰付けフレーム50bと呼ぶことがある。そして、揺動シフトフレーム30bおよび揺動腰付けフレーム50bのそれぞれについて、詳細に説明する。
図20は、本発明の第2実施形態に係る用紙搬送装置の排出部材保持部の斜視図である。
揺動シフトフレーム30b(排出部材保持部30)は、回動シフトフレーム30aと同様に、軸線方向Xで対向する第1ローラ保持側板31および第2ローラ保持側板32と、搬送ローラ12bに面する側(図19Aの上辺)に設けられた用紙通過側板33と、ローラ保持底板34とで構成されており、排出トレイ83に面する側(図19Aの下辺)は開放されている。揺動シフトフレーム30bは、回動シフトフレーム30aに対し、第1ローラ保持側板31および第2ローラ保持側板32の形状が異なっているため、それらについて説明し、他の部分については省略する。
第1ローラ保持側板31は、略矩形状とされており、第1保持上面31cの用紙通過側板33側の一部が上方へ突出しているのに加えて、排出トレイ83に面する側の一部も上方へ突出している。また、第1ローラ保持側板31は、第1保持上面31cから上方へ突出した部分のそれぞれに、腰付け連結部50の連結軸52(後述する図21参照)が挿入される第1揺動孔31dが設けられている。第1揺動孔31dは、押圧方向Zで連結軸52よりも幅広に形成されている。つまり、連結軸52は、第1揺動孔31dに沿って押圧方向Zで揺動する構成とされている(後述する図22Aおよび図22B参照)。
第2ローラ保持側板32は、第1ローラ保持側板31と略同様の形状とされており、第1揺動孔31dに対向する位置に第2揺動孔32dが設けられている。
つまり、回動シフトフレーム30aでは、2つの連結軸52に応じて、第1連結軸孔31bおよび第2連結軸孔32bが設けられていたのに対し、揺動シフトフレーム30bでは、4つの連結軸52に応じて、2つの第1揺動孔31dと2つの第2揺動孔32dとが設けられた構造とされている。
図21は、本発明の第2実施形態に係る用紙搬送装置の腰付け連結部の斜視図である。
揺動腰付けフレーム50bは、回動腰付けフレーム50aと同様に、平板状とされた連結基板51を土台にして構成されている。揺動腰付けフレーム50bでは、一端側(図21では、奥側)に2つの連結軸52が設けられているのに加えて、他端側(図21では、手前側)にも2つの連結軸52が設けられている。つまり、連結基板51には、第1軸線方向X1へ突出して形成された2つの連結軸52と、第2軸線方向X2へ突出して形成された2つの連結軸52とが設けられている。
4つの連結軸52には、それぞれに付勢部材58(圧縮ばね)が係止されている。付勢部材58は、第1揺動孔31dまたは第2揺動孔32dの上端部と連結軸52との間に設けられており、揺動腰付けフレーム50bを下方に向かって付勢する。
図22Aは、腰付けローラが腰付け位置に位置している状態を示す模式側面図であり、図22Bは、腰付けローラが退避位置に位置している状態を示す模式側面図である。
図22Aおよび図22Bは、第2ローラ保持側板の側から仕分けユニットを見た図面であって、用紙搬送装置130の一部を省略して示している。
図22Aは、例えば、図10Aに示す状態であって、スライド部材40が孔重複位置に位置している。つまり、スライド突起44と腰付け孔55とが重なっているので、腰付け連結部50は、スライド部材40の影響を受けずに、付勢部材58によって下方へ押下げられている。その結果、腰付けローラ54は、用紙補助線PLと重なる腰付け位置に位置している。
図22Bは、例えば、図12に示す状態に相当し、スライド部材40が退避溝位置に位置している。つまり、スライド突起44と退避溝56とが重なっているので、腰付け連結部50は、スライド部材40によって上方へ押上げられている。その結果、腰付けローラ54は、用紙補助線PLと重ならない退避位置に位置している。なお、腰付けローラ54が弱押圧位置に位置している状態の図面を省略するが、第1実施形態と同様に、腰付けローラ54は、腰付け位置よりも上方であって、用紙補助線PLと重なる位置で係止されていればよい。
第2実施形態では、第1実施形態と同様にして、仕分けユニットをシフト移動させて、スライド部材40をスライド移動させることで、腰付けローラ54の位置を、腰付け位置、退避位置、および弱押圧位置に適宜切り換えることができる。また、用紙Pを仕分ける際には、腰付けローラ54の位置を固定した状態で、仕分けユニットをシフト移動させることができる(例えば、図10Aないし図18参照)。
次に、本発明の第3実施形態に係る用紙搬送装置について、図面を参照して説明する。
図23Aは、本発明の第3実施形態に係る用紙搬送装置の概略上面図であって、図23Bは、図23Aに示す用紙搬送装置の概略正面図であって、図24は、本発明の第3実施形態に係る用紙搬送装置のスライド部材の斜視図である。なお、第1実施形態および第2実施形態と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態では、第1実施形態に対して、スライド部材40の構造が異なっている。具体的に、スライド部材40は、第1実施形態において、搬送方向Yの幅が腰付け支持部53と重ならない程度とされていたが、第3実施形態では、腰付け支持部53と重なる程度に搬送方向Yで幅広に形成されている。なお、以下では、第1実施形態と区別するため、第3実施形態におけるスライド部材40を幅広スライドフレーム40bと呼ぶことがある。
幅広スライドフレーム40bは、幅狭スライドフレーム40aに対し、排出トレイ83に面する側(図24では、手前側)へ延伸されており、排出トレイ83に面する側辺に沿って5つのスライド開口孔41aが設けられている。スライド開口孔41aは、スライド板41の上面から下面まで貫通するように形成されており、腰付け連結部50の腰付け支持部53に対応する位置に設けられている。また、スライド開口孔41aは、軸線方向Xで腰付け支持部53よりも幅広に形成されている。つまり、スライド部材40が腰付け連結部50に対してスライド移動した際に、スライド開口孔41aは、スライド板41と腰付け支持部53とが当接しない大きさとされている。なお、本実施の形態では、5つの腰付け支持部53に応じて、5つのスライド開口孔41aを設けたが、これに限定されず、5つのスライド開口孔41aを一体にして、軸線方向Xに延伸された1つのスライド開口孔41aを設けた構成としてもよい。
第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同様にして、用紙Pの仕分け動作と腰付けローラ54の離接動作とを行うことができる。
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。