以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るロック装置(カバー無し)を示す平面図を、図2は図1のロック装置の分解斜視図を、図3はセクタギヤをケース側から見た斜視図を、図4はケース内に設けられる駆動部品を示す斜視図を、図5はケースに固定される電装部品を示す斜視図をそれぞれ示している。
図1に示すロック装置10は、自動車等の車両に設けられる蓋部材としてのフューエルリッド(図示せず)の近傍に設置される。ロック装置10は、フューエルリッドをロック状態およびアンロック状態とするアクチュエータとして機能する。ロック装置10は、例えば、ドアロック装置(図示せず)と連動してロック状態およびアンロック状態とされる。具体的には、操作者によりドアロックスイッチ(図示せず)がロック操作されると、フューエルリッドもロック状態となり、操作者によりドアロックスイッチがアンロック操作されると、フューエルリッドもアンロック状態となる。
ロック装置10は、当該ロック装置10の外郭を形成するとともに、内部に電動モータ11を収容するケース20を備えている。ケース20は、底部21と、当該底部21の周囲を囲う壁部22とを備えており、壁部22は底部21から垂直に立ち上がっている。ケース20の内部には、モータ収容室23,セクタギヤ収容室24およびダンパ収容室25が形成されている。また、ケース20のセクタギヤ収容室24寄りの部分には、車両側の給電コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部26が形成されている。ここで、モータ収容室23およびダンパ収容室25は、ケース20の長手方向一側(図中右側)に配置され、セクタギヤ収容室24およびコネクタ接続部26は、ケース20の長手方向他側(図中左側)に配置されている。
図1および図2に示すように、モータ収容室23の内部には、電動モータ(モータ)11ががたつくこと無く収容されている。電動モータ11はブラシ付きのDCモータであって、内部に永久磁石(図示せず)が固定されたヨーク12と、回転軸13の整流子(図示せず)に駆動電流を供給する一対のブラシ(図示せず)を保持するブラシホルダ14とを備えている。ヨーク12は、磁性体よりなる鋼板をプレス加工等することで略有底筒状に形成され、ブラシホルダ14は、プラスチック等の樹脂材料よりなり、ヨーク12の開口部分を閉塞している。
ブラシホルダ14には、導電性に優れた黄銅等よりなる一対の導電部材(図示せず)が装着されている。各導電部材の長手方向一端側には、一対のブラシがそれぞれ電気的に接続されている。また、各導電部材の長手方向他端側には、メス型端子15a,15bが一体に設けられている。そして、各メス型端子15a,15bに対する通電状態を切り換えて、極性(プラス(+),マイナス(−))を逆転させることで、回転軸13の回転方向を切り換えることができる。
回転軸13の外部に露出された部分、つまり回転軸13の軸方向先端部には、プラスチック等の樹脂材料よりなるウォームギヤ16(図2参照)が一体回転可能に固定されている。ウォームギヤ16には、後述するセクタギヤ30のギヤ歯32aが噛み合うようになっている。これにより、回転軸13を正逆方向に回転させることで、セクタギヤ30はセクタギヤ収容室24の内部で揺動するようになっている。
セクタギヤ収容室24の底部21には、壁部22の延在方向に延びる支柱27が一体に設けられている。支柱27の高さ寸法は、壁部22の高さ寸法と略同じ高さ寸法に設定されている。これにより、ケース20にカバー50を装着した状態のもとで、支柱27は外部に露出することが無い。
支柱27には、プラスチック等の樹脂材料により形成されたセクタギヤ(揺動ギヤ)30が揺動自在に装着されている。セクタギヤ30は、ロック装置10の駆動部品の一部を構成している。セクタギヤ30は、図2および図3に示すように、支柱27に回動自在に装着される筒部31と、筒部31の周囲に一体に設けられた略扇形形状のギヤ本体32と、筒部31の周囲に一体に設けられ、筒部31を挟んでギヤ本体32と対向する操作腕部33とを備えている。なお、筒部31と支柱27との間には、両者の滑りを良くするグリス(図示せず)が塗布されている。
ギヤ本体32の径方向外側には、ウォームギヤ16と噛み合うギヤ歯32aが一体に設けられている。また、セクタギヤ30をケース20の支柱27に装着した状態のもとで、ギヤ本体32のカバー50側には、一対の肉盗み部32bと、カバー50に向けて突出された円弧凸部32cとが設けられている。一対の肉盗み部32bは、セクタギヤ30の十分な強度を確保しつつ軽量化を実現し、さらにはセクタギヤ30の成形時における「ヒケ」等の発生を防止する。
円弧凸部32cの先端部分は、ロック装置10を組み立てた状態のもとで、カバー50の内側に摺接するようになっている。つまり、円弧凸部32cは、セクタギヤ30の「振れ」や「捩れ」を防止して、ロック装置10を安定動作させている。なお、円弧凸部32cとカバー50との間にも、両者の滑りを良くするグリス(図示せず)が塗布されている。
セクタギヤ30をケース20の支柱27に装着した状態のもとで、ギヤ本体32の底部21側には、導電性に優れた黄銅等よりなるコンタクタ34(図3中網掛部)が固定されている。コンタクタ34は、本発明における可動導体を構成しており、ギヤ本体32の形状に倣って略円弧形状に形成されている。コンタクタ34の長手方向両側には、底部21に向けて突出された接触凸部34aがそれぞれ3つずつ設けられている。各接触凸部34aは、セクタギヤ30の揺動に伴って、後述する各コンタクトプレート61〜63(図5参照)の面上を摺接するようになっている。ここで、各接触凸部34aは、各コンタクトプレート61〜63に対して、弱いばね力で弾性接触されている。これにより、セクタギヤ30の揺動抵抗が増大するのを抑えつつ、導通不良等の発生を防止して、ロック装置10が安定動作できるようにしている。
ここで、コンタクタ34の長手方向に沿う長さ寸法は、セクタギヤ30の揺動量、つまりセクタギヤ30の移動位置に応じて、第1コンタクトプレート61と第2コンタクトプレート62とを接触(通電)させ、第1コンタクトプレート61と第3コンタクトプレート63とを接触させ、第2コンタクトプレート62と第3コンタクトプレート63とを接触させる長さ寸法に設定されている。つまり、コンタクタ34は、セクタギヤ30の揺動運動により、上記3種類の通電状態に切り換えるようになっている。
操作腕部33の長手方向基端側は、筒部31の軸方向に沿うコンタクタ34側に連結されている。操作腕部33の長手方向先端側は、筒部31を中心にギヤ本体32側とは反対側に突出されている。操作腕部33の長手方向先端側には、ギヤ本体32の円弧凸部32cと同様に、カバー50に向けて突出された連結凸部(凸部)33aが一体に設けられている。連結凸部33aの高さ寸法は、筒部31の長さ寸法よりも若干短い高さ寸法に設定されている。
連結凸部33aは、ロック装置10を組み立てた状態のもとで、後述する出力ロッド40の連結孔44に回動自在かつ移動自在に係合される。これによりセクタギヤ30の揺動運動が、出力ロッド40に伝達される。つまり、連結凸部33aは、出力ロッド40を移動させるようになっている。
出力ロッド(ロッド)40は、図1,図2および図4に示すように、プラスチック等の樹脂材料により棒状に形成されている。出力ロッド40は、ロック装置10の駆動部品の一部を構成している。出力ロッド40の長さ寸法は、ケース20の長手方向に沿う長さ寸法よりも長い長さ寸法に設定されている。出力ロッド40は、ケース20のセクタギヤ収容室24およびダンパ収容室25を貫通するように設けられ、出力ロッド40の長手方向両端部分は、ケース20の外部に露出されている。
出力ロッド40の長手方向一端側(ダンパ収容室25側)は、フューエルリッドの引っ掛け部(図示せず)に係合して、係合時にフューエルリッドをロック状態とする係合爪部41が一体に設けられている。一方、出力ロッド40の長手方向他端側(セクタギヤ収容室24側)は、操作者により把持される把持部42が一体に設けられている。そして、ロック装置10が何らかの原因で作動しなくなったときに、車室内側(例えばトランク内側)から把持部42を把持して引っ張ることにより、フューエルリッドをアンロック状態にできる。
出力ロッド40の長手方向に沿う中央部分よりも係合爪部41寄りの部分には、硬質ゴムよりなるダンパ43が固定されている。ダンパ43は、出力ロッド40に設けた固定突起(図示せず)を囲うように設けられ、これにより出力ロッド40の長手方向に相対移動不能となっている。
ダンパ43の出力ロッド40の長手方向に沿う係合爪部41側および把持部42側には、断面が略円弧形状に形成された緩衝突起43a,43bがそれぞれ2つずつ設けられている。各緩衝突起43aは、出力ロッド40が一方の移動端(図6のロック状態を参照)に到達したときに、ダンパ収容室25の第1壁部25aに当接される。各緩衝突起43bは、出力ロッド40が他方の移動端(図9のアンロック状態を参照)に到達したときに、ダンパ収容室25の第2壁部25bに当接される。
ここで、図1においては、ケース20の底部21に設けられる電装部品60(図中網掛部)を判り易くするために、ウォームギヤ16,セクタギヤ30および出力ロッド40の一部を破線で示している。出力ロッド40の移動方向(長手方向)に沿う中央部分よりも把持部42寄りの部分には、出力ロッド40の移動方向と直交する方向に延びる連結孔(長孔)44が設けられている。連結孔44は、略楕円形形状に形成され、その内部には、セクタギヤ30の連結凸部33aが回動自在かつ移動自在に入り込んで係合するようになっている。
連結孔44の移動方向に沿う寸法は、出力ロッド40の幅寸法(移動方向と直交する方向の寸法)と略同じ寸法に設定されている。これにより、出力ロッド40の連結孔44がある部分には、出力ロッド40の移動方向と直交する方向に突出した突起部45が形成される。また、出力ロッド40の突起部45に対応する部分には、連結凸部33aと突出方向が同じ凸部45aが設けられている。この凸部45aの先端部分は、カバー50の内側に摺接するようになっており、これにより出力ロッド40の「振れ」や「捩れ」を防止して、ロック装置10を安定動作させている。なお、凸部45aとカバー50との間にも、両者の滑りを良くするグリス(図示せず)が塗布されている。
ここで、図4に示すように、電動モータ11(図1および図2参照)を正逆方向に回転させて、支柱27の軸心SCを中心にセクタギヤ30を実線矢印R1の方向および破線矢印R2の方向に揺動運動させると、連結凸部33aが連結孔44の内部を回動しながら移動する。これにより、出力ロッド40は、その軸線RCに沿うように実線矢印M1の方向および破線矢印M2の方向に駆動される。このように、セクタギヤ30は、電動モータ11と出力ロッド40との間に設けられ、電動モータ11の回転運動を、出力ロッド40の直線運動に変換するようになっている。
なお、図2に示すように、ケース20の開口側(図中上側)は、カバー50によって閉塞されている。カバー50は、プラスチック等の樹脂材料により略板状に形成され、ケース20の開口側と略同じ形状に形成されている。カバー50の内側には、セクタギヤ30の円弧凸部32cおよび出力ロッド40の凸部45aが、それぞれ摺接するようになっている。よって、カバー50の内側は、平滑形状に形成されている。
図1および図5に示すように、ケース20の底部21に設けられる電装部品60は、導電性に優れた黄銅等よりなる第1コンタクトプレート61,第2コンタクトプレート62,第3コンタクトプレート63を備えている。これらのコンタクトプレート61〜63は、ケース20の底部21にそれぞれ固定され、本発明における第1固定導体,第2固定導体および第3固定導体を、それぞれ構成している。各コンタクトプレート61〜63は、プラスチック等の絶縁材料よりなる固定部材64によって、互いに所定間隔を持つように、つまり互いに短絡しないように一体化されている。これにより、各コンタクトプレート61〜63をサブアッシー化して、ケース20への組み付け性を向上させている。
図1に示すように、各コンタクトプレート61〜63は、支柱27を中心に、その周方向に並んで設けられている。つまり、各コンタクトプレート61〜63は、セクタギヤ30の軸心を中心に周方向に並べられており、セクタギヤ30の揺動に伴い、当該セクタギヤ30に設けたコンタクタ34が摺接するようになっている。より具体的には、各コンタクトプレート61〜63は、支柱27の周方向に沿って、図中右側から時計方向にその順番で並べられている。各コンタクトプレート61〜63には、それぞれ第1摺接部61a,第2摺接部62aおよび第3摺接部63aが設けられ、これらの摺接部61a,62a,63aの面上を、コンタクタ34の接触凸部34a(図3参照)が摺接するようになっている。
第1コンタクトプレート61は略長方形形状に形成され、第1摺接部61aの第2摺接部62a寄り部分には、電動モータ11のメス型端子15b(図1参照)に電気的に接続されるオス型端子61bが一体に設けられている。一方、第1摺接部61aのオス型端子61bが設けられる側とは反対側の部分には、ダイオード固定部61cが一体に設けられている。なお、第1コンタクトプレート61に設けた2つの貫通孔61dは、底部21への位置決めと固定に用いられる。
第2コンタクトプレート62は略U字形状に形成され、第2摺接部62aの第1コンタクトプレート61寄りの部分には、第1ダイオード固定部62bが一体に設けられている。一方、第2摺接部62aの第3コンタクトプレート63寄りの部分には、第2ダイオード固定部62cが一体に設けられている。なお、第2コンタクトプレート62に設けた3つの貫通孔62dは、底部21への位置決めと固定に用いられる。
第3コンタクトプレート63は略円弧形状に形成され、第3摺接部63aの第2摺接部62a寄り部分には、熱保護素子固定部63bが一体に設けられている。一方、第3摺接部63aの熱保護素子固定部63bが設けられる側とは反対側の部分には、ダイオード固定部63cが一体に設けられている。なお、第3コンタクトプレート63に設けた2つの貫通孔63dは、底部21への位置決めと固定に用いられる。
底部21のコネクタ接続部26の近傍には、導電性に優れた黄銅等よりなる第1給電部材65および第2給電部材66が装着されている。第1給電部材65の長手方向一端側には、電動モータ11のメス型端子15a(図1参照)に電気的に接続されるモータ側オス型端子65aが一体に設けられている。一方、第1給電部材65の長手方向他端側には、車両側の給電コネクタに設けられる一方のメス型端子(図示せず)が電気的に接続される給電側オス型端子65bが一体に設けられている。
第2給電部材66の長手方向一端側には、熱保護素子固定部66aが一体に設けられている。一方、第2給電部材66の長手方向他端側には、車両側の給電コネクタに設けられる他方のメス型端子(図示せず)が電気的に接続される給電側オス型端子66bが一体に設けられている。また、第2給電部材66および第3コンタクトプレート63は、プラスチック等の絶縁材料よりなる固定部材67によって、互いに所定間隔を持つように、つまり互いに短絡しないように一体化されている。この固定部材67は、PTC(Positive Temperature Coefficient)やサーミスタといった熱保護素子THを保持しており、熱保護素子THの一方の端子は、第3コンタクトプレート63の熱保護素子固定部63bに半田付け等により電気的に接続され、熱保護素子THの他方の端子は、第2給電部材66の熱保護素子固定部66aに半田付け等により電気的に接続されている。
なお、熱保護素子THは、電動モータ11への通電時に電動モータ11のコイルが異常発熱するのを防止する役割を果たしている。また、第1給電部材65は1つの貫通孔65cを備え、第1給電部材65は、ケース20の底部21に単独で位置決めされ、かつ固定される。さらに、第2給電部材66にも1つの貫通孔66cが設けられ、これにより第2給電部材66の底部21への位置決めと固定がなされる。
第1コンタクトプレート61と第2コンタクトプレート62との間には、第1ダイオード68が設けられている。第1ダイオード68は、固定部材64によって位置決めされ、第1ダイオード68のアノード側リード線(アノード)68aは、第1コンタクトプレート61のダイオード固定部61cに半田付け等により電気的に接続されている。一方、第1ダイオード68のカソード側リード線(カソード)68bは、第2コンタクトプレート62の第1ダイオード固定部62bに半田付け等により電気的に接続されている。これにより、第1ダイオード68により、第1コンタクトプレート61から第2コンタクトプレート62への電流の流れが許容され、第2コンタクトプレート62から第1コンタクトプレート61への電流の流れが規制される。なお、第1ダイオード68に設けられた黒帯状の印がある側がカソード側を示している。
また、第3コンタクトプレート63と第2コンタクトプレート62との間には、第2ダイオード69が設けられている。第2ダイオード69は、第1ダイオード68と同じ仕様のものが用いられる。第2ダイオード69は、固定部材64によって位置決めされ、第2ダイオード69のアノード側リード線(アノード)69aは、第3コンタクトプレート63のダイオード固定部63cに半田付け等により電気的に接続されている。一方、第2ダイオード69のカソード側リード線(カソード)69bは、第2コンタクトプレート62の第2ダイオード固定部62cに半田付け等により電気的に接続されている。これにより、第2ダイオード69により、第3コンタクトプレート63から第2コンタクトプレート62への電流の流れが許容され、第2コンタクトプレート62から第3コンタクトプレート63への電流の流れが規制される。なお、第2ダイオード69に設けられた黒帯状の印がある側がカソード側を示している。
次に、以上のように構成したロック装置10の動作(アンロック動作およびロック動作)について、図面を用いて詳細に説明する。
図6は第1アンロック動作を説明する説明図を、図7は第2アンロック動作を説明する説明図を、図8は第3アンロック動作を説明する説明図を、図9は第4アンロック動作を説明する説明図をそれぞれ示している。なお、図6〜図9においては、駆動電流の流れを判り易くするために、セクタギヤ30や出力ロッド40等の駆動部品を破線で示している。
[第1アンロック動作]
まず、操作者によりドアロックスイッチ(図示せず)がアンロック操作されると、図6に示すように、「ロック状態」にあるロック装置10に、太線矢印に示すように駆動電流が供給される。なお、ロック装置10が「ロック状態」のときは、ダンパ43の緩衝突起43aが、ダンパ収容室25の第1壁部25aに当接し、かつセクタギヤ30のコンタクタ34が、第2コンタクトプレート62と第3コンタクトプレート63とを接触(通電)させる状態となっている。
アンロック動作のときは、第1給電部材65の極性が(+)とされ、第2給電部材66の極性が(−)とされる。これにより、駆動電流は、第1給電部材65およびメス型端子15a(図1参照)を介して電動モータ11に供給される。そして、電動モータ11に供給された駆動電流は、メス型端子15b(図1参照),第1コンタクトプレート61,第1ダイオード68,第2コンタクトプレート62,コンタクタ34,第3コンタクトプレート63,熱保護素子TH,第2給電部材66を、その順番で流れる。ここで、第1ダイオード68の整流方向が、第1コンタクトプレート61から第2コンタクトプレート62への方向なので、太線矢印に示すように駆動電流が流れる。
これにより、電動モータ11が実線矢印に示すように正転されて、セクタギヤ30が実線矢印R1の方向(反時計回りの方向)に回転される。すると、出力ロッド40が実線矢印M1の方向に移動して、出力ロッド40の係合爪部41がケース20(図1参照)の内部に引き込まれていく。
[第2アンロック動作]
図7に示すように、電動モータ11が継続して正転され、出力ロッド40の係合爪部41が実線矢印M1のように継続してケース20の内部に引き込まれていくと、ダンパ43の緩衝突起43aとダンパ収容室25の第1壁部25aとが離れて、両者間の離間距離はS1となる。さらには、セクタギヤ30が実線矢印R1のように継続して回転されると、コンタクタ34が第1コンタクトプレート61と第3コンタクトプレート63とを接触させる状態となる。これにより、出力ロッド40の「引き込み動作中」は、駆動電流は、第1給電部材65,メス型端子15a,電動モータ11,メス型端子15b,第1コンタクトプレート61,コンタクタ34,第3コンタクトプレート63,熱保護素子TH,第2給電部材66を介して流れる。なお、電動モータ11の駆動中は、駆動電流は熱保護素子THを流れるため、電動モータ11の焼損を効果的に抑制することができる。
[第3アンロック動作]
さらに電動モータ11が継続して正転されると、図8に示すように、出力ロッド40の係合爪部41が実線矢印M1のように継続してケース20の内部に引き込まれて、ダンパ43の緩衝突起43aとダンパ収容室25の第1壁部25aとの間の離間距離がS2となる(S2>S1)。これにより、出力ロッド40の係合爪部41と、フューエルリッドの引っ掛け部(図示せず)との係合が解除されて、フューエルリッドがアンロック状態となる。
その後さらに、セクタギヤ30が実線矢印R1のように継続して回転され、コンタクタ34が第1コンタクトプレート61と第2コンタクトプレート62とを接触させる状態となる。これにより、第2コンタクトプレート62に流れた駆動電流は、第2ダイオード69によって、第3コンタクトプレート63へ流れなくなる。したがって、電動モータ11への駆動電流の供給が遮断されて「通電カット」の状態となり、電動モータ11の正転駆動が停止される。このとき、電動モータ11は、当該電動モータ11の慣性により正転方向に惰性回転されて、セクタギヤ30を若干回転させつつ、出力ロッド40を若干移動させる。
[第4アンロック動作]
その後、図9に示すように、ダンパ43の緩衝突起43bが、ダンパ収容室25の第2壁部25bに当接して、ダンパ43の緩衝突起43aとダンパ収容室25の第1壁部25aとの間の離間距離がSmax(最大離間距離)となる。これにより、電動モータ11の惰性回転も停止して、出力ロッド40が他方の移動端に到達して、ひいてはロック装置10のアンロック動作が完了する。その後は、ロック装置10は、図9に示す「アンロック状態」が保持される。このように、ダンパ43の緩衝突起43bが、ダンパ収容室25の第2壁部25bに当接される前に、第2ダイオード69によって電動モータ11への通電が遮断される。
図10は第1ロック動作を説明する説明図を、図11は第2ロック動作を説明する説明図を、図12は第3ロック動作を説明する説明図を、図13は第4ロック動作を説明する説明図をそれぞれ示している。なお、図10〜図13においても、駆動電流の流れを判り易くするために、セクタギヤ30や出力ロッド40等の駆動部品を破線で示している。
[第1ロック動作]
まず、操作者によりドアロックスイッチがロック操作されると、図10に示すように、「アンロック状態」にあるロック装置10に、太線矢印に示すように駆動電流が供給される。なお、ロック装置10が「アンロック状態」のときは、ダンパ43の緩衝突起43bが、ダンパ収容室25の第2壁部25bに当接し、かつセクタギヤ30のコンタクタ34が、第1コンタクトプレート61と第2コンタクトプレート62とを接触(通電)させる状態となっている。
ロック動作のときは、第2給電部材66の極性が(+)とされ、第1給電部材65の極性が(−)とされる。これにより、駆動電流は、第2給電部材66,熱保護素子TH,第3コンタクトプレート63,第2ダイオード69,第2コンタクトプレート62,コンタクタ34,第1コンタクトプレート61およびメス型端子15bを介して電動モータ11に供給される。そして、電動モータ11に供給された駆動電流は、メス型端子15aから第1給電部材65の順番で流れる。ここで、第2ダイオード69の整流方向が、第3コンタクトプレート63から第2コンタクトプレート62への方向なので、太線矢印に示すように駆動電流が流れる。
これにより、電動モータ11が破線矢印に示すように逆転されて、セクタギヤ30が破線矢印R2の方向(時計回りの方向)に回転される。すると、出力ロッド40が破線矢印M2の方向に移動して、出力ロッド40の係合爪部41がケース20の外部に押し出されていく。
[第2ロック動作]
図11に示すように、電動モータ11が継続して逆転され、出力ロッド40の係合爪部41が破線矢印M2のように継続してケース20の外部に押し出されていくと、ダンパ43の緩衝突起43bとダンパ収容室25の第2壁部25bとが離れて、両者間の離間距離はS3となる。さらには、セクタギヤ30が破線矢印R2のように継続して回転されると、コンタクタ34が第1コンタクトプレート61と第3コンタクトプレート63とを接触させる状態となる。これにより、出力ロッド40の「押し出し動作中」は、駆動電流は、第2給電部材66,熱保護素子TH,第3コンタクトプレート63,コンタクタ34,第1コンタクトプレート61,メス型端子15b,電動モータ11,メス型端子15a,第1給電部材65を介して流れる。なお、電動モータ11の駆動中は、駆動電流は熱保護素子THを流れるため、電動モータ11の焼損を効果的に抑制することができる。
[第3ロック動作]
さらに電動モータ11が継続して逆転されると、図12に示すように、出力ロッド40の係合爪部41が破線矢印M2のように継続してケース20の外部に押し出されて、ダンパ43の緩衝突起43bとダンパ収容室25の第2壁部25bとの間の離間距離がS4となる(S4>S3)。これにより、出力ロッド40の係合爪部41と、フューエルリッドの引っ掛け部とが係合して、フューエルリッドがロック状態となる。
その後さらに、セクタギヤ30が破線矢印R2のように継続して回転され、コンタクタ34が第2コンタクトプレート62と第3コンタクトプレート63とを接触させる状態となる。これにより、第2コンタクトプレート62に流れた駆動電流は、第1ダイオード68によって、第1コンタクトプレート61へ流れなくなる。したがって、電動モータ11への駆動電流の供給が遮断されて「通電カット」の状態となり、電動モータ11の逆転駆動が停止される。このとき、電動モータ11は、当該電動モータ11の慣性により逆転方向に惰性回転されて、セクタギヤ30を若干回転させつつ、出力ロッド40を若干移動させる。
[第4ロック動作]
その後、図13に示すように、ダンパ43の緩衝突起43aが、ダンパ収容室25の第1壁部25aに当接して、ダンパ43の緩衝突起43bとダンパ収容室25の第2壁部25bとの間の離間距離がSmax(最大離間距離)となる。これにより、電動モータ11の惰性回転も停止して、出力ロッド40が一方の移動端に到達して、ひいてはロック装置10のロック動作が完了する。その後は、ロック装置10は、図13に示す「ロック状態」が保持される。このように、ダンパ43の緩衝突起43aが、ダンパ収容室25の第1壁部25aに当接される前に、第1ダイオード68によって電動モータ11への通電が遮断される。
以上詳述したように、本実施の形態に係るロック装置10によれば、セクタギヤ30の軸心を中心に周方向に並べられた第1コンタクトプレート61,第2コンタクトプレート62,第3コンタクトプレート63をケース20に設け、第1コンタクトプレート61にアノードが接続され、第2コンタクトプレート62にカソードが接続された第1ダイオード68と、第3コンタクトプレート63にアノードが接続され、第2コンタクトプレート62にカソードが接続された第2ダイオード69とを設けた。
また、セクタギヤ30の揺動量に応じて、第1コンタクトプレート61と第2コンタクトプレート62とを接触させ,第1コンタクトプレート61と第3コンタクトプレート63とを接触させ,第2コンタクトプレート62と第3コンタクトプレート63とを接触させるコンタクタ34をセクタギヤ30に設け、出力ロッド40が移動端に到達してダンパ43がケース20に当接される前に、第1ダイオード68および第2ダイオード69により電動モータ11への通電を遮断する。
これにより、ダンパ43を設けたことに起因するチャタリング現象の発生を防止して、ロック装置10の静粛性を大幅に向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14(a),(b)は実施の形態2のロック装置の部分平面図を、図15は図14のロック装置のトーションばねを示す斜視図を、図16は図14のロック装置のカバーを示す斜視図をそれぞれ示している。
実施の形態2においては、実施の形態1に比して、図14および図15に示すように、ケース20の内部に、弾性部材としてのトーションばね70を設けた点のみが異なっている。このトーションばね70は、出力ロッド40を一方の移動端(図6のロック状態を参照)および他方の移動端(図9のアンロック状態を参照)に向けて押すようになっている。
トーションばね70は、図15に示すように、ピアノ線等の断面が略円形のばね材71を複数回巻くことによりコイル状に形成され、ばね材71の巻き方向にばね力を発生するようになっている。トーションばね70を形成するばね材71の一端側には、巻き方向と交差する方向に突出された第1装着部72が設けられている。また、トーションばね70を形成するばね材71の他端側には、第1装着部72とは逆方向に突出された第2装着部73が設けられている。ここで、第1装着部72と第2装着部73とを結ぶ線分の距離はLとなっており、当該距離Lは、トーションばね70に外力を負荷していないときの自然状態の距離となっている。
第1装着部72は、図16に示すように、カバー50の内側に一体に設けられた筒状固定部74に回動自在に装着されている。なお、カバー50においても、本発明におけるケースを構成している。一方、第2装着部73は、図14に示すように、セクタギヤ30の各肉盗み部32bの間にあるリブ部75に回動自在に装着されている。そして、セクタギヤ30の軸心とトーションばね70の第1装着部72とは、距離OSの分だけオフセットされている。当該距離OSは、セクタギヤ30の回転に関わらず常に不変である。
次に、トーションばね70のばね力の作用について説明する。図14(a)に示すように、トーションばね70の第1装着部72および第2装着部73が、出力ロッド40の移動方向に対して垂直な規準線C上にあるときに、第1装着部72と第2装着部73とを結ぶ線分の距離L1が最も短い距離となる。つまり、この場合におけるトーションばね70のばね力は最大となる。
セクタギヤ30が実線矢印R1の方向、つまりロック装置10がアンロック状態となる方向に回転すると、トーションばね70のばね力は、図中矢印F1に示すように、セクタギヤ30を実線矢印R1の方向へ回転させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が実線矢印M1の方向に移動されて、一方の移動端に止まるようにトーションばね70により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43bは、ダンパ収容室25の第2壁部25bに押し付けられて若干弾性変形される。
一方、図14(b)に示すように、セクタギヤ30が破線矢印R2の方向、つまりロック装置10がロック状態となる方向に回転すると、トーションばね70のばね力は、図中矢印F2に示すように、セクタギヤ30を破線矢印R2の方向へ回転させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が破線矢印M2の方向に移動されて、他方の移動端に止まるようにトーションばね70により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43aは、ダンパ収容室25の第1壁部25aに押し付けられて若干弾性変形される。
なお、図14(a),(b)に示すように、出力ロッド40が一方の移動端および他方の移動端にあるときの第1装着部72と第2装着部73とを結ぶ線分の距離L2および距離L3は、それぞれトーションばね70に外力を負荷していないときの自然状態の距離L(図15参照)よりも短い距離になっている(L1<L3<L2<L)。つまり、図14(a),(b)に示す状態は、出力ロッド40にトーションばね70のばね力F1,F2がそれぞれ作用した状態となっている。
また、トーションばね70のばね力は、出力ロッド40が一方の移動端および他方の移動端の近傍に近付いて、第1ダイオード68および第2ダイオード69(図5参照)による電動モータ11への通電が遮断(通電カット)されてから、セクタギヤ30に作用するようになっている。
具体的には、アンロック動作中においては、図8に示す状態から図9に示す状態、つまり電動モータ11への通電が遮断されてから、出力ロッド40が移動端に到達してダンパ43の緩衝突起43bがダンパ収容室25の第2壁部25bに当接されるまでの間、出力ロッド40の移動は、電動モータ11の惰性回転とトーションばね70のばね力によって行われる。一方、ロック動作中においては、図12に示す状態から図13に示す状態、つまり電動モータ11への通電が遮断されてから、出力ロッド40が移動端に到達してダンパ43の緩衝突起43aがダンパ収容室25の第1壁部25aに当接されるまでの間、出力ロッド40の移動は、電動モータ11の惰性回転とトーションばね70のばね力によって行われる。
以上のように構成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、ケース20内に、出力ロッド40を一方の移動端(ロック状態)および他方の移動端(アンロック状態)に向けて押すトーションばね70を設けたので、出力ロッド40の移動方向に沿うがたつきを効果的に抑えることができる。さらには、ダンパ43の弾性変形に伴う出力ロッド40の跳ね返り動作、つまり例えば、出力ロッド40を一方の移動端へ移動させたにも関わらず、ダンパ43の弾性力により出力ロッド40が他方の移動端に向けて移動されるのを、効果的に抑えることができる。よって、ロック装置10の静粛性をより向上させることができる。
また、第1装着部72および第2装着部73を有するトーションばね70としたので、第1装着部72をカバー50に装着し、第2装着部73をセクタギヤ30装着するだけで、簡単に上述のような「ばね機構」を設けることができる。さらに、トーションばね70は、電装部品60側とは反対側のカバー50側に配置されるため、電装部品60を短絡させる等の不具合の発生を確実に防止できる。
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態2と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図17(a),(b)は実施の形態3のロック装置の部分平面図を示している。
実施の形態3においては、実施の形態2に比して、出力ロッド40を一方の移動端(図6のロック状態を参照)および他方の移動端(図9のアンロック状態を参照)に向けて押すばねの形状のみが異なっている。具体的には、図17に示すように、実施の形態3のロック装置10では、ケース20の内部に弾性部材としての板ばね80を設けている。板ばね80は、例えば、金属製の板材を屈曲させることにより、固定部81および押付凸部82を備えている。固定部81は、リベットRを介してケース20の壁部22に装着(固定)されている。板ばね80は、壁部22における出力ロッド40の突起部45との対向部分に配置されている。
押付凸部82の壁部22からの突出高さは、突起部45と壁部22との間の隙間寸法よりも大きく設定されている。したがって、押付凸部82は突起部45と壁部22との間を通過する際に弾性変形されて、このときの押付凸部82の反発力が板ばね80のばね力となり、突起部45に作用する。つまり、突起部45は、本発明における板ばねが押し付けられる突起部を構成している。これにより、板ばね80は、出力ロッド40を一方の移動端および他方の移動端に向けて押す。
そして、図17(a)に示すように、セクタギヤ30が実線矢印R1の方向、つまりロック装置10がアンロック状態となる方向に回転すると、板ばね80のばね力は、図中矢印F3に示すように、突起部45を介して出力ロッド40を実線矢印M1の方向へ移動させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が一方の移動端に止まるように、板ばね80により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43bは、ダンパ収容室25の第2壁部25bに押し付けられて若干弾性変形される。
一方、図17(b)に示すように、セクタギヤ30が破線矢印R2の方向、つまりロック装置10がロック状態となる方向に回転すると、板ばね80のばね力は、図中矢印F4に示すように、突起部45を介して出力ロッド40を破線矢印M2の方向へ移動させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が他方の移動端に止まるように、板ばね80により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43aは、ダンパ収容室25の第1壁部25aに押し付けられて若干弾性変形される。
また、板ばね80のばね力についても、出力ロッド40が一方の移動端および他方の移動端の近傍に近付いて、第1ダイオード68および第2ダイオード69(図5参照)による電動モータ11への通電が遮断(通電カット)されてから、出力ロッド40に作用するようになっている。
以上のように構成した実施の形態3においても、上述した実施の形態2と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3においては、板ばね80をケース20の壁部22に固定するだけで、簡単に上述のような「ばね機構」を設けることができる。しかも、出力ロッド40に予め設けられた突起部45を流用し、この突起部45を板ばね80により押し付けられるようにしたので、低コストで「ばね機構」を実現することができる。
次に、本発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態3と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図18(a),(b)は実施の形態4のロック装置の部分平面図を示している。
実施の形態4においては、実施の形態3に比して、板ばね80を出力ロッド40に装着し、当該板ばね80が押し付けられる突起部90をケース20の壁部22に一体に設けた点のみが異なっている。つまり、実施の形態4においては、実施の形態3に比して、板ばねと突起部との配置関係が逆になっている。板ばね80はリベットRを介して、突起部45の近傍でかつダンパ43側に固定されている。また、壁部22における板ばね80の押付凸部82との対向部分に突起部90が設けられている。
押付凸部82の出力ロッド40からの突出高さは、突起部90と出力ロッド40との間の隙間寸法よりも大きく設定されている。したがって、押付凸部82は突起部90と出力ロッド40との間を通過する際に弾性変形されて、このときの押付凸部82の反発力が板ばね80のばね力となり、突起部90に作用する。これにより、突起部90に板ばね80は押し付けられて、出力ロッド40が一方の移動端および他方の移動端に向けて押される。
そして、図18(a)に示すように、セクタギヤ30が実線矢印R1の方向、つまりロック装置10がアンロック状態となる方向に回転すると、板ばね80のばね力は、図中矢印F5に示すように、突起部90から出力ロッド40を実線矢印M1の方向へ移動させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が一方の移動端に止まるように、板ばね80により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43bは、ダンパ収容室25の第2壁部25bに押し付けられて若干弾性変形される。
一方、図18(b)に示すように、セクタギヤ30が破線矢印R2の方向、つまりロック装置10がロック状態となる方向に回転すると、板ばね80のばね力は、図中矢印F6に示すように、突起部90から出力ロッド40を破線矢印M2の方向へ移動させるように加勢される。これにより、出力ロッド40が他方の移動端に止まるように、板ばね80により押される。このとき、ダンパ43の緩衝突起43aは、ダンパ収容室25の第1壁部25aに押し付けられて若干弾性変形される。
以上のように構成した実施の形態4においても、上述した実施の形態3と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4においては、実施の形態3に比して、新たに突起部90をケース20に形成する必要があるが、板ばね80の装着位置がケース20の内側では無く、出力ロッド40の外側であるため、板ばね80の取り付け作業を簡素化することができる。なお、突起部90は、ケース20を射出成形する際に用いる金型の形状を若干変更するだけで済むので、それほどのコストアップにはならない。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、ロック装置10を、蓋部材としてのフューエルリッドをロック状態およびアンロック状態とするものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば、車両に搭載される他の蓋部材としてのエンジンフードやトランクリッド等をロック状態およびアンロック状態とするものにも適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、モータとしてブラシ付きの電動モータ11を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、モータとしてブラシレスの電動モータ等を採用することもできる。