JP6408939B2 - 熱膨張ゲル用チューブ - Google Patents
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Description
チューブ本体内への熱膨張ゲルの充填は、熱圧着前のチューブ本体の後端開口から熱膨張ゲルを注入し、その後、後端開口の部分を一対の熱封止体によりクランプし、ここに熱圧着部を形成することで行われていた。
また、例えば夏季などの周辺環境の温度が高いときには、胴部に収容された熱膨張ゲルがアルコール分の気化を伴いながら熱膨張し、これに相応して、環状の伸縮構造部がチューブ本体の長さ方向へ自動的に伸長する。その結果、熱膨張を原因としたチューブ内圧の過剰な上昇が抑制される。この点に加えて、チューブ本体の後端部の全域を、胴部より厚肉でかつ剛性が高い空気溜まり部としたため、高温環境の影響でチューブ本体が軟化し、熱膨張ゲルが熱膨張しても、従来品に比べてチューブ本体の後端部は破れにくく、そこからの熱膨張ゲルの漏出を防止することができる。
チューブ本体の素材であるプラスチックとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどを採用することができる。
熱膨張ゲルとしては、アルコール分を含有し、かつ熱により膨張するゲル状の流体物であれば任意である。例えば、ゲル状接着剤(酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、アクリル樹脂系溶剤形接着剤など)、ゲル状化粧品(マッサージジェルなど)、ゲル状医薬品(消毒用アルコールゲルなど)を採用することができる。アルコール分(揮発成分)としては、例えばエチルアルコール、メチルアルコールなどを採用することができる。
ここでいう「弾性変形自在」とは、手指により胴部を押したとき、胴部が熱膨張ゲルを押し出せるほど変形し、かつ押圧力を解除した際、胴部が元の形状に復元することをいう。
胴部の厚さは、胴部を手指により押しても胴部が破れず、かつ胴部が弾性変形自在となる厚さであれば任意である。例えば、0.3〜1.0mm、好ましくは0.8mm前後である。胴部は、後述する伸縮構造部より肉厚である。
ここでいう「絞り部」とは、チューブ本体の後端部において、チューブ本体の後端に向かって徐々に厚み(上下方向の長さ)だけが減少する部分をいう。絞り部は、チューブ本体の後端部の全体でもよいし、後端を含む一部でもよい。
空気溜まり部の厚さは、これを手指により押した際、容易には変形しない厚さであれば任意である。例えば1.5〜3mmである。1.5mm未満では、手指により押したとき、空気溜まり部が弾性変形するおそれがある。また、3mmを超えれば、空気溜まり部が厚くなりすぎてコスト高になり、チューブ本体が重くなる。空気溜まり部の好ましい厚さは、1.8〜2.5mmである。この範囲であれば、弾性変形しない空気溜まり部が低コストでかつ重くならずに得られる。
ここでいう「胴部より厚肉でかつ剛性が高い」とは、胴部の厚みより空気溜まり部が厚く、胴部の剛性より空気溜まり部の剛性が高いことを意味する。
環状の伸縮構造部としては、例えば溝条部、突条部のほか、これらがチューブ本体の長さ方向に交互に連続する蛇腹部などを採用することができる。伸縮構造部の形成数は1つでも複数でもよい。
ここでいう「熱膨張ゲルの熱膨張に相応して」とは、熱膨張ゲルが膨張する分だけ、環状の伸縮構造部がチューブ本体の長さ方向へ伸びることを意味する。
キャップの素材としては、例えばプラスチック、金属などを採用することができる。キャップの形状やサイズは任意である。
また、夏季などの環境温度が高いときには、胴部内で熱膨張ゲルがアルコール分を気化しながら熱膨張する。これによりチューブ内圧が高まる。しかしながら、チューブ本体では、上昇したチューブ内圧を動力源とし、環状の伸縮構造部が、熱膨張に相応した分だけ蛇腹のようにチューブ本体の長さ方向へ自動的に伸長する。その結果、熱膨張を原因としたチューブ本体の過度な内圧上昇が抑制される。この点に加えて、チューブ本体の後端部の全域を、胴部より厚肉でかつ剛性が高い空気溜まり部としたため、高温環境の影響でチューブ本体が軟化し、熱膨張ゲルが熱膨張しても、従来品に比べてチューブ本体の後端部は破れにくく、そこからの熱膨張ゲルの漏出を防止できる。
熱膨張ゲル11は、エタノールを消毒成分とした消毒用アルコールゲルである。
チューブ本体15は、ポリエチレンを成形材料として真空成形された管状の容器である。そのため、熱膨張ゲル11のチューブ本体15への注入(充填)は、注出部12に挿入した図示しない注入ノズルにより行われる。その注入量は、絞り部13を残して胴部14の内部空間が埋まる程度である。したがって、絞り部13は空の状態である。
注出部12は、外ねじが形成された厚肉な円筒状の突起で、チューブ本体15の先端部の中央部に一体成形されている。
絞り部13は、チューブ本体15の後端部に一体成形された先細り部分である。絞り部13は、後端に向かってチューブ本体15の厚み(上下方向の長さ)だけが徐々に減少する、側面視して三角形のチューブ末端部分である。
また、この絞り部13を含むチューブ本体15の後端部の全域には、胴部14より厚肉でかつ剛性が高い空気溜まり部30が一体成形されている。チューブ本体15の後端部の肉厚は約2mmである。空気溜まり部30の厚さは全域で2mmである。そのため、手指で押しても容易には変形せず、変形したとしても胴部14とは違い形状復元しない。
空気溜まり部30と胴部14との接合部分には、熱膨張ゲル11の熱膨張に相応してチューブ本体15の長さ方向へ伸びる1つの環状の溝条部(伸縮構造部)31が、ポリエチレンを成形材とした空気溜まり部30と胴部14との一体成形によって周設されている。この実施例においては、伸縮構造部31の肉厚は約0.8mmであるが、伸縮構造部31の厚さは胴部14の厚さより薄いものがより好ましい。
溝条部31の厚さは胴部14と同じ8mmで、その断面は三角形ある。そのため、長さは短いものの蛇腹のようにチューブ本体15の長さ方向へ伸縮自在である。
逆止弁17はポリエチレンの射出成形品で、弁箱18にチューブ本体15からの熱膨張ゲル11の注出のみを許容する弁体19が収納されている。弁体19は熱膨張ゲル11の圧力により押し開かれるが、逆流しようとすれば弁体19が背圧により弁箱18の弁座20に密着し、逆流が防止される。
キャップ16はポリプロピレンからなる蓋体で、内部空間に配置された内筒部16aに、注出部12の外ねじに螺合する内ねじを有する。
手指の消毒のため、熱膨張ゲル11を使用する際には、注出部12からキャップ16を外し、チューブ本体15の胴部14を握ってこれを圧搾する。これにより、肉薄な胴部14が弾性変形し、胴部14に入った熱膨張ゲル11が注出部12から逆止弁17を経て熱膨張ゲル用チューブ10の外へ従来品と同等の注出のし易さで押し出される。このとき、空気溜まり部30の内部には、胴部14に充填された熱膨張ゲル11の後端面を封止面とし、空気が密封されている。これにより、ゲル注出時、この閉じ込められた空気の圧力が作用し、熱膨張ゲル11は空気溜まり部30の内部空間にほとんど流入せず、熱膨張ゲル11の注出のし易さへの影響は小さい。
11 熱膨張ゲル、
12 注出部、
13 絞り部、
14 胴部、
15 チューブ本体、
16 キャップ、
30 空気溜まり部、
31 溝条部(環状の伸縮構造部)。
Claims (1)
- 先端部にアルコール分を含む熱膨張ゲルの注出部が、後端部に出荷状態で空気が溜まる空気溜まり部がそれぞれ形成され、長さ方向の中間部が上記熱膨張ゲルを収容する弾性変形自在な胴部となったプラスチック製の管状のチューブ本体と、上記注出部に取り付けられるキャップとを備えた熱膨張ゲル用チューブにおいて、
上記チューブ本体の後端部の全域を、上記胴部より厚肉でかつ剛性が高い空気溜まり部とし、該空気溜まり部と上記胴部との接合部分に、胴部より厚さが薄く、上記熱膨張ゲルの熱膨張に相応して上記チューブ本体の長さ方向に伸びる環状の伸縮構造部を周設した熱膨張ゲル用チューブ。
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