整形ターゲットを生成するための技法について開示する。ターゲットは極端紫外(EUV)光源で使用することができる。整形ターゲットは、プラズマに変換された時にEUV光を放出するターゲット材料を含む。ターゲット材料は、例えば、増幅光ビームでターゲット材料を照射することにより、EUV光を放出するプラズマに変換することができる。整形ターゲットは、ターゲット材料を含む初期ターゲットを「残存プラズマ」に曝すことにより、リアルタイムで形成される。
残存プラズマは、ターゲット材料がある領域内でEUV光を放出するプラズマに変換された後にその領域内に残存する物質である。残存プラズマは、結果としてEUV光を放出するプラズマが生成されるターゲット材料と光との初期の相互作用によりその領域内に存在する任意の物質にすることができる。残存プラズマは、EUV光を放出するプラズマの残存物又は遺物であり、増幅光ビームとターゲット材料との相互作用により生成されたデブリを含むことができる。残存プラズマは、例えば、熱ガス、原子、イオン、微粒子(例えば、ダストなど、1〜1000μmの直径を有する粒子にすることができる)、粒子、及び/又は希薄なガスを含むことができる。残存プラズマは、必ずしもプラズマではないが、プラズマを含むことができる。残存プラズマの密度及び温度は、空間的に及び/又は時間的に変動する可能性がある。従って、残存プラズマを含む領域は、非均一密度及び温度の領域と見なすことができる。ターゲット材料がこの非均一領域に入ると、非対称の力がターゲット材料に作用してターゲット材料の空間分布(形状)を変更することは起こり得る。いくつかの事例では、ターゲット材料の空間分布は、ディスク様の形状から、頂部で交わる側部と、接近する増幅光ビームに対して開放されている陥凹部とを有するV様の形状に変更することができる。
整形ターゲットを構成する材料は空間分布(又は形状)を有し、その形状は、初期ターゲットと残存プラズマとの相互作用の結果として生じる可能性がある。整形ターゲットは、より大きいプラズマ閉じ込め並びにより大きいEUV放出量をもたらすことができ、それによりEUV光生成が増加する可能性がある。追加的に、整形ターゲットは、EUV光源が動作している間にEUV光源内で(例えば、EUV光源の真空チャンバの内側で)形成される。その結果として、整形ターゲットは、高繰り返し率、例えば、40キロヘルツ(kHz)、100kHz、又はそれ以上のEUV光源において使用することができる。
いくつかの実現例では、整形ターゲットは、整形ターゲットの少なくとも一部をプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する接近する増幅光ビームに対して開放されている陥凹部分又は空洞を備えた凹面ターゲットである。空洞は、空洞の少なくとも一部分が増幅光ビームを受け取って、それと相互作用できるように配向されることにより、接近する増幅光ビームに対して開放されている。例えば、整形ターゲットは、「V」の陥凹部分又は谷間部分が接近する増幅光ビームに対して開放されている「V」整形ターゲットにすることができる。「V」の側部は、プラズマを包囲し、陥凹部分においてターゲットと増幅光ビームとの相互作用により生成されたプラズマを閉じ込める。このようにして、形成されたプラズマは、増幅光ビームと陥凹部が欠如している平らなターゲットとの相互作用によりプラズマを形成することによって達成されると思われるものより長いスケール長を有する。プラズマのスケール長は、光吸収領域を画定するものであり、局所密度を密度勾配で割ることによって得られる。より長いスケール長は、プラズマがより容易に光を吸収し、従って、より多くのEUV光を放出することを示している。追加的に、ターゲットの形状はより大きいEUV放出量を提供し、それによりターゲットから放出されるEUV光の量も増加する。
図1を参照すると、光増幅器システム106は、レーザ生成プラズマ(LPP)極端紫外(EUV)光源100を駆動するために使用される光学発生源105(ドライブソース又はドライブレーザともいう)の少なくとも一部を形成する。光増幅器システム106は、光学発生源105がターゲット領域130に提供される増幅光ビーム110を生成するように、少なくとも1つの光増幅器を含む。ターゲット領域130はターゲット材料デリバリシステム115からスズなどのターゲット材料120を受け取り、増幅光ビーム110とターゲット材料120(又はターゲット領域130内の残存プラズマとターゲット材料との相互作用により生成された整形ターゲット)との相互作用により、EUV光又は放射150を放出するプラズマ125を生成する(EUV放射150の一部のみが図1に示されているが、EUV放射150がプラズマ125からすべての方向に放出されることは起こり得る)。光コレクタ155は、EUV放射150の少なくとも一部を収集し、収集したEUV光160を、リソグラフィツールなどの光学装置165に向かって誘導する。
増幅光ビーム110は、ビームデリバリシステム140によってターゲット領域130に向かって誘導される。ビームデリバリシステム140は、光学コンポーネント135と、焦点領域145内で増幅光ビーム110を集束させる焦点アセンブリ142とを含むことができる。コンポーネント135は、屈折及び/又は反射により増幅光ビーム110を誘導するレンズ及び/又はミラーなどの光学素子を含むことができる。コンポーネント135は、コンポーネント135を制御及び/又は移動する要素も含むことができる。例えば、コンポーネント135は、ビームデリバリシステム140の光学素子を移動させるように制御可能なアクチュエータを含むことができる。
焦点アセンブリ142は、増幅光ビーム110の直径が焦点領域145内で最低になるようにビーム110を集束する。換言すれば、焦点アセンブリ142は、焦点領域145に向かって方向112に伝搬する時に増幅光ビーム110における放射を収束させる。ターゲットがない場合、増幅光ビーム110における放射は、ビーム110が焦点領域145から方向112に伝搬する時に発散する。
図2A〜図2Cは、ターゲット領域230内で光ビーム210及び残存プラズマと相互作用するターゲット材料を示している。ターゲット領域230は、光源100のターゲット領域130などのEUV光源内のターゲット領域にすることができる(図1)。ターゲット材料と残存プラズマとの相互作用により、ターゲット材料の空間分布を変更し、ターゲット材料を整形ターゲットに整形する。
図2A〜図2Cの例では、増幅光ビーム210はパルス状である。パルス増幅光ビームは、一定の間隔で発生する光又は放射のパルスを含み、それぞれのパルスは持続時間を有する。光又は放射の単一パルスの持続時間は、そのパルスがそのパルスの最大強度のパーセンテージ(例えば、50%)より大きいか又はそれに等しい強度を有する時間の量として定義することができる。50%のパーセンテージの場合、この持続時間は半値全幅(FWHM)とも呼ぶことができる。
増幅光ビーム210のパルスとターゲット材料との相互作用により、ターゲット材料の少なくとも一部をプラズマに変換し、パルスとターゲット材料との相互作用が終了した後にターゲット領域230内に居残るか又は残存する残存プラズマを生成する。以下に述べるように、残存プラズマは、その後、ターゲット領域230に入るターゲット材料を整形するために使用される。
図2Aを参照すると、ターゲット領域230において増幅光ビーム210のパルス211a(図2C)と相互作用する模範的なターゲット材料220aの側面図が示されている。パルス211aによる照射により、ターゲット材料220aの少なくとも一部分を、EUV光250aを放出するプラズマ225に変換する。
図2Bも参照すると、増幅光ビーム210のパルス211aがターゲット材料220aを照射し消費した後のターゲット領域230が示されている。パルス211aがターゲット材料220aをプラズマに変換した後、残存プラズマ226aの領域がターゲット領域230内に形成される。図2Bは、残存プラズマ226aの領域並びに残存プラズマ227aの断面を示しており、どちらの残存プラズマも3次元の領域を占有する。
残存プラズマ226aの領域内の残存プラズマ227aは、プラズマ225のすべて又は一部分を含むか或いはプラズマ225を全く含まない可能性があり、熱ガス、ターゲット材料220aの一部分などのデブリ、及び/又はプラズマ225に変換されなかったターゲット材料の破片又は粒子も含む可能性がある。残存プラズマ227aは、領域226a内で変動する密度を有することができる。例えば、この密度は領域226aの外側部分から内向きに増加する勾配を有することができ、最も高い密度は領域226aの中心又はその付近にある。
図2Cは、ある期間201についてターゲット領域230に到着する増幅光ビーム210の強度の図を示している。それぞれがそれぞれの放射パルス211a〜211cを含む、増幅光ビーム210の3つのサイクルが示されている。図2Cの下部は、期間201にわたるターゲット領域230の断面を示している。増幅光ビーム210のパルス211a〜211cは、それぞれ、ターゲット220a〜220cのそれぞれに加えられ、それぞれのEUV光放出250a〜250cを生成する。
ターゲット材料220a〜220cは3つの異なる時間にターゲット領域230内にある。ターゲット材料220aは、第1のパルス211aがターゲット領域230内に到着した時にターゲット領域230内にある。パルス211aは増幅光ビーム210内の第1のパルスであり、従って、ターゲット材料220aがターゲット領域230内に到着した時にターゲット領域230内には残存プラズマが全く存在しない。
ターゲット材料220bは、プラズマ226aの領域が形成された後に発生する時間266においてターゲット領域230に到着する。時間266では、ターゲット材料220b及び残存プラズマ227aはどちらもターゲット領域230内にあり、互いに相互作用し始める。残存プラズマ227aとターゲット材料220bとの相互作用により、ターゲット材料220bを整形ターゲット221bに整形し、その整形ターゲットはターゲット材料220bより容易に増幅光ビーム210を吸収する。例えば、整形ターゲット221bからプラズマへの変換に関連する変換効率は、ターゲット材料220aからプラズマへの変換に関連する変換効率より30%以上高くなる可能性がある。
残存プラズマ227aによってターゲット材料220bが整形された後又はターゲット材料220bが整形されている間、増幅光ビーム210のパルス211bは整形ターゲット221bと相互作用する。この相互作用により、整形ターゲット221b内のターゲット材料の少なくとも一部分は、EUV光を放出するプラズマに変換される。追加的に、残存プラズマ227bを含む残存プラズマ226bの領域が生成される。このように、パルスとターゲット材料とのそれぞれの相互作用の後に、残存プラズマの新しいインスタンスが生成される。残存プラズマのこの新しいインスタンスもターゲット領域230内に居残り、ターゲット領域230に入るその後のターゲット材料を整形するために使用可能である。
時間266後のある時間であって、残存プラズマ227bがターゲット領域230内にある間に、ターゲット材料220cがターゲット領域230内に到着する。残存プラズマ227bとターゲット材料220cとの相互作用により整形ターゲット221cを生成し、パルス211cと整形ターゲット221cとの相互作用によりEUV放出250cを生成する。
プラズマ及び残存プラズマの密度勾配及び/又はそれらによって占有される空間は経時的に変動する可能性がある。例えば、領域226a及び226b内の残存プラズマ227a及び227bは、それぞれ、より大きい体積の空間を占有するように消散する可能性があり、残存プラズマ227a及び227bの密度勾配は、増幅光ビーム210とターゲットとの最も最近の相互作用以降の時間が増加するにつれて緩やかになる可能性がある。
EUV光放出250a及び250bは、EUV光源の繰り返し率の逆数である持続時間264によって分けられる。EUV光源のシステム繰り返し率は、例えば、40kHz〜100kHzにすることができる。従って、持続時間264は25マイクロ秒(μm)以下にすることができる。EUV光放出250aと250bとの間の時間は、増幅光ビーム210内のパルスの時間分離に依存し、従って、増幅光ビーム210を生成する発生源の繰り返し率は、少なくとも部分的に、EUV光源全体の繰り返し率を決定する。
整形ターゲット221b及び221cが生成される速度は、増幅光ビーム210を生成する発生源の繰り返し率並びに初期ターゲット材料が提供される割合に依存する。例えば、その結果としてプラズマが生成される、増幅光ビーム210のパルスとターゲット材料との相互作用ごとに、整形ターゲットを生成することができる。従って、整形ターゲットは、例えば、40kHz〜100kHzで生成することができる。このように、整形ターゲットは、リアルタイムで、しかもEUV光源が動作している間に生成することができる。更に、比較的高い繰り返し率(例えば、40kHz〜100kHz)により、初期ターゲット材料は、残存プラズマが存在する間にターゲット領域230に入ることができる。
その上、整形ターゲットの形成は、その結果としてEUV光を放出するプラズマが生成される、先行するレーザとターゲット材料との相互作用により存在する残存プラズマを利用するので、整形ターゲットを使用するEUV発生源の繰り返し率は整形ターゲットを形成するための時間によって制限されず、EUV発生源は整形ターゲットの生成の割合と同じ繰り返し率を有することができる。
図3を参照すると、整形ターゲットを形成するための模範的なプロセス300のフローチャートが示されている。プロセス300は、図1及び図8の光源100又は図6の光源602などのEUV光源において実行することができる。プロセス300については図2A〜図2Cに関して述べる。
残存プラズマ227aが生成される(310)。例えば、残存プラズマ227aは、増幅光ビーム210をターゲット材料220aと相互作用させることによって生成することができる。増幅光ビーム210とターゲット材料220aとの相互作用により、EUV光を放出することができるプラズマを生成する。EUV光を放出するプラズマの遺物及び関連のデブリはEUV光放出後にターゲット領域230内に居残り、この残存プラズマは、ターゲット材料220aがプラズマに変換された後のある期間の間、持続するか或いはその他の方法でターゲット領域230の全部又は一部を占有する。残存プラズマ227aは3つの寸法において延び、ある体積を占有する。残存プラズマ227aは、次のターゲット(この例ではターゲット材料220b)がターゲット領域230内に到着した時にターゲット領域230内にある。
ターゲット材料220bは、プラズマに変換された時にEUV光を放出するターゲット材料を含む任意の材料にすることができる。例えば、ターゲット材料220bはスズにすることができる。追加的に、ターゲット材料220bは、増幅光ビーム210と相互作用した時にEUV光放出プラズマを生成する任意の空間形式を有することができる。例えば、ターゲット材料220bは、溶融金属の小滴、ワイヤの一部分、その最も幅広の範囲が増幅光ビーム210の伝搬の方向に垂直に配向されている溶融金属のディスク形又は円筒形のセグメントにすることができる。ディスク又は円筒形状を有するターゲット材料220bの例については図5A〜5C及び図6に関して述べる。いくつかの実現例では、ターゲット材料220bは、空隙によって分けられた材料の粒子又は破片のミスト又は集合にすることができる。
ターゲット材料220bは、図1のターゲット材料デリバリシステム115などのターゲット材料供給装置のノズルによって溶融ターゲット材料を通過させ、ターゲット材料220bがターゲット領域230内にドリフトできるようにすることにより、ターゲット領域230に提供することができる。いくつかの実現例では、ターゲット材料220bは力によってターゲット領域230に誘導することができる。
ターゲット材料220bの形状は、例えば、ターゲット材料220bがターゲット領域230に向かってドリフトした時にプリパルス(増幅光ビーム210のパルスとの相互作用の前にターゲット材料と相互作用する放射パルス)でターゲット材料220bを照射することによって、ターゲット領域230に到達する前に変更することができる。このような実現例の一例については図4及び図5A〜図5Cに関して述べる。追加的に又は代替的に、いくつかの実現例では、空気力によりターゲット領域230に向かってドリフトした時にターゲット材料220bの形状が変化する。
残存プラズマ227aはターゲット材料220bと相互作用して整形ターゲット221bを形成する(320)。ターゲット材料220bが残存プラズマ227aと遭遇すると、残存プラズマ227aの密度はターゲット材料220bを曲げるか又はその他の方法で空間的に変形させて整形ターゲット221bを形成する。例えば、残存プラズマ227の密度は周囲の領域より高くなる可能性があり、プラズマ227aとの遭遇による物理的衝撃はターゲット材料220bの一部分を「V」形に或いは増幅光ビーム210に対して開放されている陥凹部を有する凹面ターゲットに曲げることができる。陥凹部は、ターゲット材料を含む側部同士の間の開放領域である。側部同士は頂部で交差し、頂部は陥凹部より増幅光ビームから遠く離れている。側部は一般に湾曲しているか及び/又は互いに対して角度が付けられて、陥凹部を形成し画定することができる。
ターゲット材料220bが残存プラズマ227a内に更にドリフトするにつれて、残存プラズマ227aはターゲット材料220bを整形ターゲットに曲げるか又は変形させ続ける。残存プラズマ227aは、プラズマ領域226a内で密度勾配(又は空間的に変動する密度)を有することができる。例えば、密度は領域226aの外側部分(周縁部)から内向きに増加する勾配を有することができ、最も高い密度は領域226aの中心又はその付近にある。
増幅光ビーム210と整形ターゲット221bが相互作用する(330)。増幅光ビーム210と整形ターゲット221bとの相互作用は、例えば、パルス211b内の光が整形ターゲット221bを照射するように増幅光ビーム210のパルス211bをターゲット領域230に向かって誘導することにより、引き起こすか又は開始することができる。パルス211bと整形ターゲット221bとの相互作用により、EUV光250b及び残存プラズマ227bを生成する。
図4及び図5A〜図5Cは、プリパルス及び残存プラズマによって整形ターゲットを形成する例を示している。プロセス300は、図1及び図8の光源100又は図6の光源602などのEUV光源において実行することができる。
図4を参照すると、整形ターゲットを生成するための模範的なプロセス400のフローチャートが示されている。図5A〜図5Cも参照すると、プロセス400の一例が示されている。
模範的な波形502(図5B)及び残存プラズマ527(図5C)により初期ターゲット材料518を整形ターゲット521に変形する。残存プラズマ527はターゲット領域530内に存在し、増幅光ビームとターゲット材料との先行相互作用によって生成された物質を含む。初期ターゲット材料518及びターゲット521は、増幅光ビーム510による照射によってプラズマに変換された時にEUV光550を放出するターゲット材料を含む。
より詳細に、図4を参照すると、初期ターゲット材料518が初期ターゲット領域531において提供される(410)。この例では、初期ターゲット材料518はスズなどの溶融金属の小滴である。この小滴は、例えば、30〜60μm又は33μmの直径を有することができる。初期ターゲット材料518は、ターゲット材料をターゲット材料供給装置(図1のターゲット材料デリバリシステム115など)から解放し、初期ターゲット材料518を初期ターゲット領域531に誘導するか又は初期ターゲット材料518が初期ターゲット領域531内にドリフトできるようにすることにより、初期ターゲット領域531に提供することができる。
ターゲット材料は、ターゲット物質と非ターゲット粒子などの不純物とを含む、ターゲット混合物にすることができる。ターゲット物質は、EUV範囲内の輝線を有するプラズマ状態に変換された物質である。ターゲット物質は、例えば、液体又は溶融金属の小滴、液体流の一部分、固体粒子又はクラスタ、液体小滴内に含有される固体粒子、ターゲット材料の泡、或いは液体流の一部分内に含有される固体粒子にすることができる。ターゲット物質は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又はプラズマ状態に変換された時にEUV範囲内の輝線を有する任意の材料にすることができる。例えば、ターゲット物質は、純粋スズ(Sn)として、スズ化合物、例えば、SnBr4、SnBr2、SnH4として、スズ合金、例えば、スズガリウム合金、スズインジウム合金、スズインジウムガリウム合金、或いはこれらの合金の任意の組合せとして使用できるスズ元素にすることができる。その上、不純物が全く存在しない状況では、ターゲット材料はターゲット物質のみを含む。以下の考察では、初期ターゲット材料518が溶融金属で作られた小滴である一例を提供する。しかし、初期ターゲット材料518はその他の形を取ることもできる。
第1の放射パルス506は初期ターゲット領域531に向かって誘導される(420)。第1の放射パルス506と初期ターゲット材料518との相互作用により変更ターゲット材料552を形成する。初期ターゲット材料518と比べると、変更ターゲット材料552は、y方向により大きく、z方向により小さい範囲を備えた側部断面を有する。
図5A及び図5Cは、初期ターゲット材料518が変更ターゲット材料552に、更に整形ターゲット521に物理的に変形し、次にEUV光550を放出する期間501を示している。図5Bは、期間501にわたる時間の関数として増幅光ビーム510の波形502におけるエネルギの図である。波形502は、放射パルス506(プリパルス506)及び増幅光ビーム510のパルスの表現を含む。プリパルス506は調節パルスと呼ぶこともできる。
プリパルス506は、例えば、初期ターゲット材料518の形状を変更するか又は初期ターゲット材料518の形状の変化を開始するために、初期ターゲット材料518に対して作用するのに十分なエネルギを有する任意のタイプのパルス放射にすることができる。プリパルス506は初期ターゲット材料518の表面に入射し、プリパルス506と初期ターゲット材料518との相互作用によりターゲット材料の表面においてデブリ、ガス、及び/又はプラズマ(必ずしもEUV光を放出しない)のクラウドを生成することができる。EUV光は、プリパルス506と初期ターゲット材料518との相互作用によって生成されたプラズマから放出することができるが、放出される任意のEUV光は、例えば、ターゲット材料と増幅光ビーム510との相互作用よりかなり小さくなるであろう。
第1のプリパルス506の衝撃の力は、初期ターゲット材料518を、初期ターゲット材料518の形状とは異なる形状を有する変更ターゲット材料552に変形させる。例えば、初期ターゲット材料518は小滴と同様の形状を有することができ、変更ターゲット材料552の形状はディスクにより近いものにすることができる。変更ターゲット材料552は、イオン化されない材料(プラズマではない材料)にすることができる。変更ターゲット材料552は、例えば、液体又は溶融金属のディスク、空隙又は実質的なギャップを有していないターゲット材料の連続セグメント、微粒子又は超微粒子のミスト、或いは原子蒸気のクラウドにすることができる。図5Cの例では、変更ターゲット材料552は、例えば、約1〜3マイクロ秒(μs)後に、溶融金属のディスク形破片553に拡大する。
プリパルスは持続時間515を有する。プリパルス506のパルス持続時間515及びメインビーム510のパルス持続時間は半値全幅、即ち、パルスの最大強度の少なくとも半分である強度をパルスが有している時間の量によって表すことができる。しかし、その他のメトリクスを使用してパルス持続時間を決定することもできる。パルス持続時間515は、例えば、30ナノ秒(ns)、60ns、130ns、50〜250ns、10〜200ピコ秒(ps)、又は1ns未満にすることができる。プリパルス506のエネルギは、例えば、1〜70ミリジュール(mJ)にすることができる。プリパルス506の波長は、例えば、1.06μm、1〜10.6μm、10.59μm、又は10.26μmにすることができる。
いくつかの実現例では、プリパルス506は、集束光学機器(図1の焦点アセンブリ142など)によって焦点面に集束させることができる。焦点面はプリパルス506の焦点を含む。焦点は、プリパルス506がプリパルス506の伝搬の方向に垂直な平面内で形成する最小スポットサイズである。光ビームの焦点は、ビームが伝搬する方向に沿って、ビームが伝搬の方向に垂直な平面内で最小直径を有する位置に発生する。プリパルス506の焦点は、初期ターゲット領域531内に又は初期ターゲット領域531の外側に発生する可能性がある。プリパルス506は初期ターゲット材料518上に集束することができ、このようにすることにより、依然として変更ターゲット552がディスク形状553に空間的に拡大できるようにしながら、プリパルス506と増幅光ビーム510との遅延時間511を削減できるようにすることができる。いくつかの実現例では、プリパルス506の焦点は、プリパルス506の伝搬の方向に沿って測定した時に(いずれかの側に)初期ターゲット材料518から0.5ミリメートル(mm)〜1mm離れている可能性がある。
増幅光ビーム510はメインビーム又はメインパルスと呼ぶことができる。増幅光ビーム510は、ターゲット521内のターゲット材料を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する。プリパルス506と増幅光ビーム510は遅延時間511によって時間的に分けられ、増幅光ビーム510は時間t2において発生し、その時間はプリパルス506が発生する時間t=t1の後である。変更ターゲット材料552は遅延時間511の間に拡大する。遅延時間511は、例えば、1〜3マイクロ秒(μs)、1.3μs、1〜2.7μs、又はディスク形状553への変更ターゲット552の拡大を可能にする任意の時間の量にすることができる。
従って、プロセス400の(420)では、変更ターゲット552がx−y平面内で拡大し伸長するので、変更ターゲット552は2次元の拡大を経験することができる。プロセス400の(430)では、2次元の拡大(例えば、ディスク形状553)を経験できるようになっていたターゲットは、残存プラズマ527との相互作用により3つの寸法において整形ターゲット521に整形することができる。
もう一度、図4を参照すると、変更ターゲット552(或いは、形成された場合、ディスク形状553)は、残存プラズマ527と相互作用して、ターゲット領域530において整形ターゲット521を形成できるようになっている(430)。変更ターゲット552がターゲット領域530に到達すると、残存プラズマ527はターゲット領域530内にある。
ディスク形状553が残存プラズマ527と遭遇すると、残存プラズマ527の密度は変更ターゲット(又はディスク形状553)を曲げるか又はその他の方法で空間的に変形させて整形ターゲット521を形成する。残存プラズマ527は密度勾配を有することができる。例えば、残存プラズマ527の密度は周囲の領域より高くなる可能性がある。図5Cに示されている例では、プラズマ527との遭遇による衝撃は変更ターゲット材料552(又はディスク形状553)の一部分を、例えば、「V」形、ボウル様形状、或いは増幅光ビーム510に対して開放されている陥凹部528を有する凹面ディスク様の形状に曲げる。
変更ターゲット材料552(又はディスク形状553)が残存プラズマ527内に更にドリフトするにつれて、残存プラズマ527は変更ターゲット材料552(又はディスク形状553)を整形ターゲット521に曲げるか又は変形させ続けることができる。整形ターゲット521は、陥凹部528がウィング又は側部558間の開放領域である3次元形状である。側部558は頂部559辺りで折りたたまれるターゲット材料552(又はディスク形状553)から形成され、その頂部は陥凹部528より増幅光ビーム510から遠く離れている。頂部559は増幅光ビーム510からより遠く離れているので、陥凹部528は増幅光ビーム510に対して開放されている。側部558同士は頂部559で交差し、側部558は頂部559から外向きに延びる。整形ターゲット521は、頂部559を含むy−z平面内でほぼ「V」形の断面を有することができる。この断面は、例えば、1つの湾曲した頂部559及び/又は1つ以上の湾曲した側部558を有するか、及び/又は伝搬512の方向に対して異なる角度で側部558を頂部559から延ばすことにより、ほぼ「V」形にすることができる。整形ターゲット521はその他の空間形式を有することができる。例えば、整形ターゲット521は、頂部559を含むy−z平面内でボウルとして整形することができる(従って、半円形又は半楕円形の断面を有する)。
増幅光ビーム510はターゲット領域530に向かって誘導される(440)。増幅光ビーム510をターゲット領域530に向かって誘導すると、整形ターゲット521がターゲット領域230内にある間に放射パルスをターゲット領域530に届けることができる。従って、増幅光ビーム510をターゲット領域530に向かって誘導することにより、増幅光ビーム510と整形ターゲット521との相互作用を引き起こすことができる。増幅光ビーム510とターゲット521内のターゲット材料との相互作用により、EUV光550を送出するプラズマ529を生成する。
プラズマ529は、整形ターゲット521の側部558の密度によって陥凹部528に閉じ込められる。この閉じ込めにより、プラズマ529及び/又は増幅光ビーム510によってターゲット521を更に加熱することができ、追加のプラズマ及びEUV光が生成される。変更ターゲット材料552又はディスク形状553と比べると、整形ターゲット521はより大きい体積のターゲット材料を増幅光ビーム510に曝すことになる。このようにターゲット材料の体積が増加した結果、整形ターゲット521は、変更ターゲット552又はディスク形状553が吸収できる部分と比べると、放射パルス内のエネルギのより大きい部分を吸収することができる。従って、整形ターゲット521は、変換効率(CE)の増加及び生成されるEUV光の量の増加をもたらすことができる。追加的に、整形ターゲット521はより大きい体積のターゲット材料を増幅光ビーム510に曝すが、整形ターゲット521は、ばらばらに壊れるか又はその他の方法で実質的に吸収されずに増幅光ビーム510を通過できるようにするのではなく、依然として増幅光ビーム510内の光を吸収するのに十分な密度である。また、整形ターゲット521は、変更ターゲット材料552より大きいEUV放出量を有することもできる。
増幅光ビーム510は、例えば、130ns、200ns、又は50〜200nsのパルス持続時間を有するパルス増幅光ビームにすることができる。追加的に、増幅光ビーム510は集束光学機器(図1の焦点アセンブリ142など)によって集束することができる。増幅光ビーム510の焦点は、例えば、ターゲット521で、又は(増幅光ビーム510の伝搬の方向である方向512に測定した時に)ターゲット521のいずれかの側に0.5mm〜2mmの位置で発生する可能性がある。
図6を参照すると、模範的な光学結像システム600のブロック図が示されている。システム600は、プロセス400(図4)を実行するために使用することができる。光学結像システム600は、EUV光をリソグラフィツール665に提供するLPP EUV光源602を含む。光源602は、図1の光源100と同様のものであるか、及び/又は光源100のコンポーネントの一部又は全部を含むことができる。
システム600は、ドライブレーザシステム605、光学素子622、プリパルス発生源643、集束アセンブリ642、及び真空チャンバ640などの光学発生源を含む。ドライブレーザシステム605は増幅光ビーム610を生成する。増幅光ビーム610は、ターゲット620内のターゲット材料を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する。上述のターゲットのいずれもターゲット620として使用することができる。
プリパルス発生源643は放射パルス617を放出する(図6では、放射パルス617は、増幅光ビーム610と視覚的に区別するために破線で示されている)。放射パルスはプリパルス506(図5A〜図5C)として使用することができる。プリパルス発生源643は、例えば、50kHzの繰り返し率で動作するQスイッチNd:YAGレーザにすることができ、放射パルス617は1.06μmの波長を有するNd:YAGレーザからのパルスにすることができる。プリパルス発生源643の繰り返し率は、どの程度頻繁にプリパルス発生源643が放射パルスを生成するかを示している。プリパルス発生源643が50kHz又はそれ以上の繰り返し率を有する例の場合、放射パルス617は20マイクロ秒(μs)ごとに放出される。
その他の発生源をプリパルス発生源643として使用することができる。例えば、プリパルス発生源324は、エルビウムドープファイバ(Er:ガラス)レーザなど、Nd:YAG以外の任意の希土類ドープ固体レーザにすることができる。もう1つの例では、プリパルス発生源は、10.6μmの波長を有するパルスを生成する炭酸ガスレーザにすることができる。プリパルス発生源643は、上述のプリパルスに使用されるエネルギ及び波長を有する光のパルスを生成する任意のその他の放射源又は光源にすることができる。
光学素子622は、増幅光ビーム610及びプリパルス発生源643からの放射パルス617をチャンバ640に誘導する。光学素子622は、増幅光ビーム610及び放射パルス617を同様の経路又は同じ経路に沿って誘導できる任意の素子である。図6に示されている例では、光学素子622は、増幅光ビーム610を受け取り、それをチャンバ640に向かって反射する二色性ビームスプリッタである。光学素子622は、放射パルス617を受け取り、そのパルスをチャンバ640に向かって透過する。二色性ビームスプリッタは、増幅光ビーム610の波長(複数も可)を反射し、放射パルス617の波長(複数も可)を透過するコーティングを有する。二色性ビームスプリッタは、例えば、ダイヤモンドで作ることができる。
その他の実現例では、光学素子622は、アパーチャ(図示せず)を画定するミラーである。この実現例では、増幅光ビーム610は、ミラー表面から反射され、チャンバ640に向かって誘導され、放射パルスはアパーチャを通過し、チャンバ640に向かって伝搬する。
更に他の実現例では、くさび形の光学機器(例えば、プリズム)を使用して、メインパルス610及びプリパルス617をそれぞれの波長に応じて異なる角度に分けることができる。くさび形の光学機器は、光学素子622に加えて使用することができるか或いは光学素子622として使用することができる。くさび形の光学機器は、集束アセンブリ642のすぐ上流に(z方向に)位置決めすることができる。
追加的に、パルス617はその他の方法でチャンバ640に届けることができる。例えば、パルス617は、光学素子622又はその他の誘導要素を使用せずにチャンバ640及び/又は集束アセンブリ642にパルス617を届ける光ファイバを通って移動することができる。これらの実現例では、ファイバは、チャンバ640の壁面に形成された開口部を通ってチャンバ640の内部に直接、放射パルス617をもたらすものである。
増幅光ビーム610は、光学素子622から反射され、集束アセンブリ642を通って伝搬する。集束アセンブリ642は増幅光ビーム610を焦点面646において集束するが、この焦点面はターゲット領域630と一致する場合もあれば一致しない場合もある。放射パルス617は、光学素子622を通過し、集束アセンブリ642を通ってチャンバ640に誘導される。増幅光ビーム610及び放射パルス617は、チャンバ640内で「x」の方向に沿って異なる位置に誘導され、異なる時間にチャンバ640に到着する。
図6に示されている例では、単一ブロックがプリパルス発生源643を表している。しかし、プリパルス発生源643は単一の光源又は複数の光源にすることができる。例えば、複数のプリパルスを生成するために、2つの個別の発生源を使用することができる。この2つの個別の発生源は、異なる波長及びエネルギを有する放射パルスを生成する異なるタイプの発生源にすることができる。例えば、プリパルスの一方は10.6μmの波長を有し、CO2レーザによって生成することができ、もう一方のプリパルスは1.06μmの波長を有し、希土類ドープ固体レーザによって生成することができる。
いくつかの実現例では、プリパルス617と増幅光ビーム610は同じ発生源によって生成することができる。例えば、放射プリパルス617はドライブレーザシステム605によって生成することができる。この例では、ドライブレーザシステムは2つのCO2シードレーザサブシステムと1つの増幅器とを含むことができる。シードレーザサブシステムの一方は10.26μmの波長を有する増幅光ビームを生成することができ、もう一方のシードレーザサブシステムは10.59μmの波長を有する増幅光ビームを生成することができる。この2つの波長はCO2レーザの異なるラインから得ることができる。その他の例では、CO2レーザのその他のラインを使用して2通りの増幅光ビームを生成することができる。2つのシードレーザサブシステムからの増幅光ビームはどちらも同じ電力増幅器連鎖内で増幅され、次にチャンバ640内の異なる位置に到達するように角度的に分散される。10.26μmの波長を有する増幅光ビームはプリパルス617として使用することができ、10.59μmの波長を有する増幅光ビームは増幅光ビーム610として使用することができる。
いくつかの実現例はメインパルスの前に複数のプリパルスを使用することができる。これらの実現例では、3つ以上のシードレーザを使用することができる。例えば、2つのプリパルスを使用する一実現例では、1つのシードレーザを使用して、増幅光ビーム610、第1のプリパルス、及び第2の個別のプリパルスのそれぞれを生成することができる。その他の例では、メインパルス並びに複数のプリパルスのうちの1つ以上を同じ発生源によって生成することができる。
増幅光ビーム610及び放射プリパルス617はいずれも同じ光増幅器において増幅することができる。例えば、3つ以上の電力増幅器を使用して、増幅光ビーム610及びプリパルス617を増幅することができる。
図7を参照すると、模範的な整形ターゲット720のシャドーグラフが示されている。シャドーグラフは、光でオブジェクトを照射することによって作成される。オブジェクトの高密度部分はその光を反射し、そのシーンを結像するカメラ(電荷結合素子(CCD)など)に影を落とす。ターゲット720は、先行するレーザとターゲット材料との相互作用により生成された残存プラズマ727を使用して形成された。示されている例では、レーザとターゲット材料との相互作用は60kHzの周波数(60kHzの繰り返し率)で発生した。従って、ターゲット720と同様の追加の整形ターゲットは16.67μsごとに生成された。
ターゲット720は、方向712に伝搬する増幅光ビーム(増幅光ビーム110、210、又は510など)でターゲット720を照射することにより、EUV光を放出するプラズマに変換される。ターゲット720は、増幅光ビームとの相互作用中にプラズマが発生し、ターゲット720が閉じ込められる陥凹部728を含み、それにより相互作用により生成されるEUV光の量を増加する。陥凹部728は接近する増幅光ビームに対して開放されている。
図8を参照すると、いくつかの実現例では、極端紫外光システム100は、真空チャンバ800、1つ以上のコントローラ880、1つ以上の作動システム881、及びガイドレーザ882などのその他のコンポーネントを含むシステムの一部である。
真空チャンバ800は単一のユニット構造にすることができるか或いは特定のコンポーネントを収容する個別のサブチャンバでセットアップすることができる。真空チャンバ800は、そこから空気及びその他のガスが真空ポンプによって除去され、その結果、チャンバ800内に低圧環境が発生する、少なくとも部分的に剛性のエンクロージャである。チャンバ800の壁面は、真空使用に適した任意の適切な金属又は合金で作ることができる(低圧に耐えられる)。
ターゲット材料デリバリシステム115はターゲット材料120をターゲット領域130に届ける。ターゲット領域におけるターゲット材料120は、液体小滴、液体流、固体粒子又はクラスタ、液体小滴内に含有される固体粒子、或いは液体流内に含有される固体粒子の形にすることができる。ターゲット材料120は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又はプラズマ状態に変換された時にEUV範囲内の輝線を有する任意の材料を含むことができる。例えば、スズ元素は、純粋スズ(Sn)として、スズ化合物、例えば、SnBr4、SnBr2、SnH4として、スズ合金、例えば、スズガリウム合金、スズインジウム合金、スズインジウムガリウム合金、或いはこれらの合金の任意の組合せとして使用することができる。ターゲット材料120は、スズなどの上記の元素のうちの1つでコーティングされたワイヤを含むことができる。ターゲット材料120が固体状態である場合、円環、球体、又は立方体などの任意の適切な形状を有することができる。ターゲット材料120は、ターゲット材料デリバリシステム115によってチャンバ800の内部及びターゲット領域130に届けることができる。ターゲット領域130は、ターゲット材料120が増幅光ビーム110と光学的に相互作用してプラズマを生成する場所である、照射箇所とも呼ばれる。上述のように、残存プラズマは照射箇所で又はその付近で形成される。従って、残存プラズマ並びに整形ターゲット221b、221c、及び521は真空チャンバ800内で生成することができる。このように、整形ターゲット221b、221c、及び521はEUV光システム100内で生成される。
ドライブレーザシステム105は、1つ以上のメインパルス並びに場合によっては1つ以上のプリパルスを提供するために、1つ以上の光増幅器、レーザ、及び/又はランプを含むことができる。それぞれの光増幅器は、高い利得で所望の波長を光学的に増幅できる利得媒体と、励起源と、内部光学機器とを含む。光増幅器は、レーザキャビティを形成するレーザミラー又はその他のフィードバックデバイスを備えている場合もあれば備えていない場合もある。従って、ドライブレーザシステム105は、レーザキャビティが全くない場合でもレーザ増幅器の利得媒体内の反転分布により増幅光ビーム110を生成する。その上、ドライブレーザシステム105は、ドライブレーザシステム105に十分なフィードバックを提供するためのレーザキャビティが存在する場合にコヒーレントレーザビームである増幅光ビーム110を生成することができる。「増幅光ビーム」という用語は、ドライブレーザシステム105からの光であって、単に増幅されたものであるが、必ずしもコヒーレントレーザ発振ではない光と、ドライブレーザシステム105からの光であって、増幅され、コヒーレントレーザ発振でもある光のうちの1つ以上を包含する。
ドライブレーザシステム105内の光増幅器は、CO2を含む充填ガスを利得媒体として含むことができ、約9100〜約11000nmの間の波長で、特に、約10600nmで1000より大きいか又はそれに等しい利得で光を増幅することができる。ドライブレーザシステム105内で使用するために適した増幅器及びレーザは、パルスレーザデバイス、例えば、比較的高い電力、例えば、10kW以上及び高いパルス繰り返し率、例えば、50kHz以上で動作し、例えば、DC又はRF励起により、約9300nm又は約10600nmで放射を生成するパルス式ガス放電CO2レーザデバイスを含むことができる。また、ドライブレーザシステム105内の光増幅器は、より高い電力でドライブレーザシステム105を操作する時に使用できる、水などの冷却システムも含むことができる。
光コレクタ155は、増幅光ビーム110が通過して焦点領域145に到達できるようにするためにアパーチャ840を有するコレクタミラー855にすることができる。コレクタミラー855は、例えば、ターゲット領域130又は焦点領域145の第1の焦点と、EUV光160を極端紫外光システムから出力することができ、光学装置165に入力することができる中間位置861の第2の焦点(中間焦点とも呼ばれる)とを有する楕円ミラーにすることができる。
1つ以上のコントローラ880は、例えば、小滴位置検出フィードバックシステム、レーザ制御システム、及びビーム制御システムなどの1つ以上の作動システム又は診断システム、並びに1つ以上のターゲット又は小滴イメージャに接続される。ターゲットイメージャは、例えば、ターゲット領域130に対する小滴の位置を示す出力を提供し、この出力を小滴位置検出フィードバックシステムに提供し、そのフィードバックシステムは、例えば、小滴位置及び軌道を計算することができ、それにより小滴ごとに又は平均して小滴位置誤差を計算することができる。小滴位置検出フィードバックシステムは、このようにしてコントローラ880への入力として小滴位置誤差を提供する。従って、コントローラ880は、例えば、レーザ位置、方向、及びタイミング補正信号を、例えば、レーザタイミング回路を制御するために使用できるレーザ制御システムに及び/又はビーム輸送システムの増幅光ビーム位置及び整形を制御してチャンバ800内のビームフォーカルスポットの位置及び/又は集光力を変更するためのビーム制御システムに提供することができる。
ターゲット材料デリバリシステム115は、例えば、内部デリバリ機構によって解放される小滴のリリースポイントを変更して、所望のターゲット領域130に到着する小滴の誤差を矯正するために、コントローラ880からの信号に応答して動作可能なターゲット材料デリバリ制御システムを含む。
追加的に、極端紫外光システムは、パルスエネルギ、波長の関数としてのエネルギ分布、特定の波長帯内のエネルギ、特定の波長帯の外側のエネルギ、EUV強度の角分布、及び/又は平均電力を含むがこれらに制限されない1つ以上のEUV光パラメータを測定する光源検出器を含むことができる。光源検出器は、コントローラ880による使用のためのフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は、例えば、効果的かつ効率的なEUV光生成のために正しい位置及び時間に小滴を適切に遮断するために、レーザパルスのタイミング及び焦点などのパラメータにおける誤差を示すことができる。
いくつかの実現例では、ドライブレーザシステム105は、複数の増幅ステージを備え、例えば、100kHzの動作が可能な低エネルギ及び高繰り返し率でQスイッチ主発振器(MO)によって開始されるシードパルスを有する、主発振器/電力増幅器(MOPA)構成を有する。MOからのレーザパルスは、例えば、ビーム経路に沿って移動する増幅光ビーム110を生成するためにRFポンプ高速軸流CO2増幅器を使用して増幅することができる。
3つの光増幅器を使用することができるが、この実現例では1つ程度の増幅器並びに4つ以上の増幅器を使用できることは起こり得る。いくつかの実現例では、CO2増幅器のそれぞれは、内部ミラーによって折り返される10メートルの増幅器長を有するRFポンプ軸流CO2レーザキューブにすることができる。
代替的に、ドライブレーザシステム105は、ターゲット材料120が光共振器の1つのミラーとして働く、いわゆる「セルフターゲティング」レーザシステムとして構成することができる。いくつかの「セルフターゲティング」配置では、主発振器は必要ではない可能性がある。ドライブレーザシステム105は、ビーム経路に沿って直列に配置された増幅器チャンバの連鎖を含み、それぞれのチャンバはそれ自体の利得媒体及び励起源、例えば、ポンピング電極を有する。それぞれの増幅器チャンバは、例えば、10600nmの波長λの光を増幅するために、例えば、1000〜10000の結合ワンパス利得を有するRFポンプ高速軸流CO2増幅器チャンバにすることができる。増幅器チャンバのそれぞれは、単独でセットアップされた時に増幅光ビームが利得媒体を複数回通過するために必要な光学コンポーネントを含まないように、レーザキャビティ(共振器)ミラーなしで設計することができる。それにもかかわらず、上述のように、レーザキャビティは以下のように形成することができる。
この実現例では、レーザキャビティは、後部部分反射光学機器をドライブレーザシステム105に追加し、ターゲット材料120をターゲット領域130に配置することによって形成することができる。この光学機器は、例えば、フラットミラー、湾曲ミラー、位相共役鏡、回折格子、又は約10600nmの波長(CO2増幅器チャンバが使用される場合の増幅光ビーム110の波長)について約95%の反射率を有するコーナレフレクタにすることができる。ターゲット材料120及び後部部分反射光学機器は増幅光ビーム110の一部を反射してドライブレーザシステム105に戻し、レーザキャビティを形成するように作用する。従って、ターゲット領域130におけるターゲット材料120の存在は、ドライブレーザシステム105にコヒーレントレーザ発振を発生させるのに十分なフィードバックを提供し、この場合、増幅光ビーム110はレーザビームと見なすことができる。ターゲット材料120がターゲット領域130に存在しない場合、ドライブレーザシステム105は依然として増幅光ビーム110を生成するようにポンピングすることができるが、その他の何らかのコンポーネントが十分なフィードバックを提供しない限り、コヒーレントレーザ発振を生成しないであろう。この配置は、ターゲット材料120が光共振器の1つのミラー(いわゆるプラズマミラー又は機械的Qスイッチ)として働く、いわゆる「セルフターゲティング」レーザシステムにすることができる。
適用例次第で、その他のタイプの増幅器又はレーザ、例えば、高電力及び高パルス繰り返し率で動作するエキシマ又はフッ素分子レーザも適切である可能性がある。例としては、例えば、ファイバ又はディスク形利得媒体を有する固体レーザ、例えば、米国特許第6625191号、第6549551号、及び第6567450号に示されているMOPA構成のエキシマレーザシステム、1つ以上のチャンバ、例えば、1つの発振器チャンバと1つ以上の増幅チャンバとを有するエキシマレーザ(増幅チャンバは並列又は直列である)、主発振器/電力発振器(MOPO)配置、電力発振器/電力増幅器(POPA)配置、或いは1つ以上のエキシマ又はフッ素分子増幅器又は発振器チャンバをシーディングする固体レーザを含み、これらは適切である可能性がある。その他の設計も可能である。
照射箇所では、焦点アセンブリ142によって適切に集束された増幅光ビーム110を使用して、ターゲット材料120の組成に依存する特定の特性を有するプラズマを作成する。これらの特性としては、プラズマによって生成されたEUV光160の波長並びにプラズマから解放されたデブリのタイプ及び量を含むことができる。増幅光ビーム110はターゲット材料120を蒸発させ、電子が流され(プラズマ状態)、イオンを残す臨界温度まで蒸発させたターゲット材料を加熱し、そのイオンは極端紫外範囲内の波長を有する光子を放出し始めるまで更に加熱される。
その他の実現例は特許請求の範囲の範囲内である。
例えば、領域226a及び残存プラズマ227aはターゲット領域230内にあるものとして示されているが、必ずこうであるわけではない。その他の例では、領域226a及び/又は残存プラズマ227aはターゲット領域230を越えて延びることができる。追加的に、残存プラズマ227a及び/又は領域226aは任意の空間形式を有することができる。
図2Cの例では、領域226a及び226b並びに対応する残存プラズマ227a及び227bは異なる時間にターゲット領域230内にあり、時間的オーバラップは全くない。しかし、その他の実現例では、残存プラズマ227a及び227bは同時にターゲット領域230内に存在することができる。例えば、ターゲット材料と増幅光ビーム210のパルスとの相互作用により生成された残存プラズマは、増幅光ビーム210の複数サイクルを通して持続し、ターゲット領域230内に存在することができる。いくつかの実現例では、残存プラズマはターゲット領域230内に連続的に存在することができる。
図2Cの例はEUV光の連続放出を示し、EUV光はシステム繰り返し率によって決定される周期的間隔で放出され、EUV光放出の間隔はそのEUV光の放出が本質的に連続的になるようになっている。しかし、EUV光源は、生成されたEUV光を受け取るリソグラフィツールの要求次第でその他のモードで操作することができる。例えば、EUV光源は、システム繰り返し率より大きい量の時間で分離されたバーストで或いは不規則な間隔でEUV光を放出するように操作又は設定することもできる。