JP6407035B2 - 隔壁貫通ケーブルユニット及びケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法 - Google Patents
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Description
また、水害や火災が発生した外部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた内部空間に、水や炎、煙が浸入するのを防止するための、及び、火災が発生した内部空間から、隔壁を介して保護すべき設備等が設けられた外部空間に炎や煙が浸入するのを防止するための工事を、現場で容易かつ迅速に行えるケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法の提供を目的とする。
と上記チューブ包囲部と上記第2ケーブル端部と包囲する管部材の両端内部に耐火壁部を形成すると共に上記チューブ包囲部が配設される上記管部材の中間内部に耐水圧壁部を形成して挿入用円柱体を作製する耐火耐水圧性付与工程と、によって隔壁貫通ケーブルユニットを製造するユニット製造工程を備え、さらに、施工現場の隔壁の貫通孔に上記隔壁貫通ケーブルユニットの上記円柱体を挿入して、上記貫通孔と上記円柱体の間に硬化材を充填して一体化する現場施工工程を具備する工法である。
本発明の隔壁貫通ケーブルユニットの構成を、製造方法と共に説明する。
図1に示すように、撚り線からなる導体11を絶縁層12で被覆した絶縁心線10と、複数の絶縁心線10,10を保持するジュート(介在糸)13と、ジュート13を重ね巻で包囲する第1布テープ14と、布テープ14を包囲する金属線編組部材15から成る遮蔽層(シールド層)と、遮蔽層を包囲する第2布テープ16と、第2布テープ16を包囲するシース(保護外被覆部)17と、を有するケーブルKを備えている。なお、ケーブルKは、図例に限らず、内部に、導体11を絶縁層12で被覆した絶縁心線10を有するものであれば良く、絶縁心線10の本数(心数)や、ジュート13や布テープ14,16といった形状保持や補強のための部材や構成及び配置等は自由である。
ケーブル接続部2は、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1絶縁心線10Aの導体11Aと、第2ケーブル端部1Bから露出させた第2絶縁心線10Bの導体11Bと、を圧着スリーブ30で接続した導体接続部3を有している。
また、第1絶縁心線10Aの端部(導体露出端面近傍部)19Aと導体接続部3と第2絶縁
心線10Bの端部(導体露出端面近傍部)19Bとを熱収縮チューブ50で包囲したチューブ包囲部5を有している。熱収縮チューブ50は、3つ(本)であって、第1チューブ51と第2チューブ52と第3チューブ53とを有している。
チューブ包囲部5は、第1絶縁心線10Aの端部(導体露出端面近傍部)19Aと導体接続部3の一端部(第1絶縁心線10A側端部)を第1チューブ51で包囲すると共に、第2絶縁心線10Bの端部(導体露出端面近傍)19Bと導体接続部3の他端部(第2絶縁心線10B側端部)を第2チューブ52で包囲している。さらに、導体接続部3の中間部と、第1チューブ51の導体接続部3側の端部と、第2チューブ52の導体接続部3側の端部と、を第3チューブ53で包囲している。このように、熱収縮チューブ50で、2重に包囲している箇所を形成して(熱収縮チューブ51,52,53で、導体11A,11Bと圧着スリーブ30の嵌合部を二重に包囲して)、水の浸入を阻止している。
さらに、第1ケーブル端部1Aから露出させた第1金属線編組部材15Aと、第2ケーブル端部1Bから露出させた第2金属線編組部材15Bと、を筒状の圧着金具41,41と絶縁被覆電線42とで接続した編組部材接続部4を有している。
図5に示すように、熱収縮チューブ50は、3つ(本)であって、第1絶縁心線10Aの端部19Aから圧着スリーブ30の一端部(第1有底孔33Aの周壁部32A)にわたって包囲するための第1チューブ51と、第2絶縁心線10Bの端部19Bから圧着スリーブ30の他端部(第2有底孔33Bの周壁部32B)にわたって包囲するための第2チューブ52と、を有し、さらに、第1チューブ51の圧着スリーブ側端部(先端部)51aと、第2チューブ52の圧着スリーブ側端部(先端部)52aと、圧着スリーブ30の中間部(中央部)と、を包囲するための第3チューブ53を有している。
1本又は2本の場合に比べて、強い密着力(シール力)を得ることができる。例えば、第2の導体11Bを伝ってきた水が、第2絶縁心線の端部19Bと圧着スリーブ30の間の部位から、第1絶縁心線10A側に浸入するのを防止できると共に、熱収縮チューブ50の外部へ漏れるのを防止できる。また、各チューブの長手方向寸法を短くできる。したがって、導体接続工程よりも前に、熱収縮チューブ50を挿通させておくための絶縁心線露出長さが短くてよく、ケーブルKのシース17を剥離する作業を容易かつ迅速に行うことができる。
また、4本以上に比べて、熱収縮チューブ50を予め絶縁心線10に挿通させる作業や包囲作業を、容易かつ迅速に行うことができる。
遮蔽層接続工程は、導体接続工程の前後、チューブ包囲工程の前後、いずれのタイミングで行っても良い。
そして、図6に示すように、第1ケーブル端部1Aとケーブル接続部2と第2ケーブル端部1Bとを包囲する(隔壁挿通用ケーブルが挿通する)管部材60と、管部材60の両端内部に形成した耐火壁部71,72と、ケーブル接続部2が配設される管部材60の中間内部に形成した耐水圧壁部73と、を備えた挿入用円柱体8を備えている。
管部材60は、例えば、全長2000mm〜4000mm、内径が500mm〜900mmのものを用いるのが好ましい。
そして、下側の開口部61bを、第1ケーブルKAが挿通可能な逃がし部99aを有する当て板や土台部材等の底蓋部材99にて、施蓋状とする。なお、逃がし部99aとケーブルKの間に、隙間を埋めるように、詰め部材を配設しても良い。
また、第1耐火付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程後に、ケーブルKを第1端管61に挿通し、詰め部材を配設しても良い。
つまり、第1端管61に、第1外方耐火層71aと第1中間耐火層71bと第1内方耐火層71cとを下から上に順次積層状に形成して第1の耐火壁部71を形成する。第1ケーブル端部1Aにおいて第1端管61を挿通している部位が第1の耐火壁部71に埋没する(埋設される)。
耐水圧付与工程は、図8に示すように、導体接続工程よりも前に(予め)、第1ケーブルKA又は第2ケーブルKBに挿通させ、第1耐火付与工程の前に第2ケーブルKBに挿通させた中間管63を、第1端管61に鉛直状に連結させて一体化する。第1端管61との連結により、中間管63は、ケーブル接続部2に対応するように配設される。
また、耐水圧付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程と第1耐火付与工程の後に、ケーブルKを中間管63に挿通させ、第1端管61と連結し配設しても良い。
保持部材81は、金属製のリング状であって、中間管63の内周面60dに接着材又は溶接等の固着手段によって固着された外鍔部81bを有すると共に、収縮防止部材80が外嵌状に取着する筒壁部81aを有している。
収縮防止部材80は、保持部材81の筒壁部81aに外嵌状に取着されると共に外鍔部81bに当接して中間管63の長手方向中間(中央)位置に配設している。
収縮防止部材80に孔80aを設けているので、耐水圧充填材が、均一にかつ容易に広がる。また、孔80aによって充填材の接着性が向上する。
第2耐火付与工程は、図11に示すように、導体接続工程よりも前に(予め)、第1ケーブルKA又は第2ケーブルKBに挿通させ、第1耐火付与工程の前に第2ケーブルKBに挿通させていた第2端管62を、中間管63に鉛直状に連結一体化させる。連結することで、第2端管62は、第2ケーブル端部1Bにおいてケーブル接続部2から所定距離だけ離間している部位に対応することとなる。
また、第2耐火付与工程は、図示省略するが、第1ケーブルKAと第2ケーブルKBの導体接続工程と第1耐火付与工程と耐水圧付与工程の後に、ケーブルKを第2端管62に挿通させ、中間管63と連結し配設しても良い。
取付部75は、ボルト部材やアンカー部材等の固着具が挿通可能な取付孔75aを複数有している。
第2端管62に、第2内方耐火層72cと第2中間耐火層72bと第2外方耐火層72aとを下から上に順次積層状に形成して第2の耐火壁部72を形成する。第2ケーブル端部1Bにおいて第2端管62を挿通している部位が第2の耐火壁部72に埋設(埋没)するように形成する。
また、各工程において、上側の開口部まで、壁部を形成することで、充填材を計測する手間を省略でき、容易に形成できると共に、充填量が安定し品質も安定する。
また、ロックウール等の耐火部材にて第1・第2中間耐火層71b,72bを形成することで、耐火充填材作業の充填・固化にかかる時間を短縮できると共に、コストを抑えられる。
耐水圧充填材の主剤は、液状ポリブタジエンポリオール組成物であって、1,4−ポリブタジエンポリオールに、充填剤、難燃剤、可塑剤、プロセスオイル等を配合したものである。
また、耐水圧充填材の混合用硬化剤は、液状MDI系イソシアネート、又は、液状TDI系イソシアネートである。液状MDI系イソシアネートの具体例として、変性液状4,4´ジフェニルメタンジイソシアネートである。液状TDI系イソシアネートの具体例として、1,4−ポリブタジエンポリオールに、2,4−トリレンジイソシアネート及び、2,6−トリレンジイソシアネートを加熱混合したものである。
先ず、施工現場から離れているユニット製造工場にて、隔壁貫通ケーブルユニットYを製造するユニット製造工程を行う。
隔壁貫通ケーブルユニットYをユニット製造工場で製造することで、品質が安定し、確実に所定の耐火耐水圧性能を得ることができる。
このように、施工現場では、貫通孔Jaと円柱体8の僅かな隙間に硬化材を充填するだけで良いので、作業を迅速に行うことができる。また、取付部75で円柱体8を固定してから、硬化材充填作業を行うことができ、少人数で容易に施工できる。また、外鍔状取付部75を有することで、硬化材を塞き止めることができ、充填作業がより一層容易となる。
また、ケーブル接続部2が埋設されるように耐水圧壁部73を形成しているので、第2ケーブル端部1Bの第2絶縁心線10Bを露出させた端面から水が漏れる虞れも無い。
また、耐水圧壁部73は、管部材60によって伝わった熱により、収縮しようとしても、収縮防止部材80及び保持部材81によって、収縮が抑制され、管部材60の内周面60dと耐水圧壁部73の間に隙間が生じず、耐水圧性が保持される。火災後に水害が発生しても、電源設備への水の浸入を確実に防止できる。なお、内部空間Qaで火災等の災害が発生した場合であっても、同様に対応できる。
第1実施例は、24時間、0.3MPaの水圧負荷で、漏水は確認できなかった。
第2実施例は、24時間、0.1MPaの水圧負荷で、漏水は確認できなかったが、24時間、0.3MPaの水圧負荷で、漏水が確認された。
このように、保持部材81を省略しても、耐火試験後に十分な耐水圧性を保持しているが、保持部材81を備えているほうが好ましいといえる。
また、管部材60の内部(内部横断面積)においてケーブルK(の横断面積)の占有率が1〜20%の場合は、収縮防止部材80及び保持部材81を設けたものが、十分な耐水圧性を発揮できた。
また、第1実施例で設けた収縮防止部材80及び保持部材81の筒壁部81aは、水圧を負荷する方(外部空間Qb側)に設置することが耐水圧を向上させる点で好適であり、第1実施例で設けた収縮防止部材80及び保持部材81の向きを第1実施例(図9参照)と逆にすると、(第2実施例に比べ、耐水圧は良好であるが、)第1実施例の耐水圧よりも劣ることが確認できた。
これにより、円柱体8に1組の収縮防止部材80及び保持部材81を使用する場合は、収縮防止部材80の向き(ユニット布設する際の方向)に留意する必要があることが確認できた。
したがって、ケーブル占有率が大きい場合は、保持部材81を省略、或いは、収縮防止部材80と保持部材81を省略しても良い。
つまり、火災発生後に水害(水没)が発生した場合や、水害(水没)後に火災が発生した場合、のいずれの場合においても、耐水圧性及び耐火性の性能を維持できる。
第1保持部材81Aは、第1収縮防止部材80Aを保持するための筒壁部81aを外鍔部81bより下方側に配設して、第1収縮防止部材80Aを管一端側に内嵌状に保持する。
第2保持部材81Bは、第2収縮防止部材80Bを保持するための筒壁部81aを外鍔部81bより上方側に配設して、第2収縮防止部材80Bを管他端側に内嵌状に保持する。
このようにすることで、布設方向を気にしなくても良い(円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側として施工しても良い)。したがって、施工現場にて作業者が、円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側にするか留意する必要が無く、工事をスムーズに行えると共に、円柱体8の両端部のどちらを外部空間Qb側としても耐水性及び耐火性を維持できる。
第1ケーブルKBと第2ケーブルKBが接続された隔壁挿通ケーブルの本数は、図例のような2本に限らず、1本、又は、3本以上であっても良い。
なお、本発明において、隔壁Jとは、図例の鉛直壁に限らず、床壁、天井壁、傾斜壁等を含む。つまり、貫通孔Jaの孔軸心は、図例のような水平方向に限らず、鉛直方向や傾斜状であっても良い。
1B 第2ケーブル端部
3 導体接続部
5 チューブ包囲部
8 挿入用円柱体
10A 第1絶縁心線
10B 第2絶縁心線
11A 導体
11B 導体
19A 端部
19B 端部
30 圧着スリーブ
31 区画壁部
50 熱収縮チューブ
60 管部材
71 耐火壁部
72 耐火壁部
73 耐水圧壁部
J 隔壁
Ja 貫通孔
Y 隔壁貫通ケーブルユニット
Claims (2)
- 第1ケーブル端部(1A)から露出させた第1絶縁心線(10A)の導体(11A)と第2ケーブル端部(1B)から露出させた第2絶縁心線(10B)の導体(11B)とを区画壁部(31)を有する圧着スリーブ(30)を介して接続した導体接続部(3)と、上記第1絶縁心線(10A)の端部(19A)と上記導体接続部(3)と上記第2絶縁心線(10B)の端部(19B)とを熱収縮チューブ(50)で包囲したチューブ包囲部(5)と、上記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する管部材(60)と、該管部材(60)の両端内部に形成した耐火壁部(71)(72)と、上記チューブ包囲部(5)が配設される上記管部材(60)の中間内部に形成した耐水圧壁部(73)と、を備え、
前記管部材(60)の中間内部には、前記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する収縮防止部材(80)が配置され、
前記管部材(60)は、前記収縮防止部材(80)を保持するリング状の保持部材(81)を有し、
前記管部材(60)の中間内部では、前記耐水圧壁部(73)によって、前記第1ケーブル端部(1A)と、前記チューブ包囲部(5)と、前記第2ケーブル端部(1B)と、前記収縮防止部材(80)と、前記保持部材(81)とが埋設される
ことを特徴とする隔壁貫通ケーブルユニット。 - 第1ケーブル端部(1A)から露出させた第1絶縁心線(10A)の導体(11A)と第2ケーブル端部(1B)から露出させた第2絶縁心線(10B)の導体(11B)とを区画壁部(31)を有する圧着スリーブ(30)を介して接続して導体接続部(3)を形成する導体接続工程と、上記第1絶縁心線(10A)の端部(19A)と上記導体接続部(3)と上記第2絶縁心線(10B)の端部(19B)とを熱収縮チューブ(50)で包囲して熱収縮させてチューブ包囲部(5)を形成するチューブ包囲工程と、上記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)と包囲する管部材(60)の両端内部に耐火壁部(71)(72)を形成すると共に上記チューブ包囲部(5)が配設される上記管部材(60)の中間内部に耐水圧壁部(73)を形成して挿入用円柱体(8)を作製する耐火耐水圧性付与工程と、によって隔壁貫通ケーブルユニット(Y)を製造するユニット製造工程を備え、
さらに、施工現場の隔壁(J)の貫通孔(Ja)に上記隔壁貫通ケーブルユニット(Y)の上記円柱体(8)を挿入して、上記貫通孔(Ja)と上記円柱体(8)の間に硬化材を充填して一体化する現場施工工程を具備し、
前記耐火耐水圧性付与工程では、
前記管部材(60)の中間内部に、前記第1ケーブル端部(1A)と上記チューブ包囲部(5)と上記第2ケーブル端部(1B)とを包囲する収縮防止部材(80)を配置し、前記管部材(60)に設けられるリング状の保持部材(81)に保持させ、
前記耐水圧壁部(73)によって、前記第1ケーブル端部(1A)と、前記チューブ包囲部(5)と、前記第2ケーブル端部(1B)と、前記収縮防止部材(80)と、前記保持部材(81)とを埋設する
ことを特徴とするケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法。
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