JP6405806B2 - 内燃機関の排気装置 - Google Patents

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この発明は多気筒内燃機関の排気装置に関し、特に、複数の気筒の排気が流れる集合排気管と、個々の気筒の排気が独立して流れる個別排気管と、を単一の触媒コンバータに接続してなる内燃機関の排気装置に関する。
例えば特許文献1には、直列4気筒内燃機関において、点火順序が連続しない♯2気筒と♯3気筒の排気ポートをシリンダヘッド内部で合流させる一方、♯1気筒と♯4気筒の排気ポートはそのままシリンダヘッド側面に開口させた構成の排気装置が開示されている。つまり、♯2,♯3気筒の排気ポートは一つの集合排気ポートとして構成され、♯1気筒の排気ポートと♯4気筒の排気ポートは、個々の気筒毎に独立した個別排気ポートとして構成されている。そして、♯2,♯3気筒用の集合排気ポートは、一つの集合排気管を介して触媒コンバータに接続されており、♯1気筒および♯4気筒の個別排気ポートは、各々独立した個別排気管を介して触媒コンバータに接続されている。
このように一部の気筒の排気ポートをシリンダヘッド内部で合流させた構成では、冷間始動時に、集合排気管を介して触媒コンバータに導入される排気の温度が高く得られるため、始動後の触媒の早期活性の上で有利となる。さらに特許文献1では、♯2,♯3気筒用の集合排気管の管長を♯1,♯4気筒用の個別排気管の管長よりも短くすることで、集合排気管からの放熱の抑制を図っている。
特開2008−38838号公報
上記の構成では、♯2,♯3気筒の集合排気管と♯1,♯4気筒の個別排気管とが触媒コンバータの入口部で合流するため、点火順序が連続する2つの気筒(例えば、♯1気筒と♯2気筒、あるいは♯3気筒と♯4気筒)の間での排気干渉が問題となる。この排気干渉を十分に抑制するためには、集合排気管や個別排気管の管長をより長く設定することが望ましいが、これら排気管の管長を長くすると、それだけ外気への放熱が生じやすくなり、始動後の触媒の早期活性の上では不利となる。
この発明は、複数の気筒の排気が流れる集合排気管と、個々の気筒の排気が独立して流れる個別排気管と、を単一の触媒コンバータのディフューザ部に接続してなる内燃機関の排気装置において、上記集合排気管の先端部が、上記ディフューザ部内部へ突出しており、上記個別排気管の先端部は上記ディフューザ部内部へ突出していない、構成となっている。
このように集合排気管の先端部をディフューザ部内部へ突出させると、当該集合排気管の先端開口と個別排気管の先端開口とが突出長だけ離れるので、2つの気筒間の排気通路長が突出長の2倍だけ長くなることになる。従って、仮に2つの気筒の点火順序が連続する場合に、両者間での排気干渉が効果的に抑制される。
また、ディフューザ部内部へ突出している部分では、外気による冷却作用を受けず、ここから放熱した熱は触媒の暖機に寄与するので、始動後の触媒の早期活性を損なうことがない。
この発明によれば、気筒間の排気干渉の抑制と始動後の触媒の早期活性とをより高いレベルで両立させることが可能となる。
この発明に係る排気装置の第1実施例を示す側面図。 ディフューザ部を切り欠いて示す側面図。 図1のA−A線に沿った断面図。 図1のB−B線に沿った断面図。 排気管先端部の突出長と残留ガスとの関係を示す特性図。 排気管先端部の突出長と体積効率との関係を示す特性図。 この発明に係る排気装置の第2実施例を、ディフューザ部を切り欠いて示す側面図。 図7のC−C線に沿った断面図。
図1および図2は、この発明を直列4気筒内燃機関1に適用した第1実施例を示している。内燃機関1は、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3を備えており、各気筒の排気ポート(図示せず)が、シリンダヘッド3の一方の側面3aに向かって延びている。ここで、♯1気筒および♯4気筒の排気ポートは、個別排気ポートとして気筒毎に独立してシリンダヘッド3の側面3aに開口しており、♯2気筒および♯3気筒の排気ポートは、シリンダヘッド3内部で互いに合流し、一つの集合排気ポートとしてシリンダヘッド3の側面3aに開口している。なお、♯2気筒と♯3気筒は点火時期が360°CA離れており、排気干渉は生じない。
シリンダヘッド3の側面3aに取り付けられる排気マニホルド5は、♯1気筒の個別排気ポートに接続される♯1個別排気管6と、♯4気筒の個別排気ポートに接続される♯4個別排気管7と、中央の集合排気ポートに接続される集合排気管8と、を備えており、これら3本の排気管6,7,8の基端がヘッド取付フランジ9によって支持されている。♯1個別排気管6および♯4個別排気管7は、ほぼ円形の断面形状を有し、集合排気管8は、気筒列方向に延びた細長い長円形の断面形状を有している。また、集合排気管8の通路断面積は、♯1個別排気管6および♯4個別排気管7の個々の通路断面積よりも大きく設定されている。
♯1個別排気管6、♯4個別排気管7および集合排気管8の先端は、単一の触媒コンバータ11の上流側のディフューザ部11aにそれぞれ接続されている。触媒コンバータ11は、円柱状のモノリス触媒担体を円筒形金属製ケース内に収容したものであって、ディフューザ部11aは、触媒担体端面との間に径が徐々に拡大する空間を形成するように略円錐形に構成されている。
触媒コンバータ11は、図1に示すように、シリンダブロック2の側方に位置し、かつ円柱状触媒担体の中心軸線Lが内燃機関1の気筒列方向(クランクシャフト軸方向)にほぼ平行となる姿勢に配置されている。また、気筒列方向については、シリンダヘッド3の前方寄り(つまり♯1気筒寄り)に片寄って配置されている。従って、ディフューザ部11aは、排気主流の流れの方向を約90°変えるように略L字形に延びている。詳しくは、ディフューザ部11aの上流側部分は、気筒列方向と直交する方向に延び、かつ下流側部分が内燃機関1の前方を向くように湾曲して触媒担体端部に接続されている。
また、集合排気管8は、ヘッド取付フランジ9から気筒列方向と直交する方向に沿って直線的に延び、かつ先端部が下方を指向するように湾曲して、ディフューザ部11aの上流側端部に接続されている。図3に示すように、触媒コンバータ11との接続部では、集合排気管8は、略半円形の断面形状を有している。
気筒列方向の前後に位置する♯1個別排気管6および♯4個別排気管7は、平面視でほぼ対称をなすように気筒列方向に湾曲して延び、かつ先端部が下方を指向するように湾曲して、ディフューザ部11aの上流側端部に接続されている。より詳しくは、♯1個別排気管6および♯4個別排気管7は、触媒コンバータ11の直近で略Y字形ないし略T字形に合流しており、合流後の1本となった接続管部12がディフューザ部11aに接続されている。図3に示すように、接続管部12は、集合排気管8端部と対称な略半円形の断面形状を有している。
図4にも示すように、集合排気管8は、内側つまり内燃機関1寄りに配置され、個別排気管6,7は、集合排気管8の上方ないし外側を通過するように配置されている。
ここで、個別排気管6,7の先端部となる接続管部12がディフューザ部11aの上流側端部でディフューザ部11a内部空間にそのまま開口しているのに対し、集合排気管8の先端部は、図2,図4に示すように、ディフューザ部11aの上流側端部を貫通して該ディフューザ部11a内部の空間内に突出している。つまり、集合排気管8の先端側部分がディフューザ部11a内部の空間内に突出した突出管部8aとして構成されており、先端の開口部8bがディフューザ部11a上流側端部よりも下流側の位置で触媒担体に向かって開口している。
なお、図4では、突出管部8aが集合排気管8と同じ一つの管部材から構成されているが、別部材からなる突出管部8aを集合排気管8の本体部分の先端に接続するようにしてもよい。
上記実施例の構成によれば、♯2,♯3気筒の排気が流れる集合排気管8の実質的な管長が長くなる。特に、点火順序が連続する2つの気筒(例えば、♯1気筒と♯2気筒、あるいは♯3気筒と♯4気筒)の間の排気通路長としては、集合排気管8をディフューザ部11a内部に突出させない場合に比較して、突出管部8aの突出長の2倍だけ長くなることとなり、点火順序が連続する2つの気筒の間での排気干渉が効果的に抑制される。
図5は、突出管部8aの突出長と内燃機関1の各気筒の残留ガスとの関係を示しており、図6は、同じく突出管部8aの突出長と内燃機関1の各気筒の体積効率との関係を示している。これらの図に示すように、突出管部8aの突出長を長くするほど排気干渉が抑制される結果、筒内の残留ガスが少なくなり、体積効率が向上する。
また、上記の突出管部8aはディフューザ部11a内部にあるため、外気による冷却作用を受けることがない。換言すれば、外気による冷却作用を受ける集合排気管8の長さ(外部に露出している部分の長さ)は、突出管部8aの有無によらず変わりがないので、始動直後の排気温度を高く得ることができ、触媒の早期活性を損なうことがない。突出管部8aから放熱された熱は、ディフューザ部11a内部において、触媒の温度上昇に寄与する。
従って、上記実施例では、♯2気筒および♯3気筒の排気系を集合排気管8としたことによる触媒の早期活性と、点火順序が連続する2つの気筒の間での排気干渉の抑制と、を両立させることが可能となる。
また、上記実施例では、図2に示すように、突出管部8aの先端開口部8bが触媒担体の中心軸線Lに対し斜めに開口している。従って、先端開口部8bから吐出した排気流は、ディフューザ部11a内部で旋回しながら触媒担体の端面に斜めに広く拡がって流入する。そのため、触媒担体の全体を有効活用することができる。
次に、図7および図8は、この発明の第2実施例を示している。この実施例では、集合排気管8先端の突出管部8aが、触媒担体の中心軸線Lに達する位置まで長く突出しており、その先端開口部8bが触媒担体の端面に向かって開口している。つまり触媒担体の中心軸線Lに沿って排気が吐出されるように、先端開口部8bが中心軸線Lと直交する平面に沿って開口している。
このような第2実施例では、突出管部8aを出た排気が触媒担体の端面全体に均等に分散され、ガス流の偏りが抑制される。
3…シリンダヘッド
5…排気マニホルド
6,7…個別排気管
8…集合排気管
8a…突出管部
8b…開口部
11…触媒コンバータ
11a…ディフューザ部

Claims (4)

  1. 複数の気筒の排気が流れる集合排気管と、個々の気筒の排気が独立して流れる個別排気管と、を単一の触媒コンバータのディフューザ部に接続してなる内燃機関の排気装置において、
    上記集合排気管の先端部が、上記ディフューザ部内部へ突出しており、上記個別排気管の先端部は上記ディフューザ部内部へ突出していない、内燃機関の排気装置。
  2. 内燃機関が直列4気筒内燃機関であり、♯2気筒および♯3気筒の排気ポートがシリンダヘッド内部で合流して一つの集合排気ポートを構成し、この集合排気ポートに上記集合排気管が接続されており、
    ♯1気筒および♯4気筒の排気ポートが各々個別排気管に接続されている、請求項1に記載の内燃機関の排気装置。
  3. ディフューザ部内部へ突出した集合排気管の先端部が、触媒担体の中心軸線上で該触媒担体の端面に向かって開口している、請求項1または2に記載の内燃機関の排気装置。
  4. ディフューザ部内部へ突出した集合排気管の先端部が、触媒担体の中心軸線に対し斜めに開口している、請求項1または2に記載の内燃機関の排気装置。
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