JP6403715B2 - 感光性ガラス体の連続的製造 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性ガラス体の連続的製造方法に関する。該ガラス体は、光構造化可能なガラスからなる。
ガラス体の連続的製造方法は、先行技術から当業者に公知である。該方法は、種々の用途に利用可能なプレス成形されたガラス体を、ガラス溶融物から該溶融物を型に注ぎ込むことによって連続的に製造するのに適している。
プレス成形法においては、ガラス溶融物は、一般的に金属からなる型に流し込まれる。前記型のサイズに応じて、ガラスは種々の速度で冷える。この過程は、特にガラスの冷却に非常に長い時間が費やされると、特に比較的大きな形状では問題であるが、結晶化感受性ガラスにおいて結晶形成が生じうる過程である。結晶化のため該ガラスは使用不可能となる。それゆえ、連続的プレス成形法は、今まで、特に結晶化を受けにくい工業用ガラスと、特に耐結晶化性の光学ガラスにのみ適用されていた。
前記のガラス製造における不所望な結晶化(「失透」とも呼ばれる)と、露光と強化による光構造化可能なガラス中に達成できる指向的結晶化とは区別する必要がある。どちらの場合も確かに結晶化過程であるが、生ずる結晶の点でそれらの過程は異なる。アルカリ金属二ケイ酸塩が失透において形成されるが、光構造化可能なガラスにおける指向的結晶化においてはアルカリ金属メタケイ酸塩結晶が生成される。結晶化の基礎を成す過程の点での前記の相違点にもかかわらず、光構造化可能なガラスは、光構造化可能性のために望ましい露光と強化により誘発される結晶形成の傾向に加えて、高められた失透傾向をも有する。
光構造化可能なガラスは、一般的に、構造化に望ましい顕著な結晶化傾向を特徴としている。例えば、これらのガラスは、該ガラス体の定義された領域の指向的な紫外線照射に際して金属核を形成する成核剤を含有する。以下の反応式は、成核剤としての銀についてのこの事象を例示するものである
Ce3++Ag++hν→Ce4++Ag0 (式I)。
感光性ガラスが約320nmの波長の紫外光で照射されると、三価のセリウムは銀イオンに電子を与え、それにより元素の銀が生成される。引き続いての強化ステップにおいて、その生成された原子の銀の周りに所望の結晶核が形成される。
製造後の所望の結晶化可能性と決定的な結晶化傾向との間の製造を複雑にする良好なバランスを合わせることは、感光性ガラスの製造業者にとっての課題である。例えば、銀の使用量の増加は、結果的に溶融の間に既に元素の銀を形成させることとなる。この銀は析出して、銀小泡または銀小滴をもたらすことがあり、それにより製造は複雑になるか、さもなくば不可能になりさえもする。
更に、セリウムと銀のそれぞれの成分が、前記反応(式I)が起こりうるような適切な酸化状態で最終ガラス中に存在する必要があるという理由のため、光構造化可能なガラスの製造はまた特に困難である。もちろん、酸化的な溶融方法は、結果として、金属銀への還元が生じないため溶融の間に銀の析出を抑える。しかしながら、そのような場合に、セリウムはガラス中でその四価の形で存在するため、所望される反応(式I)は、紫外光への露光に際して生じ得ない。
他方で、三価セリウムの量を増やすために、還元的な溶融方法を選択すると、製造の間に既に元素の銀が形成されるという危険性が高まる。未露光のガラスにおける銀の核は、未露光の領域も結晶化することとなるため、強化によるガラスの選択的な結晶化を妨げる。更に、そのガラスは、透過率の要求を満たさないこととなる。むしろ、製造の間に元素の銀が形成されずに、実質的に該ガラス中の銀全体が反応Iのために一価の銀として利用できることが望ましい。
一般的にガラスの非常に小さい割合だけにすぎない成核剤の組以外に、該ガラスの残りの組成も、もちろん結晶化感受性に寄与する。そのようなガラスの開発業者は、今まで、引き続いての構造化のために必要なレベルにまで結晶化傾向を高めることに注意を向けていた。従って、連続的プレス成形法における光構造化可能なガラスの製造は今まで検討されていなかった。
しかしながら、連続的プレス成形法で製造できるガラスがあることは望ましいはずである。こうして得られたガラス体は、次いで露光し、構造化することができる。
従って、本発明の課題は、光構造化可能なガラス体を、先行技術のガラスと比較して結晶化可能性および感光性の点で劣った特性を有することなく連続的プレス成形法で製造できる方法を提供することである。
前記課題は、本発明によれば、特許請求の範囲に定義されるように、一方で、こうして製造できるガラスを選択することによって、そして他方で該プレス成形法を該ガラスに適合させることによって解決される。
本発明の感光性ガラス体の製造のための方法は、
a. 所望のガラスのための原材料の混合物を、特に溶融容器内部に準備するステップ、
b. 該混合物を、特に該容器内部で溶融するステップ、
c. 該溶融物を型中に移動するステップ、
d. 該ガラスを該型内でプレス成形してガラス体とするステップ、
を含み、
前記溶融物は、それを型中に移動する時点で、1000℃を上回る温度を有し、ここで該溶融物は該型中で、990℃〜600℃の温度範囲を15分未満の時間で通り過ぎるように冷やされ、かつ前記ガラスは、Si4+、少なくとも1種の結晶作動体(crystal−agonist)、少なくとも1種の結晶拮抗体(crystal−antagonist)および少なくとも1つの成核剤の組を含み、
− 前記結晶作動体は、Na+、K+およびLi+から選択され、
− 前記結晶拮抗体は、Al3+、B3+、Zn2+、Sn2+およびSb3+から選択され、
− 前記成核剤の組は、セリウムと、銀、金および銅の群からの少なくとも1種の剤とを含み、かつ
前記結晶作動体のモル割合(cat%)はSi4+のモル割合に対して、少なくとも0.3で、かつ高くても0.85である。
該方法の好ましい一実施形態においては、前記の溶融および/または移動の後に、該ガラスは、高くても200℃/hの平均冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの冷却に相当し、ここで温度T1は、該ガラスのガラス転移温度Tgを少なくとも上回り、かつ温度T2は、T1を少なくとも150℃下回る増感ステップに供される。特に好ましい一実施形態においては、T1は、前記ガラスのガラス転移温度Tgを100℃上回り、かつ温度T2は、T1を250℃下回る。もう一つの好ましい実施形態においては、T1は、前記ガラスのガラス転移温度Tgを50℃上回り、かつ温度T2は、T1を200℃下回る。もう一つの好ましい実施形態においては、T1は、前記ガラスのガラス転移温度Tgを25℃上回り、かつ温度T2は、T1を150℃下回る。
好ましくは、前記温度T1から温度T2までの冷却は定常的に行われる。「定常的に」とは、この文脈においては、ガラスがある一定の温度レベルに保たれることなく該ガラスがT1からT2へと連続的に冷却されることを意味する。特に、それは、実質的に一定な冷却速度での冷却を意味する。好ましくは、温度T1から温度T2までの冷却の間の最高冷却速度と最低冷却速度は、前記平均冷却速度Kから、それぞれ、高くても±20%だけ、より好ましくは高くても±15%だけ、より好ましくは高くても±10%だけ、より好ましくは高くても±5%だけ外れている。
本発明の主題は、また本発明の方法で製造できるプレス成形されたガラス体である。
また、本発明の主題は、Si4+、1種以上の結晶作動体、1種以上の結晶拮抗体および少なくとも1つの成核剤の組を含む増感された光構造化可能なガラスのガラス体であって、
a. 前記結晶作動体は、Na+、K+およびLi+から選択され、
b. 前記結晶拮抗体は、Al3+、B3+、Zn2+、Sn2+およびSb3+から選択され、
c. 前記成核剤の組は、セリウムと、銀、金および銅の群からの少なくとも1種の剤とを含み、
前記結晶作動体のモル割合(cat%)はSi4+のモル割合に対して、少なくとも0.3で、かつ高くても0.85であり、かつ前記ガラスは、高くても200℃/hの冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの定常冷却に相当する冷却状態を有し、ここで温度T1は、該ガラスのガラス転移温度Tgを少なくとも上回り、かつ温度T2は、T1を少なくとも150℃下回る、前記ガラス体である。「定常」とは、この文脈においては、ガラスがある一定の温度レベルに保たれることなくT1からT2へと連続的に冷却されることを意味する。特に、それは、実質的に一定な冷却速度での冷却を意味する。T2まで冷却した後に室温へと冷却される限りで、この更なる冷却はまた定常的に行われうるが、T2未満の更なる冷却は決定的なものではない。室温は好ましくは20℃である。
ガラスの冷却状態は、製造条件の知識が無くとも所定のガラスにおいて測定することができる。ガラス試料Pの冷却状態の測定のためには、まずそのガラスの屈折率ndおよび/または質量密度ρが測定される。次いで該試料は、好ましくは幾つかの個別の試料P1、P2、P3等へと分けられる。次いでそれぞれの試料を温度T1に加熱し、引き続き異なる冷却速度K1、K2、K3等で温度T2に冷却する。温度T2に冷却し、好ましくは更に室温へと冷却した後に、屈折率ndおよび/または質量密度ρが再び測定され、こうしてそれぞれの値を冷却速度に割り当てることができる。次いで得られた値の対を、縦座標が密度値を表し、横座標が冷却速度を表す座標系にプロットすることができる。こうして得られた冷却曲線に基づいて、ガラス試料Pの密度からそのガラスの冷却状態へと結論を導き出すことができる。冷却速度と屈折率との相関は、一例のガラスについて図1に示されている。x軸を対数プロットした場合に、単純な一次方程式から相関が生ずる。その一例は図2に示されている。
屈折率および屈折の率という用語は、本明細書においては同義で用いられる。
ガラスの冷却状態はこうして、ガラスの冷却の間の状態についての尺度である。慣例通りに溶融物から非常に素早く冷却された(例えば>>300℃/h)「急冷された」ガラスは高い冷却状態を有する。そのようなガラス中のイオンは比較的無秩序な状態で「凍結」される。いわば、溶融物から素早く冷却することによって、ガラスはこのように高いエネルギーレベルで「凍結」される。結晶成分(結晶作動体、Si4+)の空間的接近が低粘度のため依然として可能であった高い温度範囲は素早く通過された。従って、高い冷却状態にある素早く冷却されたガラスは、比較的低い密度または屈折率を有する。ガラスの冷却状態に依存したガラスの屈折率の差は比較的低い。しかしながら、これらの特性は小数第六位まで確実に測定できるので、この方法は確実な測定結果を得るためにやはり適している。それらの実験により、本明細書に記載されるガラスの増感が、屈折率に少なくとも小数第五位の増加を引き起こし、好ましくは小数第四位の増加さえも引き起こすことが示された。
本発明による冷却状態は、好ましくは、本発明のガラスを本明細書に記載される増感ステップに供することによって調節される。この増感ステップを更に以下に記載する。本明細書において増感ステップが言及されるとき、これは、ガラスの露光前に行われる処理ステップを常に意味する。ガラスの露光後の熱処理ステップは、本明細書においては文献に従って「強化」と呼ぶ。
本発明者らは、本発明により増感されたガラス体のより良好な結晶化可能性に関して、ガラス組成と増感法または製造法との複雑な相互作用からもたらされる複数の理由がおそらく存在すると考えている。これにより、結晶成分の接近は前記増感によって達成されると考えられる。この接近は、T1からT2へと冷却する間の比較的長い(急冷による冷却と比較して)時間間隔にわたり網目構造における結晶作動体の拡散を可能にする粘度範囲にあるガラスによって可能となるかもしれない。これにより、ガラスは結晶性状態に近づくが、結晶化しない。いわば、紫外線露光後に所望の結晶化に対してより感度が高い。
加えて、増感されたガラスは、そのガラスのより高い密度のため、より網目の細かいガラス構造を有する。このことは、結晶化されたガラス中に特に小さい結晶が形成することに理由があるかもしれない。最後に、その移動度が結晶化のために重要である結晶作動体は、比較的粗大な網目構造の場合と比べて網目の細かい構造においては拡散により容易に移動できない。これにより、結晶成長は増感されたガラスにおいて妨害されるべきであり、こうして結晶は確かに生成された核の周りに形成されうるものの、それらの成長、ひいては幾つかの結晶のより大きな結晶への会合は妨害される。結果として、特に微細な構造のエッチングを可能にする微細な結晶配列となる。
更に、前記増感により、Ce3+の吸収極大付近の重要な紫外領域にガラスマトリックスの自己吸収(バンド端)がより小さい波長の方向にシフトすることが判明した。これにより、この領域での吸収は全体的により小さく、照射に使用される紫外光は、ガラスのより深部に入り込み、より深い構造深さを実現できる。図3に示される結果は、増感によって達成された紫外領域における透過率の増加を裏付けている。
このように、本発明によるガラス体は、比較的低い冷却速度に相当する冷却状態を有する。先行技術のガラスは、結晶化の危険性を低く保つために高い冷却速度で冷却されている。それに対して、本発明のガラス体は、好ましい増感によって、溶融物から直接的にか、または後続ステップにおいて溶融後と、該当する場合には熱間成形の後に、高くても200℃/hの冷却状態に達するようにして冷却されている。好ましくは、前記冷却状態は、150℃/h未満でさえもあり、より好ましくは120℃/h未満であり、より好ましくは100℃/h未満であり、または85℃/h未満である。好ましい一実施形態においては、冷却状態は、80℃/h未満であってさえもよい。
しかしながら、ガラス組成に応じた前記の状況(イオン移動度、結晶形成)のため、ある特定の冷却状態を下回るべきでないことを考慮する必要がある。非常にゆっくりとした冷却では、ガラスは非常に長い間にわたり、結晶形成を可能にする温度範囲に留まることができる。その際に結晶化が生ずることとなる。結晶化の危険をおかさないために、10℃/hの、より好ましくは20℃/hの、特に好ましくは40℃/hの、より好ましくは60℃/hの冷却状態を下回らないことが好ましいことが判明した。このことは、ある特定のガラス組成がそのような低い冷却状態でも許容することを除外するものではない。
用語「X℃/hの冷却状態」とは、高くてもX℃/hの定常冷却速度Kで温度T1から温度T2へと冷却することに相当する冷却状態を示している。「高くてもX℃/hの定常冷却速度Kで温度T1から温度T2へと冷却することに相当する冷却状態」という表記は、こうして特徴付けられたガラスまたはこうして特徴付けられたガラス体が実際にそのようなT1からT2への定常冷却速度で冷却されたことを意味しないことに留意する必要がある。むしろ、それは、前記ガラスまたはガラス体がそのようなガラスと同じ冷却状態を有することを意味している。本発明のガラス体は、温度T1から冷却速度K’で温度T1’にまで冷却され、次いで冷却速度K’’で温度T2にまで冷却されてもよい。重要なことは得られた冷却状態であり、それは、明確性と可測性を保証するために、本明細書中に定義されるように示されている。
本発明のガラス体においては、アルカリ金属メタケイ酸塩結晶は、露光後の強化に際して形成される。メタケイ酸塩は、1モルの結晶作動体、例えばLi2OまたはNa2Oとしてのアルカリ金属酸化物を、1モルの二酸化ケイ素(SiO2)当たりに有する化学量論量によって特徴付けられる。このように、メタケイ酸塩中のアルカリ金属イオンの、ケイ素イオンに対する化学量論比は2:1である。結晶の前記化学量論比における両成分、つまりアルカリ金属酸化物と二酸化ケイ素が、一緒に溶融および冷却されたのであれば、ガラスは形成されずにセラミックが形成されることとなる。
セラミックを得るのではなくガラスを得るために、本発明によれば、一方で、ガラス組成は本質的に前記結晶化学量論量から外れ、他方では、ガラスの結晶化傾向を低下させるために結晶拮抗体が使用される。
本発明によれば、「ガラス」とは、本質的に非晶質の材料であると理解され、「セラミック」とは、本質的に完全に結晶性の材料であると理解される。結晶相と非晶質相の両方を含む材料は、「ガラスセラミック」と呼ばれる。
結晶作動体とSi4+の形のケイ素との化学量論量を、ガラス中での結晶作動体のSi4+に対するモル比(cat%)が少なくとも0.3、より好ましくは少なくとも0.5、更に好ましくは少なくとも0.55であるように選択することが有利であると判明した。しかしながら、この比率は、好ましくは0.85の値を、より好ましくは0.7の値を超過すべきではなく、特に高くても0.65の比率が好ましい。つまりSi4+に対して非常に少量の結晶作動体が使用されるのであれば、その組成は所望の化学量論量からかなりかけ離れ、結晶化傾向は大いに低下される。そのようなガラスの結晶化は、長くなりかつエネルギーがかかるものとなる。更に、大抵は、所望のメタケイ酸塩と共通のエッチング溶液に対するガラスとの比較におけるそのような実質的な溶解度の差を示さない二ケイ酸塩が形成されることとなる。しかしながら、非常に多量の結晶作動体は、メタケイ酸塩の化学量論量に近づくため結晶化傾向を大きく高めることとなり、加工性を困難にするか、または不可能にすることとなる。
ガラス溶融物は非常に高い温度を有し、それは、結晶または核が形成しうる温度範囲を十分に上回る温度である。例えば、前記ガラス体のために本発明により使用されるガラスは、好ましくは1300℃を上回る、より好ましくは1400℃を上回る温度で溶融される。そのような温度は、全ての成分が溶融されることを確実なものとする。しかしながら好ましくは、1800℃、より好ましくは1700℃、特に好ましくは1600℃の温度を超過すべきではない。それというのも、温度が高すぎると、ガラス中の銀の還元が優先され、更には所要エネルギーがそれにより大きく高められるからである。ガラス溶融物のその製造後の冷却に際してのみ、溶融物の粘度がもはや核が形成され得ないほど高くなるまで、結晶化傾向は増加する。その理由は、結晶成分の拡散が粘度増大に伴い制限されるからである。この理由のため、結晶化を受けやすいガラスは十分に素早く冷却される必要がある。冷却がゆっくりすぎると、熱力学的に好ましい結晶相が形成され、ガラスは得られずに、ガラスセラミックが得られる。これは、主として本発明のガラスにも当てはまるが、好ましくは、増感が、溶融物をT1からT2までの温度範囲で比較的ゆっくりと冷却することによって行われるか、または該溶融物から最初に素早く冷却し、次いで後続の増感ステップにおいてT1からT2までゆっくりと冷却することによって行われるか、のいずれかによって行われる場合を除く。
溶融物から素早く冷却することによって、ガラスは高いエネルギーレベルで、いわば「凍結」される。まさにそのガラスの高い粘度のため、エネルギーの点でより好ましい結晶状態に変換されない。このことも、感光性ガラスが照射後に強化されることの理由である。さもなくば、照射された感光性ガラスでは核形成に必要な温度(「核形成温度」)に至らないだけでなく、より高い「結晶成長温度」にも至らないこととなる。両方の温度は、温度範囲である。事前の照射は、強化ステップにおいて具体的に照射された領域の結晶化が達成されうることを保証する。これにより、結晶化された領域のより高いエッチング可能性との相互作用において、後続のエッチングステップにおいて構造の指向的な導入が可能となる。
ガラス組成または工程管理により極めて高い失透傾向を既に有するガラスは、溶融物から非常に素早く冷却する必要がある。これにより、溶融物の粘度は、結晶化が生じないほど素早く高まる。高い冷却状態で「凍結」したガラスが得られる。そのようなガラスは、前記のような露光と強化によって誘発される失透傾向と結晶形成傾向との間の相関のため光構造化に非常に適していると考えられる。所望の結晶は、露光後の強化に際して素早く形成される。しかしながら、そのようなガラスは、比較的コストのかさむ方法でのみ後加工することができるにすぎない。ガラスを再加温する必要がある既に考えられていた殆どの方法は除外される。結局、再加温においては強化の場合とは異なり何も起こらず、イオンの拡散、特に小さいアルカリ金属イオンの拡散が増加し、核と結晶が形成される。従って、本来特に失透を受けやすいようなガラスは、冷間で後加工できるにすぎない。熱間での後加工(例えばリドロー法)などは論外である。溶融物からの直接的な熱間成形ステップ(例えばプレス成形法、フロート法、ロール法、アウトロール法、ダウンドロー法、オーバーフローフュージョン法)についても同じことが言える。そのように極めて高い失透傾向を有するガラスは本発明の主題ではない。
本発明は、確かに顕著な結晶化傾向を有するため光構造化が可能であるものの、あまり高い失透傾向を示さないガラスを使用する。これは、工程管理および/またはガラスの組成によって達成される。例えば、前記ガラスは、メタケイ酸塩の化学量論量からはかなり外れており、更に、それらのガラスは、好ましくは比較的酸化的に溶融される。
これにより、ガラス中に存在する成核剤の組(例えばセリウムと銀)は、核源(特にAg)に関して大抵より高い酸化状態で存在することが実現される。これにより、より還元的な溶融の場合に予想されるよりも高い割合のセリウムが酸化状態Ce4+で存在すると考えられる。先行技術においては、この形態は望ましくないものと説明されている。それというのも、前記の反応(式I)によれば核形成のためにはできる限り多くのCe3+が存在せねばならないからである。しかしながら、本発明によれば、このことは、溶融直後にガラスにわずかにより低い結晶化傾向を授けるために望ましい。本発明によれば、後に、つまり溶融後であるが露光前にのみ、増感によって、Ce3+のCe4+に対する比率が、よりCe3+側へとずらされる。セリウムの2つの酸化状態の前記比率は、残念ながらガラスにおいて測定できない。つまり、ガラスの分解は酸化状態を変更し、Ce4+の透過率バンドは、ガラス自体が強い吸収を示す波長領域にある。
比較的酸化的に溶融する好ましい方法は、前記ガラスを、溶融直後に、または後の時点であるが、ともかく露光前に、そして特にまた増感の前に、1つ以上の熱間加工ステップに供することができるという利点を有する。本発明の方法は、そのような熱間加工ステップを含む。成核剤の組は、Ce4+が存在するため熱間加工の時点でその活性にいわば制限がかかる。しかしながら、核が存在せねば結晶は形成されない。前記ガラスまたは溶融物は、このように結晶化の点で比較的非臨界的な状態にある。
本発明によれば、プレス成形は熱間加工ステップとして使用され、好ましくは露光および強化の前に行われる。この熱間加工法は、先行技術からよく知られている。該方法は、本明細書で使用されるガラスを用いて公知のように実施できるが、但し、溶融物は、990℃から600℃まで、特に460℃までの温度範囲を比較的素早く通過して冷却する必要がある。T1は、好ましくは600℃未満であるため、指示された温度範囲を素早く通過すると、好ましくは直接的な引き続いての増感が可能となる。すなわち、この温度範囲においては、本明細書で使用されるガラスの場合でさえも結晶化の危険性はかなりある。従って、指示された温度範囲は、15分以内で、より好ましくは10分以内で、より好ましくは5分以内で、特に好ましくは3分以内で通過するべきである。
本発明のガラスの本質的であるが適度な結晶化傾向を担う重要な側面はそのガラス体の組成である。本発明は、大幅に、カチオン同士の互いのモル比(結晶化学量論量)の適切な調整に基づいている。従って、ガラス組成をcat%での表示によって特徴付けることが合理的である。もちろん、該ガラスは、以下でも記載するアニオンをも含む。しかしながら、それらのアニオンはカチオンよりもガラスの特性を形作るものではないので、本発明の核心はよりカチオン組成の方にある。
用語「カチオンパーセント」(略記「cat%」)は、ガラス中のカチオンの全量に対するカチオンの相対モル割合に関するものである。もちろん該ガラスはアニオンも含み、そのガラス中のアニオンの全量に対する相対モル割合は、本明細書においては「アニオンパーセント」(略記「アニオン%」)と示される。
冒頭に記載したように、本発明により使用されるガラスはいずれの場合にもSi4+を含む。この成分は、溶融物へと、好ましくはSiO2(砂)の形で添加される。Si4+は、それがアルカリ金属メタケイ酸塩結晶の主成分であるので、ガラスの特性と結晶化挙動のために重要である。該アルカリ金属メタケイ酸塩結晶の化学量論量を以下に示す:
23Si R=アルカリ金属イオン。
好ましい一実施形態においては、前記ガラスは、ケイ素(Si4+)を少なくとも45cat%の、更に好ましくは少なくとも50cat%の、より好ましくは少なくとも52cat%の、特に好ましくは少なくとも56cat%の量で含む。この成分の含量は、高くても65cat%の、更に好ましくは高くても63cat%の、更に好ましくは高くても61cat%の、特に好ましくは高くても60.5cat%の値を超過すべきでない。この成分の量は、少なすぎる量のケイ素が結晶化挙動を大きく損ねうるため考慮する必要がある。非常に少量のケイ素は、更に、ガラスが一切得られないほどの結晶化傾向の増加をもたらすこととなる。更に、ケイ素は重要なガラス形成物質であり、それは共にガラス網目構造を決定的に決めるものである。しかしながら、ケイ素の添加が多すぎると、ガラスの網目構造はより密なものとなる。これはガラス内でのイオン移動度を制限し、特にアルカリ金属イオンの拡散を妨げ、こうして結晶形成が抑制されることとなる。
適切なケイ素量の選択は比較的困難である。それというのも、ケイ素の割合単独が決め手となるだけでなく、Al3+およびB3+の割合もアルカリ金属イオンのケイ素に対する比率もその役割を担うからである。本発明によれば、アルカリ金属イオンの、ケイ素のモル割合に対するモル比は、少なくとも0.3で、かつ高くとも0.85までである。好ましくは、この比率は、少なくとも0.4で、かつ高くても0.8であるべきであり、より好ましくは少なくとも0.5で、かつ高くても0.75であるべきであり、特に好ましくは少なくとも0.6で、かつ高くても0.7であるべきである。
従ってまた、ガラスにおける結晶作動体の割合もその役割を担う。本発明によれば、前記結晶作動体は、好ましくは、リチウムのカチオン(Li+)、ナトリウムのカチオン(Na+)およびカリウムのカチオン(K+)から選択される。好ましくは、前記ガラスは、3種の全ての成分Li+、Na+およびK+を含む。これらの成分の全量は、好ましくは少なくとも30cat%、更に好ましくは少なくとも32cat%、より好ましくは少なくとも34cat%であるべきである。しかしながら、45cat%の、更に好ましくは43cat%の、より好ましくは40cat%のまたは38cat%の量を超過すべきではない。これらの成分の量が多すぎると、一方でガラスの結晶化傾向を非常に大きく高めることとなり、他方では、ガラスの化学的耐久性を大きく低下させることとなる。これらの成分の量が少なすぎると、結晶傾向は大きく低下されることとなる。それというのも、このことは結果として本来メタケイ酸塩の化学量論量から大きく外れることとなるからである。
しかしながら、結晶作動体の全量が関連しているだけでなく、それぞれの個々の成分の含量およびそれらの互いの比率も関連している。前記ガラスは、好ましくはリチウムを、ナトリウムおよびカリウムのそれぞれのモル量を超過する量で含む。好ましくは、リチウムの含量は、ガラス中のカリウムとナトリウムの合計の含量も超過する。言い換えると、好ましくはリチウムは、結晶作動体のなかでも主要な成分である。本発明のガラスにおけるリチウムの量は、好ましくは少なくとも20cat%、更に好ましくは少なくとも25cat%、より好ましくは少なくとも27.5cat%、特に好ましくは少なくとも28cat%である。その含量は、好ましくは高くても40cat%、更に好ましくは高くても35cat%、特に好ましくは高くても32cat%であるべきである。リチウムのケイ素に対する比率は、好ましくは少なくとも0.4であるべきであり、より好ましくは少なくとも0.45であるべきである。特に、この値は、高くても0.7、更に好ましくは高くても0.65、より好ましくは高くても0.6、特に好ましくは高くても0.55である。
リチウムは好ましくは結晶作動体のなかでも主要な成分であるため、リチウムの、ケイ素に対する示された比率の利点および欠点に関しては、結晶作動体の、ケイ素に対する比率について先に記載したのと同じことが言える。リチウムは好ましくは本発明による結晶作動体のなかでも主要な成分である。それというのもリチウムは、それがアルカリ金属のなかで最も小さいカチオンであるため特に移動性が高いからである。これは、他のアルカリ金属と比較してリチウムの拡散を容易にし、そして比較的低い温度で比較的素早いガラスの増感を可能にする。
確かにリチウムは好ましくは前記ガラスにおける結晶作動体の主要な成分であり、こうしてモル割合の点で成分ナトリウムとカリウムの割合を超過する。それにもかかわらず、前記ガラスは好ましくはリチウムに加えて成分カリウムおよび/またはナトリウムを含有する。これにより、成分カリウムは成分ナトリウムをそのモル割合の点で超過することが好ましい。それによりガラスが露光後に所望のメタケイ酸塩結晶を形成する傾向は高められることが判明した。カリウムに対して非常に多量のナトリウムは、二ケイ酸塩側への結晶形成が優先されることとなる。カリウムは、少量で使用されるときガラスの化学的耐久性を改善することがある。更に、カリウムはガラスの製造時の失透傾向を低下させる。前記ガラスにおけるカリウムの含量は、好ましくは少なくとも2cat%、更に好ましくは少なくとも2.5cat%、より好ましくは少なくとも3cat%、特に好ましくは少なくとも3.5cat%であるべきである。しかしながら、この成分の含量は、好ましくは、高くても8cat%、更に好ましくは高くても7cat%、より好ましくは高くても6cat%、特に好ましくは高くても5cat%であるべきである。
本発明によれば、成分ナトリウムは、好ましくはガラス中に少なくとも1cat%の、更に好ましくは少なくとも1.5cat%の、より好ましくは少なくとも2cat%の割合で存在するべきである。好ましくは、高くても5cat%の、更に好ましくは高くても4cat%の含量は超過されるべきではない。特に好ましい一実施形態においては、ガラス中のナトリウムの含量は、3cat%の値を超過しない。これは、二ケイ酸塩の形成が殆ど抑制されることを保証する。
冒頭で述べたように、前記ガラスは、ケイ素および結晶作動体だけでなく、結晶拮抗体の群からの少なくとも1種の剤を含有する。本発明によれば、好ましい結晶拮抗体は、アルミニウム(Al3+)、ホウ素(B3+)および亜鉛(Zn2+)ならびにスズ(Sn2+)およびアンチモン(Sb3+)である。該結晶拮抗体は、結晶または核の形成の抑制に役立つ。結晶拮抗体が添加されないと、ガラスは非常に素早く結晶化することとなる。ともすれば、ガラスは一切得られないこととなる。本発明によれば、該結晶拮抗体の含量は、好ましくは少なくとも2cat%、より好ましくは少なくとも2.5cat%、特に好ましくは少なくとも3.5cat%であるべきである。結晶形成をあまり大きく抑制しないためには、結晶拮抗体の含量は、好ましくは高くても9cat%に制限され、更に好ましくは高くても8cat%、より好ましくは高くても7.5cat%である。特に好ましい実施形態においては、その含量は、高くても5.5cat%に制限される。
結晶拮抗体のなかでも、アルミニウムは好ましくは主成分である。つまり、成分アルミニウムは、ガラス中にモル量の点で、残りの結晶拮抗体よりも、特に成分ホウ素および亜鉛よりも高い割合で存在する。このことは、アルミニウムがそれを限られた量で使用する場合にはメタケイ酸塩の形成を妨げないという利点を有する。このために、本発明によれば、好ましくは少なくとも2cat%の、より好ましくは少なくとも3cat%の、特に好ましくは少なくとも3.5cat%のアルミニウムが使用される。アルミニウムは、失透感受性を下げる。しかしながら、使用されるアルミニウムの量は、あまり高くしすぎるべきでもない。それというのも、この量は他方ではスポジュメン混晶の形成をもたらしうるからである。更に、アルミニウムはガラスの融点を高めるため、アルカリ金属イオンをより多量に使用することによって相殺する必要がある。この理由のため、成分アルミニウムは、好ましくは8cat%を、より好ましくは7cat%を、更に好ましくは6cat%を、特に好ましくは5cat%を超過しない量で使用されるべきである。特に好ましい実施形態においては、アルミニウムの量は、高くても4.5cat%に制限される。
推奨できるアルミニウムの量は他の結晶相の形成の危険性のため制限されるので、更なる結晶拮抗体を使用する必要があることがある。これにより、特にホウ素および亜鉛が検討される。本発明は、ホウ素のみを含むガラスまたは亜鉛のみを含むガラスと、これら2つの成分を含むガラスの両方の使用を含む。その場合、ホウ素の量を大きく制限することが好ましい。その背景にあるのは、ホウ素が結晶化傾向に対して非常に強い作用を示すことである。ホウ素をあまりに多く使用すると、結晶化傾向は非常に大きく低下される。この理由のために、ホウ素は、好ましくは3cat%を超過しない量で使用される。更に好ましくは、この成分は、1.5cat%より多くの量で使用されるべきではなく、特に好ましくは0.5cat%より多くの量で使用されるべきではなく、特に0.35cat%より多くの量で使用されるべきではない。しかしながら最少量のホウ素が望ましいことがある。本発明によれば、これは、好ましくは少なくとも0.05cat%、更に好ましくは少なくとも0.1cat%、特に好ましくは0.2cat%である。
亜鉛は、ホウ素に加えて、またはホウ素に代えて、結晶拮抗体として作用しうる。亜鉛とホウ素の両方が使用される場合に、亜鉛の量は、カチオンのモル割合の点でホウ素の量よりも高いべきである。好ましくは、亜鉛の量は、ホウ素のモル割合の少なくとも1.5倍も高いことさえもあるが、特に2.5倍より高くはない。好ましい実施形態においては、前記ガラスは、亜鉛を、少なくとも0.2cat%の量で、更に好ましくは少なくとも0.3cat%の量で、特に好ましくは少なくとも0.45cat%の量で含む。亜鉛は不所望な銀の還元を抑制し、こうしてガラス中の末端酸素の除去によって制御されない核の形成を抑制する。しかしながら、亜鉛をあまりに多く使用すると、結晶化傾向は望まれるよりも大きく低下する。従って、亜鉛の量は、高くても2.5cat%、更に好ましくは高くても1.5cat%、特に好ましくは高くても0.8cat%であるべきである。
示された成分に加えて、アンチモン(Sb3+)およびスズ(Sn2+)も結晶拮抗体として作用しうる。スズとアンチモンは還元剤としてはたらき、それらはガラスにおける核源の特に微細な分布をもたらす。この効果は、特にこれらの成分が少量のときに生ずる。成分スズに関して、その割合は、好ましくは0.1cat%未満である。好ましくは、該ガラスはスズを含まなくてよい。
ガラス中の好ましいアンチモンの量は、高くても0.4cat%、更に好ましくは高くても0.2cat%に制限される。本発明者らは、紫外領域における透過率は、驚くべきことに、ガラス中のアンチモンが低い割合のときに高められることを見出した。これにより、照射のために使用される紫外光は、ガラスのより深部に入り込むことができるため、より深い構造深さを実現できる。このように、アンチモン含量を介して、紫外領域における吸収の程度と、達成可能な露光の深さもセリウム含量とは独立して適合できる。特に好ましくは、前記ガラス中のアンチモンの割合は、高くても0.19cat%、更に好ましくは高くても0.18cat%、なおも更に好ましくは高くても0.17cat%に制限される。低いアンチモン含量の優れた効果は、例6の結果から推測することもできる。しかしながら、好ましくは少なくとも0.02cat%、更に好ましくは少なくとも0.05cat%、更に好ましくは少なくとも0.08cat%、更に好ましくは少なくとも0.09cat%、更に好ましくは少なくとも0.1cat%、特に好ましくは少なくとも0.15cat%は、ガラス中の核源の特に微細な分布のために使用される。もう一つの実施形態においては、前記ガラスは、アンチモン不含である。
アンチモン含量の好ましい選択を介して、試料厚さ1mmで260nmでの透過率値が、好ましくは少なくとも1.2%、更に好ましくは少なくとも1.5%、更に好ましくは少なくとも1.8%、更に好ましくは少なくとも2%、更に好ましくは少なくとも2.5%であるガラスを得ることができる。更に、アンチモン含量が好ましく選択されるときに、本発明により好ましい露光量で十分な結晶化を達成するのに必要とされる露光時間は、長くても15分間、長くても10分間、更に好ましくは長くても5分間である。本発明によるアンチモン含量の好ましい選択を介して、紫外光で露光したときに、好ましくは、少なくとも1mmの、更に好ましくは深くても2mmの、更に好ましくは深くても2.5mmの、更に好ましくは深くても3mmの、更に好ましくは深くても4mmの、なおも更に好ましくは5mmの露光深さを達成できるガラスを得ることができる。
冒頭に示したように、前記ガラスは、ケイ素、結晶作動体および結晶拮抗体に加えて、少なくとも1つ成核剤の組を含む。前記成核剤の組は、他方で、好ましくは銀、金および銅から選択される核源と、本発明によればセリウムである還元剤とを含む。銀は核源として好ましい。これらの2つの成分が前記成核剤の組において担う役割は、成核剤の組であるセリウムと銀について先に例示した反応式から推測することができる。まとめると、還元剤が核源のカチオンを還元して金属にすることにより、ガラス核が形成され、それがまた結晶形成を可能にするということである。
前記ガラスにおける核源の量が比較的高いことは、本発明によれば好ましい。それは、多くの微細分布した小さい核が、同じガラス容積中のより少ない数の核よりも微細な結晶配列をもたらすということが背景にある。この理由のため、好ましくは銀イオンであるガラス中の核源の量は、少なくとも0.001cat%の割合を有するべきである。更に好ましくは、この割合は、少なくとも0.01cat%、より好ましくは少なくとも0.03cat%、特に好ましくは少なくとも0.05cat%である。しかしながら、核源の量の選択が高すぎると、元素の金属の核形成または析出のそれぞれは、おそらく溶融の間に既に生ずる。このことは、何としても抑制する必要がある。それというのも、第一に析出した金属小滴はガラス中での核形成のために利用できず、第二に該ガラスは必要な光学的性質を有さないからである。更に、元素の金属小滴は、例えば光散乱によってガラスの透過性特性を損ねる。従って、前記ガラスにおける核源の量は、好ましくは、多くても0.5cat%または多くても0.2cat%、更に好ましくは多くても0.1cat%、特に好ましくは多くても0.08cat%に制限される。好ましい実施形態においては、前記ガラスは金および銅を含まない。
説明されたように、露光後に所定の容積中で多数の核に至ることが望ましい。上述の反応式のため、この目的のためには、できる限り高い核源の割合を選択することで十分ではない。むしろ、前記増感を行うとともに、セリウムの割合を使用される核源の量に合わせる必要もある。本発明によれば、従って、本発明のガラスにおける、核源の、セリウムに対するモル比は、多くても10、更に好ましくは多くても7、より好ましくは多くても6.5、特に好ましくは多くても5.8であることが好ましい。より多量の核源は、微細な結晶性をあまり改善することなく製造時の問題を増やすことがある。しかしながら、その比率は、もちろん形成される核の量が光構造化可能なガラス体における特に微細な構造の達成を可能にするのに十分であるように、低すぎるべきではない。
前記ガラスの工程管理が先行技術と比較して単純化されているので、ガラス中のセリウムの量は比較的多く選択することができる。最終的に、セリウムは、比較的酸化的な溶融法のため、ある程度までは酸化状態4+で存在すると考えられる。これにより、不所望な核形成は、製造の間にある程度まで抑制される。同時に、セリウムの量として、核源の量は、微細な結晶配列を達成するために比較的高く選択でき、それはまた特に微細な構造化を可能にする。
前記ガラスにおけるセリウムの量(Ce3+とCe4+の合計として)は、従って、好ましくは少なくとも0.001cat%、更に好ましくは少なくとも0.005cat%、より好ましくは少なくとも0.008cat%、特に好ましくは少なくとも0.01cat%である。本発明のガラス体は光構造化可能となる。つまり、前記ガラスは、ある特定の波長の紫外光への露光と引き続いての強化ステップの後に、選択的に結晶化でき、引き続き構造化(エッチング)できる。しかしながら、前記ガラスにおけるセリウムの割合は、任意に高めてはならない。それというのも、それによって確かに感光性は高まることとなるが、関連波長の紫外光の透過性も抑制されることとなるからである。最終的に、本発明のガラス体の露光のためには(先行技術と同様に)Ce3+が吸収する波長の紫外光が使用される。このように、前記ガラス中のCe3+の含量が非常に高ければ、該ガラスは任意の所望の深さで露光することができない。これは、最大限達成できる構造深さを低減する。この理由のため、前記ガラスにおけるセリウムの含量は、好ましくは、高くても0.3cat%または高くても0.2cat%、更に好ましくは高くても0.1cat%、より好ましくは高くても0.05cat%、特に好ましくは高くても0.025cat%に制限される。式Iによる所望の効果が生ずるためには、セリウムは、前記ガラス中に、少なくとも0.001cat%の、特に少なくとも0.005cat%の、特に好ましくは更に少なくとも0.008cat%または0.01cat%の量で存在すべきである。先行技術においては、核形成剤の量を減らすことによって結晶化感受性の実現が試みられていた。これは確かに機能するが、それにより、ガラスの感光性は、構造化が大きく妨げられるほど十分に制限される。
好ましくは、前記ガラスにおける核源のモル含量は、セリウムの含量の少なくとも2倍の高さであり、更に好ましくは核源の、セリウムに対するモル比は、少なくとも2.2、より好ましくは少なくとも2.5、特に好ましくは少なくとも3、特に少なくとも4.5である。結晶化に際しての利点は、核源、特に銀とセリウムとの釣り合いのとれた比率から生ずる。比較的より多量の核源が存在する場合に、より多くの核が形成され、それはまたより小さい結晶をもたらす。セリウムの、核源に対する含量は、本発明によればむしろ小さい。それというのも、特に多量のこの成分は、増感のため核形成のために必要とされないからである。しかしながら、銀のセリウムに対する示された比率は、特定の値を超過すべきでない。それというのも、さもなくば、セリウムの相対量は、核の十分な形成を誘発するために十分でないからである。
特定の実施形態においては、核源の、セリウムに対する比率を更に制限することが合理的なことがある。これは、特に、紫外光露光によってより小さい構造深さだけしか達成できない場合に該当する。達成可能な構造深さの増加は、一方で確かに前記のようなセリウム含量の低下によって達成できる。しかしながら、驚くべきことに、セリウム含量を減らすこと無く、核源の、セリウムに対する比率をより低く選択することで、高められた構造深さを実現できることが判明した。これは、セリウム含量の低下と比較して合理的なことがある。それというのも、これにより、比較的酸化的な溶融法の場合でさえも、従って比較的高い全セリウム含量のため比較的高いCe4+/Ce3+比でさえも、Ag+のための還元剤として利用できる十分なCe3+が存在するからである。そのような一実施形態においては、本発明のガラスにおける核源の、セリウムに対する比率は、好ましくは高くても5.5、更により好ましくは高くても5.2、特に好ましくは高くても4.9である。
本明細書に記載されるガラス成分は網羅的なものではない。このように、前記ガラスは、本明細書に挙げられていない更なる成分を含有してよい。しかしながら、カチオンに関して好ましい実施形態においては、前記ガラスは、少なくとも90cat%の程度が、本明細書中に挙げられた成分からなる。更に好ましい実施形態においては、前記ガラスは、少なくとも95cat%が、更に好ましくは少なくとも97cat%が、より好ましくは少なくとも99cat%が、本明細書中に挙げられた成分からなる。特に好ましい一実施形態においては、前記ガラスは、100cat%が、本明細書中で論じられた成分からなる。
好ましくは、前記ガラスは、分子水素(H2)を含まない。分子水素は、原子の銀の形成をもたらすことがあり、こうして照射とは無関係に核形成をもたらすことがある。
この詳細な説明において前記ガラスがある一定の成分を含まないか、またはある一定の成分不含であると示された場合に、それは、この成分が該ガラスへと意図的に添加されていないことを意味する。このことは、この成分が不純物として該ガラス中に存在する可能性があることを排除するものではない。不純物は、一般的にかつ好ましくは、ガラスの0.1質量%の割合を超過すべきではなく、更に好ましくは、100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、更により好ましくは1ppm以下で存在すべきである。好ましい一実施形態においては、このように示された成分は、本発明のガラス中に、多くても検出限界未満の量で存在する。
好ましいガラスは、以下の成分(cat%)を含む。
Figure 0006403715
好ましい一実施形態においては、前記ガラスは、以下の成分(cat%)を含む。
Figure 0006403715
カチオンに加えて、前記ガラスは、また、O2-、F-、Br-、Cl-およびSO4 2-からなる群から好ましくは選択されるアニオンを含む。O2-のアニオンに対するモル割合は、好ましくは少なくとも50%(アニオン%)、更に好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%、特に好ましくは少なくとも99%であるべきである。好ましい一実施形態においては、前記ガラスは完全に酸化物系であり、従って該ガラスは、アニオンとしてO2-のみを含み、他のアニオン不含である。
前記ガラスは、好ましくはわずか少量のハロゲン化物イオンしか含まない。アニオンのうちのハロゲン化物イオンの含量は、多くても5アニオン%、更に好ましくは多くても3アニオン%、より好ましくは多くても1アニオン%に制限されることが好ましい。ハロゲン化物イオンは、本発明によればCl、FおよびBrのアニオンとして理解される。具体的な実施形態においては、前記ガラスは、Cl、Fおよび/またはBrのアニオンを含まず、またはこれらの成分を、好ましくは3アニオン%以下、2アニオン%以下、もしくは1アニオン%以下のそれぞれの割合で含む。
前記ガラスは、好ましくは、紫外光での照射前に実質的にコロイド状銀を含まない。前記ガラス中に好ましくは存在する銀は、特に照射前にAg+の形で、少なくとも95%の割合で、更に好ましくは少なくとも99%の割合で存在する。
前記ガラスは、好ましくは5cat%より多くのT4+(チタン)を含むべきでない。チタンは、紫外領域でのガラスの透過率を損ない、それは達成可能な構造深さに悪影響を及ぼす。好ましくは、チタンの含量は、多くても3cat%に、更に好ましくは多くても1cat%に制限される。好ましい実施形態は、チタンを、0.2cat%未満の量で含むか、またはチタン不含である。
前記ガラスは、好ましくは本明細書に挙げられていない成分を含まず、特にLa、Nb、W、Hf、Bi、Y、Yb、Pb、As、Ta、Gdおよび/またはEuのカチオンを含まない。
前記ガラス中のアルカリ土類金属カチオンの含量を、特に10cat%にまで、好ましくは5cat%にまで、より好ましくは2cat%にまで制限することが好ましいと判明した。特に好ましい実施形態においては、前記ガラスは、多くても1cat%のアルカリ土類金属カチオンを含むか、またはこれらを含まなくてもよい。アルカリ土類金属カチオンは、好ましくは、本発明によれば、Mg2+、Ca2+、Ba2+およびSr2+として理解される。具体的な実施形態においては、前記ガラスは、Mg2+、Ca2+、Ba2+および/またはSr2+を含まず、またはこれらの成分を、好ましくは3cat%以下、2cat%以下、もしくは1cat%以下のそれぞれの割合で含む。特に好ましい実施形態においては、前記ガラスはバリウムを含まない。
本発明のガラスは、溶融物の冷却の間に比較的ゆっくりと冷却されるか、または溶融物の素早い冷却の後に、前記ガラスはもう一度ある特定の温度T1に加熱され、そしてその温度から温度T2にまで後加工ステップでゆっくりと冷却されるかのいずれかである。本発明の文脈において、これらの選択的なプロセスステップは「増感」と呼ばれる。
本発明の方法は、好ましくは増感ステップを含む。増感は、該ガラスを、初期温度T1から目標温度T2へと冷却することによって特徴付けられる。これにより、前記初期温度T1は、ガラス中でのイオンの拡散をある一定の程度まで可能にする範囲であり、これは、該ガラスのガラス転移温度Tgよりも少なくとも高い温度範囲であり、特にTgよりも少なくとも25℃高い温度範囲である。これにより該ガラスの冷却状態は調整される。T1より少なくとも150℃低い目標温度T2に達したときだけ、該ガラスにおける粘度は、更なる拡散がもはや起こらないとともに、該ガラスの冷却状態の更なる変化ももはや生じないほど再び高くなる。
好ましい実施形態においては、前記初期温度T1は、少なくとも400℃、更に好ましくは少なくとも425℃、より好ましくは少なくとも450℃、特に好ましくは少なくとも475℃である。ある特定の最低温度が、冷却状態の調整を可能にするために必要とされる。従って、T1は、該ガラスのTgよりも高い必要がある。好ましい実施形態においては、T1は、Tgよりも少なくとも25℃高く、更に好ましくはTgよりも少なくとも40℃高い。しかしながら、温度が高すぎると、結晶化傾向が高まるため、非常に高い温度T1は結晶化をもたらすことがある。従って、T1は、好ましくは、1000℃の値を、更に好ましくは800℃の値を、より好ましくは600℃の値を、特に好ましくは550℃の値を超過しない。特に好ましい実施形態においては、T1は、500℃である。T11は、好ましくは、該ガラスの軟化温度よりも低く、特に該軟化温度よりも少なくとも100℃低い。
温度T2は、T1よりも少なくとも150℃低い。T2は、好ましくは、該ガラスのTgよりも低い。好ましい実施形態においては、T2は、少なくとも20℃、更に好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも200℃、特に好ましくは少なくとも220℃である。T2でのイオン移動度を再び無視できるほど小さい値に低下させるために、T2は、高くても400℃、更に好ましくは高くても350℃、より好ましくは高くても300℃であることが好ましい。特に好ましい一実施形態においては、T2は、240℃である。
好ましく行われた増感によって、本発明による好ましい冷却状態がもたらされる。そのために、前記増感は、溶融物からか、またはガラス体に対する後加工としてのT1からT2へのガラスの冷却を含む。従って、前記ガラスは、例えば溶融物から、該当する場合には型中でT1にまで冷却されるか、またはガラス体はT1にまで加熱される。その後に、前記ガラスは、適用できるならば、T2から室温へと冷却される。
一実施形態においては、前記ガラス体のためのガラスは増感の間に定常的に温度T1からT2にまで冷却される。「定常的に」とは、本明細書においては、ガラスをある一定の温度レベルに維持することなく、T1からT2へと連続的に冷却されることを意味する。特に、それは、実質的に一定な冷却速度での冷却を意味する。T2から室温へと更に冷却される場合、この更なる冷却を定常的に行うこともできる。室温は好ましくは20℃である。
もう一つの実施形態においては、前記ガラスは、増感の間に種々の冷却段階を経過する。これにより、前記ガラスは、好ましくは温度T1から温度T1.1へと冷却され、次いで温度T1.2等へと冷却される。これにより、前記ガラスは、少なくとも2つの中間段階を介して、特に少なくとも3つの中間段階を介して、特に好ましくは少なくとも4つの中間段階を介して温度T2へと冷却されることが好ましい。しかしながら、好ましくは、前記ガラスは、多くても7つの中間段階を介して、更に好ましくは多くても6つの中間段階を介して、特に好ましくは多くても5つの中間段階を介して冷却される。そのような実施形態においては、前記ガラスは、少なくとも1つの冷却炉に通過させることによって冷却することができる。これは、連続的な処理を可能にする。好ましくは、増感は、冷却を保証するための種々の温度の帯域にガラスを導くようにして行われる。そこではこの冷却様式は、場合により、しかし必ずしもそうではないが、該ガラスの温度もそれぞれの段階の温度に保つことを意味する。むしろ、温度段階内のガラスの温度は、この段階の温度にゆっくりと適合されてよく、次いで後続段階中に移動されてよい。これは、冷却シーケンスとして、冷却ライン上に複数の温度帯域を使用することによって実現できる。
種々の冷却段階を通過するときに、ガラスは、好ましくは所定の温度段階で10分〜40分にわたり保持される。前記温度段階は、好ましくは、少なくとも5℃、特に少なくとも10℃の、特に高くても50℃の間隔を有する。これにより、前記ガラスは、それが後続の温度段階に移行する前に、それぞれの段階の温度に必ずしも達していなくてもよい。
前記ガラスの増感は、このように、本発明の方法における一つの加工ステップとして行うことができ、従ってその際に初期温度T1には、型中でのガラスの冷却によって到達されるか、または前記増感は、個別の後加工ステップとして、つまりプレス成形されたガラス体を初期温度T1に再加熱し、次いで制御しながらT2へと冷却するように行われる。
増感の前には、本発明のガラスの結晶化傾向は、増感後ほどは顕著ではない。
本明細書において増感が論じられるとき、これは、ガラスの露光前に行われる加工ステップを常に意味する。露光後の熱処理ステップは、本明細書においては文献に合わせて「強化」と呼ぶ。
前記ガラスの冷却状態は、増感によって調整される。これにより、該ガラスの密度も基礎を成す結晶系の密度に到達する。該ガラスはより密になる。これは、質量密度と屈折率の両方に関連する。前記ガラスは、好ましくは546.1nmおよび25℃での屈折率ηd少なくとも1.500、特に高くても1.600を有する。更に、前記ガラスは好ましくは、少なくとも2.35g/cm3の、更に好ましくは少なくとも2.36g/cm3の質量密度を有する。好ましい実施形態においては、前記密度は、2.4g/cm3未満、好ましくは2.39g/cm3未満である。高密度は、結晶成分の拡散抑制のため、露光および強化後により小さい微結晶の形成をもたらすが、該結晶の密度がより密な密度に至るほど、不所望な非選択的な結晶化の危険性も高くなる。特に示されていないか、または当業者にとって機械的に明らかでない限り、本明細書における測定は、25℃の温度および101.325kPaの気圧で行われる。
前記ガラスは、好ましくは、少なくとも600℃、特に少なくとも650℃の軟化点を有する。好ましくは、前記軟化点は、高くても750℃であり、特に高くても700℃である。
前記のように、前記ガラスは、比較的酸化的に溶融される。これにより、成分セリウムはまた、その四価の酸化状態で存在する。しかしながら、その四価の酸化状態は、前記の核形成の反応(式I)に加わらない。増感によってセリウムの三価の酸化状態の割合が前記ガラス中に増えることを確認できる。Ce3+は、約314nmで吸収を示す、従って紫外に吸収を示す。該ガラスが露光に際して十分な核を形成するためには、本発明によれば、前記ガラスが、1mmの厚さで314nmの波長で50%以下の透過率を有することが好ましい。この波長での透過率が50%より高ければ、このことは、前記ガラス中のCe3+の濃度が露光に際して十分な核を形成することを惹起するのに十分でないことを意味する。
特に好ましくは、1mmの厚さで314nmの波長での透過率は、40%以下であり、更に好ましくは39%以下である。それにもかかわらず、この波長での吸収は、紫外線が深い構造を実現できるほど十分に深くガラスに入り込みうるように高すぎるべきではない。これに関しては、1mmの厚さで314nmの波長での透過率は、好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、または少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも35%であるべきである。該透過率は、特に内部透過率、従って反射の影響を含まないガラスの透過率である。一例のガラスの透過率は、図4に波長に応じて示されている。
これを実現するために、前記ガラスにおけるセリウムの量が制限されることは、本発明によれば好ましい。セリウムの含量は、ガラス体の厚さに応じて選択されるべきである。好ましい実施形態においては、前記ガラス中のセリウムの含量は、ガラスの厚さ1ミリメートル当たり多くとも4×10-3cat%の量に制限される。更に、ガラスの厚さ1ミリメートル当たり多くとも3×10-3cat%の値が好ましい。しかしながら、セリウムの量が必要な核の形成を惹起するのに十分であるためには、ガラスの厚さ1ミリメートル当たり少なくとも2×10-3cat%の最低セリウム量に定めるべきである。好ましくは、本発明のガラス体は、少なくとも1mmの、更に好ましくは少なくとも3mmの、特に好ましくは少なくとも5mmの厚さで存在する。しかしながら、その厚さは、好ましくは20mmの値を超過せず、更に好ましくは15mmの値を超過しない。前記ガラス体は、好ましくはガラス製のブランクであり、特に積層物または層複合集成体ではない。そのガラス体は、好ましくは本明細書に記載されるガラスからなるものであり、特にセラミックまたはガラスセラミックからなるものではない。
好ましくは、本発明のガラス体は、その最も広い部位で、少なくとも4インチの、更に好ましくは少なくとも5インチの、より好ましくは少なくとも6インチの、特に少なくとも7インチの直径を有する。本発明の方法は、先行技術と比較してそのように大きい寸法を可能にする。一般的な方法では、型のサイズはより小さい寸法に制限される。それというのも、さもなくば冷却を結晶化を避けるのに十分に素早く行うことができないからである。それにもかかわらず、本発明によればまた、最大のサイズは、好ましくは15インチまでに、好ましくは12インチまでに、特に好ましくは10インチまでに制限される。一実施形態においては、前記型は、溶融物の素早すぎる急冷を避けるために加熱されてもよい。
前記ガラスの利点は、該ガラスが連続的製造法で製造できることである。好ましくは、混合物の溶融は容器内で行われる。その容器から、該ガラス溶融物は好ましくは、清澄ステップが行われる清澄容器に至る。該清澄容器から、該ガラス溶融物は好ましくは撹拌機を備えてよい坩堝、特に白金坩堝に至る。前記ガラス溶融物は該坩堝内で均質化される。撹拌することによって、特に高い均質性が実現できる。坩堝から溶融物を型中に移動することができる。
連続的製造法を用いると、すじの発生を劇的に減らせるため、特に高い均質性を有するガラスを得ることができる。透過率、密度および屈折率に関する特に小さい増減は、そのような高い均質性から生ずる。好ましくは、前記ガラスは、260nmおよび/または280nmの波長で透過率の標準偏差が、それぞれの透過率の平均値の、高くても15%、更に好ましくは高くても10%、更に好ましくは高くても7%、更に好ましくは高くても5%、更に好ましくは高くても4%、更に好ましくは高くても3%、なおも更に好ましくは高くても2%、特に好ましくは高くても1%、なおも更に好ましくは高くても0.8%、なおも更に好ましくは高くても0.5%、なおも更に好ましくは高くても0.4%、なおも更に好ましくは高くても0.2%であるような均質性を有し、その際、平均値および標準偏差は、多くても100の、好ましくは多くても60の、更に好ましくは多くても40の、更に好ましくは多くても30の独立して測定された値から決定される。好ましくは、平均値および標準偏差は、少なくとも5の独立して測定された値から、より好ましくは少なくとも10の独立して測定された値から、より好ましくは少なくとも15の独立して測定された値から決定される。好ましい実施形態においては、平均値および標準偏差は、50の独立して測定された値から、より好ましくは40の独立して測定された値から決定される。前記独立して測定された値は、ガラスの種々の位置で透過率を測定することによって得られる。好ましくは、任意の2つの隣り合う測定位置の間の距離は、少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも5mm、更により好ましくは少なくとも10mmである。当業者は、測定された値の群に基づきどのように標準偏差を決定するかを認識している。標準偏差は、個々の測定された値の測定値の平均値からの偏差平方和の平方根であって、前記和が平方根計算の前に測定値から1を引いた値の数によって除算されたものに相当する。
試料厚さ1mmにおける260nmでの透過率値は、少なくとも0.2%、更に好ましくは少なくとも0.5%、更に好ましくは少なくとも1%、更に好ましくは少なくとも1.2%、更に好ましくは少なくとも1.5%、更に好ましくは少なくとも1.8%、更に好ましくは少なくとも2%、更に好ましくは少なくとも2.5%である。好ましくは、試料厚さ1mmにおける260nmでの透過率値は、高くても5%、更に好ましくは高くても4%、更に好ましくは高くても3.5%、更に好ましくは高くても3%である。試料厚さ1mmにおける280nmでの透過率値は、好ましくは少なくとも8%、更に好ましくは少なくとも9%、更に好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも11%、更に好ましくは少なくとも12%、更に好ましくは少なくとも13%、更に好ましくは少なくとも15%、更に好ましくは少なくとも16%である。好ましくは、試料厚さ1mmにおける280nmでの透過率値は、高くても30%、更に好ましくは高くても25%、更に好ましくは高くても20%である。
260nmおよび280nmの波長でさえ、好ましくはそのような低い透過率の増減にしか至り得ないことは注目に値するものである。それというのも、これはちょうど紫外端にあるため、こうして一般的により高い標準偏差が予想されるはずだからである。更に、これらの波長は、Ce3+の吸収領域と少なくともわずかしか重なり合っていないので、その透過率の小さい増減は、ガラス内の均質分布のための良い指標である。
透過率の測定は、好ましくはガラスの品質試験のために使用することができる。それというのも、透過率値においてわずかに小さいずれしか生じないからである。更に、光学的焦点調節の改善の可能性のため、屈折率の小さな増減は、好ましくはガラス体の露光を、それぞれ焦点レーザを介して、その表面領域または近表面領域だけでなく、ガラス体内の深部でも可能にする。前記ガラスの高い均質性は、好ましくは、より均一なエッチング速度がエッチングプロセスの間に存在するということももたらし、それはまた、エッチングの誤りが減るため、より正確に得られる構造を生ずることができる。更に、より均一なエッチング速度によって、好ましくはエッチングにより引き起こされたすじの発生も減らされる。すじの少ない製造は、指摘された方法の利用可能性を促す。
連続的方法での製造のため、1つのガラス片内部の前記均質性が高められるだけでなく、異なるバッチ間の均質性も高められる。
本発明により製造されるガラス体は、切断法で、特にソーイング法によって複数のガラスウェハへと切断でき、それらは引き続き研削および/または研磨されうる。特に好ましい切断法は、ワイヤソーイング法、特にマルチワイヤソーイング法、例えばマルチワイヤスライス(MWS)法である。好ましい切断材は鋼線である。好ましい実施形態においては、粗製ガラスと鋼線との間の内部媒質はエメリー粉である。そのような実施形態においては、該内部媒質の粒度は、好ましくは100米国標準メッシュ(US standard mesh)から300米国標準メッシュの間の範囲、より好ましくは150米国標準メッシュから250米国標準メッシュの間の範囲、より好ましくは約200米国標準メッシュである。好ましくは、切断速度は、2mm/hから20mm/hの間の範囲であり、より好ましくは4mm/hから15mm/hの間の範囲であり、更により好ましくは6mm/hから10mm/hの間の範囲である。その切断速度が非常に遅い場合、切断はあまり効率的ではない。その切断速度が非常に速い場合、ガラスは割れることがあるか、または切断ワイヤがちぎれることがある。
好ましくは、前記切断されたガラスウェハは、場合により研削および研磨の後に、325cm2の面積において、厚くても30μmの、更に好ましくは厚くても20μmの、更に好ましくは厚くても15μmの、更に好ましくは厚くても10μmの、更に好ましくは厚くても8μmの、更に好ましくは厚くても5μmの全体厚みムラ(TTV)を有する。もちろん、より小さい面積では、例えば180cm2の面積では、好ましくは、ますます示されたTTVに達する。
ガラス溶融物の酸化還元状態の調節のために、使用される原材料が重要である。以下のリストは、適切な溶融条件を調節するためにそれぞれ好ましくは使用される原材料を示している。しかしながら、当業者であれば、酸化還元条件を調整するための他の措置も認識している。
前記の原材料に加えて、該溶融物の酸化還元分布の調整のために他の措置を適用することもできる。例えば、本発明の一実施形態においては、酸化性ガスを前記溶融物中に導入することができる(バブリング)。更に、前記溶融物の温度は、その酸化還元状態のために重要である。特に、高い溶融温度は、還元的な溶融条件をもたらす。
Figure 0006403715
前記ガラスにおける所望のアニオンの組成に応じて、それぞれのハロゲン化物イオンを使用してもよい。しかしながら、本発明によれば、該ガラスができる限り少ない割合のハロゲン化物イオンしか含まないことが好ましい。
本発明は、また本発明のガラス体の光構造化のための方法を含む。該光構造化の方法は、特に、本明細書に記載されるガラスを含む、特に該ガラスからなるガラス体を露光および構造化するステップを含む。露光は、好ましくは、実質的に前記ガラスにおけるCe3+の吸収極大に相当する波長で行われる。この波長は、紫外領域、特に300nmから320nmの間の波長、特に310nmである。露光の間に、露光されるべきでない領域は、好ましくはマスクで覆われる。
紫外光露光の線量は、十分な光構造化を保証するのに十分に高い必要がある。紫外線露光は、好ましくは0.1J/cm2より高い線量で行われる。更に好ましくは、前記線量は、少なくとも1J/cm2であり、更に好ましくは少なくとも3J/cm2であり、更に好ましくは少なくとも5J/cm2、更に好ましくは少なくとも7J/cm2、なおも更に好ましくは少なくとも10J/cm2である。しかしながらまた、前記線量は、高すぎるべきではない。好ましくは、前記線量は、高くても100J/cm2、更に好ましくは高くても50J/cm2、なおも更に好ましくは高くても25J/cm2である。
好ましくは、本発明により好ましい線量で十分な結晶化のために必要とされる露光時間は、長くても20分間、更に好ましくは長くても15分間、更に好ましくは長くても10分間、更に好ましくは長くても5分間である。
好ましい一実施形態においては、前記露光はレーザで行われる。好ましくは、前記レーザはパルスレーザである。好ましくは、前記レーザは、ナノ秒レーザ、更に好ましくはピコ秒レーザ、なおも更に好ましくはフェムト秒レーザである。多光子吸収は、可視領域における長い波長での作業を可能にし、またはより好ましくは赤外領域における長い波長でさえも作業を可能にし、その範囲では、前記ガラスは特に高い透過率を有するため、該ガラスをかなりの深さで露光することができる。紫外領域における成分、例えばCe3+の励起は、そのような実施形態においては、好ましくは、レーザが集束される領域において非常に優先的に生ずる。非常に特に好ましくは、前記レーザは、チタン:サファイヤ−フェムト秒レーザである。レーザによる露光は、好ましくは更に、後続のエッチングステップにおいて、特に微細な構造の生成を可能にし、および/またはガラス体内部の特に深いところにある構造の生成を可能にする。
本発明の方法により製造されたガラスの、特に透過率に関する、および屈折率に関する高い均一性は、好ましくは、ガラス体内のかなり深くでも露光を可能にする。露光は、好ましくは、集束短パルスレーザまたはUV源、例えばUVランプもしくはUVバーナーで行われる。好ましくは、露光深さは、少なくとも0.5mm、更に好ましくは少なくとも1mm、更に好ましくは少なくとも2mm、更に好ましくは少なくとも5mm、更に好ましくは少なくとも10mm、更に好ましくは少なくとも15mm、更に好ましくは少なくとも20mmである。好ましくは、露光深さは、更に50mm以下であり、更に好ましくは100mm以下であり、更に好ましくは200mm以下であり、更に好ましくは300mm以下であり、更に好ましくは500mm以下であり、更に好ましくは1000mm以下であり、なおも更に好ましくは2500mm以下である。しかしながら、短パルスレーザの焦点は、露光深さが大きくなるにつれて、より長くなるか、またはぼやけることを考慮する必要がある。従ってまた、集束短パルスレーザでの露光は、大きすぎる深さで行われるべきでない。露光深さは、好ましくは露光に依存した結晶化の深さを介して決定される。測定は側面について行われる。ガラス体はその全表面が紫外線照明で露光される。次いで、そのガラス体は強化されることで、露光された部分が結晶化される。次いで、試料を半分に切断し、開裂部を側方から調査する。好ましくは、開裂表面の研磨が必要となることを避けるために浸漬油が使用される。次いで露光深さは、顕微鏡で測定される。結晶化の境界はこの方法によって明らかに認識することができる。
特に好ましくはアンダーカット構造を生成することができる。このために、好ましくは、ガラス体への侵入深さの点で異なる種々のUVレーザが使用される。従って、前記ガラス体は種々の深さで種々の線量で露光することができる。実際の構造化は後続のエッチングステップで行われるので、好ましくは既に2回の、更に好ましくは単一回の露光でさえも十分であり、こうして、好ましくは1m/sの、より好ましくは少なくとも5m/sの、更により好ましくは少なくとも10m/sの高い露光速度を実現できる。好ましくは、ウェハは、12時間未満で、より好ましくは6時間未満で、より好ましくは3時間未満で、より好ましくは2時間未満で、より好ましくは1時間未満で加工することができる。既に構造化されたエレメントの段階的セラミック化によって、好ましくは予め決められた破断点を生成することもできる。
露光されたガラス体の構造化は、好ましくはエッチングを介して、特にHFを含有するエッチング溶液で行われる。エッチング溶液中のHFの濃度は、好ましくは水中5質量%から20質量%の間である。特に好ましくは、エッチング溶液中のHFの濃度は、10質量%である。構造化によって、先行技術と比較して、構造深さとアスペクト比に関してより良好であるが、少なくとも同等の構造を有する構造化されたガラス体が得られる。
本発明によるガラスで得られる構造化されたガラス体における構造深さは、好ましくは0.1mm以下、更に好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.5mm以下、より好ましくは1mm以下、より好ましくは2mm以下、より好ましくは3mm以下、更により好ましくは4mm以下、非常に特に好ましくは5mmである。「構造深さ」は、本発明によれば、エッチング方向における結晶化領域と非結晶化領域との間の高さ差として理解される。
「アスペクト比」は、本発明によれば、構造の深さとその幅との間の比として理解される。もちろん、大きなアスペクト比が可能である場合が好ましい。本発明のガラスでは、80以下対1、好ましくは60以下対1、より好ましくは50以下対1、特に好ましくは40以下対1を達成することができる。好ましくは達成できるアスペクト比は、少なくとも10対1であり、更に好ましくは少なくとも15対1であり、更に好ましくは少なくとも20対1である。
露光波長でのガラスの透過率は、特に大きな構造深さを達成できるようにできる限り高いべきである。従って、透過率に関して上述したパラメータは、大きな構造深さが望まれる場合に観察されるべきである。露光波長での透過率に関しては、Ce3+の量がなかでも重要である。
露光の後であり構造化の前に、構造化されるべきガラス体は好ましくは強化される。強化は、露光の間に形成された核の周りの結晶形成を誘発するために用いられる。この目的のために、構造化されるべきガラス体は、結晶の形成を可能にするとともに、該ガラスのガラス転移温度を特に上回る温度に加熱される。この温度は、好ましくは少なくとも400℃、更に好ましくは少なくとも455℃、更に好ましくは少なくとも500℃、更に好ましくは少なくとも550℃である。更に、この温度は、好ましくは650℃の値を超過すべきでなく、更に好ましくは600℃の値を超過すべきでなく、特に好ましくは580℃の値を超過すべきでない。殊に好ましくは、この温度は、555℃から565℃までの範囲であり、更により好ましくは該温度は560℃である。エッチング比は高い温度ではより高くなりうるけども、示された好ましい強化温度は、強化温度が非常に高い場合に、結晶化はより大きな規模で露光されなかった領域でも生じうるにもかかわらず好ましい。更に、この温度範囲におけるある一定の保持時間は、所望のサイズの十分な結晶が形成されうるように維持すべきである。その保持時間は、好ましくは少なくとも10分間である。一般的に、低すぎる温度で、または短すぎる保持時間では、十分な結晶は形成せず、かつ結晶成長は、高すぎる温度または長すぎる保持時間ではかなり顕著すぎるので、特に大きな結晶が得られる。大きな結晶は、それらが比較的高い粗さを有する構造化された表面に導くため不利である。このように、小さな結晶が好ましい。特に好ましくは、エッチング過程の後に、その表面は、1000nm未満の、更に好ましくは100nm未満の、更に好ましくは50nm未満の、更に好ましくは20nm未満の、更に好ましくは10nm未満の、更に好ましくは5nm未満の、更に好ましくは3nm未満の、更に好ましくは1nm未満の粗さRaを有する。好ましくは、その粗さは、接触式表面計で測定される。特に好ましくは、その粗さは、BRUKER社製のDektak XT(商標)触針式表面計で測定される。
エッチング速度は、エッチング溶液によるガラス体の表面からの除去を説明するものである。エッチング速度の単位は、μm/分である。表面の構造化は、事前に紫外線で露光された領域においては未露光の領域よりも高いエッチング速度によって達成される。好ましくは、未露光領域におけるエッチング速度は、高くても5μm/分であり、より好ましくは高くても2μm/分であり、より好ましくは高くても1μm/分であり、更により好ましくは高くても0.5μm/分である。露光された領域において、エッチング速度は、少なくとも10μm/分であり、より好ましくは少なくとも20μm/分であり、より好ましくは少なくとも30μm/分であり、より好ましくは少なくとも40μm/分であり、更により好ましくは少なくとも50μm/分である。
エッチング比は、露光された領域におけるエッチング速度の、未露光の領域におけるエッチング速度に対する比率である。好ましくは、エッチング比は、少なくとも10対1であり、より好ましくは少なくとも20対1であり、より好ましくは少なくとも30対1であり、より好ましくは少なくとも40対1であり、更により好ましくは少なくとも50対1である。
本発明によるガラスの好ましい増感により、特にかなり明白な結晶相が形成される。確かに露光された領域においては、純粋なセラミックではなくて、ガラスと結晶(ガラスセラミック)の混合物である。しかしながら、このガラスセラミック相における結晶の割合は、本発明によれば特に高い。本発明の結晶化されたガラス体においては、ガラスセラミック相中の結晶の割合は、好ましくは少なくとも10容積%、更に好ましくは少なくとも20容積%、より好ましくは少なくとも40容積%、特に好ましくは少なくとも60容積%である。しかしながら、前記ガラスセラミック相における結晶の割合は、100容積%よりも小さい。
本発明のガラス体の構造化のための方法の一実施形態においては、事前に本発明の熱間成形法において形成されたガラス体が使用される。そのような方法は当業者に公知である。しかしながら、それらの方法は、先行技術の光構造化可能なガラスで実施することはできなかった。それというのも、これらの方法の全ては、ガラスの結晶化に好ましい温度で実施する必要があるからである。しかしながら、本明細書で使用されるガラスは、「非感受性」状態で熱間成形法に供することができ、それに引き続いてのみ増感できる。熱間成形の間に、本発明のガラスの結晶化傾向は、結晶化が生ずるほど顕著ではない。更に先に記載された増感に際してのみ、結晶化傾向は、光構造化が可能になるように高められる。
従って、本発明により好ましい方法は、
・ まずはガラスを溶融させるステップ、
・ 引き続き熱間成形するステップ、
・ 熱間成形の間にガラスを増感するステップ、または引き続き
・ 前記のように引き続き構造化するステップ
を含む。
耐久性、構造深さ、アスペクト比および内部品質に関して優れた特性を有する構造化されたガラス体は、次いで前記ガラスから得られる。
特に好ましい構造は、貫通孔である。貫通孔は、ガラス体の全厚さを通じて延びた孔である。好ましくは、貫通孔は、実質的に円柱形状を有し、その際、該円柱の高さは、ガラス体の厚さに相当する。貫通孔の直径は、該孔の高さ軸に対して垂直に測定した場合の該孔の対向している縁部の最も長い距離である。該貫通孔の形状は、円柱形状から外れてもよい。例えば、該貫通孔は実質上立方体形状を有してよい。しかしながら、該貫通孔の直径は、如何なる場合にも、該孔の高さ軸に対して垂直に測定した場合の該孔の対向している縁部の最も長い距離として定義される。好ましくは、該貫通孔の直径は、検鏡法により測定される。好ましい一実施形態においては、大きくても500μmの、更に好ましくは大きくても250μmの、更に好ましくは大きくても100μmの、更に好ましくは大きくても50μmの、更に好ましくは大きくても35μmの、更に好ましくは大きくても30μmの、なおも更に好ましくは大きくても20μmの、なおも更に好ましくは大きくても10μmの直径を有する貫通孔を得ることができる。好ましくは、孔の中心の距離が孔径の大きくても1.5倍の値を有するほど互いに近づいている孔を得ることができる。更に好ましくは、その距離は、孔径の大きくてもたった1.3倍であり、更に好ましくは大きくても1.2倍であり、なおも更に好ましくは大きくても1.1倍である。好ましくは、孔は、30μmの計画孔径と500μmのガラス厚さで、前記計画孔径からのずれが、大きくても30μm、より好ましくは大きくても15μmであり、より好ましくは大きくても10μmであり、より好ましくは大きくても5μmであり、より好ましくは大きくても2μmであり、より好ましくは大きくても1μmであり、更により好ましくは大きくても0.5μmであるような精度で生成できる。そのような精度のため、本発明のガラス体における個々の貫通孔の直径のずれは、30μmの計画孔径と500μmのガラス厚さで、好ましくは、大きくても30μm、より好ましくは大きくても15μmであり、より好ましくは大きくても10μmであり、より好ましくは大きくても5μmであり、より好ましくは大きくても2μmであり、より好ましくは大きくても1μmであり、更により好ましくは大きくても0.5μmである。好ましくは、前記計画孔径から非常に低いずれしか有さない貫通孔であって、該計画孔径からの標準偏差が大きくても5μmであり、更に好ましくは大きくても3μmであり、更に好ましくは大きくても2μmであり、更に好ましくは大きくても1μmであり、更に好ましくは大きくても0.5μmであり、更に好ましくは大きくても0.2μmであり、なおも更に好ましくは大きくても0.1μmである貫通孔を得ることができる。更に、30μmの計画孔径および500μmのガラス厚さで、好ましくは、傾斜角が5°より小さく、より好ましくは2°より小さく、更により好ましくは1°より小さく、特に好ましくは0.5°より小さい貫通孔を得ることができる。前記傾斜角は、貫通孔の長手方向の、ガラス体の表面に対して垂直方向からのずれを説明するものである。
本発明により製造されるガラス体は、切断法で、特にソーイング法によって複数のガラスウェハへと切断でき、それらは引き続き研削および研磨されうる。そのようなガラスウェハは、好ましくは、大きくても10mmの、更に好ましくは大きくても5mmの、より好ましくは大きくても2mmの、より好ましくは大きくても1mmの、特に好ましくは大きくても500μmの、より好ましくは大きくても300μmの厚さを有する。
本発明のガラスは、マイクロ流体技術の分野に利用することができる。例えば、試料を該光構造化されたガラス体内部で分析することができる。この目的のために、ガラスが赤外線に対して良好な透過性を有することが好ましい。赤外線を使用して、種々の定性的および定量的な微視的検出を行うことができる。本発明によれば、本発明のガラスが900nmの波長および1cmの厚さで少なくとも70%の透過率を有することが好ましい。
更に、前記ガラスは、好ましくは400nmから800nmまでの可視光領域で透過性である。つまり、好ましくは、厚さ1cmにおいて400nmから800nmまでの全波長領域でのガラスの内部透過率は、常に少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%である。
本発明のガラス体は、種々の用途において構造化された状態で、および/または構造化されていない状態で使用することができる。本発明によれば好ましいのは、
1. 微細技術における構成要素における、またはその構成要素としての、
2. 微細反応技術における構成要素における、またはその構成要素としての、
3. 電子工学のパッケージングにおける構成要素における、またはその構成要素としての、
4. マイクロ流体構成要素のための、
5. FEDスペーサーにおける、またはFEDスペーサーとしての、
6. バイオテクノロジーのための(例えばタイタープレート)、
7. インターポーザとしての、
8. 三次元構造化可能なアンテナにおける、または三次元構造化可能なアンテナとしての、
使用である。
好ましくは、本発明のガラス体は、以下の分野
a. マイクロ流体技術/バイオテクノロジー、例えば
i. ラボオンチップ/臓器チップ、
ii. マイクロミキサー、
iii. マイクロリアクター、
iv. プリンタヘッド、
v. タイタープレート、
iv. チップ電気泳動、
b. 半導体、例えば
i. 論理回路/集積回路、
ii. メモリ、
iii. 接触式イメージセンサ、
iv. 電界発光ディスプレイ(FED)スペーサー、
v. 集積能動素子(IPD)、
vi. コンデンサ、
vii. インダクタ、
viii. 抵抗体
c. センサ、例えば
i. 流量センサ/温度センサ、
ii. ジャイロスコープ/加速度計、
d. 無線周波数微細電子機械システム(RF/MEMS)、例えば
i. アンテナ、
ii. コンデンサ、
iii. フィルタ/デュプレクサ、
iv. スイッチ、
v. オシレータ、
e. 電気通信、例えば
i. 光軸調整チップ、
ii. 光学的導波路、
iii. 光学的相互接続
における基板またはガラス回路基板(GCB)として使用することができる。
本発明によれば、本発明のガラス体は、構造化されたガラス体の製造方法においても使用される。
以下の表は、本発明により使用されるガラスの組成(cat%)を示している。表されたガラスの全ては酸化物系であり、つまりは酸素ではないアニオンの割合は多くても2アニオン%である。
第1表 − ガラスの例(cat%)
Figure 0006403715
例1
ガラスB1を型中でプレス成形することによって、厚さ15mmを有するガラス体を製造した。そのために、溶融物は前記型中で、990℃から600℃の間の温度範囲を11分間以内で通過するように冷却した。引き続いての増感によって、該ガラスを、500℃から240℃への80℃/hの平均冷却速度での冷却に相当する冷却状態に調整した。該ガラスをソーイングし、研削し、そして研磨し、こうして0.5mmの厚さへと調節した。該ガラスの様々な位置で、透過率を280nmの波長で測定した。40の測定を行い、透過率の平均値は30%であった。該ガラスは、透過率の標準偏差が、透過率の平均値のたった約0.4%であるほど均質であった。
前記ガラス体を、320nmで10J/cm2の線量を有する紫外光で露光した。40μmの直径と60μmの孔中心の距離を有する複数の貫通孔の生成のために、露光されるべきでない領域をマスクで覆った。引き続き、前記ガラス体を580℃の温度で1時間にわたり強化した。エッチングステップは、10%HF溶液中で室温において行った。エッチング比は47対1であった。約40μmの平均径を有する貫通孔が得られ、その際、孔径の標準偏差は1μm未満であった。
例2
ガラス体を、例1に記載されるようにして製造し、露光した。しかしながら、強化温度は、そのエッチング速度に対する影響を調査するために変動させた。最も高いエッチング比は、580℃の強化温度で得られる。
例3
ガラス体を、例1に記載されるようにして製造し、加工した。しかしながら、計画孔径を変動させた。標準偏差は計画孔径とは無関係であることが分かった。
例4
ガラスB2を型中でプレス成形することによって、厚さ45mmを有するガラス体を製造した。そのために、溶融物は前記型中で、990℃から600℃の間の温度範囲を8分間以内で通過するように冷却した。引き続いての増感によって、該ガラスを、550℃から300℃への40℃/hの冷却速度での冷却に相当する冷却状態に調整した。該ガラスは、280nmの波長での50の測定において、透過率の標準偏差が、それぞれの透過率値のたった約0.5%であるほど均質であった。
該ガラス体を、波長960nmを有する赤外フェムト秒レーザで露光した。その線量は、0.2J/cm2であった。前記ガラスは、焦点合わせが20mmの深さで可能であるほど均質であった。90分間のエッチング後に、500μmの直径および20mmの深さをそれぞれ有する2つの入口開孔を有し、その開孔同士が20mmの深さで一方の入口孔からもう一方の入口孔まで延びた100μmの直径を有するチャネルによって連結されているガラス体が得られた。
例5
本発明のガラス体を幾つかの部分に分けて、幾つかの試料を得た。その試料の幾つかは未処理のままにし、比較例として用い、その一方で他の試料は増感ステップに供した。280nmでの透過率における増加は、増感されていない比較例と比べて増感された試料において検出された。透過率の増加は、増感の間の温度T1のレベルと確実に相関していることが判明した。
例6
透過率特性に対するアンチモンの影響を測定するために、アンチモン含量に関してのみ異なる本発明の2種類のガラスを比較した。アンチモン含量は、それぞれ0.15cat%および0.2cat%であった。透過率は、より高いアンチモン含量の場合は、1mmの厚さのガラス体において260nmの波長で1.2%であった。それに対して、驚くべきことに、より低いアンチモン含量の場合は、1mmの厚さのガラス体において260nmでの透過率は、1.9%であることが判明した。紫外領域における透過率のこの増加によって、十分な結晶化のために必要とされる露光時間は、より高いアンチモン含量を有するガラスにおける14分間から、より低いアンチモン含量を有するガラスにおいて5分間にまで低下された。より厚いガラス体では、達成可能な構造深さも、高いアンチモン含量を有するガラスにおける1.7mmから、より低いアンチモン含量を有するガラスにおける3mmにまで増加した。
図1は、ガラスB1の冷却曲線を示している。 図2は、対数プロットされたx軸での冷却曲線を示している。 図3は、ガラスの例の増感の、紫外領域における透過率に対する影響を示している。280nmでの透過率は、1mmの試料厚さで測定した。透過率の相対増加が、増感された試料A〜Cについて、増感されていない比較試料と比べて示されている。試料A〜Cは、増感の間の温度の点で異なっている。温度T1は、試料Aにおいて、試料Bにおけるよりも低く、試料Bにおいては、試料Cにおけるよりも低かった。280nmでの透過率の増加が、温度T1の増大に伴いより顕著であることは明らかである。 図4は、波長に依存する1mmの厚さを有するガラスの例の透過率を示している。 図5は、達成されたエッチング比の強化温度に対する依存性を示している。x軸で強化温度が示され、y軸で達成されたエッチング比が示されている。最も高いエッチング比は、580℃の強化温度で得られる。 図6は、計画孔径に依存する、得られた孔径の標準偏差を示している。その標準偏差は、貫通孔の上側(菱形)と下側(正方形)の両方について示されている。標準偏差(μm)はy軸上に示されている。計画孔径はx軸上に示されている。その結果は、標準偏差が計画孔径とは無関係であることを示している。

Claims (18)

  1. 感光性ガラス体の製造方法であって、
    a. 所望のガラスのための原材料の混合物を準備するステップ、
    b. 該混合物を溶融するステップ、
    c. 該溶融物を型中に移動するステップ、
    d. 該ガラスを該型内でプレス成形してガラス体とするステップ、
    を含み、
    前記溶融物は、それを型中に移動する時点で、1000℃を上回る温度を有し、ここで該溶融物は該型中で、990℃〜600℃の温度範囲を15分未満の時間で通り過ぎるように冷やされ、かつ
    前記ガラスは、Si4+、少なくとも1種の結晶作動体、少なくとも1種の結晶拮抗体および少なくとも1つの成核剤の組を含み、
    − 前記結晶作動体は、Na+、K+およびLi+から選択され、
    − 前記結晶拮抗体は、Al3+、B3+、Zn2+、Sn2+およびSb3+から選択され、
    − 前記成核剤の組は、セリウムと、銀、金および銅の群からの少なくとも1種の剤とを含み、かつ
    前記結晶作動体のモル割合(cat%)はSi4+のモル割合に対して、少なくとも0.3で、かつ高くても0.85であり、
    前記ガラスは、ステップb.および/またはステップc.の後に、10℃/h〜200℃/hの平均冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの冷却に相当する増感ステップに供され、ここで温度T1は、該ガラスのガラス転移温度Tgを少なくとも上回り、かつ温度T2は、T1を少なくとも150℃下回り、
    前記ガラスは、以下の成分(cat%)
    Figure 0006403715
    を有し、前記結晶拮抗体の含量は、少なくとも3.5cat%である、前記方法。
  2. 前記結晶拮抗体の含量は、最大9cat%である、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、該ガラスは、0.02cat%から0.2cat%の間のSb3+を含む、前記方法。
  4. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記ガラスは、前記カチオンに加えてアニオンを含み、ここで、O2-のモル割合は該アニオンに対して少なくとも99%である、前記方法。
  5. ガラス体であって、
    前記ガラス体を構成するガラスは、Si4+、少なくとも1種の結晶作動体、少なくとも1種の結晶拮抗体および少なくとも1つの成核剤の組を含み、
    − 前記結晶作動体は、Na+、K+およびLi+から選択され、
    − 前記結晶拮抗体は、Al3+、B3+、Zn2+、Sn2+およびSb3+から選択され、
    − 前記成核剤の組は、セリウムと、銀、金および銅の群からの少なくとも1種の剤とを含み、かつ
    前記結晶作動体のモル割合(cat%)はSi4+のモル割合に対して、少なくとも0.3で、かつ高くても0.85であり、
    前記ガラスは、10℃/h〜200℃/hの平均冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの冷却に相当する冷却状態を有し、ここで温度T1は、該ガラスのガラス転移温度Tgを少なくとも上回り、かつ温度T2は、T1を少なくとも150℃下回り、
    前記ガラスは、以下の成分(cat%)
    Figure 0006403715
    を有し、前記結晶拮抗体の含量は、少なくとも3.5cat%である、前記ガラス体。
  6. 請求項に記載のガラス体であって、260nmおよび/または280nmの波長での透過率の標準偏差は、透過率のそれぞれの平均値の高くても15%であり、ここで、平均値および標準偏差は、多くとも100の独立して測定された値から決定される、前記ガラス体。
  7. 請求項5又は6に記載のガラス体の、
    − 該ガラス体を紫外光で露光するステップ、
    − 露光されたガラス体を強化するステップ、
    − 該ガラス体をエッチング溶液により構造化するステップ、
    を有するガラスの構造化法における使用。
  8. 請求項に記載の使用であって、少なくとも1mmの露光深さを達成できる、前記使用。
  9. 請求項5又は6に記載のガラス体を露光および強化する工程を含む、結晶化されたガラス体の製造方法。
  10. 請求項5又は6に記載のガラス体を切断する工程を含むガラスウェハの製造方法であって、1mmのウェハの厚さで280nmの波長での透過率値は、少なくとも8%である、前記ガラスウェハの製造方法。
  11. 前記ガラス体を構成するガラスは金を含まない、請求項5又は6に記載のガラス体。
  12. 前記ガラス体を構成するガラスは、260nmおよび/または280nmの波長で透過率の標準偏差が、それぞれの透過率の平均値の、高くても10%であり、平均値および標準偏差は、多くとも100の独立して測定された値から決定される、請求項5、6又は11に記載のガラス体。
  13. 前記ガラス体を構成するガラスの試料厚さ1mmにおける260nmでの透過率値が、少なくとも0.2%であり、かつ、高くても5%である、請求項5、6、11又は12に記載のガラス体。
  14. 前記ガラス体を構成するガラスの試料厚さ1mmにおける280nmでの透過率値が、少なくとも8%であり、かつ、高くても30%である、請求項5、6、11、12又は13に記載のガラス体。
  15. 前記ガラス体を構成するガラスが、546.1nmおよび25℃での屈折率ηd少なくとも1.500を有する、請求項5、6又は11から14までのいずれか1項に記載のガラス体。
  16. 前記結晶拮抗体の含量は、最大9cat%である、請求項5、6又は11から15までのいずれか1項に記載のガラス体。
  17. 前記ガラスが、20℃/h〜200℃/hの平均冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの冷却に相当する冷却状態を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ガラスが、20℃/h〜150℃/hの平均冷却速度Kでの温度T1から温度T2までの冷却に相当する冷却状態を有する、請求項17に記載の方法。
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