JP6403659B2 - 複合粉末及びその製造方法、並びに電気接点材料及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、複合粉末及びその製造方法、並びに電気接点材料及びその製造方法に関する。
電気接点は、遮断器、開閉器などにおいて電極の開閉動作により、電流を断続させる重要な部品である。電気接点の接点部は、電極を開閉する際にアークが発生して発熱し、数千℃の高温に曝される。そのため、この接点部に用いられる材料(以下、「電気接点材料」という。)は、溶融及び蒸発によって消耗が激しくなると共に、酸化による変質によって通電性能も低下する。また、電気接点の接点部は開極時に室温まで冷却されるため、急激な温度変化によって電気接点材料の内部に熱応力が発生すると共に、閉極時には機械的な衝撃力に電気接点材料が曝される。これらの要因により、電気接点材料の消耗が加速する。したがって、電気接点材料には、消耗を抑える観点から、耐酸化性、機械的耐久性及び導電性(通電性能)が高いことが要求される。
従来、電気接点材料として、Ag−酸化物系電気接点材料が一般に知られている。Ag−酸化物系電気接点材料は、耐酸化性、導電性などに優れたAgを主成分とし、電気接点材料に必要な特性である耐溶着性、耐消耗性などを付加するために、易酸化性金属(以下、「Me」と略す。)の酸化物をAg中に分散させた材料である。MeOの例としては、ZnO、CdO、In、SnO、CuOなどが挙げられる。
しかしながら、Ag−酸化物系電気接点材料に主成分として含有されるAgは高価な貴金属材料であるため、製造コストが上昇するという問題がある。そのため、安価な電気接点材料の開発が望まれている。
Cuは、Agに比べて安価であり且つ導電性が高いため、電気接点材料にCuを用いることが提案されている。また、Cuの酸化を防止するために、Cuと共にグラファイト(黒鉛)を用いることも提案されている。このCu−グラファイト系電気接点材料は、電極の開閉動作の際に、グラファイトが酸化してCOガス又はCOガスを生成し、還元雰囲気などの非酸化雰囲気を生じさせるため、Cuの酸化を防止することができる。また、COガス又はCOガスの生成による体積膨張により、消弧作用を得ることもできる。さらに、グラファイトは、非金属類の中でも良好な導電性を示す物質であるため、電気接点材料の通電性能を高めることができる。
一般に、Cu−グラファイト系電気接点材料は、Cu粉末とグラファイト粉末とを混合して成形することによって製造される。しかしながら、金属であるCu粉末は、非金属であるグラファイト粉末と馴染み難い(すなわち、親和性が低い)ため、成形物にボイド又はクラックなどの欠陥が生じ易い。さらに、Cu粉末又はグラファイト粉末の凝集が発生し易く、電気接点材料の内部組織にバラツキが生じてしまう結果、電気接点材料の通電性能及び機械的耐久性が低下する。
そこで、Cu−グラファイト系電気接点材料の通電性能及び機械的耐久性を向上させるために、グラファイト粉末の表面にCu層をめっき処理によって形成して得られた複合粉末を成形した後、焼結させることによってCu−グラファイト系電気接点材料を製造する方法が提案されている。この製造方法によれば、内部組織を均一にすることができるため、Cu−グラファイト系電気接点材料の通電性能及び機械的耐久性を向上させることができる。
しかしながら、グラファイト粉末の表面にCu層をめっき処理によって形成して得られた複合粉末は、グラファイト粉末とCu層との密着性が依然として十分ではない。そのため、この複合粉末を用いて製造された電気接点材料は、電極の開閉時の衝撃力により、グラファイト粉末とCu層との間の界面に沿ってクラックが進展し、破壊に至る可能性が高い。
そこで、グラファイト粉末とCu層との密着性を改善する方法として、特許文献1には、グラファイト粉末の表面に、Zn層、Sn層、Pb層又は半田層から選ばれる金属中間層(内層)を形成し、金属中間層の表面にCu層(外層)をさらに形成した複合粉末を用いて電気接点材料を製造することが提案されている。
特開平3−146602号公報
しかしながら、特許文献1の複合粉末は、金属中間層とCu層と間の密着性は良好であるものの、グラファイト粉末と金属中間層との間の密着性が十分でない。そのため、この複合粉末から電気接点材料を製造した場合、電気接点材料の機械的耐久性が低くなる。また、特許文献1の複合粉末は、金属中間層が融点及び沸点が低い材料から形成されているため、高温での熱処理が難しい。実際、電気接点材料を製造する際、焼結工程において高温にすると金属中間層が溶融して形状が崩れ易くなり、逆に低温にすると焼結が不十分となって内部にボイドが残り易い。また、この電気接点材料を接点部に用いた場合、アーク発生時の高温環境下で金属中間層が溶融又は揮発してしまい、電気接点材料の溶着又は消耗が激しくなる。
上記のように、グラファイト粉末と金属中間層との間の密着性が不十分な複合粉末を用いて電気接点材料を製造すると、電気接点材料の機械的耐久性、耐溶着性及び耐消耗性が低くなるという問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、金属中間層とCu層との間の密着性だけでなくグラファイト粉末と金属中間層との間の密着性も高い複合粉末及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、機械的耐久性、耐溶着性及び耐消耗性に優れる電気接点材料及びその製造を提供することを目的とする。
本発明者らは、グラファイト粉末の表面に金属中間層を介してCu層が形成された複合粉末について鋭意研究を続けた結果、グラファイト粉末と金属中間層との間及び金属中間層とCu層との間に固溶拡散層を形成することにより、上記の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、グラファイト粉末の表面に金属中間層を介してCu層が形成された複合粉末であって、前記グラファイト粉末と前記金属中間層との間及び前記金属中間層と前記Cu層との間に固溶拡散層が形成されていることを特徴とする複合粉末である。
また、本発明は、グラファイト粉末の表面に金属中間層を形成した後、熱処理を行う工程と、前記金属中間層の表面にCu層を形成した後、熱処理を行う工程とを含む複合粉末の製造方法である。
また、本発明は、前記複合粉末の加圧焼結体からなる電気接点材料であって、前記複合粉末の前記Cu層が前記電気接点材料のマトリックスを形成していることを特徴とする電気接点材料である。
さらに、本発明は、前記複合粉末を加圧成形した後、焼結させることを特徴とする電気接点材料の製造方法である。
本発明によれば、金属中間層とCu層との間の密着性だけでなくグラファイト粉末と金属中間層との間の密着性も高い複合粉末及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、機械的耐久性、耐溶着性及び耐消耗性に優れる電気接点材料及びその製造を提供することができる。
実施の形態1の複合粉末の断面模式図である。 実施の形態2の電気接点材料の断面模式図である。
以下、本発明の複合粉末及びその製造方法、並びに電気接点材料及びその製造方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態の複合粉末の断面模式図である。図1において、複合粉末1は、グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を介してCu層4が形成されている。また、グラファイト粉末2と金属中間層3との間及び金属中間層3とCu層4との間に固溶拡散層5が形成されている。ここで、本明細書において「固溶拡散層5」とは、グラファイト粉末2又はCu層4に含有される原子と、金属中間層3に含有される原子とが相互に拡散した層、又はそれらの原子が相互に溶け合って固溶体となった層のことを意味する。
グラファイト粉末2の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下である。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法による粒度分布測定によって求められる、粒度分布(数分布)における積算値50%での粒子径を意味する。平均粒子径は、市販のレーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
金属中間層3としては、炭素原子及びCu原子と固溶又は拡散することが可能な金属材料から形成されていれば特に限定されず、Cu−グラファイト系電気接点材料に一般に用いられる金属材料から形成することができる。その中でも、電気接点材料を製造する際の焼結工程において金属中間層3の溶融を防止する観点から、金属中間層3は、融点が高い金属材料、特に800℃以上の融点を有する金属材料から形成されることが好ましい。このような金属材料としては、特に限定されないが、V、Co、Fe、Mn、Y、Agなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属中間層3は、単層構造であり得るが、少なくとも2つの層を含む積層構造としてもよい。金属中間層3に用いる金属材料の種類にも依存するが、金属中間層3を積層構造とすることにより、電気接点材料の特性を向上させることができる場合がある。金属中間層3の好ましい積層構造としては、Y層及びAg層からなる2層構造である。
金属中間層3の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.2μm以上2μm以下、より好ましくは0.3μm以上1.8μm以下、さらに好ましくは0.4μm以上1.5μm以下である。
ここで、本明細書において、複合粉末1を構成する各層の厚さは、複合粉末1を埋め込み材樹脂(ポリマー)に添加して固化したサンプルを切断した後、複合粉末1の断面をSEM観察し、EDS元素分析を行うことによって測定することができる。各層の厚さは、5個の複合粉末1で測定し、その平均値を算出すればよい。
Cu層4の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上5μm以下、より好ましくは0.8μm以上4μm以下、さらに好ましくは1.0μm以上3μm以下である。
グラファイト粉末2と金属中間層3との間に形成される固溶拡散層5は、グラファイト粉末2に含有される炭素原子と、金属中間層3に含有される原子とが相互に固溶又は拡散した層である。
非金属であるグラファイト粉末2と金属である金属中間層3とは親和性が低いため、通常、グラファイト粉末2と金属中間層3との間の密着性が低い。しかしながら、グラファイト粉末2と金属中間層3との間に固溶拡散層5を形成することにより、グラファイト粉末2と金属中間層3との間の密着性を拡散接合によって向上させることができる。
金属中間層3とCu層4との間に形成される固溶拡散層5は、金属中間層3に含有される原子と、Cu層4に含有されるCu原子とが相互に固溶又は拡散した層である。
金属中間層3及びCu層4はともに金属であるため、金属中間層3とCu層4との間の親和性が低いというわけではない。しかしながら、金属中間層3とCu層4との間の密着性が十分であるとはいえないため、金属中間層3とCu層4との間に固溶拡散層5を形成することにより、金属中間層3とCu層4との間の密着性を拡散接合によって向上させている。
グラファイト粉末2と金属中間層3との間及び金属中間層3とCu層4との間に形成される固溶拡散層5の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上2μm以下、より好ましくは0.05μm以上1.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
上記のような特徴を有する複合粉末1は、グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を形成した後、熱処理を行う工程と、金属中間層3の表面にCu層4を形成した後、熱処理を行う工程とを含む方法によって製造することができる。
グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を形成する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。この形成方法の例としては、電解めっき、無電解めっきなどの湿式めっき;真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングのような物理気相成長(PVD)、プラズマCVD、熱CVDのような化学気相成長(CVD)などの乾式めっきが挙げられる。これらの方法の中でもイオンプレーティングは、他の方法に比べて、グラファイト粉末2の表面に対する金属中間層3の密着性を高めることができるため好ましい。
イオンプレーティングは、プラズマを利用して蒸発粒子の一部をイオン又は励起粒子とし、活性化して蒸着する方法である。イオンプレーティングは、市販のイオンプレーティング装置を用いて行うことができる。
イオンプレーティングの条件は、使用するイオンプレーティング装置の種類に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、イオンプレーティングを行う際、グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を均一に形成するために、グラファイト粉末2を振動させることが好ましい。また、蒸発源としては、金属中間層3に対応する組成を有する金属板を用いればよい。
例えば、イオンプレーティングは次のようにして行うことができる。まず、イオンプレーティング装置内にグラファイト粉末2を配置する。次に、イオンプレーティング装置内の真空度を3×10−2Pa以下まで下げた後、高周波コイルに100W〜200Wの電力を供給し、蒸発源を600℃〜1000℃に加熱する。この温度範囲に蒸発源を約5分程度保持した後、ターゲットであるグラファイト粉末2に−500V〜−600Vの直流電圧をかける。その後、シャッターを開き、約50nm/分の成膜速度にて10分〜100分間成膜することにより、金属中間層3を形成することができる。
グラファイト粉末2の表面に形成する金属中間層3の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.2μm以上2.5μm以下、より好ましくは0.3μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上1.8μm以下である。
上記のような方法によってグラファイト粉末2の表面に金属中間層3を形成しただけでは、グラファイト粉末2と金属中間層3と間の密着性が十分ではない。そこで、グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を形成した後に熱処理を行うことにより、グラファイト粉末2と金属中間層3との間を拡散接合して密着性を向上させる。このとき、グラファイト粉末2と金属中間層3との間に固溶拡散層5が生成する。
グラファイト粉末2の表面に金属中間層3を形成した後に行われる熱処理の条件としては、金属中間層3に用いる金属材料の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えば、熱処理は、Arガス、Nガスなどの不活性ガス雰囲気下、200℃〜1700℃で2時間程度加熱することによって行うことができる。
具体的には、金属中間層3に用いる金属材料としてVを用いる場合、加熱温度は1300℃〜1700℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてMnを用いる場合、加熱温度は200℃〜700℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてCoを用いる場合、加熱温度は800℃〜1400℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてFe又はYを用いる場合、加熱温度は700℃〜1400℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてAgを用いる場合、加熱温度は600℃〜800℃に設定することが好ましい。
金属中間層3の表面にCu層4を形成する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。この形成方法の例としては、電解めっき、無電解めっきなどの湿式めっき;真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングのような物理気相成長(PVD)、プラズマCVD、熱CVDのような化学気相成長(CVD)などの乾式めっきが挙げられる。これらの方法の中でも、コストなどの観点から、無電解めっき又は電解めっきが好ましい。
Cu層4を無電解めっき又は電解めっきによって形成する場合、使用するめっき浴は、Cu層4を形成し得るものであれば特に限定されない。
Cu層4を無電解めっきする場合、置換Cuめっきを用いることができる。例えば、Cuイオンを含むめっき浴(例えば、ロッセル塩タイプの無電解Cuめっき液、EDTAタイプの無電解Cuめっき液など)に金属中間層3が形成されたグラファイト粉末2を浸漬することにより、金属中間層3の金属が溶解し、その際に放出される電子によってめっき浴中のCuイオンが還元されてCu層4が形成される。
Cu層4を電解めっきする場合、その条件は、Cu層4を形成し得る条件であれば特に限定されない。例えば、硫酸銅200g/L、硫酸40〜60g/L、塩素イオン(Cl)5〜80mg/Lを含むめっき浴に、めっき浴温度60℃、電流密度20A/dm〜40A/dm、粉末投入量5g/dm〜15g/dm、めっき時間10分〜80分として電解めっきを行なえばよい。
金属中間層3の表面に形成するCu層4の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上5.5μm以下、より好ましくは0.8μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上4.5μm以下である。
上記のような方法によって金属中間層3の表面にCu層4を形成しただけでは、金属中間層3とCu層4と間の密着性が十分ではない。そこで、金属中間層3の表面にCu層4を形成した後に熱処理を行うことにより、金属中間層3とCu層4との間を拡散接合して密着性を向上させる。このとき、金属中間層3とCu層4との間に固溶拡散層5が生成する。
金属中間層3の表面にCu層4を形成した後に行われる熱処理の条件としては、金属中間層3に用いる金属材料の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えば、熱処理は、Arガス、Nガスなどの不活性ガス雰囲気下、300℃〜1000℃で2時間程度加熱することによって行うことができる。
具体的には、金属中間層3に用いる金属材料としてVを用いる場合、加熱温度は800℃〜1000℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてMnを用いる場合、加熱温度は300℃〜800℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてCoを用いる場合、加熱温度は800℃〜1000℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてFe又はYを用いる場合、加熱温度は700℃〜1000℃に設定することが好ましい。金属中間層3に用いる金属材料としてAgを用いる場合、加熱温度は400℃〜800℃に設定することが好ましい。
上記のようにして製造される複合粉末1は、固溶拡散層5によって、金属中間層3とCu層4との間の密着性だけでなくグラファイト粉末2と金属中間層3との間の密着性が高い。
本実施の形態の複合粉末1は、上記のような特性を有するため、電気接点材料、カーボンブラシ、摺動材、摩擦材料、耐摩耗材、溶射材料、含油軸受などの各種用途で用いることができる。その中でも、本実施の形態の複合粉末1は、電気接点材料に用いるのに特に適している。
実施の形態2.
図2は、本実施の形態の電気接点材料の断面模式図である。図2において、電気接点材料10は、実施の形態1の複合粉末1の加圧焼結体から構成される。また、この加圧焼結体は、複合粉末1のCu層4が、電気接点材料10のマトリックス11を形成している。
上記のような構造を有する電気接点材料10は、実施の形態1の複合粉末1を加圧成形した後、焼結させることによって製造することができる。
加圧成形時の加圧力としては、特に限定されず、使用する加圧成形装置の種類に応じて適宜調整すればよい。例えば、加圧力は、一般に10MPa以上500MPa以下、より好ましくは15MPa以上300MPa以下、さらに好ましくは30MPa以上100MPa以下である。
焼結時の加熱温度としては、特に限定されないが、好ましくは200℃以上1000℃以下、より好ましくは400℃以上900℃以下、さらに好ましくは600℃以上800℃以下である。
焼結時間としては、特に限定されないが、好ましくは5分以上100分以下、より好ましくは10分以上80分以下、さらに好ましくは15分以上60分以下である。
焼結時の雰囲気としては、特に限定されないが、Cuの酸化を防止する観点から、真空又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
なお、焼結方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の焼結装置を用いて行えばよい。
上記のようにして製造される電気接点材料10は、複合粉末1の最外層であるCu層4が焼結時に溶融して電気接点材料10のマトリックス11となる。この電気接点材料10は、グラファイト粉末2と金属中間層3との間及び金属中間層3とCu層4との間の密着性が高い複合粉末1を用いているため、加圧成形工程及び焼結工程を経ても、グラファイト粉末2と金属中間層3との間及び金属中間層3とCu層4(マトリックス11)との間の密着性が確保される。そのため、電気接点材料10にクラック又はボイドなどの欠陥が発生し難く、電気接点材料10の機械的耐久性、耐溶着性及び耐消耗性を向上させることが可能となる。
以下、実施例及び比較例によって本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
まず、下記の実施例1−1〜1−5では、金属中間層の種類を変えて実験を行った。
(実施例1−1)
平均粒子径が20μmのグラファイト粉末(100g〜500g)をイオンプレーティング装置内に配置した。次に、イオンプレーティング装置内の真空度を3×10−2Pa以下まで下げた後、高周波コイルに100W〜200Wの電力を供給し、蒸発源を600℃〜1000℃に加熱した。ここで、蒸発源には、純度99%、直径200mm、厚さ5mmのV板を用いた。上記の範囲に蒸発源を約5分程度保持した後、グラファイト粉末に−500V〜−600Vの直流電圧をかけた。その後、シャッターを開き、約50nm/分の成膜速度にて約36分間成膜することにより、金属中間層であるV層(厚さ1.8μm)を形成した。成膜中、グラファイト粉末の表面にV層を均一に形成するために、グラファイト粉末を振動させた。次に、V層を表面に形成したグラファイト粉末をArガス雰囲気下、1500℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。次に、熱処理した粉末を、錯化剤にEDTAを用いた硫酸銅めっき液に浸漬することによって置換Cuめっきを行ない、V層の表面にCu層(厚さ1.8μm)を形成した。その後、Cu層を形成した粉末をArガス雰囲気下、900℃の温度で2時間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
(実施例1−2)
蒸発源として純度99%、直径200mm、厚さ5mmのMn板を用い、Mn層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を450℃、Cu層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を550℃に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例1−3)
蒸発源として純度99%、直径200mm、厚さ5mmのCo板を用い、Co層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を1100℃、Cu層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を900℃に変更すると共に、硫酸銅200g/L、硫酸40〜60g/L、塩素イオン(Cl)5〜80mg/Lを含むめっき浴に、めっき浴温度60℃、電流密度30A/dm、粉末投入量5g/dm〜15g/dm、めっき時間40分の条件で電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ1.8μm)を形成したこと以外は実施例1−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例1−4)
蒸発源として純度99%、直径200mm、厚さ5mmのFe板を用い、Fe層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を1050℃、Cu層(厚さ1.8μm)形成後の熱処理における加熱温度を850℃に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例1−5)
蒸発源として純度99%、直径200mm、厚さ5mmのY板を用い、実施例1−1と同様の条件にてイオンプレーティングを行うことによってグラファイト粉末の表面にY層(厚さ0.9μm)を形成した後、Arガス雰囲気下、1050℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。その後、蒸発源として純度99%、直径200mm、厚さ5mmのAg板を用い、実施例1−1と同様の条件にてイオンプレーティングを行うことによってY層の表面にAg層(厚さ0.9μm)を形成した後、Arガス雰囲気下、700℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。次に、実施例1−3と同様にして電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ1.8μm)を形成した後、Arガス雰囲気下、600℃の温度で2時間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
次に、比較実験として、特許文献1に記載された方法に準じた方法を用いて複合粉末を作製した。
(比較例1−1)
平均粒子径が20μmのグラファイト粉末の表面にレーザーアブレーションによって半田(Sn−Zn)層(Sn92質量%、Zn8質量%、厚さ1.8μm)を形成した後、半田(Sn−Zn)層の表面に実施例1−1と同様の方法によってCu層(厚さ1.8μm)を形成した。その後、Cu層を形成した粉末をArガス雰囲気下、250℃の温度で30分間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
(比較例1−2)
グラファイト粉末の表面にレーザーアブレーションによって半田(Sn−Pb)層(Sn63質量%、Pb37質量%、厚さ1.8μm)を形成したこと以外は比較例1−1と同様にして複合粉末を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた複合粉末について密着性の評価を行った。
密着性の評価は、複合粉末70体積%と直径3mmのガラスビーズ30体積%とを回転ドラムを用いて2時間回転させながら混合し、グラファイト粉末の被覆率を光学顕微鏡(SEM)で観察することによって行った。参考のため、ガラスビーズと混合する前の複合粉末における最表層の被覆率も光学顕微鏡で観察した。グラファイト粉末の被覆率は、金属中間層又は固溶拡散層が露出していてもグラファイト粉末の露出がなければ100%とした。また、グラファイト粉末の被覆率が低いほど、グラファイト粉末が露出している割合が多いことを意味する。その結果を表1に示す。
次に、上記の実施例及び比較例で得られた複合粉末を40MPaで加圧成形した後、700℃で20分間焼結させることによって電気接点材料を得た。
次に、得られた電気接点材料を接点に加工して遮断器(三菱電機株式会社製NF63−CVF)に組み込み、通電耐久試験及び機械耐久試験を行った。通電耐久試験では、通電電流を63A、電圧を200Vとし、1回の開閉試験につき開極時間1秒及び閉極時間6秒に設定し、接点が破壊するまでの開閉回数を測定した。また、機械耐久試験では、電流を流さず、1回の開閉試験につき開極時間1秒及び閉極時間6秒に設定し、接点が破壊するまでの開閉回数を測定した。
Figure 0006403659
表1に示されているように、実施例1−1〜1−5の複合粉末はいずれも、各層の密着性が高く、比較例1−1〜1−2の複合粉末に比べて通電耐久性及び機械耐久性が高い電気接点材料を与えた。
実施例2−1〜2−9では、金属中間層(Co層)及びCu層の厚さを変えて実験を行った。
(実施例2−1)
平均粒子径が20μmのグラファイト粉末(100g〜500g)をPVD装置内に配置した。次に、PVD装置内の真空度を3×10−2Pa以下まで下げた後、高周波コイルに100W〜200Wの電力を供給し、蒸発源を600℃〜1000℃に加熱した。ここで、蒸発源には、純度99%、直径200mm、厚さ5mmのCo板を用いた。上記の範囲に蒸発源を約5分程度保持した後、グラファイト粉末に−500V〜−600Vの直流電圧をかけた。その後、シャッターを開き、約50nm/分の成膜速度にて10分間成膜することにより、金属中間層であるCo層(厚さ0.5μm)を形成した。成膜中、グラファイト粉末の表面にCo層を均一に形成するために、グラファイト粉末を振動させた。次に、Co層を表面に形成したグラファイト粉末をArガス雰囲気下、1100℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。次に、熱処理した粉末を、硫酸銅200g/L、硫酸40〜60g/L、塩素イオン(Cl)5〜80mg/Lを含むめっき浴に、めっき浴温度60℃、電流密度30A/dm、粉末投入量5g/dm〜15g/dm、めっき時間9分の条件で電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ0.5μm)を形成した。その後、Cu層を形成した粉末をArガス雰囲気下、900℃の温度で2時間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
(実施例2−2)
電流密度30A/dm、めっき時間40分に変更して電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ1.8μm)を形成したこと以外は実施例2−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−3)
電流密度30A/dm、めっき時間200分に変更して電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ5μm)を形成したこと以外は実施例2−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−4)
PVD装置を用いた成膜時間を36分に変更してCo層(厚さ1.8μm)を形成したこと以外は実施例2−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−5)
PVD装置を用いた成膜時間を36分に変更してCo層(厚さ1.8μm)を形成したこと以外は実施例2−2と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−6)
PVD装置を用いた成膜時間を36分に変更してCo層(厚さ1.8μm)を形成したこと以外は実施例2−3と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−7)
PVD装置を用いた成膜時間を100分に変更してCo層(厚さ5μm)を形成したこと以外は実施例2−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−8)
PVD装置を用いた成膜時間を100分に変更してCo層(厚さ5μm)を形成したこと以外は実施例2−2と同様にして複合粉末を得た。
(実施例2−9)
PVD装置を用いた成膜時間を100分に変更してCo層(厚さ5μm)を形成したこと以外は実施例2−3と同様にして複合粉末を得た。
上記の実施例で得られた複合粉末について、上記と同様の方法で密着性の評価を行った。その結果を表2に示す。
また、上記の実施例で得られた複合粉末を40MPaで加圧成形した後、700℃で20分間焼結させることによって電気接点材料を得た。その後、得られた電気接点材料を接点に加工し、上記と同様の方法で通電耐久試験及び機械耐久試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006403659
表2に示されているように、Co層及びCu層が薄くなるにつれて、複合粉末の被覆率が低下し、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性も低下する傾向が見られた。ただし、Co層及びCu層が厚くなるにつれ、複合粉末の被覆率は向上するものの、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性が低下する傾向が見られた。
実施例3−1〜3−9では、熱処理時の加熱温度変えて実験を行った。
(実施例3−1)
平均粒子径が20μmのグラファイト粉末(100g〜500g)をPVD装置内に配置した。次に、PVD装置内の真空度を3×10−2Pa以下まで下げた後、高周波コイルに100W〜200Wの電力を供給し、蒸発源を600℃〜1000℃に加熱した。ここで、蒸発源には、純度99%、直径200mm、厚さ5mmのCo板を用いた。上記の範囲に蒸発源を約5分程度保持した後、グラファイト粉末に−500V〜600Vの直流電圧をかけた。その後、シャッターを開き、約50nm/分の成膜速度にて36分間成膜することにより、金属中間層であるCo層(厚さ1.8μm)を形成した。成膜中、グラファイト粉末の表面にCo層を均一に形成するために、グラファイト粉末を振動させた。次に、Co層を表面に形成したグラファイト粉末をArガス雰囲気下、800℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。次に、熱処理した粉末を、硫酸銅200g/L、硫酸40〜60g/L、塩素イオン(Cl)5〜80mg/Lを含むめっき浴に、めっき浴温度60℃、電流密度30A/dm、粉末投入量5g/dm〜15g/dm、めっき時間40分の条件で電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ1.8μm)を形成した。その後、Cu層を形成した粉末をArガス雰囲気下、800℃の温度で2時間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
(実施例3−2)
Cu形成後の熱処理の加熱温度を900℃に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−3)
Cu形成後の熱処理の加熱温度を1000℃に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−4)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1100℃に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−5)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1100℃に変更したこと以外は実施例3−2と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−6)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1100℃に変更したこと以外は実施例3−3と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−7)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1400℃に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−8)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1400℃に変更したこと以外は実施例3−2と同様にして複合粉末を得た。
(実施例3−9)
Co層形成後の熱処理の加熱温度を1400℃に変更したこと以外は実施例3−3と同様にして複合粉末を得た。
上記の実施例で得られた複合粉末について、上記と同様の方法で密着性の評価を行った。その結果を表3に示す。
また、上記の実施例で得られた複合粉末を40MPaで加圧成形した後、700℃で20分間焼結させることによって電気接点材料を得た。その後、得られた電気接点材料を接点に加工し、上記と同様の方法で通電耐久試験及び機械耐久試験を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0006403659
表3に示されているように、Co層形成後の熱処理の加熱温度及びCu形成後の熱処理の加熱温度が低くなるにつれて、複合粉末の被覆率が低下し、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性も低下する傾向が見られた。ただし、Co層形成後の熱処理の加熱温度及びCu形成後の熱処理の加熱温度が高くなるにつれ、複合粉末の被覆率は向上するものの、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性が僅かに低下する傾向が見られた。
実施例4−1〜4−3では、グラファイト粉末の平均粒子径を変えて実験を行った。
(実施例4−1)
平均粒子径が5μmのグラファイト粉末(100g〜500g)をPVD装置内に配置した。次に、PVD装置内の真空度を3×10−2Pa以下まで下げた後、高周波コイルに100W〜200Wの電力を供給し、蒸発源を600℃〜1000℃に加熱した。ここで、蒸発源には、純度99%、直径200mm、厚さ5mmのCo板を用いた。上記の範囲に蒸発源を約5分程度保持した後、グラファイト粉末に−500V〜600Vの直流電圧をかけた。その後、シャッターを開き、約50nm/分の成膜速度にて36分間成膜することにより、金属中間層であるCo層(厚さ1.8μm)を形成した。成膜中、グラファイト粉末の表面にCo層を均一に形成するために、グラファイト粉末を振動させた。次に、Co層を表面に形成したグラファイト粉末をArガス雰囲気下、1100℃の温度で2時間加熱する熱処理を行った。次に、熱処理した粉末を、硫酸銅200g/L、硫酸40〜60g/L、塩素イオン(Cl)5〜80mg/Lを含むめっき浴に、めっき浴温度60℃、電流密度30A/dm、粉末投入量5g/dm〜15g/dm、めっき時間40分の条件で電解めっきを行なうことによってCu層(厚さ1.8μm)を形成した。その後、Cu層を形成した粉末をArガス雰囲気下、900℃の温度で2時間加熱する熱処理を行うことにより、複合粉末を得た。
(実施例4−2)
グラファイト粉末の平均粒子径を20μmに変更したこと以外は実施例4−1と同様にして複合粉末を得た。
(実施例4−3)
グラファイト粉末の平均粒子径を50μmに変更したこと以外は実施例4−1と同様にして複合粉末を得た。
上記の実施例で得られた複合粉末について、上記と同様の方法で密着性の評価を行った。その結果を表4に示す。
また、上記の実施例で得られた複合粉末を40MPaで加圧成形した後、700℃で20分間焼結させることによって電気接点材料を得た。その後、得られた電気接点材料を接点に加工し、上記と同様の方法で通電耐久試験及び機械耐久試験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0006403659
表4に示されているように、グラファイト粉末の平均粒子径が大きくなるにつれて、複合粉末の被覆率が低下し、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性も低下する傾向が見られた。また、グラファイト粉末の平均粒子径が小さくなるにつれて、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性が低下する傾向が見られた。
実施例5−1〜5−3では、電気接点材料を製造する際の焼結温度を変えて実験を行った。
(実施例5−1)
実施例4−2で得られた複合粉末を40MPaで加圧成形した後、600℃で20分間焼結させることによって電気接点材料を得た。
(実施例5−2)
焼結温度を700℃に変更したこと以外は実施例5−1と同様にして電気接点材料を得た。
(実施例5−3)
焼結温度を800℃に変更したこと以外は実施例5−1と同様にして電気接点材料を得た。
次に、上記で得られた電気接点材料を接点に加工し、上記と同様の方法で通電耐久試験及び機械耐久試験を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0006403659
表5に示されているように、焼結温度が低くなると、電気接点材料の通電耐久性及び機械耐久性が低下する傾向が見られた。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、金属中間層とCu層との間の密着性だけでなくグラファイト粉末と金属中間層との間の密着性も高い複合粉末及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、機械的耐久性、耐溶着性及び耐消耗性に優れる電気接点材料及びその製造を提供することができる。
1 複合粉末、2 グラファイト粉末、3 金属中間層、4 Cu層、5 固溶拡散層、10 電気接点材料、11 マトリックス。

Claims (13)

  1. グラファイト粉末の表面に800℃以上の融点を有する金属材料からなる金属中間層を介してCu層が形成された複合粉末であって、
    前記グラファイト粉末と前記金属中間層との間及び前記金属中間層と前記Cu層との間に固溶拡散層が形成されていることを特徴とする複合粉末。
  2. 前記金属材料が、V、Co、Fe、Mn、Y及びAgからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項に記載の複合粉末。
  3. 前記金属中間層が、少なくとも2つの層を含む積層構造を有する請求項1又は2に記載の複合粉末。
  4. 前記積層構造が、Y層及びAg層からなる2層構造であることを特徴とする請求項に記載の複合粉末。
  5. 前記グラファイト粉末の平均粒子径が5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末。
  6. 前記金属中間層の厚さが0.2μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末。
  7. 前記Cu層の厚さが0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末。
  8. 電気接点材料の製造に用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末。
  9. グラファイト粉末の表面に800℃以上の融点を有する金属材料からなる金属中間層を形成した後、熱処理を行う工程と、
    前記金属中間層の表面にCu層を形成した後、熱処理を行う工程と
    を含む複合粉末の製造方法。
  10. 前記グラファイト粉末の表面に形成する前記金属中間層の厚さが0.2μm以上2.5μm以下であることを特徴とする請求項に記載の複合粉末の製造方法。
  11. 前記金属中間層の表面に形成する前記Cu層の厚さが0.5μm以上5.5μm以下であることを特徴とする請求項又は10に記載の複合粉末の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末の加圧焼結体からなる電気接点材料であって、
    前記複合粉末の前記Cu層が前記電気接点材料のマトリックスを形成していることを特徴とする電気接点材料。
  13. 請求項1〜のいずれか一項に記載の複合粉末を加圧成形した後、焼結させることを特徴とする電気接点材料の製造方法。
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