JP6403343B2 - 建具の開度調整装置及び開閉窓装置 - Google Patents
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Description
なお、建具に関する「全開」や「半開き」の具体的な開度は、建具の種類や大きさ、設置場所、設置向き、用途などにより種々様々に変化するものであるため、本明細書ではこれら「全開」や「半開き」の用語を殊更定義しないものとする(実施の都度、諸事情に鑑みて適宜設定できるものとおく)。
この特許文献1に記載の技術では、建具(窓)における揺動側の縦框(揺動支点から遠い方の縦方向側縁部)に牽制アームを揺動自在に取り付け、建具枠(窓枠)の縦枠(揺動支点から遠い方の縦方向側縁部)にはガイド枠を取り付けて、このガイド枠に牽制アームの先端を係合させる構造とされている。
そして、ガイド枠の下端部には、牽制アームの先端がガイド枠に対する外側方へ向けて出入り自在にするための出入口が設けられている。またガイド枠には、この出入口を人為的に開閉できるようにしたスライド式のシャッターが設けられている。
置)で停止している牽制アームの下端は、出入口を通り抜けてそのままガイド枠の外側方へと放出されることになる。すなわち、牽制アームは先端側が自由端となって建具を引き止める作用を何ら生じなくなるので、建具は、半開き状態を超えた全開状態までの全範囲内で任意開度に開くようになる。
そのため、建具を全閉状態から開く際には、建具を半開き状態にするのか、或いは建具を半開き位置を超えて全開位置まで開かせるのかの違いに基づき、予めシャッターの開閉位置を確認する煩わしさが付随する。当然のことながら、この確認により、シャッターが意図した開閉位置と異なっていることが判明すれば、シャッターを所定の配置に切り替えるための操作が必要になる。従って、これらの確認作業やシャッターの切替操作が非常に面倒で煩わしいものとなっていた。
また本発明は、たとえ操作の不慣れな者であっても建具を確実に半開き状態で停止させることができ、一方で、建具を全開にする必要のあるときには簡単操作によって建具を半開き状態を超えた任意開度まで開くことができるようにした建具の開度調整装置、及びこの開度調整装置を採用して構成した開閉窓装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る建具の開度調整装置は、建具と、この建具まわりの一部又は全部を取り囲んで当該建具の開閉動作を支持する建具枠との両者間に跨がるように設ける建具の開度調整装置において、前記建具の開放時には相互離反し閉鎖時には相互当接する建具側の側縁部と建具枠側の側縁部とに対し各別に振り分けて配置する係留アームと係留ベースとを有しており、前記係留アームには、前記建具側の側縁部及び建具枠側の側縁部における長手方向を振り幅方向として揺動自在に支持する揺動軸が設けられ、前記係留ベースには、前記建具が全閉状態と半開き状態との範囲を開閉動作するときに前記係留アームの先端部を係合状態のまま前記側縁部の長手方向に沿わせて移動自在に保持する常用レール部と、前記建具が半開き状態とされたときに前記係留アームにおける先端部をその停止位置から前記常用レール部の下方へ移動自在に保持する延伸レール部と、前記延伸レール部から前記係留アームの先端部をレール外側方へ通過させて当該係留ベースから前記係留アームの離脱を可能にさせる外通口と、前記延伸レール部と前記常用レール部との接続間を常態下で不通に保持すると共に前記外通口を閉鎖するシャッター壁を有しているストッパ部材と、が設けられており、前記ストッパ部材の下部には、常態下で当該ストッパ部材に係合するが人為的操作で当該ストッパ部材に下方への移動を許容させることにより前記外通口からシャッター壁を退かせて開通させる開放操作具が設けられていることを特徴とする
。
前記常用レール部には、前記ストッパ部材によって前記延伸レール部への移動を阻止された前記係留アームの先端部に当接して当該先端部を前記ストッパ部材との間で挟み込む第2ストッパ部材と、前記第2ストッパ部材による前記係留アームの先端部への当接と離反とを人為的操作によって切り替え可能にする全閉操作具と、が設けられたものとしてもよい。
また本発明に係る建具の開度調整装置、及びこの開度調整装置を採用して構成した開閉窓装置は、たとえ操作の不慣れな者であっても建具を確実に半開き状態で停止させることができ、一方で、建具を全開にする必要のあるときには簡単操作によって建具を半開き状態を超えた任意開度まで開くことができる。
図1乃至図7は、本発明に係る建具の開度調整装置1と、この開度調整装置1を採用して構成した本発明に係る開閉窓装置2とを示している。また図8乃至図13には、開度調整装置1を構成する各部材を示している。
まず、開度調整装置1及び開閉窓装置2について、構成上の概要及び代表的な操作方法を説明する。
ただ、本発明に係る開度調整装置1では、障子5を辷り出し窓やその他の開閉窓だけでなく、それら以外にも広く適用することが可能であることから、以下では障子5を概念的に上位となる「建具5」と言い換えることにし、同理由によって障子枠6を「建具枠6」と言い換えることにする。
従って、図例では建具5側の側縁部5aに係留アーム10を設け、建具枠6側の側縁部6aに係留ベース11を設けたものとしたが、これとは反対に、建具5側の側縁部5aに係留ベース11を設け、建具枠6の側縁部6aに係留アーム10を設けてもよい。要は、建具5と建具枠6との両者間で係留アーム10と係留ベース11とを各別に振り分けて配置すればよい。
このような動作態様は、例えば、建具5等を清掃したりメンテナンスしたりする場合をはじめとして、建具5の外部から建具5を開ける必要に迫られた場合(例えば、建物高所に対する災害時の消火や救援活動時、或いは防犯目的の侵入時等)などの非常態下で、適宜判断して実施すればよい。
開放状態とさせた建具5を閉じる際には、図4及び図5に示す経過を経て、建具5を全閉状態(図3参照)に戻すことができる。この際、建具5を閉じる操作の他には何ら人為的操作は不要となっている。すなわち、この開度調整装置1は、建具5を閉じるだけで初期状態へと自動復帰が可能となっており、次回、建具5を開く場合を含めていちいち煩わしい操作を行う必要はない。
図1に基づいて前記したように、この開度調整装置1は、係留アーム10と係留ベース11とを有している。
係留アーム10には、その基端部(揺動の支点側とする方の端部)に、建具5の側縁部5aにおける長手方向(図1(b)の上下方向)を振り幅方向として、この係留アーム10を揺動自在に支持するための揺動軸15が設けられている。この揺動軸15は取付ブラケット18に支持されており、この取付ブラケット18を介して建具5の側縁部5aに取り付ける構造としてある。尤も、取付ブラケット18は必須部材ではなく、揺動軸15を建具5の側縁部5aに直接的に取り付けるようにしてもよい。
また、この係留アーム10が建具5の側縁部5aに対して突出状態を保持する角度θ(図1(b)参照)は、90°未満としておくのが好ましい。この理由は、後述のように本実施形態では係留ベース11に設ける外通口22を係留ベース11の下位側に配置してあり、この外通口22内に嵌り込んだ係留アーム10の先端部が建具5の閉動時には確実に上向きの移動を起こすように、作用的に誘導するためである。詳しくは後述する。
このような係留アーム10に対し、係留ベース11は、図8及び図9に示すように、直線状に配置された常用レール部20と延伸レール部21とを有しており、また延伸レール部21に対して外通口22及び設定変更部23が設けられている。
常用レール部20と延伸レール部21とは互いに同一のレール幅で、且つ同一のレール深さにして一体的に形成されたものとしてある。具体的には、図12は常用レール部20の断面図(図8(b)のC−C断面)であり、図11は延伸レール部21の断面図(図8(b)のB−B断面)である。
更に言えば、常用レール部20は、建具5を全閉状態(図3)と半開き状態(図2)との間で開閉する際(常態)に係留アーム10の先端部が移動するレール領域であると言うことができ、延伸レール部21は、建具5を、半開き状態を超えて開放させる際(非常態)に、常用レール部20から延長方向へ向けて係留アーム10の先端部を移動させるレール領域であると言うことができる。
この外通口22は、係留アーム10の先端部を延伸レール部21内とレール外側方との間で自由に通過させ得る開口大きさで形成されている(ウエブ壁についてはローラ17の外径よりも開口幅を大きくさせ、表面リブについては枢軸16の外径よりも開口幅を大きくさせている)。
本実施形態では、ストッパ部材27が長方形状の偏平ブロック体に形成されたものとして、この偏平ブロック体の片方の側面に、外通口22を閉鎖するシャッター壁28が一体的に備えられたものとしてある。ストッパ部材27のブロック長さは、このストッパ部材27が延伸レール部21と常用レール部20との接続間を不通にしている状況下において、シャッター壁28が外通口22を閉鎖できることを目安に設定してある。
なお、本実施形態ではストッパ部材27を偏平ブロック体に形成しているので(上下方向に長いので)、このストッパ部材27は延伸レール部21及び常用レール部20に沿ってガタツキなく円滑に摺動させることができる。しかも、偏平ブロック体を採用することで図12に示すように延伸レール部21や常用レール部20の表面リブ間に嵌る段付きガイド部27aを突設させることが可能であるから、この段付きガイド部27aによって円滑摺動性を一層高められるものとなっている。
従って例えば、ストッパ部材27はピン状又は板状に形成することも可能である。この場合には、延伸レール部21と常用レール部20との接続間のレール底部やウエブ壁を貫通させるように、(ピン状又は板状に形成した)ストッパ部材27を配置し、このストッパ部材27をレール内へ突出させたり非突出となるように没入させたりする構造にすればよい。
係合端34は係留アーム10の先端部(ローラ17の外周面)と係合するためのもので、基板33の形成素材とされる板材をL字状に屈曲することで形成されている。
連結端35はストッパ部材27に連結するためのもので、この連結端35も、係合端3
4と同様に基板33の形成素材とされる板材をL字状に屈曲することで形成されている。この連結端35は、ストッパ部材27において常用レール部20のレール底部に接するようになる面に形成された係合溝36に係合される。
本実施形態ではストッパ部材27に偏平ブロック体を採用している関係上、開放操作具40は、延伸レール部21の下端部に配置してある。
これに対して図9は開放操作具40の操作後を示している。すなわち、このとき開放操作具40はその上端部がストッパ部材27との係合を解除して、ストッパ部材27の下方への移動を許容し、その結果、延伸レール部21と常用レール部20との接続間を開通状態(非常態)にしている。
ところで、建具5の半開き状態(図2参照)を保持させる場合は、建具5がその外側を吹く風などによって勝手に全閉状態に戻らないようにする工夫を施しておくことが推奨される。
また、これに伴い、この第2ストッパ部材50によるストッパ部材27への当接を人為的操作によって解除できるようにするための全閉操作具51を備えさせた。
これら第2ストッパ部材50及び全閉操作具51は、箱形のハウジング53を介して常用レール部20の一方のウエブ壁(外通口22が形成されるのとは異なる方のウエブ壁)の外側に取り付けられる。なお、常用レール部20において、このハウジング53が取り付けられる部位には、ウエブ壁を貫通して第2ストッパ部材50を出没動作させるストッパ用孔54(図8及び図9参照)が形成されているものとする。
具51に対して第2ストッパ部材50がリンク接合されており、全閉操作具51の揺動に伴って第2ストッパ部材50の先端が常用レール部20のレール内へ向けて突出したり没入したりする構造である。
なお、全閉操作具51は、図10(a)に示すように第2ストッパ部材50を常用レール部20内へ突出させたときの揺動操作ポジションと、図10(b)に示すように第2ストッパ部材50を常用レール部20内から退出させたときの揺動操作ポジションとのいずれか一方を選択する構造である。
ただ、建具5を半開き状態から開放させるときには全閉操作具51を操作する必要がないので、このとき第2ストッパ部材50は常用レール部20内へ突出したままとなる。従って、この場合、その後に建具5を全閉状態へ向けて閉動させようとすると、依然として第2ストッパ部材50は常用レール部20内へ突出したままとなる。
そこで、本実施形態では、ストッパ部材27に連結されている同行部材29に対し、その側縁部で起立するようになるストッパ返し壁58を設けた。このストッパ返し壁58は、常用レール部20内から第2ストッパ部材50を当て止めすることで、第2ストッパ部材50が常用レール部20内へ突出しない状況を保持できるようにする。
次に、このような構成の開度調整装置1及び開閉窓装置2について、その動作状況をまとめる。
このとき、係留アーム10の先端部は第2ストッパ部材50とストッパ部材27との間で挟み込まれるようになり、係留アーム10と係留ベース11との相互間距離は不動に固定された状態となる。従って、建具5が意に反して閉動することは決してない。このようなことから、たとえ開度調整装置1に対して操作の不慣れな者であっても、建具5を確実に半開き状態で停止させることができる。
一方、建具5が半開き状態にされている状況下にあって、建具5を更に全開状態へ向けて開放させる必要が生じたとする。この場合には、開放操作具40を操作してストッパ部材27を下方へ移動させる(図9参照)。これにより、延伸レール部21と常用レール部20との接続間が開通状態となり、係留アーム10の先端部は常用レール部20の延長先である延伸レール部21へと移動することになる。
このような開放操作具40の操作は、建具5の内側だけでなく外側からでも行うことができる。そのため、建具5等を清掃したりメンテナンスしたりする場合はもとより、建物高所に対する災害時の消火や救援活動時、或いは防犯目的の侵入時などの非常態下に、極めて重要で且つ大きな成果をあげることができるものである。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、本発明に係る開度調整装置1は、辷り出し窓や開閉窓に実施可能であることは既に説明したところであるが、窓を扉としてもよいし、窓を開閉する際の揺動軸は鉛直方向とされる場合だけでなく水平方向とされる場合でもよい。また、引き違い式の建具と建具枠との間で実施することも可能である。
2 開閉窓装置
5 建具(障子)
5a 側縁部
6 係留ベース
6 建具枠(障子枠)
6a 側縁部
10 係留アーム
11 係留ベース
15 揺動軸
16 枢軸
17 ローラ
18 取付ブラケット
20 常用レール部
21 延伸レール部
22 外通口
23 設定変更部
27 ストッパ部材
27a 段付きガイド部
28 シャッター壁
29 同行部材
33 基板
34 係合端
35 連結端
36 係合溝
40 開放操作具
41 支点軸
42 操作レバー
43 復帰バネ
50 ストッパ部材
51 全閉操作具
53 ハウジング
54 ストッパ用孔
56 切替軸
58 ストッパ返し壁
Claims (5)
- 建具と、この建具まわりの一部又は全部を取り囲んで当該建具の開閉動作を支持する建具枠との両者間に跨がるように設ける建具の開度調整装置において、
前記建具の開放時には相互離反し閉鎖時には相互当接する建具側の側縁部と建具枠側の側縁部とに対し各別に振り分けて配置する係留アームと係留ベースとを有しており、
前記係留アームには、前記建具側の側縁部及び建具枠側の側縁部における長手方向を振り幅方向として揺動自在に支持する揺動軸が設けられ、
前記係留ベースには、
前記建具が全閉状態と半開き状態との範囲を開閉動作するときに前記係留アームの先端部を係合状態のまま前記側縁部の長手方向に沿わせて移動自在に保持する常用レール部と、
前記建具が半開き状態とされたときに前記係留アームにおける先端部をその停止位置から前記常用レール部の下方へ移動自在に保持する延伸レール部と、
前記延伸レール部から前記係留アームの先端部をレール外側方へ通過させて当該係留ベースから前記係留アームの離脱を可能にさせる外通口と、
前記延伸レール部と前記常用レール部との接続間を常態下で不通に保持すると共に前記外通口を閉鎖するシャッター壁を有しているストッパ部材と、
が設けられており、
前記ストッパ部材の下部には、常態下で当該ストッパ部材に係合するが人為的操作で当該ストッパ部材に下方への移動を許容させることにより前記外通口からシャッター壁を退かせて開通させる開放操作具が設けられている
ことを特徴とする建具の開度調整装置。 - 前記ストッパ部材には、前記係留アームの先端部が前記延伸レール部から前記常用レール部へ向けて移動するときにこの先端部に係合状態で随伴させて当該ストッパ部材を前記延伸レール部と前記常用レール部との接続間へ復帰移動させる同行部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建具の開度調整装置。
- 前記常用レール部には、前記ストッパ部材によって前記延伸レール部への移動を阻止された前記係留アームの先端部に当接して当該先端部を前記ストッパ部材との間で挟み込む第2ストッパ部材と、
前記第2ストッパ部材による前記係留アームの先端部への当接と離反とを人為的操作によって切り替え可能にする全閉操作具と、
が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建具の開度調整装置。 - 前記常用レール部には、前記ストッパ部材によって前記延伸レール部への移動を阻止された前記係留アームの先端部に当接して当該先端部を前記ストッパ部材との間で挟み込む第2ストッパ部材と、
前記第2ストッパ部材による前記係留アームの先端部への当接と離反とを人為的操作によって切り替え可能にする全閉操作具と、
が設けられ、
前記同行部材には、前記ストッパ部材が前記延伸レール部と前記常用レール部との接続間を開通させている非常態下において前記第2ストッパ部材が前記係留アームの先端部から離反した状態を前記常用レール部内から当て止めするストッパ返し壁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具の開度調整装置。 - 鉛直軸まわりに片持ちで揺動する障子によって建具が形成され、前記建具の全閉時において当該建具の外周全周を取り囲む障子枠によって建具枠が形成され、これら建具と建具枠との両者間に跨がるように請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の建具の開度調整装置が設けられていることを特徴とする開閉窓装置。
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