本発明の少なくとも好ましい実施形態の目的は、上記で概略的に説明した欠点の少なくとも1つに対処した、又は少なくとも人々に有用な選択肢を提供する椅子又は構成要素を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、椅子用の調整可能支持組立体が提供され、該支持組立体は、取り付け部材と、椅子の着座者の身体の一部を支持するための支持体と、支持体を滑動可能に担持するキャリアと、を備え、支持体が複数の係合特徴要素を含み、キャリアが、支持体を複数の位置にてキャリアに対して選択的に位置付けることができるよう係合特徴要素と選択的に係合可能な係合部材を含み、調整可能支持組立体が更に、キャリアを取り付け部材に動作可能に接続し、キャリア及び支持体を前方に付勢するよう構成された付勢装置と、を備え、支持体に対して後方の力が加わったときに、係合部材と係合した係合特徴要素との間の係合が増大する。
1つの実施形態において、付勢装置が、係合部材に作用して、支持体に向けて係合部材を付勢する付勢部材を含む。1つの実施形態において、付勢部材は、支持体に対して後方の力が加わったときに、取り付け部材に向けたキャリアの後方移動に抗するよりも、取り付け部材に向けた係合部材の後方移動に抗する。
1つの実施形態において、付勢装置は、取り付け部材及びキャリアに動作可能に接続された中間部材と、取り付け部材と中間部材との間に配列される第1の付勢部材と、キャリアと中間部材との間に配列される第2の付勢部材と、を含む。
1つの実施形態において、第1及び第2の付勢部材が、反対方向に向いたトーションバネである。
1つの実施形態において、中間部材が、第1の軸線の周りで取り付け部材に対して枢動可能であり、キャリアが、第2の実質的に平行な軸線の周りで中間部材に対して枢動可能である。1つの実施形態において、調整可能支持体は更に、取り付け部材又は中間部材に対して枢動可能な第1の端部と、取り付け部材又は中間部材の他方に対して枢動可能な第2の端部とを有する少なくとも1つのリンクアームを更に備える。1つの実施形態において、調整可能支持体は、2つのリンクアームを備え、該リンクアームが各々、取り付け部材上のスロットにおいて滑動可能な第1の端部と、中間部材の第2の軸線の周りで枢動可能な第2の端部とを有する。
1つの実施形態において、係合部材は、前後方向で係合特徴要素に係合する。
1つの実施形態において、支持体は、取り付け部材に対して傾斜可能である。
1つの実施形態において、支持体は、高さ調整可能である。
1つの実施形態において、係合部材は弾性である。
1つの実施形態において、キャリアは、支持体の背面上で相補的なガイド特徴要素と滑動可能に係合するためのガイドを含む。1つの実施形態において、支持体上のガイド特徴要素は、ガイド突起部又はフランジを含み、キャリアは、ガイド突起部又はフランジを滑動可能に受けるための少なくとも1つのガイドチャンネルを含む。
1つの実施形態において、支持体上のガイド特徴要素は、支持体に固定されたガイド部材によって提供される。
1つの実施形態において、係合特徴要素は、後方に面する弓形ノッチを含み、係合部材は、前方に向けられた弓形突起部を含む。
1つの実施形態において、支持体は、腰部支持体である。或いは、支持体は、例えば、ヘッド又はネック支持体のような異なるタイプの支持体とすることができる。
1つの実施形態において、支持体は、平面図で前方に凹状であり、ユーザの背骨に対応した実質的に垂直な中心凹部を含む。
1つの実施形態において、取り付け部材は、椅子の背もたれフレームに取り付けるように構成されている。
本発明の第2の態様によれば、2つの側方部材と、上記で第1の態様に関して概略的に説明した調整可能支持体とを有する背もたれフレームを備え、取り付け部材が2つの側方部材に取り付けられたている椅子が提供される。
1つの実施形態において、取り付け部材は、2つの側方部材に対して固定される。或いは、取り付け部材は、側方部材に対して移動可能とすることができる。
1つの実施形態において、背もたれフレームは、柔軟な背もたれ部を支持し、支持体は、柔軟な背もたれ部の後方に位置付けられる。
1つの実施形態において、支持体は、背もたれ部に作用する後方荷重が存在しない状態で背もたれ部から後方に離間しており、背もたれ部に十分な後方の力が加わったときに、背もたれ部の少なくとも一部が後方に移動して支持体に接触する。
本発明の第3の態様によれば、歪み配向に好適な射出成形物品が提供され、該物品は、第1の層において形成された複数の第1の細長成形ストラップと、少なくとも一部が第1の細長ストラップのうちの少なくとも一部と重なり合うように、第2の層において形成された複数の第2の細長成形ストラップと、第1の細長ストラップ及び第2の細長ストラップと一体的に射出成形され、第1の細長ストラップ及び第2の細長ストラップが重なり合う領域において第1の細長ストラップと第2の細長ストラップとの間を接続する複数の成形接合部材と、を備える。
1つの実施形態において、第1の細長ストラップの少なくとも一部、第2の細長ストラップの少なくとも一部、及び接合部材の少なくとも一部は、歪み配向に好適である。1つの実施形態において、実質的に第1の細長ストラップ全体、実質的に第2の細長ストラップ全体、及び実質的に接合部材全体が歪み配向に好適である。
1つの実施形態において、第1の細長ストラップは、接合部材の追加材料に起因した歪み配向の減少を補償するため、接合部材に隣接したネック付き領域を含む。1つの実施形態において、ネック付き領域は、第1の細長ストラップの側部に延びるノッチ又は凹部により形成される。1つの実施形態において、ノッチ又は凹部は、歪み配向後に、第1の細長ストラップの側部が実質的にその長さ全体に沿って実質的に平行となるように構成される。
1つの実施形態において、第2の細長ストラップは、接合部材の追加材料に起因した歪み配向の減少を補償するため、接合部材に隣接したネック付き領域を含む。1つの実施形態において、ネック付き領域は、第2の細長ストラップの側部に延びるノッチ又は凹部により形成される。1つの実施形態において、ノッチ又は凹部は、歪み配向後に、第2の細長ストラップの側部が実質的にその長さ全体に沿って実質的に平行となるように構成される。
1つの実施形態において、射出成形物品は、ポリマー樹脂から形成される。本明細書で使用される「ポリマー樹脂」は、射出成形に好適なプラスチック原材料である。樹脂は、単一のプラスチック材料とすることができ、又は、複数のプラスチック材料を含むことができる。1つの実施形態において、射出成形物品は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む樹脂から成形される。
1つの実施形態において、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ブロック共重合体である。1つの実施形態において、ブロック共重合体は、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む。1つの実施形態において、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリブチレン・テレフタレート及びポリエーテルグリコールのブロック共重合体である。
1つの実施形態において、樹脂は、歪み配向の前に、ASTM D2240に従って試験したときに約30D〜約55Dの範囲の硬度を成形物品が有するように選択される。1つの実施形態において、樹脂は、歪み配向の前に、約30D〜約46Dの範囲、好ましくは約35D〜約45Dの範囲、好ましくは約36D〜44Dの範囲、より好ましくは37D〜約43Dの範囲、より好ましくは38D〜約42Dの範囲、より好ましくは39D〜約41Dの範囲、最も好ましくは約40Dの硬度を成形物品が有するように選択される。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、好ましくは、HYTREL4069、HYTREL4556、HYTREL5526、HYTREL5556、HYTREL3078のうちの1つである。これに加えて、樹脂は、所望の特性を達成するため、例えば、UV光、火炎、熱老化、湿度に対する耐性を改善するため、及び/又は樹脂の色を好適にするために、安定剤及び/又は添加剤を含むことができる。
物品は、好適な特性を有する他のあらゆる樹脂から形成することができることは理解されるであろう。
第1の細長ストラップは、第1の略長手方向に延びる複数の細長ストラップを含むことができる。第2の細長ストラップは、例えば、第1の略長手方向に対して略横方向である第2の方向に延びる複数の細長ストラップを含むことができる。或いは、ストラップは、互いに対して何れかの好適な方法で配向することができる。第1の層における第1の細長ストラップが長手方向に延び、第2の層における第2の細長ストラップが横方向に延びるのが好ましい。
略長手方向に延びる細長ストラップは、略横方向に延びる細長ストラップとは異なるものとすることができる。例えば、略長手方向に延びる細長ストラップは、略横方向に延びる細長ストラップよりも小さい断面を有することができる。しかしながら、略長手方向に延びる細長ストラップの断面は、ストラップの少なくとも非ネック付き領域において、略横方向に延びる細長ストラップと実質的に同じであるのが好ましい。
好ましくは、射出成形物品の細長ストラップの少なくとも一部は、約12mm又はそれ未満、より好ましくは約2.5mm又はそれ未満の断面寸法を有する。好ましくは、射出成形物品の細長ストラップの少なくとも大部分は、約12mm又はそれ未満、より好ましくは約5mm又はそれ未満、より好ましくは約2.5mm又はそれ未満の断面寸法を有する。好ましくは、射出成形物品の細長ストラップの少なくとも一部は、約1.5mm又は約2mmの深さを有する。
1つの実施形態において、各ストラップの歪み配向前の深さは、約1.5mm又は約2mmであり、略横方向に延びるストラップの断面幅(長手方向で)は、非ネック付き領域で約12mm、ネック付き領域で約10mmであり、略長手方向に延びるストラップの断面幅(横方向で)は、非ネック付き領域で約12mm、ネック付き領域で約9.4mmである。好ましくは、寸法は、歪み配向後に、各ストラップの深さが約1.0mm、略横方向に延びるストラップの断面幅(長手方向で)は、ネック付き領域及び非ネック付き領域で約8mm、及び略長手方向に延びるストラップの断面幅(横方向で)は、ネック付き領域及び非ネック付き領域で約8mmであるように構成される。
射出成形物品全体は、第1の細長ストラップ及び第2の細長ストラップから形成することができることは理解されるであろう。好ましくは、成形物品の少なくとも大部分は、第1の細長ストラップ及び第2の細長ストラップから形成される。
或いは、射出成形物品の一部だけが、第1の細長ストラップ及び第2の細長ストラップから形成されてもよく、これに加えて、物品に一体的に成形された取り付け特徴要素を備えることができる。
射出成形物品の少なくとも一部は、成形プロセスの一部として形成される湾曲した輪郭を有することができる。例証として、射出成形物品の少なくとも一部は、射出成形プロセスの一部として形成される湾曲した側方輪郭及び/又は湾曲した平面輪郭を有することができる。代替形態として、射出成形物品は、実質的に平坦とすることができるが、例えば、使用時にフレームによって支持されたときには非平坦な立体的形状で保持することができる。
好ましくは、物品の少なくとも一部は、歪み配向が生じるように、障害無く初期寸法の少なくとも約400%まで、好ましくは少なくとも約450%、好ましくは少なくとも約500%、好ましくは少なくとも約600%、好ましくは少なくとも約700%、好ましくは少なくとも約800%、好ましくは少なくとも約900%まで延伸可能である。好ましくは、ストラップは、歪み配向を引き起こすために初期長さの約450%まで延伸され、弛緩後の長さは、初期長さの約210%である。
物品は、椅子用の支持面とすることができる。例えば、物品は、後でフレームに取り付けられて部材を支持し、柔軟な懸架支持面を形成する椅子用背もたれ支持体又は座部支持体とすることができる。しかしながら、本方法は、他の何れかの好適なタイプの物品を形成するのに用いることができる。
本発明の第4の態様によれば、支持体を組み立てる方法が提供され、本方法が、フレームを提供するステップと、少なくとも一部がフレームの対応する寸法よりも小さい成形したままの寸法を有する、上記の第3の態様に関して概略的に説明した射出成形物品を提供するステップと、フレームの対応する寸法よりも大きい延伸した寸法を有し、第1の細長ストラップの少なくとも一部及び第2の細長ストラップの少なくとも一部の歪み配向が起こるように、射出成形物品の少なくとも一部を延伸するステップと、成形したままの寸法と延伸した寸法との間の弛緩後寸法を有するように、物品の少なくとも一部を弛緩するステップと、フレームから物品を支持するステップと、を含む。
1つの実施形態において、フレームが、フレーム部材により少なくとも部分的に境界付けられる開口を含み、本方法が、物品の一部が開口にわたって延びて柔軟な懸架した支持面を形成するようフレームから物品を支持するステップを含む。例えば、フレームは、側方部材と、上側及び下側部材(又は座部フレームの場合には前方部材及び後方部材)とを含むことができ、フレーム部材は、フレームにより支持されたときに物品によって覆われる1又はそれ以上の開口を境界付けることができる。
1つの実施形態において、第1の細長ストラップが、略長手方向に延びるストラップを含み、第2の細長ストラップが、略横方向に延びるストラップを含む。1つの実施形態において、本方法は、略長手方向に延びるストラップを延伸し弛緩した後、略横方向に延びるストラップを延伸し弛緩するステップを含む。代替の実施形態において、本方法は、略横方向に延びるストラップを延伸し弛緩した後、略長手方向に延びるストラップを延伸し弛緩するステップを含む。更に別の実施形態において、本方法は、略長手方向に延びるストラップを延伸し弛緩すると同時に、略横方向に延びるストラップを延伸し弛緩するステップを含む。
1つの実施形態において、物品の少なくとも一部を延伸するステップにより、接合部材の歪み配向が起こるような接合部材の延伸が生じる。1つの実施形態において、接合部材は、長手方向及び横方向の両方で歪み配向される。
1つの実施形態において、接合部材は、長さが18.5mm、幅が1.0mm、及び深さが2.0mm(2.0mmのストラップ間ギャップを形成する)の成形したままの寸法を有する細長部材である。1つの実施形態において、接合部材は、長さが28.5mm、幅が0.8mm、及び深さが1.8mmの歪み配向後の弛緩した寸法を有する。代替として、接合部材は、異なる寸法を有することができ、又は他の何れかの好適な形状とすることができる。
1つの実施形態において、第1の細長ストラップは、接合部材の追加材料に起因した歪み配向の減少を補償するため、接合部材に隣接したネック付き領域を含む。1つの実施形態において、ネック付き領域が、第1の細長ストラップの側部に延びるノッチ又は凹部により形成され、弛緩した物品における第1の細長ストラップの側部が、実質的にその長さ全体に沿って実質的に平行である。
1つの実施形態において、第2の細長ストラップは、接合部材の追加材料に起因した歪み配向の減少を補償するため、接合部材に隣接したネック付き領域を含む。1つの実施形態において、1つの実施形態において、ネック付き領域は、第2の細長ストラップの側部に延びるノッチ又は凹部により形成され、弛緩した物品における第2の細長ストラップの側部は、実質的にその長さ全体に沿って実質的に平行である。
物品は、横方向及び長手方向寸法の両方で、又は他の何れかの好適な方向で延伸し弛緩することができる。延伸ステップは、物品を360°で延伸するステップを含むことができる。これは、物品が不規則なパターンの部材及び/又は斜め部材を含む場合に特に有用である。
本方法は、物品全体を延伸し弛緩するステップを含むことができ、又は、物品の一部を延伸し弛緩するステップを含むことができる。すなわち、完成した支持体において、物品の一部分は、歪み配向されたものとすることができ、他の部分は、歪み配向されていないものとすることができる。1つの実施形態において、物品の第1及び第2の細長ストラップ並びに接合部材の実質的に全ては、2つの方向で歪み配向されており、物品の残りの部分は、歪み配向されていない場合がある。
使用される材料に応じて、1つの実施形態において、ストラップは、成形したままの長さの約4〜約5倍、好ましくは約4.5倍まで延伸される。1つの実施形態において、ストラップの歪み配向後の弛緩した長さは、成形したままの長さの約1.5倍〜約2.7倍、好ましくは成形したままの長さの約2.1倍である。
弛緩及び支持ステップは、同時に起こることができる。例えば、物品は、フレームのそれぞれの部分を捕捉するポケット又は同様のものを含むことができ、この部分は、物品が弛緩したときにポケットにより捕捉することができる。或いは、物品は、物品の弛緩後にフレームに接続することができる。例えば、物品の弛緩後、物品は、少しの量だけ延伸され、次いで、フレームから支持することができる。フレームから物品を支持するための延伸寸法は、歪み配向後の弛緩した寸法の好ましくは約1.1倍であるが、これはフレーム構成及び好ましいストラップ張力によって決まることになる。
物品は、物品とフレームのうちの一方の一部が物品とフレームのうちの他方のそれぞれの相補的凹部に受けられるなどによって、フレームに直接接続することができる。例えば、物品は、周辺部の少なくとも一部の周りで射出成形された接続部材を備えることができ、該接合部材は、物品をフレームに接続するためフレーム上のフック又は突起部を受ける。或いは、別個のファスナーを用いて、物品及びフレームを接続することができる。別の代替形態として、1又はそれ以上の保持ストラップを用いて、物品をフレームに接続することができる。好ましくは、物品は、射出成形プロセスの一部として、物品の残りの部分と同じ材料から物品と一体的に成形される取り付け特徴要素によりフレームに直接接続される。一体的な取り付け特徴要素を有する物品の一部は、一般に、歪み配向されないことになる。
1つの実施形態において、表面凹凸部は、射出成形法の一部として物品上にインモールド成形される。
本方法は、物品の異なる特性を得るために、物品の異なる部分を異なる量だけ延伸するステップを含むことができる。しかしながら、好ましい実施形態において、第1の細長ストラップの延伸率は、第2の細長ストラップの延伸率と実質的に同じであり、よって、これらは同じ量の歪み配向を実質的に受ける。
第1の細長ストラップの1又はそれ以上は、第1の細長ストラップの他のストラップとは長さが異なることができる。しかしながら、第1の細長ストラップの各々は、好ましくは、実質的に同じ長さの増大率だけ延伸され、第1の細長ストラップの各々において実質的に同じ量の歪み配向を提供する。
第2の細長ストラップの1又はそれ以上は、第2の細長ストラップの他のストラップとは長さが異なることができる。しかしながら、第2の細長ストラップの各々は、好ましくは、実質的に同じ長さの増大率だけ延伸され、第2の細長ストラップの各々において実質的に同じ量の歪み配向を提供する。
本発明の第5の態様によれば、組み立て時に上記の第4の態様に関して概略的に説明された方法を用いた椅子用の背もたれ部が提供される。
本発明の第6の態様によれば、組み立て時に上記の第4の態様に関して概略的に説明された方法を用いた椅子用の座部が提供される。
本発明の第7の態様によれば、椅子が提供され、該椅子は、支持フレームと、着座者を支持する座部と、着座者の背中を支持し、支持フレームに対してリクライニング可能な背もたれ部と、背もたれ部のリクライニング動作時に座部を持ち上げるよう構成されたリクライニング機構体と、を備え、リクライニング機構体が、背もたれ部に動作可能に接続され、支持フレームに枢動可能に接続され且つ座部の比較的前方部分に枢動可能に接続された背もたれ支持アームと、支持フレームに枢動可能に接続され、座部の比較的後方部分に枢動可能に接続され且つ背もたれ支持アームに対して移動するよう背もたれ支持アームに動作可能に接続されたロッカーアームと、を含む。
1つの実施形態において、座部は、背もたれ部がリクライニングしたときに、上向き及び後方に移動する。座部は、最初に、背もたれ部の初期リクライニング中に初期位置から上向き及び前方に移動し、次いで、上向き及び後方に移動して、全体が初期位置から上向き及び後方に移動することができる。
1つの実施形態において、座部は、背もたれ部がリクライニングしていないときに、後方傾斜角度を有し、座部は、背もたれ部が完全にリクライニングしたときに、より大きな後方傾斜角度を有する。
1つの実施形態において、背もたれ部がリクライニングしていないときに、ロッカーアームは前方下向きの角度が付けられ、背もたれ部が完全にリクライニングしたときに、ロッカーアームは前方上向きの角度が付けられる。
1つの実施形態において、背もたれ部がリクライニングしていないときに、背もたれ支持アームの一部がほぼ水平であり、背もたれ部が完全にリクライニングしたときに、背もたれ支持アームの一部が前方上向きの角度が付けられる。
ロッカーアームは、背もたれ部がリクライニングしていないときに前方下向きの角度が付けられ、背もたれ部が完全にリクライニングしたときに、前方上向きの角度が付けられ、背もたれ部がリクライニングしていないときには、背もたれ支持アームの一部がほぼ水平であり、背もたれ部が完全にリクライニングしたときには、背もたれ支持アームの一部が前方上向きの角度が付けられ、ロッカーアームの前方上向きの角度は、背もたれ支持アームの一部の前方上向きの角度よりも大きい。ロッカーアームの前方下向きの角度は、水平より下に約13度であり、ロッカーアームの前方上向きの角度は、水平より上に約24度であり、背もたれ支持アームの一部の前方上向きの角度は、水平より上に約17度である。
1つの実施形態において、背もたれ支持アームと支持フレームとの枢動接続は、支持フレームに対するロッカーアームの動作可能接続の前方にある。ロッカーアームと支持フレームとの枢動接続は、支持フレームの後方部分にて又はそれに隣接して位置付けられる。背もたれ支持アームと支持フレームとの枢動接続は、ロッカーアームと支持フレームとの枢動接続の前方で隣接して位置付けられる。1つの実施形態において、ロッカーアームと座部との枢動接続が、椅子の前後方向で、背もたれ支持アームと支持フレームとの枢動接続とほぼ整列されている。
1つの実施形態において、座部の比較的前方部分への背もたれ支持アームの枢動接続は、枢動及び滑動接続を含む。
1つの実施形態において、ロッカーアームは、背もたれ支持アームに枢動可能に接続され且つロッカーアームに枢動可能に接続された接続リンクを介して背もたれ支持アームに動作可能に接続される。1つの実施形態において、ロッカーアームと接続リンクの枢動接続は、背もたれ部がリクライニングされていないときに、接続リンクと背もたれ支持アームの枢動接続の実質的に垂直方向で上方に位置付けられる。
1つの実施形態において、ロッカーアームは、枢動及び滑動接続を介して背もたれ支持アームに動作可能に接続される。1つの実施形態において、枢動及び滑動接続は、ロッカーアーム上のピンと、背もたれ支持アームのスロットとを含む。1つの実施形態において、枢動及び滑動接続は、ロッカーアーム上に回転可能に取り付けられ且つ背もたれ支持アームの表面に沿って滑動可能なローラを含む。
リクライニング機構体は、背もたれ部に動作可能に接続され、支持フレームに枢動可能に接続され且つ座部の比較的前方部分に枢動可能に接続された2つの背もたれ支持アームと、支持フレームに枢動可能に接続され、座部の比較的前方部分に枢動可能に接続され且つ背もたれ支持アームのそれぞれに動作可能に接続された2つのロッカーアームと、を含む。1つの実施形態において、2つのロッカーアームは、背もたれ支持アームのそれぞれ及びロッカーアームのそれぞれに各々が枢動可能に接続された2つの接続リンクを介して、背もたれ支持アームに対して移動可能に接続される。
1つの実施形態において、支持フレームは、ベースと、離間して配置された側壁のペアとを有するトランサムを含み、各背もたれ支持アームの一部が、トランサムの側壁の内寄りに位置付けられる。1つの実施形態において、各背もたれ支持アームは、トランサムの側壁のそれぞれに枢動可能に接続される。
1つの実施形態において、座部は、座部支持体と、着座者を支持するための座面とを含み、該座面は、座部支持体に対して前後方向で選択的に移動可能であり、ロッカーアーム及び背もたれ支持アームが座部支持体に枢動可能に接続される。
1つの実施形態において、椅子は更に、リクライニング位置に向けた背もたれ部の移動に抗するリクライニング抵抗機構体を備え、リクライニング抵抗機構体により提供される抵抗量が選択的に調整可能である。
1つの実施形態において、座部は、座面の下にシェルを含み、該シェルの底面に中央凹部を有し、背もたれ部がリクライニングしていないときに、リクライニング機構体が中央凹部内に実質的に収容される。
1つの実施形態において、背もたれ部がリクライニングしていないときに、リクライニング機構体の垂直方向の高さが約40mmである。
1つの実施形態において、ロッカーアームの前端が、座部と係合して、背もたれ部の最大後方リクライニングを定めるリクライニング停止部を提供するよう構成されている。
1つの実施形態において、背もたれ支持アームの前端が、支持フレームと係合して、背もたれ部の直立位置を定める直立停止部を提供するよう構成されている。
本発明の第8の態様によれば、椅子が提供され、該椅子は、支持フレームと、着座者を支持する座部と、着座者の背中を支持し、略直立位置と略リクライニング位置との間で支持フレームに対してリクライニング可能な背もたれ部と、略リクライニング位置に向けた背もたれ部の移動に抗するリクライニング抵抗機構体と、を備え、リクライニング抵抗機構体が、背もたれ部、座部、又は支持フレームのうちの1つに動作可能に接続された抵抗装置を含み、リクライニング抵抗機構体が更に、背もたれ部、座部、又は支持フレームのうちの別の1つに動作可能に接続された第1のリテーナ及び第2のリテーナを含み、第2のリテーナが、抵抗装置と、背もたれ部、座部、又は支持フレームのうちの別の1つとの間の反動点を調整して、リクライニング抵抗機構体によって提供されるリクライニング抵抗の量を変えるよう移動可能であり、背もたれ部が略直立位置にあるときに、第1のリテーナが、抵抗装置に予荷重を加え、第2のリテーナが、背もたれ部のリクライニング位置において反動点が第2のリテーナによって提供される少なくとも1つの位置に移動可能である。
1つの実施形態において、背もたれ部が略直立位置にあるときに、第2のリテーナの移動が、抵抗装置に作用する予荷重を変えない。
1つの実施形態において、第1のリテーナは、リクライニング抵抗機構体がリクライニング抵抗の第1のレベルを提供するように、抵抗装置に係合する。1つの実施形態において、第2のリテーナは、第1のリテーナによって提供されるリクライニング抵抗の第1のレベルと異なるリクライニング抵抗の第2のレベルを提供する位置まで移動可能である。第1のリテーナによって提供されるリクライニング抵抗の第1のレベルが、相対的に低いレベルのリクライニング抵抗であり、第2のリテーナによって提供されるリクライニング抵抗の第2のレベルが、相対的に高いレベルのリクライニング抵抗である。
1つの実施形態において、第2のリテーナは、背もたれ部が略直立位置からリクライニングされたときに抵抗装置に係合する係合位置と、係合解除位置との間で選択的に移動可能である。1つの実施形態において、係合位置において、第2のリテーナは、背もたれ部が略直立位置にあるときに抵抗装置に係合していない。
1つの実施形態において、第1のリテーナは、第2のリテーナが選択的に係合されているか否かに関係なく、背もたれ部がリクライニングされていないときに抵抗装置に接触している。
1つの実施形態において、リテーナの少なくとも1つが、異なるレベルのリクライニング抵抗を提供するよう、複数の係合位置間で抵抗装置に対して移動可能である。
1つの実施形態において、抵抗装置は背もたれ部に動作可能に接続され、第1及び第2のリテーナは、支持フレームに動作可能に接続されている。
1つの実施形態において、板バネは、背もたれ部が略リクライニング位置にあるときに所定の有効長さ、反動長さ、及び撓み量を有し、第2のリテーナの第1の位置において、有効長さ、反動長さ、及び撓み量が全て、第2のリテーナが第2の位置にある場合よりも大きく、リクライニング支持体により提供される抵抗レベルは、第2のリテーナが第1の位置にあるときに比較的高く、第2のリテーナが第2の位置にあるときには比較的低くなる。
1つの実施形態において、第1の位置は、背もたれ部が略直立位置からリクライニングしたときに第2のリテーナが板バネに係合する係合位置であり、第2の位置が係合解除した位置である。或いは、第1及び第2の位置は、背もたれ部が略直立位置からリクライニングしたときに第2のリテーナが板バネに係合する異なる係合位置とすることができる。
1つの実施形態において、板バネは、背もたれ部と共に移動するよう背もたれ部に動作可能に接続され、第1及び第2のリテーナが、支持フレームに動作可能に接続されている。1つの実施形態において、第2のリテーナが、支持フレームに枢動可能に接続され、板バネの前端と選択的に係合可能である。
1つの実施形態において、板バネは、支持フレームに動作可能に接続され、第1及び第2のリテーナは、背もたれ部と共に移動するよう背もたれ部に動作可能に接続されている。
1つの実施形態において、抵抗装置がトーションバネを含む。1つの実施形態において、トーションバネが脚部を含み、第1のリテーナが脚部に係合する。
1つの実施形態において、第2のリテーナは、脚部の端部に係合及び係合解除するよう移動可能であり、トーションバネの有効バネ定数及びこれによるリクライニング抵抗は、第2のリテーナが脚部の端部に係合したときにより高くなる。
1つの実施形態において、トーションバネが更に、背もたれ部に動作可能に接続された別の脚部を含む。1つの実施形態において、トーションバネが、本体と2つの脚部とを含み、該本体が、支持フレームに対して背もたれ部の枢動軸上に位置付けられ又は離間して配置されている。
1つの実施形態において、抵抗装置が複数のバネを含み、第1のリテーナ及び/又は第2のリテーナが複数のバネと係合可能である。例証として、バネは、板バネとすることができ、トーションバネとすることができ、或いは、互いに異なることができる。
本明細書で使用される用語「含む」は、「少なくとも部分的にからなる」を意味する。用語「含む」を含む本明細書における各記載を解釈する際には、当該用語の前にあるもの以外の特徴要素も存在してもよい。「含む」及び「含んでいる」などの関連用語は、同様に解釈すべきである。
本明細書で使用される用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」、或いはその両方を意味する。
本明細書で使用される名詞の複数形は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
本明細書で開示される数の範囲(例えば、1〜10)に対する記載はまた、当該範囲内にある全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)、また、当該範囲内にある有理数の何れかの範囲(例えば、1〜8、1.5〜5.5、及び3.1〜4.7)に対する記載も包含し、従って、本明細書で明示的に開示される全ての範囲の全部分範囲が本明細書で明示的に開示される。これらは、特別に意図されたものの例示に過ぎず、列記された最も小さな値と最も大きな値との間の数値の全ての可能な組み合わせが、同様の方法で本出願において明示的に記載されていると見なされるべきである。
椅子は、あらゆる好適な形態の椅子とすることができる。例えば、椅子は、オフィス用椅子とすることができる。椅子は、限定ではないが、車両シート、航空機シート、又は船用シートのような移動体シート、又はラウンジ椅子、又は劇場椅子を含む、様々なタイプの椅子とすることができる。
本発明の様々な実施形態の任意選択の特徴要素については、添付の従属請求項において記載されている。
本発明に関連した当業者には、添付の請求項に定められた本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構成上の多くの変更並びに多種多様な実施形態及び用途が示唆されるであろう。本明細書における開示内容及び説明は、純粋な例示であり、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。本発明の関連する技術分野における既知の同等の値を有する特定の整数値が本明細書において言及されている場合、このような既知の同等の値は、あたかも個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものと見なされる。
本発明は、上記のことからなり、また、以下において単に実施例として与えられる構成を想定している。
ここで、本発明をより完全に理解できるようにするために、添付図面を参照して幾つかの実施形態を例証として説明する。
各図面は、特定の部品を説明するのに好都合なように種々の異なる角度からの好ましい形態の椅子を例示しているので、椅子の前方方向を示すために、必要に応じて一部の図面に「F」で表記された矢印が挿入されている。従って、前方、後方、左側及び右側(又は同様のもの)という用語は、必ずしも特定の図面に示される方向を基準としておらず、椅子の前方方向Fを基準として解釈すべきである。
好ましい形態の椅子の構成要素及び動作を完全に理解できるようにするために、本明細書では好ましい形態の椅子の特徴要素が説明され図示される。本明細書で記載される特徴要素の全てをあらゆる椅子に設ける必要はない点は理解されるであろう。
図1〜7は、本発明の第1の好ましい形態による椅子101を示している。図8〜11は、本発明の第2の好ましい形態による椅子101’を示している。両方の椅子は、以下で記載される特徴要素の何れかの1又はそれ以上を有することができる。第1の好ましい形態の椅子101と第2の好ましい形態の椅子101’の主な相違点は、第1の好ましい形態の椅子101は、背もたれ部501が着座者の背中部分をほぼ肩甲骨領域まで支持するようなサイズにされ構成されている「ミッドバック」の椅子である点である。第2の好ましい形態の椅子101’は、背もたれ部501’が着座者の背中部分を肩領域まで含めて支持するようなサイズにされ構成されている「ハイバック」の椅子である。これらの椅子は、その他の点では実質的に同じであるので、図面において同じ参照符号は同じ部品を示し、ダッシュ「’」は異なるセクションを示している。
各椅子は、床面上で椅子を支持するベース103を含む支持フレーム102を有する。図示の形態において、ベースは、単一の中央ハブから外向きに延びた複数の半径方向に延びる脚部107を有するキャスター付きベース103である。図示の形態では、5つの脚部がある。しかしながら、より多く又はより少ない脚部があってもよい点は理解されるであろう。キャスター又はローラ109は、中央ハブに対向して半径方向に延びる脚部107の端部にて回転可能に取り付けられる。キャスターにより、椅子の着座者がベース103を移動させ、これにより地上面に沿って椅子を移動できるようになる。代替の構成において、椅子は、地上面で椅子の転動移動を可能にしない固定ベースを備えることができる。
高さ調整可能支柱111は、ベースの中央ハブに結合されて、そこから上向きに延びる。高さ調整可能支柱は、あらゆる好適なタイプの空気又はガスバネとすることができ、これにより、床面に対する椅子の座部171及び背もたれ部501、501’の高さ調整が可能になる。支持フレームの主トランサム121は、高さ調整可能支柱111の上端に結合され、その結果、支柱の高さ調整によりトランサム121及び支持される構成要素の高さ調整が起こることになる。
着座者を支持する座部151及び着座者の背中を支持する背もたれ部501、501’は、以下で説明されるリクライニング機構体を介してトランサム121に結合され、その結果、座部151及び背もたれ部が、支持フレームに対して移動可能となる。座部151及び背もたれ部501については、以下で更に詳細に説明する。
椅子101、101’は、着座者の腕を支持するためのアーム支持組立体を備えることができ、又は備えなくてもよい。
リクライニング機構体
好ましい形態の椅子において椅子の背もたれ部501、501’は、直立位置(図3及び10)とリクライニング位置(図7)との間で支持フレーム102に対してリクライニング可能である。椅子は、背もたれ部501、501’を座部及びトランサム121に結合するリクライニング機構体201、202を備える。リクライニング機構体は、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに座部151を持ち上げるように構成される。
図12〜17は、第1の好ましい形態のリクライニング機構体201を示している。この実施形態において、リクライニング機構体は、背もたれ支持アーム203、ロッカーアーム211、及びコネクタリンク215を含む。背もたれ支持アーム203は、背もたれ部501、501’に固定され、該背もたれ部501、501’から前方に延びる。背もたれフレーム503と背もたれ支持アーム203との間の角度は、好ましくは固定され、約90°である。背もたれ支持アーム203は、剛性部材であり、後端から枢動部219まで前方に延びた後方セクション203aと、枢動部219と205の間の上向き且つ前方に角度が付けられた中間セクション203bと、枢動部205と207の間の前方セクション203cとを備えたキンク構成を有する。好ましくは、背もたれ支持アーム203の一部分203cは、背もたれ部501、501’が直立状態にあるときにほぼ水平であり、背もたれ部がリクライニングしたときに上向き及び前方に角度が付けられる。
背もたれ支持アーム203は、枢動部205によりトランサム121に枢動可能に接続され、背もたれ支持アーム203の前端203cは、枢動及び滑動部207により支持体161を介して座部151の比較的前方部分に枢動可能に接続される。好ましくは、背もたれ支持アーム203の前端は、座部151の前部に接続される。ロッカーアーム211は、枢動部213によりトランサム121に枢動可能に接続され、座部151の比較的後方部分に枢動可能に接続された第1の比較的前方端部と、コネクタリンク215に枢動可能に接続された第2の比較的後方端部とを有し、ロッカーリンク211を背もたれ支持アーム203に動作可能に接続して背もたれ支持アーム203に対して移動するようにする。
ロッカーアーム211とトランサム121との間の枢動接続部213は、トランサム121の後方部分にて又はそれに隣接して位置付けられる。背もたれ支持アーム203とトランサム121との間の枢動接続部205は、ロッカーアーム211とトランサム121との間の枢動接続部213に隣接してその前方にある。ロッカーアームと座部151との間の枢動接続部209は、背もたれ部の完全リクライニング構成及び完全直立構成の両方において、椅子の前後方向で背もたれ支持アーム203及びトランサム121の枢動接続部とほぼ整列している。
第1の実施形態201において、ロッカーアーム211と接続リンク215の枢動接続部217は、背もたれ部が完全直立及び完全リクライニングにされた両方において、接続リンク215と背もたれ支持アーム203の枢動接続部219の実質的に垂直方向に上方に位置付けられる。図12及び13に示すように、直立から約18°の角度αによる背もたれ部501のリクライニングの間、接続リンク215と背もたれ支持アーム203との間の角度γは、約2°未満、約93.6°〜約95.4°まで変化する。当該リクライニング中、ロッカーアーム211は、背もたれ部が完全直立したときには水平よりも下に前方下向きの角度方向から、すなわち、約13°、好ましくは約12.7°の角度θから、背もたれ部が完全リクライニングしたときには水平よりも上方に約24°、好ましくは約23.8°の前方上向きの角度方向まで枢動する。リクライニング構成において、ロッカーリンク211の前方上向きの角度θは、トランサム枢動部205から座部枢動部207まで延びる背もたれ支持アーム203の部分203cの前方上向きの角度βよりも大きい。この実施形態において、前方上向きの角度βは、リクライニング構成において約17.1°であり、前方下向きの角度βは、背もたれ部が直立したときに約0.8°である。
図15〜17は、背もたれ部501、501’が完全直立位置(図15)、中間位置(図16)、及び完全リクライニング位置(図17)にある、図12〜14のリクライニング機構体の側面図を示している。
図27に示すように、背もたれ支持アーム203と座部151との間の枢動及び滑動部207は、座部151の前方部分の底面に固定されたピン210と、背もたれ支持アーム203の前端203cにおける少なくとも1つのスロット208とを含む。スロット208は、リクライニング中にスロット208に沿ったピン210の約1.5mm〜約2mmの移動を可能にする僅かに細長のアパーチャである。或いは、枢動及び滑動部207は、背もたれ支持アーム203の前端において、座部103のスロット内で滑動する他の何れかの滑動接続部(例えば、ピン又は突出部)を含む。
図18〜22は、第2の好ましい形態のリクライニング機構体202を示す。当該実施形態は、図12〜17の実施形態と同様の特徴要素及び機能を有し、同じ参照符号は同じ部品を示し、ダッシュ「’」は異なるセクションを示している。この実施形態は、コネクタリンク215の代わりに、ロッカーリンク211’が背もたれ支持アーム203に動作可能に接続され、枢動及び滑動接続部220を介して背もたれ支持アームに対して移動する点で異なっている。ロッカーリンク211’は、その2つの端部の中間の枢動部213’においてトランサム121に枢動される。
枢動及び滑動接続部220の前後位置は、トランサム枢動部213’と座部枢動部209との間のロッカーリンク211’の前方部分が第1の実施形態の場合と同様に背もたれ部501、501’のリクライニング中に同じ角度を通って移動できるように選択され、その結果、背もたれ部501、501’のリクライニング時に座部151に加わる移動は、第1の実施形態210と第2の実施形態202の両方で実質的に同じであるようになる。座部151と背もたれ支持アーム203’との間の枢動及び滑動接続部207は、第1の実施形態210と第2の実施形態202の両方で実質的に同じである。背もたれ支持アームの枢動部220、205、207は、図12〜17の実施形態におけるよりもこの実施形態の方がより直線的であることは理解できる。
好ましくは、枢動及び滑動接続部220は、図20〜22に示すように、ロッカーアーム211’上にピン223と、背もたれ支持アーム203’においてスロット225とを備える。好ましくは、枢動及び滑動接続部220によって、約2〜約3mm、最も好ましくはおよそ2.5mmの滑動移動が提供される。枢動及び滑動接続部220によって提供される滑動移動の量は、背もたれ支持アーム203’に対する接続部220の垂直位置によって決まる。枢動及び滑動接続部220の所与の前後位置については、枢動及び滑動接続部のより低い位置は、より高い位置に比べてより多くの滑動が必要となる。或いは、滑動接続部は、例えば、背もたれ支持アーム203’の表面に沿って滑動可能なロッカーアーム211’上に回転可能に取り付けられたローラなど他の何れかの好適な滑動接続部を含むことができる。
リクライニング機構体は、単一の背もたれ支持アーム203、203’、ロッカーアーム211、211’及び/又はロッカーリンク215又は枢動及び滑動部220を備えることができ、椅子のほぼ中央に取り付けることができる。好ましくは、椅子は、背もたれ支持アーム203、203’のペアと、リクライニング機構体の移動に安定性をもたらすため椅子の横幅にわたって離間して配置されるロッカーリンク215又は枢動及び滑動部220の対応するペアとを備える。2つの背もたれ支持アーム203、203’は、2つの前方に延びるアームとクロスメンバーを介して接続された単一の一体部材を含むことができ、或いは、背もたれ部501、501’に共に動作可能に接続された2つの別個の支持アームを含むことができる。
図25〜30に示すように、トランサム121は、好ましくは、離間して配置された側壁227のペアと、ベース229とを含む。背もたれ支持アーム203、203’は、好ましくは、トランサム側壁227の内寄りに位置付けられ、枢動部213、213’にてそれぞれの側壁227に枢動可能に接続される。ロッカーリンク211、211’は、好ましくは、トランサム側壁の外向きに位置付けられる。
図15〜17及び20〜22は、背もたれ部501、501’が直立した、部分的にリクライニングした、及び完全にリクライニングしたリクライニング機構体の側面図を示している。リクライニング中、座部151は最初に、ロッカーリンク211、211’が水平になるまで上向き及び前方に移動し、次いで、上向き及び後方に移動する。背もたれ部501、501’が直立したときには、座部151は、後方に4°角度が付けられている。背もたれ支持アーム203の前端上の第1の底面212aは、トランサム121の一部に当接して、背もたれ部の直立位置を定める直立停止部を提供する。
背もたれ部501、501’がリクライニングして、座部151が持ち上がると、座部の後方傾斜が増大するが、背もたれ部501、501’の角度変化の割合よりも少ない。背もたれ支持アーム203上の第1の面212aは、リクライニング中にトランサム121と接触しないように移動する。図17は、背もたれ部501、501’が完全にリクライニングしたときの座部151を示している。完全なリクライニング位置では、ロッカーリンク211、211’の前端上の第2の上面212bは、座部151上の面と当接し、リクライニング停止部を提供して、背もたれ部501、501’の最大後方リクライニングを定める。好ましい実施形態において、座部は、背もたれ部が直立位置にあるときに約4°後方に傾斜し、背もたれ部が完全にリクライニングしたときに約7.8°後方に傾斜している。
座部151は、好ましくは、背もたれ部501、501’がリクライニングすると、上向き及び後方に持ち上がり、後方傾斜角が増大することは理解できる。座部の持ち上がりは、「重量補正の」リクライニング機構体を提供し、軽量の着座者に比べて重量のある着座者が背もたれ部をリクライニングするのにより大きな力が必要となることを意味する。図14に示すように、トランサム121に対する座部の効果的な枢動点221は、トランサムへの背もたれ部の枢動接続部205の後方に約374mmの後方距離RPDにあり、当該枢動接続部205の下方約44.2mmの垂直方向距離VPDにある。これらの寸法は、例証に過ぎず、変えることができる。
背もたれ支持アーム203、203’が座部151の大部分の下に前方に延びて、座部の比較的前方部に接続されていることに起因して、背もたれ部501、501’のリクライニング中の座部の主な持ち上げは、座部の前方部分の持ち上げである。ロッカーアーム211、211’は、背もたれ支持アーム203、203’への動作可能な接続によって、移動に対する従動部として機能を果たし、座部の後方部分を持ち上げる。
座部151は、座部支持体161と、着座者を支持する座面171とを含む。好ましい実施形態において、座面171は、背もたれ部501、501’に対する座部深さを選択的に調整するために、座部支持体161に対して前方及び後方方向で選択的に移動可能である。ロッカーアーム211、211’及び背もたれ支持アーム203、203’は、枢動部207、209にて座部支持体161に枢動可能に接続される。或いは、座面171は、座部支持体161に固定され、深さ調整可能でなくてもよい。図示の形態において、座面171は、クッション付きの布張り面である。或いは、例えば、柔軟なスロット付き座部パネル、又はスロット付き座部パネルとクッション付き布張り面の組み合わせとすることができる。
リクライニング機構体201、201’は、低背型の機構体である。図20に示すように、リクライニング機構体の上面と下面の間の垂直高さVHRMは、好ましくは、約40mmである。図1〜11に示すように、座部の底面は、中央凹部を備えたシェル181を含むことができる。トランサム121を含むリクライニング機構体の大部分は、椅子の背もたれ部が直立しているときに中央凹部内に収容される。
図6、9及び10に示すように、3つのアクチュエータ191a、191b、191cが、底面シェル181に埋め込まれ、アクチュエータを移動させることによって着座者が椅子の特徴要素を調整できるように設けられている。1つの実施形態において、椅子の左側の前方アクチュエータ191aは、リクライニング抵抗(以下でより詳細に説明される)を調整し、椅子の右側のアクチュエータ191bは、座面171の高さ及び深さを調整し、椅子の左側の後方アクチュエータ191cは、直立ロック部251を作動させて、背もたれ部のリクライニングを阻止する。
図23及び24は、支持体161上の座部深さ取り付け部の詳細を示している。シートパネル151aの横方向に離間した部分は、支持体161の対応する部分を捕捉し、支持体上でパネル151aを滑動可能に取り付ける。支持体は、複数の離間して配置されたスロット161aを含むラックを備える。キャッチ本体192は、パネル151aに取り付けられ、横方向に移動してスロット161aと係合及び係合解除状態にする歯状部192を有する。係合時(図24)には、座面171の深さ位置は、支持体161に対してロックされる。係合解除時(図23)には、座面171の深さ位置は、椅子の着座者によって調整することができる。深さを調整するために、着座者は、アクチュエータ191bをニュートラル位置から一方向に移動させ、キャッチ本体192との結合リンク192a並びにボール192b及びソケット192c接続を介して、ラックとのトラック接続から係合解除するようキャッチ本体を移動させる。アクチュエータが解放されると、付勢力によりキャッチ本体192がラックと再係合し、複数の深さ調整位置のうちの1つの位置にて座面をロックするようになる。ニュートラル位置から他の方向でのアクチュエータの移動により、ガスバネ111を解放し、座部151の高さを調整することができる。
図27に示すように、椅子は、好ましくは、座部151に動作可能に接続されて、座部151及びトランサム121に対して選択的に横方向に滑動可能な略L字形ロック部材251を備える。ロック部材251の細長部分251aは、座部におけるアパーチャ253を貫通して延び、トランサム121のアパーチャ255に選択的に係合可能である。ロック部材251の短い部分251aは、座部におけるアパーチャを貫通して延び、細長部分が係合したときに、トランサム121の他方の上のアパーチャ255aをアパーチャ255に係合する。ロック部材251がアパーチャ255a、255において係合されると、座部151及び背もたれ部501、501’は直立位置にロックされる。アパーチャ255a、255から係合解除されたときには、座部151及び背もたれ部501、501’はリクライニングすることができる。
リクライニング抵抗機構体
椅子101、101’は更に、リクライニング位置に向けた背もたれ部501、501’の移動に抗するリクライニング抵抗機構体301、302を備える。リクライニング抵抗機構体301、302により提供される抵抗の量は、選択的に調整可能である。
図25〜32(b)は、第1の好ましい形態のリクライニング抵抗機構体301を示している。
リクライニング抵抗機構体301は、第1のリテーナ307と、抵抗装置305と、移動可能な第2のリテーナ309とを備える。抵抗装置は、背もたれ支持アーム203に接続されることにより、一方の端部にて背もたれ部501、501’に動作可能に固定される板バネ305を含む。第1のリテーナ307は、トランサム121に取り付けられ、少なくとも背もたれ部501、501’が直立位置にあるときに板バネ305の上面に係合する。直立位置において、背もたれ支持アーム203の面212aは、トランサム121の面に係合して、第1のリテーナ307は、板バネに下向きの力を加えて、板バネ305を予荷重し、背もたれ部501、501’を直立方向に付勢する。
第2のリテーナ309は、トランサム121に枢動可能に取り付けられて、係合解除位置(図29、30、32(a))と係合位置(図25、26、28、31、32(b))との間で選択的に枢動可能なサドルを含む。第2のリテーナ309は、係合解除位置にあるときには、背もたれ部501、501’のリクライニング中に板バネ305のどのような移動によっても板バネと接触状態にはない。当該係合解除構成において、背もたれ部501がトランサムに対してリクライニングされたときに、板バネは、リクライニングにこうして撓む。板バネは、図32(a)に示すように、第1のリテーナ307においてトランサムに対して反動し撓みを提供する。第2のリテーナ309は、係合位置にあるときに、第1のリテーナ307の前方で板バネ305の上面の上に位置付けられる。第2のリテーナ309は、背もたれ部501、501’が直立位置にあるときに、板バネ305に下向きの力を加えず、又は板バネ305を予荷重しない。好ましくは、背もたれ部501、501’が直立位置にあるときに、第2のリテーナ309は板バネ305の上面に接触しない。
好ましくは、係合時には、第2のリテーナ309は、背もたれ部の約3°〜5°のリクライニングの後に板バネ305と接触する。第2のリテーナ309が係合した状態で背もたれ部501、501’がトランサムに対してリクライニングすると、板バネ305は、リクライニングに抗して撓み、約3°〜5°のリクライニングを超えると、第2のリテーナ309にてトランサム121に対して反動する。図32(b)に示すように、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに、板バネ305は、第1のリテーナ307と接触を外れて離れて移動する。
図27に示すように、ハウジングブラケット319は、背もたれ部501、501’をリクライニング機構体201及びリクライニング抵抗機構体301に動作可能に接続する。背もたれ部501、501’の底部は、例えば、ボルトなどのファスナーによりハウジングブラケット319に固定される。ハウジングブラケット319はまた、ボルトなどのファスナーにより背もたれ支持アーム203に固定される。リクライニング機構体の接続リンク215は、枢動部219にて背もたれ支持アーム203に枢動可能に接続される。板バネ305の一方の端部は、ハウジングブラケット319内に位置付けられ、ピン320を用いてハウジングブラケットに対して前方/後方方向で位置決めされる。ハウジングブラケット319は、ハウジング内に位置付けられて離間して配置される2つの横方向ロッドを備える。第1のロッド323は、ハウジングブラケット319の下側前方部分に向かって位置付けられ、第2のロッド321は、第1のロッド323の上方且つ後方に位置付けられる。板バネは、第1のロッド323の上方で且つ第2のロッド321の下方でハウジングブラケット内に延び、第1及び第2のロッドが、ハウジングブラケット319に対して及びこれにより背もたれ部501、501’に対して片持ちの関係で板バネを効果的に保持するようになる。背もたれ部501、501’がリクライニングすると、ロッド321、323は、バネのリクライニング力に対して反動する。ロッド321、323は、ハウジング319に対するバネ305の直線状の片持ち接続と比べてバネ305の有効長を増大させ、また、ハウジングに隣接するバネに対する応力集中を低減する。
好ましい実施形態において、板バネ305は、例えば、一方向ガラス繊維強化エポキシ複合材などの複合材料を含む。或いは、板バネは、例えば、バネ鋼を含むことができる。
図31において、板バネ305は、第1のリテーナ307のみが係合したときに有効長BRを有し、第2のリテーナ309が係合したとき(及び背もたれ部501、501’がリクライニングしているとき)により長い有効長BSを有することが分かる。板バネ305はまた、第1のリテーナ307のみが係合したときに、背もたれ部501、501’の主枢動部205からトランサム121の間の第1の反動長PRを有し、第2のリテーナ309が係合したとき(及び背もたれ部501、501’がリクライニングしているとき)により長い第2の反動長PSを有する。
ここで図32(a)及び32(b)を参照すると、第1のリテーナ307のみが係合したときに、バネは、第1の量D1だけ撓んで背もたれ部がリクライニングし、他方、第2のリテーナが係合したときには、板バネ305の同じ点は、より大きな第2の量D2だけ撓む。そのため、第2のリテーナ309が係合した状態では、バネの有効長、反動長、及び撓み量は全て、背もたれ部のリクライニング中は第1のリテーナ307のみが係合したときよりもより大きいことになる。第2のリテーナ309が係合した状態では、板バネ305の有効長がより大きいので、第1のリテーナ307のみが係合した状態に比べてより小さなバネ定数を提供する。しかしながら、より長い反動長PS及びより大きなバネ撓みD2は、有効長がより大きいバネのより小さなバネ定数に打ち勝つ。
第1のリテーナ307はバネを予荷重し、第2のリテーナ309は、係合位置になり背もたれ部501、501’が直立したときにはバネに接触しないので、第2のリテーナ309の位置を調整するためにバネ305に作用する力に打ち勝つ必要はない。
例えば、図28に概略的に示されるように、第2のリテーナ309は、ボーデンケーブル315により調整される。ケーブルは、ケーブルハウジングと、ハウジングに対して移動可能な内側ケーブル部分とを有する。内側部分317は、着座者が使用するため座部の底面上のアクチュエータ191aに結合される。着座者が手動でアクチュエータを移動させると、これによりケーブル317の内側部分の移動が生じる。これにより、ケーブルの内側部分の他方の端部の移動、並びに板バネ305と係合し又は係合解除する関連する第2のリテーナ309の枢動が引き起こされることになる。板バネ305の自由端部は、第2のリテーナが係合位置にあり、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに第2のリテーナ309をラッチするリテーナキャッチ313を含む。第2のリテーナ309が板バネ305と係合すると、第2のリテーナは、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに、トランサムに対して枢動して、板バネの端部と共に回転することができる。リテーナキャッチ313により、背もたれ部501、501’のリクライニング中に、第2のリテーナが意図せずに枢動して板バネ305との係合が外れるのが阻止される。
図32(a)及び32(b)から分かるように、第2のリテーナ309が係合位置にあり、ユーザが図32(b)の係合位置に第2のリテーナ309を移動させようとしたときに、椅子の背もたれ部501、501’がリクライニングした場合、第2のリテーナ309は、上昇した板バネ305の端部に衝突することになる。同様に、椅子の背もたれ部501、501’がリクライニングしているときに、ユーザが、第2のリテーナ309を移動させて板バネ305との係合を外そうとする場合、板バネ305によって第2のリテーナ309に作用させる力が大きすぎて、第2のリテーナ309をバネから係合解除することができないことになる。従って、図28において概略的に示されるように、ケーブルは、コイルバネのような第1の付勢装置318を含み、これにより、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに第2のリテーナ309を板バネ305と係合又は係合解除するように着座者が予め設定することが可能となり、また、背もたれ部が直立位置に戻っており、第2のリテーナ309が板バネ305と係合又は係合解除できるときにのみ調整を行うようにする。このことは、ケーブル315の一部に設けられるコイルバネ318aのような第2の付勢装置を用いて達成される。
第2の付勢装置318aは、第1の付勢装置318よりも剛性があり、通常使用において、リテーナが係合又は係合解除されたときに、第2の付勢装置318aは非圧縮状態である。第2のリテーナ309が係合解除されて、背もたれ部がリクライニングされたときに、着座者が第2のリテーナ309を板バネ305と係合状態に予め設定した場合には、第2のリテーナは、板バネを係合しようとするが、板バネの端部と接触していることに起因して、所定位置に枢動することはできないことになる。第2の付勢装置318aが圧縮するのではなく、椅子が直立位置に戻ったときに、第2の付勢装置318aは、第2のリテーナ309を引張して、板バネ305と係合状態にすることになる。同様に、第2のリテーナ309が板バネ305と係合し、背もたれ部がリクライニングしたときに、着座者が板バネ305を係合解除するよう第2のリテーナ309を予め設定した場合、第2のリテーナは、係合解除しようとするが、枢動して係合解除することはできない。代わりに、ケーブル315は緩んだ状態になる。椅子が直立位置に戻ると、第1の付勢装置318は、第2のリテーナ309を押し込んで、板バネ305との係合を解除する。
上記の説明では、リクライニング抵抗機構体301の1つの好ましい形態のみを記載している。代替の実施形態において、トランサム121に枢動可能に接続されるのではなく、第2のリテーナ309は、トランサム121に対するバネ305の反動点を変えるために板バネ305に対して滑動することができる。このような実施形態において、背もたれ部501、501’がほぼ直立位置にあるときには、第2のリテーナ309は、バネ305に対する予荷重を明けることなく、バネに対して自在に滑動できることになる。更に、第1のリテーナ307及び第2のリテーナ309に加えて、更なるレベルのリクライニング抵抗を提供するために、板バネ305と係合可能な1又はそれ以上の追加のリテーナが存在してもよい。
図25〜32(b)に示す好ましい実施形態は、単一の板バネ305を含む。或いは、リクライニング抵抗機構体301は、2又はそれ以上の板バネを含むことができる。第1のリテーナ307、第2のリテーナ309、及び追加のリテーナは、これらのバネのうちの1つだけを係合することができ、又は、1つよりも多いバネを同時に係合することができる。例えば、トランサム121の対向する側部に向けて各々が位置付けられる2つの板バネを有する実施形態において、各板バネは、トランサム121に取り付けられたそれぞれの第1のリテーナ307を含むことができる。トランサムに枢動可能に取り付けられる第2のリテーナ309は、第2のリテーナが高抵抗位置に調整されたときにバネの両方を係合するよう構成された2つのサドルを含むことができる。
図33〜36は、第2の好ましい形態のリクライニング抵抗機構体302を示している。この実施形態の特徴要素及び機能は、上述の実施形態と同様であり、同じ参照符号は同じ部品を示している。この実施形態において、板バネ305を用いるのではなく、抵抗装置は、トーションバネ325である。トーションバネ325は、トランサムに動作可能に接続された第1の脚部326aと、背もたれ部に動作可能に接続された第2の脚部326bと、を含む。第2の脚部326bは、横方向に延びる屈曲端部を含み、背もたれ支持アーム203におけるアパーチャに受けられる。図示の形態において、トーションバネ325は、二重コイルトーションバネであり、背もたれ部に動作可能に接続された2つの脚部326bと、トランサム121に動作可能に接続された2つの脚部326aとを有する。好ましい実施形態において、トーションバネの枢動部は、背もたれ部の枢動部205の後方に位置付けられる。或いは、トーションバネの枢動部は、枢動部205と一致するか、又は枢動部205の前方にあることができる。上述の板バネの実施形態の場合と同様に、トランサム121に固定された第1のリテーナ307’は、トーションバネ脚部326aの上面と係合して、トーションバネ脚部326aをトランサム121に動作可能に接続し、背もたれ部501、501’が直立位置にあるときにトーションバネ325に予荷重を加え、背もたれ部501、501’がリクライニングしたときに第1のリクライニング抵抗を提供する。フック形態の第2のリテーナ309’は、枢動部311’にてトランサム121に枢動可能に取り付けられ、背もたれ部501、501’が直立位置にあるときに脚部326a間でクロスメンバーと係合して、背もたれ部のリクライニング中のリクライニング抵抗を増大させるように枢動可能である。
トーションバネの枢動部が背もたれ枢動部205の後方に位置付けられる実施形態において、トーションバネの脚部326aは、板バネの実施形態と同様の方式でリテーナと相互作用する。すなわち、第2のリテーナ309’が係合状態であれば、背もたれ部のリクライニング中のバネの反動長及び撓み量は、第1のリテーナ307’のみが係合されたときに比べてより大きい。第2のリテーナ309’が係合状態であるときのバネ脚部326aの有効長がより長いので、これにより第1のリテーナ307’のみが係合されたときに比べてより小さいバネ定数が提供される。しかしながら、より長い反動長及びより大きなバネ撓みは、有効長がより大きいバネのより小さなバネ定数に打ち勝つ。代替の実施形態において、背もたれ部501、501’とトランサム121との間で動作可能に接続されるのではなく、抵抗機構体301、302は、座部151とトランサム121の間、又は背もたれ部501、501’と座部151の間で動作可能に接続することができる。これに加えて、又は代替として、リクライニング抵抗機構体は、上述の第2の好ましい形態のリクライニング機構体201’を有する椅子、又は他のタイプのリクライニング機構体を有する椅子で用いることができる。
アーム組立体
椅子101、101’は、座部組立体151の何れかの側部に位置付けられたアーム組立体401のペアを有する。好ましい形態のアーム組立体が、図37及び38に示されている。各アーム組立体401は、支持組立体402とアームレスト403とを含む。アームレスト403は、高さ調整のみ可能であるように、支持組立体402に対して所定位置に固定することができる。或いは、アームレスト403は、高さ調整可能であると同時に、支持組立体402に対して略水平方向に移動可能とすることができる。例証として、アームレスト403は、支持組立体402に対して、前後方向、左右方向、及び/又は実質的に垂直軸線の周りで枢動可能に選択的に移動可能とすることができる。図示の形態において、支持体402は、背もたれ部がリクライニングしたときにアームレストが背もたれ部と共に移動するように、背もたれ部501、501’に接続される。或いは、支持体402は、座部151又は支持フレーム(例えば、トランサム121)などの椅子の異なる部品に接続することができる。
移動可能アームレスト403を支持する支持組立体402は、好ましくは、高さ調整可能であり、椅子101、101’に取り付けられる。図39〜44を参照すると、高さ調整可能支持組立体402は、好ましくは、支持本体406、本体を受けるスリーブ405、及びレバー411を備える。本体406は、レバー作動によってスリーブ413において選択的に高さ調整可能であり、椅子101、101’に対してアームレスト403の高さを調整する。
スリーブ405は、2つの内側スリーブ部415、417を含み、これらは、外側スリーブ部材413内に位置し、取り付けプレート419により所定位置に保持される。好ましくは、内側スリーブ部の一方417は、他方の内側スリーブ部415及び取り付けプレート419の上に嵌合して3つの要素の正確な位置合わせ及び審美性を確保するカラー417aを含む。或いは、カラー417aは、別個のカバー部材であってもよい。各内側スリーブ部415、417の内側表面は、細長く垂直方向の溝部416b、418bと、複数の戻り止め416a、416bを備えた、戻り止め付き溝416、418を含む。図示の実施形態において、戻り止め416a、418aは、細長垂直スロット416b、418bから後方に延びる水平ノッチを含む。
支持体406は、細長中空の湾曲した実質的に垂直な管状部406aと、中空部406aの上部から延びた、前方に延びる実質的に水平の片持ち部406bとを含む。支持本体403の中空部406aは、スリーブ405、413、415、417により受けられる。片持ち部406bは、アームレスト402を動作可能に支持する。アームキャップ部材407は、支持本体406の片持ち部406b及び細長中空部406aの両方の上部にファスナーにより取り付けられてこれらを覆う。アームキャップ部材407は、支持本体406の片持ち部406b及び細長中空部406aの両方の上部にファスナー(図示せず)により取り付けられてこれらを覆う。
支持本体406は、好ましくは、成形プラスチック部材である。鉄鋼強化部材421は、本体406内に位置付けられる。
レバー411は、支持本体406内に位置付けられ且つレバー411及びアームキャップ407においてアパーチャを貫通して延びるピン423により形成された枢動部407aの周りで本体406に対して枢動可能な反転L形部材である。レバーの1つの脚部は、支持本体の細長中空部406a内に位置付けられ、レバーの他の脚部は、支持本体の片持ち部406bに位置付けられる。レバー411は、強化部材421及びキャップ部材407に取り付けられ、或いは、支持体406に他の方法で動作可能枢動可能に取り付けられる。
レバー411の下側端部は、ガイド突出部427と、ロックピン429とを含む。ロックピン429は、突出部の中心を通過し、及び本体406の何れかの側部に設けられたスロット(図示せず)を通過する。ロックピン429は、内側スリーブ部415、417上の戻り止め付き溝416、418内に延びる。突出部は、レバー411がその枢動ピン423の周りを枢動すると、本体406内のスロットにおいて前方及び後方に移動する。本体のスロットの2つの端部及び溝416、418は、レバー411の枢動を制限するための突出部427に対する停止部として機能する。強化部材421は、別のスロット425を定め、該スロット425は、レバー411が枢動するときにガイド突出部427が強化部材421に対して移動できるようにレバー上の突出部に対するクリアランスを提供する。レバー411は、上端及び前端にてアクチュエータ部410を含む。支持本体406の片持ち部406bの底面にある開口は、アクチュエータ部410を露出させる。好ましくは、アクチュエータ部は、ユーザがアクチュエータ部410を容易に位置決め可能となるよう、開口を貫通して突出する。アクチュエータ部410の上向きに押し上げ又は引き上げ、或いは解放によって、レバー411が枢動部423の周りに枢動するようになる。レバー411が枢動すると、突出部427は、強化部材スロット425内を滑動し、ロックピン429が本体のスロット406c内を滑動して戻り止め付き溝416、418内で移動し、戻り止め416a、418aを係合及び係合解除する。
図41は、最も低い位置でロックされた支持組立体を示し、ここでロックピン429は、最も低い戻り止め416a、418aと係合している。付勢装置424(図示の形態においてはコイルバネである)は、アクチュエータ部410とアーム本体キャップ407との間に位置付けられて、アクチュエータ部410を下向きに付勢し、これによりロックピンが戻り止め416a、418a内で係合するロック位置にレバー411を付勢する。アクチュエータ部410に上向きの圧力を加えることにより、ロックピン429がロックピンが戻り止め416a、418aから係合解除されて細長スロット416b、418b内を自在に滑動する解放位置までレバー411を枢動させる。或いは、付勢部材は、レバー411の異なる部分とハウジング406、407との間に位置付けられ、レバーをロック位置又は解放位置に付勢することができる。あらゆる好適なタイプの付勢装置を用いることができる。図42及び43は、解放位置におけるレバー411及びロックピン429を示している。レバー及びピンが解放位置にあるときに、アーム組立体本体406は、スリーブ405内で上側限度及び下側限度の間を自在に滑動し、アームレストの高さを調整する。例えば、アーム組立体は、アームレスト403及びアーム本体406を上方に引き上げ又は押し上げることによって、図42に示す最低位置から図43に示す位置まで調整可能である。アクチュエータ部410が、図43に示す位置から解放されると、バネ424は、レバー411をロック位置に向けて付勢して戻し、ロックピン429を戻り止め416a、418a内に移動させ、図44に示すようにアームレストの高さをロックする。
アームレストは、戻り止め416a、418aの数に相当する複数の高さまでスリーブ405に対して調整可能である。例えば、図示の実施形態において、戻り止め付き溝416、418は各々、10個の垂直方向に離間したノッチを含み、アームレストは、10個の異なる高さの間を移動可能である。スリーブは、アームレスト403の調整をより多く又はより少ない位置の間で可能にするよう、10個よりも多く又はより少ない戻り止めを含むことができることは理解されるであろう。
支持組立体402を組み立てるために、レバー411及び強化プレート421は、強化プレートスロット425内にレバー突出部427と共に配列され、ピン423を用いて枢動部407aにてキャップ部材407にピン止めされる。次いで、レバー及びプレート421は、支持本体406に載置される。レバー411及び強化プレート421を取り付ける前又は後で、上述の回転機構体がカバー407に接続される。次に、キャップ部材407を支持本体406bにスクリュー止めする。次いで、ロックピンが、アーム本体406の細長中空部内のスロットを通って、レバー突出部427の相補的アパーチャに挿入される。次に、内側スリーブ部415、417及び取り付けプレート419は、アーム本体406の細長部の周りに組み付けられ、ロックピン429の2つの端部がそれぞれの戻り止めスロット416、418内に位置付けられるようにする。次いで、内側スリーブ部415、417及び取り付けプレート419を外側スリーブ415内に滑動させる。
取り付けプレート419は、スリーブ組立体405を取り付けて、これによりアーム支持組立体を椅子101、101’に取り付けるために整列したネジ付きアパーチャ420を有する。アパーチャ(図示せず)はまた、外側スリーブ413の後部に設けられ、例えば、キャップスクリューのようなファスナー420aを受けるための取り付けプレート419のアパーチャ420と整列される。スリーブ組立体405は、キャップスクリューを背もたれ部501、501’のアパーチャを通って椅子の背もたれから取り付けプレート419上のネジ付きアパーチャ420内に送り込むことによって、椅子の背もたれ部501、501’に取り付けられる。
外側スリーブ413の裏面は、好ましくは、椅子の背もたれ501のそれぞれのフレーム部材504aに実質的に互いに接触して位置付けるような形状にされる。例えば、図示の実施形態において、スリーブ419の後部は、凸状の背もたれフレーム部材504aと面一に重なる位置となるよう凹状である。図37〜44から、高さ調整機構体(アクチュエータ部410以外)は、アーム支持組立体の外部から実質的に隠れて見えず、これによりアーム支持組立体の好ましい審美性を提供することが分かる。とはいえ、スリーブ組立体405は、支持本体406に対して小さな高さしか有していない。
代替の実施形態において、支持体402は、高さ調整可能でない支持体であってもよく、椅子101に取り付け可能な単一の部材を含むことができる。或いは、支持体は、高さ調整可能であるが、角度方向で調整可能及び/又は前後又は横方向で調整可能なアームレストを含まない場合がある。
背もたれ部
(背もたれ構造)
図45〜70は、好ましい形態の背もたれ組立体501を例示している。背もたれ組立体501は、サイドフレーム部材504aと、上側フレーム部材504b及び下側フレーム部材504cとを有して開口503aを定める背もたれフレーム503を含む。以下で更に詳細に説明する支持体531は、フレーム503に取り付けられ、フレーム開口503aにわたって懸架される。クッション組立体507が、フレーム503の前で支持体531の前面に接して位置付けられる。1又はそれ以上のステープル受け入れ部材511、512が、フレーム503の背面に固定され、クッション部507をフレーム503に接続する。審美的カバー517が背もたれ組立体の背面に位置付けられ、フレーム503、クッション組立体507、及びステープル受け入れ部材511、512の間の接続部を覆うようにする。
前方突出接続部505が、下側フレーム部材504cに接続され、背もたれ組立体501をリクライニング機構体201に接続する。接続部505は、上述の背もたれ支持アーム203に接続され、背もたれ部をトランサムに対してリクライニングできるようになる。或いは、背もたれ支持アーム203及び背もたれ支持アームの接続部は一体化されてもよい。代替の実施形態において、背もたれ組立体501は、トランサム又は座部に固定して接続することができ、或いは、代替の機構体を用いてトランサムに接続され、背もたれ組立体501のリクライニング又は移動が、リクライニング機構体201、201’に関して上記で説明したのと同じに又は異なるようにすることができる。
背もたれフレーム503は、実質的に矩形の開口503aを定める。支持体531は、長手方向に延びる複数の離間した細長いストラップ533と、横方向に延びる複数の離間したストラップ535とを含む。長手方向ストラップ533及び横方向ストラップ535は各々、アパーチャ547を各々有する2つの対向する端部コネクタ545を含む。長手方向及び横方向ストラップは、フック561により背もたれフレーム503に接続され、支持体531がアパーチャ503aにわたって懸架され、クッション組立体507のための支持面を提供する。
背もたれフレーム503及び背もたれ組立体501は、好ましくは、垂直軸線の周りで前方に凹状であり、背もたれフレーム及び背もたれ組立体の少なくとも下側部分は、好ましくは、水平横断軸線の周りで前方に凸状であり、ユーザの背中の自然な湾曲に従う。
クッション組立体507は、前方椅子張り用シート509aと、クッション508と、後方椅子張り用シート509bとを含む。クッション508は、好ましくは、発泡部材であり、支持体531用に背もたれフレーム503及びアタッチメントフック561の一部を収容する成形又は裁断部を含むことができる。椅子張り用シートは、例えば、布地、皮革、又は合成皮革などあらゆる好適なタイプとすることができる。前方椅子張り用シート509aは、クッションの前面に接着され、後方椅子張り用シート509bは、クッションの背面に接着される。クッション508は、背もたれフレーム503によって定められる開口503aと少なくとも同程度の大きさであり、好ましくは、背もたれフレーム503の前面及び開口503aを実質的に覆うようなサイズにされる。クッション508は、クッション508の周辺部が背もたれフレーム503の縁部の周りを包むように、背もたれフレーム503の前面よりも僅かに大きくすることができる。前方椅子張り用シートは、好ましくは、クッションの前面よりも大きく、前方椅子張り用シートの縁部が、クッション508の側部と後方の一部の周りを囲むことができるようにする。
図49(a)〜(c)で最もよく分かるように、背もたれフレーム503の背面は、複数の中空の円筒突出部515、516を含む。上側突出部515は、下側突出部516よりも浅くされ、下側突出部516よりも上側突出部515の輪郭を低くすることができるようにする。ステープル受け入れ部材511、512は各々、図50(a)〜(c)に示すように、複数の前方に突出する相補的圧壊ダボ513、514を有する前面を含む。圧壊ダボ513、514は、背もたれフレームの後部上で中空の突起部515、516の内径よりも僅かに大きな外径を有する。ステープル受け入れ部材を背もたれフレーム503に接続するために、ダボ513、514は、フレーム上の対応する中空突起部515、516に押し込まれ、各ダボの少なくとも一部が変形される。図51(a)及び51(b)は、ステープル受け入れ部材511、512をフレーム503に組み付けるステップを例示している。図示の実施形態において、ダボ513、514は、その周辺にリブを含む。ダボ513、514が、背もたれフレーム503上の円筒形突出部515、516に押し込まれたときに、これらのリブの少なくとも一部は平坦にされ、ステープル受け入れ部材511、512とフレーム503との間に緊密な摩擦嵌めを形成する。
ステープル受け入れ部材511、512及びダボ513、514は、好ましくは、背もたれフレーム503よりも硬度が低い熱可塑性材料を含む。例証として、ステープル受け入れ部材は、ポリプロピレンから形成することができ、フレームは、30%ガラス繊維強化PETから形成することができる。ダボ513、514の変形は通常、塑性変形であり、ステープル受け入れ部材511、512が取り外された場合には、堅固に再取り付けすることができないようになる。代替の実施形態において、ステープル受け入れ部材511、512は、他の手段を用いて、例えば、ファスナー、接着剤、又は他のスナップ型接続を用いてフレーム503に取り付けることができる。或いは、フレームは、ステープルを直接受けることができる。別の代替形態として、前方椅子張り用シートは、例えば、上述のようなあらゆる好適な手段を用いてフレームに締結することができる。
ステープル受け入れ部材511、512は、クッション組立体507を背もたれフレーム503にステープル止めするための表面を提供する。図54は、背もたれフレーム503の上部へのクッション組立体507の取り付けを示している。図示の実施形態において、前方椅子張り用シート509aは、クッション508の縁部の周りを、且つ背もたれフレーム503及びステープル受け入れ部材511、512の後方に包む。次いで、前方椅子張り用シート509aは、ステープル受け入れ部材511、512の背面にステープル止めされる。ステープル受け入れ部材は、ステープルを受けるために背もたれフレーム503よりも軟質の面を提供する。代替の実施形態において、後方椅子張り用部材509bはまた、背もたれフレーム503bの縁部の周りを包み、前方椅子張り用シート509aと共にステープル受け入れ部材511、512にステープル止めすることができる。代替として、又はこれに加えて、クッション508及び/又は後方椅子張り用シート509bは、背もたれフレーム503の前面に接着することができる。
図52に示す審美的カバー517は、前方椅子張り用シート509a、ステープル受け入れ部材511、512、及び背もたれフレームの背面のステープル止めされた部分を覆うように、背もたれフレーム503の背面に取り付けられる。審美的カバー517は、支持体531及び後方椅子張り用シート509bが背もたれ部の後方から見えるように、背もたれフレーム開口503aとほぼ同じサイズ、又は僅かに小さいサイズの開口517aを含む。審美的カバーの開口はまた、クッション組立体507及び支持体531の一部分が、ユーザを支持している間にフレーム503及び審美的カバー517を超えて後方に撓むことができるようにする。
図52(a)及び53(a)に示すように、審美的カバー517の上部は、複数の上向きに突出するタブ518を含む。タブ518は、図53(a)に示すように、背もたれフレーム503の前面上で対応する凹部521と係合するためのものである。審美的カバー517の下側部分は、図52(c)及び53(b)に示すように、複数の前方に突出する圧壊ダボ519を含む。審美的カバー517の側方部分は、複数の外向きに配向されたタブ520a及び外側突起部520bを含む。背もたれフレームの側方部材上の対応するキャッチ特徴要素は、外向きに配向されたタブ520a及び外側突起部520b間のスペースにおいて受け入れ可能である。背もたれフレーム503の下側部分は、複数の中空の円筒突出部506を含む。圧壊ダボ519は、ステープル受け入れ部材511、512に関して上述したものと同様である。
審美的カバー517は、最初に、凹部512がタブ518(図53(a))の後方になるように、上側背もたれフレーム部材に対して審美的カバー517の上部を位置付け、側方キャッチ特徴要素522を側方タブ520aと突起部520b(図53(c)及び53(d))との間にスナップ嵌合し、次いで、圧壊ダボ519を背もたれフレーム(図53(b))上のそれぞれの中空突出部506内に圧入して、圧壊ダボ519を変形させることによって背もたれフレーム503に取り付けられる。
「ハイバック」背もたれ部501’は、背もたれ部501と同様の方式で形成されることになる。しかしながら、背もたれフレーム503の上部は、開口の上方に「ブレード」を有し、クッション組立体の上端を支持する。クッション組立体は、フレームのブレードへのクッション組立体の取り付けを助けるために、ブレードを受けるポケット又は同様のものを有することができる。
成形支持体
図70は、背もたれ部501においてクッション組立部材507を支持する支持体531を示す好ましい形態の椅子の後面図である。支持体は、複数の個々の横方向ストラップ535の上に複数の個々の長手方向ストラップ533が重なり合った外観を有する。複数の個々のストラップを含む支持体は審美上の利点を有するが、このような構成は、一体部品成形の支持体と比べて組立及び性能上の幾つかの欠点がある。多数の別個のストラップをフレームに個々に取り付けることは、労働集約度がより高く、ストラップが異なる長さを有する場合には、ストラップを正しい順序及び向きで確保することが困難となる。使用時には、平行なストラップは、捻れ又は相対移動を生じやすく、審美的に魅力のあるグリッド配列を失ってしまう。
図55〜70は、個々のストラップの外観を有する図70に示す支持体を形成するために、フレーム503に取り付ける好ましい形態の成形支持体531を示す。
図55〜60、64(a)〜(f)、及び65(a)〜(b)は、成形された支持体を示している。成形支持体531は、実質的に平坦であり、複数の細長長手方向ストラップ533及び複数の細長横方向ストラップ535を含む。横方向ストラップ535は、第1の層を形成し、長手方向ストラップ533は、横方向ストラップ535と重なり合って、第1の層に重なる第2の層を形成する。一体成形された接合部材536は、横方向及び長手方向ストラップ535、533を接続し、ストラップ533、535の重なり部分に位置付けられる。好ましくは、各長手方向ストラップは、接合部材536により各横方向ストラップに取り付けられる。
成形されたままの形態において、長手方向及び横方向ストラップ533、535は、好ましくは、少なくとも非ネック付き領域において実質的に同じ断面幅及び厚さを有する。例証として、図65(a)及び(b)に示すように、ストラップは、非ネック付き領域において12mmの幅WUT、WULを有することができ、ネック付き及び非ネック付き領域に沿って約1mmの深さを有することができる。或いは、長手方向ストラップは、横方向に対して長手方向において異なる特性が望ましい場合、又は審美的理由で組み合わせ又は異なるサイズのストラップが望ましい場合には、横方向ストラップとは異なる断面寸法を有することができる。
非平行の上側及び下側フレーム部材を有するフレーム503に嵌合させるため、又は、組み立てられた形態で長手方向ストラップ533において様々な程度の湾曲に対応するために、長手方向ストラップ533の長さは変えることができる。同様に、横方向ストラップ535の長さは、同じ理由でフレームの側方部材に対して変えることができる。
横方向ストラップ535及び長手方向ストラップ533は、等間隔に配置することができ、或いは、隣接するストラップ間のスペースは変えることができる。図示の形態において、横方向ストラップは、支持体531の上部に向かってより散在して離間しており、椅子の背もたれ部の腰部に相当する支持体の部分にいては互いにより近接して離間している。支持体は、より高レベルの支持を提供するために、ストラップが互いに近接している箇所では柔軟さが低下する。
図64(a)〜64(f)及び66(a)〜66(f)で最も分かる接合部材536は、好ましくは、横方向で細長である。1つの実施形態において、接合部材は、横方向ストラップの方向で18.5mm、長手方向ストラップの方向で1.0mm、及び深さが2.0mm(2.0mmのストラップ間ギャップを形成する)である。接合部材536は、横方向ストラップ535の前面から突出し、長手方向ストラップ533の背面に接続される。
横方向ストラップ及び長手方向ストラップは共に、ストラップの側部においてノッチ又は凹部によって各接合部材536の両側にネック形成される。図示の形態において、横方向ストラップ535は、接合部材536の長さに実質的に延びた凹部を含むネック付き領域539を含む。例証として、ネック付き領域は、図65(a)に示すように、17.9mmの長さLNTを有することができ、凹部間の横方向ストラップの幅WNTは、10.0mmとすることができる。
長手方向ストラップ533は、図示の形態ではノッチを含むネック付き領域537を含む。成形されたままのネック付き領域は、接合部536の厚さよりも長いが、それぞれの横方向ストラップ535の幅よりも小さい。横方向ストラップ535上のネック部539は、長手方向ストラップ533上のネック部537よりも浅い。例証として、ノッチ間のネック付き領域の幅WNLは9.4mmとすることができ、ノッチは各々、約4.1mmの長さLNLを有することができる。
ネック付き領域の寸法は、以下で更に詳細に説明するように、歪み配向後に弛緩した後、実質的に平行な側部をストラップが有することができるように選択される。図65(a)及び65(b)に示す構成は、成形したままの長さの450%まで延伸されて歪み配向が達成されるストラップの1つの例示的な構成である。2つの幅寸法の比は、目的とする延伸率に応じて増減される。
図67は、図65と同様であるが、ネック領域のうちの1つのネックの代替の例示的な寸法を示した図である。この実施形態において、寸法LNT’、WUT’、WNT’、及びWNL’は、図65を参照して説明したそれぞれの寸法LNT、WUT、WNT、WUL、及びWNLと同じである。この実施形態において、LNL’は、図65のLNLの4.1mmと比べると、より短い寸法の3.5mmである。本形態は、ネック付き領域537が長手方向ストラップ533の直線状側部と接する領域において約1.25mmの半径LRを有する。より大きな半径は更に、ストラップが歪み配向後に弛緩した後にストラップ533の実質的に平行な側部を獲得するのが容易になる。この実施形態において、各ストラップは、ネック付き及び非ネック付き領域に沿って約1.5mmの主本体深さを有し、ストラップに沿って延びる細長リブは各々、約0.5mmの追加の深さを有することができる。歪み配向後、細長リブを除く各ストラップの主本体の深さは、約1.0mmとなる。
これらの実施形態における横方向ストラップの選択される比は、0.833(10/12=0.833)である。延伸率が増大することになる場合、ストラップ幅WUTに対するネック幅WNTの比は減少することになる。例えば、延伸率が600%まで増大すると、ネック幅WNTは8.7まで減少し、比は0.725(8.7/12)となる。或いは、延伸率が減少することになる場合、ストラップ幅WUTに対するネック幅WNTの比は増加することになる。例えば、延伸率が400%まで減少すると、ネック幅WNTは10.2まで増加し、比は0.85(10.2/12)となる。
同じ原理は、長手方向ストラップ上のネック領域に適用され、図示の寸法は、ストラップが450%までの延伸に続いて起こる弛緩後に実質的に平行な側部を有することを意図している。450%までの伸長に対する長手方向ストラップの選択される比は、0.783(9.4/12)である。
他の寸法(この実施形態では17.9mmであるネック領域長さLNT、及びこの実施形態では4.1mmであるLNL)は、接合部自体の寸法まで弛緩される。
図63におけるストラップの前面上に示された細長リブは、延伸及び歪み配向に役立ち、また、接合部がストラップと接触する場所での成形材料の流動を支援する。
接合部材、ストラップ及びネック付き領域の構成及び寸法は、本発明の態様の範囲から逸脱することなく変えることができる点は理解されるであろう。
支持体531は、当業者には周知の何れかの好適な方法を用いて成形することができる。例証として、支持体は、国際公開第2009/126051号において記載された方法を用いて射出成形することができ、当該明細書の内容は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい形態の支持体は、当該出願において記載される微細部材を有していないので、本支持体は、より従来的な成形パラメータを用いて成形することができる。支持体531は、歪み配向に好適な1つ又はそれ以上の材料から成形される。好適な材料の実施例は、デュポン(Du Pont)社から入手可能なHYTREL材料の一部を含む。形成した状態のHYTREL物品では、材料中のポリマー鎖は、比較的不規則である。物品を延伸することによって、ポリマー鎖は比較的整列された状態になる。この現象が歪み配向である。歪み配向は材料特性を変化させる。通常、材料は、より強固でより弾性になり、すなわち、形成状態の材料と比べて弾性限界が増大する。加えて、物品は一般に、延伸方向で長くなり、断面方向で短くなる。好ましい形態において、材料は、熱可塑性ポリエステルエラストマーである。好ましくは、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリブチレン・テレフタレートの硬質(結晶)セグメントと、長鎖ポリエーテルグリコールベースの軟質(非晶質)セグメントとを含むブロック共重合体である。好ましくは、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、成形法により形成された物品が完全に硬化して歪み配向される前に、ASTM D2240に従って試験したときに約30D〜約55Dの範囲の硬度を有するように選択される。より好ましくは、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、物品が約30D〜約46Dの範囲、より好ましくは約35D〜約45Dの範囲、好ましくは約36D〜44Dの範囲、より好ましくは37D〜約43Dの範囲、より好ましくは38D〜約42Dの範囲、より好ましくは39D〜約41Dの範囲、最も好ましくは約40Dの硬度を有するように選択される。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、好ましくは、HYTREL4069、HYTREL4556、HYTREL5526、HYTREL5556、HYTREL3078のうちの1つである。最も好ましくは、樹脂はHYTREL4069である。これに加えて、樹脂は、所望の特性を達成するため、例えば、UV光、火炎、熱老化、湿度に対する耐性を改善するため、及び/又は樹脂の色を好適にするために、安定材及び/又は添加材を含むことができる。
本発明の成形物品は、好適な特性を有する他のあらゆる樹脂から形成することができる。
次いで、図55〜60の成形支持体は、矢印SL、STで表されるように両方向で延伸されて、図61〜63及び70で示された細長支持体531を形成する。この伸長ステップにおいて、ストラップ533、535は各々、ストラップを長くするために長手方向のSL、STで延伸される。この伸長によって、ストラップ並びに接合部材536において材料の歪み配向が生じる。材料厚さの増大及び結果として生じる伸長の減少に起因して、接合部材536に隣接するストラップのネック付き領域537、539における歪み配向が少なくなる。ストラップが完全に延伸されたときには、領域537、539は、ストラップの最も幅広の部分である。支持体が弛緩すると、ストラップの側部は、領域537、539を含めて、長さに沿って実質的に平行になるまで弛緩する。このステップ中の延伸支持体の寸法は、支持体が取り付けられることになるフレームの寸法よりも大きい。すなわち、長手方向ストラップ533は、フレームの上側部分504bと下側部分504cとの間の距離よりも大きい長さまでSLが延伸され、横方向ストラップ535は、フレーム側方部材504a間の寸法よりも大きい長さまでSTが延伸される。
好ましくは、ストラップの延伸長は、ストラップの成形したままの寸法の約4〜約5倍であり、好ましくは、成形したままの寸法の約4.5倍である。各ストラップは、好ましくは、同じ量に比例して延伸される。すなわち、ストラップは各々、例えば、初期成形長さの450%延伸することができる。これにより、同じ断面寸法を有するが長さが異なる何れかのストラップはまた、延伸形態で同じ断面寸法を有するようにし、ストラップ間の長さの比例的差違が維持されるのを確保する。従って、細長ストラップはまた、長さは異なるにしても、同じ歪み配向及び特性を有することになる。或いは、異なるストラップでは異なる特性が望ましい場合、例えば、支持体の異なる点ではより柔軟であることが必要とされる場合には、ストラップは、異なる範囲まで伸長することができる。
ストラップは、1つずつ伸長してもよい。或いは、長手方向ストラップ533の全てを共に伸長した後に横方向ストラップの全てを伸長するか、又は逆に、横方向ストラップ535の全てを共に伸長した後に長手方向ストラップ533の全てを伸長することができる。別の代替形態として、長手方向ストラップ及び横方向ストラップの全てを同時に伸長してもよい。
ストラップを伸長した後、ストラップに加わる張力が解放されて、ストラップは、非引張状態にまで弛緩する。図61〜63及び図66は、弛緩状態の支持体531を示している。ストラップの材料の整列に起因して、弛緩したストラップの長さは、成形形態のストラップの初期長さよりも長くなる。弛緩状態において、この段階の間の遠心した支持体の寸法は、支持体が取り付けられることになるフレームの寸法よりも小さい。すなわち、長手方向ストラップ533は、上側フレーム部材と下側フレーム部材との間の長さよりも短く、横方向ストラップ535は、フレーム側方部材間の寸法よりも短い。
図61、62、及び66で分かるように、伸長後の弛緩状態において、横方向ストラップ535の側部は平行であり、支持体の横方向ストラップ側から見える長手方向ストラップ533の少なくとも一部の側部は平行である。これにより、椅子の背もたれ部の後方から個々のストラップの外観が与えられる。好ましくは、長手方向ストラップの側部は、長さ全体に沿って平行である。ストラップの伸長中、ストラップのネック付き部分と非ネック付き部分の両方の幅は減少する。しかしながら、幅の減少は、歪み配向がより大きいことに起因して、非ネック付き部分においてより大きい。これにより、ネック付き部分の幅の減少がより少ないことが相殺され、ネック付き部分の幅は、非ネック付き部分の歪み配向後の幅と実質的に同じであるようになる。
横方向ストラップ535上のネック部539は、長手方向ストラップ533上のネック部537よりも湾曲が緩やかである。接合部材536は、該接合部材536の長手方向におけるネック部が支持体531の最後方層を形成する横方向ストラップ535上にあるような向きにされることが望ましい。これは、歪み配向後、ストラップの縁部が接合部材536に隣接するネック付き領域537、539において完全には平行ではない場合があることに起因する。ネック付き領域における歪み配向ストラップの幅の何れかの差違は、より緩やかに湾曲したネック付き領域ではあまり顕著ではない傾向がある。従って、より緊密に湾曲したネック付き領域を有するストラップは、支持体の前層を形成するストラップであり、ネック付き領域におけるこのストラップの幅の何れかの不規則性が後方から最後方ストラップ536によって、及び前方からはクッション組立体によって覆い隠されるようになることが望ましい。
支持体531が、使用時に露出した着座者支持面を提供するために覆われておらず、椅子の前方部分から見える代替の構成において、より緩やかな湾曲のネック部を有する横方向ストラップ535が長手方向ストラップ533の前方に位置付けられるように、支持体を効果的に反転させることができる。或いは、長手方向ストラップは、横方向ストラップの前方に位置付けることができるが、接合部材536は、長手方向で伸長されるような向きにすることができ、長手方向ストラップは、より緩やかな湾曲のネック部を備えることができる。
好ましくは、ストラップの延伸後弛緩長RL、RTは、成形されたままの寸法の約1.5〜約2.7倍であり、好ましくは、それぞれの成形されたままのストラップ長IL、ITの約2.1倍である。歪み配向の後、横方向ストラップ及び長手方向ストラップの両方は、歪み配向前よりも長くなり、幅方向及び深さ方向の両方で断面がより小さくなる。例えば、ストラップの深さは、1.5mmから1.0mmに減少する場合がある。このことは、横方向ストラップと長手方向ストラップとの間の距離が増大することで図から明白である。すなわち、SL、STストラップの長さは、初期長さIL、ITよりも大きく、ストラップ断面は、初期ストラップ断面よりも小さくなる。延伸後弛緩長RL、RTは、延伸したSL、STストラップの長さよりも小さいが、初期長さIL、ITよりも大きい。延伸後弛緩ストラップの断面は、初期ストラップ断面と延伸したストラップ断面との間となる。
図示の好ましい形態において、最長の長手方向ストラップ533の成形したままの長さは、約255mmである。このストラップは、1147.5mmまで延伸されるが、出発長さの約4倍〜9倍など、出発長さに対してあらゆる好適な量を延伸することができる。同様に、図示の形態において、最長の横方向ストラップ535の成形したままの長さは、約210mmである。このストラップは、945mmまで延伸されるが、出発長さの約4倍〜9倍など、出発長さに対してあらゆる好適な量を延伸することができる。次いで、最長の長手方向ストラップは519mmまで弛緩され、最長の横方向ストラップは、426mmまで弛緩される。この弛緩長さ(ひいては、初期成形長さ及び延伸の範囲)は、フレーム構成又は所望の最終製品引張によって異なることになる。接合部材536のサイズはまた、長手方向ストラップ533及び横方向ストラップ535の延伸時に起こる歪み配向に起因して変化する。例えば、接合部材536は、最初に、長さ18.5mm、幅1.0mm、及び深さ2.0mm(ストラップ間寸法)とすることができ、伸長後、長さ28.5mm、幅0.8mm、及び深さ1.8mmとすることができる。これらの幅及び深さは、接合部材の中心に沿って測定される。これらは、成形及び延伸の目的で接合部材が横方向ストラップ及び長手方向ストラップと交差する場所の半径を接合部材が有するので、接合部材の中心での値である。接合部材536は、長手方向ストラップ533及び横方向ストラップ535の両方を延伸させた結果として、支持体の長手方向及び横方向の両方で歪み配向される。接合部材の幅の1.0mmから0.8mmの減少は、長手方向ストラップ533の延伸の結果として接合部材の幅にわたる方向で接合部材が歪み配向されない場合よりも小さい。接合部材は、長手方向ストラップの幅よりも長いものとして図示されているが、これは主として成形の目的である。接合部材は、他の何れかの好適な形状又はサイズであってもよい。横方向ストラップ及び長手方向ストラップの各々は、端部の各々において取り付け部分545を含む。取り付け部分545は、成形プロセスの一部として一体的に形成され、カバーをフレーム503に取り付けるのに使用される。図示の形態において、取り付け部分545は、アパーチャ547を有する厚みが増大した部分を含む。支持体531の延伸中、取り付け部分は一般に、あまり大きな範囲までは伸長されず、よって、側方取り付け特徴要素の領域において歪み配向は起こらず、又はあまり大きな範囲までは起こらず、これらの部分の材料は実質的に整列されないままである。
図68(a)〜69(d)は、背もたれフレーム503への支持体531の好ましい取り付けを示している。背もたれフレームは、フレームの一部として一体的に成形された複数のフック561を備える。好ましい形態において、フックは、フレームの外周部の周りに離間して配置され、各々がフックとフレームとの間に凹部を定める。
フックは、上部フレーム部材504bの前面、サイドフレーム部材504aの前面、及び下部フレーム部材504cの背面に設けられる。フックは、背もたれ部の中心から外向きに面し、よって、支持体531における引張により、使用時に支持体がフックと係合した状態で維持される。フックの少なくとも一部は、フレームの凹部563に設けられ、該凹部は、ストラップ上の一体コネクタ545を受けるようなサイズにされる。図69aに示す上部及び側部フックは、凹部に設けることができ、或いは、図示のように表面装着でもよい。
支持体は、取り付け部分545上に設けられたアパーチャ547を通ってフック561を挿入することにより、背もたれフレームに取り付けることができる。
フレームの側方部分504a上のフック561のスペースは、横方向ストラップ535のスペースに相当する。上側及び下側フレーム部材504a、504c上のフックのスペースは、長手方向ストラップ533のスペースに相当する。フックのスペースは、等間隔に配置されたストラップに対して均等にすることができ、或いは、支持体の一部においてより大きな支持を提供するためにストラップのスペースが変化する場合には、異なることができる。例えば、図示の形態において、フレームの側方部分上のフックは、ユーザの腰領域に対してより大きな支持を提供するために、背もたれ部501の腰領域付近でより近接して離間される。
支持体をフレームに取り付けるために、横方向ストラップ535の各々の1つの端部545がフレームにフック止めされる。次いで、ストラップが延伸され、各ストラップの対向する端部がフレームにフック止めされる。次に、このプロセスは、横方向ストラップの前方に位置付けられる長手方向ストラップ533について繰り返される。或いは、支持体は、再度、最終寸法まで又はそれを超えて延伸され、次いで、フレームに接続することができる。或いは、支持体は、支持体を拡張した後にフレーム上に弛緩され、ストラップを歪み配向することができる。
取り付け特徴要素は全て、フレームの前面上、フレームの背面上、又はこれらの組み合わせに設けることができる。取り付け特徴要素は、フックではなく突起部であってもよい。しかしながら、より確実な係合を提供するために、フックが好ましい。
代替の実施形態において、フレーム上の取り付け特徴要素は、主として、位置決め機能を提供する。加えて、支持体は、例えば、接着、ファスナー、又は支持体をフレームに溶接するなど、何れかの好適な手段によりフレームに固定することができる。
完成した物品において、長手方向に延びるストラップ533は、上側及び下側横方向背もたれフレーム部材間(又は座部については、前方及び後方座部フレーム間)を延び、横方向部材535は、サイドフレーム部材間を実質的に延びる。少なくとも好ましい実施形態における最終結果は、曲がりやすく、良好なクリープ抵抗及び引張強度を有する柔軟な懸架支持面である。
図示の形態において、ストラップ533、535は、実質的に平坦な部材である。或いは、ストラップ又は成型支持体531は、成型プロセスの一部として形成された湾曲した輪郭を有することができる。単に例証として、物品の少なくとも一部は、成型プロセスの一部として形成された湾曲した側方輪郭及び/又は湾曲した平面輪郭を有することができる。物品を成形することにより、3次元輪郭を有する物品を容易に形成することができる。支持体の外形輪郭は、支持体を立体的輪郭フレームに取り付けることにより変更することができる。例えば、図示の形態において、平坦な成形支持体531は、前方に凸状の背もたれフレームに取り付けられたときに、前方に凸状の形態を有する。
成形支持体535は、椅子の背もたれ部のための支持体に関して上記で説明してきた。代替として、成形支持体は、他の用途に応用することができる。成形物品は、例えば、椅子用の支持表面体とすることができる。好ましくは、座部又は背もたれフレームは、フレーム部材によって少なくとも部分的に境界付けられる開口を含み、方法は、一部が開口にわたって延びた成形物品をフレームから支持し、柔軟な懸架支持フレームを形成するステップを含む。
物品が、背もたれ面ではなく座面として使用される場合、ストラップ533、535の厚さは、上述したよりも大きく、例えば、上述の厚さの約2倍とすることができる。代替として、又はこれに加えて、細長ストラップ533、535の幅は、上述したよりも大きく、例えば、上述の幅の約2倍とすることができる。
しかしながら、成形物品は、他の何れかの好適なタイプの物品とすることができる。単に例証として、物品は、運動器具;コンタクトスポートのヘルメット;ヘルメット及び帽子の裏張り;バックパック、登山、安全装置、パラグライダー、バンジージャンプ用のハーネス;自動車シート、伸縮ベッド、ベビーバギーカー、折り畳みベッドを含むベビー製品用の支持表面体;バネ、マット、ミニトランポリン、火災用トランポリンなどのトランポリン;歯科用椅子、航空機座席、競技場座席、アウトドア用家具などの他の家具;マットレス交換品、マットレス支持表面体、又は枕などの寝具類;自動車用座席、軟質テールゲート、天蓋;ハンモック;ウェイクボード、スノーボード、及び/又はスキー締め具;自転車座席;輸送時の荷物コンテナ;テニス、スカッシュ、バドミントンなどのスポーツ用のラケットの打撃面;柔軟インサートのようなウェットスーツ;カタマラントランポリン面のようなヨット乗り用の抵抗部材として応用することができる。このような代替の用途において、細長ストラップ533、535は、上述のものとは有意に異なる断面寸法及び長さを有することができる。また、ストラップが伸長される範囲を変えることができる。例えば、より高い荷重容量のため、部材はより大きな断面を有することができる。
本発明のこの態様の範囲から逸脱することなく、成形支持体の上述の好ましい形態及び修正形態が可能である。例えば、成形物品は、リクライニングオフィス用椅子の背もたれの支持体と説明されている。しかしながら、このような物品は、例えば、歯科用椅子、会議用座席、車両シート、競技場座席、劇場座席、航空機又は他の移動体の座席などの、異なるタイプの椅子に容易に組み込むことができる点は理解されるであろう。支持フレームは、例えば、劇場座席用の床面パネル又は壁パネルに固定するように、適宜修正することができる。
また、本発明のこの態様の原理は、歪み配向後の形態において、ストラップが側部に沿って平行ではない所望の形状を有するストラップを提供するのに用いることができる点は理解されるであろう。例えば、長さに沿って特定の起伏を有するストラップを形成することが望ましいとすることができる。このような構成において、非ネック付き領域に対するネック付き領域の寸法は、板バネ305を引き起こすストラップの目的とする延伸量に対して変わることになる。
例えば、背もたれ部のストラップ533、535は、成形支持体531として形成されるのではなく、クッション組立体507用の支持を提供するため歪み配向されて背もたれフレームに接続されるストラップを別個に押し出し成形してもよい。しかしながら、接合部材535は、ストラップ533、535を互いに連結し、ストラップが互いに対して大きく移動するのを防ぐので、成形された一体化支持体521が好ましい。別個のストラップが使用される場合には、接着、溶接、又は同様のものなど、ストラップの過剰な独立した移動を阻止するために互いに別個に係留することが必要となる。従って、上述の好ましい形態の成形支持体は、この代替の形態に優る顕著な製造効率を提供する。
別の実施例として、成形支持体531は、フレーム上でクッション組立体を支持するのに使用するものとして説明される。代わりに、成形支持体531は、着座者を支持する身体接触表面体を形成することができる。成形物品に対する修正及びその利用の他の実施例は、発明の概要のセクションに記載されている。
腰部支持体
椅子101、101’は、ユーザの背中の腰領域に対する支持を提供するため背もたれ組立体501と共に配列される腰部支持組立体601を有する。図71〜84(c)には、好ましい形態の腰部支持組立体が示されている。腰部支持組立体601は、キャリア611及び付勢機構体607を介して取り付け部材603に動作可能接続された腰部支持部材又はパッド605を含む。取り付け部材603は、以下で説明するように、背もたれ組立体501、501’に取り付けられ、取り付け機構体609を用いて、背もたれ組立体のユーザ支持面551の後方に腰部支持部材605を取り付ける。付勢機構体607は、キャリア611及び腰部支持部材605を前方に付勢する。図73〜75は、支持組立体の前面、上面、及び後面図を示している。
好ましい実施形態において、腰部支持部材又はパッド605は、ポリカーボネートを含み、取り付け部材603は、ポリプロピレンを含む。支持組立体の他の構成要素は、例えば、成形ナイロン又は鋼鉄のような他の好適な材料を含むことができる。
腰部支持部材605は、キャリア611上に滑動可能に取り付けられ、取り付け部材603に対して腰部支持体の位置を垂直方向で選択的に調整するようにする。腰部支持部材605は、該腰部支持部材の背面上に細長いガイド部617を含む。ガイド部は、腰部支持部材605に固定して又は他の方法で取り付けることができ、或いは、腰部支持部材605と一体化することができる。好ましくは、ガイド部617は、腰部支持部材605上で中心に位置付けられる。ガイド部617は、2つの横方向に延びるガイドフランジ619を含み、キャリア611は、ガイドフランジ619を滑動可能に受ける開放上端及び底端を備えた2つの相補的チャンネル613を含み、腰部支持部材605がキャリア611に対して滑動できるようになる。
ガイド部617は、図示の形態においては後方に面するノッチ623である一連の垂直に離間した係合特徴要素を有する中央セクションを含む。図75は、支持組立体601の後面図であり、一連のノッチ623を示している。キャリア611は、係合部材を含み、該係合部材は、図示の実施形態においては、キャリア611に対して腰部支持部材605の高さを固定するようノッチ623と係合可能な前方に突出する戻り止め615である。戻り止め615は、好ましくは弾性があり、腰部支持部材605の高さが調整されるときにキャリア611の他の部分に対して弾性的に移動して、それぞれのノッチを係合及び係合解除し、その結果、腰部支持部材605が複数の高さの間でキャリア611に対して選択的に調整可能であるようになる。腰部支持部材605に十分な上向き又は下向きの力が加わると、これにより戻り止め615の前方付勢力に打ち勝ち、垂直方向の調整を行うことが可能となる。腰部支持部材605は、下側縁部にて2つの後方に向いた把持ハンドル606を含み、ユーザが腰部支持部材605の高さを容易に調整できるようにする。
好ましくは、戻り止め615及びノッチ623は、腰部支持部材605の高さ調整の間に円滑な調整及び戻り止め615とノッチ623との間の異音低減のため弓形である。或いは、ノッチ623及び戻り止め615は、他の形状とすることができ、例えば、角度付き表面を含むことができる。
代替の実施形態において、キャリア611は、移動可能部材上にノッチを有する係合特徴要素を含むことができ、支持部材605上の係合特徴要素は、ノッチと係合するための複数の突出部を含むことができる。キャリア611は、1つよりも多い係合特徴要素を有し、支持部材605上の複数の係合特徴要素と係合することができることは理解されるであろう。同様に、腰部支持部材605及びキャリア611は、フランジ及びチャンネルの代わりに、代替の相補的なガイド特徴要素を含むことができることは理解されるであろう。例えば、キャリア611は、側方ガイド突起部を含むことができ、腰部支持部材605は、これらの突起部を受けるための相補的なチャンネル又はスロットを含むことができる。
図76、77(a)及び77(b)の断面図は、好ましい形態の実施形態による組み立てられた付勢機構体607を示している。当該実施形態において、付勢機構体607は、取り付け部材603及びキャリア611に動作可能に接続された中間部材625を含む。中間部材625は、好ましくは、第1の枢動部631、633にて取り付け部材603に枢動可能に接続され、ピン629を介して第2の実質的に平行な枢動部626、627にてキャリア611に枢動可能に接続される。図示の実施形態において、取り付け部材603上の枢動部633は、3つの突出するタブにおいて設けられる。或いは、2つ又は3つよりも多いタブを設けてもよい。
第1の付勢部材639は、取り付け部材603と中間部材625との間に配列され、中間部材625を取り付け部材603から角度方向で離れるよう付勢する。第2の付勢部材641は、戻り止め615と中間部材625との間に配列され、戻り止め615を中間部材625から離れてノッチ623と係合状態になるように角度方向に付勢する。図77(a)及び77(b)の断面図が戻り止め615の中心に沿って示され、第2の付勢部材641が戻り止めを付勢してノッチ623の1つと係合状態になるのを示している。
好ましくは、第1及び第2の付勢部材639、641は、2つの角度付き脚部を各々有する、反対向きのトーションバネである。第1のトーションバネ639は、好ましくは、中間部材の第1の枢動部631の周りに取り付けられ、第1の脚部639aが取り付け部材603に接触し、第2の脚部639bが中間部材625に接触している。第2のトーションバネ641は、好ましくは、枢動ピン629の周りに取り付けられ、第2のトーションバネ641の第1の脚部641aがキャリア611上の戻り止め615に接触し、第2の脚部641bが中間部材625に接触している。付勢機構体607は更に、2つのリンクアーム635を含み、該リンクアームは各々、枢動ピン629においてキャリア611と中間部材625との間で枢動部626、627の周りに枢動可能な第1の端部635aを有する。リンクアームの第1の端部635aは、ピン629を受けるためのアパーチャを含む。2つのリンクアーム635は各々、取り付け部材603上でスロット637内に枢動可能及び滑動可能に取り付けられた第2の端部635bを有する。スロット637は、好ましくは、中間部材625と取り付け部材603との間で枢動部631に垂直であり、中間部材625が取り付け部材603に対して枢動するときに、リンクアーム635の第2の端部635bが、枢動軸線631に向かって又は離れて移動することができるようになる。代替の実施形態において、リンクアームの第2の端部635bは、取り付け部材603に枢動可能に取り付けられ、中間部材625に対して滑動可能とすることができる。
付勢機構体607は、ユーザが椅子の背もたれ部501、501’にもたれたときに、腰部支持部材605の後方への移動に抗する。腰部支持部材605に対して後方の力が加わると、付勢機構体607は、取り付け部材603に向かうキャリア611の後方移動に抗するよりも、取り付け部材603に向かう戻り止め615の後方移動により強く抗する。戻り止め615に作用する第2の付勢部材641は、戻り止めをノッチ623と係合するように付勢し、これにより、腰部支持部材605の後方移動時に戻り止めと係合ノッチ間の係合が増大するようになる。
図78(a)及び78(b)の断面図は、後方位置における支持部材を示し、戻り止め615が付勢されてノッチ623と更に係合されている。係合の増大は、支持部材605に後方の力が加わったときにキャリア611に対して腰部支持部材605を滑動させるためにより大きな力が必要となることを意味する。これにより、椅子におけるユーザの腰領域の支持中など、腰部支持部材605に後方の力が加わっている間に、腰部支持部材605が意図せずにキャリア611に対して移動する可能性が確実に低下する。これは、着座者が背もたれ部に容易に「身体を沈める」ことができ、後方力だけでなく下向きの力を腰部支持部材605に意図せずに加える可能性があるような、背もたれ部501、501’が高度に柔軟性のある場合に特に有効である。
後方への移動に抗することに加えて、上述され且つ添付図面で示された付勢機構体607は、取り付け部材603に対して腰部支持部材605が傾斜するのを可能にする。腰部支持部材の代替の実施形態において、付勢機構体は、腰部支持部材605を傾斜可能にすることなく、戻り止めを取り付け部材603から離れて付勢することができる。例えば、キャリア611は、取り付け部材603に向けて水平方向で移動可能又は滑動可能とすることができるが、角度方向で傾斜可能ではない。このような実施形態において、付勢機構体は、取り付け部材603とキャリア611上の戻り止め615又は他の係合特徴要素との間で直接配列されるバネなどの付勢装置を含むことができる。取り付け部材603上の特徴要素636(図72)は、中間部材625を停止させることにより、付勢機構体607の後方運動を制限する。
図示の実施形態において、中間部材625の第1及び第2の枢動部631、629は、ユーザが椅子において移動したときにユーザの背中の角度に共形になるように支持体が上下に傾斜できるよう実質的に水平である。代替の実施形態において、他方、枢動軸線は、例えば、椅子において捻っているユーザの背中に共形になるように腰部支持部材605が横向きに傾斜できるよう、実質的に垂直とすることができる。
図79は、後方荷重が加わっていない状態にある、垂直方向に高く且つ前方付勢位置に調整された腰部支持部材605を示している。図80は、当該構成において、腰部支持部材の中央又は上部に後方の力が加わったときに上向きに傾斜した腰部支持部材605を示している。腰部支持部材605の上端が後方に傾斜したときに、戻り止めが付勢されてノッチ623と更に係合状態になることが分かる。図81は、後方荷重が加わっていない状態にある、垂直方向に低く且つ前方付勢位置に調整された腰部支持部材605を示している。図82は、当該構成において、腰部支持部材の中央又は下部に後方の力が加わったときに下向きに傾斜した腰部支持部材605を示している。
好ましい形態の腰部支持部材605の形状は、図74の平面図及び図76〜82の断面図で分かる。腰部支持部材605は、水平断面で前方に凹状で、ユーザの背中の周りに湾曲しており、垂直断面において前方に凸状で、ユーザの背中の後方湾曲に対応している。細長の実質的に垂直の凹部505’が腰部支持部材605の中心領域に設けられ、ユーザの背骨にクリアランスを提供する。
取り付け部材603は、背もたれ部501、501’のユーザ支持面の後方部分551の後方に腰部支持部材605を位置付ける。椅子の背もたれ部501、501’に作用する後方荷重が存在しない場合、腰部支持部材605は、背もたれ部501、501’のユーザ支持面の後方部分551と接触せずに後方に離間して配置される。このスペースは十分に小さいので、ユーザが背もたれ部501、501’にもたれてユーザ支持面に後方の力が加わったときに、背もたれ部の少なくとも一部551が背もたれフレーム503に対して後方に撓んで腰部支持部材605に接触する。腰部支持部材605は、腰部領域における後方移動に対する追加の抵抗を提供することによって、ユーザの背中の腰部領域に対して支持を提供する。
図示の形態において、取り付け部材603は、剛体ビームであり、好ましくは湾曲しているが、例えば、U字形状であってもよい。取り付け部材603の端部は、取り付け部材603がフレームから後方に延びるように背もたれフレーム503の側方部材504aに取り付けられる。図示の実施形態において、取り付け部材603は、該取り付け部材をフレーム側方部材504aに取り付けるために各端部において2つの取り付け機構体609を含む。好ましい形態の取り付け機構体609の構成要素が、図72の分解図において示され、図83でより詳細に示されている。取り付け機構体609のうちの1つを用いた方法が、図84(a)〜84(c)に示される。各取り付け機構体609は、ロックシャトル651、ロック突起部653a’を有するロックフック653aを備えた第1のロック部材653、ロックピン655aを備えた第2のロック部材655、ガイドピン657、ロックスライダー659、及びロックリテーナカバー661を含む。第1のロック部材653は、1、2、3、又はそれよりも多くのロックフックを有することができ、第2のロック部材655は、対応するロックピン655aを有する。下側及び上側水平ガイドリブ663a、663bを有するロック機構チャンネル663が、取り付け部材603の前面で該取り付け部材の各端部に向かって設けられる。
ロック機構体609は、取り付け部材603の端部を越えてはあまり有意には又は全く突出していない後退アンロック位置と、取り付け部材603の端部を越えて突出して取り付け部材603をフレーム側方部材504aに取り付ける突き出たロック位置との間で選択的に移動可能である。ロックスライダー659は、例えば、ユーザがロック機構体を作動させるのを可能にする前方に向いた突起部660のような、把持するのに好適な領域を備える。組み立てられた取り付け部材/ロック機構体において、ロックシャトル651がロック機構チャンネル663内に位置付けられる。ロックシャトル651は、下側水平ガイドリブ663aと上側水平ガイドリブ663bとの間で垂直方向に滑動可能であるが、水平方向には滑動可能ではない。ロックシャトルは、後方チャンネル651bを有し、該チャンネル内で垂直リブ663cと係合してシャトルの垂直方向の滑動移動を可能にする。
第1のロック部材653は、シャトルの前方に位置付けられ、取り付け部材603の端部に向けて配向されたロックフック653aを備える。第2のロック部材655は、第1のロック部材の前方に位置付けられ、取り付け部材の端部に向けて配向されたロックピン655aを備える。第2のロック部材655上の突出部655bは、シャトル上の突出部651aからビームに沿って内寄りに位置付けられ、第2のロック部材655の外向きの移動に対する抑制部として機能する。ガイドピン657が、第2のロック部材、第1のロック部材、及びロックシャトル内の整列したスロットを貫通して延びる。ロックスライダー659は、第2のロック部材の前方に位置付けられ、第1のロック部材及び第2のロック部材を囲む後方に突き出る壁を有する。ガイドピン657のヘッドは、ロックスライダー659内のキャビティ659aに位置付けられ、該キャビティは、ロックスライダーに対するガイドピン657の垂直方向の移動を可能にするよう垂直方向に伸長するのが好ましい。
ロックリテーナカバー661は、ロックスライダー659の前方に位置付けられ、ロック機構の他の構成要素を全体として囲む壁を有する。ロックリテーナカバー661は、例えば、クリップ、接着、及び/又は超音波溶接などの何れかの好適な手段を介して取り付け部材603に固定される。ロックリテーナカバーは、ロック機構を取り付け部材603と共に組み立て状態にする。
取り付け部材603の各端部での組み立ては、実質的に同じとなり、構成要素は互いに鏡像である。
ロックシャトル651は、実質的に直線状で実質的に水平なチャンネル652を有することが分かる。第1のロック部材653は、最初に最内端部から外向き且つ上向きに延びた内側角度付き部分を含み、次いで実質的に直線状で実質的に水平な部分を含むチャンネル654を有する。第2のロック部材655は、最初に最内端部から実質的に直線状で実質的に水平に外向きに延び、次いで外向き及び上向きに延びた外側角度付き部分を含むチャンネル656を有する。ガイドピン657は、上述のチャンネル652、654、656を通って延びる。
取り付け部材603をフレーム側方部材504aに取り付けるために、取り付け部材603は、背もたれ支持体531の後方に置かれて、フレーム側方部材504aにおいてロックアパーチャ又は凹部665とほぼ整列される。取り付け部材603の端部は、横方向ストラップ553のうちの1つに対して取り付け部材の端部を所望の位置に位置決めするための位置決め特徴要素604を備える。凹部665は、係合肩部667を備える。ロックスライダー659は、最初に最内位置にあり、ロック機構体609が図84(a)に示すように後退した非ロック位置にあるようにする。ロックシャトル651は、取り付け部材603におけるロック機構チャンネル663の最低垂直位置にあることになる。
ロックスライダー659の最初の外向きの移動中、ガイドピン657は、第1のロック部材653のスロット654の内側角度付き部分に位置決めされて、第2のロック部材のスロット656の水平部分に沿って滑動する。第1のロック部材653は、ロックフック653aが凹部665に位置付けられるように外向きに移動する。シャトル上の突出部651aと第2のロック部材上の突出部655bとの係合は、第1のロック部材653の最初の外向きの移動中の第2のロック部材655の外向きの移動を抑制又は阻止することになる。ロックフック653aと凹部665の入口との間には十分なクリアランスがあり、このクリアランスは、ロックフック653aが係合肩部667から離れて、次いで、図84(b)に示す位置まで肩部後方の位置に手動で移動できる。
ロックスライダー659の更なる外向きの移動により、ガイドピン657が第2のロック部材655のスロット656の整列した外側部分に位置決めされ、第1のロック部材653のスロット654の直線状水平部分に沿って滑動するようになる。ガイドピン657がスロット654、656において持ち上げられると、ガイドピンはまた、ロック機構チャンネル663においてシャトル651を持ち上げ、その結果、突出部651a、655bが係合解除されて、第2のロック部材が外向きに移動することができる。垂直方向に滑動可能なシャッター651はまた、スロットにおいてガイドピン657の固着を回避するのに役立つ。ロックピン655aは、ロックフック653aの傍で図84(c)に示す位置まで延びる。ロック突出部653’は、係合肩部667から外向きに位置付けられる。ロックピン655a及びロックフック653a及び凹部665への入口間には、ロック突起部653’が係合肩部667から離れて十分に移動するほどのクリアランスが不十分である。これにより、取り付け部材603は、背もたれフレームに取り付けられる。
取り付け部材603をフレームから取り外すために、本プロセスを反転させる。詳細には、ユーザは、ロックスライダー659を内向きに移動させ、これにより、最初に第2のロック部材655を後退させて、ロックピン655aがロックフック653aから離れて移動するようになる。次いで、取り付け部材603は、垂直方向に移動でき、ロック突起部653’が係合肩部667から離れることができるようになる。ロックスライダー659の更なる内向きの移動により、ロックフック653aが凹部665から後退し、取り付け部材603をフレームから取り外すことができるようになる。
この機構は容易に逆にすることができ、よって、ロックフック653aは、上向きにされたロック突起部653’を有する上側部材であり、ロックピン655aは、ロックフック653aの下面と係合することは理解されるであろう。
腰部支持組立体は、エンドユーザにより背もたれ部501、501’に後付け可能であり、好ましくは、エンドユーザにより背もたれ部から取り外すことができる。
上述の取り付け機構を用いるのではなく、代替として、クリップを用いて取り付け部材603をフレーム側方部材504aに取り付けることができる。クリップは、フレーム503の前側の周りを包むU字形クリップとすることができる。取り付け部材603を背もたれフレームに取り付けるために、取り付け部材は、背もたれ部のユーザ支持面の後部551の後方に配列され、フレームの前面でサイドフレーム部材と整列された取り付けクリップを有する。次いで、取り付け部材603は、取り付けクリップがフレームと嵌合して係合するまで、フレームに対して後方に引張される。クリップを受けるためにサイドフレーム部材504aに好適なアパーチャが設けられる。
代替の実施形態において、取り付け部材603は、他の取り付け法を用いて背もたれフレーム503に取り付けることができる。例えば、取り付け部材603は、ネジなどの締結具、接着、又はフレームへの溶接などを用いてフレームに取り付けることができる。或いは、取り付け部材603及び背もたれフレーム503は一体化することができる。好ましくは、取り付け部材603は、側方部材504aに固定されるが、代替として、フレームに対して調整可能であってもよい。
支持組立体の実施形態は、上述の腰部支持組立体ではなく、例えば、背もたれ部501’のより高い領域に位置付けられたヘッド又はネック支持組立体のような、椅子の背もたれ部から背もたれ又は本体の他の部分を支持するのに用いることができる。
上記では、本発明の好ましい形態を記載しており、本発明の範囲から逸脱することなく、修正を行うことができる。例えば、好ましい形態の盗聴要素は、リクライニングオフィス用椅子に関して説明し図示されている。しかしながら、特徴要素の多くは、例えば、会議用椅子、車両用座席、又は劇場用座席などの様々なタイプの椅子に容易に組み込むことができる点は理解されるであろう。支持フレームは、例えば、劇場用座席として床面又は壁パネルに固定されるように、適宜修正することができる。
加えて、本明細書で記載される幾つかの特徴要素は、異なる特徴要素を有する椅子に組み込むことができる。これらの特徴要素は、必ずしも、全て同じ椅子に組み込む必要はない。
他の例示的な修正形態は、発明の概要のセクションに記載されている。