JP6401680B2 - ガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムの転写方法 - Google Patents
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Description
そのため、これら部材には、ガスバリアフィルムを貼着することや、ガスバリアフィルムで封止することで、必要なガスバリア性を付与している。
例えば、特許文献2には、LCD等のバックライトユニットに用いられる量子ドットフィルムとして、量子ドット層(QD蛍光体材料フィルム層)を2枚のガスバリアフィルムで挟持することにより量子ドットを保護する、積層型の量子ドットフィルムが記載されている。
また、特許文献3には、ガスバリアフィルムを用いて有機EL素子を封止することが記載されている。
特許文献1等に記載されるように、このようなガスバリアフィルムは、樹脂フィルムを基板として、この基板上にガスバリア層を形成された構成を有する。そのため、ガスバリアフィルムを薄型化するには、基板を薄型化することが考えられる。
ここで、高いガスバリア性を有するガスバリア層は、薄い無機層であり、微小な座屈や接触で割れてしまい、性能が低下してしまう。そのため、薄型の基板にガスバリア層を積層する際には、基板が座屈するのを防止できるように搬送を安定化させる必要がある。
このような方法を用いれば、10数μm程度の薄い基板にもガスバリア層を形成することが可能となる。しかしながら、これよりも薄くなると、薄い基板を搬送しつつ、補強用の保護材料を貼り合わせること自体が困難になってしまう。
ここで、特許文献5に記載されるような、ガスバリア層を基板から剥離して被転写体に転写する転写方式のガスバリアフィルムにおいては、ガスバリア層と基板とを剥離可能に形成する必要があるため、ガスバリア層と基板との間の所望の面での剥離力を小さくして剥離面とする必要がある。
しかしながら、本発明者の検討によれば、このような転写方式のガスバリアフィルムを作製する際には、剥離層やガスバリア層等の各層を順次形成する各工程において、基板の搬送時や巻取り時に、せん断力等の力がかかるため、剥離力の弱い剥離面が剥がれたりズレたりして、適正に無機層を形成できなかったり、無機層が割れてしまい、十分なガスバリア性を得られない場合があることがわかった。
すなわち、本発明は以下の構成のガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムの転写方法を提供する。
基板の一方の主面上に、基板との剥離力が、0.04N/25mm以上、1N/25mm以下の剥離樹脂層を形成する剥離層形成工程と、
剥離樹脂層上に有機層を形成する有機層形成工程と、
有機層上に無機層を形成する無機層形成工程とを有するガスバリアフィルムの製造方法。
(2) 無機層形成工程において、無機層の形成後に、無機層上に第1の保護フィルムを貼着する(1)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(3) 第1の保護フィルムと無機層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である(2)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(4) 有機層形成工程において、有機層の形成後に、有機層上に第2の保護フィルムを貼着し、
無機層形成工程において、第2の保護フィルムを有機層から剥離した後、有機層上に無機層を形成する(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(5) 第2の保護フィルムと有機層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である(4)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(6) ガスバリア層上に粘着層を形成し、粘着層上に第3の保護フィルムを貼着する粘着層形成工程を有する(1)〜(5)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(7) 第3の保護フィルムと粘着層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である(6)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(8) 基板表面の水接触角が60°〜105°である(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(9) 基板は、剥離樹脂層が積層される側の面に離型層を有し、
離型層の形成材料がアルキド系樹脂材料である(1)〜(8)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(10) 基板の形成材料がポリエチレンテレフタレートである(1)〜(9)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(11) 基板の厚さが12〜125μmである(1)〜(10)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(12) 基板と剥離樹脂層との剥離力を紫外線照射によって制御する工程を有する(1)〜(11)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(13) 基板は、365nm以下の波長の光の透過率が60%以上である(1)〜(12)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(14) (1)〜(13)のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法で作製したガスバリアフィルムのガスバリア層および剥離樹脂層を備える転写層を、機能層に転写するガスバリアフィルムの転写方法であって、
ガスバリアフィルムの基板とは反対側の面に機能層を積層する積層工程と、
機能層に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と、
基板を剥離樹脂層から剥離する基板剥離工程とを有し、
硬化工程における紫外線照射で、基板と剥離樹脂層との剥離力を制御するガスバリアフィルムの転写方法。
(15) 機能層が、波長変換層である(14)に記載のガスバリアフィルムの転写方法。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法で作製されるガスバリアフィルムは、基板のみを剥離されて、ガスバリア層および剥離樹脂層を含む転写層を被転写体に転写して用いられるものである。
図1(A)に示すガスバリアフィルム10aは、基本的に、基板12と、基板12の一方の面に積層される、有機層14および無機層16を有するガスバリア層18と、基板12とガスバリア層18との間に積層される剥離樹脂層20とを有して構成される。
また、図1(A)に示すように、ガスバリア層18は有機層14を剥離樹脂層20側に向けて積層されており、無機層16は有機層14上に積層されている。すなわち、剥離樹脂層20は、基板12と有機層14との間に積層されている。
これにより、ガスバリアフィルム10aは、基板12のみを剥離されて、ガスバリア層18および剥離樹脂層20を含む転写層30を、封止対象物である被転写体に転写することができる。
なお、以下の例は、好ましい態様として、長尺な基板12や保護フィルム26等を用いて、ロール・トゥ・ロール(以下、「RtoR」ともいう)によってガスバリアフィルムの製造を行うものである。周知のように、RtoRとは、長尺な被処理物を巻回してなるロールから被処理物を送り出して、長手方向に搬送しつつ成膜等の処理を行い、処理済の被処理物を、再度、ロール状に巻回する製造方法である。
このようなRtoRは、高い生産性で、効率の良いガスバリアフィルムの製造が可能である。
従って、図1(A)に示す有機成膜装置において被成膜材料となるのは、長尺な基板12、および、基板12の表面に剥離樹脂層20が形成されたもの(被成膜基材Za)である。
他方、図1(B)に示す無機成膜装置において、被成膜材料となるのは、基板12の表面に剥離樹脂層20および有機層14が形成され、この表面の有機層14に保護フィルム28が貼着されたもの(被成膜基材Zb)である。
中でも、破断伸び率が高く搬送時に破断しにくいためより薄くできる、融点が高く耐熱性がある、安価である等の観点から、基板12としては、PETフィルムを用いるのが好ましい。
離型層の形成材料としては、各種のガスバリアフィルムにおいて離型層として利用されている材料が各種利用可能である。中でも、剥離樹脂層20となる塗布組成物の塗布性が良い、材料の泣き出し等がなく剥離樹脂層20に影響を与えない等の観点から離型層の形成材料としてアルキド系樹脂材料が好適に用いられる。
なお、水接触角は、ポータブル接触角計(協和界面科学株式会社製 PCA−1)を用い、液滴法にて測定して求められる。
本発明者らの検討によれば、基板12の厚さが薄すぎると支持性が低下し、搬送中に折れ曲がり等が発生するおそれがある。一方、厚すぎると転写の際に基板12を剥離するのが難しくなるおそれがある。
以上の観点から基板12の厚さは、12〜125μmが好ましく、38〜75μmがより好ましい。
基板12の厚さを、上記範囲とすることにより、ガスバリアフィルム10の機械的強度を十分に確保すると共に、転写の際に、剥離を容易に行うことができる等の点で好ましい。
その際、剥離樹脂層20への紫外線の照射を基板12側から行う場合には、基板12が紫外線を透過するのが好ましい。具体的には、基板12は、365nm以下の波長の光の透過率(紫外線透過率)が60%以上であるのが好ましい。
なお、紫外線透過率は、紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製 UIT−250)を用いて、365nmの照射量を測定し、その損失分から透過率を算出した。
図2(A)に示す有機成膜装置は、長尺な基板12を長手方向に搬送しつつ、剥離樹脂層20となる塗布組成物を塗布し、乾燥した後、必要に応じて光照射や加熱等によって硬化させて、剥離樹脂層20を形成する装置である。
図示例において、有機成膜装置は、一例として、塗布部40と、乾燥部42と、硬化部44と、搬送ローラ対48、49とを有する。
なお、有機成膜装置は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対、基板12のガイド部材、各種のセンサなど、長尺な被形成材料を搬送しつつ塗布による成膜を行なう公知の装置に設けられる各種の部材を有してもよい。
基板ロールRaを装填して、基板ロールRaから基板12を引き出して、搬送ローラ対48を経て、塗布部40、乾燥部42および硬化部44を通過して、搬送ローラ対49を経て、巻取り位置に到る所定の経路に通紙する。
また、調製した剥離樹脂層20となる塗布組成物を塗布部40の所定位置に充填する。
なお、好ましい態様として、剥離樹脂層20を形成した後、保護フィルムを積層し、その後、巻取りを行って基材ロールRbとしてもよい。
前述のとおり、剥離樹脂層20は、有機層14と密着し、かつ、基板12との界面で基板12と剥離可能な樹脂層である。また、剥離樹脂層20は、基板12の剥離の際に無機層16にせん断力がかかるのを抑制する応力緩和層としても機能する層である。また、基板12の剥離後は、剥離樹脂層20が、支持体としても機能する。
本発明においては、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を1N/25mm以下とすることで、作製したガスバリアフィルム10から、基板12を剥離して、ガスバリア層18を含む転写層30を容易に転写することができる。
また、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を0.04N/25mm以上とすることで、製造過程での基板12(いずれかの層が形成された基板12)の搬送や巻取り時に、剥離樹脂層20と基板12とが剥がれたりズレたりするのを防止することができる。これにより、適正に無機層を形成でき、また、製造過程で無機層が割れるのを防止できる。
この点については後に詳述する。
なお、剥離力(粘着力)は、JIS Z 0237の180°剥離試験方法に準じて測定すればよい。
後述するように、高いガスバリア性を発現する無機層16は、プラズマCVD等の真空成膜により形成する必要がある。剥離樹脂層20の含水性が高いと、真空引きを行っても、水分を放出するため、真空度を高くできず、無機層16を形成できないおそれがある。また、無機層16を形成した場合であっても、水分の吸収、放出により剥離樹脂層20が伸縮すると、無機層16が割れてしまい、高いガスバリア性を得られないおそれがある。したがって、剥離樹脂層20は、含水性が低いのが好ましい。また、プラズマCVD等により無機層16を形成するために耐熱性が高いことが好ましい。
また、剥離樹脂層20上には、有機層14が塗布により形成される。そのため、有機層14となる塗布組成物の塗布性の観点、ならびに、リタデーション等の光学特性の観点から、剥離樹脂層20の形成材料としては、シクロオレフィンコポリマー(COC)を用いるのがより好ましい。
剥離樹脂層20の厚さを0.1μm以上とすることにより、基板12ならびに有機層14との剥離力を適切に制御でき、また、剥離樹脂層20に応力緩和の機能を付与することができる。
また剥離樹脂層20の厚さを25μm以下とすることにより、剥離樹脂層20が厚すぎることに起因する、剥離樹脂層20のクラックや、ガスバリアフィルム10のカール等の問題の発生を、好適に抑制することができ、また、ガスバリアフィルム10をロール状に巻取りやすくすることができる。
この塗布組成物は、有機溶剤に、剥離樹脂層20となる、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマーなどの有機化合物を、有機溶剤に溶解してなるものである。また、この塗料には、界面活性剤、重合開始剤、増加粘剤等の必要な成分を、適宜、添加してもよい。
従って、塗布組成物の塗布は、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の公知の塗料の塗布方法が、全て利用可能である。
乾燥部42による塗布組成物の乾燥方法には限定はなく、公知の乾燥手段による公知の方法が、各種利用可能である。一例として、ヒータによる加熱乾燥、温風による加熱乾燥等が例示される。
この基材ロールZbは、有機層形成工程で有機層14を形成するための有機成膜装置に供給される。
また、有機層形成工程においては、有機層14の形成直後に、有機層14の表面を保護するための第2の保護フィルム28を貼着するのが好ましい(図3(C)参照)。
また、長尺な被成膜基材Zaをロール状に巻回してなる基材ロールRbを、図2(A)に示す有機成膜装置の所定位置に装填する。次いで、基材ロールRbから被成膜基材Zaを送り出して、巻取り位置に到る所定の経路に通紙する。さらに、調製した有機層14となる塗布組成物を塗布部40の所定位置に充填する。
また、有機成膜装置の所定位置に保護フィルムロール28Rを装填する。次いで、保護フィルムロール28Rから第2の保護フィルム28を送り出し搬送ローラ対49に至る所定の経路に通紙する。
一方、この被成膜基材Zaの搬送に同期して、保護フィルムロール28Rから第2の保護フィルム28が送り出されて、長手方向に搬送される。
有機層14を形成された被成膜基材Zaおよび第2の保護フィルム28は、搬送ローラ対49によって積層、圧着される。
有機層14は、有機化合物からなる層で、基本的に、有機層14となるモノマやオリゴマ等を重合(架橋)したものである。
このような有機層14を有することにより、剥離樹脂層20(あるいは下層の無機層16)の表面の凹凸や、剥離樹脂層20の表面に付着している異物等を包埋して、無機層16の成膜面を、無機層16の成膜に適した状態にできる。これにより、基板12の表面の凹凸や、異物の付着による凹凸のような、無機層16となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層16を成膜することが可能になり、高いガスバリア性を有する無機層16を形成することができる。
ガラス転移温度Tgが200℃以上の高い耐熱性を有する有機層14とすることで、無機層16を適正に成膜することが可能となる。
また、有機層14は、無機層16の割れ等を防止するため適度な柔軟性を有するのが好ましい。
なお、本発明において、ガラス転移温度Tgは、JIS K 7121に準拠して測定すればよい。
具体的には、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、ポリシロキサンや、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも特に、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、有機層14として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマなどの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
有機層14の形成材料として、紫外線硬化樹脂あるいは電子線硬化樹脂を用いることで、紫外線あるいは電子線の照射量によって、剥離樹脂層20との剥離力を高くすることができ、剥離樹脂層20と基板12との界面で剥離する構成とすることができる。
有機層14の形成材料として、アダマンタン骨格を有する1官能以上のアクリレート、あるいは、フルオレン骨格を有する2官能以上のアクリレートを含む樹脂材料を用いることで、硬化収縮時の収縮率を低くすることができ、有機層14上に形成された無機層16が割れることを防止できる。
これにより、有機層14の損傷を防止して、無機層16を形成する有機層14表面の平滑性を高くすることができ、高いガスバリア性を発現するガスバリアフィルム10を得られる。
その際、第2の保護フィルム28と有機層14との剥離力が、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも大きいと、基板12と剥離樹脂層20との間で剥離してしまうおそれがある。従って、第2の保護フィルム28と有機層14の剥離力は、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも小さいのが好ましく、0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満とするのがより好ましい。
一例として、前述の基板12で例示した各種の樹脂材料からなるフィルム(樹脂フィルム)が、好適に例示される。
本発明者らの検討によれば、第2の保護フィルム28の厚さは、10〜300μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。
第2の保護フィルム28の厚さを10μm以上とすることにより、巻取り時等に外部から受ける衝撃等に起因する有機層14の損傷を好適に防止できる、搬送時のシワおよび変形を抑制できる等の点で好ましい。
第2の保護フィルム28の厚さを300μm以下とすることにより、被成膜基材Zbが不要に厚くなることを防止できる等の点で好ましい。
なお、上記例では、剥離樹脂層20の成膜と、有機層14の成膜とをそれぞれの成膜装置で行う構成としたが、これに限定はされず、基板12の搬送経路中に、剥離樹脂層20を形成するための塗布部40、乾燥部42および硬化部44、ならびに、有機層14を形成するための塗布部40、乾燥部42および硬化部44を配置した成膜装置を用いて、剥離樹脂層20の成膜と、有機層14の成膜とを連続して行ってもよい。
また、無機層形成工程においては、好ましくは、無機層16の形成直後に、無機層16を保護するための第1の保護フィルム26を貼着する(図4(C)参照)。
無機成膜装置は、被成膜基材Zbの表面に、気相堆積法によって無機層14を形成する装置で、供給室50と、成膜室52と、巻取り室54と、ドラム62とを有して構成される。
なお、無機成膜装置は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対や、被成膜基材Zbの幅方向の位置を規制するガイド部材、各種のセンサなど、長尺な被形成基材を搬送しつつ気相堆積法による成膜を公知の装置に設けられる各種の部材を有してもよい。
なお、基材ロールRcは、有機層14が成膜室52における成膜面となるように装填する。
また、成膜室52の所定位置に保護フィルムロール26Rを装填する。次いで、保護フィルムロール26Rから第1の保護フィルム26を送り出し、成膜室52から巻取り室54に到る所定の経路を通紙する。
各室の圧力が所定の圧力になったら、被成膜基材Zbおよび第1の保護フィルム26の搬送、ならびに、第2の保護フィルム28の巻取りを開始する。
成膜室52に搬送された被成膜基材Zbは、ガイドローラ60に案内されて、第2の保護フィルム28を剥離される(図4(A)参照)。第2の保護フィルム28を剥離された被成膜基材Zb(図4(B)参照)は、円筒状のドラム62の周面に巻き掛けられる。ドラム62は、CCP−CVD(容量結合型プラズマ化学気相蒸着法)における電極としても作用するものである。なお、ドラム62は、好ましい態様として温度調節機能を有する。被成膜基材Zbは、ドラム62によって所定の経路を搬送されつつ、ドラム62およびシャワー電極64からなる電極対、原料ガス供給部68および高周波電源70等を有する成膜手段によって、CCP−CVDによって無機層16を形成され、基板12に剥離樹脂層20と有機層14と無機層16とを積層した積層フィルムとされる。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。また、これらの2種以上の混合物も、利用可能である。
特に、金属酸化物および窒化物、具体的には、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、これらの2種以上の混合物は、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、好適に利用される。中でも特に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、これらの混合物は、優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、また、柔軟性も高いため好適に利用される。
無機層16の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層16が形成できる。また、無機層16は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層16の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
無機層16を形成された被成膜基材Zbおよび第1の保護フィルム26は、積層ローラ対72によって積層、圧着されて、ガスバリアフィルム10が作製される。
なお、保護フィルム26の無機層16と対面する面には粘着層が形成されていてもよい。
これにより、無機層16の損傷を防止して、目的とするガスバリア性を発現するガスバリアフィルム10を得られる。
その際、第1の保護フィルム26と無機層16との剥離力が、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも大きいと、基板12と剥離樹脂層20との間で剥離してしまうおそれがある。従って、第1の保護フィルム26と無機層16の剥離力は、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも小さいのが好ましく、0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満とするのがより好ましい。
ここで、ガスバリア層を基板から剥離して被転写体に転写する転写方式のガスバリアフィルムにおいては、ガスバリア層と基板とを剥離可能に形成する必要があるため、ガスバリア層と基板との間の所望の面での剥離力を小さくして剥離面とする必要がある。
しかしながら、本発明者の検討によれば、このような転写方式のガスバリアフィルムを作製する際には、ガスバリア層等の各層を順次形成する各工程において、基板の搬送時や巻取り時に、せん断力等の力がかかるため、剥離力の弱い剥離面が剥がれたりズレたりして、適正に無機層を形成できなかったり、無機層が割れてしまい、十分なガスバリア性を得られない場合があることがわかった。
剥離樹脂層20と基板12との剥離力を1N/25mm以下とすることで、作製したガスバリアフィルム10から、基板12を剥離して、ガスバリア層18を含む転写層30を転写する際に、ガスバリア層18(無機層16)が割れることを防止でき、高いガスバリア性を維持したまま容易に転写することができる。
また、例えば、基板12に剥離樹脂層20および有機層14を形成した被成膜基材Zbの巻取りや、被成膜基材Zbの搬送時の搬送ローラとの接触によっても、剥離樹脂層20と基板12とが一部剥がれたり、剥離樹脂層20と基板12とがズレたりすることで、剥離樹脂層20上の有機層14が微小な座屈を起こしたり損傷したりして、有機層14の平滑性が損なわれる。そのため、この有機層14上に無機層16を形成しても無機層16は非常に薄いため、有機層14を完全に覆うことはできずピンホール等の欠陥が生じて高いガスバリア性を得ることはできない。
有機層14に貼着した第2の保護フィルム28は、無機層16の形成のために剥がす必要があり、また、無機層16に貼着した第1の保護フィルム26は、ガスバリアフィルム10の転写の際に剥がす必要がある。
基板12と剥離樹脂層20との剥離力が小さすぎると、このような保護フィルムを剥がす際に、基板12と剥離樹脂層20との界面で剥離してしまうおそれがある。
したがって、保護フィルムを剥がす際に、基板12と剥離樹脂層20との界面で剥離するのを防止する観点からも、本発明では、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を0.04N/25mm以上とする。
また、上記観点から、剥離樹脂層20と基板12との剥離力は、0.07〜0.8N/25mmがより好ましい。
粘着層形成工程は、剥離樹脂層20、有機層14および無機層16を形成した基板12を被成膜基材Zcとして、図2(A)に示すような有機成膜装置を用いて、有機層14と同様にして粘着層24を形成し、第3の保護フィルム29を貼着すればよい。
また、有機成膜装置の所定位置に保護フィルムロール29Rを装填する。次いで、保護フィルムロール29Rから第2の保護フィルム29を送り出し搬送ローラ対49に至る所定の経路に通紙する。
次いで、乾燥部42において塗布組成物を乾燥して、必要に応じて硬化部44において紫外線照射等によって有機化合物を硬化して粘着層24を形成する(図5(B)参照)。
一方、この被成膜基材Zaの搬送に同期して、保護フィルムロール29Rから第3の保護フィルム29が送り出されて、長手方向に搬送される。
粘着層24を形成された被成膜基材Zcおよび第3の保護フィルム29は、搬送ローラ対49によって積層、圧着される(図5(C))。
このガスバリアフィルム10bにおいて、剥離樹脂層20と、有機層14および無機層16を有するガスバリア層18と、粘着層24とが転写層30となる。
なお、粘着層24を有する場合には、剥離樹脂層20、ガスバリア層18および粘着層24が転写層30となり、粘着層24は、剥離樹脂層20およびガスバリア層18と共に被転写体に転写される。
光学特性、特にリタデーションやヘイズ等の観点から、粘着材料としてアクリル系の粘着剤を用いるのが好ましい。
アクリル系粘着剤としては、SKダインシリーズ(綜研化学株式会社製)等が例示される。
粘着層24の厚さを0.1μm以上とすることにより、無機層16を適正に保護することができる。また粘着層24の厚さを50μm以下とすることにより、ガスバリアフィルム10を被転写体に貼着する際の作業性を向上できる。
その際、第3の保護フィルム29と無機層16との剥離力が、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも大きいと、基板12と剥離樹脂層20との間で剥離してしまうおそれがある。従って、第3の保護フィルム29と無機層16の剥離力は、基板12と剥離樹脂層20の剥離力よりも小さいのが好ましく、0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満とするのがより好ましい。
例えば、有機層形成工程と無機層形成工程とを繰り返し行って、図7に示すような、有機層14と無機層16の組み合わせを2組有するガスバリアフィルム10cを作製してもよい。
このように、有機層14と無機層16の組み合わせを2組以上形成することで、よりガスバリア性の高いガスバリアフィルムを作製できる。
同様に、複数の無機層16を形成する場合には、各無機層16の厚さは、同じでも異なってもよい。また、各無機層16の形成材料は、同じでも異なってもよい。
紫外線を照射すると、基板12表面のポリマーが解烈し、極性基を有することができる。また、剥離樹脂層20に使用する材料でも同様の反応が起こる。これにより、基板12と剥離樹脂層20との極性基同士が結合し、剥離力(密着力)を高くすることができる。特に環状オレフィン樹脂の場合には、ノルボルネン骨格の解裂や、エチレン基との重合時の未重合部がCOOHを形成すると考えられる。したがって、紫外線を照射することで、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を制御することができる。
搬送や巻取り時の剥離樹脂層の剥離を好適に抑制するために、剥離力制御工程は、剥離層形成工程の後、有機層形成工程の前に行うのが好ましい。
なお、転写層30の被転写体への転写は、基本的に、ガスバリアフィルム10のガスバリア層18側を被転写体に貼り合わせた後に、ガスバリアフィルム10から基板12を剥離して、転写層30を被転写体に転写するものであるが、ガスバリアフィルム10から基板12を剥離して転写層30を取り出してから、転写層30を被転写体に貼り合せてもよい。
本発明の製造方法は、このように水蒸気透過率が低い、すなわち、ガスバリア性の高い転写層30を有するガスバリアフィルムを作製できる。
転写層30の可視光透過率およびリタデーション値を上記範囲とすることで、ガスバリアフィルムを転写して、量子ドットフィルム等の波長変換フィルムや、有機EL素子等の光学部材を封止する場合、あるいは、位相差フィルム等の光学フィルムにガスバリア性を付与する場合に、これらの被転写体の光学性能に影響を及ぼすことなく、光学部材の封止やガスバリア性の付与を行うことができる。
前述のとおり、無機層16の下地層となる有機層14は、より高い耐熱性が必要となる。したがって、有機層14の形成材料としてはガラス転移温度Tgがより高い材料を用いる必要がある。ここで、一般に、ガラス転移温度Tgが高い材料は硬く、伸びにくいものとなるため、硬い有機層14の厚さを薄くして、柔らかい剥離樹脂層20の厚さを厚くすることで、剥離樹脂層20を応力緩和層として適正に機能させることができ、基板12を剥離する際の無機層16の割れを防止して高いガスバリア性を得ることができる。
本発明の転写方法は、上述の本発明の製造方法で作製したガスバリアフィルムを、被転写体である機能層に転写する方法であって、
ガスバリアフィルムの基板とは反対側の面に機能層を積層する積層工程と、
機能層に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と、
基板を剥離樹脂層から剥離する基板剥離工程とを有し、
硬化工程における紫外線照射で、基板と剥離樹脂層との剥離力を制御するガスバリアフィルムの転写方法である。
以下、本発明の転写方法について、図8(A)〜図8(C)および図9(A)〜図9(C)を用いて説明する。
第1の保護フィルム26の剥離方法には限定はなく、公知のフィルム状物の剥離方法が各種、利用可能である。
また、このような第1の保護フィルム26の剥離は、枚様式で行ってもよいし、RtoRによって行ってもよい。
量子ドット層に含有される量子ドットの種類には特に限定はなく、求められる波長変換の性能等に応じて、種々の公知の量子ドットを適宜選択すればよい。
また、量子ドット層に含有されるバインダーの種類にも特に限定はなく、量子ドットの種類、求められる性能等に応じて、種々の公知のバインダーを適宜選択すればよい。
ラミネートの方法には限定はなく、公知のフィルム状物の貼り合わせ方法が各種、利用可能である。また、このような貼り合わせは、枚様式で行ってもよいし、RtoRによって貼り合わせを行ってもよい。
ここで、この紫外線の照射によって、ガスバリアフィルム10aの基板12と剥離樹脂層20との剥離力の制御を行ってもよい。
基板12の剥離方法にも限定はなく、公知のフィルム状物の剥離方法が各種、利用可能である。また、このような基板12の剥離も、枚様式で行ってもよいし、RtoRによって行ってもよい。
また、2枚の基板12の剥離は、1枚ごとに行ってもよいし、2枚同時に行ってもよい。
このように、波長変換層の少なくとも一方の面を本発明のガスバリアフィルムで封止することで、波長変換フィルム全体の厚さを薄くすることができる。
実施例1として、本発明の製造方法により図1(A)に示すガスバリアフィルム10aを作製した。
基板12として、幅1000mm、厚さ50μm、長さ100mの長尺な非シリコーン剥離フィルム(藤森工業株式会社製、NSP−4)を用いた。この離型フィルムは、表面にアルキド系樹脂材料からなる離型層を有するものである。
この離型フィルムの表面の水接触角を、協和界面科学株式会社製のポータブル接触角計(PCA-1)を用い、液滴法にて測定したところ水接触角は78.2°であった。
また、基板12のガラス転移温度Tgを高感度型示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、DSC7000X)によって、JIS K 7121に準拠して測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製 UIT−250)を用いて、紫外線透過率を求めたところ、70%であった。
この基板12の未下塗り面側に、以下の手順で剥離樹脂層20を形成した。
この塗布液A1を、図2(A)に示すようなRtoRによる成膜装置の塗布部40に充填し、また、基板12をロール状に巻回してなる基板ロールRaを所定の位置に装填して、基板12を所定の搬送経路に挿通した。塗布部40はダイコータを用いた。
その上で、基板12を長手方向に搬送しつつ、塗布部40によって塗布液A1を基板12に乾燥膜厚が2μmになるように塗布して、乾燥部42において、乾燥温度100℃で3分間乾燥させて、基板12上に剥離樹脂層20を形成した。この際においては、硬化部44は使用しなかった。
すなわち、剥離樹脂層20の形成材料は、シクロオレフィンコポリマーである。
ここで、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を剥離試験機を用いて、JIS Z 0237の180°剥離試験方法に準じて測定したところ、0.07N/25mmであった。
次に、形成した剥離樹脂層20上に、以下の手順で有機層14を形成した。
有機層14となる塗布液B1として、A−DPH(新中村化学工業株式会社製)および光重合開始剤(BASFジャパン製 Irg819)を用意し、重量比率として97:3となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15%の塗布液を調製した。
その上で、被成膜基材Zaを長手方向に搬送しつつ、塗布部40によって塗布液B1を被成膜基材Zaの剥離樹脂層20上に乾燥膜厚が1μmになるように塗布して、乾燥部42において、乾燥温度50℃で3分間乾燥させて、硬化部44において、紫外線を照射し(積算照射量約700mJ/cm2)、硬化させて剥離樹脂層20上に有機層14を形成した。
なお、有機層14を硬化させた後の、有機層14側の面に最初に接触するロールに接触する前に、有機層14上にポリエチレンの第2の保護フィルム28を貼り付けた後に巻き取った。
ここで、有機層14と第2の保護フィルム28との剥離力を剥離試験機を用いて、JIS Z 0237の180°剥離試験方法に準じて測定したところ、0.015N/25mmであった。
次に、形成した有機層14上に、以下の手順で無機層16を形成した。
図2(B)に示されるような成膜装置の供給室50の所定位置に、剥離樹脂層20および有機層14が形成された基板12(被成膜基材Zb)をロール状に巻回してなる基材ロールRcを装填し、成膜室52の所定位置に保護フィルムロール26Rを装填した。さらに、基材ロールRcから被成膜基材Zbを送り出して、供給室50から成膜室52を経て巻取り室54に到る所定の搬送経路に通紙した。また、保護フィルムロール26Rから第1の保護フィルム26を送り出して、成膜室52から巻取り室54に到る所定の搬送経路に通紙した。
この状態で、被成膜基材Zbと第1の保護フィルム26とを同期して搬送しつつ、成膜直前の膜面タッチロールを通過後に被成膜基材Zbから第2の保護フィルム28を剥離し、成膜室52内のドラム62に支持/案内される被成膜基材Zbの有機層14の表面にCCP−CVDによって無機層16として窒化ケイ素膜を形成した。次いで、積層ローラ対72によって、無機層16上に第1の保護フィルム26を積層、貼着して、図1に示すようなガスバリアフィルム10aを作製して、巻き取った。
ここで、無機層16と第1の保護フィルム26との剥離力を剥離試験機を用いて、JIS Z 0237の180°剥離試験方法に準じて測定したところ、0.02N/25mmであった。
保護フィルム26の貼着は、無機層16を形成した後、無機層16が他の部材に接触する前に行った。また、第1の保護フィルム26として、ポリエチレンフィルムを用いた。
基板12として、PETフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、70.2°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線透過率は70%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.08N/25mmであった。
基板12として、非シリコーン剥離フィルム(藤森工業株式会社製、NSD)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、101.7°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線透過率は70%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.05N/25mmであった。
無機層16の成膜後、第1の保護フィルム26を貼着する際の加熱量およびラミネート圧を変更して、無機層16と第1の保護フィルム26との剥離力を0.01N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
無機層16の成膜後、第1の保護フィルム26を貼着する際の加熱量およびラミネート圧を変更して、無機層16と第1の保護フィルム26との剥離力を0.035N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
有機層14の成膜後、第2の保護フィルム28を貼着する際の加熱量およびラミネート圧を変更して、有機層16と第2の保護フィルム28との剥離力を0.01N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
有機層14の成膜後、第2の保護フィルム28を貼着する際の加熱量およびラミネート圧を変更して、有機層16と第2の保護フィルム28との剥離力を0.03N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
無機層形成工程の後に粘着層形成工程を行い、無機層16上に以下に示す有機保護層24を形成し、第3の保護フィルム29を貼着した以外は、実施例1と同様にして、図6に示すようなガスバリアフィルム10bを作製した。
この塗布液C1を、図2(A)に示すようなRtoRによる成膜装置の塗布部40に充填し、また、剥離樹脂層20、有機層14および無機層16を形成した基板12(被成膜基材Zc)をロール状に巻回してなる基材ロールRdを所定の位置に装填して、被成膜基材Zcを所定の搬送経路に挿通した。塗布部40はダイコータを用いた。
その上で、被成膜基材Zcを長手方向に搬送しつつ、塗布部40によって塗布液C1を被成膜基材Zcの無機層16上に乾燥膜厚が3μmになるように塗布して、乾燥部42において、乾燥温度100℃で3分間乾燥させた。その後、最初の膜面タッチロールにて、第3の保護フィルム29としてセパレータフィルム(藤森工業株式会社製フィルムバイナBD)を貼り付けた。
この粘着層24は、アクリル系粘着剤である。
粘着層24と第3の保護フィルム29との剥離力を剥離試験機を用いて、JIS Z 0237の180°剥離試験方法に準じて測定したところ、0.02N/25mmであった。
粘着層24の膜厚を変更して、粘着層24と第3の保護フィルム29との剥離力を0.012N/25mmに変更した以外は実施例8と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
粘着層24の膜厚を変更して、粘着層24と第3の保護フィルム29との剥離力を0.035N/25mmに変更した以外は実施例8と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
剥離樹脂層20の形成後、有機層14の形成前に、剥離樹脂層20に紫外線を照射(積算照射量約700mJ/cm2)し、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を0.45N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
剥離樹脂層20の形成後、有機層14の形成前に、剥離樹脂層20に紫外線を照射(積算照射量約3500mJ/cm2)し、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を0.8N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルム10aを作製した。
基板12として、シリコーン系樹脂材料からなる離型層を有するシリコーン剥離フィルム(藤森工業株式会社製、CHK)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、103°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線透過率は70%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.04N/25mmであった。
基板12として、ポリプロピレンフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、94.2°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、0℃であった。
また、基板12の融点Tmは180℃であった。
また、紫外線透過率は65%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.06N/25mmであった。
基板12として、ポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、88.3°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、−125℃であった。
また、基板12の融点Tmは130℃であった。
また、紫外線透過率は60%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.065N/25mmであった。
基板12として、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT11)を使用した以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、65.9°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線透過率は75%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.09N/25mmであった。
基板12として、厚さ25μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100)を使用した以外は実施例2と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
基板12として、厚さ125μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100)を使用した以外は実施例2と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
基板12として、PENフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テオネックスQ65)を使用した以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム10aを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、65.4°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、155℃であった。
また、基板12の融点Tmは270℃であった。
また、紫外線透過率は0%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.09N/25mmであった。
基板12として、セパレータフィルム(藤森工業株式会社製 フィルムバイナBD)を使用した以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。
なお、実施例1と同様の方法で、基板12の水接触角を測定したところ、106.8°であった。
また、実施例1と同様の方法で、基板12のガラス転移温度Tgを測定したところ、110℃であった。
また、基板12の融点Tmは260℃であった。
また、紫外線透過率は70%であった。
また、基板12と剥離樹脂層20との剥離力を実施例1と同様にして測定したところ、0.02N/25mmであった。
剥離樹脂層20の形成後、有機層14の形成前に、剥離樹脂層20に紫外線を照射(積算照射量約5000mJ/cm2)し、剥離樹脂層20と基板12との剥離力を1.2N/25mmに変更した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
作製した実施例1〜19および比較例1、2のガスバリアフィルムについて、ガスバリア性の評価を行った。
(転写工程)
被転写体として、フジタック(TD80 富士フィルム株式会社製)に光学粘着フィルム(PDS1 パナック株式会社製)を貼合した、200mm角の粘着層つきのTACフィルムを用意した。
作製したガスバリアフィルム10の第1の保護フィルム26を剥離した後、ラミネーター(フェローズ社製プロテウス)によって、被転写体の粘着層とガスバリアフィルム10の無機層16とが接するように貼り合せた。ラミネート圧力0.5MPa、搬送速度5m/minとした。
貼合後、ガスバリアフィルム10の基板12を剥がした。
基板12の剥離は、まず、端面が確実に剥がれるように200mm角の貼合フィルムを100mm角にトムソン刃を用いて打ち抜き、TACフィルム側を下にして、平面性の高い吸着プレートによってTACフィルム面を吸着保持した後に、基板12を掴むための粘着テープ(日東セロテープ(登録商標))を端に2cmほど貼り、基板12が180度ピール試験と同様に円弧を描くように、テープをサンプルと平行に引くことで剥離した。剥離の際は温度25℃湿度50%RHの環境下で行った。
なお、無機層16上に粘着層24を有する、実施例8〜10については、粘着フィルムを貼合していないフジタック(TD80 富士フィルム株式会社製)を被転写体とした以外は同様にして転写を行った。
被転写体に転写し基板12を剥離したガスバリアフィルムの水蒸気透過率を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、測定した。恒温恒湿処理の条件は、温度40℃、相対湿度90%RHとした。
また、フジタック単体の水蒸気透過率は400[g/(m2・day)]であった。
測定した水蒸気透過率に基づいて、以下の基準で評価した。
A:水蒸気透過率が5×10-5[g/(m2・day)]未満
B:水蒸気透過率が5×10-5以上1×10-4[g/(m2・day)]未満
C:水蒸気透過率が1×10-4以上5×10-4[g/(m2・day)]未満
D:水蒸気透過率が5×10-4以上1×10-3[g/(m2・day)]未満
E:水蒸気透過率が1×10-3[g/(m2・day)]以上
結果を下記の表に示す。
また、実施例1〜3から、基板12の水接触角は60°〜105°が好ましいことが分かる。
また、実施例1、4〜10から、無機層と第1の保護フィルムとの剥離力、有機層と第2の保護フィルムとの剥離力、ならびに、粘着層と第3の保護フィルムとの剥離力はそれぞれ、0.01〜0.04N/25mmが好ましいことがわかる。
また、実施例1、11、12から、剥離樹脂層と基板との剥離力は、0.07〜0.8N/25mmがより好ましいことがわかる。
また、実施例14および15は、基板の融点が低いため無機層の形成の際に熱で変形した。従って、基板の融点は130℃以上が好ましいことがわかる。
また、実施例1、16〜18から、基板の厚さは、12〜125μmが好ましいことがわかる。
作製したガスバリアフィルムを用いて、図9(C)に示すような波長変換フィルム100を作製した。波長変換フィルムは、波長変換層として量子ドット層を有する量子ドットフィルムとした。
下記の量子ドット含有重合性組成物Aを調製し、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過した後、30分間減圧乾燥して塗布組成物として用いた。以下のトルエン分散液中の量子ドット濃度は、1質量%であった。
(量子ドット含有重合性組成物A)
・量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:520nm) 10.0質量部
・量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:630nm) 1.0質量部
・ラウリルメタクリレート 80.8質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 18.2質量部
・光重合開始剤 1.0質量部
(イルガキュア819(BASF社製))
第一のフィルムとして実施例1のガスバリアフィルムを用い、1m/分、60N/mの張力で連続搬送しながら、無機層16上の保護フィルム26を剥離し、無機層16上に、上記で調製した塗布組成物をダイコーターにて塗布し、50μmの厚さの塗膜を形成した。
次いで、塗膜の形成されたフィルムをバックアップローラに巻きかけ、塗膜の上に第二のフィルム(第一のフィルムと同じ構成のもの)を保護フィルムを剥離し、無機層16面が塗膜に接する向きでラミネートし、第一のフィルムおよび第二のフィルムで塗膜を挟持した。
この状態で連続搬送しながら、60℃の加熱ゾーンを3分間通過させた後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、紫外線を照射して硬化させ、量子ドットを含有する量子ドット層(波長変換層102)を形成した。なお、紫外線の照射量は2000mJ/cm2であった。
第一のフィルムおよび第二のフィルムの基板12を剥離して、量子ドットフィルム(波長変換フィルム100)を作製した。
作製した実施例23の波長変換フィルムについて、耐久性の評価を行った。
輝度の測定は、以下のようにして行った。
まず、市販の液晶表示装置(Amazon社製 Kindle Fire HDX 7")を分解し、青色光源を備えるバックライトユニットを取り出した。次に、バックライトユニットの導光板上に矩形に切り出した波長変換フィルムを置き、その上に、上記液晶表示装置から取り出した2枚のプリズムシートを、表面の凹凸パターンの向きが直交するように重ねて配置した。
バックライトユニットを点灯し、バックライトユニットの前面から垂直方向740mmの位置に設置した輝度計(TOPCON社製 SR3)にて輝度を測定した。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 基板
14 有機層
16 無機層
18 ガスバリア層
20 剥離樹脂層
24 粘着層
26 第1の保護フィルム
28 第2の保護フィルム
29 第3の保護フィルム
30 転写層
40 塗布部
42 乾燥部
44 硬化部
48 搬送ローラ対
50 供給室
50a、52a、54a 真空排気手段
52 成膜室
54 巻取り室
58、60、76 ガイドローラ
62 ドラム
64 シャワー電極
68 原料ガス供給部
70 高周波電源
72 積層ローラ対
100 波長変換フィルム
102 波長変換層
Claims (15)
- 基板上に形成される剥離樹脂層と、前記剥離樹脂層上に形成される、1組以上の有機層および無機層を有するガスバリア層とを有し、前記基板と前記剥離樹脂層とが剥離可能なガスバリアフィルムを作製するガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記基板の一方の主面上に、前記基板との剥離力が、0.04N/25mm以上、1N/25mm以下の前記剥離樹脂層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離樹脂層に接して前記有機層を形成する有機層形成工程と、
前記有機層上に前記無機層を形成する無機層形成工程とを有し、
前記有機層形成工程で形成する前記有機層は前記剥離樹脂層よりも薄く、前記有機層のガラス転移温度が前記剥離樹脂層のガラス転移温度よりも高いことを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。 - 前記無機層形成工程において、前記無機層の形成後に、前記無機層上に第1の保護フィルムを貼着する請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記第1の保護フィルムと前記無機層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記有機層形成工程において、前記有機層の形成後に、前記有機層上に第2の保護フィルムを貼着し、
前記無機層形成工程において、前記第2の保護フィルムを前記有機層から剥離した後、前記有機層上に前記無機層を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。 - 前記第2の保護フィルムと前記有機層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である請求項4に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記ガスバリア層上に粘着層を形成し、前記粘着層上に第3の保護フィルムを貼着する粘着層形成工程を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記第3の保護フィルムと前記粘着層との剥離力が0.01N/25mm以上、0.04N/25mm未満である請求項6に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記基板表面の水接触角が60°〜105°である請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記基板は、前記剥離樹脂層が積層される側の面に離型層を有し、
前記離型層の形成材料がアルキド系樹脂材料である請求項1〜8のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。 - 前記基板の形成材料がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜9のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記基板の厚さが12〜125μmである請求項1〜10のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記基板と前記剥離樹脂層との剥離力を紫外線照射によって制御する工程を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記基板は、365nm以下の波長の光の透過率が60%以上である請求項1〜12のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法で作製したガスバリアフィルムのガスバリア層および剥離樹脂層を備える転写層を、機能層に転写するガスバリアフィルムの転写方法であって、
前記ガスバリアフィルムの前記基板とは反対側の面に前記機能層を積層する積層工程と、
前記機能層に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と、
前記基板を前記剥離樹脂層から剥離する基板剥離工程とを有し、
前記硬化工程における紫外線照射で、前記基板と前記剥離樹脂層との剥離力を制御するガスバリアフィルムの転写方法。 - 前記機能層が、波長変換層である請求項14に記載のガスバリアフィルムの転写方法。
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