JP6401649B2 - 起振軸 - Google Patents
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Description
また、特許文献2,3の起振軸では、可動偏心錘を取り付けることが困難であり、振幅を切り換え可能な起振軸に対応できない。引用文献2,3においては、そもそも可動偏心錘を用いるという記載および思想はない。
本発明によれば、振幅を切り換え可能な起振軸を構築するにあたり、可動偏心部材を支軸部から通して固定偏心部の外周に遊嵌するという簡単な作業で済む。軸方向視して固定偏心部が支軸部の形成範囲を全て含んでいるので、可動偏心部材の回転中心である偏心軸心O2と、支軸の回転中心である軸心O1とが大きくずれることはない。したがって、可動偏心部材は、固定偏心部の回転開始時に、慣性力によって固定偏心部回りにスムーズに回転できる。
ここにおいて、偏心モーメントとは、偏心錘の質量(m)と、起振軸の回転軸心から偏心錘位置までの距離(r)との積(m・r)を意味する。
以下、本発明の起振軸1について詳細に説明する。図1および図2を参照して、起振軸1は、軸受38,39を介してロール21に支承されて軸心O1回りに回転する一対の支軸部2,3と、支軸部2,3の間に形成され、軸心O1と平行な偏心軸心O2を中心とし且つ軸方向視して支軸部2,3の形成範囲を全て含む断面円形状を呈した固定偏心部4と、を備えている。本実施形態の起振軸1は、支軸部2と支軸部3と固定偏心部4とが、1つの素材から造形された単体の造形体である。起振軸1は、切削加工等の機械加工によって容易に造形できる。
横型旋盤で加工物を回転させて起振軸1を造形する場合の加工手順の一例を説明する。
(1)偏心軸素材の加工物について、支軸部2,3の回転中心である軸心O1と、固定偏心部4の軸心である偏心軸心O2の位置決めを行う。
(2)旋盤で、偏心軸心O2を中心として加工物が回転するようにチャッキングする。
(3)旋盤で、偏心軸心O2を中心として加工物を回転させながら、固定偏心部4を所望の外径寸法となるまでバイトで旋削加工を行う。そして、バイトを横移動させて、固定偏心部4の全長にわたり旋削加工を行うことで、固定偏心部4の造形を完了する。
(4)一旦、旋盤を停止させ、今度は軸心O1が回転中心となるように加工物をチャッキングしなおす。なお、加工物を軸心O1回りに回転させた場合、固定偏心部4の存在により偏心状態となるため、加工物が大きく振動して正確な旋削が行えないおそれがある。その場合、必要に応じて加工物の偏心していない側にバランスウェイトを取り付ける。
(5)軸心O1回りに加工物を回転させて両端の支持部2,3の旋削加工を行い、支持部2,3の造形を完了する。
(6)加工完了した起振軸1を旋盤から取り外し、前記バランスウェイトを取り外す。
起振軸の慣性モーメントが大きくなると、起振軸が停止状態から定格回転数に達するまでの立ち上がり時間が長くなるという問題がある。慣性モーメントは、物体のある軸回りに関する回転開始のしやすさ又は回転停止のしやすさを示す指標値であり、I・(dω/dt)=Tにおける、トルクTの角加速度dω/dtに対する比例定数Iのことである。一般に、振動ローラ等の振動締固め機械は、路面を締め固めるにあたり、前進と後進とが交互に繰り返されて使用される。その際、前後進の切り換えで車両が一旦停止した際には振動モータを停止させて起振軸の回転を停止させるようになっている。これは、車両の停止時に起振軸をそのまま回転させると、その停止地点の路面が必要以上に強く締め固まったり、窪みを生じるおそれがあるためである。そして、走行開始する際には、振動モータを回転させて起振軸を再び回転させる。つまり、起振軸の回転停止と回転駆動とが作業中、繰り返されることとなる。このような、走行作業中に振動モータの停止と起動とを多く伴って使用される振動締固め機械において、起振軸が回転しにくいものであると、振動モータへの負荷が大きくなり、振動立ち上がり時間が長くなって、その結果、エンジンのエネルギー消費も大きくなる。
図5(a)において、直径D、質量Mの円柱形状の偏心錘51をその軸心O3回りに回転させたときの慣性モーメントI0は、
I0=MD2/8 …式(1)
で示される。
軸心O3が回転軸O4から距離aだけ離れている場合で、偏心錘51を回転軸O4回りに回転させたときの回転軸O4回りの慣性モーメントIは、慣性モーメントの平行軸の定理より、
I=I0+Ma2 …式(2)
であり、式(1)と式(2)より
I=(MD2+8Ma2)/8 …式(3)
となる。
F=Maω2 … 式(4)
で示される(ωは角速度)。
質量Mは、
M=(D2πLσ)/4 …式(5)
であるから(Lは偏心錘51の長さ、σは偏心錘51の密度)、式(4)と式(5)から、
F=(D2πLσaω2)/4 … 式(6)
と示される。
偏心錘51´の質量M´は、
M´=((D/2)2・π・8L・σ)/4
=(D2πLσ)/2
=2M …式(7)
となり、偏心錘51´の質量M´は、偏心錘51の質量Mの2倍となる。
F´=M´・(a/2)・ω2
=((D2πLσ)/2)・(a/2)・ω2
=(D2πLσaω2)/4 …式(8)
となり、偏心錘51´の回転軸O4回りの振動力F´は、式(6)で示した偏心錘51の回転軸O4回りの振動力Fと同一となる。
I0´=(M´(D/2)2)/8
=(2M(D/2)2)/8
=MD2/16 …式(9)
となる。したがって、回転軸O4回りの偏心錘51´の慣性モーメントI´は、
I´=I0´+M´(a/2)2
=MD2/16+2M(a/2)2
=(MD2+8Ma2)/16 …式(10)
となる。式(10)と式(3)から、I´=I/2となる。すなわち、回転軸O4回りの偏心錘51´の慣性モーメントI´は、回転軸O4回りの偏心錘51の慣性モーメントIの半分に抑えられることが判る。
本発明は、軸方向視して固定偏心部4が支軸部2,3の形成範囲を全て含んでいるので、後記する可動偏心部材6の回転中心である偏心軸心O2と、支軸2,3の回転中心である軸心O1とが大きくずれることはない。特に、前記したように、軸心O1と偏心軸心O2との距離を支軸2,3の直径の1/3以下、好ましくは1/4以下にすることで、可動偏心部材6を、固定偏心部4の回転開始時に、慣性力によって固定偏心部4回りにスムーズに回転させることができる。
起振軸1は、支軸部2側或いは支軸部3側から通されて、偏心軸心O2に沿って固定偏心部4の外周に遊嵌される可動偏心部材6を備えている。可動偏心部材6は、起振軸1が一方向に回転したときの軸心O1に対する偏心質量と、起振軸1が他方向に回転したときの軸心O1に対する偏心質量とが異なるように、偏心軸心O2回りに回転する。
図3において、起振軸1は、固定偏心部4に取り付けられ、起振軸1が一方向および他方向に回転したときに、偏心軸心O2回りの可動偏心部材6の位相を位置決めするストッパピン8を備えている。ストッパピン8は、一端部8Aの外周に、一端に向かうにしたがい縮径する第1ピンテーパ面8Cが形成されているとともに、他端部8Bの外周に、他端に向かうにしたがい縮径する第2テーパ面8Dが形成されている。ストッパピン8は、一端部8A側から固定偏心部4のピン孔9に嵌入され、第1ピンテーパ面8Cが孔テーパ面9Aに押し付けられるように密着することにより、楔効果を発揮してピン孔9内に固定される。ストッパピン8の他端部8Bは、固定偏心部4の外周面よりも突出してピンガイド長孔7内に位置する。これにより、固定偏心部4に対する可動偏心部材6の軸方向移動が規制される。
図3(a),図4(a)に示すように、起振軸1が軸心O1回りに一方向に回転開始すると、ストッパピン8の他端部8Bがピンガイド長孔7の孔一端部7Aに当接し、この状態を維持しながら回転する。他端部8Bと孔一端部7Aとが当接したとき、孔一端部7Aのテーパ面7Cが他端部8Bの第2ピンテーパ面8Dを押すことにより、ストッパピン8には、白矢印で示す方向の力が作用する。すなわち、ストッパピン8には、第1ピンテーパ面8Cを孔テーパ面9Aに押し付ける力が作用する。元々、ストッパピン8はピン孔9に圧入されているため抜けにくくなっているが、これにより、第1ピンテーパ面8Cと孔テーパ面9Aとの間の摩擦力が大きくなり、ピン孔9からのストッパピン8の抜けが確実に防止される。
以上のように、軸受38,39を介してロール21に支承されて軸心O1回りに回転する一対の支軸部2,3と、支軸部2,3の間に形成され、軸心O1と平行な偏心軸心O2を中心とし且つ軸方向視して支軸部2,3の形成範囲を全て含む断面円形状を呈した固定偏心部4と、を備えている起振軸1とすれば、次のような効果が奏される。
2,3 支軸部
4 固定偏心部
6 可動偏心部材
6A 小外径部
6B 大外径部
7 ピンガイド長孔
7A 孔一端部
7B 孔他端部
7C テーパ面
8 ストッパピン
8A 一端部
8B 他端部
8C 第1ピンテーパ面
8D 第2ピンテーパ面
9 ピン孔
9A 孔テーパ面
21 ロール
Claims (6)
- 振動締固め機械のロールに内蔵される起振軸であって、
軸受を介して前記ロールに支承されて軸心O1回りに回転する一対の支軸部と、
前記一対の支軸部の間に形成され、軸心O1と平行な偏心軸心O2を中心とし且つ軸方向視して前記支軸部の形成範囲を全て含む断面円形状を呈した固定偏心部と、
偏心軸心O2に沿って前記固定偏心部の外周に遊嵌され、起振軸の一方向又は他方向の回転に連動して前記固定偏心部に対する位置がそれぞれ変わり、起振軸が一方向に回転したときの軸心O1に対する偏心質量と、起振軸が他方向に回転したときの軸心O1に対する偏心質量とが異なるように偏心軸心O2回りに回転する可動偏心部材と、
を備えていることを特徴とする起振軸。 - 前記一対の支軸部と前記固定偏心部とは、1つの素材から一体に造形されていることを特徴とする請求項1に記載の起振軸。
- 前記固定偏心部は、前記一対の支軸部の間の軸方向距離に対し50%以上の範囲にわたり形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の起振軸。
- 前記固定偏心部に取り付けられ、起振軸が一方向および他方向に回転したときに、偏心軸心O2回りの前記可動偏心部材の位相を位置決めするストッパピンを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の起振軸。
- 前記可動偏心部材は、偏心軸心O2の円周方向に沿うピンガイド長孔を有した筒状部材からなり、
前記ストッパピンは、一端部側から前記固定偏心部のピン孔に嵌入されて他端部が前記ピンガイド長孔に位置し、
前記ストッパピンの他端部が、前記ピンガイド長孔の孔一端部に当接することにより起振軸が一方向に回転したときの前記可動偏心部材の位相が位置決めされ、前記ピンガイド長孔の孔他端部に当接することにより起振軸が他方向に回転したときの前記可動偏心部材の位相が位置決めされることを特徴とする請求項4に記載の起振軸。 - 前記ストッパピンの一端部の外周には、一端に向かうにしたがい縮径する第1ピンテーパ面が形成され、
前記ストッパピンの他端部の外周には、他端に向かうにしたがい縮径する第2ピンテーパ面が形成され、
前記ピン孔には、前記第1ピンテーパ面と接面する孔テーパ面が形成され、
前記孔一端部および前記孔他端部が前記第2ピンテーパ面に当接したとき、前記ストッパピンに、前記第1ピンテーパ面を前記孔テーパ面に押し付ける力が作用することを特徴とする請求項5に記載の起振軸。
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