JP6400986B2 - 有機ハイドライド製造装置及び有機ハイドライド製造方法 - Google Patents

有機ハイドライド製造装置及び有機ハイドライド製造方法 Download PDF

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本発明は、被水素化物から電気化学的に有機ハイドライドを製造する装置及び製造方法に関する。
エネルギー問題・環境問題を解決するため、従来の化石燃料に代わって水素エネルギーが近年注目を浴びている。しかし、水素は常温常圧下で気体であるため、その貯蔵・輸送技術が、水素エネルギー社会の実現に必要不可欠である。
密度が高く、安全で大量貯蔵・輸送に優れた水素貯蔵法として、近年、有機ハイドライド法が注目を浴びている。有機ハイドライド法において、トルエンやナフタレンなどの芳香族化合物から水素付加反応により有機ハイドライドを生成することで水素を貯蔵する。
非特許文献1で報告されているように、太陽光や風力など再生可能エネルギーの不安定な発電出力に対し、有機ハイドライド法を用いて安定に水素を貯蔵する実証試験が行われている。このシステムは、風力発電によって得られる電力を用いて水電解装置にて水素を発生させた後、水素付加反応装置にて有機ハイドライドを生成させるという二段階のプロセスから成り立っている。このため、有機ハイドライド合成まで複数の装置が必要であり、装置の複雑化・大型化に伴う建設及び運用コストの問題や、総合的なエネルギー変換効率の低下といった問題があった。
この問題に対し、複数の研究グループが芳香族化合物から電気化学的に有機ハイドライドを直接製造するプロセスを提案している。これらの先行技術において、有機ハイドライド製造装置は、プロトン伝導性固体高分子膜に電極を接合させた膜電極接合体を用いた電解セルから構成される。実際に膜電極接合体を用いた電解セルによって有機ハイドライドが電解合成されたことがこれまでに報告されている。
特許文献1では、水素イオンを選択的に透過する固体電解質からなる電解質膜と、電解質の陽極側配置された第1の反応容器と、陰極側に配置された第2の反応容器とを備え、第1の反応容器には水又は水蒸気を供給し、第2の反応容器には被水素化物を供給し、陽極側の水又は水蒸気の電気分解で生じた水素イオンを、陰極側で被水素化物と水素化反応させて、有機ハイドライドを製造する装置が開示されている。
しかしながら、このような装置においては、陽極に用いている水が水素イオン透過性の固体高分子電解質膜を透過して陰極側に到達してしまい、陰極側での被水素化物の水素化反応を阻害するという問題が有った。
これを解決するため、特許文献2の有機ハイドライド生成装置においては、固体高分子電解質膜の表面あるいは内部に、水をブロックする層が形成されている。
また特許文献3に開示されている有機ハイドライド製造装置においては、カソード触媒層が被水素化物を水素化する触媒金属とその担体を含み、担体はその表面に被水素化物に対する濡れ性を弱める官能基が導入されている。
特開2003−45449号公報 特開2012−72477号公報 特開2013−84360号公報
加藤勝博, 桜元正, "有機ハイドライドを用いた再生可能エネルギー由来水素の貯蔵システム", 石油学会 年会秋季大会講演要旨集, 56(2009)。 高野拳, 柏木恒雄, 中村康治, 跡部真人, 光島重徳, 3J03, "PEMリアクターを用いたトルエンの電気化学的水素添加反応(1)", 2014年電気化学会第81回大会要旨集, 179(2014).
有機ハイドライド電解合成において、カソード触媒表面に反応物である被水素化物、例えば芳香族有機化合物とプロトンがスムーズに供給され、生成物である有機ハイドライドが速やかに脱離する反応場が必要不可欠である。
特許文献2および特許文献3に記載の有機ハイドライド装置においては、固体高分子膜と電極材料を接合させた膜電極接合体を用いて有機ハイドライド電解合成を行っているが、その膜電極接合体は反応物と生成物が気体である燃料電池や水電解装置のために開発されてきた歴史を持つ。
図1に従来の膜電極接合体のカソード電極側の模式図を示す。このような電解セルの構造は、室温付近で液体である反応物・生成物の輸送・拡散に適しているとは言えない。
すなわち、有機ハイドライド製造装置は、いずれも固体電解質膜に電極を接合した膜電極接合体を使用しており、膜電極構造が有機ハイドライド電解合成に最適化されておらず、電極触媒の利用率が不明であり、本来の電極触媒の性能を生かし切れないために、水素化の効率が高くないという問題点がある。
本発明は、膜電極接合体を用いることなく、被水素化物である芳香族化合物を酸性電解液に分散安定化させたエマルションをカソードに供給することで、有機ハイドライドを電気化学的に高効率で製造する装置及び方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明による有機ハイドライド製造装置は、
液体の被水素化物を還元水素化するカソード触媒と、
水を酸化し酸素発生させるアノード触媒と、
液相中に0.01〜0.1μmの大きさの液滴として分散した被水素化物を含むマイクロエマルションであるカソード電解液と、
pHが0〜6の間に調整された電解質水溶液であるアノード電解液を備え、
前記カソード電解液の層とは分離した前記被水素化物による被水素化物相を有し、前記被水素化物相から有機ハイドライドを回収可能としたことを特徴とする。
また、本発明による有機ハイドライドの製造方法は、
液相中に0.01〜0.1μmの大きさの液滴として分散した被水素化物のマイクロエマルションであるカソード電解液を調整する第一のステップと、
pHが0〜6の間に調整された電解質水溶液であるカソード電解液を電解セルに満たす第二のステップと、
カソード触媒をカソード電解液に、アノード触媒をアノード電解液に、それぞれ浸漬させる第三のステップと、
電流により有機ハイドライドを電解合成し、前記カソード電解液の層とは分離した前記被水素化物による被水素化物相に前記被水素化物を拡散させ、前記被水素化物相から有機ハイドライドを回収可能とする第四のステップを備えたことを特徴とする。
本発明の有機ハイドライド製造装置によれば、膜電極接合体ではなく、被水素化物をマイクロエマルション化したカソード電解液をカソード触媒表面に供給しているので、従来の有機ハイドライド装置に比べて、効率よく安定に有機ハイドライドを製造できる。
は、従来の固体高分子型電解セルのカソード側の構造を説明する図である。 は、本発明の実施例1に係る有機ハイドライド電解合成に適したカソード電極近傍の液−液―固三相界面のモデルを示す図である。 は、本発明の実施例1による有機ハイドライド製造装置を示す図である。 は、本発明の実施例2による有機ハイドライド製造装置を示す図である。 は、本発明の実施例3による有機ハイドライド製造装置を示す図である。 は、本発明の実施例1におけるエマルション相が発現したカソード電解液の写真である。
以下に、本発明の第一の実施例を図面を参照しながら説明する。
有機ハイドライド電解合成に最適な反応場は、図2に模式的に示すように、被水素化物である油相、プロトンを供給する電解液である水相、図中のカソード電極の表面に担持された触媒が会合した、液−液−固の三相界面である。本発明では、固体高分子電解質膜を用いず、被水素化物をエマルション化させた電解液をカソード触媒表面に供給し、図2に示す三相界面を実現させることで、有機ハイドライドを高効率に製造することができる。
ここでエマルションとは、水と油のように互いに溶解しない液相の一方が他の一方に微細な液滴として分散したものをいう。特には、水相である連続相中に油相が0.01〜0.1μmの大きさに分散されたO/Wマイクロエマルション、あるいは油相及び水相の両方が連続した状態の両連続マイクロエマルションであることが望ましい。
カソード触媒には被水素化物をエマルション化させた電解液を供給し、アノード触媒に電解質水溶液を供給し、アノードとカソード間に電圧を印加することで、カソードにおいて被水素化物の水素付加反応、アノードでは水の電気分解による酸素生成反応がおきる。
被水素化物をトルエンとした場合のカソードでの水素付加反応を式(1)に、アノードでの酸素生成反応を式(2)に示す。
C7H8 + 6H+ + 6e- → C7H14 (1)
2H2O → O2 + 4H+ + 4e- (2)
図3に本実施例の有機ハイドライド製造装置10を示す。この装置は、電解セル1を備え、電解セル1には、被水素化物5と、カソード電解液6と、被水素化物を還元して水素化するカソード触媒3と、アノード電解液7と、水を酸化し酸素を発生させるアノード触媒4を備えている。
カソード電解液6は、少なくとも被水素化物と、自己解離溶媒と、陰イオン界面活性剤と、補助界面活性剤と、pH(0〜6)を調整する電解質水溶液からなっており、エマルション、詳しくは界面活性剤の親水性/親油性がバランスした条件で形成される両連続マイクロエマルションである。
アノード電解液7は、pHが0から6の間に調整された電解質水溶液である。
カソード触媒3はカソード電解液6に浸漬されており、アノード触媒4はアノード電解液7に浸漬されている。
被水素化物相5の主成分は、本実施例ではトルエンを用いたが、芳香族有機化合物であるベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセンのいずれかあるいは組み合わせで有っても良い。
カソード触媒3は、金属である白金を用いたが、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、スズ、金、銅のいずれかあるいは組み合わせで有っても良い。またカソード触媒3は、前記の金属のいずれかあるいは組み合わせが、担体によって担持されたものであっても良い。
アノード触媒4は、金属である白金を用いたが、白金、イリジウムあるいはルテニウムの金属であるか、あるいは、白金、イリジウムあるいはルテニウムを含む酸化物であり、非炭素系担体に担持されたものであっても良い。
自己解離溶媒は、水を用いたが、水、メタノール、エタノール、エチレングリコールのいずれかあるいは組み合わせで有っても良い。
陰イオン界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムを用いたが、ドデシル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸のいずれかあるいは組み合わせで有っても良い。
pHを調整する電解質水溶液は、過塩素酸の水溶液を用いたが、過塩素酸、硫酸、リン酸のいずれかあるいは組み合わせの水溶液で有っても良い。
次に本実施例における電解液の調製方法について説明する。
有機ハイドライドを製造するための第1のステップとして、pHを調整する電解質である0.66 M HClO4水溶液40ml、被水素化物であるトルエン40ml、陰イオン界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム5g、補助界面活性剤である2-ブタノール10mlを秤量し、ミキサーによって混合・撹拌、さらにホモジナイザーによって超音波分散させることで、安定な3相状態の電解液を調製した。
図6に3相状態の電解液の写真を示す。比重の違いにより、上から被水素化物相、エマルション相、水相となる。
次に第2のステップとして、電解液30mlを電解セル1に満たした。第3のステップとして、カソード触媒をエマルション相に、アノード触媒を水相に浸漬させた。カソード触媒には径6.3 mm厚さ0.05 mmのPt円板電極を使用した。
純粋な0.66 M HClO4水溶液中における水素吸着波電気量から、カソード触媒に使用したPt円板電極の電気化学活性表面積は0.82 cm2であった。アノード触媒には、Ptメッシュ#80を白金黒化した電極を使用した。有機ハイドライド電解合成の前に、カソード電解液を窒素にて脱酸素し、カソードにて酸素還元反応が起きないようにした。
第4のステップとして、室温26℃でカソード触媒3とアノード触媒4の間に定電流モードで電圧を印加した。アノード触媒の近傍では水の電気分解反応がおき、酸素ガスとプロトンが生成した。プロトンはエマルション相に供給され、カソード触媒の近傍でエマルションに含まれる被水素化物への水素付加反応が起きることで有機ハイドライドが生成された。生成した有機ハイドライドは被水素化物相に拡散し回収が可能となる。
有機ハイドライドの生成は、電解セル上部のトルエン相をガスクロマトグラフによって分析し、メチルシクロヘキサンを検出することで確認できる。電解電流を上げたときに、カソード触媒から被水素化物の水素化に寄与しない余剰の水素が発生してしまう限界の電流値で、水素化の能力を評価することが出来る。
非特許文献2において、従来の膜電極接合体を用いた有機ハイドライド製造装置では、この限界の電流値は、室温において、使用したPtカソード触媒の電気化学活性表面積に対して0.12 mAcm-2程度であることが示されている。
本実施例では、電解電流を1mAまで上昇させても、カソード触媒から水素発生による気泡は見受けられず、メチルシクロヘキサンの生成が確認された。
また室温でもカソード触媒のPtの電気化学活性表面積に対して1.2 mAcm-2の電解電流密度までは安定に有機ハイドライド生成が可能であった。
従って、有機ハイドライド合成に係る電解電流密度が、従来の膜電極接合体を用いた有機ハイドライド製造方法による値の10倍であった。
次に図4を用いて、本発明の第2の実施例である有機ハイドライドの製造装置20について説明する。この装置においては、アノード電解液が循環する構造になっている。
この装置は、電解セル21を備え、電解セル21は、被水素化物5と、カソード電解液6と、カソード触媒3と、水相2と、アノード触媒4と、アノード電解液7と、カソード電解液6とアノード電解液7の間に設けられる隔膜9を備えている。また、電解セル21は、その下部に、配管24を介して、アノード電解液リザーバータンク22と、アノード電解液を循環させるためのポンプ23とを備えている。
ここで、カソード触媒3はカソード電解液6に、アノード触媒4はアノード電解液7にそれぞれ浸漬されている。
カソード電解液6は、エマルション、詳しくは界面活性剤の親水性/親油性がバランスした条件で形成される両連続マイクロエマルションである。
エマルションであるカソード電解液6は、少なくとも被水素化物と、自己解離溶媒と、陰イオン界面活性剤と、補助界面活性剤と、pH(0〜6)を調整する電解質水溶液からなっている。
被水素化物5、カソード触媒3、アノード触媒4、自己解離溶媒、陰イオン界面活性剤、pHを調整する電解質は、実施例1と同様の物質を使用した。
アノード電解液7は、水相2と同程度のpH(0〜6)に調整された水溶液である。
隔壁9は、アノード電解液が水相2及びカドード電解液6と混合しないように設置されたもので、プロトン伝導性の固体高分子膜からなっている。この隔壁9により、アノードにおいて、被水素化物、界面活性剤、補助界面活性剤の酸化反応が進行することによる反応効率の低下を防止することができる。
隔壁9の材質としては、プロトン伝導性の固体高分子膜の他に、多孔質ガラス、PTFE結着セラミクス、焼結ニッケルなどを用いることが出来る。
実施例1と同様に、室温26℃でカソードとアノード間に定電流モードで電圧を印加することにより、アノードでは水の電気分解反応がおき、酸素ガスとプロトンが生成する。プロトンは隔膜9を透過し水相2を介してエマルション6に供給される。エマルション6に浸漬されているカソード触媒3の働きにより、被水素化物とプロトンとの反応、すなわち水素付加反応が起きることで有機ハイドライドが生成される。
生成した有機ハイドライドは、被水素化物相5に拡散し回収が可能となる。アノードで発生した酸素は、アノード電解液7と共にアノード電解液用リザーバータンク22に輸送され、装置外へ放出される。消費された水はアノード電解液用リザーバータンク22内にて補充される。このように有機ハイドライド製造装置20においては、有機ハイドライド製造装置10に比べて、アノード電解液7を循環することによる装置運転時の省力化と、隔壁による高効率化が実現できる。
次に図5を用いて、本発明の第3の実施例である有機ハイドライド製造装置30について説明する。この装置では、カソード電解液、アノード電解液ともに循環している。
この有機ハイドライド製造装置30は、電解セル31と、エマルションであるカソード電解液36が電解セル31に供給され、かつ循環するように設けられた配管27およびポンプ26と、アノード電解液7が電解セル31に供給され、かつ循環するように設けられた配管24およびポンプ23と、カソード電解液リザーバータンク25と、アノード電解液リザーバータンク22を備える。
また、カソード用電解液リザーバータンク25は、被水素化物35と被水素化物が水中に分散安定化されているエマルションからなるカソード電解液36を備える。
電解セル31は、配管27によって供給されるカソード電解液36に接するように設けられたカソード触媒3と、配管24によって供給されるアノード用電解液8に接するように設けられたアノード触媒4と、カソード電解液36とアノード電解液7の間に設けられる隔膜9を備えている。
カソード用リザイバータンク25には、回転撹拌子29を有するミキサー28を備える。
隔膜9は、カソード電解液36とアノード電解液7が混合しないように設けられたもので、実施例2と同様の物質を使用した。
アノード電解液7は、酸性(pHが0〜6)に調整された電解質水溶液である。
被水素化物35は実施例1の被水素化物5と同様の物質を、またカソード触媒3、アノード触媒4、自己解離溶媒、陰イオン界面活性剤、pHを調整する電解質は、実施例1と同様の物質を使用した。
まず、pHを調整する電解質の水溶液と、被水素化物と、陰イオン界面活性剤と、補助界面活性剤をカソード用リザーバータンク25に投入した。さらにミキサー28を駆動して回転撹拌子29を所定の回転数で回転させ、溶液を混合・撹拌した。
ここで、温度、pH、界面活性剤濃度、補助界面活性剤濃度を制御することにより、カソード電解液用リザーバータンク25内にて、被水素化物5、エマルション36の2相状態が安定して存在するように調整した。
比重の違いにより、上部が被水素化物、下部がエマルションの2相となった。下部のエマルションはカソード用電解液36として、配管27を通じて電解セル31に配置されたカソード触媒3に供給され、その後、カソード用電解液36は再びカソード電解液用リザーバータンク25に戻される。
カソードとアノード間に電圧を印加することで、アノード触媒4の近傍では水の電気分解反応がおき、酸素ガスとプロトンが生成する。プロトンは隔膜9を介してカソード用電解液36に供給され、カソード触媒3の作用により被水素化物35への水素付加反応が起きて有機ハイドライドが生成される。生成した有機ハイドライドは、配管27を通ってカソード電解液用リザーバータンク25に送られる。カソード電解液用リザーバータンク25において、有機ハイドライドは被水素化物相35に溶け込み、回収が可能となる。
アノード電解液7とアノード触媒4により発生した酸素は、アノード電解液7と共にアノード用電解液リザーバータンク22に輸送され、装置外へ放出される。消費された水はアノード電解液用リザーバータンク22内にて補充される。この有機ハイドライド製造装置30において、有機ハイドライド製造装置20と異なり、電解セルは縦置き横置き共に可能であり、大型化による有機ハイドライドの大量合成が望める。
本発明の有機ハイドライド製造装置10,20,30においては、膜電極接合体を用いた従来の有機ハイドライド製造法と異なり、カソード並びにアノードの形状に制約がない。したがってアノードおよびカソードの形状を工夫することで、触媒表面積を大きくするとともに、触媒利用率を向上することが可能である。
本発明の有機ハイドライドの製造装置及び製造方法によれば、水力や風力などの再生可能エネルギー水素エネルギーに効率よく変化させることが可能になり、化石燃料に依存しない循環型社会の実現に貢献する。水素エネルギーを有機ハイドライドとして安全に輸送できることから、余剰エネルギーを都市部など需要の高い地域に分配することが可能となる。輸送された有機ハイドライドは消費地にて水素に変換され、燃料電池によって再び電気エネルギーに変換することができる。また、製造された有機ハイドライドは貯蔵もガソリンや水素ガスに比べ安全であることから、災害に強い社会の実現に貢献する。
1 電解セル
2 水相
3 カソード触媒
4 アノード触媒
5 被水素化物
6、36 カソード電解液(エマルション)
7 アノード電解液
9 隔壁
22 アノード電解液リザーバータンク
23、26 ポンプ
24、27 電解液循環用配管
25 カソード電解液リザーバータンク
35 被水素化物

Claims (7)

  1. 液体の被水素化物を還元水素化するカソード触媒と、
    水を酸化し酸素発生させるアノード触媒と、
    液相中に0.01〜0.1μmの大きさの液滴として分散した前記被水素化物を含むマイクロエマルションであるカソード電解液と、
    pHが0〜6の間に調整された電解質水溶液であるアノード電解液を備え、
    前記カソード電解液の層とは分離した前記被水素化物による被水素化物相を有し、前記被水素化物相から有機ハイドライドを回収可能としたことを特徴とする有機ハイドライド製造装置。
  2. 前記カソード電解液と前記アノード電解液を隔てる隔膜を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機ハイドライド製造装置。
  3. 前記カソード電解液は、少なくとも前記被水素化物と、自己解離溶媒と、陰イオン界面活性剤と、補助界面活性剤と、pHを0〜6に調整する電解質を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機ハイドライド製造装置。
  4. 前記pHを調整する電解質が、過塩素酸、硫酸、リン酸のいずれか、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の有機ハイドライド製造装置。
  5. 前記アノード電解液が循環していることを特徴とする請求項2に記載の有機ハイドライド製造装置。
  6. 前記カソード電解液が循環していることを特徴とする請求項5に記載の有機ハイドライド製造装置。
  7. 液相中に0.01〜0.1μmの大きさの液滴として分散した被水素化物のマイクロエマルションであるカソード電解液を調整する第一のステップと、
    前記カソード電解液を電解セルに満たす第二のステップと、
    カソード触媒を前記カソード電解液に、アノード触媒をpHが0〜6の間に調整された電解質水溶液であるアノード電解液に、それぞれ浸漬させる第三のステップと、
    電流により有機ハイドライドを電解合成し、前記カソード電解液の層とは分離した前記被水素化物による被水素化物相に前記被水素化物を拡散させ、前記被水素化物相から有機ハイドライドを回収可能とする第四のステップを備えたことを特徴とする有機ハイドライドの製造方法。
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