JPH09184086A - 有機化合物の水素化方法及び電解槽 - Google Patents

有機化合物の水素化方法及び電解槽

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JPH09184086A
JPH09184086A JP7352862A JP35286295A JPH09184086A JP H09184086 A JPH09184086 A JP H09184086A JP 7352862 A JP7352862 A JP 7352862A JP 35286295 A JP35286295 A JP 35286295A JP H09184086 A JPH09184086 A JP H09184086A
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JP
Japan
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cathode
hydrogen
hydrogenation
organic compound
chamber
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Application number
JP7352862A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Nishiki
善則 錦
Takayuki Shimamune
孝之 島宗
Masashi Tanaka
正志 田中
Kazuhiro Hirao
和宏 平尾
Chiaki Iwakura
千秋 岩倉
Hiroshi Inoue
博史 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
De Nora Permelec Ltd
Original Assignee
Permelec Electrode Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の有機電解による有機化合物の水素化で
は、水素の枯渇により連続的に反応を進行させることが
不可能であり、高圧水素の使用による爆発等の危険があ
った。本発明は、容易、確実、安全かつ連続的に有機化
合物の水素化を行なえる方法及び装置を提供する。 【構成】 電解槽1を、水素透過能及び水素吸蔵能を有
する陰極2により電解室3と水素化室4に区画し、陰極
の電解室表面で生成する水素を陰極内に吸蔵しかつ水素
化室側に透過させ、該水素化室内の有機化合物と接触さ
せて該有機化合物を水素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機化合物の水素化反
応を電解を利用して効率良くかつ連続的に行なうための
方法及び電解槽に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】有機化合物の水素化(水素添
加)反応は種々の化学分野で利用され、例えば石油のク
ラッキング反応では重油質を水素化することによりガソ
リンや灯油が得られ、又タール分の水素化により液状に
して、より合目的な使用条件に適合させることなどの水
素化反応が実際に利用され、更に不飽和炭化水素を対応
する飽和炭化水素に転化する反応にも水素化が利用され
る。
【0003】この水素化反応は通常均一系で進行し、つ
まり有機化合物を反応槽中で接触触媒の存在下に水素を
添加しながら反応が行なわれ、パラジウムなどの貴金属
が不飽和炭化水素の水素化反応の優れた触媒であること
が知られている(S. Siegel,in Comprehensive Organic
Synthesis, ed., B. M. Trost and I. Fleming, Perga
mon Press, Oxford, 1991, vol. 8) 。このような反応
では高圧水素を使用するため高圧容器が必要でありかつ
反応温度も比較的高いことが多く、更に使用する水素の
純度によっては爆発の危険があるなどの問題点があっ
た。更に反応選択性も十分でなく副反応生成物が生ずる
という欠点もあった。
【0004】反応選択性を高めしかもエネルギー消費を
減少させるために不均一系反応である電解還元法が採用
されている [ A. M. Couper, D. Pletcher and F. C.
Walsh, Chem. Rev., 1990, 90, 837, T. Nonaka,
M. Takahashi and T. Fuchigami, Bull. Chem. Soc. Jp
n., 183 56, 2584. M. A. Casadei and D. Pletche
r, Electrochim. Acta, 33, 117 (1988), T. Yam
ada, T. Osa and T. Matsue, Chem. Lette., 1989(198
7), L. Coche, B. Ehui, and J. C. Moutet,J. Org.
Chem., 55, 5905 (1990), J. C. Moutet, Y. Ou
ennoughi, A. Ourari and S. Hamar-Thibault, Electro
chim. Acta, 40, 1827 (1995)]。ラネーニッケル等の
大表面積を有する電極触媒を使用すると電気化学的に水
素化反応を行なうことが可能であり良好な電力効率が期
待できるとともに、操作が安全かつ容易になるという特
徴がある。しかし電解で有機反応を行なうためには有機
化合物自身が導電性であるか、そうでない場合には添加
物を加えて有機化合物を含む電解液を導電性とする必要
がある。有機化合物の多くは非導電性であり添加物を加
えることによる反応系の複雑化等の問題がある。更に添
加物を加えることによって操作が複雑化するとともに、
不純物レベルが高くなるという問題点もある。均一系及
び不均一系のいずれの触媒を使用する場合でも触媒上に
生成した原子状水素が水素化反応を促進する機能を有す
ることが知られている。
【0005】安全かつ高効率で水素化反応を行なう他の
方法として、パラジウムや水素吸蔵金属合金等の水素を
保持できる金属と接触させる方法が知られている[K. Oh
kawa, K. Hashimoto, A. Fujishima, Y. Noguchi and
S. Nakayama, J. Electroanal. Chem., 345, 445 (19
93)] 。前述のパラジウム及び水素吸蔵金属合金の多く
が触媒作用を有するため、又パラジウムや他の水素吸蔵
金属中の水素は活性な水素として強い反応性を有するた
め、該パラジウム等が水素供給源及び水素化触媒として
機能し有機化合物の水素化方法として高い機能を示すと
言われている。しかしこのパラジウム又は水素吸蔵金属
合金を使用する水素化反応ではその中に吸蔵できる水素
量に限界があるため、反応の進行に従って吸蔵水素が枯
渇し、より以上の反応が進行しなくなり、所謂バッチ式
の反応しか進行しないという欠点があり、実験室規模で
は問題がないが、工業的規模では連続的な操業が不可能
であり、極めて非能率であるという問題点があった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の問題点、つ
まり均一系の水素化反応における高圧容器の必要性や爆
発の危険性、通常の電解による水素化反応における添加
物の添加、及び水素吸蔵金属合金の吸蔵水素の枯渇の問
題点を一挙に解決し、安全、容易かつ確実に実施できる
有機化合物の水素化反応及び有機化合物の水素化用電解
槽を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明方法は、陽極及
び水素吸蔵材料から成る陰極を有する電解槽の前記陰極
の前記陽極との反対面に有機化合物を接触させ、前記陰
極で発生し吸蔵、透過した活性水素により 前記有機化
合物の水素化を行なうことを特徴とする有機化合物の水
素化方法であり、本発明の電解槽は、陽極、水素吸蔵性
材料から成る隔壁を兼ねた陰極を含み、該陰極により前
記陽極を含む電解室と、有機化合物が供給されかつ水素
化される水素化室を含んで成ることを特徴とする有機化
合物の水素化用電解槽である。
【0008】以下本発明を詳細に説明する。本発明方法
の特徴は、水電解によりその表面で発生する水素を吸収
して貯蔵する機能を有する水素吸蔵性材料から成る陰極
内に発生水素を原子状水素として吸蔵し、この吸蔵水素
を使用して連続的に有機化合物を水素化して目的とする
対応還元生成物を得る点にある。この水素吸蔵性材料か
ら成る陰極を使用すると電解の継続に伴って連続して生
成する水素を最大水素吸蔵量の範囲内で連続的に吸蔵で
きるとともに、いわゆる原子状水素又は活性水素が連続
的に供給されるので、従来の電解水素化反応のように水
素が枯渇することがなく、連続的な有機化合物の水素化
反応を高効率で進行させることができる。又従来の均一
系反応と異なり高温及び高圧が不要でかつ水素の爆発の
危険性も回避できる。
【0009】本発明の電解槽の特徴は、水電解によりそ
の陽極側表面で発生する水素を吸蔵し裏面に透過させる
機能を有する水素透過性材料から成る陰極により電解槽
を陽極を含む電解室と有機化合物を含有する電解液を有
する水素化室に区画し、電解室内の電解反応により発生
する前記水素を前記陰極の電解室側表面で吸蔵させると
もに水素化室側表面に透過させ、該吸蔵水素を該陰極の
水素化室側表面からいわゆる原子状水素又は活性水素と
して放出して水素化されるべき有機化合物を接触させて
該有機化合物の水素化を行ない目的とする対応還元生成
物を得る点にある。この水素透過性材料から成る陰極を
使用すると電解の継続に伴って陰極の電解室側表面で連
続して生成する水素を水素化すべき有機化合物が存在す
る水素化室に透過して連続的に供給できるため水素の枯
渇がなく、連続的な有機化合物の水素化反応を進行させ
ることができる。更に電解槽が前記陰極により電解室と
水素化室に区画されているため、電解室内の電解液と水
素化室内の有機化合物が混合することがなく、極めて高
い純度に保持されるとともに、一旦生成した水素化化合
物が酸化されて水素化前の有機化合物に戻ることがな
い。又前記本発明方法と同様に従来の均一系反応と異な
り高温及び高圧が不要でかつ水素の爆発の危険性も回避
できる。
【0010】本発明では陰極反応が水素発生反応になる
ように電解反応を選択し、最も好ましい電解反応は水電
解反応である。通常水電解反応は比較的濃厚な水酸化カ
リウム又は水酸化ナトリウム水溶液を電解液として使用
する。その反応式は H2 O + e → Had + OH- (式中、Hadは吸着水素)であり、陰極により電解槽が
電解室と水素化室に区画されている場合には原子状水素
が電解室側の陰極表面に生成し、陰極自体を透過して水
素化室側表面に達し、該表面上に吸着状態で保持され
る。該吸着水素は次に式(式中Habは吸蔵水素)に従
って吸蔵状態に変換されこのHabが水素化室中の有機化
合物と反応して該有機化合物を水素化する。 Had → Hab
【0011】又陰極に吸蔵された水素は、該陰極が有機
化合物と接触した場合にのみ消耗して前記有機化合物の
水素化が行なわれる。消耗した分の水素は電解反応の進
行により生成しかつ該陰極中に吸蔵され、該陰極内には
常に最大吸蔵量に近い量の水素が吸蔵される。本発明に
よる有機化合物の水素化反応としては、二重結合又は三
重結合を有する脂肪族又は芳香族不飽和炭化水素、例え
ばエチレン、プロピレン、1−オクテンや2−オクテ
ン、アセチレン、スチレン等の対応する飽和炭化水素へ
の還元反応であり、該反応によりそれぞれエタン、プロ
パン、n−オクテン、n−オクテン、エタン、エチルベ
ンゼンが生成する。又パラフィン等の長鎖炭化水素を結
合を水素化により切断し2種類以上の短鎖炭化水素を生
成させること(クラッキング)も可能である。この他
に、ベンズアルデヒドの水素化によるベンジルアルコー
ルの生成やニトロベンゼンの水素化によるニトロソベン
ゼンやアニリンの生成に本発明を適用することもでき
る。本発明では、陰極として前述の通り水素吸蔵性及び
水素透過性機能を有する材料を使用し、該材料は水素化
反応に対する触媒活性を有することが望ましい。代表的
な金属としてパラジウムがあり、パラジウムは水素の透
過能が極めて高いことが知られておりしかも水素化に対
する触媒活性があるため最も好ましい金属の1つであ
り、パラジウム・銀合金等のパラジウム合金も使用可能
である。他の好ましい代表的な金属又は合金として、ラ
ンタン・ニッケル合金やミッシュメタル・ニッケル合金
や、水素吸蔵が可能なチタンやジルコウニム合金があ
る。特にニッケル基水素吸蔵合金は水素解離触媒活性が
強いため、水素添加反応に対するより活性な触媒として
の作用があるので、より望ましい。
【0012】本発明電解槽で使用するこれらの陰極の形
状は前述の通り、電解室と水素化室を区画する形状を有
すること以外は特に限定されないが、陰極の電解室側表
面で生成した水素が該陰極の反対面に出来るだけ速くか
つ出来るだけ多く移動することが必要であり、そのため
には陰極中の水素の拡散速度が十分に速いこと、水素の
濃度勾配が大きいことが望ましい。更に水素化反応をス
ムーズに進行させるためには有機化合物と陰極との接触
面積が十分に大きいことが好ましく、そのためには接触
部分の表面が十分に荒れていることが望ましい。表面粗
化のためには陰極表面をブラスト処理したりエッチング
処理を行なうことが望ましい。処理の程度は特に限定さ
れないがブラスト処理は15〜20メッシュ程度のアルミナ
グリッドを使用することが良く、これにより実質表面積
が2〜3倍になる。
【0013】水素化反応を効率良く進行させるためには
陰極の厚さは薄いことが望ましいが、一方陰極としての
機械的強度を十分に有するためにはある程度の厚さが必
要である。これらを加味して陰極の厚さが決定され、通
常は0.1 〜2mmが望ましい。又工業設備として使用する
場合には、薄箔状の水素透過金属に、その支持体及び給
電体を兼ねてその裏側に金属メッシュを張り付けても良
い。この陰極の水素化室側に有機化合物を接触させて該
有機化合物の水素化を行なう。一方陽極としてはニッケ
ルやステンレススチールが好ましく使用できるが、他の
材質例えば炭素等も使用可能である。
【0014】このような電極を使用しかつ陰極で電解槽
を電解室と水素化室に区画して電解を行なうと、陽極か
ら酸素が陰極からは水素が発生する。しかし条件にも依
るが本発明では発生する水素はそのまま陰極に吸収され
ガス発生は殆ど観察されない。この水素は陰極内を透過
し水素化室側に透過するが、その透過速度は水素の拡散
係数、濃度差及び温度により決定する。水素化室側に透
過した水素は該水素化室中に存在する有機化合物と接触
し該有機化合物を水素化する。その反応速度は水素化室
側の陰極表面積にほぼ比例する。従って前述の通り水素
化室側の陰極表面を粗化して表面積を大きくすることが
望ましい。電解条件は特に限定されないが、水素発生速
度が水素化室側で消費される水素量より大きいと過剰の
水素が陰極に吸収されずに電解室側にガスとして発生す
る。又水素発生速度が小さ過ぎると水素化室での有機化
合物の水素化反応速度がその分低下する。従って電流密
度は水素化室での水素化反応で消費される水素に見合っ
た量の水素が電解により生ずるように設定することが望
ましく、通常は0.1〜10A/dm2 が好ましく、1〜5A/dm
2 が特に好ましい。なお処理される有機化合物は液状で
ある必要はなく、ガス状であっても固体であっても良
い。ガス状の場合は加圧ガスをそのまま、又は加圧して
水素化室にガスを通じれば良く、より良く反応を行なわ
せるためには該陰極に吹き付けるようにすれば良い。又
固体の場合には、溶媒に懸濁し接触させても良いし、粉
体にしたものをそのまま吹き付けても良い。
【0015】本発明方法では、電解槽の陰極表面で発生
する水素を陰極内に吸蔵し、その吸蔵水素を陰極の反対
面に接触する有機化合物に供給して該有機化合物を水素
化する。この方法では、陰極内に水素が吸蔵されるため
過剰の水素が発生してもある程度の量の水素が陰極内に
吸蔵されガスとして放散せず、水素の有効利用を図るこ
とができる。更に電極への通電を停止しても陰極内に吸
蔵されている水素により有機化合物の水素化反応を継続
でき、電力量の節約が可能になる。従って本発明方法で
使用する陰極は水素吸蔵能のある材質から構成されるこ
とが必要であり、最も好ましい材質はパラジウムであ
る。
【0016】図1は本発明装置の一例を示す概略断面図
である。1は有機化合物の水素化用電解槽であり、該電
解槽1は、薄肉プレート状の陰極2により電解室3と水
素化室4に区画され、該陰極2の周縁部と前記電解室3
及び水素化室4の間にはガスケット5が挟持されてい
る。前記電解室3には水酸化カリウム水溶液が電解液6
として収容され該電解室3の中央にはプレート状の陽極
7が設置されている。8は電解液供給管、9は生成酸素
ガス取出管、10は反応物供給管、11は生成物取出管であ
る。このような構成から成る電解槽1の水素化室4中に
スチレン等の有機化合物の有機溶媒溶液を満たしかつ陽
極7及び陰極2間に通電すると、陰極2の電解室3側で
生成する水素が陰極2に吸収されかつ該陰極2を透過し
て陰極2の水素化室4側に達し、該陰極表面で有機化合
物と接触して該有機化合物例えばスチレンを水素化して
エチルベンゼンを生成する。
【0017】
【実施例】次に本発明に係わる有機化合物の水素化用電
解槽及び該電解槽を使用する有機化合物の水素化に関す
る実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するも
のではない。
【実施例1】図1の電解槽を使用してスチレンの水素化
反応を行なった。陰極として表面積が0.28cm2 である厚
さ0.1 mmのパラジウム板を使用し、このパラジウム板で
箱型電解槽を電解室と水素化室に区画した。陽極として
厚さ0.5mmの白金板を6Mの水酸化カリウム水溶液を満
たした電解室中に設置し、前記陰極と向かい合うように
セットした。水素化室側にはスチレンを満たし、両極間
に通電してスチレンの水素化しエチルベンゼンを得た。
【0018】図2には、電流値を変えた際に得られた時
間に対する生成物であるエチルベンゼンの濃度を示し
た。電流値が増加するにつれ生成物量が増加し、又時間
の増加に伴って生成物量は比例的に増加したことが判
る。又図3には電流値に対する生成物の電流効率を示し
た。1mAで80%、10mAで93%の電流効率が得られたこと
が判り、特に3mA以上で電流効率は90%前後に維持され
るため印加電流は3mA以上とすることが望ましい。電流
を印加しない場合は生成物は検出されなかった。又電解
初期には生成物であるエチルベンゼンは検出されなかっ
た。これは陰極内の水素吸蔵反応が先行反応として進行
するためと推測される。
【0019】
【実施例2】実施例1と同一条件で電極を変えて電解を
行なった。すなわちパラジウムの代わりにそれぞれ厚さ
が1mmであるLaNi5 又はMmNi4.2Al0.3Mn0.5 の薄板を陰
極として使用し、電流値を変えた際に得られた時間に対
する生成物であるエチルベンゼンの濃度を測定し、その
結果をそれぞれ図4及び図5に示した。図4及び図5か
ら当初は陰極中への水素吸蔵のため生成物が少ないが、
その段階を過ぎるとほぼ直線的にエチルベンゼンが生成
しいずれも直線部分では電流効率が90%以上であった。
【0020】
【実施例3】スチレンをアセチレンに代え、水頭圧20cm
の圧力でアセチレンを水素化室に供給して40℃でアセチ
レンの水素添加反応を行なった。他の電解条件は実施例
1と同一にした。ガス供給速度によっても異なるが、電
流9mA(電流密度約3A/dm2 )で電解を行ないながら理
論量の2倍のアセチレンガスを流したところ、電流効率
70〜80%でエタンに転化していることが判った。
【0021】
【実施例4】図1の電解槽を使用して1−オクテンを水
素添加してn−オクタンを生成させた。陰極として、厚
さ0.2 mmのLaNi5 の薄板を厚さ0.2 mmのニッケルメッシ
ュ(電解室側)とサランメッシュ(水素化室側)に挟ん
だものを使用し、水素化室に1−オクテンを満たし温度
30℃で電解を行なった。図6に電流値を変えた際に得ら
れた時間に対する生成物であるn−オクタンの濃度を示
した。電流値が増加するにつれ生成物量が増加し、又時
間の増加に伴って生成物量は比例的に増加したことが判
る。なお電流値1mAで最初の立ち上りが悪いのはLaNi5
陰極への水素吸蔵に時間を要したためと考えられる。1
mA及び10mAとも電流効率は80%以上であった。
【0022】
【実施例5】実施例4と同様にして2−オクテンを水素
添加してn−オクタンを生成させた。陰極として、MmNi
4.2Al0.3Mn0.5 から成る水素吸蔵合金を急冷法により非
晶質薄膜とし、これを実施例4と同様にニッケルとサラ
ンメッシュで挟んだものを使用し、水素化室に2−オク
テンを満たし温度30℃で電解を行ない、電流効率90〜95
%で電解が進行した。図7に電流値を変えた際に得られ
た時間に対する生成物であるn−オクタンの濃度を示し
た。時間の増加に伴って生成物量は比例的に増加したこ
とが判る。なお本実施例では電流値1mAで電解を行なっ
たが、当初から直線的に立ち上がった。これは水素吸蔵
合金の体積が十分に小さく該合金中への水素の吸蔵に時
間を要しなかったためと推測できる。
【0023】
【実施例6】実施例1と同一条件で水素化室に微細なパ
ラフィン粒子を懸濁したエチルアルコール(パラフィン
粒子の体積割合は約30%)を流し、電解室電流が10mAと
なるように電流を流して電解を行なったところ油状物質
が得られた。これはパラフィンの一部が水素添加され、
長鎖の断裂が起こったためと推測できる。
【0024】
【発明の効果】本発明方法は、陽極及び水素吸蔵材料か
ら成る陰極を有する電解槽の前記陰極の前記陽極との反
対面に有機化合物を接触させ、前記陰極で発生し吸蔵、
透過した活性水素により 前記有機化合物の水素化を行
なうことを特徴とする有機化合物の水素化方法である。
本発明方法によると、電解により陰極表面で生成する水
素がそのまま陰極に吸収され吸蔵されかつ原子状水素又
は活性水素として水素化室に放出されるため、陰極の反
対面に位置する有機化合物が該吸蔵水素と接触して水素
化される。又有機化合物が陰極に接触すれば該陰極中の
水素により水素化されるため有機化合物自身が導電性を
有しなくても良く、導電性を与える必要もない。更に電
解により水素が連続的に供給されるため、従来の水素吸
蔵金属を使用する水素化法と異なって水素が枯渇するこ
とがなく、連続して有機化合物の水素化を行なうことが
できる。
【0025】使用する水素吸蔵及び/又は水素透過能を
有する陰極の材質としてはパラジウム又はその合金が最
適である。本発明を適用できる水素化可能な主たる有機
化合物としては、不飽和炭化水素及び長鎖状有機化合物
があり、それぞれ対応する飽和炭化水素及び炭素鎖が切
断された2以上の短鎖状化合物が生成する。本発明装置
は、陽極、水素吸蔵性材料から成る隔壁を兼ねた陰極を
含み、該陰極により前記陽極を含む電解室と、有機化合
物が供給されかつ水素化される水素化室を含んで成るこ
とを特徴とする有機化合物の水素化用電解槽である。本
発明装置によっても、前述した本発明方法の場合と同様
に連続的に不飽和炭化水素及び長鎖状有機化合物等の有
機化合物を水素化して目的の有機化合物を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる有機化合物の水素化用電解槽の
一例を示す概略断面図。
【図2】実施例1の種々の印加電流における生成エチル
ベンゼン量と時間の関係を示すグラフ。
【図3】実施例1の印加電流と電流効率の関係を示すグ
ラフ。
【図4】実施例2における陰極としてLaNi5 を使用した
場合の生成エチルベンゼン量と時間の関係を示すグラ
フ。
【図5】実施例2における陰極としてMmNi4.2Al0.3Mn
0.5 を使用した場合の生成エチルベンゼン量と時間の関
係を示すグラフ。
【図6】実施例4における生成n−オクタン量と時間の
関係を示すグラフ。
【図7】実施例5における生成n−オクタン量と時間の
関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1・・・電解槽 2・・・陰極 3・・・電解室 4・
・・水素化室 5・・・ガスケット 6・・・電解液
7・・・陽極 8・・・電解液供給管、9・・・生成酸
素ガス取出管 10・・・反応物供給管 11・・・生成物
取出管
フロントページの続き (72)発明者 岩倉 千秋 大阪府堺市新檜尾台3−3−4−105 (72)発明者 井上 博史 大阪府堺市百舌鳥梅北町5−17 ライブコ ートMOZU305号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極及び水素吸蔵材料から成る陰極を有
    する電解槽の前記陰極の前記陽極との反対面に有機化合
    物を接触させ、前記陰極で発生し吸蔵、透過した活性水
    素により 前記有機化合物の水素化を行なうことを特徴
    とする有機化合物の水素化方法。
  2. 【請求項2】 陰極がパラジウム及び/又はパラジウム
    合金である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 陰極がニッケルを含む水素吸蔵合金であ
    る請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 有機化合物が不飽和有機物である請求項
    1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 有機化合物が長鎖状有機化合物であり水
    素化により該化合物を短鎖状化合物に分解する請求項1
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 陽極、水素吸蔵性材料から成る隔壁を兼
    ねた陰極を含み、該陰極により前記陽極を含む電解室
    と、有機化合物が供給されかつ水素化される水素化室を
    含んで成ることを特徴とする有機化合物の水素化用電解
    槽。
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