JP6400483B2 - ナノギャップ構造型基板 - Google Patents

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Description

本発明は、脂質膜を用いたナノギャップ構造型の機能性基板に関し、バイオセンサー、バイオチップなどに利用可能な機能性基板に関する。
生体材料との親和性の高い高分子材料を用いた機能性基板が数多く開発され、バイオマテリアルとして医療応用が進められている。生物は時間と共にダイナミックに変動しながら生きており、その生物のさまざまな働きを分子レベルで担っているのがタンパク質をはじめとした生体分子である。タンパク質等は外部からの刺激に対して相互作用したりタンパク質そのものが集合することで、それぞれの役割を果たしていると考えられる。タンパク質の物理的、化学的特性や、他のタンパク質との相互作用の確認は、従来は多分子の平均的な挙動から判断されることが多かった。より正確にタンパク質の機能を解析するために、一分子のタンパク質の機能を解析することが求められる。MEMS(Micro-Electro-Mechanical-Systems)技術を活用した超高感度計測は、一分子塩基配列決定法などに活用され、医療診断に大きな影響を与えようとしている(非特許文献1:Science 323, 133 (2009))。
生体膜と同等の機能や生体適合性を得るために、生体膜と同等な構造を持つ脂質膜を光もしくは熱で重合して安定化する研究は数多く行われている。本発明者らのグループは、光重合したポリマー脂質膜と生体由来の脂質膜(流動性脂質膜)とをハイブリッド化したパターン化人工生体膜をオンリーワン技術として確立し、報告した(非特許文献2:Langmuir 2009 Jan 6;25(1):345-51、特許文献1:特許第4150793号公報)。近年には、ポリマー脂質膜と高分子エラストマー(PDMS)を接着した微小空間において生体分子の機能を計測する手法を開発した(特許文献2:国際公開WO2011027718 A1(PCT/JP2010/064567、特願2009-201187)、非特許文献3:Anal. Chem. 2012 Jan 3;84(1):155-60、非特許文献4:Langmuir 2013 Feb 26;29(8):2722-30、特許文献3:特許第5532229号公報)。これらの技術により、前記パターン化人工生体膜は、生体分子を固定化し、生体膜機能を再現するバイオセンサー、バイオチップ、細胞培養などに利用できる新しい材料となり得る。しかしながら、夾雑分子が高濃度に存在する条件で生体分子を高感度計測するには、さらなる工夫が必要である。
特許第4150793号公報 国際公開WO2011027718号公報 特許第5532229号公報
Science 2009 Jan 2;323(5910):133-8 Langmuir 2009 Jan 6;25(1):345-51 Anal. Chem. 2012 Jan 3;84(1):155-60 Langmuir 2013 Feb 26;29(8):2722-30
本発明は、夾雑分子が高濃度に存在する条件で、生体分子を高感度計測可能なバイオセンサー、バイオチップなどに利用可能な基板を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、厚さの均一な接着層を用いて、支持体(1)上の脂質膜(2)と固相(3)とを接合させたナノギャップ構造型基板によれば、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。脂質膜(2)と固相(3)の間に接着層(4)が部分的に積層されたナノギャップ構造型基板によれば、厚さが5〜200 nmで制御されたナノ空間(ナノギャップ構造)を含み、生体分子を高感度計測可能なバイオセンサー、バイオチップなどに利用可能な基板を提供することができる。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.支持体(1)、脂質膜(2)及び固相(3)を含む積層体からなる基板であって、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に接着層(4)が部分的に積層され、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に前記接着層(4)を有さない部位が、空隙構造(5)であることを特徴とする、ナノギャップ構造型基板。
2.前記空隙構造(5)の厚みが、5〜200 nmである、前項1に記載のナノギャップ構造型基板。
3.前記脂質膜(2)が、ポリマー脂質膜(2a)及び流動性脂質膜(2b)を含む、前項1又は2に記載のナノギャップ構造型基板。
4.前記ポリマー脂質膜(2a)の親水部と前記接着層(4)が積層状態で結合している、前項1〜3のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
5.前記空隙構造(5)の厚みを制御しうる接着層(4)が、脂質ベシクル、高分子ブラシ、交互積層膜から選択されるいずれかである、前項1〜4のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
6.前記支持体(1)及び固相(3)が、各々独立して高分子エラストマー、ガラス、石英、シリコン、金属から選択されるいずれかである、前項1〜5のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
7.脂質膜(2)の一方の面が、物理的相互作用又は化学的結合で、前記支持体(1)に固定化されている、前項1〜6のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
8.流動性脂質膜(2b)の空隙構造(5)に露出している部位が、目的の生体分子と特異的に結合しうる構造を有する、前項3〜7のいずれか1に記載のナノギャップ構造型基板。
9.前項1〜8のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板を含む、ナノ流体デバイス。
10.以下の工程を含む、前項9に記載のナノ流体デバイスを用いることを特徴とする、標的物質の計測方法:
1)前項3〜8のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板上に、被検試料を添加する工程;
2)ナノギャップ構造型基板上に添加した被検試料に含まれる標的物質を流動性脂質膜(2b)に特異的に結合させる工程;
3)前記流動性脂質膜(2b)に特異的に結合させた標的物質を、流動性脂質膜(2b)における分子側方拡散により、選択的に空隙構造(5)に輸送させる工程;
4)空隙構造(5)に輸送された標的物質を、シグナルとして計測する工程。
11.前記工程4)のシグナルが、光シグナル、電気シグナル及び化学的シグナルのいずれかより選択される、前項10に記載の標的物質の計測方法。
本発明のナノ流体デバイスを用いて被検試料中の所望の標的物質を計測することができる。本発明のナノ流体デバイスは、生体膜機能を再現する新しいバイオチップ、バイオセンサーとなり得る。例えば血液、汗、尿、等の被検試料中の所望の標的物質、例えば特定疾患のマーカー分子を超高感度で計測することが可能となる。本発明のナノ流体デバイスにおける流動性脂質膜(2b)に特異的に結合した分子のみが、脂質膜内部又は表面における分子側方拡散により、選択的にナノギャップ構造(空隙構造(5))に輸送される。ナノギャップ構造が非常に薄いために、夾雑分子などによるバックグランドノイズ(背景シグナル)を抑制することが可能となる。これにより、本発明のナノ流体デバイスによれば、高感度(シグナル(S)/ノイズ(N)比)に測定することが可能となる。S/N比を向上することで、多くの分子の平均的な測定結果ではなく、1分子で計測することも可能になると期待される。例えばLEDを用いた落射照明などの簡易な光学系で高感度な計測が可能になり、バイオチップの小型化と高感度化を実現する。係る技術により、次世代医療診断の基盤技術を提供しうる。
本発明のさらなる応用は、創薬支援技術にも及ぶ。生体膜に含まれる膜タンパク質は、情報伝達やエネルギー変換などの重要な役割を担っており、疾患に深くかかわっている。そのため、医薬品の大半は膜タンパク質を標的としている。本発明は、生体膜を介した様々な生体分子反応を高感度かつ定量的に評価することを可能とし、主要な薬剤標的である各種の膜タンパク質を標的とした新薬候補分子のハイスループットスクリーニングや新規薬剤標的となる膜タンパク質の探索を目的としたプラットフォームにもなり得ると期待される。
本発明のナノギャップ構造型基板の構造を示す図である。(実施例1) 本発明のナノギャップ構造型基板を調製するために使用する脂質モノマーの分子構造を示す図である。(実施例1) 本発明のナノギャップ構造型基板を調製する工程のうち、光照射によるポリマー脂質膜の調製(A)及びポリマー脂質膜表面の機能化(B)の概念を示す図である。(実施例1) 光照射によりパターン化したポリマー脂質膜の表面に吸着した脂質ベシクルの蛍光顕微鏡写真を示す図である。(実施例1) 本発明のナノギャップ構造型基板のうち、接着層(4)の例を示す図である。(A)脂質ベシクル、(B)親水性高分子ブラシ、及び(C)交互積層膜の概念を示す図である。 本発明のナノギャップ構造型基板を調製する工程のうち、接着層(4)を用いてポリマー脂質膜(2a)と固相(3)を接合させる概念を示す図である。(実施例1) 本発明のナノギャップ構造型基板を含むナノ流体デバイスの構造を示す図である。(実施例1、2) 脂質ベシクルを用いた固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との接合の概念を示す図である。また、当該固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との接合後における流動性脂質膜(2b)の流動性を確認した結果を示す図である。(実験例1、2) 固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との接合の経過を、水溶性蛍光色素(カルセイン)の蛍光強度の測定により観察した結果を示す図である。(実験例3) 固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との接合において、固相(3)の形状によりポリマー脂質膜(2a)と固相(3)との距離を確認した結果を示す図である。(実験例4) 固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との接合において、固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との間に微粒子が存在する場合の影響を示す図である。(実験例5) ナノ流体デバイスにおける、所望の標的物質の選択的かつ高感度な検出能を確認した結果を示す図である。(実験例6) ナノ流体デバイスにおける、所望の標的物質の選択的かつ高感度な検出能を確認した結果を示す図である。(実験例7)
本発明は、脂質膜を用いたナノギャップ構造型の機能性基板に関し、バイオセンサー、バイオチップなどに利用可能な機能性基板に関する。さらに、本発明はナノギャップ構造型基板の製造方法に関する。
本発明のナノギャップ構造型基板は、支持体(1)、脂質膜(2)及び固相(3)を含む積層体からなる基板であって、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に接着層(4)が部分的に積層され、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に前記接着層(4)を有さない部位が、空隙構造(5)であることを特徴とする(図1参照)。
本明細書において「支持体(1)」は、本発明の脂質膜(2)が支持体上に支持され、物理的相互作用又は化学的結合で、結合可能な固体であればよく、特に限定されない。例えば、支持体の材料としてはガラス、石英、金属、高分子エラストマーなどが挙げられ、適宜選択することができる。特に好ましくは、ガラス、石英である。
本明細書において「脂質膜(2)」は、天然又は合成の起源に由来してよく、リン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミンを有する脂質膜であってもよい。重合性脂質が主成分となるものであるが、脂質膜の重合を可能にする範囲で、他の脂質を含んでいてもよい。本発明で用いる脂質膜としては、重合性脂質であるポリマー脂質膜(2a)と流動性脂質膜(2b)を組み合わせて使用することができる。このような脂質としては、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、ステロイドなどが例示される。また、これらの脂質分子を後から導入することにより、ポリマー脂質膜と流動性脂質膜が組み合わさっていてもよい。前記脂質膜(2)は、支持体(1)に物理的な相互作用で吸着しても化学的な結合で固定化されていてもよい。PEGなどの適当なスペーサーを介して支持体(1)に吸着させることもできる。
前記脂質膜(2)は二分子脂質膜であってもよいし、単分子脂質膜であってもよい。特に好適には二分子脂質膜である。二分子脂質膜上にさらに二分子脂質膜を1層又は複数層重層してもよい。
本明細書において「ポリマー脂質膜(2a)」とは、生体膜と同等の膜構造を有するポリマー脂質膜であって、光重合性脂質膜であるのが好ましく、疑似生体膜であってもよい。光重合可能な脂質としては、光重合性基を少なくとも一つ有する脂質であればよく、特に限定されない。光重合性基としては、二重結合、三重結合、エポキシ塩、α、β-不飽和カルボニル基などが例示され、好ましくは二重結合又は三重結合である。光重合性基は、1つの脂質分子あたり1〜10個、より好ましくは2〜6個含まれる。具体的には、特許文献1(特許第4150793号公報)に示すポリマー二分子構造からなる脂質膜が好適である。光重合可能な脂質としては、リン脂質が例示され、具体的にはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリンの1または2のアシル基が光重合性基を少なくとも1個含む直鎖または分岐状で、通常C6〜C30好ましくはC6〜C24、より好ましくはC12〜C22の脂肪族のカルボン酸に由来する基であるのが好ましい。脂質は2つのアシル基を有するグリセロリン脂質が好ましいが、リン脂質のアシル基の1つが加水分解された、アシル基(光重合性基を有する)が1つのリン脂質を併用することも可能である。
ジアセチレン基を持つ光重合性脂質のモノマーからなる脂質膜を支持体(1)の表面に形成する場合には、脂質分子が規則正しく配向した結晶状態を実現するため、温度は、ジアセチレン基を持つ光重合性脂質のモノマーの相転移温度より5℃以上低くする。例えば図2に示される光重合性リン脂質1,2-bis(10,12-tricosadiynoyl)-sn-glycero-3-phosphochorine(以下「DiynePC」)の脂質膜の相転移温度は38℃であるので、支持体(1)の温度は33℃以下、好ましくは10℃以下とする。相転移温度はジアセチレン基を持つ光重合性脂質により異なるため、脂質に応じて好ましい温度で用いられる。
脂質膜に関し、光重合性脂質分子の親水性部位に化学反応性を持つ1級アミンなどの反応性基を導入することで、ポリマー脂質膜表面に生体関連分子を化学結合して生体機能を持った表面を創出することができる。図2に示される光重合性リン脂質DiynePCは親水部が化学的に不活性なコリン基であるのに対し、1,2-bis(10,12-tricosadiynoyl)-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(以下「DiynePE 」)は親水部が反応性のあるエタノールアミンとなっている。エタノールアミン等の脂質膜の反応性基に結合できる分子としては、蛋白質、多糖、糖タンパク、DNA、RNAなどの高分子、あるいはペプチド、ステロイド、リン脂質、スフィンゴ脂質などの分子量2000以下の低分子物質が例示される。また、本発明の脂質膜(2)は、リポソーム、シリカビーズ、量子ドットなどの微粒子、細胞膜断片、ウイルス、細胞などを固定化することも可能である。
図2に示すDiynePE、DiynePCにおいて、ジアセチレン基は炭化水素鎖の中央に位置するが、このジアセチレン基は炭化水素鎖のいずれの位置にあってもよく、例えばいずれかの末端側に存在していてもよい。ジアセチレン基は炭素数10〜30、好ましくは14〜28、より好ましくは18〜26の脂肪酸に組み込まれ、この脂肪酸が2個グリセロール基とエステルを形成してジアセチレン基を持つ光重合性脂質となる。親水性部位としては、リン酸にエステル結合したコリン基、エタノールアミン基が挙げられるが、これらの代わりにセリン基、イノシトール基などの他の基を有する光重合性脂質を用いることもできる。また、リン脂質親水部にある反応性基としては、アミン基、カルボン酸基(及びその誘導体)、チオール基などが挙げられる。
前記ポリマー脂質膜(2a)として、反応性リン脂質(例:DiynePE)のみを用いてもよいが、膜の安定性及び生体適合性を向上させるためにコリン基を持つリン脂質(例:DiynePC)を組み合わせて使用するのが望ましい。また、膜形成の均一性や安定性を向上するためにコレステロールや界面活性剤をさらに配合してもよい。コレステロールの配合量としては、30質量%以下、例えば1〜20質量%、特に3〜10質量%が挙げられる。コレステロールは、基板表面における脂質膜形成、及び重合性脂質の重合後の界面活性剤処理により膜から除去される。DiynePEとDiynePCは、DiynePE 1モルに対しDiynePCを1.5〜100モル程度使用すればよい。DiynePEとDiynePC以外の光重合性脂質においても、光重合性コリンとコリン以外の光重合性脂質の比率は、上記を参考にして決定することができる。
本明細書において「流動性脂質膜(2b)」とは、生体膜と同等の膜構造を有する脂質膜であって、細胞膜と同様に流動性(分子側方拡散)を有するものをいう。細胞膜は細胞内外を単に隔てている静的な構造体ではなく、特異的なチャンネルによってイオンなどの低分子を透過させたり、受容体を介して細胞外からのシグナルを受け取る機能、細胞膜の一部を取り込んで細胞内に輸送する機能など、細胞にとって重要な機能を担っている。細胞膜は流動性を持ち、脂質や膜タンパクは膜内や膜表面を二次元に動いている。この流動性は膜の構成物質で決まる。たとえば、リン脂質を構成する炭化水素の長さと不飽和度(二重結合の数)に影響され、炭化水素が短いほど、また二重結合を持つ炭化水素が多いほど(二重結合があるとその部分で炭化水素が折れ曲がるので)リン脂質の相互作用が低くなり流動性は増す。
支持体(1)上の脂質膜(2)において、「ポリマー脂質膜(2a)」と「流動性脂質膜(2b)」との配置は、光リソグラフィー技術を用いて、任意に決定することができる。光重合性のポリマー脂質膜(2a)を、例えば特許文献3(特許第5532229号公報)又は非特許文献4(Langmuir 2013 29 (8), 2722-2730)に示す光重合法に従って支持体(1)上に付着させ、二分子構造からなる脂質膜を形成させることができる。
光リソグラフィーの技術について、特許文献3又は非特許文献4に開示する方法を参照することができる。パターン化重合によるハイブリッド膜は、例えば以下の方法により形成できる。これにより、ポリマー脂質膜(2a)と流動性脂質膜(2b)を組み合わせたハイブリッド膜を支持体(1)上に作製することができる(図3参照)。
(A)基板上に重合性脂質(モノマー)の脂質膜を吸着させる(Langmuir-Blodgett/ Langmuir-Schaefer: LB/LS法)。
(B)光重合させ、ポリマー脂質膜(2a)を形成させる。この際マスクによって膜の一部を光反応から保護する。
(C)光重合反応から保護されたモノマー分子を界面活性剤もしくは有機溶媒によって基板上から除去する。
(D)流動性を持った新しい流動性脂質膜(2b)を組み込む。
光重合性脂質の反応性基には、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド基)、マレイミド基などの反応性基を介してさまざまな分子を反応させることができる。この反応を通じてさまざまな分子を表面に固定化することができる。膜表面に固定化する分子は、通常、光重合性脂質が重合した後の脂質膜表面の反応性基と反応させるが、予め光重合性脂質(モノマー)の光反応性基と反応させた後、脂質分子膜を形成し、光重合を行ってもよい。例えば、活性化されたカルボキシル基を用いることでアミド結合を形成し、様々な生体関連分子を親水部の表面に結合することが可能である。また、ビオチン官能基化基板を用い、ビオチン−アビジン(もしくはストレプトアビジン、ニュートラアビジン)結合を利用してタンパク質、微粒子、細胞などを特異的に固定化することもできる。また、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)などの機能基とオリゴヒスチジンとの結合(Hisタグ)を利用してタンパク質、微粒子、細胞などを特異的に固定化することも可能である(図3B参照)。
光重合されたDiynePC-PE混合脂質膜にビオチン基を化学修飾するため、NHSとビオチンがPEGスペーサーを介して結合した化合物(Biotin-PEG-NHS)を反応させることができる。Biotin-PEG-NHS (1 mg/mL in 0.1M NaHCO3 (pH8.4))を加え、約30分間インキュベーションした後に、界面活性剤溶液(0.1M SDS)で約30分間処理して未反応のBiotin-PEG-NHSを完全に除去する。その後にポリマー脂質膜(2a)のない区画に流動性脂質膜(DOPC)をベシクル融合法で組み込むことができる。実験によっては流動性脂質膜(2b)を蛍光顕微鏡で可視化するためDOPCに1% TR-PEを加えることができる(図3参照)。
本明細書において「固相(3)」とは、脂質膜(2)において、支持体(1)とは反対側の面に、接着層(4)を介して結合しうる固相をいう。その材料は、支持体と同様に、高分子エラストマー(elastomer)、ガラス、石英、金属などが挙げられ、適宜選択することができる。特に好ましくは、高分子エラストマーである。高分子エラストマーとはゴム状の弾力性を有する工業用材料の総称をいい、具体的にはスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系等のエラストマーが挙げられる。より具体的には、例えばポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)のようなシリコンエラストマーが挙げられる。固相(3)の材料は、上記より選択される素材であればよく、その種類は支持体(1)とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本明細書において「接着層(4)」とは、脂質膜(2)と固相(3)を接着させる層であって、空隙構造(5)の厚みを制御しうる層をいう。そのような機能を有する物質であればよく、そのような物質としては例えば「脂質ベシクル」、「高分子ブラシ」、「交互積層膜」から選択されるいずれかが挙げられる(図5、6参照)。
本明細書において「脂質ベシクル」とは、脂質膜を有し、中央空洞を含む球状構造からなる。該中央空洞は水溶液で充填されている。脂質膜は天然又は合成の起源に由来してよく、リン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミンを有する脂質膜を有してよい。脂質ベシクルのサイズは、超音波破砕やエクストルージョン法により均一にすることができる。また、細胞、特に細菌細胞を超音波によるか、又はフレンチプレス中で均質化することにより生じるベシクルを使用してよい。他方で、合成脂質ベシクル、例えばリポソームを使用してもよい。脂質ベシクルは、特異的相互作用又は非特異的相互作用(例:静電的相互作用)を用いて支持体(1)上のポリマー脂質膜(2a)に結合できる。
本明細書において「高分子ブラシ」とは、一端が固相表面に固定された高分子ポリマーが高密度で多数集まっている構造をいう。高分子が高密度であるため、分子鎖がお互いに平行して基板表面から伸びているという特徴を持つ。リビングラジカル重合を用いて作製した高分子ブラシでは、厚みを数ナノメートルから数百ナノメートルの範囲でコントロールすることが可能である。高分子ポリマーを構成するモノマーは、ブラシを形成しうるものであればよく特に限定されないが、水溶液中で膨潤できる親水性のものが好適である。例えば2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)が挙げられる。MPCポリマーは生体膜の構成成分であるリン脂質の極性基の一種、ホスホリルコリン(PC)基をポリマー側鎖に有し、タンパク質の吸着や血液成分の粘着を効果的に抑制するという優れた表面特性を示すので好適である。
本明細書において「交互積層膜」とは、正と負に荷電した2種類の水溶性高分子を交互に積層した高分子薄膜である。正または負に荷電した表面に対して、反対の電荷を持つ水溶性高分子が静電的相互作用により単層膜として吸着することで、表面が反対の電荷を帯びる。この過程を繰り返すことで、水溶性高分子を一層ずつ積み重ねた薄膜が形成される。積層回数を変えることで、薄膜の厚さを数ナノメートルから数百ナノメートルの間でコントロールすることが可能である。正と負に荷電した親水性高分子材料としては、poly(allylamine hydrochloride)、poly(styrene sulfonate)などが挙げられる。
本明細書において「空隙構造(5)」は、図1及び図6に示すように固相(3)と脂質膜(2)の間に設けられたナノギャップ構造であって、その厚みは接着層(4)によって制御されうる。その厚みは、例えば5〜200 nm、好ましくは10〜100 nm、より好ましくは10〜50 nmとすることができる。厚みが5ナノメートル以下では、立体的障害のため分子の導入が困難になる恐れがある。一方、厚みが200ナノメートル以上では、分子導入の選択性及び計測感度が低下する。厚みが均一な接着層(4)を用いて、脂質膜(2)のうちポリマー脂質膜(2a)と固相(3)とを接着することで、一定の厚みで制御された空隙構造(ナノギャップ構造)(5)を作製することが可能となる。本明細書において、このような空隙構造を有する基板をナノギャップ構造型基板という。空隙構造部位は、用途に応じて水溶液で満たされていてもよい。
本発明は、ナノギャップ構造型基板を含むナノ流体デバイスにも及ぶ(図7参照)。ナノ流体デバイスには、固相(3)の構造により、ナノギャップ構造よりも厚みのある空隙(6)を設けることができる。つまり、ナノ流体デバイスには厚みのある空隙(6)からなる流路(微小流路)と、本発明の空隙構造(5)を設けることができる。微小流路(6)の大きさは、被検試料を流通可能な大きさの流路であればよく、特に限定されないが厚さ、幅について1〜100μm、好ましくは5〜20μmとするのが好適である。例えば、本発明のナノギャップ構造型基板を含むナノ流体デバイスにおいて、積層体の上部及び/又は下部に検体又は被検試料の導入孔(7)と排出孔(8)を設け、当該導入孔(7)と排出孔(8)の連結領域を微小流路(6)とすることができ、微小流路(6)の空隙部分に接して本発明の空隙構造(5)を設けることができる。ここで、空隙構造(5)に面する一方は固相(3)であり、もう一方は脂質膜(2)のうち、特に流動性脂質膜(2b)である(図7B参照)。
本発明のナノ流体デバイスを用いて検体又は被検試料中の所望の標的物質を計測するために、導入孔(7)から検体又は被検試料を導入し、検体又は被検試料が微小流路(6)を経て本発明の流動性脂質膜(2b)表面に特異的に結合し、流動性脂質膜の分子側方拡散により空隙構造(5)部に効率的に移動することで、当該空隙構造(5)部において所望の標的物質のみを選択的に捕捉することができる(図7B参照)。所望の標的物質を捕捉するために、当該空隙構造(5)部に接する流動性脂質膜(2b)表面に、標的分子と相互作用する機能性部位を設けることができる。例えば、膜表面に抗体を固定化することで認識される特定の抗原分子を補足することができる。その他にも、特定の抗体と結合する抗原分子、特定のタンパク質と結合する糖鎖、核酸、糖鎖を認識するレクチンなどのタンパク質、などが標的分子と特異的に相互作用する機能性部位として挙げられる。これらの機能性部位は、流動性脂質膜(2b)表面に化学結合、ビオチン−アビジン(もしくはストレプトアビジン、ニュートラアビジン)結合、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)などの機能基とオリゴヒスチジンとの結合(Hisタグ)などを利用して固定化できる。
上記本発明のナノ流体デバイスは、生体膜機能を再現する新しいバイオチップ、バイオセンサーとなり得る。検体又は被検試料としては、液体試料であってタンパク質、ペプチド、多糖、DNAやRNA等の核酸化合物等を含む被検試料が挙げられる。そのような被検試料として、例えば血液、汗、尿、唾液、鼻汁、分泌物、喀痰その他の体液や、微生物混入可能性のある液体、例えば食品、緩衝液等が挙げられ、特に好適には血液、汗や尿が挙げられる。
本発明のナノ流体デバイスにおける所望の標的物質は、光、電気、又は化学的シグナルを計測することで、検出することができる。例えば、液体試料と、光、電気、又は化学的シグナルを検出可能なレポーター因子を含む標的物質とを相互作用させて、これらのレポーター因子を計測することで、所望の標的物質を検出することができる。また、蛍光顕微鏡や蛍光検出器などを用いることで標的物質を高感度で検出することが可能である。ナノギャップ構造は、空間の厚さが5〜200 nmと非常に小さいため、ノイズとなる背景シグナルを抑制することが可能であり、高シグナル(S)/ノイズ(N)比での検出を可能にする。本発明は、本発明のナノ流体デバイスを用いることによる所望の標的物質の計測方法にも及ぶ。
標的物質の計測方法として、以下の工程を含む方法によることができる。
1)本発明のナノギャップ構造型基板上に、被検試料を添加する工程;
2)ナノギャップ構造型基板上に添加した被検試料に含まれる標的物質を流動性脂質膜(2a)に特異的に結合させる工程;
3)前記流動性脂質膜(2a)に特異的に結合させた標的物質を、流動性脂質膜(2a)における分子側方拡散により、選択的に空隙構造(5)に輸送させる工程;
4)空隙構造(5)に輸送された標的物質を、シグナルを計測する工程。
この場合において、前記工程4)のシグナルが、光、電気又は化学的シグナルである。
本発明の理解を深めるために、図面に記載の内容を参照しつつ、本発明の内容を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことは明らかである。
(実施例1)ナノギャップ構造型基板の作製
本実施例では、ナノギャップ構造型基板(図1参照)及びナノギャップ構造型基板を含むナノ流体デバイスの作製方法(図7参照)を説明する。
1.二分子構造からなる脂質膜(2)(以下、「脂質二分子膜」ともいう。)の調製
脂質二分子膜は、ポリマー脂質膜(2a)及び流動性脂質膜(2b)をLB/LS(Langmuir-Blodgett/ Langmuir-Schaefer)膜調製法、あるいはベシクル融合法により支持体(1)表面に固定化して調製した。詳細には特許文献3(特許第5532229号公報)の実施例に開示する方法に従った。本実施例では、支持体(1)としてガラス基板を用いた。支持体(1)を深紫外用光源 PL16-110(セン特殊光源)を用いてUV/オゾンで30分間処理し、表面を洗浄した。
1−1.ポリマー脂質膜(2a)の調製
ポリマー脂質膜(2a)は、特許文献3(特許第5532229号公報)の実施例に開示する方法及び図3に示す方法に従ってLB/LS法で作製した。モノマー脂質として図2に示すDiynePE及びDiynePCを各々0.5 mMの濃度でクロロホルムに溶解し、両者を適当な割合で混合したDiynePC-PE混合液を用いた。DiynePC-PE混合液の内、DiynePE含有率は、0 %〜40 %であった。DiynePC-PE混合液をラングミュアトラフ水相上に塗布して脂質分子を展開し、バリアを用いて水面の表面積を小さくすることで脂質単分子膜を形成してから支持体(1)表面にLB法で積層した。脂質単分子膜の表面圧は、35 mN/mであった。次に脂質二分子膜は、LS法によって支持体(1)上に単分子膜をもう一層吸着させることで完成した。
前記支持体(1)表面に付着したDiynePC-PE混合脂質二分子膜を純水中に保持した。脂質二分子膜の光重合を行うにあたり、溶液中の酸素を除くために不活性ガス(アルゴン又は窒素)をパージした水溶液をポンプにより循環した。充分に脱気した後に、DiynePC-PE混合脂質二分子膜が積層した支持体(1)を、波長300 nm以下の波長に強い輝線を持つ深紫外光露光ランプ(USHIO UVE-502SD)を用いて紫外光照射を行った。その際、干渉フィルター又はレーザー用干渉ミラーを用いて光化学反応に最も有効である波長250 nm 付近の光を選択的に照射した。また、特定のパターンを転写するためには、支持体(1)に積層した脂質二分子膜の面が上面になるようにして水平に置き、その上に遮光するためのマスクをのせた(図3A2参照)。光照射後、SDS(100 mM)溶液にて30分30℃湯浴を行い、その後純水で10回洗浄した。これにより、光照射された部位の脂質二分子膜は、支持体(1)表面にポリマー脂質膜(2a)として積層され、光照射がされなかった部位の脂質二分子膜は洗浄除去され、ポリマー脂質膜(2a)のパターン化がなされた。
光重合に好適な条件の例
温度 : 室温
照射波長:深紫外用光源 USHIO UVE-502SDを用い、300 nm以下の紫外線を照射した。
照射光強度: 10 mW/cm2 (254 nm)
照射時間: 500 秒
照射光量: 照射光量 5.0 J/cm2
1−2.流動性脂質膜(2b)の調製
流動性脂質膜(2b)は、上記1−1.で調製したポリマー脂質膜(2a)が積層した支持体(1)に、ベシクル融合法を用いて積層した。流動性脂質膜(2b)を積層するための脂質懸濁溶液を次の方法で調製した。ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC:1mM)、糖脂質(GM1)及びTR-PE(1 mol%)からなる脂質懸濁溶液(DOPC (1mM)/ GM1 (1 mol%)/ TR-PE(1 mol%))をクロロホルムに溶かし、丸底フラスコに入れ、N2ガスを吹き付けて、15分間クロロホルムを乾燥させた。さらに、真空乾燥を4時間行い、丸底フラスコの底に脂質フィルム(脂質二分子膜が多数積層したもの)を調製した。前記脂質フィルムを含む丸底フラスコにリン酸緩衝液(PBS)を入れ、一晩静置することで脂質フィルムを膨潤させ脂質膜懸濁液を作製した。
上記処理した脂質懸濁溶液(DOPC (1mM)/ TR-PE(1 mol%))を孔径100 nmのフィルターに10回、及び孔径50 nmのフィルターに15回通し、形成される脂質ベシクルのサイズを均一化した。前記1−1.で光照射されずに洗浄除去された脂質膜の部位に、前記作製した脂質懸濁溶液を導入し、流動性脂質膜を作製した。余分な脂質懸濁溶液を取り除くために純水で洗浄した(図3A4参照)。
2. 脂質膜表面の化学修飾
上記1.で作製したポリマー脂質膜(2a)が積層した支持体(1)をNaHCO3緩衝液(0.1 M、pH8.4)に浸した。別途NaHCO3緩衝液に、N-Hydroxysuccinimide (NHS)-polyethylene glycol (PEG)-biotin(以下「NHS-PEG4-biotin」:Thermo Scientific社)を200μg/mLとなるように溶かし、支持体(1)の表面に、NHS-PEG4-biotinを含む溶液を50μL氷上でのせ、3時間静置した。次にSDS(1 mM)溶液にて30分30℃で湯浴を行い、その後純水で10回洗浄した。これにより、ポリマー脂質膜(2a)にNHS-PEG4-biotinを作用させ、PEGn-Biotinが脂質分子であるDiynePEのアミノ基に結合したDiynePE-PEGn-Biotinを得た(図3B参照)。
3.接着層(4)の調製及び固定
本実施例では、接着層(4)として脂質ベシクルを用いた。脂質ベシクルを調製するために、脂質(DOPC (1mM)/ Biotinyl-PE (5 mol%)/ TR-PE(1 mol%))をクロロホルムに溶かし、丸底フラスコに入れ、N2ガスを吹き付けて、15分間クロロホルムを乾燥させた。さらに、真空乾燥を4時間行い、脂質フィルムを調製した。前記脂質フィルムを含む丸底フラスコにリン酸緩衝液(PBS)を入れ、一晩静置することで脂質フィルムを膨潤させ脂質膜懸濁液を作製した。
上記処理した脂質懸濁溶液(DOPC (1mM)/ Biotinyl-PE (5 mol%)/ TR-PE(1 mol%))を孔径200 nmのフィルターに15回通し、形成される脂質ベシクルのサイズを均一化した。
脂質二分子膜が積層された支持体(1)に、ストレプトアビジン(10μg/mL)を300μL導入し、30分静置した。PBSを用いて当該支持体(1)を洗浄し、前記ビオチン化された脂質ベシクルを含む溶液を300μL導入し30分間静置して、接着層(4)としての脂質ベシクルをポリマー脂質膜表面(2a)に吸着させ、純水により洗浄した(図4)。
4.固相(3)の調製
本発明のナノ流体デバイスを作製するために、本実施例では、固相としてポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:PDMS)を用いた。DMSモノマーと架橋剤を10:1の割合で混合して溶液を調製し、ナノ流体デバイスに必要な微小構造の型を含むシリコンウエハーに、前記溶液5 gを流し込み、70℃で1時間加熱し硬化させた。硬化させたPDMSを成型した。硬化したPDMSシートをシリコンウエハーより剥離し、ナノ流体デバイスとして使用する大きさに切りだした。得られたPDMSに、溶液導入孔及び排出孔のために円状の穴をあけ(導入孔:直径3.5mm、排出孔:直径2.5mm)、本発明のナノ流体デバイス用の固相(3)を調製した。
5.固相(3)表面の化学修飾
上記作製した固相(3)を牛血清アルブミン(BSA: 10μg/mL)を含む水溶液に浸し、固相(3)の脂質二分子膜に積層する面にBSAを吸着させた。その後3分間の超音波洗浄を3回行い、吸着していないBSAを洗浄除去した。HEPES(pH7.7)緩衝液にNHS-PEG4-biotinを100μg/mLになるように溶かし、固相に前記NHS-PEG4-biotin溶液を150μL行き渡らせ、固相上のBSAにNHS-PEG4-biotinを結合させた。
6.固相(3)と支持体(1)上のポリマー脂質膜(2a)との接合
固相(3)のNHS-PEG4-biotinが結合している面をストレプトアビジン溶液(10μg/mL)中で30分静置し、ストレプトアビジンを結合させ、その後固相表面を洗浄した。上記、3.で調製した接着層(4)及び脂質膜(2)が積層された支持体(1)の表面に水を保持させたまま、フィルター紙の上に移動させた。さらに前記各積層された支持体(1)の表面に1 mLの純水をふりかけ支持体(1)の表面から水がなくならないようにした。固相(3)は化学修飾した面が接着層(4)と接着するように、前記各積層された支持体(1)の上にさらに積層した。積層後固相(3)の自重により、支持体(1)と固相(3)との間の水溶液が押し出され、固相(3)表面とポリマー脂質膜(2a)とが近づいた。両者が蛍光顕微鏡で同一焦点に観察されるまで距離が近づくのを待ち、その後さらに30分静置して実験に供した。
(実施例2)ナノ流体デバイスにおけるナノギャップ構造(空隙構造(5))の厚さ評価
本実施例では、特筆する場合を除いては実施例1と同様の材料を用いて、ナノ流体デバイスを調製したものを用いた。実施例1の4に示す固相(3)の調製と同手法により、表面に高さ150 nmの凹凸を持つシリコンウエハーを鋳型として、固相(3)としてのPDMSシートを作製した。上記PDMSシートを実施例1の6に示す方法によりポリマー脂質膜(2a)と接合させた。接合の際に1 mLのカルセイン溶液(0.5μM)をあらかじめ加え、固相(3)と支持体(1)の間にカルセイン溶液を挟み込んだ。
固相(3)と支持体(1)の間に存在するカルセイン溶液の蛍光強度を、時間経過と共に測定し、空隙構造(5)の厚みを蛍光強度から推定した。厚みは、高さ150 nmの凹凸における蛍光値の変化を基準値とした(図9、10)。
(実施例3)ナノ流体デバイスにおけるナノギャップ構造(空隙構造(5))への生体分子の選択的導入
本実施例では、実施例1で調製したナノ流体デバイスに関し、空隙構造(5)への生体分子の選択的導入を検証した。所望の標的物質として糖脂質(GM1)に特異的に吸着するコレラ毒素サブユニットB(CTB)とし、夾雑物質として糖脂質(GM1)に特異的な結合を行わない分子(BSA)を用いて実験を行った。両タンパク質は蛍光色素で標識したものを用いた(CTB-AlexaFluor-488 (CTB-488), BSA-Fluorescein (BSA-Flu), BSA-AlexaFluor-594 (BSA-594)) 。
本実施例では、幅・高さ50μmの微小流路(6)を有するナノ流体デバイスを用いて検討を行った(図7参照)。ナノ流体デバイスには、直径3.5mmの導入孔(7)及び直径2.5mmの排出孔(8)が設けられている。固相(3)と支持体(1)上のポリマー脂質膜(2a)との接合の際には、微小流路(6)に空気が入らないよう注意した。
被検試料として、CTB-488とBSA-594(もしくはBSA-Flu)の混合溶液を作製し、導入孔(7)に8μLの被検試料を導入した。CTB-488とBSA-594(もしくはBSA-Flu)の蛍光を顕微鏡で観察し、両分子がマイクロチャネルからナノギャップ構造へ滲出する状況を観察した。(図12)
(実験例1)パターン化ポリマー脂質膜(2a)への接着層(4)結合
実施例1の3に基づきサイズが均一なベシクルを接着層(4)用に調製し、当該ベシクルのポリマー脂質膜(2a)表面への吸着を検討した。ベシクルは、DOPC/ Biotinyl-PE (5 mol%)/ TR-PE(1 mol%) からなり、内部に水溶性蛍光色素(カルセイン)を含むベシクルを調製した(図8参照)。ポリマー脂質膜(2a)を図4に示すようにパターン化し、格子状部位におけるポリマー脂質膜(2a)の表面をビオチン基で表面修飾し、ストレプトアビジンを吸着させた。そして、上記のベシクルを結合させた。
その結果、ポリマー脂質膜部位(2a)で選択的にベシクルの蛍光(TR-PE)が観察された。また、カルセインの蛍光が同一部位に観察されたことから、ベシクルは水溶液を内包した球状の形態を保ったままポリマー脂質膜表面に結合していることが示された(図8)。
(実験例2)流動性脂質膜(2b)の流動性(脂質分子の側方拡散)
実施例1の3に基づきサイズが均一なベシクルを接着層(4)用に調製し、当該ベシクルを介して図4に示すパターン化ポリマー脂質膜(2a)とPDMSとを接合し、ナノギャップ構造(空隙構造(5))を形成する流動性脂質膜(2b)の流動性(脂質分子の側方拡散)を検証した。TR-PE(1 mol%) を導入したベシクル及び流動性脂質膜(2b)を用いて、固相(3)と支持体(1)上のポリマー脂質膜(2a)との接合後に、流動性脂質膜(2b)の流動性を蛍光顕微鏡で観察した。局所的に強い励起光を照射して蛍光色素を分解し褪色すると、流動性脂質膜(2b)の部分でのみ蛍光回復が見られた(FRAP実験)。このことから、流動性脂質膜は連続した脂質二分子膜構造及び流動性を保っていることが分かった(図8)。一方、ポリマー脂質膜表面に結合したベシクルは、非連続な球状の膜であり、蛍光の回復は見られなかった(図4)。
(実験例3)ポリマー脂質膜(2a)と固相(3)との接合
本実験例では、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)との接合の経過を、蛍光強度の測定により観察した結果を示す。
実施例2と同手法により、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)との間にカルセイン溶液を導入したナノ流体デバイスを調製し、カルセインの蛍光強度より固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との距離を推定した。PDMSは平行なライン状の凹凸(段差:150 nm)を持ったものを利用した。PDMSをポリマー脂質膜(2a)上に静置した直後には全体的に蛍光値が高く、PDMSの段差によるコントラストが弱いが((A)1)、時間とともにPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)との距離が近づいてカルセイン蛍光が弱まり((B)(C))、PDMSの段差も明確に見えるようになる(図9Aの5番の観察)。このことから、時間とともにパターン化ポリマー脂質膜(2a)とPDMSとの距離が小さくなって、最終的には両者が接合することが示唆された(図9)。
(実験例4)ポリマー脂質膜(2a)と固相(3)との接合
本実験例では、固相(3)としてのPDMSとポリマー脂質膜(2a)との接合において、PDMSとポリマー脂質膜(2a)との距離を推定した。
実施例2と同手法により、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)との間にカルセイン溶液を導入したナノ流体デバイスを調製し、固相(3)と脂質膜(2a)とが十分に近づいた状態でのカルセイン蛍光強度より固相(3)と脂質膜(2a)の距離を推定した。PDMSは平行なライン状の凹凸(段差:150 nm)を有するものを利用した。
カルセイン蛍光顕微鏡観察結果(左)及び蛍光強度による固相(3)と脂質膜(2a)の距離測定結果(右)を図10(A)に示した。図10(A)の1はPDMSと支持体(1)とが接着している部位を示し、2と3は、ギャップ構造を有する部位である。PDMSの凹凸構造のため、ギャップ構造の厚みが異なっていることが示唆される。矢印で示された部分の段差は、原子間力顕微鏡(AFM)(B)の測定結果より150 nmであることが分かっているので、2の部分のギャップ厚さは、約80 nmと推定された(図10)。
(実験例5)ポリマー脂質膜(2a)と固相(3)との接合に及ぼす微粒子の影響
固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)とを接合する際に、両者の間に微小な粒子(埃など)が混入することを完全に防ぐことは、現時点では難しい。そこで、本実験例では微粒子がナノギャップ構造に与える影響を検証した。
実施例2と同手法により、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)との間にカルセイン溶液を導入したナノ流体デバイスを調製し、カルセインの蛍光強度より固相(3)とポリマー脂質膜(2a)との間の距離を推定した。PDMSは平行なライン状の凹凸(段差:150 nm)を持ったものを利用した。ギャップ構造内部に微粒子があると、その部分の蛍光値は高くなり、局所的にPDMSと膜との距離が大きくなっていることを示している(図11矢印部分)。一方、微粒子から離れた周辺部分ではPDMSの凹凸が明確に見られており、PDMSと膜とのギャップが小さいことを示している(図11)。これらの結果から、微粒子があると局所的にギャップ構造の距離が増大するが、周辺部にはナノギャップ構造が出来ていることが示唆された。これは、PDMSが非常に柔軟な材料であるためと推定される。
(実験例6)ナノ流体デバイスにおける所望の標的物質の選択的かつ高感度な検出
実施例1と同手法により、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)と接合し、微小流路(幅・高さ50μm)を有するナノ流体デバイスを調製した。
本実験例では、微小流路にCTB-488とBSA-594の混合溶液を導入し、蛍光観察を行った。微小流路と直交する形で幅約10μmのナノギャップ構造(空隙構造(5))が配置されている。時間とともに、所望の標的物質であるCTB-488は空隙構造(5)内に進入してゆくことが観察された。一方、BSA-594は微小流路からわずかしか進入しなかった。流路から40μm離れた場所における蛍光強度の時間変化を計測した(B)。初期蛍光値に対する増加率(C)から、CTB-488が選択的にナノギャップ構造に導入されていることが示された(図12)。
(実験例7)ナノ流体デバイスにおける選択的かつ高感度な検出
実施例1と同手法により、固相(3)としてのPDMSとパターン化ポリマー脂質膜(2a)と接合し、微小流路(幅・高さ50μm)を有するナノ流体デバイスを作製した。
微小流路にCTB-488 (0.4μM) とBSA-Flu (3μM) の混合溶液を導入し、蛍光観察を行った(A)。微小流路と直交する形で幅約10μmのナノギャップ構造(空隙構造(5))が配置されている。時間とともに所望の標的物質であるCTB-488は空隙構造(5)内に進入してゆくことが観察された。一方、BSA-Fluは微小流路からわずかしか進入しなかった。微小流路内と流路から25μm離れた場所における蛍光強度を計測した(B)。CTB-488由来のシグナルとバックグランド蛍光との比率は、空隙構造(5)内部の方が微小流路よりも大幅に上昇した。この結果より、空隙構造(5)に分子を選択的に輸送し、ナノギャップ構造でバックグランドノイズを抑制することで、検出されるシグナルとバックグランドの比率(S/N比)を向上できるという原理が示された(図13)。
以上詳述したように、本発明のナノ流体デバイスを用いて被検試料中の所望の標的物質を計測することができる。本発明のナノ流体デバイスは、生体膜機能を再現する新しいバイオチップ、バイオセンサーとなり得る。例えば血液、汗、尿、等の被検試料中の所望の標的物質、例えば特定疾患のマーカー分子を超高感度で計測することが可能となる。本発明のナノ流体デバイスにおける流動性脂質膜(2b)に特異的に結合した分子のみが、脂質膜内部又は表面における分子側方拡散により、選択的にナノギャップ構造(空隙構造(5))に輸送される。ナノギャップ構造が非常に薄いために、夾雑分子などによるバックグランドノイズを抑制することが可能となる。これにより、本発明のナノ流体デバイスを用いることで、高感度(S/N比)に測定することが可能となる。S/N比を向上することで、多くの分子の平均的な測定結果ではなく、1分子で計測することも可能になると期待される。例えばLEDを用いた落射照明などの簡易な光学系で高感度な計測が可能になり、バイオチップの小型化と高感度化を実現する。係る技術により、次世代医療診断の基盤技術を提供しうる。
本発明のさらなる応用は、創薬支援技術にも及ぶ。生体膜に含まれる膜タンパク質は、情報伝達やエネルギー変換などの重要な役割を担っており、疾患に深くかかわっている。そのため、医薬品の大半は膜タンパク質を標的としている。本発明は、ナノギャップ構造内において生体膜を介した様々な生体分子反応を高感度かつ定量的に評価することを可能とし、主要な薬剤標的である各種の膜タンパク質を標的とした新薬候補分子のハイスループットスクリーニングや新規薬剤標的となる膜タンパク質の探索を目的としたプラットフォームにもなり得ると期待される。

Claims (11)

  1. 支持体(1)、脂質膜(2)及び固相(3)を含む積層体からなる基板であって、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に接着層(4)が部分的に積層され、前記脂質膜(2)と固相(3)の間に前記接着層(4)を有さない部位が、空隙構造(5)であることを特徴とする、ナノギャップ構造型基板。
  2. 前記空隙構造(5)の厚みが、5〜200 nmである、請求項1に記載のナノギャップ構造型基板。
  3. 前記脂質膜(2)が、ポリマー脂質膜(2a)及び流動性脂質膜(2b)を含む、請求項1又は2に記載のナノギャップ構造型基板。
  4. 前記ポリマー脂質膜(2a)の親水部と前記接着層(4)が積層状態で結合している、請求項1〜3のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
  5. 前記空隙構造(5)の厚みを制御しうる接着層(4)が、脂質ベシクル、高分子ブラシ、交互積層膜から選択されるいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
  6. 前記支持体(1)及び固相(3)が、各々独立して高分子エラストマー、ガラス、石英、シリコン、金属から選択されるいずれかである、請求項1〜5のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
  7. 脂質膜(2)の一方の面が、物理的相互作用又は化学的結合で、前記支持体(1)に固定化されている、請求項1〜6のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板。
  8. 流動性脂質膜(2b)の空隙構造(5)に露出している部位が、目的の生体分子と特異的に結合しうる構造を有する、請求項3〜7のいずれか1に記載のナノギャップ構造型基板。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板を含む、ナノ流体デバイス。
  10. 以下の工程を含む、請求項9に記載のナノ流体デバイスを用いることを特徴とする、標的物質の計測方法:
    1)請求項3〜8のいずれかに記載のナノギャップ構造型基板上に、被検試料を添加する工程;
    2)ナノギャップ構造型基板上に添加した被検試料に含まれる標的物質を流動性脂質膜(2b)に特異的に結合させる工程;
    3)前記流動性脂質膜(2b)に特異的に結合させた標的物質を、流動性脂質膜(2b)における分子側方拡散により、選択的に空隙構造(5)に輸送させる工程;
    4)空隙構造(5)に輸送された標的物質を、シグナルとして計測する工程。
  11. 前記工程4)のシグナルが、光シグナル、電気シグナル及び化学的シグナルのいずれかより選択される、請求項10に記載の標的物質の計測方法。
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