JP5051841B2 - 基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法及びその人工脂質膜保持基板 - Google Patents

基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法及びその人工脂質膜保持基板 Download PDF

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Description

本発明は、基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法及びその人工脂質膜保持基板に関するものである。
人工平面脂質膜は、膜タンパク質を解析するための有力なツールとして広く使用されている。その膜タンパク質は人工的に形成された平面脂質二重膜(バイレイヤー)に再構築される(下記非特許文献1参照)。人工平面脂質膜を作製するための一般的な方法は、ぺインティング法およびラングミア−ブロジェット法〔Langmuir−Blodgett法:LB法〕(下記非特許文献2参照)である。これらの方法では、デカン(decane:C1022)のような有機溶媒と混合された脂質が使用される。しかし、作製された脂質膜から有機溶媒を完全に蒸発させることは困難である。有機溶媒はタンパク質にダメージを与えるので、その溶媒が残った脂質膜は膜タンパク質分析のためには好ましくない。したがって、無有機溶媒の脂質膜が強く要請されている。近年、巨大な単層リポソームを用いた無有機溶媒の脂質二重膜の作製方法がいくつか報告されている(下記非特許文献3,4参照)。巨大リポソームは、吸い込み又は電気泳動によって微小孔に位置決めされ、基板に融合し、二重膜を形成する。エレクトロフォーメーション(電鋳)法(下記非特許文献5参照)は、単層巨大リポソームを作製するために用いられてきた。本願発明者らはエレクトロフォーメーション法を使用してパターン化された脂質薄膜から単分散巨大リポソームを作製した(下記非特許文献6)。
C.Miller,Ion Channel Reconstitution,Plenum Pub,Corp,New York,1986. M.Montal,P.Mueller,"Formation of Bimolecular Membranes from Lipid Monolayers and a Study of their Electrical Properties",Proc.Natl.Acad.Sci.,vol.69,pp.3561−3566,1972. C.Schmidt,M.Mayer,H.Vogel,"A Chip−Based Biosensor for the Functional Analysis of Single Ion Channels",Angew.Chem.Int.Ed,vol.39,pp.3137−3140,2000. M.Sondermann,M.George,N.Fertig,J.Behrends,"High−Resolution Electrophysiology on a Chip:Transient Dynamics of Alamethicin Channel Formation",Biochimica et Biophysica Acta,vol.1758,pp.545−551,2006. M.Angelova,D.Dimitrov,"Liposome electroformation",Faraday Discuss.Chem.Soc.,vol.81,pp.303−311 and 345,1986. K.Kuribayashi,S.Takeuchi,"Formation of Monodisperse Giant Liposomes using Micro−Patterned Lipid Films",in The Proceedings of microTAS’05 Conference,Boston,October 9−13,2005,pp.1455−1457. K.Kuribayashi,S.Takeuchi,"Sequential Parylene Lift−Off Process for Selective Patterning of Biological Materials",in The Proceedings of MEMS‘07 Conference,Tokyo,January 21−25,2007,pp.10−15.
そこで、本発明は、基板の微小孔上に無有機溶媒の人工脂質膜を作製する方法及びその人工脂質膜保持基板を提案する。
本発明の利点は、吸い込みや電気泳動によらず直接微小孔アレイの微小孔の上に無有機溶媒の人工脂質膜を作製することができることである。また、アレイ状の無有機溶媒の人工脂質膜を容易に作製することができる。
本発明は、上記状況に鑑みて、基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法及びその人工脂質膜保持基板を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、基板に形成された微小孔の外周に脂質パターンを形成し、この脂質パターンをエレクトロフォーメーション法により膨らませ、この膨らんだ脂質パターンは溶合し、この溶合した前記微小孔毎の脂質パターンは更に膨張しドーム形状の無有機溶媒の脂質膜を作製することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記基板は電極膜が堆積されたパリレンフィルムからなることを特徴とする。
〔3〕上記〔2〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記電極膜がCr/Au電極膜であることを特徴とする。
〔4〕上記〔2〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記微小孔の外周の脂質パターンは、パリレンリフトオフにより形成することを特徴とする。
〔5〕上記〔4〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記微小孔の外周の脂質パターンは、基板上に第1次のパリレンフィルムとその上にCr/Au電極膜を堆積し、この第1次のパリレンフィルムとCr/Au電極膜をリソグラフィによりエッチングし、次に、前記Cr/Au電極膜上に中間層を形成し、この中間層上に第2次のパリレンフィルムを堆積し、この第2次のパリレンフィルム及び前記中間層をリソグラフィによりエッチングし、その上に脂質溶液を塗布し、前記第2次のパリレンフィルム及び前記基板を剥がし、数時間真空チャンバーに保存して、形成することを特徴とする。
〔6〕上記〔5〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記中間層がODTであることを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記ドーム形状の無有機溶媒の脂質膜は、前記微小孔の回りのドーナツ形状の脂質パターンを緩衝液(バッファ)が導入されたチャンバー内に配置して前記エレクトロフォーメーション法により作製することを特徴とする。
〔8〕人工脂質膜保持基板において、電極膜が堆積された引き剥がしが容易な薄膜を備え、微小孔が形成された基板であって、この微小孔上にドーム形状の無有機溶媒の人工脂質膜を具備することを特徴とする。
〔9〕上記〔8〕記載の人工脂質膜保持基板において、前記引き剥がしが容易な薄膜がパリレンフィルムからなることを特徴とする。
本発明によれば、基板の微小孔上に無有機溶媒の人工脂質膜の作製方法及びその人工脂質膜保持基板を得ることができる。
本発明の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法は、基板に形成された微小孔の外周に脂質パターンを形成し、この脂質パターンをエレクトロフォーメーション法により膨らませ、この膨らんだ脂質パターンは溶合し、この溶合した前記微小孔毎の脂質パターンは更に膨張しドーム形状の無有機溶媒の脂質膜を作製する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す微小孔上にドーム形状の人工脂質膜を有する人工脂質膜アレイの形成工程を示す斜視図、図2はその微小孔アレイの微小孔上に人工脂質膜を作製する形成工程断面図である。
以下、詳細に本発明の微小孔アレイの微小孔上のドーム形状の人工脂質膜及びその人工脂質膜アレイの形成について説明する。
図1及び図2(a)に示すように、まず、表面にCr/Au電極膜2を有するパリレンフィルム(パリレンシート)3からなる基板1にアレイ状の微小孔(例えば、マイクロ孔:直径3又は5μm)4が形成されており、その微小孔(マイクロ孔)4の外周にパリレンリフトオフ技術(上記非特許文献7参照)によりドーナツ形状の脂質パターン(例えば、外径10又は15μm)5を形成し、緩衝液(水)6に浸す。なお、上記したように金属膜としては、Cr/Au電極膜が好適であるが、電流を通すものであれば、Al、ITOなどの金属でもよい。
次に、図2(b)に示すように、エレクトロフォーメーション法、つまりAC電界を印加して、ドーナツ形状の脂質パターン5を膨らませて溶合させ、脂質膜5′を形成する。
この溶合させた脂質膜5′をさらに膨張させると、図2(c)に示すように、各微小孔4毎にドーム形状に膨張した脂質膜7が形成される。
この方法の利点は、図2(d)に示すように、ドーム形状の脂質膜7の形成後に各微小孔4を通じて内部の溶液8を交換できることである。
また、この脂質膜7を有する脂質膜アレイは、イオンチャネルの活動の並行測定を可能にする。更に、ドーナツ形状の脂質パターン5を用いることによって脂質膜7の寸法を制御することができる。
なお、ここでは、好適であるので、エレクトロフォーメーション法を示したが、一般的なリポソームの製作方法である水和法を用いるようにしてもよい。
図3は本発明の実施例を示す微小孔アレイの微小孔の回りに脂質パターンを形成し、無有機溶媒の脂質膜を作製する工程を示す断面図である。
ここでは、標準的な光リソグラフィを用いることによって微小孔を有する隔膜構造に簡単に加工することができ、また、脂質パターンがCr/Au電極膜上に形成された時、脂質パターンがシリコン基板の表面から除去しやすいためパリレンフィルムを用いた。
(1)微小孔(マイクロ孔)13を有する電極膜を作る。
まず、シリコンウエハ(シリコン基板)10上にCVD法を用いて、例えば、5μm厚さの第1次のパリレン(C又はN)フィルム11を堆積する。そこで、第1次のパリレンフィルム11上にCr/Au電極膜12を蒸着させた〔図3(a)参照〕。そして、フォトレジストがCr/Au電極膜12及び第1次のパリレンフィルム11上に回転塗布され、標準的なリソグラフィが実施される。O2 プラズマ(15ml/min,50W,10分間)の印加によって、第1次のパリレンフィルム11はエッチングされ、結果的にマイクロサイズの微小孔13を有するアレイ14が作られた〔図3(b)参照〕。なお、基板としてはシリコン基板が好適であるが、これに限定されるものではない。
(2)Cr/Au電極膜12及び第1次のパリレンフィルム11の上に脂質パターンを形成するための孔を有する第2次のパリレンフィルム16を堆積する。
まず、上記(1)で作製されたアレイ14上に中間層15を形成する〔図3(c)参照〕。その上に第2次のパリレンフィルム16を堆積し、第1次のパリレンフィルム11と同様の方法でパターン化した〔図3(d),(e)参照〕。第2次のパリレンフィルム16の厚さは例えば4μmである。
この実験において、第2次のパリレンフィルム16は、リン脂質溶液17が導入されるときに、Cr/Au電極膜12の表面に接触しており、脂質パターニングの間に機械力によって、Au表面から容易に剥がれなければならない。これらの条件を満たすため、第1次のパリレンフィルム11上のAu表面と第2次のパリレンフィルム16との間に中間層15を堆積する。理想的な中間層15を見つけるためサイトップ〔Cytop(cyclized perfluoropolymer),旭硝子(株),日本〕、0.2%洗剤〔micro−90,Internatioal Products〕、l−octadecanethiol〔ODT,CH3 −(CH2 17−SH〕分子フィルム〔和光純薬工業(株),日本〕を試した。ODTは金表面で自己集合単分子層を形成する。脂質パターンが形成される部分の中間層15は、第2次のパリレンフィルム16がO2 プラズマによってエッチングされるとき、同時に除去される〔図3(e)参照〕。
(3)そこで、第2次のパリレンフィルム16を剥がすことにより、微小孔に脂質パターンを形成する。
まず、リン脂質(phospholipid)溶液17をシリコンゴムチャンバー18内に導入し、窒素ガスを供給して蒸着させる〔図3(f)参照〕。それから、第2次のパリレンフィルム16を剥がすことによって、ドーナツ形状の脂質パターン19を形成する〔図3(g)参照〕。その後、脂質パターン19は、有機溶媒を完全に蒸発させるために少なくとも2時間真空チャンバー内に置かれる。
リン脂質溶液17としては、卵黄L−αホスファチジルコリン〔egg yolk−L−α phosphatidyl choline(EPC),Sigma−Aldrich〕,1.5mg/mlと、蛍光性DiI(1,1′−dihexadecyl−3,3,3′,3′−tetramethylindocarbo−cyanieperchlorate,ex/em:549/564nm,Molecular Probes)をメタノール〔関東化学(株)、日本〕で溶解したものを用いた。
(4)エレクトロフォーメーション法を用いて微小孔に無有機溶媒の脂質膜を形成する。
ここでは、ITO(酸化インジウム錫;indium tin oxide)ガラス20が対極として用いられ、ガス抜きされた緩衝液(水)21で満たされたシリコンスペーサチャンバーによって脂質パターン19を有する第1次のパリレンフィルム11から分離されて配置される〔図3(h)参照〕。AC電界(10Hz,0.1−1.0VPP)が電極に印加されると、微小孔の回りに無有機溶媒のドーム形状の脂質膜22が形成された。
このように、微小孔を有する脂質膜アレイはうまい具合にCr/Au電極膜及びパリレンC又はNフィルム上に作ることができた。積層されたパリレンNフィルムの表面はパリレンCフィルムよりも粗くはない。そのため、パリレンNフィルムは、薄い脂質膜をパターニングするための基板としての使用に適している。
一方、接着に関する中間層の効果は、表1に示す通りである。なお、表1中の○は図4(a)の状態を示し、×は図4()の状態を示している。
図4(a)に示すように、第2次のパリレンフィルムを剥がす時、Cr/Au電極膜は第1次のパリレンフィルム上に残す必要があり、図4(b)に示すように、Cr/Au電極膜を第2次のパリレンフィルムと共に剥がさないようにしなければならない。
第2次のパリレンフィルムは全てのケースにおいてピンセットを用いて、剥がすことができた。しかし、表1に示すように、中間層がない場合、Cr/Au電極膜もまた第2次のパリレンフィルムと共に剥がされてしまう。一方、中間層としてサイトップ、洗剤、及びODTを用いた時、Cr/Au電極膜は第1次のパリレンフィルム上に残った。ODT堆積のプロセスは3種のうち最も単純であり、サイトップや洗剤に比べてバイオ材料への影響が少ない。したがって、この実験では、脂質パターンを形成するための中間層としてODTを使用した。
上記したように、パリレンリフトオフ技術を使用して、Cr/Au電極膜上の微小孔の回りに脂質パターンを容易に作ることができ、脂質膜のアレイを首尾よく作ることができた。
図5は本発明の実施例を示す作製された脂質パターン及びその厚さを示す図である。
図5(a)及び図5(b)はそれぞれ、第2次のパリレンフィルムを剥がす前と後の脂質パターンの蛍光イメージを示している。第2次のパリレンフィルムを剥がす前は、赤く染まった脂質パターンを全体に観察することができる。一方、第2次のパリレンフィルムを剥がした後は、第2次のパリレンフィルムの孔の領域のみである。このようにパリレンフィルムのリフトオフ技術を用いることで図5(c)に示すように、微小孔(直径5μm)の回りに30μmの間隔でドーナツ形状(外径15μm)の脂質パターンを形成することに成功した。図5(d)は脂質パターンの厚さのAFM画像及びプロファイルを示している。AFMによる断面解析の結果、脂質の濃度が1.5mg/mlのケースにおいて、脂質の厚さは400nmになることが分かった。その厚さはリン脂質溶液の濃度で制御することができる。
図6は本発明に係る予備実験において作製された人工脂質膜及びその画一性を示す図である。
ここでは、孔がないITOガラス基板上にエレクトロフォーメーション法を用いて、脂質パターンから脂質膜を作る予備実験を行った。
図6(a)は、この予備実験において作製された脂質膜の蛍光イメージである。このエレクトロフォーメーション法では、AC電界(10Hz,1.5V)が2時間印加された。図6(b)にはその作製された脂質膜の数と直径が示されている。ここで、作製された脂質膜の直径の偏差の係数〔C.V=(標準偏差値sd/平均評価値avg)×100%〕、つまり、脂質膜の画一性は、脂質パターンがない時の53%から15%に改良された。この結果は、狭い寸法で配置される脂質膜の形成に脂質パターンが有用であることを示している。
図7は本発明の実施例を示す微小孔アレイの微小孔上にエレクトロフォーメーション法によって作製されたドーム形状の人工脂質膜の共焦点イメージであり、図7(a)はそのXY軸の2次元イメージ、図7(b)はXZ軸の2次元イメージ、図7(c)はXY軸の断面画像から再構築された3次元イメージ、図7(d)は微小孔上に形成されているアレイ状に配列された脂質膜を示している。
なお、脂質パターンの蛍光イメージを観察するための器具として、緑色励起フィルター〔WIG,オリンパス(株),日本〕付きの蛍光顕微鏡〔IX−71,オリンパス(株),日本〕が用いられた。この蛍光イメージは、3CCDデジタルカメラ〔C7780,浜松ホトニクス(株),日本〕及びイメージソフトウエア〔アクアコスモス(AQUA COSMOS),浜松ホトニクス(株),日本〕によって記録された。また、共焦点顕微鏡システム〔CSU 22,横河電機(株),日本〕、Cascade II,Photometrics:IX−70,オリンパス(株),日本:532nm laser−Ventus,Laser Quantum〕が作製された脂質膜の断面画像を得るために用いられた。さらに、イメージ処理ソフトウエア(MetaMorph Molecular Devices)を用いることによって、その断面共焦点イメージから製造された脂質膜の2次元側面映像及び3次元イメージが再構築された。脂質パターンの厚さは原子間力顕微鏡(AFM)〔VN−8010,(株)キーエンス,日本〕によって計測された。
上記したように、微小孔アレイの微小孔上に、エレクトロフォーメーション法によってドーム形状の人工脂質膜を得ることができる。さらに、このドーム形状の人工脂質膜を基板から遊離させることにより、人工脂質膜をリポソーム化することが可能である。
なお、上記実施例では、微小孔アレイの場合について述べたが、これに限定されるものではなく、単一の微小孔に単一の人工脂質膜を作製してもよい。また、そのような単一の人工脂質膜保持基板であってもよい。
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の微小孔アレイの微小孔上の人工脂質膜の作製方法によって作製された脂質膜は、新しい用法としてのタンパク質の分析膜として大いに利用可能である。
本発明の実施例を示す微小孔上にドーム形状の人工脂質膜を有する人工脂質膜アレイの形成工程を示す斜視図である。 本発明の実施例を示す微小孔アレイの微小孔上に人工脂質膜を作製する形成工程断面図である。 本発明の実施例を示す微小孔アレイの微小孔の回りに脂質パターンを形成し、無有機溶媒の脂質膜を作製する工程を示す断面図である。 本発明の実施例を示す第2次のパリレンフィルムを剥がす態様を示す図である。 本発明の実施例を示す作製された脂質パターン及びその厚さを示す図である。 本発明に係る予備実験において作製された人工脂質膜及びその画一性を示す図である。 本発明の実施例を示す微小孔アレイの微小孔上にエレクトロフォーメーション法によって作製されたドーム形状の人工脂質膜の共焦点イメージである。
1 基板
2,12 Cu/Au電極膜
3 パリレンフィルム(パリレンシート)
4,13 微小孔(マイクロ孔)
5,19 ドーナツ形状の脂質パターン
5′ 脂質膜
6,21 緩衝液(水)
7,22 ドーム形状の脂質膜
8 溶液
10 シリコンウエハ(シリコン基板)
11 第1次のパリレンフィルム
14 アレイ
15 中間層
16 第2次のパリレンフィルム
17 リン脂質溶液
18 シリコンゴムチャンバー
20 ITOガラス

Claims (9)

  1. (a)基板に形成された微小孔の外周に脂質パターンを形成し、
    (b)該脂質パターンをエレクトロフォーメーション法により膨らませ、該膨らんだ脂質パターンは溶合し、該溶合した前記微小孔毎の脂質パターンは更に膨張しドーム形状の無有機溶媒の脂質膜を作製することを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  2. 請求項1記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記基板は電極膜が堆積されたパリレンフィルムからなることを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  3. 請求項2記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記電極膜がCr/Au電極膜であることを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  4. 請求項2記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記微小孔の外周の脂質パターンは、パリレンリフトオフにより形成することを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  5. 請求項4記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記微小孔の外周の脂質パターンは、基板上に第1次のパリレンフィルムとその上にCr/Au電極膜を堆積し、該第1次のパリレンフィルムとCr/Au電極膜をリソグラフィによりエッチングし、次に、前記Cr/Au電極膜上に中間層を形成し、該中間層上に第2次のパリレンフィルムを堆積し、該第2次のパリレンフィルム及び前記中間層をリソグラフィによりエッチングし、その上に脂質溶液を塗布し、前記第2次のパリレンフィルム及び前記基板を剥がし、数時間真空チャンバーに保存して、形成することを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  6. 請求項5記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記中間層がODTであることを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  7. 請求項1記載の基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法において、前記ドーム形状の無有機溶媒の脂質膜は、前記微小孔の外周の脂質パターンが形成された基板を緩衝液(バッファ)が導入されたチャンバー内に配置して前記エレクトロフォーメーション法により作製することを特徴とする基板の微小孔上の人工脂質膜の作製方法。
  8. 電極膜が堆積された引き剥がしが容易な薄膜を備え、微小孔が形成された基板であって、該微小孔上にドーム形状の無有機溶媒の人工脂質膜を具備することを特徴とする人工脂質膜保持基板。
  9. 請求項8記載の人工脂質膜保持基板において、前記引き剥がしが容易な薄膜がパリレンフィルムからなることを特徴とする人工脂質膜保持基板。
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