JP6398541B2 - リードフレーム及び発光装置 - Google Patents
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Description
(1)銅又は銅合金を含む下地層と、
前記下地層上に形成された、銀層に銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物が拡散されてなる中間層と、
前記中間層上に形成された銀を含む反射層とを備えるリードフレーム。
(2)上記リードフレームと、
前記リードフレームの上に載置された発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材とを備える発光装置。
リードフレームは、主として、基体と、下地層と、中間層と、反射層とがこの順に配置されて構成される。リードフレームは、発光素子などの半導体素子を載置し且つ好ましくはその半導体素子に電力を供給するための金属部材である。リードフレームは、ピン挿入型半導体装置(例えば砲弾型LED)用のものでもよいし、表面実装型半導体装置用のものでもよい。主に、前者では柱状(棒状)、後者では板状である。
基体は、リードフレームの基礎を構成する。基体は、例えば、1×10-6/K〜50×10-6/K程度の線膨張係数を有する金属が好ましく、5×10-6/K〜25×10-6/K程度の線膨張係数を有する金属がより好ましい。具体的には、例えば、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。なかでも、鉄又は鉄合金が製造コスト等の観点から好ましい。基体の厚みは、特に限定されないが、0.05mm〜2mm程度が好ましく、0.1mm〜1mm程度がより好ましい。なお、基体が銅又は銅合金で形成される場合には、基体と下地層を一体として考えられ、基体も含めて下地層としてもよいし、下地層を省略してもよい。
下地層は、銅及び銅合金を含んで構成される。例えば、銅又は銅合金の単層構造であってもよいし、これらを含む積層構造であってもよい。銅合金としては、例えば、Al、Au、Ag、W、Fe、Ni、Pt、Co、Pd、Ti、Mn、V、Cr、Zr、Rh、Mg、Bi、Sn、Ir、Ga、Nd及びReからなる群から選択される1種以上の元素との合金が挙げられる。なかでも、Al、Au、Ag、W、Fe、Niとの合金が好ましい。下地層は、特に、銅の単層構造によって形成されることが、製造コスト等の観点から好ましい。
下地層上には、下地層の表面と接触するように中間層が形成されている。
中間層は、下地層と反射層との間にあって、特に反射層を透過する酸素などの外気の下地層への到達を抑制するための層として機能する。また、下地層を構成する元素の反射層への拡散を抑制するための層としても機能する。
中間層は、銀層に、銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物が拡散されてなる。銀及び銅以外の金属又はその酸化物が銀層内、好ましくは銀の結晶粒界に拡散することで、上述のような機能を発揮する。なお、銀及び銅以外の金属の酸化物は、金属の状態で銀層内に拡散され後に酸化したものでもよいし、元々酸化物の状態で銀層内に拡散されてもよい。中間層に拡散される銀及び銅以外の1種以上の金属は、In、Mn、Al、Au、Sn、Zn、Ge及びCoから選択される1種以上が好ましい。なかでも、特にIn、Mn、Al、Auから選択される1種以上が好ましい。また、中間層に拡散される銀及び銅以外の1種以上の金属として、銅より酸化しやすい(銅よりイオン化傾向の大きい)金属元素を選択することも、酸素に対するバリア性の観点から好ましい。
中間層は、銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物を、例えば10mol%程度以下、8mol%程度以下、6mol%程度以下、5mol%程度以下で含むことが好ましい。なお、中間層のこれら拡散物質以外の構成元素は、銀であることが好ましい。
中間層に微量金属を拡散させる場合、銀層を、メッキ法、蒸着法、スパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法、ALD(原子層堆積)法等の種々の方法で成膜した後、異種元素を含有する層を、同様の方法で積層し、熱拡散させる方法、銀層を、メッキ法、蒸着法、スパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法等の種々の方法で成膜した後、異種元素自体を同様の方法で拡散させる方法、又はこれらの方法で同時に成膜する方法等を利用することができる。
反射層は、発光素子から出射される光を効率良く(反射率としては、発光素子から出射される光に対して70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がよりいっそう好ましい。)反射させることができる層であり、銀を含む。銀以外の元素を含んでいてもよいが、銀層すなわち純銀(但し「純」は現実的な意味で用いる;以下も同様)の層が好ましい。一方、後述する理由から、微量の銀以外の金属(異種金属)が拡散されたものであることが好ましい。
この異種金属としては、例えば、Pt、Co、Au、Pd、Ti、Mn、V、Cr、Zr、Rh、Al、Mg、Bi、Sn、Ir、Ga、Nd、Re、Ni、Ru、Os、Nb、Ta、Fe、W、In、Ge等からなる群から選択される1種以上の元素が挙げられる。なかでも、In、Mn、Al、Au、Sn、Zn、Ge及びCoから選択される1種以上の金属が好ましい。特にIn、Mn、Al、Auから選択される1種以上の金属が好ましい。
ここでの微量とは、例えば、0.1mol%〜1mol%程度の範囲が挙げられ、0.1mol%〜0.8mol%程度が好ましく、0.1mol%〜0.6mol%程度がより好ましい。また、反射層に拡散される異種金属の量は、中間層に拡散される銀及び銅以外の金属並びにその酸化物の量より少ないことが好ましい。
さらに、反射層に異種金属が拡散されていることにより、中間層側からの異種元素の拡散を有効に抑制することが可能となり、反射層の変質及び/又は劣化をよりいっそう抑制することができる。
反射層の厚みは、特に限定されないが、光学特性と量産性の観点から、例えば50nm〜10μm程度の範囲が挙げられ、100nm〜5μm程度が好ましく、500nm〜3μm程度がより好ましい。
なお、反射層における銀の平均粒径は、反射率の観点から、50nm〜1.0μmであることが好ましく、50nm〜0.5μmであることがより好ましい。中間層における銀の平均粒径は、これと同等であってよい。
発光装置は、上述したリードフレームと、発光素子と、封止部材とを備える。
(半導体発光素子)
発光素子は、主として、基板、半導体発光構造を備えている。
基板は、通常、半導体発光素子を製造する際に用いられるものであればよく、半導体層とは異なる屈折率を有する材料、例えば、半導体層と異なる材料又は異なる組成からなるものが挙げられる。具体的には、窒化物半導体を用いた半導体発光素子用の基板として好適な、サファイア(C面、A面、R面)、SiC、スピネル(MgAl2O4)、SiC、NGO(NdGaO3)基板、LiAlO2基板、LiGaO3基板、GaN等が挙げられる。なかでも、サファイア基板が好ましい。基板の厚みは特に限定されないが、例えば50〜1000μm程度の厚みが挙げられ、80〜500μm程度が好ましく、100〜300μm程度であることがより好ましい。
基板は、透光性であることが好ましいが、限定はされない。ここで、透光性とは、発光素子から出射される光を、50%以上透過させる性質を指し、70%以上透過させるものが好ましく、80%以上透過させるものがより好ましく、90%以上透過させるものがよりいっそう好ましい。
半導体発光構造は、いわゆる発光ダイオードと呼ばれる素子を構成するものであればよい。例えば、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体によって構成される、活性層を含む積層構造が挙げられる。発光素子の発光波長は、半導体の材料、混晶比、ドープする不純物の種類などによって、紫外域から赤色域まで変化させることができる。
発光素子は、上述した片面電極の構造を有する場合、フェイスアップ(電極形成面が光取り出し側にある)、フリップチップ(フェイスダウン;電極形成面が光取り出し側と反対側(搭載面側)にある)のいずれの形態の搭載であってもよい。
発光素子のリードフレーム上への搭載は、当該分野で公知の方法により行うことができる。通常、発光素子の搭載は、接着剤を用いて行うことが生産性の観点で好ましい。
接着剤としては、フェイスアップ搭載される発光素子の場合には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材のほか、銀、金、パラジウム等の導電性ペーストを用いることができる。さらに、両面電極構造である発光素子の場合には、上記導電性ペーストのほか、Sn−Bi系、Sn−Pb系、Pd−Sn系、Sn−Ag−Cu系、Au−Sn系、Sn−Zn系、Su−Cu系の半田等を用いてもよい。なかでも、融点が低く安定性のよいAu−Sn系の半田が好ましい。
フリップチップ搭載される発光素子の場合には、上記半田を用いることができる。
ワイヤとしては、発光素子の電極とのオーミック性が良好であるか、機械的接続性が良好であるか、電気伝導性及び熱伝導性が良好なものであることが好ましい。熱伝導率としては、0.01cal/S・cm2・℃/cm程度以上が好ましく、さらに0.5cal/S・cm2・℃/cm程度以上がより好ましい。作業性などを考慮すると、ワイヤの直径は、10〜200μm程度が挙げられ、20〜150μm程度が好ましい。このようなワイヤとしては、例えば、金、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金で形成されたものが挙げられる。
封止部材は、発光素子を封止する部材である。より詳細には、封止部材は、リードフレームと一体化して、発光素子を封止し外気及び外力等から保護するために設けられる部材である。例えば表面実装型発光装置の封止部材は、発光素子を収納する凹部を有し、この凹部底面でリードフレームの一部を露出し、かつリードフレームの一部を埋め込む樹脂成形体と、この凹部内に充填され、発光素子を被覆する透光性部材とを備えていることが好ましい。一方、例えばピン挿入型発光装置(一例として砲弾型LED)の封止部材は、発光素子を被覆する透光性部材を備えていればよく、上記樹脂成形体を省略して、又は上記樹脂成形体を透光性として上記透光性部材と一体化して考えることができる。
樹脂成形体は、リードフレームの一部を埋め込み、好ましくは一体的又は塊状に被覆し、発光素子等に対して電気的絶縁性を確保することができればよい。例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、BTレジン、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、又はポリフタルアミド(PPA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート等の熱可塑性樹脂によって形成することができる。これらの材料には、当該分野で公知の着色剤、光拡散剤、フィラー、後述する蛍光体などを含有させてもよい。なかでも、反射率の良好な材料を用いることが好ましく、そのために、酸化チタン等の白色の着色剤を添加したものを用いることが好ましい。
樹脂成形体の形状は特に限定されるものではなく、例えば、円柱、楕円柱、球、卵形、三角柱、四角柱、多角柱又はこれらに近似する形状等どのような形状でもよいが、反射用側壁を備えていることが好ましい。
樹脂成形体には、発光素子を収容する凹部を備えており、この凹部が、反射用側壁として、リードフレーム上に載置される発光素子から出射される光を、光取り出し面側に反射させる。凹部は、発光素子載置面(リードフレームの上面)から樹脂成形体の上面(光取り出し面)側に向かって幅広となる形状、つまり、底面側の平面積が上面側の平面積よりも小さい円錐台又は角錐台及びこれらに近似する形状であることが好ましい。
樹脂成形体及び凹部の大きさは特に限定されるものではなく、発光素子の搭載数、目的とする発光装置の性能等によって適宜調整することができる。
樹脂成形体及び透光性部材は、当該分野で公知の方法、代表的には、トランスファー成形法、射出成形法、キャスティング法、圧縮成形法、ポッティング法等を利用して形成することができる。
透光性部材は、通常、樹脂によって形成される。ここでの樹脂は、熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、及びこれらの変性樹脂等が挙げられる。表面実装型発光装置の透光性部材には、シリコーン樹脂又はその変性樹脂が、耐熱性や耐光性に優れ、硬化後の体積収縮が少ないため、好ましい。ピン挿入型発光装置の透光性部材には、エポキシ樹脂又はその変性樹脂が、耐熱性や耐光性が比較的良く、機械的強度が高いため、好ましい。
蛍光体は、発光素子からの光を変換させるものであり、発光素子から透光性部材を通して外部へ出射される光の波長を変換することができる。例えば、有機蛍光体であるペリレン系誘導体、ZnCdS:Cu、YAG:Ce、Eu及び/又はCrで賦活された窒素含有CaO−Al2O3−SiO2、Euで賦活されたSi6-ZAlZOZN8-Z、Mnで賦活されたK2SiF6などの無機蛍光体など、種々好適に用いられる。
図2は、本発明のリードフレーム及びそれを用いた発光装置の実施形態1を示す断面図である。図2に示すように、この実施形態の発光装置20は、砲弾型LEDである。発光装置20は、リードフレーム10と、このリードフレームの上に載置された発光素子11と、この発光素子を封止する封止部材13と、を備えている。
リードフレーム10は、基体1上に、下地層3、中間層5及び反射層7がメッキ法により順次積層されて構成されている。基体1は、Feからなる。下地層3は、厚み2μmのCu層である。中間層5は、厚み100nmのAg層に1mol%のMnが拡散されてなる。反射層7は、厚み1.5μmの純Ag層である。
封止部材13は、リードフレーム10のカップ内に充填されたシリカを含有するエポキシ変性樹脂の内側被覆部と、リードフレーム10の端子部を露出させて残りの全部を覆って砲弾型に成形されたエポキシ樹脂の外側被覆部と、からなっている。内側被覆部はポッティング法、外側被覆部はキャスティング法により形成される。
なお、この発光装置20の製造工程内での主な熱履歴は、発光素子11の接着工程において180℃(1時間)、ワイヤ接続工程において210℃(10秒)、封止部材13の成形工程において内側被覆部が180℃(2時間)、外側被覆部が130℃(1時間強)と150℃(5時間)である。
また、中間層5として、Mnに代えて、Alが拡散されたAg層を有する以外、実施形態1の発光装置20と同様の構成の発光装置22を作製する。
さらに、中間層5として、Mnに代えて、Auが拡散されたAg層を有する以外、実施形態1の発光装置20と同様の構成の発光装置23を作製する。
なお、比較例として、中間層5を形成しないこと以外は、実施形態1の発光装置20と同様の構成の発光装置Xを作製する。
3 下地層
5 中間層
7 反射層
10 リードフレーム
11 発光素子
13 封止部材
20 発光装置
Claims (7)
- 基体と、
前記基体上に配置された銅又は銅合金を含む下地層と、
前記下地層上に形成された、銀層に銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物が拡散されてなる、厚みが200nm以下の中間層と、
前記中間層上に形成された銀を含む反射層とを備えるリードフレーム。 - 前記銀及び銅以外の1種以上の金属は、In、Mn、Al、Au、Sn、Zn、Ge及びCoから選択される請求項1に記載のリードフレーム。
- 前記中間層が、前記銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物を10mol%以下の範囲で含む請求項1又は2に記載のリードフレーム。
- 前記反射層は、銀層、又は銀層にIn、Mn、Al、Au、Sn、Zn、Ge及びCoから選択される1種以上の金属及び/又はその酸化物が0.1mol%〜1mol%の範囲で拡散されてなる層である請求項1〜3のいずれか1つに記載のリードフレーム。
- 前記反射層に拡散されている銀及び銅以外の金属元素は、前記中間層に拡散されている銀及び銅以外の金属元素と異なる請求項4に記載のリードフレーム。
- 前記反射層は、厚みが500nm〜3μmである請求項1〜5のいずれか一つに記載のリードフレーム。
- 基体と、前記基体上に配置された銅又は銅合金を含む下地層と、前記下地層上に形成された、銀層に銀及び銅以外の1種以上の金属並びに/又はその酸化物が拡散されてなる中間層と、前記中間層上に形成された銀を含む反射層とを備えるリードフレームと、
前記下地層上に半田付けされた発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材とを備え、
前記半田付けされた箇所は、前記半田に前記反射層の銀が溶け込んでいることを特徴とする発光装置。
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