JP6397424B2 - 定量的ナノインデンテーション用マイクロ加工櫛形駆動機構 - Google Patents

定量的ナノインデンテーション用マイクロ加工櫛形駆動機構 Download PDF

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Description

本願発明の一実施例は、例えば、定量的ナノインデンテーション用マイクロ加工櫛形駆動機構に関する。
ナノインデンテーション(参考文献1および2参照のこと)は、例えば弾性率や硬さなど、試料の機械的性質を、小さな力と高分解能変位センサとを用いて定量的に測定する方法である。典型的には、ナノインデンテーションで採用される力は10mN未満であり、典型的な変位幅は10μmよりも小さく、雑音レベルは典型的には1nm rmsよりも良好である。ナノインデンテーションでは、負荷力や変位を求めることができるナノインデンタが使用される。力および変位データを使用して試料の機械的性質を求める(参考文献3参照のこと)。この試料性質推定のため、ナノインデンタは、既知の形状および既知の機械的性質を有する特徴づけられたチップと統合されなくてはならない。
新たに広がりつつあるナノインデンテーション用途の1つは、定量的透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)現場機械試験である(参照文献4、5、6および7参照のこと)。この試験方法では、定量的機械的データの測定中に、リアルタイムで試料の変形の監視が可能となる。しかしながら、TEMホルダ内の利用可能な空間は限られているため、小型のトランスデューサに対する要望がある。
ナノインデンテーション計測における重要な構成要素の1つは、電気入力を機械力に、また機械的変位を電気信号に変換するトランスデューサである。うまく設計されたナノインデンタトランスデューサは、最大力の向上を含む、力の範囲の拡大、力の分解能およびシステム帯域幅の改善、ならびにシステム雑音の低減など、ナノインデンタ性能の多くの側面を改善できる。本開示は、ナノインデンテーション用途向けマイクロ電気機械システム(MEMS:Micro−Electro−Mechanical System)トランスデューサの実施形態を記載する。本明細書に記載の実施形態によれば、MEMSトランスデューサは作動および検知用マイクロ加工櫛形駆動機構を採用する。そのような櫛形駆動機構は、従来のトランスデューサに比べて限られた小さな空間内で作動および検知コンデンサの電極のより大きな重複面積を提供し、ひいては利用可能な最大押込み力を向上させ、また変位検知の感度を改善させるため、有利である。
作動に関する従来技術の制限
MEMSトランスデューサは、破壊試験(参考文献8および9参照のこと)、引っ張り試験(参考文献10、11、12および13参照のこと)、および押込み(参照文献5および15参照のこと)などの、ナノ機械試験用途に使用されてきた。しかしながら、公知のMEMSベースのナノ機械試験器うち、ナノインデンテーションに使用されてきたと知られているものは1つのみである。この公知のナノインデンタは2つの容量変位検知用極板のみを使用し、試料上の押込み力は圧電作動およびばね反作用を用いて印加される。侵入深さは圧子変位から作動距離を減算することにより推定される。
しかしながら、この演算からの推定侵入深さは、一般に、例えばクリープ、負荷および除荷ヒステリシス、ならびに圧電変位の非線形性などの、望ましくない圧電特性が原因で起こる誤圧電距離推定による誤差が生じやすい。ナノインデンテーションは小さな侵入深さを用いるので、圧電変位推定における小さな誤差が試料性質推定における比較的大きな誤差を引き起こしかねない。
この理由で、検知変位を侵入深さと同一とすることにより直接侵入深さ測定を可能にする統合作動器が、正確なナノインデンテーション実験作業のために非常に望ましい。
検知に関する従来技術の制限
従来のMEMSベースのナノ機械試験器には、変位検知のために静電容量変化を利用するものがある(参考文献5、6、10、11、17および18参照のこと)。しかしながら、大抵の従来のMEMSベースの機械試験器は、1対の変位測定用の極板または電極のみを有する検知コンデンサを採用する。単一対の電極のみを有する検知コンデンサを使用する変位測定はナノ機械試験には望ましくないが、これは、そのような測定方式は環境変化が原因の変位検知における誤差が生じやすいためである。そのような変位検知方式は、1対の電極間のギャップが減少するにつれて増加する比較的大きな非線形性をも有する。
変位測定のための容量検知を利用する別の方法は差動容量検知を採用することである。1つの差動容量センサは3つの電極を利用する。電極の1つは可動中心電極である。他の2つの対向電極は固定され、可動中心電極から反対方向に配置される。差動容量センサを採用する変位検知方式は、環境変化や寄生容量から受ける望ましくない影響は少なくなる。望ましくない原因により引き起こされる静電容量変化は、それでも、2つのコンデンサの各々に等しく影響を与えるため、望ましくない静電容量変化は差動化により打ち消される。
1つのMEMSベースのナノ機械試験器(参考文献10参照のこと)は、表面マイクロ加工櫛形駆動センサを使用する差動静電容量検知を採用する。一般に、バルクマイクロ加工櫛形駆動機構に比べて、表面マイクロ加工櫛形駆動機構の検知コンデンサの電極は、極板高さが限られているため重複面積が小さく、ひいてはトランスデューサの変位感度が低下する。
櫛形駆動機構を直交方向に配置することにより、櫛形駆動センサは多次元検知能力を有することができる。MEMS機械試験器(参考文献11、17および18参照のこと)と統合される櫛形駆動センサの一例は、直交方向櫛形アレイを持つ2軸力検知能力を実現する。この多軸変位検知のため、各櫛形駆動機構は1軸変位検知のために独立して使用される。
しかしながら、そのような多軸変位検知方式は、より大きな実装面積を必要とする追加の櫛形駆動機構を必要とする。面積が大きくなると、非常に小さいサイズ要件を有する現場TEM用途など、櫛形駆動トランスデューサを使用できる用途が制限される。
ばね設計に関する従来技術の制限
ナノ機械試験器が正確な機械試験結果を提供するためには、可動電極またはプローブの移動は試験方向に制限されるべきである。ナノインデンテーションの場合、動きは試料表面に対して垂直であるべきであり、また圧子が試料剛性からの反作用を受けるものの、押込み実験の間維持されるべきである。機械試験方向を維持するため、トランスデューサばねは、試験方向の移動に対する軟質または可撓特性、および他の方向の移動に対する剛または非可撓特性を有するように設計されるべきである。
試験方向に電極またはプローブの移動を制限することにより、試験に無関係な力成分に起因する測定誤差を最小限にできる。従来の機械試験器のうち、1つの摩擦計(参考文献11参照のこと)はその試験目的のために特別に設計されたばねを有する。この摩擦計のばねは、小さな摩擦測定のために、軟質な横または回転剛性および大きな押込み方向剛性を有するように設計される。しかしながら、そのような剛性特性はナノインデンテーションにとって望ましい特性とは逆である。上述のように、ナノインデンテーション用途向けトランスデューサは、試料に対してその表面平面に垂直に侵入するために、軟質押込み方向剛性および大きな横剛性を有するべきである。
剛性関連の準静的特性の他にも、ばね設計は動的機械分析に影響を及ぼす。動的機械分析(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)は、例えば振幅および位相応答を測定して試料の機械的性質に変換することにより、貯蔵および損失弾性率のような、試料の周波数特性を測定する。動的機械試験は、その共振周波数で動作する場合、試料の反力に対して最高感度を有する。
動的解析から有効な結果を得るため、共振周波数での動的モード形は試験方向に動きを有するべきである。共振周波数での他の動的モードとの結合を防止するため、第2の固有振動数は共振周波数から分離されるべきである。この固有振動数分離は動的動作中の第1および第2のモードを切り離し、動的機械分析試験結果を改善する。
動的機械分析は1自由度の仮定に基づいており、そのような仮定を保持するために、第1のモードからの第2のモードの完全な分離が必要とされる。第2のモードが第1のモードと結合されると、共振周波数付近の周波数応答は1自由度2次系応答と一致せず、試料の周波数特性の誤差に帰着する。ナノ機械試験器のためのばねを設計する際には、この要件が考慮されなければならない。
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)カンチレバーは形状測定に適した所望の動的特性を有するように設計されるが、押込み中のチップの傾動特性が原因で、ナノインデンテーション用途に使用することは困難である。
圧子チップ配線に関する従来技術の制限
いくつかのナノインデンテーション用途では、伝導性チップが使用され、電気測定または放電の目的で配線される。圧子チップは配線されると、機械的および電気的データ間の相関を見出すために、ナノインデンテーションの間、現場電気測定に使用できる(参考文献16参照のこと)。加えて、配線済み伝導性チップは、電子を放電し、電子の蓄積により引き起こされる引力を除去するために、現場電子顕微鏡ナノインデンテーション(参考文献4参照のこと)に使用される。伝導性チップをその他の電極から電気的に絶縁することは、MEMSデバイスでは、その小さいサイズおよび電気的レイアウト制限のために、困難である。1つの公知のMEMSナノインデンタの圧子チップ(参考文献5参照のこと)は、電気的ドリフトや雑音の増加を引き起こし得る検知コンデンサ極板の1つに接続される。チップの完全な絶縁は、電子顕微鏡測定において電子に起因する不要な影響を防止するために望ましい。
トランスデューサ・パッケージングに関する従来技術の制限
MEMSナノ機械試験器はパッケージ化されることで、試験器を汚染から保護し、またトランスデューサを電気的に遮蔽することが望ましい。MEMSトランスデューサは、汚染の結果として誤動作し得る多くの小さな特徴を有するので、汚染からの保護は、トランスデューサの寿命を延ばすために重要である。トランスデューサを電気的に遮蔽するために、伝導性パッケージング材料が使用できる。大抵のMEMSベースのナノ機械試験器は商用化されておらず、したがってトランスデューサをパッケージ化する必要は殆どなかった。1つの公知のナノ機械試験器であるMEMSナノインデンタは部分的に覆われているが、ばねとチップ装着用に設計された円形孔とが露出している。この露出領域は汚染されてしまうことがあり、電子顕微鏡用途で使用される場合には、電子を蓄積してしまうこともある。
衝突保護に関する従来技術の制限
櫛形駆動機構でのコンデンサ電極間のギャップ距離は小さいため、不適切な操作または誤った取扱いにより電極は容易に互いに接触してしまうことがあり、特に、櫛形駆動機構がナノ機械試験に使用されて櫛形駆動機構が不安定な動作を行い得る場合には顕著である。電極への些細な損傷でも事実上ナノ機械試験装置を不能としかねないが、これは櫛形駆動機構への僅かな損傷でも試験装置の較正が崩れてしまい、不正確なトランスデューサ定数が原因で、測定データを適切に試料の機械的性質に変換できなくなるからである。トランスデューサやコントローラ電子機器を永久損傷から保護するために、そのような電極接触は防止するべきであり、それは可動電極を安全な範囲内の動きに機械的に制限することにより防止できる。そのような安全特性は、公知のMEMSベースの機械試験器により使用されていることは知られていない。
圧子チップ装着に関する従来技術の制限
測定される押込みデータは、試料の機械的性質に変換できる負荷および除荷曲線を備える。この変換のためには、規定の形状を持つ圧子チップを採用することが有利である。しかしながら、MEMSデバイスのような小型のデバイスに圧子チップを装着することは、MEMSデバイスおよび圧子チップのサイズが小さいために困難である。小さいサイズに加えて、MEMS材料の脆性もそれを困難にする。従来の櫛形駆動機構には、試料に力を加えることができるものがある(参考文献17〜19参照のこと)が、力測定は規定の形状を有する圧子チップを用いて行われていないため、力に対する試料の測定された反作用は機械的性質(例えば、弾性率や硬さ)に変換できない。
圧子チップの装着は、MEMSデバイスをナノインデンタとして利用する上での主な課題の1つである。1つの公知のMEMSナノインデンタは、チップ装着のためにトランスデューサ上の円形の深い孔を含む。しかしながら、この孔の形状は、圧子チップをトランスデューサ上に位置調整し永久的に取付けるようにはうまく最適化されていない。チップ−トランスデューサ接触領域が半径0.2mmの円形面にすぎず、チップの適切な位置調整には十分な大きさではないかもしれない。
本願発明の一実施例は、例えば、定量的ナノインデンテーション用マイクロ加工櫛形駆動機構に関する
本願発明の一実施例は、例えば、定量的ナノインデンテーション用マイクロ加工櫛形駆動機構に関する
一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサを採用するナノインデンテーション試験システムのブロック図である。 一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサの3D画像である。 図2のMEMSナノインデンタトランスデューサの分解組立図である。 一実施形態に係る2組の静電作動櫛形を例示する。 一実施形態に係るマイクロ加工された静電アクチュエータ櫛形コンデンサを含む作動コンデンサの顕微鏡画像である。 一実施形態に係る検知コンデンサのための差動静電容量検知方式を例示する。 一実施形態に係るマイクロ加工された櫛形コンデンサを含む検知コンデンサの顕微鏡画像である。 一実施形態に係るばねを例示する図である。 一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサ上に作製された衝突保護器の顕微鏡画像である。 一実施形態に係る共振周波数付近の測定振幅および位相を示すグラフを例示する。 一実施形態に係る有限要素解析から得られる可動プローブの共振周波数でのモード形である。 一実施形態に係る可動プローブ上のマイクロ加工された圧子チップ装着溝の顕微鏡画像である。 一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサの作製工程を全体的に例示するフロー図である。 一実施形態に係るマイクロ加工櫛形駆動機構の顕微鏡画像である。 一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサのための上カバーを例示する。 一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサのための下カバーを例示する。 一実施形態に係るパッケージ化されたMEMSナノインデンタトランスデューサの画像である。 一実施形態に係るポリカーボネート試料に関する荷重−変位曲線および対応する試料画像を例示する。 一実施形態に係る金試料に関する荷重−変位曲線および対応する試料画像を例示する。 一実施形態に係るPMMA試料の走査形状画像を示す。 一実施形態に係る走査領域の弾性率マッピング関連画像を示す。 一実施形態に係る相互作用力を測定する方法を示す。 相互作用力を示す測定データの一例である。 相互作用力を示す測定データの別の例である。
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を成し、また本発明を実施できるであろう特定の実施形態が例示として示される添付図面を参照する。この点に関して、「上」、「下」、「表」、「裏」、「前」、「後」などの方向を示す術語は説明中の図の向きに関して使用される。本発明の実施形態の構成要素は多くの異なる向きに位置付けできるため、方向を示す術語は例示の目的で使用され、決して限定的ではない。他の実施形態が利用されてよく、また本発明の範囲から逸脱することなしに構造的または論理的な変更がなされてよいことが理解されるべきである。以下の詳細な説明は、したがって、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定められる。
本明細書に記載の実施形態によれば、マイクロ加工櫛形駆動機構は、ナノインデンテーション試験を行って材料の表面性質を求めるために設けられる。一実施形態によれば、マイクロ加工櫛形駆動機構は、圧子チップを含む可動プローブの作動のための静電アクチュエータとして構成される作動櫛形と、角回転に加えて2つの直交方向に変位検知を提供するために変位センサとして構成される4つの検知櫛形とを含む。
図1は、本開示に係るMEMSナノインデンタトランスデューサ100を採用するナノ機械試験システム30の一実施形態を全体的に例示するブロック図である。圧子チップ205を含むMEMSナノインデンタトランスデューサ100に加え、システム30は、ナノインデンテーションを介して試験されるべき表面38を有する試験試料36を保持するように構成されるプラットフォーム34と、インタフェース44を介してコンピュータ42と通信するコントローラ40とを含む。試験システム30は少なくとも現場試料試験に適している。
一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は、垂直方向(z次元)および直交水平方向(xおよびy次元)への圧子チップ205の変位と、プラットフォーム34に対する回転移動とを表す容量信号50を検出回路60に提供するように構成される。一実施形態によれば、検出回路60は容量信号50を電圧信号51に変換する。一実施形態によれば、コントローラ40は電圧信号51をデジタル信号に変換し、デジタル信号をインタフェース44を介してコンピュータ42に提供する。一実施形態によれば、これらのデジタル信号に基づいて、アプリケーションモジュール46(例えば、ソフトウェア)はデジタル作動信号をコントローラ40に提供し、それが次いでデジタル作動信号を、マイクロ加工櫛形駆動機構100に提供されて圧子チップ205をプラットフォーム34に対してz軸に沿って所望の距離だけ作動または変位させる作動電圧信号52に変換する。
一実施形態によれば、コントローラ40は、コンピュータ42のアプリケーションモジュール46を介して、プラットフォーム34に対する圧子チップ205の移動を制御し、かつ初期基準点からの圧子チップ205の変位を表す信号をインタフェース44を介してコンピュータ42に提供するように構成される。一実施形態によれば、コントローラ40は作動力を測定し調整するように構成される。
一実施形態によれば、アプリケーションモジュール46は、プロセッサ48によりアクセスおよび実行可能である、メモリシステム47に記憶される命令を備える。メモリシステム47は、RAM、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、およびDVDドライブのような任意の数の種類の揮発性および不揮発性記憶装置を備えてよい。他の実施形態において、アプリケーションモジュール46は、少なくとも本明細書に記載の機能を実行するように構成されるハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェア構成要素の任意の組合せを含んでよい。
一実施形態によれば、ナノ機械試験システム30は更に、試験試料36の表面38の視図を提供する撮像装置70を含む。一実施形態によれば、撮像装置70は、試料36の表面38の画像を提供するように構成される、例えば光学顕微鏡、側面計、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、または原子間力顕微鏡(AFM)のような、試験領域の側面または輪郭を記録または決定可能な器具/装置を含む。
試験装置30に類似し、また本開示に係るマイクロ加工櫛形駆動機構および圧子チップと共に用いるように構成されるのに適したシステムの例が、共に本開示と同一譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,553,486号および5,869,751号により記載されている。本開示に係るマイクロ加工櫛形駆動機構および圧子チップと共に用いるように構成されるのに適した別の試験システムが、Minneapolis、Minnesota、USAのHysitron,Incorporatedから商品名TriboIndenterで市販されている。
図2は、本開示の一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサ100を例示する斜視図である。図2は、以下でより詳細に説明される圧子チップの装着前のMEMSナノインデンタトランスデューサ100を例示することに留意されたい(図1の圧子チップ205参照のこと)。一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は、本体102と、押込み方向116(例えば、図1に関してはz次元)を含み、実質的に変位軸114に沿って、可動プローブ104が変位可能となるように、ばね106、108、110、および112を介して本体102に結合される可動プローブ104とを含む。MEMSナノインデンタトランスデューサ100は更に、作動コンデンサ120と4つの検知コンデンサ130、132、134、および136とを含むマイクロ加工櫛形駆動機構119を含み、コンデンサの各々は以下でより詳細に説明される複数の櫛形コンデンサを備える。
また、以下でより詳細に説明するように、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は更に、4つの衝突保護器160、162、164、および166を含む。一実施形態によれば、図2に例示するように、衝突保護器160および162ならびに衝突保護器164および166は可動プローブ104の両端に近接して位置付けられ、また作動コンデンサ120ならびに検知コンデンサ130、132、134、および136の櫛形コンデンサへの損傷を防止するために可動プローブ104の変位を制限するように構成される。
例示のように、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は長さ(L)、幅(W)、および厚さ(T)を有する。一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は5.7mmの長さ(L)、2.8mmの幅(W)、および0.35mmの厚さ(T)を有する。一実施形態によれば、例えば定量的現場TEMナノ機械試験などの、いくつかのナノインデンテーション用途の空間制限のため、限界寸法は厚さ(T)0.35mmおよび幅(W)2.8mmである。例えばTecnai(登録商標)GTEM形ホルダなどを用いるいくつかの用途では、ナノインデンタを装着するための最大許容厚さ(T)および幅(W)はそれぞれ2mmおよび4mmである。
図3は、一実施形態に係る、圧子チップ205を含む、図1のMEMSナノインデンタトランスデューサ100の分解組立図である。図2の実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の本体102は、金属層201、デバイス層202、酸化物層203、および基板層204の4つの層を含む。金属層201はデバイス層202上に堆積され、電気回路基板(図示せず)と電気的接続をするために採用される。作動コンデンサ120、検知コンデンサ130、132、134、および136、ばね106、108、110、および112、ならびに衝突保護器160、162、164、および166は、デバイス層202上に作製される。可動プローブ104はデバイス、酸化物、および基板層202、203、および204から形成される。
一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハからマイクロ加工される。一実施形態によれば、高い電気伝導率を達成するために、高濃度ホウ素ドープp型シリコンウェハがデバイスおよび基板層に使用された。一実施形態によれば、ウェハの抵抗率は0.005〜0.02オームcmであった。一実施形態によれば、作動コンデンサ120ならびに検知コンデンサ130、132、134、および136は、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)技術を用いて作製される。
一実施形態によれば、以下の図4を参照しつつ、作動コンデンサ120ならびに検知コンデンサ130、132、134、および136の櫛形コンデンサの極板または電極間の重複面積を調節するために、デバイス層202の厚さを調節してよい。例えば、重複面積を増大させるために、デバイス層202の厚さを増加させてよい。しかしながら、デバイス層202の厚さを決定するとき、DRIE能力も考慮しなければならない。
一実施形態によれば、デバイス層202は5μm特徴を含む。一実施形態によれば、5μm特徴と厚さのアスペクト比は10:1である。そのような寸法は、大きな誤差なしでDRIEエッチングできる。一実施形態によれば、作動コンデンサ120ならびに検知コンデンサ130、132、134、および136の作動ならびに検知櫛形コンデンサの極板または電極は、デバイス層202を貫通するように形成される深い溝により電気的に絶縁される。
酸化物層203は、デバイス層202と基板層204を絶縁する。一実施形態によれば、酸化物層203の厚さは、デバイスと基板層との間の寄生容量を、例えば1pf未満の許容レベルに維持することに基づいて決定される。基板層204は、以下でより詳細に説明するように、圧子チップ205を受けるように構成される溝206を形成するように深くエッチングされる。一実施形態によれば、基板層204の厚さは、数十ミクロンのエポキシ層(図示せず)に加えて圧子チップ205を収容するように必要に応じて選択される。一実施形態によれば、圧子チップ205は例えば、ダイヤモンドチップを備える。一実施形態によれば、深い溝206は基板層204上にマイクロ加工される。
以下の図4および5は、より詳細に作動コンデンサ120の実施形態を例示する。図4は、一実施形態に係る、作動コンデンサ120の2組の静電作動櫛形コンデンサ140および142を全体的に例示する図である。作動コンデンサ120は3組以上の作動櫛形コンデンサを含むが(以下図5参照のこと)、例示しやすいように、2組の作動櫛形コンデンサ(即ち、140および142)のみを図4に示す。
静電作動櫛形コンデンサ140および142はそれぞれ、本体102から延びる固定電極櫛歯144および146と、可動プローブ104の横方向の縁から延び、それと共に移動可能な可動電極櫛歯148および150とを含む。一実施形態によれば、固定電極櫛歯144と可動電極櫛歯148との間のギャップ152により例示されるような小さいギャップは、可動電極櫛歯148と固定電極櫛歯146との間のより大きいギャップ154に比べて3倍小さいギャップ距離を有する。一実施形態によれば、固定電極櫛歯144と可動電極櫛歯148が付勢されると、小さい方のギャップ152内の静電力は大きい方のギャップ154内に比べて9倍大きくなり、可動プローブ104を押込み方向116に引く差動力を作成する。
図4では、固定および可動電極櫛歯間の重複幅bが156で例示される。加えて、静電作動コンデンサ142の断面A−Aは、158で例示されるように、固定および可動電極櫛歯146および150間の重複高さhを例示する。
作動櫛形コンデンサ140および142は、作動櫛形コンデンサ140および142が付勢されておらず、MEMSナノインデンタトランスデューサ100が試験試料と係合していない場合のその「ホーム」または「ゼロ」位置に例示されることに留意されたい。その場合、一実施形態によれば、図4により例示されるように、大きいギャップ154は小さいギャップ152に比べて3倍大きいギャップ距離を有する(即ち、可動電極は固定電極間に等距離には配置されない)。
上述のように、可動プローブ104および圧子チップ205を押込み方向116に作動または変位させるために、バイアス電圧が作動コンデンサ120の静電作動櫛形コンデンサに印加されて、固定および可動電極櫛歯144および148間のように、固定および可動電極間に静電力を生成する。静電力は、可動プローブ104をいわゆるホーム位置に維持しようとするばね106、108、110、および112からの対抗力に抗して、可動プローブ104を押込み方向116に変位させる。一実施形態によれば、バイアス電圧が固定電極櫛歯144および146など、固定電極櫛歯に印加される一方、可動電極櫛歯148および150など、対応する可動電極櫛歯は例えば接地など、バイアス電圧に対する固定電圧にある。
作動コンデンサ120は、印加されるバイアス電圧から生じる各組の静電作動櫛形コンデンサ(例えば、図4の静電作動櫛形コンデンサ140および142)の静電容量の変化により発生される静電力を採用する。作動コンデンサ120の静電容量は、固定および可動電極櫛歯間のギャップを変更することにより、または固定および可動電極櫛歯(例えば、図4の固定および可動電極櫛歯144および148)の重複面積を変更することにより、変更できる。ギャップ変更操作に関して、固定および可動電極櫛歯144および148のような2つの電極櫛歯間に発生される静電力は、次式Iにより表せる。
式中、Fはギャップ変更方向への静電力であり、εは誘電率であり、bは電極の重複幅を表し(図4参照のこと)、hは電極の重複高さであり(図4参照のこと)、dは電極間のギャップであり(図4参照のこと)、およびVは印加またはバイアス電圧である。
櫛形駆動アクチュエータは、ギャップ変化に対して大きな静電容量変化をすることにより、より大きな力を発生できるが、ギャップ変更方式で動作する櫛形駆動機構は、電極櫛歯間のギャップが制限されているため、比較的小さい行程範囲を有する。逆に、重複面積変更方式は、行程が電極ギャップにより制限されないので、大きな行程範囲を有してよいが、ギャップ閉鎖作動方式に比べて同等の大きさの力は提供しない。
MEMSベースのナノ機械試験器には、作動能力を有するものがある(参考文献8、9、10参照のこと)ことに留意されたい。いくつかのそのようなMEMS機械試験器(参考文献9および10参照のこと)は作動方式として重複面積変化を使用し、別のもの(参考文献8参照のこと)はギャップ閉鎖方式を使用して力を発生させる。2つの動作方式のうち、ギャップ閉鎖方式はナノインデンテーション用途に適している。これは、そのような用途は大きな行程範囲(例えば、1μm変位)は必要とするのではなく、大きな押込み力(例えば、最大1mN)を必要とするためである。そのため、一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は上述のギャップ閉鎖方式を採用する。
図5は、一実施形態に係る作製されたMEMSナノインデンタトランスデューサ100の部分の顕微鏡画像であり、作動コンデンサ120を例示する。図5の画像では、作動コンデンサ120は48組の静電作動櫛形コンデンサを含み、24組が可動プローブ104の両横側の各々に位置付けられる。ばね106および108、ならびに衝突保護器160および162も図5の画像に現れる。
図6および7は、以下に検知コンデンサ130、132、134、および136の実施形態をより詳細に例示する。図6は、一実施形態に係るマイクロ加工櫛形駆動機構119の検知コンデンサ130、132、134、および136(図2参照のこと)の構成および動作を概略的に例示する図である。既に図4により例示した作動コンデンサ120の静電作動櫛形コンデンサ140および142と同様に、検知コンデンサ130、132、134、および136は各々、複数組の固定および可動電極櫛歯を含む。
例示しやすいように、図6では、検知コンデンサ130、132、134、および136の各々は、各組が本体102に結合される固定電極と可動プローブ104に結合され、それと共に変位可能な可動電極とを有する、3組の櫛形コンデンサのみを有するものとして示される。他の実施形態において、検知コンデンサ130、132、134、および136の各々は、4組以上または2組以下の櫛形コンデンサを含んでよい(以下図7参照のこと)。可動電極180は検知コンデンサl30および132により共有されること、および可動電極182は検知コンデンサ134および136により共有されることに留意されたい。
一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は可動プローブ104の変位を検出し測定するために、差動容量検知方式を採用する。作動コンデンサ120の固定電極櫛歯へのバイアス電圧の印加などで可動プローブ104が変位すると、検知コンデンサ130、132、134、および136の各々の固定電極櫛歯と可動電極櫛歯との間のギャップが変化し、これが次いで検知コンデンサ130、132、134、および136の各々の静電容量を変化させる。
図6での検知コンデンサ130、132、134および138の各々のための全組の櫛形コンデンサの合成静電容量はそれぞれ、C、C、C、およびCと表される。静電容量値C、C、C、およびCは、図1に例示するように、検出回路60に提供される容量信号50を表すことに留意されたい。可動プローブ104が付勢されていない状態で、試験試料と係合していない(即ち、可動プローブが「ホーム」位置にある)場合のこれら静電容量のための既知の基準値に対する静電容量C、C、C、およびCの値の変化に基づいて、押込み方向116(即ち、z軸)および横方向(x軸)への可動電極104の変位、ならびにy軸周りの可動電極104の回転を求めることができる。
押込み方向116への可動電極104の変位は、次式IIにより表される静電容量組合せ比(CCR:Capacitance Combination Ratio)に基づいて求められる。
CCR={(C+C)−(C+C)}/{(C+C)+(C+C)}
可動電極104が押込み方向116に移動されると、和(C+C)は増加する一方で、和(C+C)は減少し、結果的に{(C+C)−(C+C)}は増加する。それ故に、C、C、C、およびCに対する既知の基準値を用いて求められるCCRに対する基準値に対して、CCRの値は、押込み方向116(即ち、z軸)への可動プローブ104の変位に比例する量だけ増加する。
横方向への(即ち、x軸に沿う)可動電極104の変位は、次式IIIにより表される静電容量組合せ比(CCR)に基づいて求められる。
CCR={(C+C)−(C+C)}/{(C+C)+(C+C)}
可動プローブ104が横方向(即ち、x軸)に移動すると、検知コンデンサ130、132、134、および136の可動電極櫛歯は固定電極櫛歯に対して横方向に移動し、和(C+C)は増加する一方で、和(C+C)は固定および可動電極櫛歯の重複面積の変化が原因で減少し、結果的に{(C+C)−(C+C)}は増加する。それ故に、C、C、C、およびCに対する既知の基準値を用いて求められるCCRに対する基準値に対して、CCRの値は、横方向(即ち、x軸)への可動プローブ104の変位に比例する量だけ増加する。
184で示されるy軸周りの可動電極104の回転移動は、次式IVにより表される静電容量組合せ比(CCRR)に基づいて求められる。
CCR={(C+C)−(C+C)}/{(C+C)+(C+C)}
可動プローブ104が時計回り方向に回転すると、和(C+C)は増加する一方で、和(C+C)は回転運動が原因で減少し、結果的に{(C+C)−(C+C)}は増加する。それ故に、C、C、C、およびCに対する既知の基準値を用いて求められるCCRに対する基準値に対して、CCRの値は、可動プローブ104の角回転に比例する量だけ増加する。
2電極容量センサとは異なり、上述の差動容量センサは温度や湿度変動などの環境変化に関係なく、より正確な変位測定を提供する。これは、様々な環境条件でのナノスケール測定用途に差分検知方式を利用するという大きな利点を提供する。
図7は、一実施形態に係る作製されたMEMSナノインデンタトランスデューサの部分の顕微鏡画像であり、検知コンデンサ130、132、134、および136を例示する。図7の画像では、検知コンデンサ130、132、134、および136の各々は、可動プローブ104の横方向の縁に沿って配置される18組の櫛形コンデンサを含む。ばね110および112、ならびに衝突保護器164および166も図7の画像に現れる。
図8は、図2および5のばね106のような、一実施形態に係るばねを全体的に例示する図である。一実施形態によれば、ばね106により例示するように、ばね106、108、110、および112の各々は、押込み方向116(z軸)への変位に対する剛性に比べて、横方向(x軸およびy軸)への変位に対してより大きな剛性を有する。したがって、各ばねは、x軸に沿って横方向に薄く、長いセグメント190を、押込み方向116に厚く、短いセグメント192を有する。そのようなばね設計は、そうでなければ押込み手順中に摩擦により起こり得る、変位軸114からxおよびy方向への可動プローブ104の圧子チップ205の転位を実質的に制限する。そのようなばね特性は、試料表面が押込み方向に対して垂直でない場合は特に、現場TEMナノインデンテーションに重要である。
MEMSナノインデンタトランスデューサ100の静特性が有限要素解析を用いて評価された。ばね106、108、110、および112の応力分布が、押込み方向116への(即ち、z軸に沿う)1μm変位を有する可動プローブ104を用いて評価された。評価によれば、75.2MPaの最大応力が求められ、これは7GPaである単結晶シリコンの降伏強度(参考文献20参照のこと)よりもはるかに小さい。最大応力と降伏強度との間のこのような大きな差は、可動プローブ104の1μm変位が安全であり、ばね106、108、110、および112の塑性変形または永久損傷には至らないであろうことを示す。またこの低応力により、ばね106、108、110、および112は、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の動作範囲内で線形弾性挙動を維持可能となる。
図9は、一実施形態に係る作製されたMEMSナノインデンタトランスデューサの部分の顕微鏡画像であり、衝突保護器166を例示する。上述のように、衝突保護器160、162、164、および166は、そうでなければ誤操作または誤った取扱いが原因の固定および可動電極櫛歯間の接触により起こり得る、電子機器への、ならびに、作動コンデンサ120および検知コンデンサ130、132、134、および136の固定および可動電極櫛歯への損傷を防止する。上述のように、一実施形態によれば、衝突保護器160、162、164、および166はデバイス層202内(図3参照のこと)に作製される。
一実施形態によれば、図9の衝突保護器166により例示するように、ギャップ190は、z軸に沿って(即ち、変位軸114の方向に、図2参照のこと)、本体102と可動プローブ104との間に形成され、ギャップ192はx軸(横方向)に沿って本体102と可動プローブ104との間に形成される。一実施形態によれば、ギャップ190および192は、z軸(押込み方向116へを含む)およびx軸に沿う可動プローブ104の変位を5μmに制限するように、5μmのギャップ距離を有する。この5μm変位制限は、一実施形態によれば10μmである、作動コンデンサ120ならびに検知コンデンサ130、132、134、および136の固定および可動電極櫛歯間のギャップ距離(例えば、図4に示すギャップ152)よりも小さい。加えて、衝突保護器160、162、164、および166の、本体102の対応部分との接触は電気的に致命的ではなく、これは可動プローブ104および上記の本体102の対応部分は同電位(例えば、接地)にあるためである。そのような実施形態に行った試験によれば、衝突保護器160、162、164、および166は正常に機能し、可動プローブ104の大きな変位を行う複数回の「引込み」操作後でも損傷を防止した。
図10は、ロックイン増幅器を用いて測定した、一実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサ100の周波数応答試験により、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の共振周波数付近の測定振幅応答220および測定位相応答222を例示する。図10に示す例では、測定周波数応答の共振周波数は3.55kHzである。この高い共振周波数は、MEMSマイクロインデンタトランスデューサ100の動態の高帯域幅特性を示す。この高帯域幅特性は、ナノインデンタ動作における優れた動特性を提供する。一般に、MEMSトランスデューサの高品質動作は可動プローブの精密な動き制御に基づいている。高帯域幅特性は、開ループ制御システムにおいて動作速度を増加させるのに役立ち、閉ループ制御システムにおいてはトラッキングエラーを減少させる。閉ループ制御性能を改善することは、ナノインデンテーションの間に転位発生を識別し調査するために、ナノインデンテーションデータの急激な不連続変化を識別するにあたり有益である(参考文献21参照のこと)。
加えて、高帯域幅特性は、動的機械分析(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)動作(参考文献22参照のこと)におけるより高い周波数範囲での試料の動特性の調査に有益である。更には、高帯域幅特性は、画質を損なうことなく形状撮像および弾性率マッピング(参考文献23参照のこと)での高速走査速度を可能にする。一実施形態によれば、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は、公知の従来のトランスデューサ(参考文献24参照のこと)と比べて15倍の帯域幅を有し、高帯域幅スキャナと統合されると15倍高速撮像が可能である。
一実施形態によれば、周波数応答から推定される機械的品質係数は320である。高い機械的品質係数と共にそのような低減衰特性は、特に高力感度を必要とする軟質試料に関して、弾性率マッピングで明瞭なコントラストを提供する。一般に、トランスデューサは共振周波数付近で励起されると、試験試料からの反作用に対する振幅減少は機械的品質係数に反比例する。そのため、MEMSナノインデンタトランスデューサ100のような、大きな機械的品質係数を持つトランスデューサは、より高い力感度を有する。
図11は、有限要素解析を行うことから得られる共振周波数でのMEMSナノインデンタトランスデューサ100の可動電極104の第1モード形230を例示する図である。可動プローブ104は押込み方向116に沿って振動し、それにより、そのようなモードは動的機械分析(DMA)試験に採用できることが確認される。
推定第2固有振動数は16kHzであり、第1および第2の固有振動数間に大きな差異がある。このような大きな差異は、動的動作で第1および第2のモードを完全に分離し、振幅および位相応答を利用するDMA試験ではより良い結果を可能にする。このDMA分析は1自由度の仮定に基づいており、その仮定を保持するために、第1のモードからの第2のモードの完全な分離が必要とされる。第2のモードが第1のモードと結合されると、共振付近の周波数応答は1自由度2次系応答と一致せず、DMA試験の誤差に帰着するため、圧子トランスデューサを設計する際には、このことが考慮されなければならない。
図12は、MEMSのナノインデンタトランスデューサ100の部分の顕微鏡画像であり、可動プローブ104の底または裏面を例示し、また基板層204に作製された圧子チップ装着溝206を示す。基板の裏面の深く長い溝206により、MEMSナノインデンタトランスデューサ100に損傷を与えることなく、圧子チップ205などの圧子チップの装着が可能となる。装着溝206の長い細い特性は、圧子チップ205を所望の方向(即ち、押込み方向116)に位置調整するのに役立つ。装着溝206の開口側には、圧子チップ205の装着後にエポキシを塗布できる。一実施形態によれば、圧子チップ205はエポキシを用いて装着溝206に取付けられる。一実施形態によれば、圧子チップ205は導電性エポキシを用いて装着溝206に取付けられる。
圧子チップ205と可動電極104との間の接触領域は、作動コンデンサ120と検知コンデンサ130、132、134、および136を含む、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の他の部分から電気的に絶縁される。そのような電気的絶縁により、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は電気測定および電子顕微鏡現場試験の用途に使用可能になる。ナノインデンテーション中の電気測定は、電気測定変化とナノインデンテーションとの間の相関を提供する。電気的に絶縁される伝導性圧子チップ205はまた、現場電子顕微鏡試験で電子を放電するために使用できる。
電子帯電した圧子チップは大きな引力を引き起こし、衝突接触に至る(参考文献4参照のこと)。蓄積電子によるこの吸引は、その吸引を押込み負荷/除荷曲線に追加することにより測定データを歪ませるため、望ましくない。したがって、電気的に絶縁された伝導チップを接地することにより電子を放電することで、現場電子顕微鏡試験用途向けのMEMSナノインデンタトランスデューサ100の性能が改善される。
図13は、シリコンマイクロ加工技術を用いる、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の作製工程300の一実施形態を全体的に例示する工程フロー図である。工程300は、302から出発物質で始まる。一実施形態によれば、出発物質はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハを備える。一実施形態によれば、上述のように、高い電気伝導率を達成するために、高濃度ホウ素ドープp型シリコンウェハがデバイスおよび基板層202および204に使用された。一実施形態によれば、ウェハの抵抗率は0.005〜0.02オームcmにわたる。
304で、酸化物を基板層204の後面または裏面上に堆積させる。306では、304で堆積された酸化物を、可動プローブ104の所望の形状および寸法を含むパターンを有するマスク(例えば、フォトレジスト)を用いて、反応性イオンエッチング(RIE)などを介して、開放する。
308で、金属をデバイス層202上に堆積させ、続いて310で所望のパターンを有するマスクを形成し、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を介してデバイス層202をエッチングする。312で、基板層204を、その裏面上のパターニングされた酸化物を介してエッチングする(例えば、DRIE)。314では、204で堆積させた酸化物層を除去し、絶縁層203は、既にエッチングされた基板層204を介してエッチングされる。
図14は、作製後の、MEMSナノインデンタトランスデューサ100のような、本実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサの顕微鏡画像である。MEMSナノインデンタトランスデューサ100は汚染されやすい多くの小さな特徴を含む。このような汚染は適切なパッケージングにより防止されてよい。一実施形態によれば、パッケージングの目的で、図14のMEMSナノインデンタトランスデューサ100を囲むように上および下カバーがマイクロ加工される。
図15および16は、上カバー401および下カバー403をそれぞれ例示する顕微鏡画像である。上および下カバー401および403はそれぞれ、可動プローブ104および圧子チップ205を押込み方向116に移動自在に残したまま、MEMSナノインデンタトランスデューサ100に装着されるとそれを受けるように構成される溝402および404を含む。MEMSナノインデンタトランスデューサ100に装着後、上および下カバー401および403は、可動プローブ104ならびに作動および検知コンデンサ120、130、132、134、および136との物理的接触を防止する。一実施形態によれば、上および下カバー401および403は低抵抗率シリコンから作製され、物理的保護に加え、MEMSナノインデンタトランスデューサ100へ電気的遮蔽を提供する。
図17は、MEMSナノインデンタトランスデューサ100を上および下カバー401および403でパッケージングした後のパッケージ化されたMEMSナノインデンタトランスデューサ410の一例の画像である。一実施形態によれば、パッケージ化されたMEMSナノインデンタトランスデューサ410の全体のサイズは、上および下カバー401および403をMEMSナノインデンタトランスデューサ100に接合するために採用されたエポキシ層を含めて、2.8mmX0.98mmX5.7mmと測定される。一実施形態によれば、パッケージ化されたMEMSナノインデンタトランスデューサ410は、ワイヤボンディング技術を用いて、読出し回路に電気的に接続される。全てのボンディング電極は顕微鏡検査することができるので、ワイヤボンディングは電気的相互接続の不確実性を排除する。その結果、ワイヤボンドトランスデューサパッケージ410は優れた電気的インタフェースを示した。
一実施形態において、櫛形駆動ナノインデンタはHysitron,Inc.からのTriboIndenter(登録商標)(参考文献25参照のこと)と統合され、押込みおよび形状マッピングを行った。既存のHysitronコントローラおよびソフトウェアとの優れた互換性のため、この試験は計器変更なしに行うことができた。
図18および19はそれぞれ、撮像装置70(図1参照のこと)を介するなどして、ポリカーボネート試料および金試料への押込み実験から得られた、荷重−変位曲線501および601ならびに対応する圧痕形状画像502および602を例示する。圧子チップ205としてバーコビッチダイヤモンドチップを使用し、両押込み実験に5秒負荷、2秒ピーク力維持、5秒除荷の開ループ台形荷重関数を使用した。押込み中の弾性および塑性変形が明らかに負荷/除荷曲線に示された。負荷/除荷曲線501および601は、本実施形態に係るMEMSナノインデンタトランスデューサ100は高精度力制御および高分解能変位検知を備える押込み能力を有することを示す。
形状画像502および602はMEMSナノインデンタトランスデューサ100の走査能力を示す。画像は、TriboIndenterシステムの最大走査速度である3Hzライン走査速度で撮影された。高速走査で撮影した高品質画像は、MEMSナノインデンタトランスデューサ100の高帯域幅の動的特性に帰するものと思われる。広い帯域幅に加えて、MEMSナノインデンタトランスデューサ100は大きな横剛性(押込み方向に比べて10倍大きい)を有し、横方向摩擦からの悪影響を低減することにより高画質を提供する。
最大ライン走査速度3Hzで走査速度を高めるため、大領域を走査した。図20は、PMMA試料の5μmX5μmおよび40μmX40μm走査の形状画像をそれぞれ例示する画像700および702を含む。2つの隣接する空洞は両走査画像700および702で明瞭である。走査領域の増加は走査速度をも増加させる。高速走査での画質も、MEMSナノインデンタトランスデューサ100など、高帯域幅トランスデューサであれば劣化しない。
弾性率マッピングは、例えば、貯蔵弾性率および損失弾性率のような、特定の領域内の材料の性質を調査するために使用される技術である。一実施形態によれば、弾性率マッピングのために、圧子を特定の周波数で励起し、振幅および位相応答はロックイン増幅器により測定する。弾性率マッピングは制御フィードバックとしてDC力を使用し、指定領域を走査しながら形状、振幅および位相データを記録する。試料の機械的性質は測定された振幅および位相データから推定される。MEMSナノインデンタトランスデューサ100の弾性率マッピング能力は、セラミック繊維試料に動的押込みを行うことにより調査された。
図21は、30μmX30μmの走査領域の弾性率マッピング関連画像を例示する形状画像800、振幅画像802、および位相画像804を含む。この例では、圧子を200Hzで励起し、試料を0.2Hzのライン走査速度でマッピングした。この弾性率マッピング実験のために、10μΝのDCおよびAC力ならびに1ms時定数の動作設定を使用した。形状画像800、振幅画像802、および位相画像804は、マッピング実験中に同時に記録した。振幅および位相画像802および804は、異なる機械的性質を有する2つの異なる材料間に明確なコントラストを示している。この情報とチップ形状を用いてデータを、例えば貯蔵弾性率および損失弾性率などの機械的性質に変換できる。
要約すると、マイクロ加工櫛形駆動機構119を用いたMEMSナノインデンタトランスデューサ100(図2参照のこと)のような、マイクロ加工櫛形駆動機構を採用するマイクロ加工MEMSナノインデンタトランスデューサが記載される。本開示により記載のMEMSナノインデンタトランスデューサは、周囲条件に加え電子顕微鏡でも使用できる。ナノインデンタ、更には現場TEMナノ機械試験器としての全ての要件が設計および作製を通じて考慮され、開発されたMEMSナノインデンタトランスデューサは、物理的寸法、最大力、ばね剛性、力感度、動的帯域幅、行程範囲、および材料制限などの必要な仕様を満たしている。MEMSナノインデンタトランスデューサとHysitronの計器での実験結果は、優れた計器互換性および汎用機械試験能力を示した。押込み、形状走査、および動的試験能力が、反復可能で堅牢なナノインデンタ動作から証明された。MEMSナノインデンタトランスデューサ100は、様々なTEMホルダに物理的な統合もでき、定量的現場TEMナノ機械試験用途を、これまで大きなトランスデューササイズにより妨げられてきた様々なTEMに拡張する。MEMSナノインデンタトランスデューサ100のような、本開示に係るMEMSナノインデンタトランスデューサは、現場機械試験用途のためにSEM(走査型電子顕微鏡)にも統合できることに留意されたい。
これらの用途に加えて、本開示に係るMEMSナノインデンタトランスデューサは、様々な計器への統合により種々の用途に適用できる。例えば、その高帯域幅の動的特性により、MEMSナノインデンタトランスデューサは、高速撮像および高速弾性率マッピングに使用できる。高帯域幅特性は高周波DMA試験能力をも提供する。高い機械的品質係数を持つ低減衰特性により、MEMSナノインデンタトランスデューサが共振周波数付近で動作する場合に、動的応答は試料との相互作用に敏感になり、また、試料表面に損傷を与えることなく形状測定に役立てられる。これは軟質試料の圧痕の測定精度を高めるために特に有利である。
別の可能な用途は、現場電気測定である。チップ用の分離した電極線を使用して押込みを行いながら電気的特性を測定できる。定量的現場機械試験の用途に加え、その小さなサイズを利用することにより、MEMSナノインデンタトランスデューサは、小型マニピュレータなどの各種精密器具と統合でき、狭い空間で機械的性質検査および表面改質を行うことができる。
一実施形態において、本開示に従うトランスデューサを有する試験システムはプローブと試料との間の相互作用力を正確に測定するために使用される。これらの相互作用力は、粘着または相互作用力(例えば、静電、ファンデルワールス、電磁、毛管など)を含む。本出願に従うトランスデューサを用いて相互作用力を測定するのに適切な試験システムは図1に示され、本明細書中に既に記載されている。
相互作用力を測定する方法の一実施形態は図22に500で示される。図1の試験システム30、および図2から21に関連して図示および説明されたトランスデューサに類似のマイクロ電気機械トランスデューサをも参照する。
502で、マイクロ電気機械トランスデューサ100を提供する。一実施形態において、マイクロ電気機械トランスデューサは本体102と、本体102に対して移動可能なプローブ104と、マイクロ加工櫛形駆動機構119を含む。マイクロ加工櫛形駆動機構119はプローブ104上の相互作用力を表すセンサ出力信号を提供するために、差動容量変位センサを含む。504で、プローブ104を試料表面38に対して移動する。506で、プローブ104を試料表面に対して移動しつつ、プローブ104と試料表面38との間の相互作用力を、センサ出力を用いて求める。
一実施形態において、相互作用力は引力または粘着力である。そのような力の非限定例には、静電気力、ファンデルワールス力、電磁力または毛管力が含まれる。
一実施形態において、プローブ104は試料表面38に向かって、その表面に実質的に垂直な方向に移動される。プローブ104は、試料に押込みまたは他の試験を実施する一部として移動されてよい。プローブ104を試料表面38に向かって移動しつつ、試料表面における第1の引力を、マイクロ電気機械トランスデューサ100を用いて求める。図23は、プローブ104が試料に接近するが試料に接触はしない際に存在する引力を示す接近データの一例である。この例では、引力は510で示される0.025μNである。
プローブ104を試料表面から離れる方向に移動しつつ、第2の引力を、差動容量変位センサの出力を用いて求める。図24は、プローブ104が試料から退避され試料と接触しなくなる際に存在する引力を示す退避データの一例である。この例では、引力は520で示される0.025μNである。
一実施形態において、差動容量変位センサは複数の検知コンデンサ(130、132、134、136)を備え、各検知コンデンサは複数の櫛形コンデンサを含み、また各々は、互いに合わさるとプローブ104の位置を表す静電容量レベルを提供するように構成され、検知コンデンサの櫛形コンデンサの各々は、本体に結合される固定電極櫛歯と、プローブに結合される可動電極櫛歯を含む。
一実施形態において、マイクロ電気機械トランスデューサ100は、プローブ104を試料に対して正確に動かすため静電アクチュエータコンデンサ120を更に有するマイクロ加工櫛形駆動機構を含み、試料に力を加えるために使用されてもよい。静電アクチュエータコンデンサ120は、静電アクチュエータコンデンサ120にバイアス電圧が印加されると、試料表面に対して実質的に垂直な方向を含む変位軸に沿ってプローブ104を駆動するように構成される複数の櫛形コンデンサを含む。
コントローラ40は、試料36に対するプローブの104の移動を正確に制御するために使用できる。一実施形態において、コントローラ40は、プローブを移動させるためおよび/または試料に力を加えるために、マイクロ加工櫛形駆動機構静電アクチュエータコンデンサ含めて、マイクロ電気機械トランスデューサ100を正確に制御する、
あるいは、他の装置を使用してプローブ104を試料36に対して移動させてよい。マイクロ機械トランスデューサ100はアクチュエータを含んでよい。アクチュエータは、プローブ104に結合される、作動装置および変位センサを含んでよい。他の実施形態において、トランスデューサ100外部のアクチュエータを使用してプローブを試料に対して移動させる。外部アクチュエータは、作動装置および変位センサを含んでよい。外部アクチュエータの非限定例には、圧電アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータまたはステッピングモータが含まれる。一実施形態において、アクチュエータはプローブに結合される。別の実施形態において、アクチュエータはプローブには結合されずに、試料ホルダに結合されてよい。
本明細書において特定の実施形態を例示し説明してきたが、様々な代替および/または等価の実装を本発明の範囲から逸脱することなく、図示し説明した特定の実施形態の代わりに使用してよいことは、当業者によって理解されるであろう。例えば、トランスデューサまたは外部アクチュエータは、プローブに直接ではなく、試料ホルダに結合してよい。本出願は、本明細書で論じた特定の実施形態の任意の応用または変形を網羅することを意図している。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定されるものある。

Claims (23)

  1. 本体と、
    前記本体に対して移動可能なプローブと、
    前記プローブ上の相互作用力を表すセンサ出力信号を提供する、ギャップ変更型の差動容量変位センサを含むマイクロ加工櫛形駆動機構と、を備える
    マイクロ電気機械トランスデューサを提供するステップであって、前記差動容量変位センサが、複数の検知コンデンサを含み、各々の検知コンデンサが、複数の櫛形コンデンサを備え、各々は、互いに合わさると(which, together)前記プローブの位置を表す静電容量レベルを提供するように構成され、前記検知コンデンサの前記櫛形コンデンサの各々が、前記本体に結合される固定電極櫛歯(fixed electrode comb)と、前記プローブに結合される可動電極櫛歯とを含み、前記相互作用力が、引力又は粘着力であるものと、
    前記プローブを試料表面に対して移動させるステップと、
    前記試料表面接触せずに前記プローブを前記試料表面に対して移動しつつ、前記プローブと前記試料表面との間の相互作用力を、前記センサ出力を用いて求めるステップと、
    を備え、
    前記プローブが、電気的に絶縁される圧子チップを備える、
    相互作用力を測定する方法。
  2. 前記相互作用力が、静電力、ファンデルワールス力、電磁力、毛管力のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プローブを前記試料表面に向かって、前記試料表面に垂直な方向に移動させるステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面に向かって移動しつつ、前記試料表面における第1の相互作用力を決定するステップと、
    を更に備える、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1の相互作用力が決定された後に、前記プローブを前記試料表面に接触させるステップと、
    前記試料表面に押込みを実行するステップと、
    を更に備える、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の相互作用力が決定された後に、前記プローブを前記試料表面から離れる方向に移動させるステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面から離れる方向に移動しつつ、第2の相互作用力を決定するステップと、
    を備える、請求項4に記載の方法。
  6. 前記プローブを前記試料表面に対して移動させるステップが、
    相互作用力を決定する前に、前記試料表面に前記プローブを接触させるステップを備え、
    更に、
    前記プローブを前記試料表面から離して移動させるステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面から離れる方向に移動しつつ、相互作用力を決定するステップと、
    を更に備える、請求項1に記載の方法。
  7. 前記試料表面に前記プローブを接触させるステップが、前記表面に垂直に力を加えるステップを更に備える、請求項6に記載の方法。
  8. 本体と、
    前記本体に対して移動可能なプローブと、
    マイクロ加工櫛形駆動機構と、
    を備えるマイクロ電気機械トランスデューサを提供するステップであって、前記マイクロ加工櫛形駆動機構が、
    相互作用力を決定する前に、プローブを移動させ、試料に力を加えるための静電アクチュエータコンデンサと、
    前記プローブでの界面相互作用力を表すセンサ出力信号を提供するためのギャップ変更型の差動容量変位センサであって、当該相互作用力が、引力又は粘着力であるものと、
    を備えるものと、
    前記プローブを試料表面に対して移動させるステップと、
    前記試料表面接触せずに前記プローブを前記試料表面に対して移動しつつ、前記プローブと前記試料表面との間の相互作用力を、前記センサ出力を用いて求めるステップと、
    を備え
    前記プローブが、電気的に絶縁される圧子チップを備える、
    相互作用力を測定する方法。
  9. 前記相互作用力が、静電力、ファンデルワールス力、電磁力、毛管力のうちの1つである、請求項に記載の方法。
  10. 前記プローブを前記試料表面に向かって、前記試料表面に垂直な方向に移動させるステップと、
    を更に備える、請求項に記載の方法。
  11. 前記試料での第1の引力を決定する前に、前記試料表面に押込みを実行するステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面に向かって移動しつつ、前記試料での第1の引力を決定するステップと、
    を更に備える、請求項10に記載の方法。
  12. 前記プローブを前記試料表面から離れる方向に移動させるステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面から離れる方向に移動しつつ、第2の引力を決定するステップと、
    を備える、請求項11に記載の方法。
  13. 前記プローブを前記試料表面に対して移動させるステップが、
    相互作用力を決定する前に、前記試料表面に前記プローブを接触させるステップと、
    前記プローブを前記試料表面から離して移動させるステップと、
    前記プローブを、前記試料表面接触せずに前記試料表面から離れる方向に移動しつつ、相互作用力を決定するステップと、
    を更に備える、請求項8に記載の方法。
  14. 前記試料表面に前記プローブを接触させるステップが、前記表面に垂直に力を加えるステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
  15. 前記静電アクチュエータコンデンサが、前記アクチュエータコンデンサへのバイアス電圧の印加に応じて、試料表面に実質的に垂直な方向を含む変位軸に沿って前記プローブを駆動する、複数の櫛形コンデンサを備える、請求項に記載の方法。
  16. 材料試料を試験する方法であって、
    マイクロ電気機械ナノインデンタトランスデューサを使用するステップであって、前記マイクロ電気機械ナノインデンタトランスデューサが、
    本体と、
    前記本体に対して移動可能なチップを有するプローブと、
    マイクロ加工櫛形駆動機構と、
    を備え、
    前記マイクロ加工櫛形駆動機構が、
    前記アクチュエータコンデンサにバイアス電圧が印加されると、変位軸に沿って、前記チップと共に前記プローブを駆動する複数の櫛形コンデンサを備え、静電アクチュエータコンデンサと、
    前記プローブ上の界面粘着力を表すセンサ出力信号を提供する、ギャップ変更型の差動容量センサであって、前記センサが複数の検知コンデンサを含み、各検知コンデンサが複数の櫛形コンデンサを備え、また各々は、互いに合わさると前記プローブの位置を表す静電容量レベルを提供するように構成され、前記アクチュエータコンデンサおよび前記検知コンデンサの前記櫛形コンデンサの各々が、前記本体に結合される固定電極櫛歯と、前記プローブに結合される可動電極櫛歯とを含む、差動容量センサと、
    を備えるものと、
    前記アクチュエータコンデンサにバイアス電圧を印加して、試料表面に対して前記プローブを移動させるステップと、
    前記センサ出力を用いて、前記プローブと前記試料表面の間の界面粘着力を決定するステップであって、
    前記界面粘着力が、引力又は粘着力であるものと、
    を含み、
    前記プローブが、電気的に絶縁される圧子チップを備える、
    方法。
  17. 前記プローブが前記試料表面に向かって移動する際の、前記試料表面での第1の界面粘着力を決定するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記プローブを、前記試料表面から離れる方向に移動させるステップと、
    前記プローブが、前記試料表面から離れる方向に移動する際に、前記試料での第2の界面粘着力を決定するステップと、
    を含む、請求項16に記載の方法。
  19. 本体と、
    前記本体に対して移動可能なプローブと、
    前記プローブ上の相互作用力を表すセンサ出力信号を提供する、ギャップ変更型の差動容量変位センサを含むマイクロ加工櫛形駆動機構と、
    試料表面に対して前記プローブを移動させるアクチュエータと、
    を備える
    マイクロ電気機械トランスデューサを提供するステップと、
    前記プローブを試料表面に対して移動させるステップと、
    前記試料表面に接触せずに前記プローブを前記試料表面に対して移動しつつ、前記プローブと前記試料表面との間の相互作用力を、前記センサ出力を用いて求めるステップと、
    を備え、
    前記プローブが、電気的に絶縁される圧子チップを備える、
    相互作用力を測定する方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記アクチュエータが、作動装置及び変位センサを備える方法。
  21. 本体と、
    前記本体に対して移動可能なプローブと、
    前記プローブ上の相互作用力を表すセンサ出力信号を提供する差動容量変位センサを含むマイクロ加工櫛形駆動機構と、
    を備える
    マイクロ電気機械トランスデューサを提供するステップと、
    前記プローブを移動させるアクチュエータを提供するステップと、
    前記プローブを試料表面に対して移動させるステップと、
    前記試料表面接触せずに前記プローブを前記試料表面に対して移動しつつ、前記プローブと前記試料表面との間の相互作用力を、前記センサ出力を用いて求めるステップであって、前記相互作用力が、表面引力又は粘着力を含むものと、
    を備え
    前記プローブが、電気的に絶縁される圧子チップを備える、
    相互作用力を測定する方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記アクチュエータが、作動装置及び変位センサを備える方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、
    前記作動装置が、
    圧電アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、又は、ステッピングモータならなるグループのうちの1つを備える方法。
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