以下、本発明の実施の形態について車両としてトラクター等の農業用作業車両を例にとって添付図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る車両盗難防止システム500の全体構成を概略的に示す模式図である。
図1に示すように、車両盗難防止システム500は、互いに通信する通信装置110(1)〜110(n)をそれぞれ有する複数の車両100(1)〜100(n)を備えている。ここで、nは、2以上の整数である。
以下、複数の車両100(1)〜100(n)のうち、主体とする車両を当該車両100(i)とし、主体とする当該車両100(i)以外の車両を対象車両100(j)として説明することがある。なお、当該車両に対応するiは、1からnまでの何れかの1つの値であり、対象車両に対応するjは、iを除いた1からnまで値である。
複数の車両100(1)〜100(n)において、当該車両100(i)は、対象車両100(j)における他の通信装置110(j)と通信(具体的には無線通信)を行う通信装置110(i)を有し、通信装置110(i)の他の通信装置110(j)との通信の有無により車両盗難を防止するようになっている。すなわち、複数の車両100(1)〜100(n)は、通信装置110(1)〜110(n)が相互に通信(具体的には無線通信)することにより、車両間の通信ネットワークを構成しており、相互通信の有無により互いに車両盗難を防止する構成とされている。
具体的には、n=3とした場合、i=1,j=2,3とすると、当該車両100(1)は、対象車両100(2),100(3)における他の通信装置110(2),110(3)と通信を行う通信装置110(1)を有し、通信装置110(1)の他の通信装置110(2),110(3)との通信の有無により車両盗難を防止する。同様に、i=2,j=1,3とすると、当該車両100(2)は、対象車両100(1),100(3)における他の通信装置110(1),110(3)と通信を行う通信装置110(2)を有し、通信装置110(2)の他の通信装置110(1),110(3)との通信の有無により車両盗難を防止する。また、i=3,j=1,2とすると、当該車両100(3)は、対象車両100(1),100(2)における他の通信装置110(1),110(2)と通信を行う通信装置110(3)を有し、通信装置110(3)の他の通信装置110(1),110(2)との通信の有無により車両盗難を防止する。
複数の車両100(1)〜100(n)は、通信装置110(1)〜110(n)に加えて、車両全体の制御を司る制御装置120(1)〜120(n)と、ホーンやヘッドライト等の警報装置130(1)〜130(n)(警報手段の一例)と、制御装置120(1)〜120(n)に電力を供給するに電力を供給するバッテリー140(1)〜140(n)とを備えている。
図2は、第1実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御構成を示すシステムブロック図である。なお、複数の車両100(1)〜100(n)の制御構成は、何れも実質的に同じ構成とされているため、図2では、1つの図で示している。このことは、後述する図5および図14についても同様である。
図2に示すように、通信装置110(1)〜110(n)および警報装置130(1)〜130(n)は、制御装置120(1)〜120(n)に電気的に接続されており、制御装置120(1)〜120(n)の指示の下に通電されてバッテリー140(1)〜140(n)からの電力が供給されるようになっている。
制御装置120(1)〜120(n)は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理装置121と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む記憶装置122と、時計機能を備えたタイマー装置123とを有している。制御装置120(1)〜120(n)は、処理装置121が記憶装置122のROMに予め格納された制御プログラムを記憶装置122のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。制御装置120(1)〜120(n)は、通常モードに対して消費電力を低減させる省電力モード(スリープモード)を有している。
記憶装置122には、当該車両100(i)の予め設定した固有の識別番号(数字のみだけでなく、記号のみ或いは番号と記号とを組み合わせものを含む。)と、対象車両100(j)の識別番号とが予め格納されている。当該車両100(i)の識別番号は、この例では、当該車両100(i)の添え字「i」に対応した識別番号「i」とされている。具体的には、n=3とした場合、i=1とすると当該車両100(1)の識別番号は「1」、i=2とすると当該車両100(2)の識別番号は「2」、i=3とすると当該車両100(3)の識別番号は「3」とされる。対象車両100(j)の識別番号は、この例では、対象車両100(j)の添え字に対応した「j」とされている。具体的には、n=3とした場合、i=1,j=2,3とすると当該車両100(1)では対象車両100(2),100(3)の識別番号は「2」,「3」、i=2,j=1,3とすると当該車両100(2)では対象車両100(1),100(3)の識別番号は「1」,「3」、i=3,j=1,2とすると当該車両100(3)では対象車両100(1),100(2)の識別番号は「1」,「2」とされる。
なお、制御装置120(i)は、当該車両100(i)の番号を予め格納するようにしてもよいが、設定変更可能とするようにしてもよい。
通信装置110(1)〜110(n)は、複数の車両100(1)〜100(n)間で相互に通信を行う通信部111を有している。
図3は、第1実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の通信状態を示すタイムチャートである。
複数の車両100(1)〜100(n)において、当該車両100(i)は、対象車両100(j)における他の通信装置110(j)と対象車両100(j)の存在確認の通信を定期的(具体的には所定期間Tb毎)に行って対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)(図1参照)に存在すること(具体的には対象車両100(j)から送信されてくる対象車両100(j)の記憶装置122における識別番号「j」)を認識するようになっている。この例では、当該車両100(i)は、所定回数だけ存在確認の通信をリトライして、一度でも対象車両100(j)と通信が確立すれば、対象車両100(j)の存在を確認することができるようになっている。すなわち、当該車両100(i)は、図3中のtbの接続試行の所定時間、対象車両100(j)との接続試行を繰り返す。当該車両100(i)は、接続が確立できた対象車両100(j)とは、存在確認済みとして,他の対象車両100(j)との接続試行を繰り返す。そして、当該車両100(i)は、直近の(具体的には直近の所定期間Tb)の対象車両100(j)との存在確認の通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときに対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)に存在しないと認識して当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動するようになっている。すなわち、複数の車両100(1)〜100(n)は、定期的(具体的には所定期間Tb毎)に相互に通信を行って通信相手の車両が所定範囲Ar(1)〜100(n)に存在するか否かを相互に監視し、直近の通信相手の車両との通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときに通信相手の車両が所定範囲に存在しないと認識して警報装置130(1)〜130(n)を駆動する構成とされている。
具体的には、n=3とした場合、i=1,j=2,3とすると、当該車両100(1)における制御装置120(1)は、通信装置110(1)により対象車両100(2),100(3)における他の通信装置110(2),110(3)と所定期間Tb毎に存在確認の通信(接続要求)を行う。対象車両100(2),100(3)における制御装置120(2),120(3)は、当該車両100(1)からの存在確認の通信(接続要求)に対する応答として記憶装置122における識別番号「2」,「3」を当該車両100(1)に送信する。当該車両100(1)における制御装置120(1)は、対象車両100(2),100(3)が所定範囲Ar(1)に存在することを認識する。具体的には、制御装置120(1)は、所定範囲Ar(1)における対象車両100(2),100(3)からの応答として識別番号「2」,「3」を受信し、所定範囲Ar(1)に存在する対象車両が対象車両100(2),100(3)であることを認識する。そして、制御装置120(1)は、直近の所定期間Tbの対象車両100(2),100(3)との存在確認の通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときに対象車両100(2),100(3)が所定範囲Ar(1)に存在しないと認識して当該車両100(1)においてホーンやヘッドライト等の警報装置130(1)を駆動する。
同様に、i=2,j=1,3とすると、当該車両100(2)における制御装置120(2)は、通信装置110(2)により対象車両100(1),100(3)における他の通信装置110(1),110(3)と所定期間Tb毎に存在確認の通信(接続要求)を行う。対象車両100(1),100(3)における制御装置120(1),120(3)は、当該車両100(2)からの存在確認の通信(接続要求)に対する応答として記憶装置122における識別番号「1」,「3」を当該車両100(2)に送信する。当該車両100(2)における制御装置120(2)は、対象車両100(1),100(3)が所定範囲Ar(2)に存在することを認識する。具体的には、制御装置120(2)は、所定範囲Ar(2)における対象車両100(1),100(3)からの応答として識別番号「1」,「3」を受信し、所定範囲Ar(2)に存在する対象車両が対象車両100(1),100(3)であることを認識する。そして、制御装置120(2)は、直近の所定期間Tbの対象車両100(1),100(3)との存在確認の通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときに対象車両100(1),100(3)が所定範囲Ar(2)に存在しないと認識して当該車両100(2)においてホーンやヘッドライト等の警報装置130(2)を駆動する。
また、i=3,j=1,2とすると、当該車両100(3)における制御装置120(3)は、通信装置110(3)により対象車両100(1),100(2)における他の通信装置110(1),110(2)と所定期間Tb毎に存在確認の通信(接続要求)を行う。対象車両100(1),100(2)における制御装置120(1),120(2)は、当該車両100(3)からの存在確認の通信(接続要求)に対する応答として記憶装置122における識別番号「1」,「2」を当該車両100(3)に送信する。当該車両100(3)における制御装置120(3)は、対象車両100(1),100(2)が所定範囲Ar(3)に存在することを認識する。具体的には、制御装置120(3)は、所定範囲Ar(3)における対象車両100(1),100(2)からの応答として識別番号「1」,「2」を受信し、所定範囲Ar(3)に存在する対象車両が対象車両100(1),100(2)であることを認識する。そして、制御装置120(3)は、直近の所定期間Tbの対象車両100(1),100(2)との存在確認の通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときに対象車両100(1),100(2)が所定範囲Ar(3)に存在しないと認識して当該車両100(3)においてホーンやヘッドライト等の警報装置130(3)を駆動する。
ここでは、n=3の場合を説明したが、n=2または4以上の場合でも同様に説明することができる。
ここで、接続試行の所定時間tbとしては、通信の所定時間taと等しいか或いは所定時間taよりも大きい値であって、車両を不正に移動させる不正移動者が複数の車両100(1)〜100(n)の何れかを不正に移動させる際に要すると想定される時間T(Ta+Tb)(例えば5分程度)よりも短い時間(例えば1分程度)を例示できる。
なお、複数の車両100(1)〜100(n)において、当該車両100(i)は、対象車両100(j)における他の通信装置110(j)と対象車両100(j)の存在確認の通信を所定時間ta毎に行ってもよい。
また、制御装置120(1)〜120(n)により警報装置130(1)〜130(n)を駆動する態様としては、それには限定されないが、ホーンの鳴動と停止を繰り返する態様、或いは/さらに、ヘッドライトの点灯と消灯を繰り返する態様を例示できる。また、後述する第4実施形態および第5実施形態のように、遠隔監視センター600における遠隔サーバ400との通信手段を有している車両盗難防止システム500の場合には、制御装置120(1)〜120(n)により警報装置130(1)〜130(n)を駆動する際に、遠隔監視センター600へ通報するようにしてもよい。
以上説明した第1実施形態では、当該車両100(i)において、対象車両100(j)における他の通信装置110(j)と存在確認の通信を定期的(具体的には所定期間Tb毎)に行い、所定時間tb内に対象車両100(j)と存在確認の通信があるときには、対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)に存在することを認識する。一方、直近の(具体的には直近の所定期間Tb)の対象車両100(j)との存在確認の通信が正規の通信離脱の手順を経ることなく所定時間tbを超えて途絶えたときには、対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)に存在しないことを認識する。そして、対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)に存在しないことを認識した当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動し、警報装置130(i)による警報動作を行う。
このように、第1実施形態によれば、不正に移動される側の車両(対象車両100(j))と存在確認の通信を行っていて不正に移動される側の車両(対象車両100(j)の少なくとも1台)が所定範囲(所定範囲Ar(i))に存在しないことを認識した車両(当該車両100(i))が警報動作を行うので、たとえ不正移動者により不正に移動される側の車両(対象車両100(j))におけるバッテリー(この例ではバッテリー140(j))の電線を切断する等の電装系(この例では制御装置120(j))への電力供給が予め遮断された場合であっても、車両(対象車両100(j)の少なくとも1台)の盗難が発生していることを周囲に報知することができ、これにより、不正移動者に対して心理的に威嚇することができる。
また、第1実施形態では、当該車両100(i)が正規に移動する場合において、正規の通信離脱の手順を経ているときには、定期的な(具体的には所定期間Tb毎の)対象車両100(j)との存在確認の通信が所定時間tbを超えて途絶えたとしても、当該車両100(i)において警報を駆動しない構成とされている。
このように、第1実施形態では、正規の通信離脱の手順を経ているときには、定期的な(具体的には所定期間Tb毎の)対象車両100(j)との存在確認の通信が所定時間tbを超えて途絶えたとしても、当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動しないことで、当該車両100(i)が正規に移動する場合に、事前に正規の通信離脱の手順を行うことにより、警報装置130(i)による警報動作の誤動作を効果的に防止することができる。
ところで、当該車両100(i)において、所定範囲Ar(i)で対象車両100(j)の有無を認識する場合には、対象車両100(j)の位置を検出するための構成が必要となり、それだけ、制御構成が複雑化する。
この点、第1実施形態では、当該車両100(i)において、対象車両100(j)と行う通信は、短距離無線通信とされている。すなわち、複数の通信装置110(1)〜110(n)は、複数の車両100(1)〜100(n)間で相互に短距離無線通信を行う構成とされている。
このように、第1実施形態では、当該車両100(i)において、対象車両100(j)と行う通信は、短距離無線通信とされていることで、所定範囲Ar(i)を短距離無線通信の対象車両100(j)との通信可能範囲とすることができ、すなわち、対象車両100(j)の有無を認識する所定範囲Arを通信可能範囲とすることができ、これにより、対象車両100(j)の位置を検出するための構成を省略することができ、それだけ、制御構成を簡素化することができる。
ここで、短距離無線通信としては、数メートルから100メートル程度の短距離で通信を行う無線通信を例示でき、例えば、数十メートル〜100メートル程度の短距離で通信を行う無線LAN(Local Area Network)通信や、数メートル〜数十メートル程度の短距離で通信を行う無線PAN(Personal Area Network)通信を挙げることができる。
無線LAN通信としては、例えば、WiFi(登録商標)規格に代表されるIEEE802.11規格の無線LAN通信を挙げることができる。無線PAN通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に代表されるIEEE802.15規格の無線PAN通信を挙げることができる。
通信装置110(1)〜110(n)における通信部111は、相互の短距離無線通信を利用してデータの送受信を行うものであり、この例では、IEEE802.11規格の無線LAN通信を行うようになっている。
ところで、当該車両100(i)において、対象車両100(j)との通信を常時行う場合には、通信装置110(1)〜110(n)を常時通電しておく必要があり、それだけ、通信装置110(1)〜110(n)の電力消費が大きくなる。
この点、第1実施形態では、当該車両100(i)において、対象車両100(j)と同期して定期的(具体的には所定期間Tb毎)に(図3参照)通信装置110(i)を通電するようになっている。すなわち、複数の車両100(1)〜100(n)は、制御装置120(1)〜120(n)におけるタイマー装置123により相互に同期して定期的(具体的には所定期間Tb毎)に通信装置110(1)〜110(n)を通電する構成とされている。この例では、制御装置120(1)〜120(n)は、非通電状態のときに省電力モード(スリープモード)になる。図3において、符号Taのタイミングは、通信装置110(1)〜110(n)に通電する通電タイミングを示し、符号Tbのタイミングは、通信装置110(1)〜110(n)に通電しない非通電タイミングを示している。この例では、非通電状態になる前に、Tbの期間を通信装置110(1)〜110(n)間で互いに予め通信で共有し合って、非通電状態に入る。これにより、通電状態のときに、複数車両100(1)〜100(n)の間で同期をとることができる。
このように、第1実施形態では、当該車両100(i)において、対象車両100(j)と同期して定期的(具体的には所定期間Tb毎)に通信装置110(i)を通電することで、非通電タイミングTbでは通信装置110(i)へ通電しないため、通信装置110(i)への通電が通電タイミングTaだけで済み、それだけ、通信装置110(i)の電力消費を抑制することができる。
また、第1実施形態では、正規の通信離脱の手順は、所定の機器を介してセキュリティロックを解除して対象車両100(j)との存在確認の通信を停止することとされている。すなわち、複数の車両100(1)〜100(n)は、正規の通信離脱の手順として、所定の機器を介してセキュリティロックを解除して通信相手の車両との存在確認の通信を停止する構成とされている。なお、当該車両100(i)が対象車両100(j)との存在確認の通信を停止したときに、対象車両100(j)が通信を停止するようにしてもよい。
ここで、「所定の機器を介してセキュリティロックを解除する」態様としては、代表的には、正規のユーザーのイグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源をオンする態様を例示できる。その他の態様としては、正規のユーザーのIDおよびパスワートの組み合わせや正規のユーザーの生体認証等の所定の認証情報を認証する認証機器を用いて所定の認証情報を入力する態様を例示できる。
このように、第1実施形態では、当該車両100(i)において、正規の通信離脱の手順は、所定の機器を介してセキュリティロックを解除して対象車両100(j)との存在確認の通信を停止することとされていることで、所定の機器を用いるといった簡単な構成で当該車両100(i)が正規に移動する場合での警報装置130(i)による警告動作の誤作動を確実に防止することができる。
図4は、第1実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御装置120(1)〜120(n)による制御動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示す第1実施形態のフローチャートでは、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、先ず、正規のユーザーにより、正規の通信離脱の手順として、所定の機器を介してセキュリティロックが解除されたか(具体的にはイグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源がオンされたか、もしくは、正規のユーザーのIDおよびパスワートの組み合わせや正規のユーザーの生体認証等の所定の認証情報を認証する認証機器を用いて所定の認証情報を入力したか)否かを判断し(ステップS1)、セキュリティロックが解除されていない場合には(ステップS1:No)、ステップS2へ移行する。
次に、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS2において、通信装置110(i)への通電タイミングTaであるか否か(通常モードのタイミングか否か、すなわち省電力モードになってから所定期間Tbが経過したか否か)を判断し、通信装置110(i)への通電タイミングTaである場合(通常モードのタイミングである場合、すなわち省電力モードになってから所定期間Tbが経過した場合)には(ステップS2:Yes)、通信装置110(i)を通電し(通常モードに移行し)(ステップS3)、ステップS5へ移行する一方、通信装置110(i)への通電タイミングTaでない場合、すなわち非通電タイミングTbである場合(省電力モードのタイミングの場合、すなわち省電力モードになってから非通電タイミングTbが経過していない場合)には(ステップS2:No)、通信装置110(i)を通電することなく(省電力モードに移行し)(ステップS4)、ステップS1へ移行する。
次に、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS5において、通信時期にあるか否かを判断し、通信時期にない場合には(ステップS5:No)、ステップS1へ移行する一方、通信時期にある場合には(ステップS5:Yes)、対象車両100(j)に対して接続要求を行い(ステップS6)、ステップS7に移行する。
次に、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS7において、所定時間tbが経過したか否かを判断し、所定時間tbが経過していない場合には(ステップS7:No)、ステップS1へ移行する一方、所定時間tbが経過した場合には(ステップS7:Yes)、ステップS8へ移行する。
次に、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS8において、全ての対象車両100(j)から応答があったか否か(具体的には対象車両100(j)から応答した識別番号「j」と記憶装置122における全ての対象車両100(j)の識別番号「j」とが一致したか否か)を判断し、全ての対象車両100(j)から応答があった場合には(ステップS8:Yes)、全ての対象車両100(j)が所定範囲Ar(i)に存在すると認識し、非通電タイミングTbの時間を各車両間で共有し(ステップS9)、省電力モードへ移行して通信装置110(i)を非通電とし(ステップS10)、処理動作を終了する一方、全ての対象車両100(j)のうち1台でも応答がなかった場合には(ステップS8:No)、対象車両100(j)の少なくとも1台が所定範囲Ar(i)に存在していないと認識し、当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動し(ステップS11)、処理動作を終了する。
一方、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS1において、セキュリティロックが解除された場合には(ステップS1:Yes)、対象車両100(j)との存在確認の通信を停止し(ステップS12)、処理動作を終了する。
<第2実施形態から第5実施形態>
ところで、対象車両100(j)が正規に移動する場合には、このままでは、当該車両100(j)は、対象車両100(j)が所定範囲Arに存在しないと誤認識してしまい、ひいては、当該車両100(i)において警報装置130(i)による警報動作を誤作動してしまうことになる。
そこで、第2実施形態から第5実施形態では、当該車両100(i)は、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、通信対象を示す車両一覧表150(後述する図5、図9、図10、図13および図15参照)を参照し、当該車両100(i)において、車両一覧表150に存在する対象車両100(k)における他の通信装置110(k)と対象車両(j)の存在確認の通信を定期的(具体的には所定期間Tb毎)に行う。なお、kは、対象車両(j)のうち車両一覧表150に存在している対象車両の識別番号に対応する整数である。そして、当該車両100(i)において、正規の通信離脱の手順は、所定の機器を介してセキュリティロックを解除して(例えばイグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源をオンして)通信対象を示す車両一覧表150から正規の移動対象の対象車両を外すことを含んでいる。すなわち、複数の車両100(1)〜100(n)は、通信相手の車両との存在確認の通信時には、通信対象を示す車両一覧表150を参照し、車両一覧表150に存在する通信相手の車両と定期的(具体的には所定期間Tb毎)に相互に存在確認の通信を行い、正規の通信離脱の手順として、所定の機器を介してセキュリティロックを解除して(例えばイグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源をオンして)通信対象を示す車両一覧表150から正規の移動対象の対象車両を外すことが可能な構成とされている。
このように、第2実施形態から第5実施形態では、当該車両100(i)は、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、通信対象を示す車両一覧表150を参照し、当該車両100(i)において、車両一覧表150に存在する対象車両100(k)における他の通信装置110(k)と対象車両100(j)の存在確認の通信を定期的(具体的には所定期間Tb毎)に行い、正規の通信離脱の手順は、所定の機器を介して前記セキュリティロックを解除して(例えばイグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源をオンして)通信対象を示す車両一覧表150から正規の移動対象の対象車両を外すことを含むことで、車両一覧表150において外された正規の移動対象の対象車両と存在確認の通信を行わないようにすることができ、これにより、対象車両100(j)が正規に移動する場合での当該車両100(i)における警報装置130(i)による警告動作の誤作動を効果的に防止することができる。
ここで、通信対象を示す車両一覧表150は、当該車両100(i)毎に個別に用意された対象車両100(j)の通信対象を示す車両一覧表であってもよいし、当該車両100(i)および対象車両100(j)の車両全体の通信対象を示す単一の車両一覧表であってもよい。すなわち、通信対象を示す車両一覧表150は、複数の車両100(1)〜100(n)毎にそれぞれ用意された通信相手の車両の通信対象を示す車両一覧表であってもよいし、複数の車両100(1)〜100(n)全体の通信対象を示す単一の車両一覧表であってもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態では、通信対象を示す車両一覧表150は、当該車両100(i)毎に個別に用意された対象車両100(j)の通信対象を示す車両一覧表151(i)であり、車両一覧表151(i)は、当該車両100(i)毎に個別に備えられ、記憶されている。この例では、車両一覧表151(i)は、当該車両100(i)毎の記憶装置122に記憶されている。当該車両100(i)において、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、当該車両100(i)における車両一覧表151(i)を参照するようになっている。すなわち、通信対象を示す車両一覧表150は、通信相手の車両の通信対象を示す車両一覧表151(1)〜151(n)とされている。車両一覧表151(1)〜151(n)は、複数の車両100(1)〜100(n)(具体的には記憶装置122)にそれぞれ記憶されている。複数の車両100(1)〜100(n)は、通信相手の車両との存在確認の通信時には、自身(この例では記憶装置122)の車両一覧表151(1)〜151(n)を参照する構成とされている。
図5は、第2実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御構成を示すシステムブロック図である。
また、図6および図7は、第2実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の通信状態を模式的に示す説明図である。図6は、複数の車両100(1)〜100(n)が何れも移動しない場合を示しており、図7は、複数の車両100(1)〜100(n)の何れか1台が正規に移動する場合を示している。なお、図6および図7に示す例では、説明を簡単にするために、n=3としている。また、図7に示す例では、当該車両100(3)が正規に移動する車両としている。
図6に示すように、3台の車両100(1)〜100(3)が何れも正規に移動しない場合には、3台の車両100(1)〜100(3)における車両一覧表151(1)〜151(3)には、何れも識別番号「1」,「2」,「3」の全てのフラグがオンされている。すなわち、当該車両100(1)は、車両一覧表151(1)に存在する対象車両100(2)および対象車両100(3)との存在確認の通信を行うようになっている。当該車両100(2)は、車両一覧表151(2)に存在する対象車両100(1)および対象車両100(3)との存在確認の通信を行うようになっている。また、当該車両100(3)は、車両一覧表151(3)に存在する対象車両100(1)および対象車両100(2)との存在確認の通信を行うようになっている。
なお、車両100(1)における車両一覧表151(1)、車両100(2)における車両一覧表151(2)、車両100(3)における車両一覧表151(3)において、それぞれ、識別番号「1」、識別番号「2」、識別番号「3」のフラグがオンされているが、車両一覧表151(1)の識別番号「1」、車両一覧表151(2)の識別番号「2」、車両一覧表151(3)の識別番号「3」は、何れも自分自身を表しているため、通信対象を示す車両一覧表151(1),151(2),151(3)において特別意味をなすものではない。
一方、図7に示すように、対象車両100(3)が正規に移動する場合、対象車両100(3)が正規に移動する前に、当該車両100(1),100(2)において、正規のユーザーにより、イグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源がオンされた状態で、図示を省略した表示装置上に表示された所定の設定画面における車両一覧表151(1),151(2)で識別番号「3」のチェックが外されて識別番号「3」のフラグがオフされる。こうすることで、当該車両100(1),100(2)において、対象車両100(3)との存在確認の通信を停止することができ、これにより、対象車両100(3)が正規に移動する場合に、当該車両100(1),(2)における警報装置130(1),130(2)を駆動することを回避することができる。
なお、正規に移動する対象車両100(3)においては、所定の機器を介してセキュリティロックを解除することにより、当該車両100(1),100(2)との存在確認の通信を停止するので、対象車両100(3)における警報装置130(3)を駆動することを回避することができるものの、所定の機器を介してセキュリティロックを解除することなく対象車両100(3)を正規に移動する場合(例えば対象車両100(3)が所定の機器を介してセキュリティロックを解除することなくトラック等の移動手段で正規に運搬される場合)には、対象車両100(3)における警報装置130(3)が駆動してしまう。そこで、図7に示すように、対象車両100(3)が正規に移動する前に、対象車両100(3)において、正規のユーザーにより、イグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源をオンした状態で、図示を省略した表示装置上に表示された所定の設定画面における車両一覧表151(3)で識別番号「1」,「2」のチェックが外されて識別番号「1」,「2」のフラグがオフされてもよい。こうすることで、対象車両100(3)において、当該車両100(1),100(2)との存在確認の通信を停止することができ、これにより、所定の機器を介してセキュリティロックを解除することなく対象車両100(3)を正規に移動しても(例えば対象車両100(3)が所定の機器を介してセキュリティロックを解除することなくトラック等の移動手段で正規に運搬されても)、対象車両100(3)における警報装置130(3)を駆動することを回避することができる。
ここでは、n=3の場合を説明したが、n=2または4以上の場合でも同様に説明することができる。また、正規に移動する対象車両を対象車両100(3)としたが、他の対象車両でも同様に説明することができる。
このように、第2実施形態では、通信対象を示す車両一覧表150は、当該車両100(i)毎に個別に用意された対象車両100(j)の通信対象を示す車両一覧表151(i)であり、車両一覧表151(i)は、当該車両100(i)毎に記憶され、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、当該車両100(i)における車両一覧表151(i)を参照することで、対象車両100(j)との存在確認の通信時に、個別の車両一覧表151(i)を参照することができ、これにより、車両一覧表151(i)に存在する対象車両100(j)との存在確認の通信を確実に行うことができる。
図8は、第2実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御装置120(1)〜120(n)による制御動作の一例を示すフローチャートである。図8に示す第2実施形態のフローチャートは、図4に示す第1実施形態のフローチャートにおいて、ステップS6の処理およびステップS8の処理に代えてステップS6aの処理およびステップS8aの処理を設けると共にステップS5の処理とステップS6aの処理との間にステップS5aの処理を設けたものである。図8に示す第2実施形態のフローチャートにおいて、図4に示す第1実施形態のフローチャートの処理と同じ処理には同一符号を付し、その説明を省略する。
図8に示す第2実施形態のフローチャートでは、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS5aにおいて、当該車両100(i)の記憶装置122における車両一覧表151(i)を参照し、ステップS6aにおいて、車両一覧表151(i)に存在する対象車両100(k)に対して接続要求を行う。
また、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS8aにおいて、車両一覧表151(i)に存在する全ての対象車両100(k)から応答があったか否か(具体的には車両一覧表151(i)に存在する対象車両100(k)から応答した識別番号「k」と記憶装置122における車両一覧表151(i)の識別番号「k」とが一致したか否か)を判断し、車両一覧表151(i)に存在する全ての対象車両100(k)から応答があった場合には(ステップS8a:Yes)、車両一覧表151(i)に存在する対象車両100(k)が全て所定範囲Ar(i)に存在していると認識し、ステップS9へ移行する一方、車両一覧表151(i)に存在する全ての対象車両100(k)のうち1台でも応答がなかった場合には(ステップS8a:No)、車両一覧表151(i)に存在する対象車両100(k)の少なくとも1台が所定範囲Ar(i)に存在していないと認識し、当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動する(ステップS11)。
[第3実施形態]
ところで、第2実施形態の如く、通信対象を示す車両一覧表150が当該車両100(i)毎に個別に用意された対象車両100(j)の通信対象を示す車両一覧表151(i)である場合には、対象車両100(j)が正規に移動するときに、その都度、車両一覧表151(i)から正規の移動対象の対象車両を外す作業を行う必要があり、それだけ、対象車両(j)が正規に移動するときに煩雑な作業となる。
この点、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500は、図9に示すような構成とされている。
図9は、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500の全体構成を概略的に示す模式図である。
第3実施形態では、車両盗難防止システム500は、記憶装置200をさらに備えている。記憶装置200は、当該車両100(i)とは異なる場所(具体的には当該車両100(i)から離間した場所)に設けられている。通信対象を示す車両一覧表150は、当該車両100(i)および対象車両100(j)の車両全体の通信対象を示す単一の車両一覧表152とされている。単一の車両一覧表152は、当該車両100(i)とは異なる場所(具体的には当該車両100(i)から離間した場所)の記憶装置200に記憶されている。当該車両100(i)において、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照するようになっている。すなわち、通信対象を示す車両一覧表150は、複数の車両100(1)〜100(n)全体の通信対象を示す単一の車両一覧表152とされている。記憶装置200は、複数の車両100(1)〜100(n)とは異なる場所(具体的には複数の車両100(1)〜100(n)から離間した場所)に設けられている。記憶装置200には、複数の車両100(1)〜100(n)全体の通信対象を示す単一の車両一覧表152が記憶されている。複数の車両100(1)〜100(n)は、通信相手の車両との存在確認の通信時には、記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照する構成とされている。なお、第3実施形態では、第2実施形態で用いた車両一覧表151(1)〜151(n)に代えて或いは加えて単一の車両一覧表152を用いることができる。
詳しくは、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500は、中継局300をさらに備えている。中継局300を備えた車両盗難防止システム500は、例えば、複数の車両(1)〜100(n)の設置位置がある程度特定されている場所(例えば倉庫や駐車場といった屋内)において好適に用いることができる。
記憶装置200は、中継局300に設けられている。中継局300は、所定範囲Ar(図9の破線参照)で複数の車両100(1)〜100(n)における通信装置110(1)〜110(n)と相互に通信する通信装置310を備えている。
複数の車両100(1)〜100(n)および中継局300は、通信装置110(1)〜110(n)および通信装置310が相互に通信することにより、車両間および車両中継局間の通信ネットワークを構成している。
複数の車両100(1)〜100(n)は、中継局300と通信して中継局300に設けられた記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照することができるようになっている。
図10は、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500における中継局300の制御構成を示すシステムブロック図である。
中継局300は、通信装置310に加えて、中継局全体の制御を司る制御装置320を備えている。通信装置310および記憶装置200は、制御装置320に電気的に接続されている。通信装置310は、複数の車両100(1)〜100(n)における通信装置110(1)〜110(n)との間で相互に通信を行う通信部311を有している。通信装置310における通信部311の複数の車両100(1)〜100(n)と行う通信は、複数の車両100(1)〜100(n)と同じ通信、この例では、短距離無線通信とされている。
図11は、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)および中継局300の通信状態を模式的に示す説明図であって、複数の車両100(1)〜100(n)の何れか1台が正規に移動する場合を示している。
なお、図11に示す例では、説明を簡単にするために、n=3とし、対象車両100(3)が正規に移動する車両としている。
図11に示すように、3台の車両100(1)〜100(3)が何れも移動しない場合には、中継局300における単一の車両一覧表152には、識別番号「1」,「2」,「3」の全てのフラグがオンされている(図11のα1参照)。対象車両100(3)が正規に移動する場合、対象車両100(3)が正規に移動する前に、対象車両100(3)において、正規のユーザーにより、イグニッションキーを用いてイグニッションスイッチのアクセサリー電源がオンされると、対象車両100(3)における制御装置120(3)は、自動的に中継局300と通信し、中継局300の記憶装置200における単一の車両一覧表152において識別番号「3」のフラグをオフする(図11のα2参照)。その後、当該車両100(1)は、対象車両100(2),100(3)との存在確認の通信時に記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照する(図11のα3参照)。このとき、単一の車両一覧表152において識別番号「3」のフラグがオフされているので、当該車両100(1)は、対象車両100(2)と存在確認の通信を行うが、対象車両100(3)とは存在確認の通信は行わない(図11のα4参照)。同様に、当該車両100(2)は、対象車両100(1),100(3)との存在確認の通信時に記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照する(図11のα3参照)。このとき、単一の車両一覧表152において識別番号「3」のフラグがオフされているので、当該車両100(2)は、対象車両100(1)と存在確認の通信を行うが、対象車両100(3)とは存在確認の通信は行わない(図11のα4参照)。こうすることで、当該車両100(1),100(2)において、対象車両100(3)との存在確認の通信を自動的に停止することができ、これにより、対象車両100(3)が正規に移動する場合に、当該車両100(1),(2)における警報装置130(1),130(2)を駆動することを回避することができる。
なお、第3実施形態において、第2実施形態の車両一覧表151(1)〜151(n)を用いる場合、図11のα2において、対象車両100(3)は、中継局300の記憶装置200における単一の車両一覧表152において識別番号「3」のフラグをオフするときに、対象車両100(3)の記憶装置122における車両一覧表151(3)において識別番号「1」,「2」のフラグをオフし、車両一覧表151(3)を参照するようにしてもよい。また、図11のα3において、当該車両100(1),100(2)は、記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照するときに、当該車両100(1),100(2)の記憶装置122における車両一覧表151(1),151(2)において識別番号「3」のフラグをオフし、車両一覧表151(1),151(2)を参照するようにしてもよい。
ここでは、n=3の場合を説明したが、n=2または4以上の場合でも同様に説明することができる。また、正規に移動する対象車両を対象車両100(3)としたが、他の対象車両でも同様に説明することができる。
このように、第3実施形態では、通信対象を示す車両一覧表150は、当該車両100(i)および対象車両100(j)の車両全体の通信対象を示す単一の車両一覧表152であり、単一の車両一覧表152は、当該車両100(i)とは異なる場所の記憶装置200に記憶され、対象車両100(j)との存在確認の通信時には、記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照することで、対象車両100(j)との存在確認の通信時に、単一の車両一覧表152の内容を利用することができ、これにより、対象車両100(j)が正規に移動するときに、その都度、当該車両100(i)毎に個別に用意された対象車両100(j)の通信対象を示す車両一覧表151(i)から正規の移動対象の対象車両を外す作業を省略することができ、それだけ、対象車両100(j)が正規に移動するときでの煩雑な作業を無くすことができる。
図12は、第3実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御装置120(1)〜120(n)による制御動作の一例を示すフローチャートである。図12に示す第3実施形態のフローチャートは、図8に示す第2実施形態のフローチャートにおいて、ステップS5aの処理に代えてステップS5bの処理およびステップS5cの処理を設け、ステップS6aの処理に代えてステップS6bの処理を設け、ステップS8aの処理に代えてステップS8bの処理を設けたものである。図12に示す第3実施形態のフローチャートにおいて、図4に示す第1実施形態のフローチャートの処理と同じ処理には同一符号を付し、その説明を省略する。
図12に示す第3実施形態のフローチャートでは、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS5bにおいて、中継局300と通信を行い、ステップS5cにおいて、中継局300の記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照し、ステップS6bにおいて、単一の車両一覧表152に存在する対象車両100(k)に対して接続要求を行う。
また、当該車両100(i)における制御装置120(i)は、ステップS8aにおいて、単一の車両一覧表152に存在する全ての対象車両100(k)から応答があったか否か(具体的には単一の車両一覧表152に存在する対象車両100(k)から応答した識別番号「k」と中継局300の記憶装置200における単一の車両一覧表152の識別番号「k」とが一致したか否か)を判断し、単一の車両一覧表152に存在する全ての対象車両100(k)から応答があった場合には(ステップS8b:Yes)、単一の車両一覧表152(i)に存在する対象車両100(k)が全て所定範囲Ar(i)に存在していると認識し、ステップS9へ移行する一方、単一の車両一覧表152に存在する全ての対象車両100(k)のうち1台でも応答がなかった場合には(ステップS8b:No)、単一の車両一覧表152に存在する対象車両100(k)の少なくとも1台が所定範囲Ar(i)に存在していないと認識し、当該車両100(i)において警報装置130(i)を駆動する(ステップS11)。
[第4実施形態]
ところで、第3実施形態では、記憶装置200を中継局300に設けているが、この場合、車両盗難防止システム500を適用する場所に中継局300が必要になる。このため、田畑などの圃場のように中継局300を設けることができない場所に車両盗難防止システム500を適用することができない。
この点、第4実施形態では、第3実施形態において、中継局300に代えて遠隔サーバ400が設けられ、記憶装置200は、遠隔サーバ400に設けられている。単一の車両一覧表152は、遠隔サーバ400における記憶装置200に記憶されている。
図13は、第4実施形態に係る車両盗難防止システム500の全体構成を概略的に示す模式図である。図14は、第4実施形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)の制御構成を示すシステムブロック図である。
図13に示すように、遠隔サーバ400は、複数の車両100(1)〜100(n)に対して遠く離れた位置にある遠隔監視センター600に配置されている。
遠隔サーバ400および複数の車両100(1)〜100(n)は、それぞれ、通信部411(図13参照)および通信部112(図14参照)を有し、通信網700(図13参照)を介して互いの通信部411,112で接続されることで、遠隔サーバ400と複数の車両100(1)〜100(n)との間で情報の送受信を行うことが可能とされている。これにより、複数の車両100(1)〜100(n)は、遠隔サーバ400に設けられた記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照することができるようになっている。ここで、通信部411は、遠隔サーバ400における通信装置410に設けられている。通信部112は、複数の車両100(1)〜100(n)における通信装置110(1)〜110(n)に設けられている。
なお、通信網700は、有線通信網でもよいし、無線通信網でもよく、有線通信網および無線通信網を組み合わせたものであってもよい。通信網700として、代表的には、電気通信事業者が提供する公衆回線網を挙げることができる。このことは、後述する第5実施形態でも同様である。
このように、第4実施形態では、第3実施形態において、中継局300に代えて遠隔サーバ400が設けられることで、中継局300を設けることができない場所(例えば田畑などの圃場)において車両盗難防止システム500を用いることができる。
[第5実施形態]
ところで、第4実施形態では、通信網700を介して遠隔サーバ400における通信部411と通信する通信部112を複数の車両100(1)〜100(n)のそれぞれに設ける必要があり、それだけコストが高くつく。
この点、第5実施形態では、第3実施形態において、中継局300と相互に通信する遠隔サーバ400が設けられ、記憶装置200は、遠隔サーバ400に設けられている。単一の車両一覧表152は、遠隔サーバ400における記憶装置200に記憶されている。
図15は、第5実施形態に係る車両盗難防止システム500の全体構成を概略的に示す模式図である。図16は、第5実施形態に係る車両盗難防止システム500における中継局300の制御構成を示すシステムブロック図である。
図15に示すように、遠隔サーバ400は、複数の車両100(1)〜100(n)に対して遠く離れた位置にある遠隔監視センター600に配置されている。
遠隔サーバ400および中継局300は、それぞれ、通信部411(図15参照)および通信部312(図16参照)を有し、通信網700を介して互いの通信部411,312で接続されることで、遠隔サーバ400と中継局300との間で情報の送受信を行うことが可能とされている。これにより、複数の車両100(1)〜100(n)は、中継局300を介して遠隔サーバ400に設けられた記憶装置200における単一の車両一覧表152を参照することができるようになっている。ここで、通信部411は、遠隔サーバ400における通信装置410に設けられている。通信部312は、中継局300における通信装置310に設けられている。
このように、第5実施形態では、第3実施形態において、中継局300と通信する遠隔サーバ400が設けられることで、遠隔サーバ400における通信部411と通信する通信部112を複数の車両100(1)〜100(n)のそれぞれに設ける必要がなく、それだけコストを低減させることができる。
(他の実施の形態について)
本実施の形態に係る車両盗難防止システム500における複数の車両100(1)〜100(n)は、トラクター等の農業用作業車両に適用したが、それに限定されるものではなく、コンバイン、耕耘機や田植機等の農業用作業車両の他、ショベルカー、ホイルローダやキャリヤ等の建設用作業車両といった車両に好適に適用することができる。なお、複数の車両100(1)〜100(n)は、農業用作業車両等の同一用途の車両であってもよいし、農業用作業車両および建設用作業車両というように異なる用途の車両の組み合わせであってもよく、また、同一用途の車両において、機種が異なっていてもよい。また、本実施の形態に係る車両盗難防止システム500において、車両100(1)〜100(n)に代えて或いは加えて、プレジャーボート、漁船といった船舶に適用してもよい。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。