以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態1の印刷システム100の構成例を示す図である。印刷システム100は、図1に示すように、画像記録装置である一又は複数の印刷装置10と、印刷ジョブ(以下、単に、ジョブという)をユーザの指示に従って出力する一又は複数の情報端末装置20とを含み、印刷装置10と情報端末装置20は、ネットワークNWを介して相互に通信可能に接続されている。
図2(A)は、本実施形態1における印刷設定画面の例を示す図であり、図2(B)は、本実施形態1における結合ジョブ設定画面の例を示す図である。
図2(A)に示す印刷設定画面は、例えば、情報端末装置20の表示画面上に表示される印刷設定画面の例である。本実施形態1における印刷設定画面は、処理対象の印刷設定を行うための画面であり、図2(A)に示すように、「ジョブをホールド」のチェックボックスを少なくとも有している。
「ジョブをホールド」のチェックボックスは、対応するジョブを印刷装置10のジョブ格納部12a(詳しくは後述)に格納させるためのチェックボックスである。「ジョブをホールド」のチェックボックスにチェックを入れることで、対応するジョブは、印刷装置10のジョブ格納部12aに格納される。なお、印刷装置10に接続されているUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬型記憶装置に格納されているジョブを、操作部14(詳しくは後述)を操作することで、ジョブ格納部12aに格納することも可能である。
図2(B)に示す結合ジョブ設定画面は、例えば、情報端末装置20の表示画面上、あるいは、印刷装置10の表示部13(詳しくは後述)の表示画面上に表示される結合ジョブ設定画面の例である。本実施形態1における結合ジョブ設定画面は、結合ジョブの設定を行うための画面であり、図2(B)に示すように、「選択欄」と、「ジョブの入れ替え可」のチェックボックスとを少なくとも有している。
結合ジョブは、複数のジョブが結合されて一つのジョブとして形成されたジョブであり、結合ジョブ設定画面において選択された順序にしたがって結合される。例えば、ジョブAとジョブBが、ジョブB、ジョブAの順序で選択された場合には、結合ジョブは、ジョブB、ジョブAの順序で結合されているジョブとなる。以下において、ジョブB、ジョブAの順序で結合されている結合ジョブを、結合ジョブ(B,A)と表すこととする。
「選択欄」は、ジョブ格納部12aに格納されているジョブの中から複数のジョブを選択順序と対応付けて選択可能に構成されている。
「ジョブの入れ替え可」のチェックボックスは、選択順序にしたがってジョブを印刷する必要が無い場合にチェックを入れるチェックボックスである。「ジョブの入れ替え可」のチェックボックスにチェックを入れるケースとしては、例えば、複数のジョブを纏めて印刷して一つの資料を作成するわけではないが、他人の印刷物の混入を防ぎたい場合などが考えられる。
次に、図3と図4を参照して、本実施形態1における印刷装置10について説明する。図3は、本実施形態1における印刷システム100を構成する印刷装置10の構成例を示す機能ブロック図である。図4(A)は、本実施形態1における画像記録に関連する主要な機能部の配置例を示す図であり、図4(B)は、自動メンテナンスの際の動作を説明するための図である。
本実施形態1における印刷装置10は、例えば、結合ジョブを処理して、印刷用紙などの媒体上に印刷して出力する装置であり、図3に示すように、通信部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、搬送機構15と、媒体検出部16と、画像記録部17と、メンテナンス機構18と、制御部19と、を備えて構成されている。なお、以下においては、結合ジョブを処理対象のジョブとして説明する。
通信部11は、通信モジュールなどで構成され、ネットワークNWを介して、情報端末装置20との間で通信を行う。例えば、通信部11は、情報端末装置20により出力されるジョブを受信する。
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、不揮発性メモリなどで構成され、制御部19を構成するCPU(Central Processing Unit)のワークエリア、印刷装置10全体を制御するための動作プログラムなどの各種プログラムを格納するプログラムエリア、適正規定枚数(詳しくは後述)を示す第1閾値や上限規定枚数(詳しくは後述)を示す第2閾値などの各種データを格納するデータエリアとして機能する。また、データエリアには、媒体検出部16から画像記録部17の記録ユニット17−1乃至17−n(詳しくは後述)における各ノズル列までの離間距離を、ロータリエンコーダ(詳しくは後述)の累積パルス数にそれぞれ換算した値が予め格納されている。
また、記憶部12は、図3に示すように、ジョブ格納部12aと、テーブル記憶部12bとして機能する。ジョブ格納部12aは、図2(A)に例示する印刷設定画面において、「ジョブをホールド」のチェックボックスにチェックが入れられたジョブを格納する記憶部である。
テーブル記憶部12bは、テーブル類を格納する記憶部であり、本実施形態1においては、開始タイミング管理テーブルT1を記憶している。
図5は、本実施形態1における開始タイミング管理情報の例を示す図である。図5に示す例は、テーブルの場合の例である。本実施形態1における開始タイミング管理テーブルT1は、自動メンテナンスの開始タイミングを管理しているテーブルであり、図5に示すように、「ジョブ」毎に、「画質優先フラグ」と「開始フラグ」とが対応付けられているテーブルである。
「ジョブ」欄の番号は、結合ジョブを構成するジョブ(以下、構成ジョブという)が結合されている順序、すなわち、選択順序である。なお、構成ジョブの順序の入れ替えが行われた場合には、「ジョブ」欄の番号は、入れ替え後の構成ジョブが結合されている順序となる。
「画質優先フラグ」は、対応する構成ジョブにおいて画質優先の「画質設定」がされているか否かを示すフラグである。本実施形態1においては、フラグ値“0”は、画質優先の「画質設定」がされていないことを、フラグ値“1”は、画質優先の「画質設定」がされていることを、それぞれ、示している。
「開始フラグ」は、対応する構成ジョブの印刷処理の直前に自動メンテナンスを実行するか否かを示すフラグである。本実施形態1においては、フラグ値“0”は、自動メンテナンスを実行しないことを、フラグ値“1”は、自動メンテナンスを実行することを、それぞれ、示している。なお、「開始フラグ」の初期値は“0”とする。
「適正規定枚数」は、自動メンテナンスを実行させる累積枚数の本来の基準値であり、例えば、耐用実験に基づいて決定された枚数を初期値とする。なお、ユーザの使用環境により自動メンテナンスを実行させる適正枚数は異なることから、「適正規定枚数」は、ユーザにより変更可能とする。「上限規定枚数」は、自動メンテナンスを実行させる累積枚数の上限値、つまり、自動メンテナンスの開始タイミングの上限を規定する値である。すなわち、「適正規定枚数」<「上限規定枚数」となる。つまり、「適正規定枚数」は、メンテナンスの最先の開始タイミングを示す累積枚数の下限であり、「上限規定枚数」は、メンテナンスの最後の開始タイミングを示す累積枚数の上限である。
累積枚数は、前回の自動メンテナンス実行後に印刷処理された枚数であり、両面印刷の場合には、2枚としてカウントされる。なお、用紙のサイズや印刷する媒体の種類に応じて枚数を補正するようにしてもよい。例えば、A4サイズを基準サイズとし、A3の場合は2枚としてカウントするよう構成する。
図3に戻り、表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)などの表示装置などで構成され、例えば、各種の設定画面や各種機能ボタンなどを表示画面上に表示する。
操作部14は、テンキ−や表示部13の表示画面上に表示されるタッチパネルなどで構成され、ユーザは、操作部14を操作して、印刷装置10への指示を入力することで、所望の処理を実行させることが可能である。
搬送機構15は、図4(A)に示すように、例えば、給紙部(不図示)から給紙される印刷用紙を載置する搬送部材15bにおける無端ベルトが、駆動ローラ15cと従動ローラ15d,15eとに架設されて構成されている。この駆動ローラ15cと従動ローラ15d,15eとは、プラテン15fを有する機構本体15gに回動可能に設けられている。
駆動ローラ15cは、制御部19の制御の下、例えば、モータ(不図示)により駆動され、搬送部材15bに載置されている印刷用紙は、搬送経路の下流側へ搬送される。機構本体15gは、吸引ファン(不図示)を有しており、制御部19の制御の下、印刷用紙が搬送部材15b及びプラテン15fを介して吸引されるように構成されている。また、搬送機構15は、上下運動可能な支持機構(不図示)に支持されており、制御部19の制御の下、所定の位置へ上下移動可能に構成されている。
また、搬送機構15は、図3に示すように、搬送情報生成部15aを有している。搬送情報生成部15aは、例えば、従動ローラ15dに設けられたロータリエンコーダなどで構成され、媒体検出部16から入力される検出情報をトリガとして、搬送機構15が印刷用紙を所定距離分搬送する毎に搬送情報を生成し、生成した搬送情報を画像記録制御部19i(詳しくは後述)に出力する。つまり、搬送情報生成部15aのロータリエンコーダは、媒体検出部16から入力される検出情報をトリガとして、搬送部材15bの移動量に対応したパルス信号を生成し、生成したパルス信号を搬送情報として画像記録制御部19iに出力する。
媒体検出部16は、例えば、透過型センサや反射型センサなどで構成され、搬送機構15に戴置された印刷用紙の少なくとも先端の検出を行う。媒体検出部16は、記録ユニット17−1乃至17−nよりも搬送経路において上流側の所定位置に設置され、印刷用紙の搬送方向の先端を検出し、印刷用紙の先端を検出した旨を示す検出情報を搬送情報生成部15aに出力する。
画像記録部17は、画像記録制御部19iの制御の下、RIP処理部19h(詳しくは後述)により生成されたラスタデータに基づいて、印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行う。画像記録部17は、図3に示すように、記録ユニット17−1乃至17−n(nは2以上の整数)を有しており、記録ユニット17−1乃至17−nは、図4に示すように、搬送機構15の上側における対向する位置に設けられている。記録ユニット17−1乃至17−nは、印刷用紙の搬送方向における上流側から下流側の順に、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロ(Y)のインク色毎に少なくとも1つのノズル列を有するラインヘッド(不図示)が設けられた構成を有する。
メンテナンス機構18は、図3に示すように、例えば、メンテナンス駆動部18a、インク受け部18−1乃至1−n(nは2以上の整数)などを有しており、メンテナンス機構制御部19j(詳しくは後述)によりメンテナンス駆動部18aが駆動制御されることで、ラインヘッドの各記録ヘッドのインク吐出機能を保全及び回復させるための自動メンテナンスを実行する。
インク受け部18−1乃至18−nは、自動メンテナンス時に、記録ユニット17−1乃至17−nに設けられている各記録ヘッドから排出されるインクを受けるためのものである。インク受け部18−1乃至18−nは、印刷装置10が印刷処理を実行している間は、図4(A)に示すように、その印刷処理の妨げとならないように、記録ユニット17−1乃至17−nの間に退避させる。
一方、自動メンテナンス時には、インク受け部18−1乃至18−nは、図4(B)に示すように、記録ユニット17−1乃至17−nに設けられている各記録ヘッドに対向する位置へと移動される。記録ユニット17−1乃至17−nは、インク受け部18−1乃至18−nがこの位置に在るときに各記録ヘッドから、例えば、加圧によりインクを排出させることで、インクの吐出機能の保全・回復させるための自動メンテンスが行われる。
図3に戻り、制御部19は、CPU(コンピュータ)などで構成され、記憶部12のプログラムエリアに格納されている動作プログラムを実行して、図3に示すように、判定部19aと、第1カウンタ19bと、第2カウンタ19cと、枚数特定部19dと、画質設定特定部19eと、入替処理部19fと、開始タイミング特定部19gと、RIP処理部19hと、画像記録制御部19iと、メンテナンス機構制御部19jとしての機能を実現すると共に、印刷装置10全体を制御する制御処理や詳しくは後述する開始タイミング特定処理などの処理を実行する。
判定部19aは各種の判定処理を行う。例えば、判定部19aは、結合ジョブが入力されたか否かを判定する。より具体的には、判定部19aは、通信部11により受信された結合ジョブ、あるいは、表示部13の表示画面上に表示された結合ジョブ設定画面の設定により形成された結合ジョブが、制御部19に入力されたか否かを判定する。
また、判定部19aは、第1カウンタ19bのカウンタ値iが第1閾値を超えているか否かを判定する。つまり、判定部19aは、現時点の累積枚数が適正規定枚数を越えているか否かを判定する。また、判定部19aは、処理対象の結合ジョブの印刷中に、第1カウンタ19bのカウンタ値iが第1閾値に達するか否かを判定する。つまり、判定部19aは、処理対象の結合ジョブの印刷中に、累積枚数が適正規定枚数に達するか否かを判定する。より具体的には、判定部19aは、現時点における累積枚数(第1カウンタ19bのカウンタ値i)に、枚数特定部19dにより特定された構成ジョブ毎の印刷枚数を全て加算して求めた値が、適正規定数以上となる場合に、印刷中に適正規定枚数に達すると判定する。印刷中に適正規定枚数に達することは、印刷中に自動メンテナンスの本来の開始タイミングが到来することを意味する。
また、判定部19aは、ジョブkに対応する「開始フラグ」のフラグ値は“1”であるか否かを判定する。ここで、ジョブkの“k”は、開始タイミング管理テーブルT1の「ジョブ」欄の番号に対応しており、例えば、「ジョブ」欄の番号“2”に対応する構成ジョブがジョブ2となる。つまり、ジョブkは、処理対象の結合ジョブ(入れ替えが行われた場合には、入替後の結合ジョブ)を構成するk番目の構成ジョブである。
また、判定部19aは、結合ジョブを構成する構成ジョブの内で未処理の構成ジョブが有るか否かを判定する。より具体的には、判定部19aは、第2カウンタのカウンタ値k(ジョブkの“k”に対応)が、開始タイミング管理テーブルT1のエントリ数に達していない場合には、未処理の構成ジョブが有ると判定する。一方、判定部19aは、第2カウンタのカウンタ値kが、開始タイミング管理テーブルT1のエントリ数に達している場合には、未処理の構成ジョブは無いと判定する。
第1カウンタ19bは、累積枚数を管理しているカウンタであり、制御部19により制御されている。第1カウンタ19bは、自動メンテナンスの開始タイミングになると、制御部19により初期化(カウンタ値i=0)される。また、第1カウンタ19bは、印刷用紙の面に画像記録(印刷)される度に、制御部19によりインクリメントされる。
第2カウンタ19cは、処理対象の結合ジョブを構成する全ての構成ジョブを印刷処理したか否かを管理するカウンタであり、制御部19により制御されている。第2カウンタ19cは、自動メンテナンス処理(詳しくは後述)が開始されると、制御部19により初期化(カウンタ値k=1)される。また、第2カウンタ19cは、構成ジョブが印刷処理される度に、制御部19によりインクリメントされる。
枚数特定部19dは、処理対象の結合ジョブを解析して、構成ジョブの印刷枚数をそれぞれ特定する。なお、枚数特定部19dは、両面印刷の場合には、印刷用紙の面毎にカウントする。つまり、印刷用紙の両面に印刷されている場合には、枚数特定部19dは、2枚とカウントする。
画質設定特定部19eは、開始タイミング管理テーブルT1を管理すると共に、構成ジョブの「画質設定」を特定する。より具体的には、画質設定特定部19eは、既に累積枚数が適正規定枚数を超えている場合、あるいは、処理対象の結合ジョブの印刷中に、累積枚数が適正規定枚数に達する場合に、開始タイミング管理テーブルT1を初期化する。そして、画質設定特定部19eは、構成ジョブの数分のエントリを開始タイミング管理テーブルT1に登録する。
そして、画質設定特定部19eは、構成ジョブの「画質設定」が画質優先であるか、それとも、画質非優先であるかをそれぞれ特定する。例えば、画質設定特定部19eは、所定階調以上、あるいは、所定解像度以上のオブジェクトを含む構成ジョブの「画質設定」は、画質優先であると特定する。また、例えば、画質設定特定部19eは、印刷設定において「画質優先」の設定がなされている構成ジョブの「画質設定」は、画質優先であると特定する。一方、画質設定特定部19eは、画質優先であると特定した構成ジョブ以外の構成ジョブの「画質設定」は、画質非優先であると特定する。
そして、画質設定特定部19eは、特定した「画質設定」が画質優先の場合には、開始タイミング管理テーブルT1の対応する「画質優先フラグ」のフラグ値を“1”にセットし、一方、特定した「画質設定」が画質非優先の場合には、開始タイミング管理テーブルT1の対応する「画質優先フラグ」のフラグ値を“0”にセットする。
入替処理部19fは、構成ジョブの順序を入れ替え可能な場合に、構成ジョブを入れ替える。より具体的には、入替処理部19fは、本実施形態1においては、画質設定特定部19eにより特定された画質非優先の構成ジョブを画質優先の構成ジョブより前に移動する。
例えば、処理対象の結合ジョブが結合ジョブ(1,2,3,4)であり、ジョブ1とジョブ3が画質優先であり、ジョブ2とジョブ4が画質非優先である場合には、本実施形態1における入替処理部19fは、画質非優先のジョブ2とジョブ4を、画質優先のジョブ1とジョブ3より前に移動する。この際、本実施形態1においては、入替処理部19fは、画質優先の構成ジョブ内及び画質非優先の構成ジョブ内における入れ替えは行わない。したがって、本例の入れ替え後の結合ジョブは結合ジョブ(2,4,1,3)となる。もちろん、画質優先の構成ジョブ内及び画質非優先の構成ジョブ内における入れ替えを行うように構成してもよい。
開始タイミング特定部19gは、自動メンテナンスの開始タイミング(自動メンテナンスの直後に印刷する構成ジョブ)を特定する。そして、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブに対応する、開始タイミング管理テーブルT1の「開始フラグ」のフラグ値を“1”にセットする。
より具体的には、開始タイミング特定部19gは、開始タイミング管理テーブルT1を参照して、枚数特定部19dにより特定された各構成ジョブの印刷枚数と現時点における第1カウンタ19bのカウンタ値iと適正規定枚数を示す第1閾値とに基づいて、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷するか否かを判定する。この際、開始タイミング特定部19gは、画質優先の構成ジョブの印刷中に適正規定枚数を超える場合には、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷すると判定する。
より具体的には、開始タイミング特定部19gは、開始タイミング管理テーブルT1の「画質優先フラグ」欄を検索して画質優先の構成ジョブを特定し、特定した画質優先の構成ジョブまでの印刷枚数をそれぞれ算出する。そして、開始タイミング特定部19gは、算出した印刷枚数の値をカウンタ値iにそれぞれ加算して求めた値(以下、累積予定枚数という)が、第1閾値を超えているか否かを判定する。
例えば、図5に例示する開始タイミング管理テーブルT1においては、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2とジョブ3を画質優先の構成ジョブとして特定する。そして、ジョブ1とジョブ2の印刷枚数を加算した値をカウンタ値iに加算して求めた値(ジョブ2における累積予定枚数)と、ジョブ1乃至ジョブ3の各印刷枚数を加算した値をカウンタ値iに加算して求めた値(ジョブ3における累積予定枚数)が、第1閾値を超えているか否かをそれぞれ判定する。
そして、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷しないと判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、更に、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えるか否かを判定する。より具体的には、処理対象結合ジョブの最後のジョブにおける累積予定枚数が第2閾値を超える場合には、開始タイミング特定部19gは、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えると判定する。一方、処理対象結合ジョブの最後の構成ジョブにおける累積予定枚数が第2閾値を超えない場合には、開始タイミング特定部19gは、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えないと判定する。
例えば、図5に例示する開始タイミング管理テーブルT1においては、開始タイミング特定部19gは、ジョブ1乃至ジョブ3の各印刷枚数を加算した値をカウンタ値iに加算して求めた値(ジョブ3における累積予定枚数)が、第2閾値を超えているか否かを判定する。
そして、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えると判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、印刷中に上限規定枚数に達する構成ジョブを特定し、特定した構成ジョブに対応する「開始フラグ」のフラグ値を“1”にセットする。一方、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えないと判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、本処理対象の結合ジョブにおいては、自動メンテナンスの開始タイミングの特定を行わない。つまり、本処理対象の結合ジョブの印刷中に自動メンテナンスは行われないこととなる。
一方、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷すると判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、適正規定枚数より後に印刷される画質優先の構成ジョブの内で最初の構成ジョブを特定する。例えば、図5に例示する開始タイミング管理テーブルT1において、ジョブ2とジョブ3が適正規定枚数より後に印刷されると判定された場合には、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2を特定する。
そして、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始するか否かを判定する。より具体的には、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブ(画質優先)の直前の構成ジョブにおける累積予定枚数が第2閾値を超えているか否かを判定する。例えば、図5に例示する開始タイミング管理テーブルT1において、ジョブ2とジョブ3が適正規定枚数より後に印刷されると判定された場合には、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2の直前の構成ジョブであるジョブ1の印刷枚数の値をカウンタ値iに加算して求めた値(ジョブ1における累積予定枚数)が第2閾値を超えているか否かを判定する。
そして、特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始しないと判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブ(画質優先)に対応する「開始フラグ」のフラグ値を“1”にセットする。
一方、特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始すると判定した場合には、開始タイミング特定部19gは、更に、印刷中に上限規定枚数に達する構成ジョブを特定する。そして、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブに対応する「開始フラグ」のフラグ値を“1”にセットする。
RIP処理部19hは、処理対象の結合ジョブをRIP処理し、ラスタデータを生成する。
画像記録制御部19iは、画像記録部17を制御して、印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行わせる。より具体的には、画像記録制御部19iは、画像記録部17を制御して、搬送される印刷用紙の先端が媒体検出部16により検出されたことをトリガとして出力されるロータリエンコーダの累積パルス数と、データエリアに予め記憶される媒体検出部16から記録ユニット17−1乃至17−nの各ノズル列までの離間距離に対応する累積パルス数と、がそれぞれ一致したタイミングで印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行わせる。
メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、自動メンテナンスを実行させる。より具体的には、判定部19aにより第2カウンタ19cのカウンタ値kに対応するジョブkの「開始フラグ」のフラグ値が“1”であると判定された場合に、メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、自動メンテナンスを実行させる。
次に、図6と図7を参照して、本実施形態1における開始タイミング特定処理の流れについて説明する。図6と図7は、それぞれ、本実施形態1における開始タイミング特定処理のフローを説明するためのフローチャートの例の一部と、他の一部である。本開始タイミング特定処理は、結合ジョブの入力をトリガとして開始される。
判定部19aは、結合ジョブが入力されたか否かを判定する(ステップS001)。判定部19aにより、結合ジョブは入力されていないと判定された場合には(ステップS001;NO)、処理はステップS001の処理を繰り返して、結合ジョブが入力されるのを待つ。
一方、判定部19aにより結合ジョブが入力されたと判定された場合には(ステップS001;YES)、枚数特定部19dは、結合ジョブを解析して、構成ジョブの印刷枚数をそれぞれ特定する(ステップS002)。そして、判定部19aは、現時点の累積枚数が適正規定枚数を超えているか否かを判定する(ステップS003)。
判定部19aにより適正規定枚数を超えていると判定された場合には(ステップS003;YES)、処理は後述のステップS007の処理へと進む。一方、適正規定枚数は超えていないと判定した場合には(ステップS003;NO)、判定部19aは、更に、処理対象の結合ジョブの印刷中に適正規定枚数に達するか否かを判定する(ステップS004)。
判定部19aにより印刷中に適正規定枚数に達しないと判定された場合には(ステップS004;NO)、処理対象の結合ジョブの印刷中に自動メンテナンスを行わないことから開始タイミングの特定が行われることなく、RIP処理部19hは、処理対象の結合ジョブをRIP処理し、ラスタデータを生成する(ステップS005)。そして、画像記録制御部19iは、画像記録部17を制御して、生成されたラスタデータに基づいて、印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行わせる(ステップS006)。そして、処理はステップS001の処理へと戻り、前述の処理を繰り返す。
一方、判定部19aにより印刷中に適正規定枚数に達すると判定された場合には(ステップS004;YES)、画質設定特定部19eは、開始タイミング管理テーブルT1を初期化し(ステップS007)、処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの数分のエントリを開始タイミング管理テーブルT1に登録する(ステップS008)。そして、画質設定特定部19eは、構成ジョブの「画質設定」が画質優先か、それとも、画質非優先かをそれぞれ特定する(ステップS009)。
そして、判定部19aは、構成ジョブの順序は入れ替え可能であるか否かを判定する(ステップS010)。判定部19aにより入れ替え可能ではないと判定された場合には(ステップS010;NO)、処理は後述のステップS012の処理へと進む。
一方、判定部19aにより入れ替え可能であると判定された場合には(ステップS010;YES)、入替処理部19fは、構成ジョブの順序を入れ替える(ステップS011)。そして、画質設定特定部19eは、処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの順序と開始タイミング管理テーブルT1の「ジョブ」欄の番号とを対応付けて、ステップS009の処理で特定した「画質設定」にしたがって、各「画質優先フラグ」のフラグ値をセットする(ステップS012)。
そして、開始タイミング特定部19gは、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷するか否かを判定する(ステップS013)。適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷すると判定した場合には(ステップS013;YES)、開始タイミング特定部19gは、適正規定枚数より後に印刷される画質優先の構成ジョブの内で最初の構成ジョブを特定する(ステップS014)。
そして、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始するか否かを判定する(ステップS015)。特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始しないと判定した場合には(ステップS015;NO)、処理は後述のステップS018の処理へと進む。一方、特定した構成ジョブ(画質優先)は上限規定枚数より後に印刷を開始すると判定した場合には(ステップS015;YES)、処理は後述のステップS017の処理へと進む。
ステップS013の処理において、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷しないと判定した場合には(ステップS013;NO)、開始タイミング特定部19gは、更に、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えるか否かを判定する(ステップS016)。開始タイミング特定部19gにより、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えないと判定された場合には(ステップS016;NO)、処理は前述のステップS005の処理へと進む。この場合、処理対象の結合ジョブの印刷中に自動メンテナンスを行わないことから、開始タイミングの特定は行われない。
一方、処理対象の結合ジョブの印刷中に上限規定枚数を超えると判定した場合には(ステップS016;NO)、開始タイミング特定部19gは、印刷中に上限規定枚数に達する構成ジョブを特定する(ステップS017)。そして、開始タイミング特定部19gは、特定した構成ジョブに対応する開始タイミング管理テーブルT1の「開始フラグ」のフラグ値を“1”にセットする(ステップS018)。
そして、RIP処理部19hは、処理対象の結合ジョブをRIP処理して、ラスタデータを生成する(ステップS019)。そして、メンテナンス機構制御部19jは、画像記録制御部19iなどと連係して自動メンテナンス処理を実行する(ステップS020)。そして、処理はステップS001の処理へと戻り、前述の処理を繰り返す。
次に、図8を参照して、本実施形態1における自動メンテナンス処理の流れについて説明する。図8は、本実施形態1における自動メンテナンス処理のフローを説明するためのフローチャートの例である。本自動メンテナンス処理は、開始タイミング特定処理のステップS020の処理に対応した処理である。
制御部19は、第2カウンタ19cをリセット(カウンタ値k=1)する(ステップS201)。そして、判定部19aは、開始タイミング管理テーブルT1を参照して、カウンタ値kに対応するジョブkの「開始フラグ」のフラグ値は“1”であるか否かを判定する(ステップS202)。
判定部19aによりジョブkの「開始フラグ」のフラグは“1”であると判定された場合には(ステップS202;YES)、制御部19は、第1カウンタ19bをリセット(カウンタ値i=0)する(ステップS203)。そして、メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、自動メンテナンスを実行させる(ステップS204)。そして、処理は後述のステップS205の処理へと進む。
ステップS202の処理において、判定部19aによりジョブkの「開始フラグ」のフラグは“0”であると判定された場合には(ステップS202;NO)、画像記録制御部19iは、画像記録部17を制御して、生成されたラスタデータに基づいて、ジョブkにおける印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行わせる(ステップS205)。
そして、判定部19aは、未処理の構成ジョブがあるか否かを判定する(ステップ
S206)。判定部19aにより未処理の構成ジョブはないと判定された場合には(ステップS206;NO)、本処理は終了し、開始タイミング特定処理のステップS001の処理へと戻る。
一方、判定部19aにより未処理の構成ジョブがあると判定された場合には(ステップS206;YES)、制御部19は、第2カウンタ19cをインクリメントし(ステップS207)、処理はステップS202の処理へと戻り、前述の処理を繰り返す。
次に、図9と図10を参照して、具体例にしたがって、処理対象の結合ジョブが入れ替え不可である場合の開始タイミングの特定について説明する。図9(A)乃至(D)は、いずれも、本実施形態1における自動メンテナンスの開始タイミングを説明するための具体例である。図10(A)乃至(D)は、それぞれ、図9(A)乃至(D)に示す具体例に対応する開始タイミング管理情報(開始タイミング管理テーブルT1)の例を示す図である。
図9(A)に示す結合ジョブは、3つの構成ジョブからなる結合ジョブの例であり、全ての構成ジョブが画質非優先の場合の例である。なお、結合ジョブは、図9に示すように、左側から順にジョブ1、ジョブ2、ジョブ3の順序で結合されているものとする。
本例では、図9に示すように、ジョブ1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先の構成ジョブを印刷しない(ステップS013;NO)。また、ジョブ2の印刷中に上限規定枚数を超えることから(ステップS016;YES)、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2を特定する(ステップS017)。
したがって、図9(A)の具体例に対応する開始タイミング管理テーブルT1では、図10(A)に示すように、「画質優先フラグ」の全てのフラグ値は“0”、ジョブ2に対応する「開始フラグ」のフラグ値が“1”となる。
図9(B)に示す結合ジョブは、全ての構成ジョブが画質優先の場合の例である。本例では、図9に示すように、ジョブ1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先のジョブ1を印刷する(ステップS013;YES)。したがって、開始タイミング特定部19gは、ジョブ1を特定する(ステップS014)。また、ジョブ1は、図9(B)に示すように、上限規定枚数より後に印刷を開始しないことから(ステップS015;NO)、開始タイミング特定部19gは、再特定を行うことなく、ジョブ1を開始タイミングとして特定する。
したがって、図9(B)の具体例に対応する開始タイミング管理テーブルT1では、図10(B)に示すように、「画質優先フラグ」の全てのフラグ値は“1”、ジョブ1に対応する「開始フラグ」のフラグ値が“1”となる。
図9(C)に示す結合ジョブは、ジョブ1とジョブ3が画質非優先でジョブ2が画質優先の場合の例である。本例では、図9に示すように、ジョブ1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先のジョブ2を印刷する(ステップS013;YES)。したがって、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2を特定する(ステップS014)。また、ジョブ2は、図9(C)に示すように、上限規定枚数より後に印刷を開始しないことから(ステップS015;NO)、開始タイミング特定部19gは、再特定を行うことなく、ジョブ2を開始タイミングとして特定する。
したがって、図9(C)の具体例に対応する開始タイミング管理テーブルT1では、図10(C)に示すように、ジョブ2に対応する「画質優先フラグ」のフラグ値のみが“1”、ジョブ2に対応する「開始フラグ」のフラグ値が“1”となる。
図9(D)に示す結合ジョブは、ジョブ1とジョブ2が画質非優先でジョブ3が画質優先の場合の例である。本例では、図9に示すように、ジョブ1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先のジョブ3を印刷する(ステップS013;YES)。したがって、開始タイミング特定部19gは、ジョブ3を特定する(ステップS014)。また、ジョブ3は、図9(D)に示すように、上限規定枚数より後に印刷を開始することから(ステップS015;YES)、開始タイミング特定部19gは、印刷中に上限規定枚数に達する画質非優先のジョブ2を再特定する(S017)。
したがって、図9(D)の具体例に対応する開始タイミング管理テーブルT1では、図10(D)に示すように、ジョブ3の「画質優先フラグ」のフラグ値のみが“1”、ジョブ2に対応する「開始フラグ」のフラグ値が“1”となる。
次に、図11を参照して、具体例にしたがって、処理対象の結合ジョブが入れ替え可能である場合の開始タイミングの特定について説明する。図11(A)は、入れ替え可能な結合ジョブの具体例であり、図11(B)は、入れ替え後の結合ジョブの状態の例を示す図である。なお、図中のカッコ内の番号は、入れ替え前の順序を示している。
図11(A)に示す結合ジョブは、3つの構成ジョブからなる結合ジョブの例であり、ジョブ1が画質優先でジョブ2とジョブ3が画質非優先の場合の例である。なお、入れ替えを行わない場合には、図11(A)に示すように、ジョブ1が画質優先で、ジョブ1の印刷中に適正規定枚数に達することから、開始タイミング特定部19gは、ジョブ1を特定する。
本例では、図11に示すように、ジョブ2の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、入れ替え可能であることから(ステップS010;YES)、入替処理部19fは、構成ジョブの順序の入れ替えを行う(ステップS011)。したがって、本例では、図11に示すように、画質非優先のジョブ2とジョブ3が画質優先のジョブ1の前に移動される。また、適正規定枚数より後に画質優先のジョブ3が印刷されることから(ステップS013;YES)、開始タイミング特定部19gは、ジョブ3を特定する(ステップS014)。そして、ジョブ3は、図11(B)に示すように、上限規定枚数より後に印刷を開始しないことから(ステップS015;NO)、開始タイミング特定部19gは、再特定を行うことなく、ジョブ3を開始タイミングとして特定する。
なお、本実施形態1において結合ジョブを例にして説明したが、一つのジョブからなるジョブ(いわゆる、通常のジョブ)においても本実施形態1の構成を適用することができる。この場合、処理対象のジョブの「画質設定」が画質優先であり、印刷中に累積枚数が適正規定枚数に達する場合には、メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、処理対象のジョブの印刷処理を開始する前に自動メンテナンスを実行させる。一方、処理対象のジョブの「画質設定」が画質非優先であり、印刷中に累積枚数が上限規定枚数に達しない場合には、メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、処理対象のジョブの印刷処理が終了した後に自動メンテナンスを実行させる。
上記実施形態1によれば、印刷装置10は、印刷中に自動メンテナンスの開始タイミング(累積枚数が適正規定枚数に達したタイミング)が到来するジョブの「画質設定」が画質優先の場合には、当該ジョブの印刷処理の前に自動メンテナンスを実行し、印刷中に自動メンテナンスの開始タイミングが到来するジョブの「画質設定」が画質非優先の場合であって、上限規定枚数に達する前に当該ジョブの印刷処理が可能である場合には、当該ジョブの印刷処理の直後に自動メンテナンスを実行する。このようにすることで、ジョブの印刷処理中に自動メンテナンスの開始タイミングが到来する際に、画質設定を考慮して自動メンテナンスの開始タイミングをずらすことが可能となる。
また、上記実施形態1によれば、印刷装置10は、自動メンテナンスの開始タイミング(累積枚数が適正規定枚数に達したタイミング)より後に印刷処理が終了する画質優先の構成ジョブの中で最初に処理される画質優先の構成ジョブを特定する。そして、印刷装置10は、特定した画質優先の構成ジョブの印刷開始タイミングが上限規定枚数に達した後ではない場合には、特定した画質優先の構成ジョブの印刷処理の直前に自動メンテナンスを実行する。一方、印刷装置10は、特定した画質優先の構成ジョブの印刷開始タイミングが上限規定枚数に達した後である場合には、印刷中に累積枚数が上限規定枚数に達する構成ジョブを特定し、特定した構成ジョブの印刷処理の直前に自動メンテナンスを実行する。このようにすることで、画質設定を考慮しつつ、自動メンテナンスを実行する前に可能な限り多くの印刷処理を行うことが可能となる。
また、上記実施形態1によれば、印刷装置10は、自動メンテナンスの開始タイミング(累積枚数が適正規定枚数に達したタイミング)より後に印刷処理が終了する画質優先の構成ジョブが無い場合には、印刷中に累積枚数が上限規定枚数に達する構成ジョブを特定し、特定した構成ジョブの印刷処理の直前に自動メンテナンスを実行する。このようにすることで、自動メンテナンスを実行する前に可能な限り多くの印刷処理を行うことが可能となる。したがって、自動メンテナンスの頻度を極力少なくすることが可能となり、処理の中断を極力抑制することができる。また、自動メンテナンスの頻度を少なくすることで、インク資源の無駄を抑えることが可能となる。
(変形例1)
上記実施形態1において、開始タイミング特定処理のステップS006の結合ジョブの印刷処理の後に、処理はステップS001の処理に戻ると説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、図12に示すように、ステップS006の処理の後に、累積枚数が適正規定枚数を超えているか否かを判定するように構成してもよい。
図12は、本変形例1における開始タイミング特定処理のフローを説明するためのフローチャートの例の一部である。以下に、実施形態1とは異なる部分を中心に本変形例1における開始タイミング特定処理の流れについて説明する。なお、図12に示すように、本変形例1においては、実施形態1におけるステップS003の処理が省かれる。
画像記録制御部19iは、画像記録部17を制御して、生成されたラスタデータに基づいて、印刷用紙への記録処理(印刷処理)を行わせる(ステップS006)。そして、判定部19aは、累積枚数が適正規定枚数を超えているか否かを判定する(ステップS006A)。
判定部19aにより適正規定枚数を超えていると判定された場合には(ステップS006A;YES)、メンテナンス機構制御部19jは、メンテナンス機構18を制御して、自動メンテナンスを実行させる(ステップS006B)。そして、処理はステップS001の処理へと戻り、前述の処理を繰り返す。一方、判定部19aにより適正規定枚数を超えていないと判定された場合には(ステップS006A;NO)、自動メンテナンスが実行されることなく、処理はステップS001の処理へと戻り、前述の処理を繰り返す。
上記変形例1によれば、印刷装置10は、構成ジョブの全てが画質非優先であり、上限規定枚数に達する前に全ての構成ジョブの印刷処理を終えることが可能な場合に、当該結合ジョブの印刷処理後に自動メンテナンスを実行する。このようにすることで、結合ジョブ全体の印刷処理が終了した時点で累積枚数が適正規定枚数を超えてしまっている場合には、次のジョブの印刷処理前に自動メンテナンスを実行しておくことが可能となる。したがって、自動メンテナンスのために処理が中断されてしまうのを抑制することが可能となる。
(実施形態2)
実施形態1においては、結合ジョブを例にして説明した。本実施形態2においては、一つのジョブで複数部数を印刷する場合を例にして説明する。複数部数を印刷するジョブは、広義の結合ジョブとみなすことが可能である。なぜなら、複数部数を印刷するジョブは、構成ジョブを全て同一のジョブとみなせばよいからである。つまり、一つのジョブの処理において複数の単位(以下、処理単位という)に区切ることが可能なジョブについて、実施形態1の構成を適用することが可能である。実施形態1の構成を適用する場合、構成ジョブを処理単位に置換し、入れ替え処理を行わないようにすればよい。
例えば、複数部数を印刷する場合において、出力形式が部単位の場合は部単位が処理単位となる。また、複数部数を印刷する場合において、出力形式がページ単位の場合はページ単位が処理単位となる。
ここで、図13と図14を参照して、実施形態1の構成を処理単位に適用した場合の開始タイミングの特定について説明する。図13(A)と(B)は、いずれも、実施形態1の構成を処理単位に適用した場合の自動メンテナンスの開始タイミングを説明するための具体例である。図14(A)乃至(D)は、いずれも、実施形態1の構成を別の処理単位に適用した場合の自動メンテナンスの開始タイミングを説明するための具体例である。
図13に示すジョブは、部単位が処理単位となる場合の例であり、3ページの印刷物を3部印刷する場合の例である。図中の番号はページを表しており、処理単位毎に1ページ乃至3ページが印刷処理されることを示している。
図13(A)の例は、処理対象のジョブが画質非優先である場合の例である。この場合、図13(A)に示すように、処理単位1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先の処理単位を印刷しない(ステップS013;NO)。また、処理単位3の印刷中に上限規定枚数を超えることから(ステップS016;YES)、開始タイミング特定部19gは、処理単位3を特定する(ステップS017)。
図13(B)の例は、処理対象のジョブが画質優先である場合の例である。この場合、図13(B)に示すように、処理単位1の印刷中に適正規定枚数を超え(ステップS004;YES)、適正規定枚数より後に画質優先の処理単位1を印刷する(ステップS013;YES)。したがって、開始タイミング特定部19gは、処理単位1を特定する(ステップS014)。また、処理単位1は、図13(B)に示すように、上限規定枚数より後に印刷を開始しないことから(ステップS015;NO)、開始タイミング特定部19gは、再特定を行うことなく、処理単位1を開始タイミングとして特定する。
図14に示すジョブは、ページ単位が処理単位となる場合の例であり、図13の例と同様に、3ページの印刷物を3部印刷する場合の例である。図14(A)乃至(D)に示す各具体例は、図9(A)乃至(D)に示す各具体例に対応しており、処理対象を結合ジョブとした場合と同様の開始タイミングが特定されることを示している。
なお、出力形式がページ単位の場合における処理単位の「画質設定」は、例えば、ジョブの「画質設定」に基づいて特定するように構成してもよいし、ページに含まれるオブジェクトの中に所定解像度、あるいは、所定階調以上の画像が含まれているか否かに基づいて、ページ毎に特定するように構成してもよい。
上記実施形態2によれば、適用範囲を処理単位に区切ることが可能なジョブに拡張することが可能である。
(実施形態3)
実施形態1においては、構成ジョブの順序が入れ替え可能である場合には、画質非優先の構成ジョブを画質優先のジョブより前に移動した。そのため、入れ替えによる自動メンテナンスの頻度を少なくするという効果が無い場合であっても、入れ替えが行われてしまう。また、一律に画質非優先のジョブを画質優先のジョブの前に移動すると、場合によっては、入れ替えにより自動メンテナンスの開始が早まってしまうことがある。
上述の問題点を、図15を参照して、具体例にしたがってさらに説明する。図15(A)は、入れ替え可能な結合ジョブの具体例であり、図15(B)は、実施形態1の構成を適用した場合における入れ替え後の結合ジョブの状態を示す図であり、図15(C)は、図15(B)以外の入れ替え後の結合ジョブの状態の例を示す図である。なお、図中のカッコ内の番号は、入れ替え前の順序を示している。ここで、入れ替え可能な結合ジョブは、上述したように、「ジョブの入れ替え可」のチェックボックスにチェックが入れられた結合ジョブである。
図15(A)に示す結合ジョブは、3つの構成ジョブからなる結合ジョブの例であり、ジョブ1とジョブ2が画質優先でジョブ3が画質非優先の場合の例である。なお、入れ替えを行わない場合には、開始タイミング特定部19gは、図15(A)に示すように、印刷中に適正規定枚数に達する画質優先のジョブ2を特定する。
図15(B)は、実施形態1で説明した方法にしたがって入れ替えを行った後の結合ジョブを示している。この場合、開始タイミング特定部19gは、図15(B)に示すように、印刷中に適正規定枚数に達する画質優先のジョブ2を特定する。したがって、入れ替え前におけるジョブ1とジョブ3の印刷枚数が同じ場合には、入れ替えをおこなったとしても、実質的に、自動メンテナンスの頻度を少なくするなどの効果が得られないことになる。
図15(C)は、実施形態1で説明した方法にしたがわずに、画質非優先のジョブ3を画質優先のジョブ1とジョブ2の間に移動した場合の結合ジョブの状態を示している。この場合、最初の画質優先のジョブ1は適正規定枚数より前に印刷処理を終えることができ、次の画質非優先のジョブ2は上限規定枚数より前に印刷処理を終えることができることから、開始タイミング特定部19gは、図15(C)に示すように、3番目に処理される画質優先のジョブ3を特定する。つまり、この場合、自動メンテナンスの頻度を少なくする効果がより高いことがわかる。
そこで、本実施形態3においては、入れ替えの最適化を行い、入れ替えによる自動メンテナンスの頻度を少なくする効果を最大化する。
本実施形態3における印刷装置10の基本的な構成は、実施形態1の場合と同じである。但し、入替処理部19fが果たす機能が、実施形態1の場合と若干異なっている。
本実施形態3における入替処理部19fは、処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの順序を入れ替え可能な場合に、入れ替えの最適化を行う。より具体的には、結合ジョブを構成する構成ジョブの中に画質優先の構成ジョブが有る場合に、入替処理部19fは、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定する。例えば、ジョブ1乃至ジョブ6からなる結合ジョブにおいて、ジョブ1とジョブ3とジョブ6が画質優先の構成ジョブであり、ジョブ1とジョブ3までは適正規定枚数に達する前に印刷可能な場合には、入替処理部19fは、ジョブ1とジョブ3を特定する。
そして、そのような画質優先の構成ジョブを特定できた場合には、入替処理部19fは、特定した構成ジョブを前に移動する。例えば、ジョブ1とジョブ3とが特定された場合には、移動後の結合ジョブは結合ジョブ(1,3,2,4,5,6)となる。
そして、画質非優先の構成ジョブが無い場合には、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了する。一方、画質非優先の構成ジョブが有る場合には、入替処理部19fは、移動した画質優先の構成ジョブの直後に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な構成ジョブを、画質非優先の構成ジョブの中から特定する。
そして、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できない場合には、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了する。一方、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できた場合であって、特定した画質非優先の構成ジョブが、先に特定した画質優先の構成ジョブ以外の全ての構成ジョブである場合には、特定した画質非優先の構成ジョブを移動する必要がないので、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了する。
そのような画質非優先の構成ジョブを特定できた場合であって、特定した画質非優先の構成ジョブが、先に特定した画質優先の構成ジョブ以外の全ての構成ジョブではない場合には、入替処理部19fは、特定した画質非優先の構成ジョブを、先に移動した画質優先の構成ジョブの直後に移動する。
また、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定できなかった場合であって、画質非優先の構成ジョブが無い場合には、入替処理部19fは、入れ替えを行うことなく処理を終了する。
一方、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定できなかった場合であって、画質非優先の構成ジョブが有る場合には、入替処理部19fは、先に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な構成ジョブを、画質非優先の構成ジョブの中から特定する。例えば、画質非優先の構成ジョブであるジョブ2、ジョブ4、ジョブ5の中で、ジョブ2とジョブ4とジョブ5が上限規定枚数に達する前に印刷可能な場合には、入替処理部19fは、ジョブ2とジョブ4とジョイ5を特定する。
そして、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できない場合には、入替処理部19fは、入れ替えを行うことなく処理を終了する。一方、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できた場合には、特定した画質非優先の構成ジョブは処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの全てではないので、入替処理部19fは、特定した画質非優先の構成ジョブを前に移動する。
また、処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブが全て画質非優先である場合には、入替処理部19fは、先に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な構成ジョブを、画質非優先の構成ジョブの中から特定する。
そして、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できない場合には、入替処理部19fは、入れ替えを行うことなく処理を終了する。また、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できた場合であっても、特定した画質非優先の構成ジョブが処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの全てにあたる場合には、入れ替える必要がないので、入替処理部19fは、入れ替えを行うことなく処理を終了する。
一方、そのような画質非優先の構成ジョブを特定できた場合であって、特定した画質非優先の構成ジョブが処理対象の結合ジョブを構成する構成ジョブの全てではない場合には、入替処理部19fは、特定した画質非優先の構成ジョブを前に移動する。
次に、図16を参照して、本実施形態3における開始タイミング特定処理の流れについて説明する。図16は、本実施形態3における開始タイミング特定処理のフローを説明するためのフローチャートの例の一部である。本開始タイミング特定処理は、結合ジョブの入力をトリガとして開始される。なお、実施形態1の場合と同じ処理については同一の符号を付すこととし、ここでは、異なる部分を中心に説明する。
処理はステップS009の処理の後、ステップS010の処理へと進み、判定部19aは、構成ジョブの順序は入れ替え可能であるか否かを判定する(ステップS010)。判定部19aにより入れ替え可能ではないと判定された場合には(ステップS010;NO)、処理は実施形態1で説明したステップS012の処理へと進む。
一方、判定部19aにより入れ替え可能であると判定された場合には(ステップS010;YES)、入替処理部19fは、ジョブ入替処理を実行する(ステップS011A)。そして、処理は実施形態1で説明したステップS012の処理へと進む。
次に、図17と図18を参照して、本実施形態3におけるジョブ入替処理の流れについて説明する。図17と図18は、それぞれ、本実施形態3におけるジョブ入替処理のフローを説明するためのフローチャートの例の一部と、他の一部である。本ジョブ入替処理は、本実施形態3における開始タイミング特定処理のステップS011Aの処理に対応する処理である。
入替処理部19fは、結合ジョブを構成する構成ジョブの中に画質優先の構成ジョブが有るか否かを判定する(ステップS301)。入替処理部19により画質優先の構成ジョブは無いと判定された場合には(ステップS301;NO)、処理は後述のステップS402の処理へと進む。
一方、画質優先の構成ジョブが有ると判定した場合には(ステップS301;YES)、入替処理部19fは、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定する(ステップS302)。そして、入替処理部19fは、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定できたか否かを判定する(ステップS303)。
入替処理部19により画質優先の構成ジョブを特定できなかったと判定された場合には(ステップS303;NO)、処理は後述のステップS401の処理へと進む。一方、画質優先の構成ジョブが特定できたと判定した場合には(ステップS303;YES)、入替処理部19fは、特定した画質優先の構成ジョブを前に移動する(ステップS304)。そして、入替処理部19fは、結合ジョブを構成する構成ジョブの中に、画質非優先の構成ジョブが有るか否かを判定する(ステップS305)。
画質非優先の構成ジョブは無いと判定された場合には(ステップS305;NO)、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了し、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。一方、画質非優先の構成ジョブが有ると判定した場合には(ステップS305;YES)、入替処理部19fは、移動した画質優先の構成ジョブの直後に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な構成ジョブを、画質非優先の構成ジョブの中から特定する(ステップS306)。
そして、入替処理部19fは、上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できたか否かを判定する(ステップS307)。上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できなかったと判定した場合には(ステップS307;NO)、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了し、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
一方、上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できたと判定した場合には(ステップS307;YES)、入替処理部19fは、更に、特定した画質非優先の構成ジョブは、先に移動した画質優先の構成ジョブ以外の全ての構成ジョブにあたるか否かを判定する(ステップS308)。
特定した画質非優先の構成ジョブは、先に移動した画質優先の構成ジョブ以外の全ての構成ジョブにあたると判定した場合には(ステップS308;YES)、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了し、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。一方、特定した画質非優先の構成ジョブが、先に移動した画質優先の構成ジョブ以外の全ての構成ジョブではないと判定した場合には(ステップS308;NO)、入替処理部19fは、先に移動した画質優先の構成ジョブの直後に特定した画質非優先の構成ジョブを移動する(ステップS309)。そして、入替処理部19fは、この時点で、構成ジョブの入れ替えを終了し、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
ステップS303の処理において、画質優先の構成ジョブが特定できなかったと判定した場合には(ステップS303;YES)、入替処理部19fは、更に、結合ジョブを構成する構成ジョブの中に、画質非優先の構成ジョブが有るか否かを判定する(ステップS401)。画質非優先の構成ジョブは無いと判定した場合には(ステップS401;NO)、入替処理部19fは、構成ジョブの入れ替えを行うことなく本処理を終了する。そして、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
一方、画質非優先の構成ジョブは無いと判定した場合には(ステップS401;YES)、入替処理部19fは、先に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な構成ジョブを、画質非優先の構成ジョブの中から特定する(ステップS402)。そして、入替処理部19fは、上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できたか否かを判定する(ステップS403)。
上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できなかったと判定した場合には(ステップS403;NO)、入替処理部19fは、構成ジョブの入れ替えを行うことなく本処理を終了する。そして、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
一方、上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定できたと判定した場合には(ステップS403;YES)、入替処理部19fは、更に、特定した画質非優先の構成ジョブは、全ての構成ジョブにあたるか否かを判定する(ステップS404)。特定した画質非優先の構成ジョブは全ての構成ジョブであると判定した場合には(ステップS404;YES)、入替処理部19fは、構成ジョブの入れ替えを行うことなく本処理を終了する。そして、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
一方、特定した画質非優先の構成ジョブが全ての構成ジョブではないと判定した場合には(ステップS404;NO)、入替処理部19fは、特定した画質非優先の構成ジョブを前に移動する(ステップS405)。そして、本処理を終了し、処理は開始タイミング特定処理のステップS012の処理へと移行する。
次に、図19を参照して、具体例にしたがって、本実施形態3における構成ジョブの入れ替えと開始タイミングの特定について説明する。図19(A)は、入れ替え可能な結合ジョブの具体例であり、図19(B)と(C)は、それぞれ、本実施形態3の構成を適用した場合における別々の時点の結合ジョブの状態の例を示す図である。なお、図中のカッコ内の番号は入れ替え前の順序を示している。
図19(A)に示す結合ジョブは、5つの構成ジョブからなる結合ジョブであり、ジョブ2乃至4が画質優先の構成ジョブで、ジョブ1とジョブ5が画質非優先の構成ジョブである結合ジョブの例である。なお、図19(A)は、入れ替え前の結合ジョブの状態を示している。なお、入れ替えを行わない場合には、図19(A)に示すように、ジョブ1は画質非優先であり、画質優先のジョブ2の印刷中に適正規定枚数に達することから、開始タイミング特定部19gは、ジョブ2を特定する。
次に、図19(A)に示す結合ジョブに対し、本実施形態3のジョブ入替処理を適用した場合について説明する。まず、画質優先の構成ジョブが有ることから(ステップS301;YES)、入替処理部19fは、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブであるジョブ2とジョブ3を特定する(ステップS302、ステップS303;YES)。そして、入替処理部19fは、特定したジョブ2とジョブ3をジョブ1の前に移動する(ステップS304)。図19(B)は、ジョブ2とジョブ3をジョブ1の前に移動した後の結合ジョブの状態を示している。
そして、画質非優先の構成ジョブがあるので(ステップS305;YES)、入替処理部19fは、移動したジョブ2とジョブ3の直後に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブであるジョブ5を特定する(ステップS306、ステップS307;YES)。本例では、ジョブ1など特定されていない構成ジョブが残っているので(ステップS308;NO)、入替処理部19fは、ジョブ2とジョブ3の直後に特定したジョブ5を移動する(ステップS309)。図19(C)は、ジョブ5をジョブ2とジョブ3の直後に移動した後の結合ジョブの状態を示している。
上記実施形態3によれば、印刷装置10は、自動メンテナンスを開始する前に可能な限り多くの枚数を印刷処理できるように結合ジョブを構成する構成ジョブの順序を入れ替える。このようにすることで、自動メンテナンスの頻度を極力少なくすることが可能となり、処理の中断を極力抑制することができる。また、自動メンテナンスの頻度を少なくすることで、インク資源の無駄を抑えることが可能となる。
また、上記実施形態3によれば、印刷装置10は、先に印刷すれば適正規定枚数に達する前に印刷可能な画質優先の構成ジョブを特定し、特定した画質優先の構成ジョブの順序を前にする。このようにすることで、順序を前にした画質優先の構成ジョブの印刷処理のすぐ後に自動メンテナンスが開始されたとしても、順序を前にした画質優先の構成ジョブは適正規定枚数に達するより前に印刷処理されるので、画質を保障することが可能となる。
また、上記実施形態3によれば、印刷装置10は、順序を前にした画質優先の構成ジョブの直後に印刷すれば上限規定枚数に達する前に印刷可能な画質非優先の構成ジョブを特定し、特定した画質非優先の構成ジョブの順序を、順序を前にした画質優先の構成ジョブの直後にする。このようにすることで、自動メンテナンスが開始される前に、可能な限り多くの印刷処理を行うことが可能となる。したがって、自動メンテナンスの頻度を極力少なくすることが可能となり、処理の中断を極力抑制することができる。また、自動メンテナンスの頻度を少なくすることで、インク資源の無駄を抑えることが可能となる。
なお、上記動作を実行するための動作プログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶して配布し、これを印刷装置10のコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行するように構成してもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを記憶しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上に述べた実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は実施形態を取ることができる。