実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、一対の電極間に挟持された発光層を含む発光素子について、図1を用いて説明する。
まず、図1(A)に示す発光素子について、以下説明を行う。
本実施の形態に示す発光素子は、図1(A)に示すように第1の電極101と第2の電極103の間に、EL層102が挟持されており、EL層102は、少なくとも発光層113を含み、発光層113の他に正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115などを含んで形成される。なお、本実施の形態においては、第1の電極101を陽極として用い、第2の電極103を陰極として用いる。
また、発光層113は、有機化合物を含み、該有機化合物が、1,2,4トリアゾール骨格と、フェニル骨格と、アリーレン骨格と、第9族または第10族の金属と、を有し、1,2,4トリアゾール骨格の4位の窒素が第9族または第10族の金属に配位し、且つ1,2,4トリアゾール骨格の1位の窒素がフェニル骨格に結合し、アリーレン骨格が1,2,4トリアゾール骨格の3位に結合し、且つ第9族または第10族の金属に結合する。
該有機化合物は、燐光発光をすることができる。特に、該有機化合物が、3つの1−フェニル−3−アリール−1H−1,2,4−トリアゾ−ル骨格を有し、1−フェニル−3−アリール−1H−1,2,4−トリアゾ−ル骨格の4位の窒素がイリジウムに配位し、アリール基がイリジウムに結合したトリス型の構造が、極めて色純度の高い青色の燐光発光をすることができる。
また、上述した有機化合物を一対の電極間に有する発光素子は、電圧を印加することにより、極めて色純度の高い青色の燐光発光が可能であり、高効率で発光することができる。したがって、上記有機化合物を発光素子に用いることで、低い駆動電圧、高い電流効率、及び長寿命な発光素子を実現できる。
以下に本実施の形態に示す発光素子について、より詳細に説明する。
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル等からなる)、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極101および第2の電極103には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、シリコンまたは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他、グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極101および第2の電極103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いる正孔輸送性の高い物質としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)、または芳香族アミン化合物を用いることができる。例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニル−カルバゾール(略称:CzTP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。
上述した中でも、カルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
さらに、正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いることのできる材料としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層111、及び正孔輸送層112は、上記正孔輸送性の高い物質と、アクセプター性を有する物質との混合層を用いてもよい。この場合、キャリア注入性が良好となり好ましい。用いるアクセプター性物質としては元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。
発光層113は、例えば、電子輸送性材料をホスト材料(第1の有機化合物)として含み、三重項励起エネルギーを発光に変える発光性材料をゲスト材料(第2の有機化合物)として含み、正孔輸送性材料をアシスト材料(第3の有機化合物)として含んで形成される層であると好ましい。なお、ホスト材料とアシスト材料の関係は、上記構成に限定されず、電子輸送性材料をアシスト材料として用い、正孔輸送性材料をホスト材料としても良い。
ここで、上記ゲスト材料(第2の有機化合物)として、1,2,4トリアゾール骨格と、フェニル骨格と、アリーレン骨格と、第9族または第10族の金属と、を有し、1,2,4トリアゾール骨格の4位の窒素が第9族または第10族の金属に配位し、且つ1,2,4トリアゾール骨格の1位の窒素がフェニル骨格に結合し、アリーレン骨格が1,2,4トリアゾール骨格の3位に結合し、且つ第9族または第10族の金属に結合する有機化合物を用いる。
また、上記構成において、フェニル骨格が、メチル骨格に結合すると、合成の収率が向上するため好ましい。
また、上記構成において、金属がイリジウムであると、燐光量子収率が高くなり好ましい。また、金属がイリジウムであると、スピン−軌道相互作用が大きくなり、また、配位子の1,2,4−トリアゾール骨格への電荷の移動(三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移ともいう)が起こり易くなる。その結果、燐光発光のような禁制遷移が生じやすくなる上に、三重項励起寿命も短くなり、有機化合物の発光効率を高める効果を奏するため好ましい。
上記有機化合物としては、具体的には以下の一般式(G1)〜(G3)で表すことができる。
一般式(G1)、一般式(G2)、及び一般式(G3)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。また、Mは、第9族元素または第10族元素のいずれかを表す。
また、一般式(G2)において、Mが第9族元素の時はn=3であり、第10族元素の時はn=2である。
また、一般式(G3)において、Lはモノアニオン性の二座配位子を表し、Mが第9族元素の時はn=2であり、第10族元素の時はn=1である。
なお、一般式(G1)で表される構造を含む有機化合物は燐光発光することができるため、発光素子の発光層に適用する際に有益である。
特に、一般式(G1)で表される構造を含み、かつ最低三重項励起状態が形成される有機化合物は、効率よく燐光を放出することができるため好ましい。このような態様を実現するためには、例えば、最低三重項励起エネルギーが、該有機化合物を構成する他の骨格(すなわち配位子)の最低三重項励起エネルギーと同じになるか、またはそれより低くなるように、配位子を選択すればよい。このような構成とすることで、配位子がどのようなものであっても、最終的には分子全体で最低三重項励起状態が形成されるため燐光発光が得られる。したがって、高効率な燐光発光を得ることができる。例えば一般式(G1)で表される構造を側鎖として有するビニルポリマー等が挙げられる。
ここで、一般式(G1)で表される構造を含む有機化合物、一般式(G2)で表される有機化合物、及び一般式(G3)で表される有機化合物の合成方法の一例について以下説明を行う。
<一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体の合成法>
まず、下記一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体の合成法の一例について説明する。
一般式(G0)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。
下記合成スキーム(a)に示すように、アシルアミジン化合物(A1)と、ヒドラジン化合物(A2)とを反応させることにより、1H−1,2,4−トリアゾール誘導体を得ることができる。なお、式中Zは閉環反応によって脱離する基(脱離基)を表し、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
合成スキーム(a)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。
ただし、1H−1,2,4−トリアゾール誘導体の合成法は、合成スキーム(a)のみに限定されるものではない。たとえば、1,3,4−オキサジアゾール誘導体とアリールアミンを加熱する方法もある。
以上のように、一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体は、ごく簡便な合成スキームにより合成することができる。
なお、上述の化合物(A1)、(A2)は、様々な種類が市販されているか、または合成可能である。たとえばアシルアミジン化合物(A1)は、塩化アルカノイルとアリールイミノエーテルを反応させることにより合成することができ、このときの脱離基Zはアルコキシル基である。このように、一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体は数多くの種類を合成することができる。したがって、一般式(G1)で表される構造を含む有機化合物は、その配位子のバリエーションが豊富であるという特徴を有する。そして、このように配位子のバリエーションが豊富な有機化合物を発光素子に用いることにより、発光素子に求められる素子特性の微調整を容易に行うことができる。
<一般式(G2)で表される有機化合物の合成方法>
一般式(G2)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(b)により合成することができる。すなわち、一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体と、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物(塩化ロジウム水和物、塩化パラジウム、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、テトラクロロ白金酸カリウムなど)、もしくは第9族または第10族の有機金属錯体化合物(アセチルアセトナト錯体、ジエチルスルフィド錯体等)とを混合した後、加熱することにより、一般式(G2)で表される有機化合物を得ることができる。
また、この加熱プロセスは、アルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等)中で行ってもよい。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(b)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。また、Mは、第9族元素または第10族元素のいずれかを表す。また、Mが第9族元素の時はn=3であり、第10族元素の時はn=2である。
ただし、一般式(G2)で表される有機化合物の合成法は、合成スキーム(b)のみに限定されるものではない。たとえば、次の合成スキーム(c)に示すハロゲンで架橋した複核錯体(B)と一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体を加熱する方法もある。このとき、反応を促進させるために、トリフルオロ酢酸銀やトリフルオロメチルスルホン酸銀などの銀塩を添加しても良い。
<一般式(G3)で表される有機化合物の合成方法>
一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(c)により合成することができる。すなわち、一般式(G0)で表される1H−1,2,4−トリアゾール誘導体と、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物(塩化ロジウム水和物、塩化パラジウム、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、テトラクロロ白金酸カリウムなど)とを無溶媒、またはアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなど)単独、あるいはアルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒を用いて、不活性ガス雰囲気にて加熱することにより、ハロゲンで架橋された構造を有する有機金属錯体の一種であり、新規物質である複核錯体(B)を得ることができる。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(c)において、Xはハロゲンを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素のいずれかを表す。また、Mが第9族元素の時はn=2であり、第10族元素の時はn=1である。
さらに、下記合成スキーム(d)に示すように、上述の合成スキーム(c)で得られる複核錯体(B)と、モノアニオン性の配位子の原料HLとを、不活性ガス雰囲気にて反応させることにより、HLのプロトンが脱離してLがMに配位し、一般式(G3)で表される有機化合物が得られる。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(d)において、Lはモノアニオン性の二座配位子を表し、Xはハロゲンを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。また、R1は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素のいずれかを表す。また、Mが第9族元素の時はn=2であり、第10族元素の時はn=1である。
なお、モノアニオン性の二座配位子としては、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子などがあるが、具体例としては、下記構造式(L1)乃至(L6)で表される配位子が挙げられる。
構造式(L1)乃至(L6)において、R71〜R90は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または炭素数1〜4のアルキルチオ基のいずれか一を表す。また、A1、A2、A3は、それぞれ独立に、窒素N、または炭素C−Rを表し、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1〜4のハロアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。
以上、合成方法の一例について説明したが、本発明の一態様に用いる発光素子に含む有機化合物は、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
また、一般式(G1)乃至一般式(G3)で表される構造を含む有機化合物の具体例としては、構造式(100)〜(135)で表される有機化合物が挙げられる。ただし、本発明の一態様に用いる発光素子に含む有機化合物は、これらに限定されるものではない。
なお、上記構造式(100)〜(135)で表される有機化合物には、配位子の種類によっては立体異性体が存在しうるが、本発明の一態様の発光素子に用いることのできる有機化合物にはこれらの異性体も全て含まれる。
また、発光層113に用いる正孔輸送性材料、すなわちアシスト材料(第3の有機化合物)としては、正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いることのできる正孔輸送性の高い物質を用いればよい。
とくに、発光層113に用いるアシスト材料(第3の有機化合物)としては、カルバゾール骨格を含む化合物が好ましい。カルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
なお、これらのホスト材料(第1の有機化合物)およびアシスト材料(第3の有機化合物)は、青色の領域に吸収スペクトルを有さないことが好ましい。具体的には、吸収スペクトルの吸収端が440nm以下であることが好ましい。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層114には、上述した電子輸送性材料の他、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、BAlq、Zn(BOX)2、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。
また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、及び電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
また、上述した発光素子は、第1の電極101および第2の電極103との間に与えられた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
次に、図1(B)及び図1(C)に示す発光素子について、以下説明を行う。
図1(B)に示す発光素子は、第1の電極301と、第2の電極303の間に、複数の発光層(第1の発光層311、及び第2の発光層312)を有するタンデム型の発光素子である。
第1の電極301は、陽極として機能する電極であり、第2の電極303は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301及び第2の電極303は、第1の電極101及び第2の電極103と同様な構成を用いることができる。
また、複数の発光層(第1の発光層311、第2の発光層312)は、発光層113と同様の構成を用いることができる。なお、第1の発光層311と第2の発光層312は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、いずれか一方に発光層113と同様の構成を用いればよい。また、第1の発光層311、第2の発光層312以外に、先に説明した、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、及び電子注入層115を適宜設けてもよい。
また、複数の発光層(第1の発光層311、第2の発光層312)の間には、電荷発生層313が設けられている。電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極303に電圧を印加したときに、一方の発光層に電子を注入し、他方の発光層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極303よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層313から第1の発光層311に電子が注入され、第2の発光層312に正孔が注入される。
なお、電荷発生層313は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層313に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層313は、第1の電極301や第2の電極303よりも低い導電率であっても機能する。
電荷発生層313は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq3、BeBq2、BAlqなど、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層313を形成することにより、発光層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
図1(B)においては、発光層を2層有する発光素子について説明したが、図1(C)に示すように、n層(ただし、nは、3以上)の発光層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光層を有する場合、発光層と発光層との間に電荷発生層313を配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、発光面積の大きな発光装置の場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
また、それぞれの発光層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光層を有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光と混合すると、白色発光を得ることができる。
また、3つの発光層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光層の発光色が赤色であり、第2の発光層の発光色が緑色であり、第3の発光層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に示す一対の電極間に挟持された発光層を含む発光素子は、発光層に有機化合物を有し、該有機化合物が、1,2,4トリアゾール骨格と、フェニル骨格と、アリーレン骨格と、第9族または第10族の金属と、を有し、1,2,4トリアゾール骨格の4位の窒素が第9族または第10族の金属に配位し、且つ1,2,4トリアゾール骨格の1位の窒素がフェニル骨格に結合し、アリーレン骨格が1,2,4トリアゾール骨格の3位に結合し、且つ第9族または第10族の金属に結合する。
上述した有機化合物を一対の電極間に有する発光素子は、電圧を印加することにより、極めて色純度の高い青色の燐光発光が可能であり、高効率で発光することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態2)
本実施の形態では、励起錯体(エキサイプレックスとも言う)を形成する組み合わせの有機化合物を発光層に用いた発光素子について、図2(A)及び図2(B)を用いて説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図2(A)に示すように第1の電極201及び第2の電極203間にEL層210を有する構造である。なお、EL層210には、少なくとも発光層223が含まれ、その他、正孔注入層221、正孔輸送層222、電子輸送層224、電子注入層225などが含まれていても良い。正孔注入層221、正孔輸送層222、電子輸送層224、電子注入層225に用いることのできる材料としては、実施の形態1に示した正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115に用いることのできる材料を、それぞれ適用することができる。また、本実施の形態においては、第1の電極201を陽極として用い、第2の電極203を陰極として用いる。
発光層223は、第1の有機化合物213と、第2の有機化合物214と、第3の有機化合物215が含まれており、本実施の形態においては、第1の有機化合物213をホスト材料として用い、第2の有機化合物214をゲスト材料として用い、第3の有機化合物215をアシスト材料として用いる。
発光層223において、上記ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制し、発光素子の発光効率を高くすることができる。
なお、第1の有機化合物213(ホスト材料)、及び第3の有機化合物215(アシスト材料)のそれぞれの三重項励起エネルギーの準位(T1準位)は、第2の有機化合物214(ゲスト材料)のT1準位よりも高いことが好ましい。第1の有機化合物213(または第3の有機化合物215)のT1準位が第2の有機化合物214のT1準位よりも低いと、発光に寄与する第2の有機化合物214の三重項励起エネルギーを第1の有機化合物213(または第3の有機化合物215)が消光(クエンチ)してしまい、発光効率の低下を招くためである。
ここで、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率を高めるため、分子間の移動機構として知られているフェルスター機構(双極子−双極子相互作用)およびデクスター機構(電子交換相互作用)を考慮した上で、ホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)とゲスト材料の吸収スペクトル(より詳細には、最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯におけるスペクトル)との重なりが大きくなることが好ましい。しかしながら通常の燐光性のゲスト材料の場合、ホスト材料の蛍光スペクトルを、ゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ねることは困難である。なぜならば、そのようにしてしまうと、ホスト材料の燐光スペクトルは蛍光スペクトルよりも長波長(低エネルギー)側に位置するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を下回ってしまい、上述したクエンチの問題が生じてしまうからである。一方、クエンチの問題を回避するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を上回るように設計すると、今度はホスト材料の蛍光スペクトルが短波長(高エネルギー)側にシフトするため、その蛍光スペクトルはゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ならなくなる。したがって、ホスト材料の蛍光スペクトルをゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ね、ホスト材料の一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることは、通常困難である。
そこで本実施形態においては、第1の有機化合物213、および第3の有機化合物215は、励起錯体を形成する組み合わせであることが好ましい。これにより、発光層223において、第1の有機化合物213の蛍光スペクトルおよび第3の有機化合物215の蛍光スペクトルは観測されず、より長波長側に位置する励起錯体の発光スペクトルが得られる。そして、励起錯体の発光スペクトルとゲスト材料(第2の有機化合物214)の吸収スペクトルとの重なりが大きくなるように、第1の有機化合物213と第3の有機化合物215を選択すれば、一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることができる(図2(B)参照)。
なお、三重項励起状態に関しても、ホスト材料単独の励起状態ではなく励起錯体からのエネルギー移動が生じると考えられる。
第1の有機化合物213としては、実施の形態1に示す電子輸送性材料を用いるとよい。また、第2の有機化合物214としては、1,2,4トリアゾール骨格と、フェニル骨格と、アリーレン骨格と、第9族または第10族の金属と、を有し、1,2,4トリアゾール骨格の4位の窒素が第9族または第10族の金属に配位し、且つ1,2,4トリアゾール骨格の1位の窒素がフェニル骨格に結合し、アリーレン骨格が1,2,4トリアゾール骨格の3位に結合し、且つ第9族または第10族の金属に結合する有機化合物を用いる。また、第3の有機化合物215としては、実施の形態1に示す正孔輸送性材料を用いるとよい。
上述した第1の有機化合物213、及び第3の有機化合物215は、励起錯体を形成できる組み合わせの一例であり、励起錯体の発光スペクトルが、第2の有機化合物214の吸収スペクトルと重なり、励起錯体の発光スペクトルのピークが、第2の有機化合物214の吸収スペクトルのピークよりも長波長であればよい。
なお、電子輸送性材料と正孔輸送性材料で第1の有機化合物213と第3の有機化合物215を構成するため、その混合比によってキャリアバランスを制御することができる。具体的には、第1の有機化合物:第3の有機化合物=1:9〜9:1の範囲が好ましい。
本実施の形態で示した発光素子は、励起錯体の発光スペクトルと燐光性化合物の吸収スペクトルとの重なりを利用したエネルギー移動により、エネルギー移動効率を高めることができるため、外部量子効率の高い発光素子を実現することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を適用した発光装置について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は発光装置を示す上面図、図3(B)は図3(A)をA−B及びC−Dで切断した断面図である。
本実施の形態の発光装置は、駆動回路部であるソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403、画素部402、封止基板404、シール材405、FPC(フレキシブルプリントサーキット)409、並びに素子基板410を有する。シール材405で囲まれた内側は、空間になっている。
なお、引き回し配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
図3(A)に示す素子基板410上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、図3(B)では、駆動回路部であるソース側駆動回路401と、画素部402中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路401はnチャネル型TFT423とpチャネル型TFT424とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、TFTで形成される種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部402はスイッチング用TFT411と、電流制御用TFT412とそのドレインに電気的に接続された第1の電極413とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極413の端部を覆って絶縁物414が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物414の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。
第1の電極413上には、EL層416、及び第2の電極417がそれぞれ形成されている。第1の電極413、EL層416、及び第2の電極417は、それぞれ実施の形態1に挙げた材料で形成することができる。
さらにシール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより、素子基板410、封止基板404、及びシール材405で囲まれた空間407に発光素子418が備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材で充填される場合もある。
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の一態様の発光素子を有するアクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
また、本発明の一態様の発光素子は、上述したアクティブマトリクス型の発光装置のみならずパッシブマトリクス型の発光装置に用いることもできる。図4に本発明の一態様の発光素子を用いたパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図及び断面図を示す。なお、図4(A)は、発光装置を示す斜視図、図4(B)は図4(A)をX−Yで切断した断面図である。
図4において、基板501上の第1の電極502と第2の電極503との間にはEL層504が設けられている。第1の電極502の端部は絶縁層505で覆われている。そして、絶縁層505上には隔壁層506が設けられている。隔壁層506の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。つまり、隔壁層506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層505と接する辺)の方が上辺(絶縁層505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層506を設けることで、クロストーク等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
以上により、本発明の一態様の発光素子を適用した発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態で示した発光装置は、いずれも本発明の一態様の発光素子を用いて形成されることから、低い駆動電圧、高い電流効率、または長寿命の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明器具の一例について、図5及び図6を用いて説明する。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
本発明の一態様の発光素子を、可撓性を有する基板上に作製することで、曲面を有する発光部を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様の発光素子が備える一対の電極を可視光に対する透光性を有する材料を用いて形成することで、シースルーの発光部を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様を適用した発光装置は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、フロントガラス、天井等に照明を設置することもできる。
図5(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図5(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図5(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図5(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図5(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図5(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図5(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図5(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、加速度センサ等の傾きを検出するセンサや、ジャイロスコープなどの検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図5(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
図6(A)は、発光装置を、室内の照明装置601として用いた例である。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置602として用いることもできる。なお、図6(A)に示すように、室内の照明装置601を備えた部屋で、卓上照明器具603を併用してもよい。
図6(B)に別の照明装置の例を示す。図6(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の発光装置を含む。このように、可撓性を有する基板上に発光素子を作製することで、曲面を有する照明装置、又はフレキシブルに曲がる照明部を有する照明装置とすることができる。このように、フレキシブルな発光装置を照明装置として用いることで、照明装置のデザインの自由度が向上するのみでなく、例えば、自動車の天井、ダッシュボード等の曲面を有する場所にも照明装置を設置することが可能となる。
以上のようにして、発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を用いて作製される発光装置について、図30を用いて説明する。
図30(A)に、本実施の形態で示す発光装置の平面図、および平面図における一点鎖線E−F間の断面図を示す。
図30(A)に示す発光装置は、第1の基板2001上に発光素子を含む発光部2002を有する。また、発光装置は、発光部2002の外周を囲むように第1の封止材2005aが設けられ、第1の封止材2005aの外周を囲むように第2の封止材2005bが設けられた構造(いわゆる、二重封止構造)である。
したがって、発光部2002は、第1の基板2001、第2の基板2006および第1の封止材2005aにより囲まれた空間に配置されている。
なお、本明細書中で、第1の封止材2005a、および第2の封止材2005bはそれぞれ、第1の基板2001および第2の基板2006に接する構成に限られない。例えば、第1の基板2001上に形成された絶縁膜や導電膜が、第1の封止材2005aと接する構成であっても良い。
上記構成において、第1の封止材2005aが乾燥剤を含む樹脂層とし、第2の封止材2005bがガラス層とすることにより、外部からの水分や酸素などの不純物の入り込みを抑制する効果(以下、封止性と呼ぶ)を高めることができる。
このように第1の封止材2005aを樹脂層とすることで、第2の封止材2005bのガラス層に割れやひび(以下、クラックと呼ぶ)が発生することを抑制することができる。また、第2の封止材2005bによる、封止性が十分に得られなくなった場合において、第1の空間2013に水分や酸素などの不純物が侵入したときでも、第1の封止材2005aの高い封止性により、第2の空間2011内に、不純物が入り込むのを抑制することができる。よって、発光部2002に不純物が入り込み、発光素子に含まれる有機化合物や金属材料等が劣化することを抑制することができる。
また、別の構成として、図30(B)に示すように第1の封止材2005aがガラス層とし、第2の封止材2005bが乾燥剤を含む樹脂層とすることもできる。
なお、本実施の形態で示した発光装置は、外周部になればなるほど、外力等による歪みが大きくなる。よって、外力等による歪みが比較的小さい第1の封止材2005aをガラス層とし、第2の封止材2005bを、耐衝撃性や耐熱性に優れ、外力等による変形で壊れにくい樹脂層とすることにより、第1の空間2013に水分や酸素が侵入することを抑制することができる。
また、上記構成に加えて、第1の空間2013や第2の空間2011に乾燥剤となる材料を有していてもよい。
第1の封止材2005a、または第2の封止材2005bをガラス層とする場合には、例えば、ガラスフリットやガラスリボン等を用いて形成することができる。なお、ガラスフリットやガラスリボンには、少なくともガラス材料が含まれることとする。
また、上述したガラスフリットとしては、ガラス材料をフリット材として含み、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、二酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化リチウム、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス等を含む。赤外光を吸収させるため、少なくとも一種類以上の遷移金属を含むことが好ましい。
また、上述したガラスフリットを用いてガラス層を形成する場合には、例えば、基板上にフリットペーストを塗布し、これに加熱処理、またはレーザ照射などを行う。フリットペーストには、上記フリット材と、有機溶媒で希釈した樹脂(バインダとも呼ぶ)とが含まれる。フリットペーストには、様々な材料、構成を用いることができる。また、フリット材にレーザ光の波長の光を吸収する吸収剤を添加したものを用いても良い。また、レーザとして、例えばNd:YAGレーザや半導体レーザなどを用いることが好ましい。また、レーザ照射の際のレーザの照射形状は、円形でも四角形でもよい。
なお、形成されるガラス層の熱膨張率は、基板の熱膨張率と近いことが好ましい。熱膨張率が近いほど、熱応力によりガラス層や基板にクラックが入ることを抑制できる。
また、第1の封止材2005a、または第2の封止材2005bを樹脂層とする場合には、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等の様々な材料を用いて形成することができるが、特に水分や酸素を透過しない材料を用いることが好ましい。特に、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。発光素子は、耐熱性の低い材料を含む場合がある。光硬化性樹脂は光が照射されることで硬化するため、発光素子が加熱されることで生じる、膜質の変化や有機化合物自体の劣化を抑制することができ、好ましい。さらに、本発明の一態様である発光素子に用いることができる有機化合物を用いてもよい。
また、上記樹脂層、第1の空間2013、または第2の空間2011が含む乾燥剤としては、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分等を吸着する物質、物理吸着によって水分等を吸着する物質のいずれを用いてもよい。例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
また、上記第1の空間2013、および第2の空間2011の一方または両方は、例えば、希ガスや窒素ガス等の不活性ガス、または有機樹脂等を有していてもよい。なお、これらの空間内は、大気圧状態または減圧状態である。
以上のように、本実施の形態で示す発光装置は、第1の封止材2005a、または第2の封止材2005bの一方が、生産性や封止性に優れたガラス層を含み、他方が、耐衝撃性や耐熱性に優れ、外力等による変形で壊れにくい樹脂層を含む二重封止構造であり、乾燥剤を内部に有することもできる構成であることから、外部からの水分や酸素などの不純物の入り込みを抑制する封止性を高めることができる。
したがって、本実施の形態に示す構成を実施することにより、水分や酸素などの不純物による発光素子の劣化が抑制された発光装置を提供することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製された発光装置について図31を用いて説明する。
図31(A)、(B)は、複数の発光素子を有する発光装置の断面図の例である。図31(A)に示す発光装置3000は、発光素子3020a、3020b、3020cを有している。
発光装置3000は、基板3001上に、それぞれ島状に分離された下部電極3003a、3003b、3003cを有する。下部電極3003a、3003b、3003cは、発光素子の陽極として機能させることができる。なお下部電極3003a、3003b、3003cとして、反射電極を設けてもよい。また下部電極3003a、3003b、3003cの上に、透明導電層3005a、3005b、3005cを設けてもよい。透明導電層3005a、3005b、3005cは、異なる色を発する素子毎に厚さが異なることが好ましい。
また、発光装置3000は、隔壁3007a、3007b、3007c、3007dを有する。より具体的には、隔壁3007aは、下部電極3003a及び透明導電層3005aの一方の端部を覆う。また、隔壁3007bは、下部電極3003a及び透明導電層3005aの他方の端部、並びに下部電極3003b及び透明導電層3005bの一方の端部を覆う。また、隔壁3007cは、下部電極3003b及び透明導電層3005bの他方の端部、並びに下部電極3003c及び透明導電層3005cの一方の端部を覆う。また、隔壁3007dは、下部電極3003c及び透明導電層3005cの他方の端部を覆う。
また、発光装置3000は、下部電極3003a、3003b、3003c並びに隔壁3007a、3007b、3007c、3007d上に、正孔注入層3009を有する。
また、発光装置3000は、正孔注入層3009上に、正孔輸送層3011を有する。また正孔輸送層3011上に発光層3013a、3013b、3013cを有する。また発光層3013a、3013b、3013c上にそれぞれ、電子輸送層3015を有する。
また、発光装置3000は、電子輸送層3015上に、電子注入層3017を有する。また電子注入層3017上に上部電極3019を有する。上部電極3019は、発光素子の陰極として機能させることができる。
なお、図31(A)では下部電極3003a、3003b、3003cを発光素子の陽極、上部電極3019を発光素子の陰極として機能させる例を説明したが、陰極と陽極の積層順を入れ替えてもよい。この場合、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層の積層順も適宜入れ替えればよい。
発光層3013a、3013b、3013cに、本発明の一態様である発光素子を適用することができる。該発光素子は低い駆動電圧、高い電流効率、または長寿命を実現することができるため、低消費電力または長寿命の発光装置3000を提供することができる。
図31(B)に示す発光装置3100は、発光素子3120a、3120b、3120cを有している。また発光素子3120a、3120b、3120cは、下部電極3103a、3103b、3103cと、上部電極3119の間に複数の発光層を有する、タンデム型の発光素子である。
発光装置3100は、基板3101上に、それぞれ島状に分離された下部電極3103a、3103b、3103cを有する。下部電極3103a、3103b、3103cは、発光素子の陽極として機能させることができる。なお下部電極3103a、3103b、3103cとして、反射電極を設けてもよい。また下部電極3103a、3103b上に、透明導電層3105a、3105bを設けてもよい。透明導電層3105a、3105bは、異なる色を発する素子毎に厚さが異なることが好ましい。図示しないが、下部電極3103c上にも透明導電層を設けてもよい。
また、発光装置3100は、隔壁3107a、3107b、3107c、3107dを有する。より具体的には、隔壁3107aは、下部電極3103a及び透明導電層3105aの一方の端部を覆う。また、隔壁3107bは、下部電極3103a及び透明導電層3105aの他方の端部、並びに下部電極3103b及び透明導電層3105bの一方の端部を覆う。また、隔壁3107cは、下部電極3103b及び透明導電層3105bの他方の端部、並びに下部電極3103c及び透明導電層3105cの一方の端部を覆う。また、隔壁3107dは、下部電極3103c及び透明導電層3105cの他方の端部を覆う。
また、発光装置3100は、下部電極3103a、3103b、3103c並びに隔壁3107a、3107b、3107c、3107d上に、正孔注入層および正孔輸送層3110を有する。
また、発光装置3100は、正孔注入層および正孔輸送層3110上に、第1の発光層3112を有する。また第1の発光層3112上に、電荷発生層3114を介して第2の発光層3116を有する。
また、発光装置3100は、第2の発光層3116上に電子輸送層および電子注入層3118を有する。さらに電子輸送層および電子注入層3118上に上部電極3119を有する。上部電極3119は、発光素子の陰極として機能させることができる。
なお、図31(B)では下部電極3103a、3103b、3103cを発光素子の陽極、上部電極3119を発光素子の陰極として機能させる例を説明したが、陰極と陽極の積層順を入れ替えてもよい。この場合、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層の積層順も適宜入れ替えればよい。
第1の発光層3112、第2の発光層3116に、本発明の一態様である発光素子を適用することができる。該発光素子は低い駆動電圧、高い電流効率、または長寿命を実現することができるため、低消費電力または長寿命の発光装置3100を提供することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製された照明装置について図32を用いて説明する。
図32(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、照明装置の平面図および断面図の例である。図32(A)、(B)、(C)は基板側に光を取り出すボトムエミッション型の照明装置である。図32(A)の一点鎖線G−Hにおける断面を図32(B)に示す。
図32(A)、(B)に示す照明装置4000は、基板4005上に発光素子4007を有する。また、基板4005の外側に凹凸を有する基板4003を有する。発光素子4007は、下部電極4013と、EL層4014と、上部電極4015を有する。
下部電極4013は、電極4009と電気的に接続され、上部電極4015は電極4011と電気的に接続される。また、下部電極4013と電気的に接続される補助配線4017を設けてもよい。
基板4005と封止基板4019は、シール材4021で接着されている。また封止基板4019と発光素子4007の間に乾燥剤4023が設けられていることが好ましい。
基板4003は、図32(A)のような凹凸を有するため、発光素子4007で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。また、基板4003に代えて、図32(C)の照明装置4001のように、基板4025の外側に拡散板4027を設けてもよい。
図32(D)および(E)は、基板と反対側に光を取り出すトップエミッション型の照明装置である。
図32(D)の照明装置4100は、基板4125上に発光素子4107を有する。発光素子4107は、下部電極4113と、EL層4114と、上部電極4115を有する。
下部電極4113は、電極4109と電気的に接続され、上部電極4115は電極4111と電気的に接続される。また上部電極4115と電気的に接続される補助配線4117を設けてもよい。また補助配線4117の下部に、絶縁層4131を設けてもよい。
基板4125と凹凸のある封止基板4103は、シール材4121で接着されている。また、封止基板4103と発光素子4107の間に平坦化膜4105およびバリア膜4129を設けてもよい。
封止基板4103は、図32(D)のような凹凸を有するため、発光素子4107で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。また、封止基板4103に代えて、図32(E)の照明装置4101のように、発光素子4107の上に拡散板4127を設けてもよい。
EL層4014およびEL層4114が有する発光層に、本発明の一態様である発光素子を適用することができる。該発光素子は低い駆動電圧、高い電流効率、または長寿命を実現することができるため、低消費電力または長寿命の照明装置4000、4001、4100、4101を提供することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光装置と組み合わせることができるタッチセンサ、及び表示モジュールについて、図33乃至図36を用いて説明する。
図33(A)はタッチセンサ4500の構成例を示す分解斜視図であり、図33(B)は、タッチセンサ4500の構成例を示す平面図である。
図33(A)、(B)に示すタッチセンサ4500は、基板4910上に、X軸方向に配列された導電層4510と、X軸方向と交差するY軸方向に配列された導電層4520とが形成されている。図33(A)、(B)に示すタッチセンサ4500は、導電層4510が形成された平面図と、導電層4520が形成された平面図と、を分離して表示されている。
また、図34は、図33に示すタッチセンサ4500の導電層4510と導電層4520との交差部分の等価回路図である。図34に示すように、導電層4510と導電層4520の交差する部分には、容量4540が形成される。
また、導電層4510、4520は、複数の四辺形状の導電膜が接続された構造を有している。導電層4510及び導電層4520は、導電膜の四辺形状の部分の位置が重ならないように、配置されている。導電層4510と導電層4520の交差する部分には、導電層4510と導電層4520が接触しないように間に絶縁膜が設けられている。
また、図35は、導電層4510a、4510b、4510cと導電層4520との接続構造の一例を説明する断面図であり、導電層4510a、4510b、4510cと導電層4520が交差する部分の断面図を一例として示す。
図35に示すように、導電層4510は、1層目の導電層4510aおよび導電層4510b、ならびに、絶縁層4810上の2層目の導電層4510cにより構成される。導電層4510aと導電層4510bは、導電層4510cにより接続されている。導電層4520は、1層目の導電層により形成される。導電層4510a、4510b、4510c、4520及び導電層4710の一部を覆って絶縁層4810、4820が形成されている。絶縁層4810、4820として、例えば、酸化窒化シリコン膜を形成すればよい。なお、基板4910と導電層4710、4510a、4510b、4520の間に絶縁膜でなる下地膜を形成してもよい、下地膜としては、例えば、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
導電層4510a、4510b、4510cと導電層4520は、可視光に対して透光性を有する導電材料で形成される。例えば、透光性を有する導電材料として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛等がある。
導電層4510aは、導電層4710に接続されている。導電層4710は、FPCとの接続用端子を構成する。導電層4520も、導電層4510aと同様、他の導電層4710に接続される。導電層4710は、例えば、タングステン膜から形成することができる。
導電層4510a、4510b、4510c、4520及び導電層4710の一部を覆って絶縁層4820が形成されている。導電層4710とFPCとを電気的に接続するために、導電層4710上の絶縁層4810及び絶縁層4820には開口が形成されている。絶縁層4820上には、基板4920が接着剤又は接着フィルム等により貼り付けられている。接着剤又は接着フィルムにより基板4910側を表示パネルのカラーフィルタ基板に取り付けることで、タッチパネルが構成される。
次に、本発明の一態様の表示装置を用いることのできる表示モジュールについて、図36を用いて説明を行う。
図36に示す表示モジュール5000は、上部カバー5001と下部カバー5002との間に、FPC5003に接続されたタッチパネル5004、FPC5005に接続された表示パネル5006、バックライトユニット5007、フレーム5009、プリント基板5010、バッテリー5011を有する。
上部カバー5001及び下部カバー5002は、タッチパネル5004及び表示パネル5006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル5004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル5006に重畳して用いることができる。また、表示パネル5006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル5006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライトユニット5007は、光源5008を有する。なお、図36において、バックライトユニット5007上に光源5008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライトユニット5007の端部に光源5008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、バックライトユニット5007を設けない構成としてもよい。
フレーム5009は、表示パネル5006の保護機能の他、プリント基板5010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム5009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板5010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー5011による電源であってもよい。バッテリー5011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール5000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(116)で示す、トリス{3−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]−2−ナフタレニル−κC}イリジウム(III)、(別名:トリス[1−(2−メチルフェニル)−3−(2−ナフチル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III))(略称:[Ir(Prn3tz1−mp)3])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;N−(1−エトキシ−2−ナフチリデン)ブチルアミドの合成>
まず、2−ナフタレンカルボイミド酸エチル塩酸塩5g、トルエン50mL、トリエチルアミン(Et3N)4.3gを300mL三ツ口フラスコに入れ、室温でその混合物を10分間撹拌した。この混合物にブチリルクロリド2.3gとトルエン30mLの混合溶液を50mL滴下ロートより滴下し、室温で41.5時間その混合物を撹拌した。所定時間経過後、反応混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮してN−(1−エトキシ−2−ナフチリデン)ブチルアミドを得た(黄色油状物、収率100%)。ステップ1の合成スキームを下記(A−1)に示す。
<ステップ2;1−メチルフェニル−3−(2−ナフチル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HPrn3tz1−mp)の合成>
次に、o−トリルヒドラジン塩酸塩4.0g、四塩化炭素100mLを300mLの三ツ口フラスコに入れ、この混合物にトリエチルアミン(Et3N)3.0gを少量ずつ滴下し、室温でその混合物を1時間撹拌した。所定時間経過後、上記ステップ1で得られたN−(1−エトキシ−2−ナフチリデン)ブチルアミド6.8gをその混合物に加え、その混合物を室温で24時間撹拌した。所定時間経過後、反応溶液に水を加えその混合物を撹拌した。この混合物の水層をクロロホルムで抽出し、得られた抽出溶液と有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。得られた混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒にはヘキサン:酢酸エチル=10:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して1−メチルフェニル−3−(2−ナフチル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HPrn3tz1−mp)を得た(淡赤色固体、収率36%)。ステップ2の合成スキームを下記(A−2)に示す。
<ステップ3;ジ−μ−クロロ−テトラキス{3−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]−2−ナフタレニル−κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(Prn3tz1−mp)2Cl]2)の合成>
次に、上記ステップ2で得られた配位子HPrn3tz1−mp0.8g、塩化イリジウム水和物0.35g、2−エトキシエタノール12mL、水4mLを50mLナス型フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波を100W、100℃の条件で1時間照射し、反応させた。所定時間経過後、得られた反応混合物を吸引ろ過し、得られた固体をエタノールで洗浄して複核錯体[Ir(Prn3tz1−mp)2Cl]2(略称)を得た(黄色粉末、収率93%)。ステップ3の合成スキームを下記(A−3)に示す。
<ステップ4;トリス{3−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]−2−ナフタレニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(Prn3tz1−mp)3])の合成>
次に、上記ステップ3で得られた複核錯体[Ir(Prn3tz1−mp)2Cl]2(略称)0.96g、上記ステップ2で得られた配位子HPrn3tz1−mp2.1g、トリフルオロメタンスルホン酸銀(TfOAg)0.56gを三方コックと冷却管をつけた反応容器にいれ、反応容器内をアルゴン置換した。混合物を170℃で45時間加熱撹拌した。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、吸引ろ過して不溶固体を除去した。得られたろ液を水、飽和食塩水で洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。この混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して、油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には、ジクロロメタン:ヘキサン=5:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して、固体を得た。この固体をエタノールにて洗浄し、得られた固体をジクロロメタンとエタノールの混合溶媒にて再結晶して、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を得た(黄色粉末、収率10%)。ステップ4の合成スキームを下記(A−4)に示す。
上記ステップ4で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H NMR)による分析結果を下記に示す。また、1H NMRチャートを図7に示す。この結果から、本合成例1において、上述の構造式(116)で表される[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)が得られたことがわかった。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR.δ(CDCl3):0.54(t,9H),0.93−1.13(m,6H),1.58(s,9H),2.24−2.37(m,6H),7.13−7.29(m,21H),7.35(t,3H),7.71(d,3H),8.29(s,3H).
次に、本実施例で得られた[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンに衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量電荷比の範囲はm/z=100〜1200とした。
MS分析した測定結果を図8に示す。図8の結果から、本実施例で得られた[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、主としてm/z=835付近、及びm/z=845付近にプロダクトイオンのピークが、m/z=1172付近にプレカーサーイオン由来のピークが、それぞれ検出されることがわかった。
ここで、付近とは、LC/MS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。なお、図8に示す結果は、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
また、本実施例で得られた[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を飛行時間二次イオン質量分析計(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometer: ToF−SIMS)にて測定した定性スペクトルを図9(A)、(B)に示す。
なお、図9(A)は、正イオンでの測定結果であり、横軸が0〜500の範囲のm/zを表し、縦軸が強度(任意単位)を表す。また、図9(B)は、正イオンでの測定結果であり、横軸が400〜1200の範囲のm/zを表し、縦軸が強度(任意単位)を表す。
装置はTOF SIMS5(ION‐TOF社製)を用い、一次イオン源はBi3 ++を用いた。なお、一次イオンはパルス幅11.3nsのパルス状に照射し、その照射量は8.2×1010〜6.7×1011 ions/cm2(1×1012 ions/cm2以下)、加速電圧は25keV、電流値は0.2pAとした。また、試料は[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の粉末を用いて測定した。
図9(A)、(B)の結果から、本発明の一態様である[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、主としてm/z=91付近、m/z=160付近、m/z=514付近、m/z=838付近に部分骨格のプロダクトイオンのピークが、m/z=1171付近にプレカーサーイオン由来のピークが、それぞれ検出されることがわかった。
ここで、付近とは、ToF−SIMS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。
図9(A)、(B)に示す結果は、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。なお、m/z=91付近は、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)に含まれるメチルフェニル骨格に由来するピークと示唆され、m/z=160付近は、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)に含まれるメチルフェニル骨格と、1,2,4トリアゾール骨格と、が結合した部分骨格に由来するピークと示唆される。
また、図9(A)、(B)に示す結果は、有機化合物の一態様として、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)をToF−SIMS分析した際の結果であり、該有機化合物の構造が異なれば、ToF−SIMS分析した際の結果は、当然異なる結果を示す。例えば、該有機化合物が、実施の形態1の構造式(127)に示す錯体の場合、本実施例で示す[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)よりもプレカーサーイオンの数値が小さくなる可能性がある。したがって、プレカーサーイオンが検出される好ましい範囲としては、m/z=600以上2000以下である。また、1,2,4トリアゾール骨格に結合する骨格がフェニル骨格の場合、m/z=76付近にフェニル骨格に由来するプロダクトイオンが検出される。また、1,2,4トリアゾール骨格にビフェニル骨格、アルキル基、及びメチルフェニル骨格が結合する複合骨格の場合、m/z=300付近に該複合骨格に由来するプロダクトイオンが検出される。
また、ToF−SIMS分析した際に、プレカーサーイオンから解離しやすい部分が、プロダクトイオンとして検出される。特に検出されやすいプロダクトイオンとしては、1,2,4トリアゾール骨格とフェニル骨格が結合したプロダクトイオンと、フェニル骨格のプロダクトイオンと、が挙げられる。従って、上述した2つのプロダクトイオンの差分が、1,2,4トリアゾール骨格の分子量(69)に相当する。
次に、本実施例で得られた[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の赤外吸収分光法(以下、IR分析)による解析を行った。なお、IRスペクトルの測定は、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、サーモニコレ製 Nexus670型)を用いた。また、赤外吸収分光法(IR分析)の測定法としては、試料と赤外線に透明な純ハロゲン化アルカリ(臭化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)とを粉砕、混合して加圧・成形する錠剤法を用いても良く、あるいは測定する吸収帯に影響を与えない吸収スペクトルを持つ液体(流動パラフィンなど)と試料を混合し、ペーストとする液膜法を用いても良い。なお、本実施例においては、臭化カリウムを用いた錠剤法での測定を行った。
IR分析した結果を図28に示す。図28の結果から、本実施例で得られた[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、3500〜1500cm−1間に、主として3030cm−1付近、1600cm−1付近、及び1540cm−1付近に吸収ピークが、それぞれ検出されることがわかった。また、図28に示すように、上述した吸収ピーク以外にもアルキル基由来の吸収ピーク等が複数観察される。
ここで、付近とはIR分析において、上述した数値の±30cm−1の数値も範囲に含まれることとする。これは、IR分析の際に、溶媒起因の吸収帯の影響、または測定誤差を含むためである。なお、3030cm−1付近の吸収ピークは、C−H伸縮振動によるシグナルと示唆され、1600cm−1付近の吸収ピークは、C−C伸縮振動によるシグナルと示唆され、1540cm−1付近の吸収ピークは、C=N伸縮振動によるシグナルと示唆される。とくに、1540cm−1付近の吸収ピークが顕著に検出されることがわかる。図28に示す結果は、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
次に、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.087mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.087mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図10に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図10において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。なお、図10に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.087mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図10に示すとおり、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、520、562nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄色の発光が観測された。
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(118)で示される、トリス{4−フェニル−2−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]フェニル−κC}イリジウム(III)、(別名:トリス[3−(3−ビフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III))(略称:[Ir(Pr5b3tz1−mp)3])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;N−(1−エトキシ−3−ブロモベンジリデン)ブチルアミドの合成>
まず、3−ブロモベンズイミド酸エチル塩酸塩10g、トルエン100mL、トリエチルアミン(Et3N)8.9gを300mL三ツ口フラスコに入れ、その混合物を室温で10分間撹拌した。この混合物にブチリルクロリド4.7gとトルエン30mLの混合溶液を50mL滴下ロートより滴下し、室温でその混合物を24時間撹拌した。所定時間経過後、反応混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮してN−(1−エトキシ−3−ブロモベンジリデン)ブチルアミドを得た(黄色油状物、収率93%)。ステップ1の合成スキームを下記(B−1)に示す。
<ステップ2;3−(3−ブロモフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
次に、o−トリルヒドラジン塩酸塩6.5g、四塩化炭素100mLを200mLの三ツ口フラスコに入れ、この混合物にトリエチルアミン(Et3N)4.1gを少量ずつ滴下し、室温でその混合物を1時間撹拌した。所定時間経過後、上記ステップ1で得たN−(1−エトキシ−3−ブロモベンジリデン)ブチルアミド12gをその混合物に加え、室温で48時間その混合物を撹拌した。反応終了後、反応混合物に水を加え、水層をクロロホルムで抽出した。有機層と得られた抽出溶液を合わせて、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、得られた混合物を濃縮して油状物を得た。得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には、ヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して3−(3−ブロモフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾールを得た(赤色油状物、収率80%)。ステップ2の合成スキームを下記(B−2)に示す。
<ステップ3;3−(3−ビフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HPr5b3tz1−mp)の合成>
次に、上記ステップ2で得た3−(3−ブロモフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール12g、フェニルボロン酸4.8g、トリ(オルト−トリル)ホスフィン0.30g、トルエン100mL、エタノール15mL、2M炭酸カリウム水溶液39mLを200mLの三ツ口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に酢酸パラジウム(II)0.073g(0.33mmol)を加え、その混合物を80℃で10時間加熱撹拌した。得られた反応溶液の水層をトルエンで抽出し、得られた抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、得られた混合物を自然濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して油状物を得た。この油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒にはヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して3−(3−ビフェニル)−1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HPr5b3tz1−mp)を得た(淡黄色油状物、収率84%)。ステップ3の合成スキームを下記(B−3)に示す。
<ステップ4;ジ−μ−クロロ−テトラキス{4−フェニル−2−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]フェニル−κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(Pr5b3tz1−mp)2Cl]2)の合成>
次に、上記ステップ3で得た配位子HPr5b3tz1−mp1.5g、塩化イリジウム水和物0.61g、2−エトキシエタノール12mL、水4mLを50mLナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波を100W、100℃の条件で1.5時間照射することで反応させた。得られた反応混合物を吸引ろ過し、得られた固体をエタノールで洗浄して複核錯体[Ir(Pr5b3tz1−mp)2Cl]2(略称)を得た(黄褐色粉末、収率8.4%)。ステップ4の合成スキームを下記(B−4)に示す。
<ステップ5;トリス{4−フェニル−2−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(Pr5b3tz1−mp)3]の合成>
次に、上記ステップ4で得た複核錯体[Ir(Pr5b3tz1−mp)2Cl]2(
(略称)0.60g、配位子HPr5b3tz1−mp1.7g、トリフルオロメタンスルホン酸銀(TfOAg)0.39gを、三方コックと冷却管をつけた反応容器に入れ、窒素雰囲気下、170℃で42時間その混合物を加熱撹拌した。得られた反応混合物をジクロロメタンに溶解し、不溶固体を除去した。得られたろ液を水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。得られた混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には、ジクロロメタン:ヘキサン=2:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。この固体をジクロロメタンとエタノールの混合溶媒にて再結晶して本発明の有機金属錯体[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を得た(淡黄色粉末、収率48%)。ステップ5の合成スキームを下記(B−5)に示す。
上記ステップ5で得られた淡黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H NMR)による分析結果を下記に示す。また、1H NMRチャートを図11に示す。この結果から、本合成例2において、上述の構造式(118)で表される[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)が得られたことがわかった。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR.δ(CD2Cl2):0.54(t,9H),0.99−1.14(m,6H),1.83(s,9H),2.22−2.38(m,6H),6.82(d,3H),7.09(dd,3H),7.21−7.23(t,6H),7.27−7.41(m,15H),7.62(d,6H),7.97(d,3H).
次に、本実施例で得られた[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100〜1300とした。
MS分析した測定結果を図12に示す。図12の結果から、本発明の一態様である[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)は、主としてm/z=354付近、m/z=541付近、m/z=705付近、m/z=888付近、及びm/z=897付近にプロダクトイオンのピークが、m/z=1249付近にプレカーサーイオン由来のピークが、それぞれ検出されることがわかった。
ここで、付近とは、LC/MS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。なお、図12に示す結果は、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
また、本発明の一態様である[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を飛行時間二次イオン質量分析計(ToF−SIMS)にて測定した定性スペクトルを図13(A)、(B)に示す。
なお、図13(A)は、正イオンでの測定結果であり、横軸が0〜500の範囲のm/zを表し、縦軸が強度(任意単位)を表す。また、図13(B)は、正イオンでの測定結果であり、横軸が400〜1300の範囲のm/zを表し、縦軸が強度(任意単位)を表す。
装置はTOF SIMS5(ION‐TOF社製)を用い、一次イオン源はBi3 ++を用いた。なお、一次イオンはパルス幅11.3nsのパルス状に照射し、その照射量は8.2×1010〜6.7×1011 ions/cm2(1×1012 ions/cm2以下)、加速電圧は25keV、電流値は0.2pAとした。また、試料は[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)の粉末を用いて測定した。
図13(A)、(B)の結果から、本発明の一態様である[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)は、主としてm/z=91、m/z=160、m/z=538、及びm/z=890付近に部分骨格のプロダクトイオンのピークが、m/z=1250付近にプレカーサーイオン由来のピークが、それぞれ検出されることがわかった。
ここで、付近とは、ToF−SIMS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。
図13(A)、(B)に示す結果は、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。なお、m/z=91付近は、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)に含まれるメチルフェニル骨格に由来するピークと示唆され、m/z=160付近は、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)に含まれるメチルフェニル骨格と、1,2,4トリアゾール骨格と、が結合した部分骨格に由来するピークと示唆される。
次に、本実施例で得られた[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)の赤外吸収分光法(以下、IR分析)による解析を行った。なお、IRスペクトルの測定は、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、サーモニコレ製 Nexus670型)を用い、臭化カリウムを用いた錠剤法で測定を行った。
IR分析した結果を図29に示す。図29の結果から、本実施例で得られた[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)は、3500〜1500cm−1間に、主として3030cm−1付近、1600cm−1付近、及び1540cm−1付近に吸収ピークが、それぞれ検出されることがわかった。また、図29に示すように上述した吸収ピーク以外にもアルキル基由来の吸収ピーク等が複数観察される。
ここで、付近とはIR分析において、上述した数値の±30cm−1の数値も範囲に含まれることとする。これは、IR分析の際に、溶媒起因の吸収帯の影響、または測定誤差を含むためである。なお、3030cm−1付近の吸収ピークは、C−H伸縮振動によるシグナルと示唆され、1600cm−1付近の吸収ピークは、C−C伸縮振動によるシグナルと示唆され、1540cm−1付近の吸収ピークは、C=N伸縮振動によるシグナルと示唆される。とくに、1540cm−1付近の吸収ピークが顕著に検出されることがわかる。図29に示す結果は、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
次に、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.041mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.041mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図14に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図14において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。なお、図14に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.041mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図14に示すとおり、[Ir(Pr5b3tz1−mp)3](略称)は、469、497nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは水色の発光が観測された。
本実施例では、実施の形態1、及び実施例1に示した構造式(116)で表される有機化合物を発光層に用いた発光素子1について評価を行った。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
発光素子1について、図15を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子1の作製方法を示す。
(発光素子1)
まず、基板1100上に、シリコンまたは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ化合物(ITO−SiO2、以下ITSOと略記する。)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、用いたターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。また、第1の電極1101の膜厚は、110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)と酸化モリブデンを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、60nmとし、CBP(略称)と酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=CBP:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、mCP(略称)と、実施例1にて合成した[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)と、を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、mCP(略称)、及び[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の重量比は、1:0.06(=mCP:[Ir(Prn3tz1−mp)3])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
なお、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、発光層1113におけるゲスト材料(ドーパント)である。
次に、発光層1113上に2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)を膜厚20nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子1が大気に曝されないように封止する作業(具体的には、シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)を行った。その後、当該発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1の電流密度−輝度特性を図16に示す。図16において、横軸は、電流密度(mA/cm2)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、発光素子1の電圧−輝度特性を図17に示す。図17において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、発光素子1の輝度−電流効率特性を図18に示す。図18において、横軸は輝度(cd/m2)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、発光素子1の電圧−電流特性を、図19に示す。図19において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。
図16及び図18より、発光素子1は、高効率な発光素子であることがわかった。また、図16、図17、及び図19より、発光素子1は、低駆動電圧、低消費電力な発光素子であることがわかった。
次に、発光素子1の輝度1275cd/m2のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm2)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m2)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表2に示す。
また、発光素子1の電流密度を、2.5mA/cm2とした際の発光スペクトルを図20に示す。図20に示す通り、発光素子1の発光スペクトルは、517nm、557nm、及び609nmにピークを有している。
また、表2に示す通り、発光素子1の輝度が、1275cd/m2の時のCIE色度座標は、(x,y)=(0.37,0.61)であった。これらのことから、ドーパント由来の発光が得られていることがわかった。
以上のように、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を発光層として用いた発光素子1は、青緑色の波長領域の光を効率よく発光させることができると示された。そのため、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、青色〜黄色の波長域で発光する発光材料のゲスト材料として好適であることがわかった。
本実施例では、先の実施例3に示した発光素子1と異なる構成の発光素子2について評価を行った。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
発光素子2について、図21を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子2の作製方法を示す。
(発光素子2)
まず、基板1100上に、シリコンまたは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ化合物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、用いたターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。また、第1の電極1101の膜厚は、110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)と酸化モリブデンを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、60nmとし、CBP(略称)と酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=CBP:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)と、9−フェニル−9H−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−カルバゾール(略称:PCCP)と、実施例1にて合成したトリス{3−[1−(2−メチルフェニル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN4]−2−ナフタレニル−κC}イリジウム(III)、(別名:トリス[1−(2−メチルフェニル)−3−(2−ナフチル)−5−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III))(略称:[Ir(Prn3tz1−mp)3])と、を共蒸着し、正孔輸送層1112上に第1の発光層1113aを形成した。ここで、mDBTBIm−II(略称)、PCCP(略称)、及び[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の重量比は、1:0.3:0.06(=mDBTBIm−II:PCCP:[Ir(Prn3tz1−mp)3])となるように調節した。また、第1の発光層1113aの膜厚は20nmとした。
次に、第1の発光層1113a上にmDBTBIm−II(略称)と、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)と、を共蒸着し、第2の発光層1113bを形成した。ここで、mDBTBIm−II(略称)、及び[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)の重量比は、1:0.06(=mDBTBIm−II:[Ir(Prn3tz1−mp)3])となるように調節した。また、第2の発光層1113bの膜厚は20nmとした。
なお、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、第1の発光層1113a及び第2の発光層1113bにおけるゲスト材料(ドーパント)である。
次に、第2の発光層1113b上にmDBTBIm−II(略称)を膜厚15nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上にBPhen(略称)を膜厚20nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
以上により得られた発光素子2の素子構造を表3に示す。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子2が大気に曝されないように封止する作業(具体的に、シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)を行った。その後、当該発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子2の電流密度−輝度特性を図22に示す。図22において、横軸は、電流密度(mA/cm2)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、発光素子2の電圧−輝度特性を図23に示す。図23において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、発光素子2の輝度−電流効率特性を図24に示す。図24において、横軸は輝度(cd/m2)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、発光素子2の電圧−電流特性を図25に示す。図25において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。
図22及び図24より、発光素子2は、高効率な発光素子であることがわかった。また、図22、図23、及び図25より、発光素子2は、低駆動電圧、低消費電力な発光素子であることがわかった。
次に、発光素子2の輝度989cd/m2のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm2)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m2)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表4に示す。
また、発光素子2の電流密度を、2.5mA/cm2とした際の発光スペクトルを図26に示す。図26に示す通り、発光素子2の発光スペクトルは、518nm、559nm、607nmにピークを有している。
また、表4に示す通り、発光素子2の輝度が、989cd/m2の時のCIE色度座標は、(x,y)=(0.36,0.61)であった。これらのことから、ドーパント由来の発光が得られていることがわかった。
以上のように、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を発光層として用いた発光素子2は、青緑色の波長領域の光を効率よく発光させることができると示された。そのため、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)は、青色〜黄色の波長域で発光する発光材料のゲスト材料として好適であることがわかった。
次に、上記発光素子2について、信頼性試験の評価を行った。信頼性試験の結果を図27に示す。
図27において、信頼性試験の測定方法は、初期輝度を1000cd/m2に設定し、電流密度一定の条件で発光素子2を駆動した。横軸は素子の駆動時間(h)を、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を表す。図27から、発光素子2の規格化輝度が50%以下まで劣化する駆動時間は、約57時間となった。
このように図27より、発光素子2は、長寿命な発光素子であることがわかった。
以上の結果から、[Ir(Prn3tz1−mp)3](略称)を発光層として用いた発光素子2は、高効率、低駆動電圧、低消費電力、及び長寿命な発光素子であることがわかった。