JP6395392B2 - 土砂排出装置及び土砂排出方法 - Google Patents
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一例としては、図4に示されるように、埋設型有孔管による固定式浚渫装置を用いた堆積土砂の除去工法が挙げられる。この固定式浚渫装置1は、管の長手方向に沿って、適宜間隔で管の一部に孔を設けてなる有孔部を有する有孔管1bを用いるものである。この有孔管1bは、水面下の堆積土砂2の中に鉛直に埋設される有孔管の有孔部1cと、有孔部1cの上流側に配設され水中3の水を管内に吸水する吸水部1dと、有孔部1cの後端から折り返され堆積土砂2の上に配置され浚渫地域の外部へと土砂を排砂する、有孔部1cの下流側に配設される輸送部1eとを備えている。そして、吸水部1dからの吸水により、有孔部1cの上位置の孔1aから下位置の孔1aへと、順に土砂を排砂する。この際、図4に示されるように、大きな土厚の堆積土砂2を何層かに分割して、例えば、図中の安定(安息)線2a,2b,2c,‥に示すように分割して排砂する。こうして、大きな土厚の堆積土砂においても、浚渫作業を行うことを目指すものである(例えば、特許文献1)。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダム湖に限らず、湖沼その他の水域において、堆積土砂の除去が必要な場合であっても、堆積土砂の性状に影響を受けることなく、堆積土砂の除去を円滑に行うことを可能とすることにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
この、長手方向に沿って連続するスリット状の開口部を設けた管は、堆積土砂内部を深部方向へと延び、所定深さにおいて開口部の下端が定められ、開口部の下端の先で折り返されて堆積面方向へと延び、更に水面下で折れ曲がり、出口側端部が浚渫地域の外部に設置されている。そして、ポンプによる排水により、或いは、管の出口側端部が浚渫地域の水面よりも下方に位置する場合には、管の出口側端部と水面との間の水位差により、湖沼等の貯水は、管の入口側端部から吸引されて管内を流れ、管の出口側端部へと排出される。
そして、管内に吸引された堆積土砂は、管内を流れる水と共に、堆積土砂の深部方向へと流れ、所定深さにおいて折り返されて堆積面方向へと流れた後に水面下で折れ曲がり、管の出口側端部から排出される。
本項に記載の土砂排出装置は、管の内部流量を制御するバルブを備えることから、通常時はバルブを閉じておくことで、管内の水流が不十分な状態において管内に土砂が吸引され、管の閉塞を来たすことを回避するものである。又、湖沼等がダム湖である場合には、ダム湖の放水時にバルブを開放して、放水される貯水と共に堆積土砂を排出するというような、ダム湖の運用上の観点からも、堆積土砂の排出に適したタイミングで、土砂排出作業を行うものである。又、バルブ開放時に、管内に脈動流を発生させるように、バルブ開度を変化させることで、堆積土砂による管内閉塞を回避、改善すると共に、堆積土砂の輸送、排出を促すものである。
本項に記載の土砂排出装置は、通常時は蓋によって開口部を閉じておくことで、管内に堆積土砂が不用意に流れ込み、管の閉塞を来たすことを、回避するものである。又、堆積土砂の排出時には、蓋を開放することにより、開口部からの管内部への水および堆積土砂の吸引を促すものである。
本項に記載の土砂排出装置は、ポンプによって管内部へと水を吸引することによっても、上記作用を得るものである。
(5)前記管の長手方向に沿って連続するスリット状の開口部の幅が、上端から下端に向かうに従い、狭くなるように形成されている土砂排出装置。
本項に記載の土砂排出装置は、管の開口部の幅が、上端から下端に向かうに従い、狭くなるように形成されていることで、堆積土砂の深部への侵食が進行するに従い、開口部の開放幅を狭め、開口部から吸引される水の流速を増大させ、堆積土砂のその時点における表層部に対しせん断力を効率的に付与し、堆積土砂の侵食を更に促すものとなる。
(6)前記管の長手方向に沿って連続するスリット状の開口部の対向する端部をつなぐ連結部が、所々に設けられている土砂排出装置。
この構成により、管に開口部が形成されることによる強度の低下を抑え、管に最低限必要な強度を確保するものである。
そして、上記(7)(8)項記載の土砂排出方法は、上記(1)(2)項記載の土砂排出装置によって実行されることで、上記(1)(2)項記載の土砂の投入装置と同様の作用が得られるものである。
図1(a)には、本発明の実施の形態に係る、土砂排出装置10の全体構成を概略的に示している。本実施の形態は、湖沼等の一例としてのダム湖12に、土砂排出装置10を設置した場合を例示して説明するものである。そして、ダム湖12の水底の、浚渫地域の堆積土砂14を除去するために、堆積土砂14に対して設置される管20を有している。この管20は、水面下の堆積土砂14の中に鉛直に埋設される吸引部22と、吸引部22が堆積土砂の所定深さまで延びた位置にて折り返され、堆積土砂14の上に配置されて浚渫地域の外部へと土砂を排砂する、輸送部24とを備えている。
管20の堆積土砂14に対する設置深さは、堆積土砂14の必要な排出深さを考量して適宜決定される。又、堆積土砂14の必要な排出量を考慮して、管20を複数箇所に設置することとする。
なお、開口部の上端22aUは、管20の入口側端部20Aよりも下位置に定められている。又、必要に応じ、吸引部22の開口部22aの対向する端部をつなぐ連結部が、所々に設けられている。これらの構成により、吸引部22に開口部22aが形成されることによる管20の強度の低下を抑え、管20に最低限必要な強度を確保するものである。
又、応用例として、管20の吸引部22に、開口部22aを開閉する蓋を設けることとしても良い。
更に、管20の吸引部22の、長手方向に沿って連続するスリット状の開口部22aの幅が、上端22aUから下端22aLに向かうに従い、狭くなるように形成されていることとしても良い。
そして、長手方向に沿って連続するスリット状の開口部22aを設けた管20は、堆積土砂14内部を深部方向へと延び、所定深さにおいて開口部22aの下端22aLが定められている。そして、開口部22aの下端22aLの先で折り返されて堆積面14S方向へと延び、更に水面WL下で折れ曲がり、堆積面14Sに沿って延びて、管20の出口側端部20Bがダム湖12の堤体26を貫通するように設置されている。従って、管20の出口側端部20Bとダム湖12の水面WLとの間の水位差Hにより、ダム湖12の貯水は、管20の入口側端部20Aから吸引されて管20内を流れ、管20の出口側端部20Bからダム湖20の外へと排出される。
そして、管20内に吸引された堆積土砂14は、管20内を流れる水Wと共に、堆積土砂14の深部方向へと流れ、折り返し部24aにおいて折り返されて、鉛直部24bを堆積面14S方向へと流れた後に、水面下の折れ曲がり部24cで折れ曲がる。
更に、堆積面14Sに沿って延長部24dを流れて堤体26を貫通し、管20の出口側端部20Bからダム湖12の外へと排出されることとなる。
一方、堆積土砂14の深部へ行くに従いせん断耐力Vuが増大し、せん断耐力Vuがせん断力Tを上回ると、上述の吸引作用は十分に発揮されなくなる。従って、堆積土砂14の所望の排出深さまで、せん断力Tがせん断耐力Vuを上回るように、開口部22aの開口幅や、管20内を流れる水Wの流速等の条件を調整することが望ましい。
なお、バルブの開閉操作は、バルブの設置場所にもよるが、適宜遠隔操作により行うことが望ましい。
更に、開口部22aの長手方向の任意の位置を開閉できるように構成すれば、堆積土砂14の深部への侵食が進行するに従い、開口部22aの開放範囲を深部へ向けて移動していくことで、堆積土砂14のその時点における表層部に対し、せん断力Tを効率的に付与し、堆積土砂14の侵食を更に促すものとなる。この場合、開口部22aの開口範囲は、限定的な孔状となることから、開口部22aから管20内への水Wの流れの発生範囲も限定的かつ流速が高まることとなる。よって、堆積土砂14が、透水性の高い低粘性の土砂(砂等)であるような場合には、特に有効となる。
又、管20の長手方向に沿って連続するスリット状の開口部22aの幅が、上端22aUから下端22aLに向かうに従い、狭くなるように形成した場合には、堆積土砂14の深部への侵食が進行するに従い、開口部22aの開放幅を狭め、開口部22aから吸引される水の流速を増大させて、堆積土砂14のその時点における表層部に対しせん断力Tを効率的に付与し、堆積土砂14の侵食を更に促すことが可能となる。
更には、本発明特有の諸条件を満たす限り、河川等水の流れがある水域や港湾などの堆積土砂の除去にも適用可能であり、同様の作用効果が得られることは理解されるであろう。
Claims (4)
- 水底の堆積土砂を除去するための土砂排出装置であって、
長手方向に沿って連続するスリット状の開口部を設けた管を備え、
該管は、入口側端部が堆積面から水中部へと突出し、かつ、前記開口部の上端が堆積土砂の堆積面よりも高い水中部に露出した状態で、堆積土砂内部を深部方向へと延び、所定深さにおいて前記開口部の下端が定められており、該開口部の下端の先で折り返されて堆積面方向へと延び、水面下で折れ曲がり、出口側端部が浚渫地域の外部に設置されていることを特徴とする土砂排出装置。 - 前記管の内部流量を制御するバルブを備えることを特徴とする請求項1記載の土砂排出装置。
- 水底の堆積土砂を除去するための土砂排出方法であって、
長手方向に沿って連続するスリット状の開口部を設けた管を、
入口側端部を堆積面から水中部へと突出させ、かつ、前記開口部の上端を堆積面よりも高い水中部に露出させた状態として、堆積土砂内部を深部方向へと延ばし、所定深さにおいて前記開口部の下端を定めた後に、該開口部の下端の先で折り返して堆積土砂内部を堆積面方向へと延ばし、更に、水面下において折り曲げて、出口側端部を浚渫地域の外部に設置し、
前記開口部から水と共に堆積土砂を吸引し、前記出口側端部から排出することを特徴とする土砂排出方法。 - 前記管の内部流量を制御するバルブを設け、バルブの開閉により前記出口側端部から排出する堆積土砂量を制御することを特徴とする請求項3記載の土砂排出方法。
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