JP6394437B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
ところで、この酸化物膜をタッチパネルの配線上に形成する以上、生産性を考慮するならば、タッチパネル基板上に成膜された金属膜の表面に、この酸化物膜を成膜した後に、配線パターンを形成すると効率がよい。この配線パターン化では、通常、エッチング液により、パターンマスクを介して、金属膜と酸化物膜とがエッチングされる。ここで、Cu又はFeの酸化物膜は、エッチング液に対するエッチング性に優れており、さらに、信頼性(耐薬品性、耐候性)にも優れている。なお、上記のエッチング性とは、金属膜と酸化物膜とが整合してエッチングされることであり、エッチング速度、オーバーエッチングなど、パターン化において支障がないことが好ましい
そこで、Cu又はFeの酸化物膜の反射特性を低減するには、Ni、Mnを添加すると有効であるという知見が得られたので、この光学機能膜のスパッタリング成膜に用いるスパッタリングターゲットの合金成分として、Cu及びFeのいずれか1種又は2種に、Ni及びMnのいずれか1種又は2種を加えておき、この光学機能膜をスパッタリング成膜すると、Cu及びFeのいずれか1種又は2種と、Ni及びMnのいずれか1種又は2種とを含む酸化物による光学機能膜が得られ、この光学機能膜によれば、エッチング性、信頼性、反射特性のすべての条件を満たしており、タッチパネル画面の配線パターンの金属光沢を低減するのに、好適である。
(1)本発明のスパッタリングターゲットは、Ni及びMnのいずれか1種又は2種の合計で5.0〜14.3質量%を含有し、残部がFeである金属合金からなることを特徴とする。
(2)前記(1)のスパッタリングターゲットは、残部がさらにCuを含み、Cu及びFeの合計で85.7〜95.0質量%を含有した金属合金からなることを特徴とする。
(3)前記(2)のスパッタリングターゲットは、Feが1.8〜2.3質量%含有することを特徴とする。
先ず、光学機能膜形成用スパッタリングターゲットを製造するため、粒状のCu、Fe、Ni、及び、Mnを、表1及び表2に示されたターゲット組成比になるように秤量し、秤量された各原料を黒鉛るつぼの中に投入、高周波加熱炉で1300℃まで真空中で加熱溶解させ、所定サイズの黒鉛型に投入した。その後放冷し室温まで冷却し、参考例1〜15及び実施例16〜48の金属合金鋳造体を作製した。この参考例1〜15及び実施例16〜48の金属合金鋳造体を、所定形状に機械加工し、バッキングプレートを貼着して、参考例1〜15及び実施例16〜48のスパッタリングターゲットを作製した。
上記実施例と比較するため、実施例の場合と同様にして、表3に示されるターゲット組成比を有する比較例1〜19のスパッタリングターゲットを作製した。比較例1〜19の場合には、金属元素のいずれかの含有量が、実施例の場合の範囲外となっている。
<成膜>
上記実施例及び比較例のスパッタリングターゲットを用いて、以下の成膜条件で、スパッタリング成膜を行った。
・電源:直流電源
・電力:600W(Ag膜のみ、200W)
・ガス圧:0.2Pa
・ガス流量:光学機能膜の場合 Ar:34sccm O2:16sccm
Cu、Al、Ag、Mo膜の場合 Ar:50sccm
・TS距離:70mm
・基板:ガラス基板(Eagle XG)
・基板温度:室温
・基板サイズ:20mm角
・厚さ:50nm
上述と同様の成膜条件で、スパッタリング成膜を行った。なお、ガラス基板(Eagle XG)上に、厚さ:50nmの酸化物膜(光学機能膜)、厚さ:200nmの銅、アルミニウム、銀又はモリブデンのいずれかの膜の順に、積層成膜した。なお、実施例46には、Alを、実施例47には、Agを、実施例48には、Moを、それ以外の実施例及び比較例には、Cuをそれぞれ用いて、金属膜とした。金属膜は、メタル配線用であり、その成膜には、それぞれの金属スパッタリングターゲットを用いた。なお、この金属膜に用いた金属を、表4〜6の「使用金属膜」欄に示した。
さらに、上記のようにガラス基板上に形成された積層膜について、以下に示す試験条件で、恒温恒湿試験を行った。
・温度:85℃
・湿度:85%
・保持時間:250時間
反射率測定時と同様の手法で、ガラス基板上に形成された50nmの光学機能膜について、以下に示すエッチング条件で、エッチング試験を行った。エッチング試験は光学機能膜が溶けきるまでの時間を計測し、エッチング速度を算出した。その結果が、表4〜6の「エッチング速度(nm/sec)」欄に示されている。
・方法:ディップ法
・エッチング液:SEA2(関東化学社製)
・液温:40℃
従って、実施例16〜48のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング成膜された光学機能膜は、隠ぺい性(配線パターンの金属光沢低減)、信頼性のいずれもの特性を備えていることが確認された。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態および上記実施例では、ターゲットの作製を溶解鋳造によって行っているが、他の方法としてホットプレス法やHIP法(熱間等方加圧式焼結法)等を採用しても構わない。
また、基材はガラス以外の金属やフィルム等を採用しても構わない。
Claims (3)
- Ni及びMnのいずれか1種又は2種の合計で5.0〜14.3質量%を含有し、残部がFeである金属合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
- 残部がさらにCuを含み、Cu及びFeの合計で85.7〜95.0質量%を含有した金属合金からなることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- Feが1.8〜2.3質量%含有することを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
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JP2015037832A JP6394437B2 (ja) | 2015-02-27 | 2015-02-27 | スパッタリングターゲット |
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