<第1の実施形態>
本願発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態の液体吐出装置1の構成例を示す。
第1の実施形態の液体吐出装置1は、開閉手段101と、駆動状態検出手段102と、駆動方法決定手段103とを備える。
開閉手段101は、液体の流路を開閉する。例えば、開閉手段101は、液体を対象物へ吐出する液体出力手段へ通じる流路や、液体を貯蔵する液体貯蔵手段へ通じる流路の開閉を行う。また、開閉手段101は例えば、所定の駆動手段によってその開閉が駆動する。
駆動状態検出手段102は、開閉手段101の位置情報を検出する。例えば、駆動状態検出手段102は、開閉手段101の弁体や弁座等の位置情報を検出する。
駆動方法決定手段103は、駆動状態検出手段102によって検出された位置情報に基づき、開閉手段101に異物が付着しているか否かを判定し、異物が付着していないと判定した場合、液体の流速が第1の流速となるように、開閉手段101の駆動方法を決定し、異物が付着していると判定した場合、液体の流速が前記第1の流速よりも大きい第2の流速となるように、開閉手段101の駆動方法を決定する。
図2は、第1の実施形態の液体吐出装置1の動作例を示すフローチャートである。
開閉手段101は、液体の流路を開閉する(S101)。
駆動状態検出手段102は、開閉手段101の位置情報を検出する(S102)。
駆動方法決定手段103は、駆動状態検出手段102によって検出された位置情報に基づき、開閉手段101に異物が付着したか否かを判定し、異物が付着していないと判定した場合、液体の流速が第1の流速となるように、開閉手段101の駆動方法を決定し、異物が付着していると判定した場合、液体の流速が前記第1の流速よりも大きい第2の流速となるように、開閉手段101の駆動方法を決定する(S103)。
従って、第1の実施形態の液体吐出装置1は、液体の吐出に影響を与えることなく、付着した異物を除去することができる。
<第2の実施形態>
本願発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態の液体吐出装置1Bの構成例を示す。
第2の実施形態の液体吐出装置1Bは、液体貯蔵手段104と、液体供給手段105と、開閉手段101Bと、開閉手段101Cと、液体出力手段106と、駆動手段107B及び107Cと、駆動状態検出手段102B及び102Cと、駆動方法決定手段103と、流路108、109、110、111、112とを備える。
液体貯蔵手段104は、後述する液体出力手段106が吐出する液体を貯蔵する。
液体供給手段105は、液体貯蔵手段104に貯蔵される液体を、後述する開閉手段101B及び開閉手段101Cへ向けて供給する。液体供給手段105は、液体貯蔵手段104と流路108によって接続されており、液体は、流路108を介して液体貯蔵手段104から液体供給手段105へ流れる。そして、液体供給手段105は、流路109を介して、開閉手段101B及び101Cへ向けて液体を供給する。液体供給手段105は、例えば、ポンプ等から構成される。
開閉手段101Bは、後述する液体出力手段106へ通じる液体の流路の開閉を行い、液体出力手段106への液体の供給制御を行う。より詳細には、開閉手段101Bは、液体出力手段106が液体を対象物へ吐出するときには、液体が流路110及び流路111を介して液体出力手段106へ供給されるように流路を開く。また、開閉手段101Bは、液体出力手段106が液体を対象物へ吐出しないときには、液体が流路110及び流路111を介して液体出力手段106へ供給されないように流路を閉じる。開閉手段101Bは、後述する駆動手段107Bと所定の電線等で接続され、該駆動手段107Bにより、その開閉が制御される。
開閉手段101Cは、液体貯蔵手段104へ通じる液体の流路112の開閉を行い、液体貯蔵手段104への液体の供給の制御を行う。より詳細には、開閉手段101Cは、液体出力手段106が液体を対象物へ吐出するときには、液体が流路112を介して液体貯蔵手段104へ供給されないように流路を閉じる。また、開閉手段101Cは、液体出力手段106が液体を対象物へ吐出しないときには、液体が、流路112を介して、液体貯蔵手段104へ供給されるように流路を開く。開閉手段101Cは、後述する駆動手段107Cと所定の電線等で接続され、該駆動手段107Cにより、その開閉が制御される。
駆動手段107Bは、開閉手段101Bの開閉動作を制御する。また、駆動手段107Bは、駆動方法決定手段103と所定の電線等で接続され、駆動方法決定手段103により、その駆動方法が制御される。例えば、駆動手段107Bは、モータやエアシリンダ等によって構成されるが、これに限定されるものではない。
駆動手段107Cは、開閉手段101Cの開閉動作を制御する。また、駆動手段107Cは、駆動方法決定手段103と所定の電線等で接続され、駆動方法決定手段103により、その駆動方法が制御される。例えば、駆動手段107Cは、モータやエアシリンダ等によって構成されるが、これに限定されるものではない。
図4は、開閉手段101B及び開閉手段101Cの内部構成をより詳細に示した一例である。開閉手段101Bは、弁体1011Bと、弁座1012Bと、弁軸1013Bとから構成される。なお、開閉手段101Cは、開閉手段101Bと同様の構成を有しており、弁体1011Cと、弁座1012Cと、弁軸1013Cとから構成される。
弁軸1013Bの一端は、弁体1011Bが設けられており、弁軸1013Bの他端は駆動手段107Bと接続されている。
弁軸1013Bは、駆動手段107Bによって駆動し、弁体1011Bと弁座1012Bとが近接あるいは離間することにより、流路110から流路111へ供給される液体の流路を開閉する。すなわち、弁軸1013Bに接続される弁体1011Bは、駆動手段107Bの駆動により、その位置が上下し、弁座1012Bと近接、あるいは離間する。開閉手段101Bへ供給された液体は、弁体1011Bと弁座1012Bとが離間している場合、その隙間を通過し、流路111を介して液体出力手段106へ流れることとなる。
また、開閉手段101Cの弁軸1013Cの一端は、弁体1011Cが設けられており、弁軸1013Cの他端は駆動手段107Cと接続されている。
弁軸1013Cは駆動手段107Cによって駆動し、弁体1011Bと同様の動作をすることにより、流路109から流路112へ供給される液体の流路を開閉する。すなわち、弁軸1013Cに接続される弁体1011Cは、駆動手段107Cの駆動により、その位置が上下し、弁座1012Cと近接、あるいは離間する。開閉手段101Cへ供給された液体は、弁体1011Cと弁座1012Cとが離間している場合、その隙間を通過し、流路112を介して、液体貯蔵手段104へ流れることとなる。
液体出力手段106が液体を吐出する場合または液体を吐出しない場合に応じて、開閉手段101B及び開閉手段101Cは協働して動作する。開閉手段101B及び開閉手段101Cの動作例について図5及び図6を用いて説明する。
液体出力手段106が液体を吐出する場合には、図5のように、開閉手段101Cの弁体1011Cは弁座1012Cと完全に接触しており、液体供給手段105と通じる流路109から供給された液体は、液体貯蔵手段104へ通じる流路112に流れることができないため、流路110の方向、すなわち開閉手段101Bの方向へ流れることになる。また、液体出力手段106が液体を吐出する場合には、図5のように、開閉手段101Bの弁体1011Bは弁座1012Bから離間しており、開閉手段101Cから流れてきた液体は、流路110を流れ、さらに開閉手段101Bの弁体1011B及び弁座1012Bの隙間を通過し、液体出力手段106へと通じる流路111を介して、液体出力手段106へと供給される。
液体出力手段106が液体を吐出しない場合には、図6のように、開閉手段101Bの弁体1011Bは弁座1012Bと完全に接触しており、開閉手段101Cと通じる流路110から流れてきた液体は、開閉手段101Bを介して液体出力手段106へと通じる流路111へ流れることができないため、液体は吐出されない。また、液体出力手段106が液体を吐出しない場合には、図6のように、開閉手段101Cの弁体1011Cは弁座1012Cから離間しており、液体供給手段105と通じる流路109から流れてきた液体は、開閉手段101Cの弁体1011C及び弁座1012Cの隙間を通過し、液体貯蔵手段104へと通じる流路112を流れ、液体貯蔵手段104へと戻されることになる。液体貯蔵手段104に戻された液体は、再度、液体供給手段105によって開閉手段101B及び開閉手段101Cへ向けて供給され、対象物への吐出が行われるまで流速を保ちながら、循環を続ける。
図7は、異物が付着していない場合の開閉手段101Bの弁体1011B及び開閉手段101Cの弁体1011Cの駆動例を示したものである。図7において、「開」は、弁体の位置が弁座から最大距離離間した状態(位置)を示しており、「閉」は弁体の位置が弁座と完全に接触している状態(位置)を示している。すなわち、弁体位置が「開」の場合、弁体及び弁座を通過する液体は最大量となる。図7に示すように、流路を開く際は、弁体1011B及び弁体1011Cは、所定の時間で、「閉」位置から「開」の位置まで移動する。
図7に示すように、弁体1011Bが閉じており、弁体1011Cが開いている期間D1においては、液体出力手段106は、液体の吐出を行っていない。このように開閉手段101B及び101Cを駆動する駆動手段107B及び107Cの駆動方法(以下、異物が付着していない場合における、駆動手段の駆動方法を通常時の駆動方法という)は、予め後述する駆動方法決定手段103に登録されているものとする。また、液体吐出装置1Bの初期状態においては、駆動手段107B及び107Cは、通常時の駆動方法で駆動するものとする。
駆動状態検出手段102Bは、駆動手段107Bの駆動状態に基づき、弁体1011Bの位置を検出し、検出した弁体1011Bの位置情報を後述する駆動方法決定手段103に出力する。例えば、駆動状態検出手段102Bは、駆動手段107Bにより駆動する弁体1011Bと弁座1012Bにより、液体の流路を閉じた際、弁体1011Bの位置を検出して、駆動方法決定手段103へ弁体1011Bの位置情報を出力する。駆動状態検出手段102Bは、例えば、駆動手段107Bのモータで記憶している現在位置(エンコーダ値)を取得する構成や、センサにより弁体1011B等の位置を検出する構成でもよい。駆動状態検出手段102Cは、開閉手段101C及び駆動手段107Cの状態を検出する。駆動状態検出手段102Cは、駆動状態検出手段102Bと同等の動作を行うため、説明を省略する。なお、駆動状態検出手段102B及び102Cは一つの駆動状態検出手段から構成されてもよい。
駆動方法決定手段103は、駆動状態検出手段102B及び102Cより入力された弁体の位置情報に基づいて、駆動手段107B及び107Cの駆動方法を決定する。より詳細には、駆動方法決定手段103は、入力された弁体の位置情報に基づき、弁体1011B、弁座1012B、弁体1011C及び弁座1012Cに異物が付着したか否かを判定し、該判定結果に基づき、駆動手段107B及び107Cの駆動方法を決定する。駆動方法決定手段103の詳細は後述する。
液体出力手段106は、流路111を介して供給された液体を図示しない対象物へ吐出する。
次に、駆動方法決定手段103について、詳細に説明する。
図8は、駆動方法決定手段103のブロック構成図を示している。駆動方法決定手段103は、入力手段1031と、記憶手段1032と、出力手段1033と、判定手段1034とを備える。
入力手段1031は、駆動状態検出手段102B及び102Cからそれぞれ出力される弁体1011B及び1011Cの位置情報を受信する。
記憶手段1032は、入力手段1031が受信した弁体の位置情報と受信した時刻情報とを対応付けて格納する。ここで、受信した時刻情報は、例えば、駆動方法決定手段103の図示しない計時手段から受信する情報を用いてもよいし、入力手段1031が、駆動状態検出手段102B及び102Cから時刻情報を上記位置情報とともに受信し、それを用いてもよい。また、記憶手段1032は、後述する判定手段1034が、異物が付着しているか否かを判定する際に用いる閾値を格納する。また、記憶手段1032は、図7に示す通常時の駆動方法と、後述する異物が付着している場合に液体の流速を上げて動圧を大きくする駆動手段の駆動方法(以下、異物除去用の駆動方法という)とを予め格納している。記憶手段1032は、例えば、ハードディスク等で構成してもよい。また、上記例では、駆動方法決定手段103が記憶手段1032を備える例を示したが、これに限るものではなく、液体吐出手段1Bが記憶手段1032を備えてもよい。
出力手段1033は、後述する判定手段1034が決定した駆動方法を、記憶手段1032から読み出し、駆動手段107B及び107Cへ出力する。
判定手段1034は、入力手段1031が受信した弁体の位置情報と、記憶手段1032に格納されている弁体の位置情報と、弁体の位置情報を受信した際の時刻情報とに基づき、駆動手段107B及び107Cの駆動方法を決定する。
判定手段1034のより詳細な動作例について説明する。
なお、判定手段1034は、入力手段1031が弁体の位置情報を受信した場合に、異物が付着しているか否かの判定及び駆動方法の決定を行う。また、異物が付着したと判定した後の場合には、判定手段1034は、入力手段1031が弁体の位置情報を受信した場合に、異物が除去されたか否かの判定及び駆動方法の決定を行う。
判定手段1034は、入力手段1031が今回受信した位置情報と、記憶手段1032に格納されている過去の位置情報とに基づき、弁体位置の差分を算出し、弁体1011B、弁体1011C、弁座1012B、弁座1012Cに異物が付着したか否かを判定する。異物が弁体1011B、弁体1011C、弁座1012B、弁座1012Cに付着した場合、流路を閉じた際に、異物の厚さ分だけ弁体の位置が変化する。判定手段1034は、流路を閉じた際の、異物による弁体の位置変化に基づき、上記算出した差分が所定の閾値以上である場合に、異物が弁体1011B、弁体1011C、弁座1012B、弁座1012Cに付着したと判定する。また、所定の閾値は、例えば、液体吐出装置1が正常に動作する(すなわち、液体を適切に吐出できる)弁体の位置に基づいて決定してもよい。
判定手段1034は、上記判定方法に基づき、異物が付着していないと判定した場合には、判定手段1034は、通常時の駆動方法を維持するように駆動方法を決定する。一方、異物が付着していると判定した場合には、判定手段1034は、駆動手段107B及び駆動手段107Cの駆動方法を、通常時の駆動方法から、記憶手段1032に格納されている異物除去用の駆動方法へ変更する。異物除去用の駆動方法の詳細は、後述する。
また、異物除去用の駆動方法に変更した後(すなわち、異物が付着していると判定した後)においては、判定手段1034は、異物が付着していると判定した直前の弁体の位置と、駆動方法変更後に入力された弁体の位置との差分を算出し、この値が、上述した閾値より小さくなった場合に、異物が除去されたと判定する。異物が除去されたと判定した場合には、判定手段1034は、駆動手段107B及び107Cの駆動方法を、異物除去用の駆動方法から通常時の駆動方法へ変更する。また、異物が除去されていないと判定した場合には、判定手段1034は、異物除去用の駆動方法を維持するように駆動方法を決定する。
また、異物が付着していないと判定し、通常時の駆動方法を維持した場合には、判定手段1034は、次に入力される弁体の位置情報に基づき、上述した判定方法を用いて、異物が付着したか否かの判定を行い、駆動方法を決定する。また、異物が除去されていないと判定し、異物除去用の駆動方法を維持した場合には、判定手段1034は、次に入力される弁体の位置情報に基づき、上述した判定方法を用いて、異物が除去されたか否かの判定を行い、駆動方法を決定する。
次に、異物除去用の駆動方法について、詳細に説明する。
まず、図9を用いて、弁座に付着した異物に働く力を説明する。なお、図9では弁座1012Bについて説明するが、弁座1012Cにおいても同様である。また、弁体1011Bまたは弁体1011Cに異物が付着した場合も同様である。
図9において、弁座1012Bの上面は重力が働く方向と垂直であり、弁座1012Bの上面に異物113が付着しているものとする。また、異物113の形状は直方体とし、異物113の各面は液体の流れる方向に垂直あるいは水平であるものとする。
このとき、異物113には、液体の動圧によって働く力114と、弁座方向に働く力115と、摩擦力116とが働く。また、弁座方向に働く力115は、重力による力と、異物113が弁座に付着する力と、液体の静圧による力から成る。
図9に示すように、液体が右から左へ向けて流れるものとすると、液体の動圧によって働く力114は、図9の右側から左側へ向けて働き、摩擦力116は、図9の左側から右側へ向けて働く。このとき、液体の動圧によって働く力114が、摩擦力116より大きくなると、弁座1012Bに付着した異物113を弁座1012Bから除去できると考える。
ここで、液体の動圧により働く力114をF1とする。液体における動圧と静圧の和は一定であるため、液体の流速をv、液体が外部に与える圧力をp、流速が0であるときの液体の圧力をp0、液体の密度をρとすると、
ρv2/2+p=p0・・・(1)
となる。ここで、式(1)の左辺第1項が動圧である。
次に、図10に示すように、液体の流れる方向に対する異物113の表面積117をS1、液体の流れる方向と垂直な方向に対する異物113の表面積118をS2と定義すると、液体の動圧により働く力F1は、
F1=ρv2S1/2・・・(2)
となる。
図9に戻り、弁座方向に働く力115をF2、摩擦力116をF3とし、弁座1012Bと異物113の間に働く摩擦係数をμとすると、摩擦力F3は、
F3=μF2・・・(3)
となる。
ここで、異物113の重量をm、重力加速度をg、異物113に働く単位面積当たりの粘着力をFEとすると、弁座方向に働く力F2は、図9及び図10より、
F2=mg+FES2+pS2・・・(4)
となる。式(3)に式(4)を代入すると、摩擦力F3は
F3=μ(mg+FES2+pS2)・・・(3)’
となる。
図9において、F1>F3のとき、異物113を除去できると考えられるため、式(2)及び式(3)’より、
ρv2S1/2−μpS2>μ(mg+FES2)・・・(5)
を得る。
さらに、式(5)の、液体が外部に与える圧力pに、式(1)を代入して、
ρ(S1+μS2)v2>2μ(mg+FES2+p0S2)・・・(6)
を得る。
式(6)おいて、重力加速度gは定数である。また、液体の密度ρは液体の構造によって定まる値であり、摩擦係数μは弁座1012Bの材質及び表面状態によって定まる値である。また、圧力p0は、液体や流路の構造によって定まり、FE、S1及びS2は、異物113によって定まる値であり、稼働中の液体吐出装置1Bにおいて値を変更することは難しい。
従って、本実施形態の液体吐出装置1Bは、液体の流速vを制御することにより、式(6)を満たすようにして、異物113の除去を行う。すなわち、駆動方法決定手段103は、異物113が付着したと判定した場合には、駆動手段107B及び駆動手段107Cの駆動方法を、液体の流速を制御する異物除去用の駆動方法と決定する。
異物除去用の駆動方法の一例について、詳細に説明する。本実施形態の液体吐出装置1Bは、液体供給手段105による液体供給能力が十分であるとした場合、駆動手段107B及び107Cの駆動を制御して、弁体と弁座との間隔を狭くすることにより、液体が弁体及び弁座付近を流れる際の液体の流速を上げるように動作する。
図11は、弁体1011Bあるいは弁座1012Bに異物113が付着した場合の弁体1011B及び弁体1011Cの駆動例を示している。図11において、太線で示される箇所は、通常時の駆動方法(図11において一点鎖線で示す部分)から駆動方法が変更された部分である。以下の説明では弁体1011Bに異物113が付着した場合について説明するが、弁座1012Bに異物が付着した場合も同様である。
駆動方法決定手段103は、弁体1011Bに異物が付着したと判定した場合には、図11に示すように、通常時の駆動方法に比べ、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔が狭くなるように、駆動手段107Bが駆動する区間D2を設ける。すなわち、区間D2においては、駆動手段107Bは、通常の駆動方法に比べ、弁体1011Bの駆動スピードを下げる。区間D2を過ぎた後は、弁体1011Bと弁座1012Bとの離間動作が完了する時刻T1における弁体1011Bの位置が、通常時の駆動方法の場合と等しい位置となるように駆動手段107Bは駆動する。すなわち、駆動手段107Bは、時刻T1において、弁体1011Bの位置が「開」の位置となるように、弁体1011Bの駆動スピードを上げる。図11に示すように、区間D2における弁体1011Bの駆動スピードは、通常時の駆動方法における駆動スピードよりも遅く、また、区間D2を過ぎた後の弁体1011Bの駆動スピードは、通常時の駆動方法における駆動スピードよりも速くなる。
同時に、弁体1011Cに関しては、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法の場合と等しくなるように、駆動手段107Cは駆動する。すなわち、区間D2においては、駆動手段107Cは、弁体1011Cの駆動スピードを上げるとともに、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法と等しくなるように駆動する。また、区間D2を過ぎた場合には、駆動手段107Cは、時刻T1において、弁体1011Cの位置が「閉」の位置になるとともに、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法と等しくなるように駆動する。
また、弁体1011Cに異物が付着した場合も同様に、図12に示すように、異物除去用の駆動方法においては、通常時の駆動方法に比べ、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔が狭くなる区間D3を設ける。すなわち、区間D3においては、駆動手段107Cは、通常の駆動方法に比べ、弁体1011Cの駆動スピードを下げる。区間D3を過ぎた後は、弁体1011Cと弁座1012Cとの離間動作が完了する時刻T2における弁体1011Cの位置が、通常時の駆動方法の場合と等しい位置となるように駆動手段は駆動する。すなわち、駆動手段107Cは、時刻T2において、弁体1011Cの位置が「開」の位置となるように、弁体1011Cの駆動スピードを上げる。図11に示すように、区間D3における弁体1011Cの駆動スピードは、通常時の駆動方法における駆動スピードよりも遅く、また、区間D3を過ぎた後の弁体1011Cの駆動スピードは、通常時の駆動方法における駆動スピードよりも速くなる。
同時に、弁体1011Bに関しては、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法の場合と等しくなるように、駆動手段107Bは駆動する。すなわち、区間D3においては、駆動手段107Bは、弁体1011Bの駆動スピードを上げるとともに、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法と等しくなるように駆動する。また、区間D3を過ぎた場合には、駆動手段107Bは、時刻T2において、弁体1011Bの位置が「閉」の位置になるとともに、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔と、弁体1011Cと弁座1012Cとの間隔の比が、通常時の駆動方法と等しくなるように駆動する。
このような異物除去用の駆動方法に基づき駆動手段を駆動することにより、開閉手段101Bと開閉手段101Cとで液体圧力の比を大きく変更することなく、異物が付着した弁体あるいは弁座を通過する液体の流速を上げることが可能となる。すなわち、本実施形態の液体吐出装置1Bは、対象物へ吐出する液体の量を大きく変えることなく、異物113を除去することが可能となる。
次に、異物113を除去する場合の具体例を示す。
式(6)を整理すると、
v2>2μ(mg+FES2+p0S2)/ρ(S1+μS2)・・・(6)’
を得る。
ここで、μ=0.5、g=9.8[m/s2]、ρ=2.2×103[kg/m3]、S1=5.0×10−10[m2]、S2=2.5×10−9[m2]、m=5.5×10−11[kg]、FE=1.0×105[N/m2]、p0=1.0×104[N/m2]とする。また、図7に示す通常時の駆動方法による駆動例において、図11の期間D2と対応する期間における液体の流速vを4.0[m/s]とする。なお、上記[ ]内は単位を示しており、m:メートル、s:秒、kg:キログラム、N:ニュートンである。
上記の各値を式(6)’に代入すると、式(6)’の右辺は約71.4となり、左辺はv2=16となるため、式(6)’は成立しない。従って、上記各値の条件では、弁体あるいは弁座に付着した異物113を除去することはできない。
これに対し、例えば、v=10[m/s]とすると、式(6)’の左辺は100となり、式(6)’が成立する。
本実施形態の液体吐出装置1Bにおいて、流路が一定であることから、流路の面積と流速との積は一定値となる。このため、本実施形態の液体吐出装置1Bは、図11に示す期間D2において、弁体1011Bと弁座1012Bとの間隔が、例えば、図7の通常時の駆動方法に対して、0.4倍となる(すなわち、弁体及び弁座付近の流路の面積が略0.4倍となる)ように駆動手段107Bを駆動することができる。この場合、区間D2における液体の流速vは、4/0.4=10[m/s]となり、上記式(6)’を満たすため、液体吐出装置1Bは、弁体あるいは弁座に付着した異物を除去することができる。なお、弁体1011Cまたは弁座1012Cに異物113が付着した場合にも同様である。
次に、駆動方法決定手段103による、異物が付着したか否かの判定方法及び駆動方法の決定方法について、具体例を用いて説明する。
図13は、駆動状態検出手段102Bから駆動方法決定手段103へ入力された弁体1011Bの位置情報を、該位置情報を受信したときの時刻情報ごとに示した一例である。なお、以下の説明では、駆動状態検出手段102Bが検出する弁体1011Bの位置情報の例で説明するが、駆動状態検出手段102C及び弁体1011Cの場合も同様である。
上述したように、本実施形態の駆動方法決定手段1Bは、弁体1011Bと弁座1012Bとにより流路を閉じた際の、弁体1011Bの位置情報に基づき、異物113が付着したか否かの判定を行うため、図13に示す弁体1011Bの位置情報は、流路を閉じた際の弁体1011Bの位置情報である。図13では、駆動状態検出手段102Bからn回目の入力が行われた際の時刻をT(n)と表し、時刻T(n)における弁体1011Bの位置をP(n)と表す。
図13において、時刻T(n−1)までは入力される弁体1011Bの位置はP1であるのに対し、時刻T(n)では、弁体1011Bの位置はP2と変化している。その後、時刻T(n+4)まで弁体1011Bの位置がP2である状態が続いた後、時刻T(n+5)以降の弁体1011Bの位置は再びP1に戻り、その状態が続いている。また、以下の説明では、判定に用いる閾値をPTHとし、P2−P1≧PTHとする。
まず、異物が付着しているか否かの判定方法について、図13を用いて、詳細に説明する。
駆動方法決定手段103は、ある時刻T(n)において、駆動状態検出手段102Bから入力された位置情報P(n)と、記憶手段1032に格納され、P(n)の直前に入力された位置情報であるP(n−1)との差分Δ(n)=P(n)−P(n−1)を算出する。算出したΔ(n)が記憶手段に格納されている閾値PTH(PTHは正の値とする)より大きい場合には、駆動方法決定手段103は、弁体1011Bあるいは弁座1012Bに異物113が付着していると判定する。閾値PTHは、液体吐出装置1Bの設計時のパラメータ、付着が想定される異物113の大きさ等によって定めてもよい。
図13に示す例の場合、例えば、時刻T(n−2)において、駆動方法決定手段103は、差分Δ(n−2)=P(n−2)−P(n−3)=P1−P1=0を算出する。この場合、差分Δ(n−2)=0<PTHとなるため、駆動方法決定手段103は、弁体1011Bあるいは弁座1012Bに異物113が付着していないと判定する。時刻T(n−1)まではΔ=0<PTHとなるため、駆動方法決定手段103は、弁体1011Bあるいは弁座1012Bに異物113が付着していないと判定する。駆動方法決定手段103は、異物が付着していないと判定した場合、通常時の駆動方法を維持すると決定する。
また、図13の時刻T(n)において、駆動方法決定手段103は、Δ(n)=P2−P1を算出し、算出したΔ(n)が、Δ(n)≧PTHとなるため、駆動方法決定手段103は、時刻T(n)の時点で、弁体1011Bあるいは弁座1012Bに異物113が付着していると判定する。駆動方法決定手段103は、異物113が付着したと判定した場合、駆動手段107B及び駆動手段107Cの駆動方法を異物除去用の駆動方法に変更すると決定し、駆動手段107B及び駆動手段107Cにその旨通知する。
次に、異物113が除去されたか否かの判定方法について、詳細に説明する。
異物113が付着していると判定した後、時刻T(n+1)において、駆動方法決定手段103は、異物113が付着していると判定した時刻T(n)の直前の時刻T(n−1)における弁体位置P(n−1)と、時刻T(n+1)に入力された弁体位置P(n+1)に基づき、Δ(n+1)=P2−P1≧PTHを算出し、異物113が除去されていないと判定する。駆動方法決定手段103は、異物113が除去されていないと判定した場合、異物除去用の駆動方法を維持すると決定する。
また、異物113が付着していると判定した後、時刻T(n+5)において、駆動方法決定手段103は、異物113が付着していると判定した時刻T(n)の直前の時刻T(n−1)における弁体位置であるP(n−1)と、時刻T(n+5)に入力された弁体位置P(n+5)に基づき、Δ(n+5)=P1−P1=0<PTHを算出し、異物113が除去されたと判定する。駆動方法決定手段103は、異物113が除去されたと判定した場合、異物除去用の駆動方法から、通常時の駆動方法に変更すると決定する。
図14は、異物113が付着したか否かを判定し、駆動方法を決定する場合の駆動方法決定手段103の動作例を示すフローチャートである。なお、以下では、開閉手段101Bの弁体1011Bに異物113が付着した場合について説明するが、弁座1012B、開閉手段101Cの弁体1011C及び弁座1012Cにおいても、駆動方法決定手段103は同様の動作を行う。また、液体吐出装置1Bは、駆動手段107B及び107Cの駆動方法が通常時の駆動方法に初期設定されているものとする。
入力手段1031は、駆動状態検出手段102Bから出力される、弁体1011Bと弁座1012Bとにより流路を閉じた際の弁体1011Bの位置情報を受信する。入力手段1031は、受信した位置情報を記憶手段1032及び判定手段1034へ送信する(S201)。
判定手段1034は、S201で入力手段1031が受信した位置情報と、記憶手段1032に格納され、S201で受信した位置情報の直前に受信した位置情報との差分を算出し(S202)、算出した差分が所定の閾値以上か否かを判定する(S203)。
算出した差分が所定の閾値以上の場合(S203、YES)、判定手段1034は、異物113が弁体1011Bまたは弁座1012Bに付着したと判定し、駆動手段107B及び駆動手段107Cの駆動方法を、異物除去用の駆動方法と決定する(S204)。出力手段1033は、判定手段1034が決定した異物除去用の駆動方法を、駆動手段107B及び駆動手段107Cに通知する。
算出した差分が所定の閾値より小さい場合(S203、NO)、判定手段1034は、異物が弁体1011Bまたは弁座1012Bに付着していないと判定し、駆動手段107B及び駆動方法107Cの駆動方法を通常時の駆動方法のまま維持する(S205)。
図15は、異物113が除去されたか否かを判定し、駆動方法を決定する場合の駆動方法決定手段103の動作例を示すフローチャートである。なお、以下では、開閉手段101Bの弁体1011Bに異物113が付着した場合について説明するが、弁座1012B、開閉手段101Cの弁体1011C及び弁座1012Cにおいても同様の動作を行う。
入力手段1031は、駆動状態検出手段102Bから出力される、弁体1011Bと弁座1012Bとにより流路を閉じた際の弁体1011Bの位置情報を受信する。入力手段1031は、受信した位置情報を記憶手段1032及び判定手段1034へ送信する(S301)。
判定手段1034は、S301で入力手段1031が受信した位置情報と、記憶手段1032に格納され、異物113が付着したと判定した直前の位置情報との差分を算出し(S302)、算出した差分が所定の閾値以上か否かを判定する(S303)。
算出した差分が所定の閾値以上の場合(S303、YES)、判定手段1034は、弁体1011Bまたは弁座1012Bに付着した異物113が除去されていないと判定し、駆動手段107B及び駆動手段107Cの駆動方法を、異物除去用の駆動方法のまま維持する(S304)。
算出した差分が所定の閾値より小さい場合(S303、NO)、判定手段1034は、弁体1011Bまたは弁座1012Bに付着した異物113が除去されたと判定し、駆動手段107B及び駆動方法107Cの駆動方法を、通常時の駆動方法と決定する(S305)。出力手段1033は、判定手段1034が決定した通常時の駆動方法を、駆動手段107B及び駆動手段107Cに通知する。
また、駆動方法決定手段103は、異物113が除去されていないと判定した場合には、現在駆動手段107B及び107Cに設定されている異物除去用の駆動方法では異物113の除去ができないと判断し、現在の異物除去用の駆動方法よりも、さらに液体の流速が大きくなる駆動方法に変更してもよい。例えば、駆動方法決定手段103は、異物が除去されていないと判定した場合には、記憶手段1032に格納される液体の流速がさらに大きくなる駆動方法を選択し、駆動手段107B及び107Cを駆動させる。
また、異物113が弁体と弁座との間に挟まっているが、完全に付着していない可能性を考慮して、駆動方法決定手段103は、弁体の位置が変化した状態であることを複数回連続して判定した場合に、異物113が付着したと判定してもよい。同様に、駆動方法決定手段103は、弁体の位置が、異物113が付着していない弁体の位置であると複数回連続して判定した場合に、異物が除去されたと判定してもよい。
例えば、図13のように、駆動方法決定手段103は、時刻T(n)において、差分Δ(n)=P(n)−P(n−1)を算出し、さらに、時刻T(n+1)において、差分Δ(n+1)=P(n+1)−P(n−1)を算出する。そして、駆動方法決定手段103は、上記算出した差分Δ(n)及びΔ(n+1)がいずれも閾値PTH以上になったと判断した場合に、異物が付着したと判定してもよい。また、異物113が除去されたか否かを判定する場合も同様に、図13に示すように、駆動方法決定手段103は、Δ(n+5)=P(n+5)−P(n−1)及びΔ(n+6)=P(n+6)−P(n−1)がいずれも閾値PTHより小さくなったと判断した場合に、異物113が除去されたと判定してもよい。また、上述した例では複数回連続して判定条件を満たした場合に、駆動方法を決定するとしたが、駆動方法決定手段103は、所定の期間内に複数回判定条件を満たした場合に、駆動方法を決定するとしてもよい。
また、駆動方法決定手段103は、上記判定方法に限らず、他の判定方法によって異物が付着したか否かを判定してもよい。例えば、判定手段は、弁座からの弁体の高さ位置が、所定の閾値を超えた場合に、異物が弁体あるいは弁座に付着したと判定してもよい。
また、上記判定方法では、駆動方法決定手段103は、異物113が付着したか否か及び異物113が除去されたか否かを、閾値PTHを用いて判定したが、駆動方法決定手段103は、異物113が付着したか否かの判定を正の値である閾値PTH1を用いて行い、異物113が除去されたか否かの判定を負の値である閾値PTH2を用いて行ってもよい。
すなわち、駆動方法決定手段103は、弁体の位置情報及び閾値PTH1を用いて異物の付着を判定し、異物113の付着後は、異物113の大きさ及び閾値PTH2を用いて異物の除去を判定する。
駆動方法決定手段103は、異物113の付着前においては、入力された弁体位置とその直前の時刻に入力された弁体位置との差分が、PTH1以上の場合に、異物が付着したと判定する。また、異物が付着したと判定した場合には、その異物113の大きさに基づき、PTH2を設定する。例えば、図13の場合、駆動方法決定手段103は、時刻T(n)において、異物113が付着したと判定し、PTH2=−Δ(n)(=−(P2−P1))と設定する。
また、駆動方法決定手段103は、異物113の付着後においては、上記差分が、PTH2以下の場合に、異物が除去されたと判定する。例えば、図13の場合、時刻T(n+5)において、駆動方法決定手段103は異物が除去されたと判定する。
また、閾値PTH1及びPTH2による判定の場合においても、上述したように、所定の期間内に複数回判定条件を満たした場合や、複数回連続して判定条件を満たした場合に、異物の付着あるいは異物の除去を判定してもよい。
その他の判定方法について説明する。駆動方法の変更後において、異物除去用の駆動方法によっても、付着した異物113が除去されず、その異物113が付着したところ(またはその近辺に)にさらに異物113が付着する場合がある。以下に示す例では、異物113が付着したと判定した後、駆動方法決定手段103は、異物113が除去されたか否かに加え、異物113がさらに付着したか否かの判定を行う。
図16の時刻T(n−1)において、駆動方法決定手段103は、上述した判定方法に従い、異物113が付着したと判定し、駆動手段107B及び107Cの駆動方法を異物除去用の駆動方法(駆動方法1という)に変更し、閾値PTH2=−Δ(n−1)=−(P2−P1)と設定したとする。なお、図16において、P3−P2≧PTH1とする。
駆動方法決定手段103は、時刻T(n)において、時刻T(n)における弁体位置P3と、その直前の時刻T(n−1)における弁体位置P2の差分Δ(n)を算出し、Δ(n)=P3−P2≧PTH1となるため、さらに異物113が付着したと判定する。このとき、駆動方法決定手段103は、異物除去を判定するための閾値PTH2の変更を行う。例えば、駆動方法決定手段103は、さらに付着した異物113の高さΔ(n)に基づき、PTH2=−Δ(n−1)−Δ(n)=−(P2−P1)−(P3−P2)と変更する。
駆動方法決定手段103は、さらに異物113が付着したと判定した場合には、現在駆動手段に設定されている駆動方法1から、駆動方法2へ変更する。駆動方法2は、駆動方法1に比べて、弁体及び弁座を通過する液体の流速が大きくなるように駆動手段を駆動する。すなわち、例えば、図11において、区間D2における弁体1011Bの駆動スピードを駆動方法1よりさらに遅くする。なお、さらに異物113が付着した場合には、式(6)’おけるS1が大きくなる、すなわち、異物除去可能な流速vが小さくなるため、駆動方法決定手段103は、駆動方法を変更することなく、駆動方法1のまま維持してもよい。
そして、駆動方法2に変更後、時刻T(n+3)において、駆動方法決定手段103は、入力された弁体の位置情報P1とその直前に入力された弁体の位置情報P3との差分を算出し、Δ(n+3)≦PTH2となるため、異物113が除去できたと判定する。なお、さらに付着した異物113のみが除去される場合を考慮して、さらに付着した異物113にみが除去されたか否かを判定する閾値PTH3を設定してもよい。例えば、図16における時刻T(n)において、駆動方法決定手段103は、算出したΔ(n)を用いてPTH3=−Δ(n)と設定する。そして、駆動方法決定手段103は、時刻T(n+3)において、PTH2<Δ(n+3)≦PTH3となった場合に、さらに付着した異物113のみが除去されたと判定し、駆動方法2から駆動方法1へ変更してもよいし、または駆動方法2を維持してもよい。
また、上記式(6)’において、右辺のμ、ρ、p0は、液体吐出装置1Bの設計値等で定まるパラメータであり、S1、S2、m、FEは、付着する異物113固有のパラメータである。異物113固有のパラメータは、液体吐出装置1Bの設計段階で付着することが想定される異物113に基づき予め定めておいてもよい。従って、液体吐出装置1Bの設計値及び付着することが予想される異物113の大きさ等に基づき、(6)’式を用いて、液体吐出装置1Bのユーザは、異物除去可能な液体の流速vの予測値を算出し、算出した流速vとなる異物除去用の駆動方法を記録手段1032に予め登録してもよい。この場合、駆動方法決定手段103は、異物が付着したと判定した場合に、登録された異物除去用の駆動方法を記憶手段1032から読み出し、駆動方法を決定してもよい。
また、本実施形態の液体吐出装置1Bは、異物付着前後の弁体の位置情報に基づき、異物113の高さ(厚さ)を測定することができる。従って、液体吐出装置1Bのユーザは、異物113の高さごとに、除去可能な流速vを算出し、異物除去用の駆動方法を記憶手段1032に予め複数登録しておいてもよい。この場合、駆動方法決定手段103は、駆動状態検出手段102B及び102Cによって測定された異物113の高さに応じて、適当な駆動方法を読み出し、異物除去用の駆動方法を決定してもよい。
また、式(6)’右辺のS1は、異物113の高さによって変化するパラメータである。従って、本実施形態の液体吐出装置1Bの駆動方法決定手段103は、例えば、図10に示すように、異物113の幅w(付着することが想定される異物113に基づく予測値とする)及び測定した異物113の高さを用いて、S1及び式(6)’を満たす流速vを算出し、算出した流速となる異物除去用の駆動方法を決定することもできる。従って、このような場合においては、液体吐出装置1Bの駆動方法決定手段103は、式(6)’の右辺を予測したパラメータのみにより、流速vを算出し、異物除去用の駆動方法を決定する場合に比べ、実際に測定した異物113の高さを考慮して駆動方法を決定できるため、異物除去用の駆動方法をより適切に決定することができる。また、液体吐出装置1Bの駆動方法決定手段103は、上述のように、測定した異物113の高さに基づき、異物除去可能な流速vとなる駆動方法を算出した際、測定した異物113の高さごとに、異物除去用の駆動方法を記憶手段1032に格納してもよい。これにより、液体吐出装置1Bの駆動方法決定手段103は、異物113が付着したと判定するごとに、上記流速v及び駆動方法を改めて算出、決定する必要なく、測定した異物113の高さに応じた駆動方法を記憶手段1032から読み出し、駆動方法を決定することが可能となる。
また、本実施形態の液体吐出装置1Bは図示しない制御手段を備え、該制御手段が液体吐出装置1Bの各手段の制御を行ってもよい。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成してもよい。また、例えば、制御手段のCPUは、ROMから読み込んだプログラムに基づいて、各手段の制御を行ってもよい。また、制御手段のCPUは、コンピュータで読み取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体から、図示しない読み込み装置等を用いて、プログラムを読み込んで、各手段の制御を実行してもよい。
従って、第2の実施形態によれば、液体吐出装置1Bは、液体の吐出に影響を与えることなく、付着した異物を除去することができる。より詳細には、液体吐出装置1Bは、弁体の位置情報に基づき異物が付着したか否かの判定を行い、判定結果に応じて弁体の駆動方法を変更することにより、液体の流速を大きくし、異物を除去するができる。従って、第2の実施形態の液体吐出装置1Bは、弁体及び弁座への異物付着による液体吐出への影響を低減することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではない。本発明は、各実施形態の変形・置換・調整に基づいて実施できる。すなわち、本発明は、本明細書の全ての開示内容、技術的思想に従って実現できる各種変形、修正を含む。なお、各図面に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
液体を対象物へ吐出する液体吐出装置であって、
前記液体の流路を開閉する開閉手段と、
前記開閉手段の位置情報を検出する駆動状態検出手段と、
検出された前記位置情報に基づき、前記開閉手段に異物が付着しているか否かを判定し、前記異物が付着していないと判定した場合、前記液体の流速が第1の流速となるように、前記開閉手段の駆動方法を決定し、前記異物が付着していると判定した場合、前記液体の流速が前記第1の流速よりも大きい第2の流速となるように、前記開閉手段の駆動方法を決定する駆動方法決定手段と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
(付記2)
前記開閉手段は、弁体及び弁座を含み、前記弁体と前記弁座との距離を変化させることによって前記流路を開閉し、
前記駆動方法決定手段は、
前記異物が付着していると判定した場合には、前記弁体及び前記弁座を通過する液体が、前記第2の流速となるように、前記弁体と前記弁座との距離を制御することを特徴とする付記1に記載の液体吐出装置。
(付記3)
前記開閉手段は、閉じられた前記流路を所定の時間で開き、
前記駆動方法決定手段は、
前記異物が付着していないと判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を第1の速度で前記流路を通過する液体が最大となる位置まで駆動し、
前記異物が付着していると判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記弁座から所定の位置まで駆動し、前記所定の位置以降は前記弁体の速度を前記第1の速度よりも速い第3の速度で前記最大となる位置まで駆動することを特徴とする付記2記載の液体吐出装置。
(付記4)
前記駆動状態検出手段は、前記開閉手段の位置情報として、前記弁体の位置情報を検出することを特徴とする付記2または3に記載の液体吐出装置。
(付記5)
前記弁体の位置情報を格納する記憶手段をさらに備え、
前記駆動方法決定手段は、前記検出した弁体の位置情報と、前記記憶手段に格納される前記弁体の過去の位置情報との差分が、所定の閾値以上である場合に、前記開閉手段に前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記4に記載の液体吐出装置。
(付記6)
前記駆動方法決定手段は、前記検出した弁体の位置情報が、所定の閾値以上である場合に、前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記4に記載の液体吐出装置。
(付記7)
前記記憶手段は、
前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報ごとに前記第2の流速となる前記開閉手段の駆動方法を格納し、
前記駆動方法決定手段は、
前記駆動状態検出手段が検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に応じて、前記記憶手段から、対応する前記第2の流速となる開閉手段の駆動方法を選択することを特徴とする付記5に記載の液体吐出装置。
(付記8)
前記駆動方法決定手段は、
前記駆動状態検出手段が検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に基づき、前記第2の流速を算出し、前記第2の流速となる開閉手段の駆動方法を決定し、前記記憶手段に格納すること特徴とする付記7に記載の液体吐出装置。
(付記9)
前記駆動方法決定手段は、前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
(付記10)
前記駆動方法決定手段は、前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
(付記11)
液体を対象物へ吐出する液体吐出方法であって、
前記液体の流路を弁体と弁座との距離を変化させることによって開閉し、
前記弁体の位置情報を検出し、
検出した前記弁体の位置情報に基づき、前記弁体または前記弁座に異物が付着しているか否かを判定し、前記異物が付着していないと判定した場合、前記液体の流速が第1の流速となるように前記開閉の駆動方法を決定し、前記異物が付着していると判定した場合、前記液体の流速が前記第1の流速よりも大きい第2の流速となるように前記開閉の駆動方法を決定する、
ことを特徴とする液体吐出方法。
(付記12)
前記異物が付着していると判定した場合には、前記弁体及び前記弁座を通過する液体が、前記第2の流速となるように、前記弁体と前記弁座との距離を制御することを特徴とする付記11に記載の液体吐出方法。
(付記13)
閉じられた前記流路を所定の時間で開き、
前記異物が付着していないと判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を第1の速度で前記流路を通過する液体が最大となる位置まで駆動し、
前記異物が付着していると判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で、前記弁座から所定の位置まで駆動し、前記所定の位置以降は前記弁体の速度を前記第1の速度よりも速い第3の速度で、前記最大となる位置まで駆動することを特徴とする付記12記載の液体吐出方法。
(付記14)
前記弁体の位置情報を格納し、
前記検出した弁体の位置情報と、前記格納される前記弁体の過去の位置情報との差分が、所定の閾値以上である場合に、前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記11乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
(付記15)
前記検出した弁体の位置情報が、所定の閾値以上である場合に、前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記11乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
(付記16)
前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報ごとに前記第2の流速となる前記開閉の駆動方法を格納し、
前記検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に応じて、対応する前記第2の流速となる前記開閉の駆動方法を選択することを特徴とする付記14に記載の液体吐出方法。
(付記17)
前記検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に基づき、前記第2の流速を算出し、前記第2の流速となる前記開閉の駆動方法を決定し、格納することを特徴とする付記16に記載の液体吐出方法。
(付記18)
前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記11乃至17のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
(付記19)
前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記11乃至17のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
(付記20)
液体を対象物へ吐出する液体吐出装置のコンピュータに、
前記液体の流路を弁体と弁座との距離を変化させることによって開閉する開閉処理と、
前記弁体の位置情報を検出する駆動状態検出処理と、
検出した前記弁体の位置情報に基づき、前記弁体または前記弁座に異物が付着しているか否かを判定し、前記異物が付着していないと判定した場合、前記液体の流速が第1の流速となるように前記開閉処理における駆動方法を決定し、前記異物が付着していると判定した場合、前記液体の流速が前記第1の流速よりも大きい第2の流速となるように前記開閉処理における駆動方法を決定する駆動方法決定処理と、
を実行させることを特徴とする液体吐出装置のプログラム。
(付記21)
前記駆動方法決定処理は、
前記異物が付着していると判定した場合には、前記弁体及び前記弁座を通過する液体が、前記第2の流速となるように、前記弁体と前記弁座との距離を制御することを特徴とする付記20に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記22)
前記開閉処理は、閉じられた前記流路を所定の時間で開き、
前記駆動方法決定処理は、
前記異物が付着していないと判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を第1の速度で、前記流路を通過する液体が最大となる位置まで駆動し、
前記異物が付着していると判定した場合には、前記流路を開く際に、前記弁体を前記第1の速度よりも遅い第2の速度で、前記弁座から所定の位置まで駆動し、前記所定の位置以降は前記弁体の速度を前記第1の速度よりも速い第3の速度で、前記最大となる位置まで駆動することを特徴とする付記21記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記23)
前記弁体の位置情報を格納する記憶処理をさらに実行させ、
前記駆動方法決定処理は、前記検出した弁体の位置情報と、前記格納される前記弁体の過去の位置情報との差分が、所定の閾値以上である場合に、前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記20乃至22のいずれか1項に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記24)
前記駆動方法決定処理は、前記検出した弁体の位置情報が、所定の閾値以上である場合に、前記異物が付着していると判定することを特徴とする付記20乃至22のいずれか1項に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記25)
前記記憶処理は、
前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報ごとに前記第2の流速となる前記開閉処理における駆動方法を格納し、
前記駆動方法決定処理は、
前記駆動状態検出処理において検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に応じて、対応する前記第2の流速となる開閉処理における駆動方法を選択することを特徴とする付記23に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記26)
前記駆動方法決定処理は、
前記駆動状態検出処理において検出した前記液体の流路を閉じた際の前記弁体の位置情報に基づき、前記第2の流速を算出し、前記第2の流速となる開閉処理における駆動方法を決定し、格納することを特徴とする付記25に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記27)
前記駆動方法決定処理は、前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上、連続して判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記20乃至26のいずれか1項に記載の液体吐出装置のプログラム。
(付記28)
前記駆動方法決定処理は、前記判定を複数回行い、
前記異物が付着していると所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していると判定し、
前記異物が付着していないと所定の回数以上判定した場合に、前記異物が付着していないと判定することを特徴とする付記20乃至26のいずれか1項に記載の液体吐出装置のプログラム。