以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
実施例のレーザマーカ(図2):
図2を参照して、実施例のレーザマーカ100は、レーザ励起部200とレーザ出力部300とを含む。レーザ出力部300はレーザ発振部302を有している。レーザ発振部302はレーザ媒質304を含む。レーザマーカ100は、レーザ媒質304で発振されたレーザビームLbを対象物(ワーク)Wの表面上で走査させることで対象物Wの表面に印字パターンを印字する。
印字動作を制御する印字信号は、そのHIGH/LOWに応じてレーザビームLbのON/OFFが切り替えられ、その1パルスが発振されるレーザビームLbの1パルスに対応するPWM信号である。PWM信号は、その周波数に応じたデューティ比に基づいてレーザ強度を規定することができる。変形例として、周波数に基づいた走査速度によってレーザ強度を規定してもよい。
レーザ励起部200はレーザ励起光源202と集光部204を有している。レーザ励起光源202には電源部206から定圧電源が供給される。レーザ励起光源202は半導体レーザやランプ等で構成される。具体的には、レーザ励起光源202は、複数の半導体レーザダイオード素子を直線状に並べたレーザダイオードアレイで構成されている。各素子からのレーザ発振がライン状に出力され、この出力は集光部204の入射面に入射される。集光部204は典型的にはフォーカシングレンズ等で構成され、そして、集光部204の出射面からレーザ励起光がレーザ出力部300に向けて出力される。
レーザ励起部200とレーザ出力部300とは光ファイバーケーブル208によって連結されている。レーザ励起部200が生成したレーザ励起光は上述したレーザ媒質304に入る。ここに、レーザ媒質304はロッド状の固体レーザ媒質(例えばNd:YVO4)で構成され、その一方の端面からレーザ励起光を入力して励起され、他方の端面からレーザビームLbを出射する、いわゆるエンドポンピングによる励起方式が採用されている。レーザ媒質304は、固体レーザ媒質に波長変換素子を組み合わせて、出力されるレーザビームLbの波長を任意の波長に変換できるようにしてもよい。
レーザ媒質304の変形例として、レーザビームを発振させる共振器でレーザ媒質304を構成しないで、固体レーザ媒質の代わりに、波長変換のみを行う波長変換素子でレーザ媒質304を構成してもよい。この場合は、半導体レーザの出力光に対して波長変換を行えばよい。波長変換素子としては、例えばKTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料や他の無機非線形光学材料、例えばKN(KNbO3)、KAP(KAsPO4)、BBO、LBOや、バルク型の分極反転素子(LiNbO3(Periodically Polled Lithium Niobate :PPLN)、LiTaO3等)が利用できる。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバーを用いたアップコンバージョンによるレーザの励起光源用半導体レーザを用いることもできる。
レーザ出力部300は、レーザビームLbを発生させる上述したレーザ発振部302を備える。レーザ発振部302は、上述したレーザ媒質304が放出する誘導放出光の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置された出力ミラー及び全反射ミラーと、これらの間に配されたアパーチャ、Qスイッチ等を備える。レーザ媒質304が放出する誘導放出光を、出力ミラーと全反射ミラーとの間での多重反射により増幅し、Qスイッチの動作により短周期にて通断しつつアパーチャによりモード選別して、出力ミラーを経てレーザビームLbを出力する。
レーザ発振部302の変形例として、CO2やヘリウム−ネオン、アルゴン、窒素等の気体を媒質として用いる気体レーザ方式を採用してもよい。例えば炭酸ガスレーザを用いた場合、レーザ発振部302は、内蔵電極を含むレーザ発振部302の内部に炭酸ガス(CO2)が充填され、制御部320から与えられる印字信号に基づいて内蔵電極により炭酸ガスを励起してレーザ発振させる。
レーザマーカ100はレーザビーム走査系310を有する。レーザビーム走査系310は、レーザ発振部302と光路を一致させたZ軸スキャナを内蔵するビームエキスパンダ312と、X軸スキャナ314と、このX軸スキャナ314と直交するよう配置されたY軸スキャナ316とを備える。このレーザビーム走査系310は、レーザ発振部302より出射されるレーザビームLbをX軸スキャナ314、Y軸スキャナ316で対象物Wの表面上の作業領域で二次元的に走査させる。好ましくは、Z軸スキャナ(図示せず)を設けて、このZ軸スキャナで高さ方向にワーキングディスタンスすなわち焦点距離を調整できるようにするのが良い。これにより三次元状に印字加工が可能となる。なお、集光レンズであるfθレンズは図示を省略している。
X軸、Y軸スキャナ314、316は、光を反射するガルバノミラー314a、316aと、このガルバノミラー314a、316a、を回動軸に固定して回動するためのガルバノモータ314b、316bと、回動軸の回転位置を検出して位置信号として出力する位置検出部を備える。また各X軸、Y軸スキャナ314、316はスキャナ駆動回路318に接続されている。スキャナ駆動回路318は制御部320に接続されている。そして制御部320から供給される制御信号によってX軸、Y軸スキャナ314、316の動作が制御される。
ビームエキスパンダ312は、これに含まれるZ軸スキャナによって、レーザ媒質304から出射するレーザビームLbのスポット径を調整する機能が付加されている。スポット径を調整することで、ワーキングディスタンス(焦点距離)を調整することができる。すなわち、ビームエキスパンダ312で入射レンズと出射レンズとの相対距離を変化させることでレーザビームLbのビーム径を拡大/縮小し、焦点位置も変化させることができる。このビームエキスパンダ312の具体的な構成は特開2007−111763号公報に詳細に記載されていることから、この特開2007−111763号の記載を援用することにより、ビームエキスパンダ312のこれ以上の説明を省略する。
ビームエキスパンダ312に含まれるZ軸スキャナ及びX軸、Y軸スキャナ314、316を制御することにより、ワーキングディスタンスを調整しながらレーザビームLbを走査することができる。したがって、曲面状や段差状の対象物(ワーク)Wの三次元印字位置の全エリアに対して焦点距離を合わせた状態で高精度に且つ最小スポットで印字加工できる。
レーザマーカ100は、レーザビーム走査系310のレーザビームの行路から分岐した受光軸330を有する撮像素子332を有し、この撮像素子332は実質的にカメラつまり撮像部を構成している。具体的に説明すると、レーザマーカ100は、ビームエキスパンダ312と、X、Y軸ガルバノミラー314a、316aとの間に配置されたハーフミラー334を有している。撮像素子332の受光軸330は、レーザビーム出射軸336が偏向されるハーフミラー334を介してレーザビーム出射軸336から分岐されている。
図2を引き続き参照して、参照符号340は距離測定用ポインタ光出射器を示す。距離測定用ポインタ光出射器340は、ワークに向けてレーザ光を出射し、その反射光を撮像素子332で受け止める。撮像画像に含まれるレーザ光の輝点の位置座標をワーキングディスタンスに置き換えて、所定のワーキングディスタンスとなるように印字データのZ座標を補正する。
他の実施例のレーザマーカを含む印字システムの一例(図3、図4):
図3は、例示としての印字システムの全体構成を示す。図4は、そのブロック図である。印字システム400は、マーキングヘッド402と、マーキングヘッド402を制御するコントローラ404と、コントローラ404とデータ通信可能に接続された三次元加工データ設定装置つまりパーソナルコンピュータ(PC)406とを有する。
PC406つまり三次元加工データ設定装置を使って、ユーザはワークWの加工条件などを入力することができる。また、三次元加工データ設定装置406のディスプレイ上にパラメータの設定画面などを表示させて、コントローラ404に対して印字パターンを三次元加工データとして設定することができる。三次元加工データ設定装置406は、三次元加工データ設定プログラムをインストールしたパーソナルコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)で構成される。
コントローラ404には、必要に応じて各種外部機器408が接続される。外部機器408としては、例えばワーク搬送ラインで搬送されるワークWの種別、位置等を確認するイメージセンサ等の画像認識装置、ワークWとマーキングヘッド402との距離に関する情報を取得する変位計等の距離測定装置、所定のシーケンスに従って機器の制御を行うPLC、ワークWの通過を検出するPDセンサその他各種のセンサ等を例示的に挙げることができる。
印字システム400は、入力された対象物の印字面に加工パターンを仮想的に一致させるように加工パターン情報を平面状から三次元空間座標データに変換して、対象物の印字面が三次元の凹凸面であっても比較的容易に印字パターンを設定してこれを対象物の表面に印字できる。三次元加工データの設定は例えば特開2007−111763号公報に三次元加工データの具体的な手法が記載されていることから、この特開2007−111763号公報の全文を本明細書に援用することにより、その説明を省略する。
コントローラ404は、メイン制御回路410、ワーク加工情報記憶部412、電源回路414、励起光源416を有し、また、レーザビーム増幅器418を含むレーザ発振器ユニットを有する。コントローラ404によってレーザ発振の制御やレーザビームの走査制御が実行される。励起光源416は、レーザ媒質を励起するための励起光を生成するLD(レーザダイオード)などの発光素子と集光レンズとを含む。
レーザビーム増幅器418は、コアにレーザ媒質が添加された光ファイバーを含み、このファイバー式のレーザビーム増幅器418を用いてレーザビームを増幅することによりエネルギー密度の高い高出力のレーザビームを生成することができる。このレーザビーム増幅器418は、低出力の種光を発生させるマスターオシレータ部、種光を増幅するパワーアンプ部、ポンピング用光源装置、アイソレータなどで構成され、マスターオシレータ部及びパワーアンプ部は、レーザ媒質としてイッテルビウム(Yb)などの希土類元素が添加された希土類ドープ光ファイバーによって構成される。
レーザビーム増幅器418は、例えば、レーザ発振を制御するためのQスイッチを設けるのが好ましく、Qスイッチの切り替えにより、連続発振をパルス発振に変換することができ、ピークパワーの大きなパルス波を生成することができる。なお、レーザビーム増幅器418としては、種光を生成するLDを直接にオン又はオフすることによって、パルス発振可能な発振器のように、Qスイッチ無しで構成してもよい。
コントローラ404とマーキングヘッド402とは光ファイバーケーブル420によって連結されている。光ファイバーケーブル420には、レーザビーム増幅器418でレーザビームが直接的に入力される。すなわち、光ファイバーケーブル420は、レーザビーム増幅器418によって増幅されたレーザビームをマーキングヘッド402に伝送するデリバリファイバーである。
マーキングヘッド402は、光アイソレータ422、ビームエキスパンダ424、ビームサンプラー426、シャッタ428、フォトインタラプタ430、ダイクロイックミラー432、Z軸スキャナ434、X軸・Y軸スキャナ436、パワーモニタ438及びガイド光源440を含む。
光アイソレータ422は、光ファイバーケーブル420の端面から出射されたレーザビームを通過させ、戻り光を抑制する戻り光抑制手段を構成し、光ファイバーケーブル420を介して伝送されたレーザビームをビームエキスパンダ424へ入力する順方向の伝送を許容し、逆方向への伝送を禁止する。光アイソレータ422は、例えば、アパーチャ、偏光子、ファラデー回転子によって構成される。アパーチャは、通過光を制限するための遮断板である。偏光子は、複屈折結晶からなるロッド状の光学素子である。ファラデー回転子は、磁界の印加によって偏光面を回転させる磁気光学素子である。
ビームエキスパンダ424は、レーザビームのビーム径を可変に制御するビーム径可変手段を構成し、光アイソレータ422と光軸を一致させて配置される。このビームエキスパンダ424は、光路上に配置された複数のレンズによって構成され、レンズ間の距離を調整することにより、ビーム径を所望の値に変換している。ビームサンプラー426は、ビームエキスパンダ424を通過したレーザビームの一部をダイクロイックミラー432に向けて反射させ、他の一部をパワーモニタ438側へ透過させる光学素子である。
パワーモニタ438は、ビームサンプラー426を透過したレーザビームを受光し、レーザパワーを検出するレーザパワー検出用センサであり、レーザパワーの検出結果をパワーレベル検出信号としてコントローラ404内のメイン制御回路410へ出力する。この様なパワーモニタ438としては、例えば、サーモパイル(熱電堆)、或いは、フォトダイオードが用いられる。
シャッタ428は、レーザビームを必要に応じて遮断するための遮断装置であり、遮断板や遮断板を移動させる駆動機構によって構成される。このシャッタ428は、ビームサンプラー426及びダイクロイックミラー432間に配置されている。
フォトインタラプタ430は、シャッタ428が閉じているか否かを光学的に検出する光学センサである。ダイクロイックミラー432は、特定波長の光のみを反射し、他の波長の光を透過させる光学素子であり、シャッタ428を通過したレーザビームをZ軸スキャナ434に向けて反射し、ガイド光源440からのガイド光をそのまま透過させる。
Z軸スキャナ434は、光路上に配置された1又は2以上のレンズと、レンズを移動させるレンズ駆動用モーターによって構成されるレーザビームの走査機構であり、レンズを変位させることによって、マーキングヘッド402から出射されるレーザビームの焦点位置を光軸方向に調整することができる。また、Z軸スキャナ434は、レーザビームの集光機能を有している。なお、このZ軸スキャナ434は、ワークWの高さに追随してレーザビームの焦点位置を光軸方向に移動させることが可能な走査機構である。
X軸・Y軸スキャナ436は、交差する回転軸にそれぞれ配置された2つのガルバノミラーと、これらのガルバノミラーを回転させるガルバノミラー駆動用モーターによって構成される。X軸・Y軸スキャナ436はレーザビームの走査機構である。X軸・Y軸スキャナ436は、ガルバノミラーを軸回転させることによって、レーザビームを光軸と交差する方向に走査させる。ここでは、加工対象面に照射されるレーザビームの光軸方向をZ軸方向と呼び、光軸と交差する互いに平行でない2つの方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向と呼ぶ。
Z軸スキャナ434を通過したレーザビームは、X軸・Y軸スキャナ436のガルバノミラーによって反射され、ワークWに照射される。ガイド光源440は、レーザビームLbの照射位置をワークW上で可視化するためのガイド光を生成する光源装置である。ガイド光源440から出射されたガイド光は、ダイクロイックミラー432を透過し、レーザビームの光路に入る。レーザビームの光路に入ったガイド光は、Z軸スキャナ434及びX軸・Y軸スキャナ436を経てワークWに照射される。
ワーク加工情報記憶部412は、ワークWのレーザ加工に関する情報をワーク加工情報として保持するメモリである。ワーク加工情報として、文字などの印字パターンをワークW上に加工する際の加工線の描画情報、レーザ発振を制御するためのレーザ出力制御情報などを含む。加工線の描画情報は、レーザビームの照射目標を示す三次元位置情報、例えば、座標データからなる。また、レーザ出力制御情報としては、例えば、レーザビームのピークパワー、パルス幅、繰返し周波数などが保持される。
ピークパワーは、パルスエネルギーをパルス幅で除算することによって得られる物理量である。パルス幅は、ピークパワーの半分程度のパワーレベルにおけるパルス波の時間長であり、繰返し周波数は、パルス発振の周波数である。また、中心波長は、レーザビーム増幅器418により生成されるレーザビームの波長である。
メイン制御回路410は、ワーク加工情報記憶部412内に保持されているワーク加工情報に基づいて、励起光源416、レーザビーム増幅器418、Z軸スキャナ434、X軸・Y軸スキャナ436及びシャッタ428を制御する制御手段を構成する。具体的には、メイン制御回路410は、レーザ出力制御情報に基づいて、マーキングヘッド402から出射されるレーザビームのピークパワーやパルス幅を調整するための発振器制御信号を生成し、そして、励起光源416及びレーザビーム増幅器418へ制御信号を出力する。
メイン制御回路410は、また、レーザ出力制御情報や描画情報に基づいて、Z軸スキャナ434のレンズ駆動用モーター、X軸・Y軸スキャナ436のミラー駆動用モーター、及び、シャッタ428を制御するための駆動信号を生成し、この各種の制御信号をZ軸スキャナ434、X軸・Y軸スキャナ436及びシャッタ428へ出力する。
この印字システム400においても、Z軸スキャナ434及びX軸・Y軸スキャナ436を制御することにより、ワーキングディスタンスを調整しながらレーザビームLbを走査することができる。したがって、曲面状や段差状の対象物(ワーク)Wの三次元印字位置の全エリアに対して焦点距離を合わせた状態で高精度に且つ最小スポットで印字加工できる。
図4を参照して、印字システム400は、Z軸スキャナ434と、X軸・Y軸スキャナ436つまりガルバノミラーとの間にハーフミラー450を有している。このハーフミラー450は、レーザビームの出射軸452から分岐した受光軸454を生成する。この受光軸454は撮像素子456の受光軸である。撮像素子456は実質的にカメラつまり撮像部を構成する。
図4を引き続き参照して、参照符号460は距離測定用ポインタ光出射器を示す。距離測定用ポインタ光出射器460の機能は、前述した距離測定用ポインタ光出射器340(図2)と同じであるので、その説明を省略する。
図2に図示のレーザマーカ100及び図3、図4に図示のレーザ印字システム400によれば、同じステージ11で印字及び読み取りを実施することができる。そして、この印字及びこれに続く読み取りは、共通の座標系を使って行うことができる。
図5は、図3、図4に図示のレーザ印字システム400のブロック図である。勿論、図2に図示のレーザマーカ100についても実質的に同じである。
図5を参照して、レーザ印字システム400は、PC406にレーザ印字データ設定プログラムをインストールすることにより印字設定機能が実現される。
コントローラ404は、ワーク搬送ラインで搬送されるワークの種別、位置などを認識する外部機器408などと送受信してワークWに対して印字を実行する。
印字制御に必要なパラメータの設定はPC406を使って行うことができ、設定された項目はコントローラ404の記憶部に記憶される。PC406では、前述した「何を」「どこに」「どうやって」を相互に関連した情報としたブロック単位で印字情報が生成される。
図6は、印字設定の手順を説明するためのフローチャートである。図6を参照して、ステップS1で印字パターンの種類を選択する。印字パターンの種類は、「文字列」、「バーコード」、「二次元コード」、「ロゴ・フォト」から選択可能である。
図7は印字設計書500を示す。一般的にユーザは印字設計書500に書いてある内容に基づいて印字設定する。図7に例示の印字設計書500は、円筒状のワークWに二次元コードを印字することを示し、また、ワークWのどの位置に印字するかの指定及び印字の大きさが指定されている。
図8は、PC406の表示部に表示されているツールバーの一部を図示してある。ツールバーには、アイコン及び文字で「文字列」「バーコード」「二次元コード」「ロゴ・フォト」が横並びに表示される。ユーザは、所望のアイコンをクリックすることで概略的な「何を」のうち、所望の印字パターンの種類を選択することができる。なお、本実施形態では、図8に示す選択画面は、印字パターンの種類を選択する設定画面として、後述する図9に示す設定画面と別個に存在しているが、本発明はこれに限られず、例えば図9に示す第1設定画面に組み込まれていてもよい。つまり、本実施形態における「第1設定画面」として、図8に示す選択画面を含む一の表示領域(或いは一ウィンドウ)になっていても、別の表示領域(或いは別ウィンドウ)になっていてもよい。
図6に戻って、上述したステップS1で選択した印字パターンに対応した第1設定画面がPC406に表示される。図9は、「文字列」を選択したときにPC406に表示される第1設定画面502Aを示す。図10は、「二次元コード」を選択したときにPC406に表示される第1設定画面502Bを示す。図11は、「ロゴ・フォト」を選択したときにPC406に表示される第1設定画面502Cを示す。
図9、図10、図11に図示の第1設定画面502A、502B、502Cに含まれる設定項目は印字データつまり印字パターンに関するものであるが、文字列、二次元コード、ロゴ・フォトの違いに対応して具体的に入力する設定項目が異なっていることが分かるであろう。例えば印字パターン「文字列」に関する第1設定画面502A(図9)では、所望の文字列を入力する欄や文字数を入力する設定項目を含み、また、文字の高さや文字の幅に関する設定項目を含んでいる。ユーザは印字設計書500(図7)を参照しながら印字データに関する入力を行うことになる。
図6に戻って、PC406の表示を切り替えて「どこに」印字するかに関連したパラメータの設定を行う(S3)。PC406の表示切り替えは、上段に見られる文字「レイアウト」ボタンを押し下げる、又はページ送り「次へ」ボタンを押し下げることにより行うことができる。また、図9〜図11に示されるように、文字「印字データ」と文字「レイアウト」との間、文字「レイアウト」と文字「印字条件」との間には、設定順を誘導する誘導表示として、三角印が表示されている。ユーザは、この誘導表示に従って、効率良くパラメータ設定を行うことができる。
図9、図10、図11に第2設定画面504が図示してある。図9は、印字パターン「文字列」を選択したときにPC406に表示される第2設定画面504Aを示す。図10は、印字パターン「二次元コード」を選択したときにPC406に表示される第2設定画面504Bを示す。図11は、印字パターン「ロゴ・フォト」を選択したときにPC406に表示される第2設定画面504Cを示す。
図9の「文字列」に関連した第2設定画面504Aの上段に、ワークがどのような形状であるかを指定する欄がある。この図9の例では、板状の平面であることを意味する「XY平面」が指定されている。また、図9の第2設定画面504Aの中段に「ブロック基準点」という文字があり、この「ブロック基準点」の文字の下の矩形の表示の左下に塗り潰しのマークがある。この矩形の左下の角の塗り潰しのマークは、印字予定領域の左下の角が基準点であることを意味している。この例から分かるように、ワークの表面の形状が板状の平面であれば、これに対応した「どこに」に関連した設定項目が第2設定画面504Aに表示される。
図10の第2設定画面504Bでは、ワークの表面が円柱形状であることを意味する「円柱形状」が指定されている。また、図10の第2設定画面504Bの中段に「ブロック基準点」という文字があり、この「ブロック基準点」の文字の下の矩形の下辺の真ん中に塗り潰しのマークがある。この塗り潰しのマークの点が基準点であることを意味している。この例から分かるように、ワークの表面の形状が円柱形状であれば、これに対応した「どこに」に関連した設定項目が第2設定画面504Bに表示される。
図11の第2設定画面504Cでは、ワークの表面が円錐形状であることを意味する「円錐形状」が指定されている。また、図11の第2設定画面504Cの中段に「ブロック基準点」という文字があり、この「ブロック基準点」の文字の下の矩形の下辺の真ん中に塗り潰しのマークがある。この塗り潰しのマークの点が基準点であることを意味している。この例から分かるように、ワークの表面の形状が円錐形状であれば、これに対応した「どこに」に関連した設定項目が第2設定画面504Cに表示される。
図6に戻って、PC406の表示を切り替えて「どのように」印字するかに関連したパラメータの設定を行う(S4)。PC406の表示切り替えは、上段に見られる「印字条件」ボタンを押し下げる、又はページ送り「次へ」ボタンを押し下げることにより行うことができる。図9、図10、図11の右側に第3設定画面506が図示してある。図9は、印字パターン「文字列」を選択したときにPC406に表示される第3設定画面506Aを示す。図10は、印字パターン「二次元コード」を選択したときにPC406に表示される第3設定画面506Bを示す。図11は、印字パターン「ロゴ・フォト」を選択したときにPC406に表示される第3設定画面506Cを示す。
図9の「文字列」に関連した第3設定画面506Aには、印字パターン「文字列」を選択したときに第1、第2設定画面502A、504Aで設定した内容に関連した印字条件のパラメータ(設定項目)が表示される。
図10の「二次元コード」に関連した第3設定画面506Bには、印字パターン「二次元コード」を選択したときに第1、第2設定画面502B、504Bで設定した内容に関連した印字条件のパラメータ(設定項目)が表示される。
図11の「ロゴ・フォト」に関連した第3設定画面506Cには、印字パターン「ロゴ・フォト」を選択したときに第1、第2設定画面502C、504Cで設定した内容に関連した印字条件のパラメータ(設定項目)が表示される。
第3設定画面506A、506B、506Cにはレーザパワー、スキャンスピードなどの設定項目を含む。これら基本的な設定項目の右にチェックボックスが見られる。このチェックボックスをチェックした設定項目は、全ての印字パターンに対してデフォルト値として共通化させることができる。これにより、重複した設定を省くことができる。
図10の「二次元コード」に関連した第3設定画面506Bを参照すると、この第3設定画面506Bには、他の第3設定画面506A(図9)、506C(図11)に見られない塗り潰しの設定項目があり、この設定項目はパターン、アライメント、セルなどを含む。
第3設定画面506を使って印字条件の設定が終わると印字テストが実行される(図6のS5)。そして、ユーザは印字テストの結果を見て、その良否を判断することになる。もし、適当でないときには、ステップS4に戻って、第3設定画面506を使って印字条件の調整を行うことができる。何回か試行錯誤しながら、第3設定画面506で印字条件を設定し直すことで最適な印字条件が見つかったら、ステップS7に進んで、最適な印字条件の下で運用を開始することができる。この第3設定画面506の表示において、一つの設定項目の設定を変更したときに、これに関連して設定変更する蓋然性の高い設定項目に対して、これをユーザに促す表示、例えば表示色を変える、印を点滅させるなどの表示を行うようにしてもよい。
上述の説明から理解できるように、印字パターンの種別を選択すると、これに応じた設定項目を備えた第1乃至第3の設定画面502、504、506が決定され、更に、第2設定画面504の設定に応じた第3設定画面の設定項目が決定されてPC406に表示される。具体的に且つ例示的に説明すると次の通りである。
第1設定画面502において、印字データとして、印字パターンが「文字列」であれば、文字列を構成する文字、各文字の高さの設定項目が表示される。印字パターンが「バーコード」であれば、バーコードの構成、バーコードの高さの設定項目が表示される。印字パターンが「二次元コード」であれば、二次元コードの構成、二次元コードの1セルの高さ、二次元コードの全体の高さの設定項目が表示される。印字パターンが「ロゴ・フォト」であれば、印字予定領域(印字ブロック)の高さの設定項目が表示される。
また、第1設定画面502において、印字データとして、印字パターンが「文字列」であれば、文字の幅の設定項目が表示される。印字パターンが「バーコード」であれば、「ナロー幅」「太いバーと細いバーとの比」「印字予定領域(印字ブロック)の幅に関連したパラメータの設定項目が表示される。印字パターンが「二次元コード」であれば、1セルの幅又は印字予定領域(印字ブロック)の幅の設定項目が表示される。印字パターンが「ロゴ・フォト」であれば、印字予定領域(印字ブロック)の幅や画素分解能などに関連した設定項目が表示される。
図12〜図21は第1設定画面502に含まれる設定項目と第3設定画面506に含まれる設定項目の具体例を示す。図12は、印字パターンが「文字列」であり且つ横並びに一列に文字を配置するときの第1設定画面502Aと第3設定画面506Aの表示例を示す。図13は、印字パターンが「文字列」であり且つ文字列をアーチ状に配置するときの第1設定画面502Aと第3設定画面506Aの表示例を示す。
図14は印字パターンが「バーコード」であるときの第1設定画面502Dと第3設定画面506Dの表示例を示す。図15は印字パターンが「バーコード」であるときの第1設定画面502Dと第3設定画面506Dの他の表示例を示す。図16は印字パターンが「バーコード」であるときの第1設定画面502Dと第3設定画面506Dの更に他の表示例を示す。
図17は印字パターンが「二次元コード」であるときの第1設定画面502Bと第3設定画面506Bの表示例を示す。図18は印字パターンが「二次元コード」であるときの第1設定画面502Bと第3設定画面506Bの他の表示例を示す。
図19は印字パターンが「ロゴ・フォト」であるときの第1設定画面502Cと第3設定画面506Cの表示例を示す。図20は印字パターンが「ロゴ・フォト」であるときの第1設定画面502Cと第3設定画面506Cの他の表示例を示す。図21は印字パターンが「ロゴ・フォト」であるときの第1設定画面502Cと第3設定画面506Cの更に他の表示例を示す。
図22〜図27は第2設定画面504の表示例を示す。図22は、ワーク表面性状として「XY平面」が選択されたときの表示例を示す。図23は、ワーク表面性状として「斜面」が選択されたときの表示例を示す。図24は、ワーク表面性状として「円柱」が選択されたときの表示例を示す。図25は、ワーク表面性状として「円錐」が選択されたときの表示例を示す。図26は、ワーク表面性状として「球」が選択されたときの表示例を示す。図27は、ワーク表面性状として「3D CAD」が選択されたときの表示例を示す。
例えば図9を再び参照して、第2設定画面504は「3D形状設定」ボタンを有し、この「3D形状設定」ボタンを押し下げることにより、三次元表面に対する印字データ設定が可能である。図28の(I)、(II)及び図29の(III)〜(V)は様々な三次元表面に対する印字データ設定を例示的に示す。
図30〜図33は、文字列、バーコードなどの印字パターンの種別と、各印字パターン毎に第1、第2、第3の設定画面502、504、506に含まれる設定項目の一覧である。○印が表示項目である。○印を付した設定項目に関し、第1〜第3設定画面502、504、506にどの設定項目を表示するかに関して、例えば「プロ表示モード」と「簡易表示モード」をユーザが選択できるようにしてもよい。そして「プロ表示モード」が選択されたときには○印の全てを表示し、簡易表示モードが選択されたときには、○印を付した設定項目のうち、ユーザが設定する頻度の高い設定項目だけを第1〜第3の設定画面502、504、506に表示するようにしてもよい。
図30〜図33に図示の一覧は、参照テーブルとして印字内容設定手段の一部を構成するメモリに記憶されている。図30〜図33に図示の一覧は、印字条件設定画面(実施例では第3の設定画面506)に表示される設定項目のうち、印字パターンを印字する際のレーザビーム走査に関連する印字条件を設定する第1の設定項目と、印字パターンの種類に応じて、該選択された印字パターンの印字結果に対して前記第1の設定項目との間で相互に依存関係を有する第2の設定項目との一覧である。この参照テーブルを参照して設定画面に表示する設定項目が決定される。
すなわち、第1の設定画面502又は第2の設定画面504の所定の設定項目(依存項目)の設定が行われると、図30〜図33に図示のテーブルが参照され、第3の設定画面506に表示する項目のうち相互依存関係のある表示項目が決定される。そして、この相互依存関係のある表示項目は、ユーザが第3の設定画面506を開いたときに、当該第3の設定画面506に表示される。
相互依存関係のある設定項目の表示方法として、この設定項目が他の設定項目と相互関係があることをユーザに明示する表示方法を採用してもよい。例えば、該当する設定項目に隣接して目印(例えば三角印)を表示する、該当する設定項目を点滅する、該当する設定項目を、他の設定項目とは違った色で表示するなどである。例えば、第3の設定画面506が、依存関係のある印字条件の設定項目に関連して、該設定項目が相互に依存関係を有する設定項目であることをユーザに知らせる表示を有していてもよい。この表示を見ることで、当該設定項目が相互依存性を有する項目であり、これを設定しなければならないとユーザに設定を促すことができる。
例えば、塗り潰し線間隔や塗り潰しの収縮といった依存項目(依存パラメータつまり依存関係のある設定項目)は、印字パターンの種類として文字列が選択された場合には印字条件設定画面に表示されない一方、図中の○印で示されるように、印字パターンの種類としてバーコードやQRコード(登録商標)などが選択された場合には印字条件設定画面に表示される。また、塗り潰し種類や塗り潰し角度といった依存項目は、印字パターンの種類として文字列やバーコード、QRコード等が選択された場合には印字条件設定画面に表示されない一方、図中の○印で示されるように、印字パターンの種類としてロゴ系(ハッチロゴ)が選択された場合には印字条件設定画面に表示される。また、ガンマ補正、コントラスト、コントラスト伸張、明るさといった依存項目は、印字パターンの種類として文字列やバーコード、QRコード、ロゴ系等が選択された場合には印字条件設定画面に表示されない一方、図中の○印で示されるように、印字パターンの種類としてフォト系(ハイレゾ)が選択された場合には印字条件設定画面(第3の設定画面506))に表示される。
以上説明したように、メモリに記憶されたテーブルを参照して、第3の設定画面に、相互依存関係を有する設定項目が表示されるため、ユーザは、パラメータの最適化を短時間で且つ容易に行うことができ、ひいては使い勝手を高めることができる。
なお、印字パターンの内容と印字条件とで相互依存関係を記憶する内容の変形例として、図30等に図示のテーブルの代わりに、例えば、印字パターンの種類に応じて依存項目が導出される数式モデルや相互関係のパターンなどをメモリに記憶しておいてもよい(例えば印字パターンの種類「バーコード」が入力されると、依存項目「塗り潰し種類」「塗り潰し角度」が導出・出力される等)。