(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図15に基づいて説明する。本実施形態は、多軸を駆動可能に構成された複数軸駆動用アクチュエータ20を車両用空調装置1の内外気切替ドア5、エアミックスドア13及び吹出モードドア17、18の駆動装置に適用したものである。
まず、車両用空調装置について図1に基づいて説明する。図1は、車両用空調装置1の模式図である。空気流路をなすケース2の空気上流側部位には、車室内気を導入するための内気導入口3と外気を導入するための外気導入口4とが設けられている。これらの導入口3、4を選択的に開閉する内外気切換ドア5が回転軸5aを中心に回転可能に設けられている。
また、内外気切換ドア5の下流側部位にはより両導入口3、4から吸入された空気が、後述する各吹出口14〜16に向けて送風されている。
送風機7の空気下流側には、空気冷却手段をなす蒸発器9が配置されており、送風機7により送風された空気は全てこの蒸発器9を通過する。なお、蒸発器9は、蒸気圧縮式冷凍機の低圧側熱交換器であり、減圧された低圧冷媒と室内に吹き出す空気とを熱交換して室内に吹き出す空気から吸熱して冷媒を蒸発させることにより室内に吹き出す空気を冷却するものである。
また、蒸発器9の空気下流側には、空気加熱手段をなすヒータ10が配置されており、このヒータ10は、エンジン11の冷却水等の車両で発生する廃熱を熱源として空気を加熱している。
そして、ケース2には、蒸発器9を通過した冷風をヒータ10を迂回させて下流側に流すバイパス通路12が形成されている。ヒータ10の空気上流側には、ヒータ10を通る温風量とバイパス通路12を通る冷風量との風量割合を調節するエアミックスドア13が回転軸13aを中心に回転可能に配置されている。エアミックスドア13は、温風と冷風との風量割合を調節することで室内に吹き出す空気の温度を調節している。
また、ケース2の最下流側部位には、車室内乗員の上半身に空調空気を吹き出すためのフェイス吹出口14と、車室内乗員の足元に空気を吹き出すためのフット吹出口15と、フロントガラス等の窓ガラスの内面に向かって空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口16とが設けられている。
上記各吹出口14〜16の空気上流側部位には、吹出モード切換ドア17、18が配置されている。より具体的には、フェイス吹出口14とフット吹出口15とを切換開閉するフェイスフットドア17、及びデフロスタ吹出口16を開閉するデフロスタドア18が配置されている。
吹出モード切換ドア17、18は、回転軸17a、18aを中心に回転可能に設けられている。両ドア17、18の回転軸17a、18aは、両ドア17、18の回転を操作するリンク機構(図示せず)を介して連動操作されるようになっている。
車両用空調装置は、内外気切替ドア5の回転軸5a、エアミックスドア13の回転軸13a、及び吹出モード切換ドア18、19の一方の回転軸の一端部をケース2の外部に突出させ、後述する1つの駆動用アクチュエータ20の出力軸41、42、43に連結するように構成されている。
本実施形態では、1つの複数軸駆動用アクチュエータ20によりドア手段を構成する内外気切替ドア5、エアミックスドア13及び吹出モード切換ドア18、19をそれぞれ開閉操作するようになっている。ここで、複数軸駆動用アクチュエータ20は、例えば、車両用空調装置1におけるケース2外部における送風機7と蒸発器9の間に配置されている。
次に、車両用空調装置1の内外気切替ドア5等のドア手段を開閉操作する複数軸駆動用アクチュエータ20について説明する。
図2、図3に示すように、複数軸駆動用アクチュエータ20のハウジング21内には、駆動用モータ22、出力機構40、動力伝達機構50(後述する入力機構30を含む)、出力軸切替機構60等が収納されている。出力機構40は、駆動用モータ22の動力を内外気切替ドア5等の回転軸に出力可能な機構である。動力伝達機構50は、駆動用モータ22の動力を出力機構40に伝達する機構である。
ハウジング21内には、駆動源を構成する駆動用モータ22が取り付け手段(図示せず)を介して固定されている。また、図2、図3に示すように駆動用モータ22は、駆動用モータ22の動力を取り出すためのモータシャフト22aを有しており、モータシャフト22aには、モーターウォーム31が設けられている。
モーターウォーム31は、ウォームホイールを成す第1入力ギア32と噛み合うように連結されている。第1入力ギア32は、ハウジング21に形成され、紙面上方向に伸びる入力シャフト23に回転可能に支持されている。
第2入力ギア33は、第1入力ギア32と一体に形成され、出力シャフト24に回転可能に支持された第3入力ギア34と噛み合うように連結されている。ここで、本実施形態におけるモーターウォーム31、第1〜第3入力ギア32〜34が、動力伝達機構50の入力機構30に相当している。
ハウジング21には、入力シャフト23から所定の間隔をあけて、入力シャフト23と同一方向に突出した出力シャフト24が形成されている。出力シャフト24は、動力伝達機構50を構成する2つの遊星歯車機構51、52を回転可能に支持している。本実施形態の2つの遊星歯車機構51、52は、出力シャフト24の軸上に直列に連結されている。
本実施形態の動力伝達機構50は、2つの遊星歯車機構51、52を含んで構成されている。第1遊星歯車機構51の第1太陽ギア511は、第3入力ギア34と一体に形成されている。第1太陽ギア511は、第1遊星ギア513と噛み合うように連結され、第1太陽ギア511の回転により第1遊星ギア513が回転される。
また、第1遊星歯車機構51の第1リングギア512は、内周面において第1リングギア内歯512aを備えると共に外周面に第1リングギア外歯512b(第1伝達ギア外歯の一例に相当する)を備えている。そして、第1リングギア内歯512aが第1遊星ギア513と噛み合うように連結され、第1リングギア外歯512bが第1出力軸41と一体に形成された第1出力ギア411と噛み合うように連結されている。
そのため、第1リングギア512の回転により、第1出力ギア411を介して第1出力軸41が回転される。したがって、この第1リングギア512は、駆動用モータ22の出力を第1出力軸41に伝達するための第1伝達ギアの一例に相当する。
また、第1リングギア外歯512bは、後述する第1ストッパレバー661と噛み合うための外歯でもある。この第1リングギア外歯512bの山の数は、9個以上(より詳細には20個以上)であり、第1ストッパレバー661はこれらの山のうちどの山とも噛み合うことが可能である。
第1遊星歯車機構51の第1遊星キャリア514は、第2遊星歯車機構52の第2太陽ギア521と一体に連結されている。第1遊星キャリア514と第2太陽ギア521の連結部には、第1ストッパギア612が一体に形成されている。第1ストッパギア612の外周面には、後述する第2ストッパレバー662と噛み合うための第1ストッパギア外歯612a(第2伝達ギア外歯の一例に相当する)が形成されている。この第1ストッパギア外歯612aの山の数は、9個以上(より詳細には20個以上)であり、第2ストッパレバー662はこれらの山のうちどの山とも噛み合うことが可能である。第1遊星キャリア514と第1ストッパギア612の組は、駆動用モータ22の出力を第2出力軸42に伝達するための第2伝達ギアの一例に相当する。
第2遊星歯車機構52の第2太陽ギア521は、第1遊星キャリア514と一体に連結されるとともに、第2遊星ギア523と噛み合うように連結されており、第2太陽ギア521の回転により、第2遊星ギア523が回転される。
また、第2遊星歯車機構52の第2リングギア522は、内周面において第2リングギア内歯522aを備えると共に外周面に第2リングギア外歯522b(第3伝達ギア外歯の一例に相当する)を備えている。そして、第2リングギア内歯522aが第2遊星ギア523と噛み合うように連結され、第2リングギア外歯522bが第2出力軸42と一体に形成された第2出力ギア421と噛み合うように連結されている。
そのため、第2リングギア522の回転により、第2出力ギア421を介して第2出力軸42が回転される。なお、第2出力軸42は、第1出力軸41と同軸に配置されているが、互いに摺動するので、第1出力軸41の回転の有無と第2出力軸42の回転の有無は互いに独立である。
また、第2リングギア外歯522bは、後述する第3ストッパレバー663と噛み合うための外歯でもある。この第2リングギア外歯522bの山の数は、9個以上(より詳細には20個以上)であり、第3ストッパレバー663はこれらの山のうちどの山とも噛み合うことが可能である。
また、第2遊星歯車機構52の第2遊星キャリア524は、第3出力軸43と一体に形成されている。そのため、第2遊星キャリア524の回転により、第3出力軸43が回転される。第2リングギア522は、第2伝達ギア514、612と共に駆動用モータ22の動力を前記第2出力軸に伝達するための第3伝達ギアの一例に相当する。
本実施形態では、第1出力軸41、第1出力ギア411で構成される出力機構、第2出力軸42、第2出力ギア421で構成される出力機構、第3出力軸43で構成される出力機構といった3つの出力機構で、出力機構40が構成されている。
さらに、第1遊星キャリア524と第3出力軸43との連結部には、第2ストッパギア614が一体に形成されている。第2ストッパギア614の外周面には、後述する第4ストッパレバー664と噛み合うための第2ストッパギア外歯614a(第4伝達ギア外歯の一例に相当する)が形成されている。第2ストッパギア外歯614aの山の数は9個以上(より詳細には20個以上)であり、第4ストッパレバー664はこれらの山のうちどの山とも噛み合うことが可能である。第2遊星キャリア524と第2ストッパギア614の組は、駆動用モータ22の出力を第3出力軸43に伝達するための第4伝達ギアの一例に相当する。
次に、第1、第2遊星歯車機構51、52の回転要素を停止するための出力軸切替機構60について図2、図4、図5に基づいて説明する。なお、図5は、図4の一部分の拡大図である。また、図2、図4、図5における紙面上下方向は、実際の複数軸駆動用アクチュエータ20の上下方向と一致する。さらに、複数軸駆動用アクチュエータ20の上下方向は、第1〜第4カム671〜674の回転中心である回転軸RS1と平行であり、第1〜第4カム671〜674の積層方向でもある。
出力軸切替機構60は、切替用モータ64、モーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653、ストッパ保持部660、第1〜第4ストッパ661〜664、第1〜第4カム671〜674、第1繋ぎ部品670a、第2繋ぎ部品670b等を有している。
ストッパ保持部660は、第1〜第4カム671〜674の回転中心である回転軸RS1と出力シャフト24との間に配置されていると共に、第1〜第4ストッパ661〜664を移動可能に支持する部材である。
このストッパ保持部660は、第1挿通孔形成部660a、第2挿通孔形成部660b、第3挿通孔形成部660c、第4挿通孔形成部660d、第1連結部660e、第2連結部660f、第3連結部660g、第4連結部660h、第5連結部660iを有している。
第1挿通孔形成部660aは、ハウジング21内の第1リングギア512と同じ高さの位置に、かつ、第1カム671と第1リングギア512の間に、配置されている。そして第1挿通孔形成部660aは、第1ストッパ661が挿通される挿通孔を囲む樹脂部材である。第1挿通孔形成部660aの形状は、第1カム671から第1リングギア512の方向に真っ直ぐ伸びる無底筒形状である。
第2挿通孔形成部660bは、 ハウジング21内の第1ストッパギア612と同じ高さの位置に、かつ、第2カム672と第1ストッパギア612の間に、配置されている。そして第2挿通孔形成部660bは、第2ストッパ662が挿通される挿通孔を囲む樹脂部材である。第2挿通孔形成部660bの形状は、第2カム672から第1ストッパギア612の方向に真っ直ぐ伸びる無底筒形状である。
第3挿通孔形成部660cは、ハウジング21内の第2リングギア522と同じ高さの位置に、かつ、第3カム673と第2リングギア522の間に、配置されている。そして第3挿通孔形成部660cは、第3ストッパ663が挿通される挿通孔を囲む樹脂部材である。第3挿通孔形成部660cの形状は、形状:第3カム673から第2リングギア522の方向に真っ直ぐ伸びる無底筒形状である。
第4挿通孔形成部660dは、ハウジング21内の第2ストッパギア614と同じ高さの位置に、かつ、第4カム674と第2ストッパギア614の間に、配置されている。そして第4挿通孔形成部660dは、第4ストッパ664が挿通される挿通孔を囲む樹脂部材である。第4挿通孔形成部660dは、第4カム674から第2ストッパギア614の方向に真っ直ぐ伸びる無底筒形状である。
第1連結部660eは、ハウジング21の底板と第1挿通孔形成部660aの間に配置される樹脂部材であり、その形状は、上下方向に伸びる柱形状である。また、第1連結部660eは、下端でハウジング21の底面と一体に接続し、上端で第1挿通孔形成部660aと一体に接続する。
第2連結部660fは、第1挿通孔形成部660aと第2挿通孔形成部660bの間に配置される樹脂部材であり、その形状は、上下方向に伸びる柱形状である。また、第2連結部660fは、下端で第1挿通孔形成部660aと一体に接続し、上端で第2挿通孔形成部660bと一体に接続する。
第3連結部660gは、第2挿通孔形成部660bと第3挿通孔形成部660cの間に配置される樹脂部材であり、その形状は、上下方向に伸びる柱形状である。第3連結部660gは、下端で第2挿通孔形成部660bと一体に接続し、上端で第3挿通孔形成部660cと一体に接続する。
第4連結部660hは、第3挿通孔形成部660cと第4挿通孔形成部660dの間に配置される樹脂部材であり、その形状は、上下方向に伸びる柱形状である。第4連結部660hは、下端で第3挿通孔形成部660cと一体に接続し、上端で第4挿通孔形成部660dと一体に接続する。
第5連結部660iは、第4挿通孔形成部660dとハウジング21の上蓋の間に配置される樹脂部材であり、その形状は、上下方向に伸びる柱形状である。また、第5連結部660iは、下端で第4挿通孔形成部660dと一体に接続し、上端でハウジング21の上蓋と一体に接続する。
第1ストッパ661は、回転軸RS1と出力シャフト24との間において、ハウジング21内で第1リングギア512に近い高さの位置に配置され、他のストッパ662、663、664と共に上下方向に積層配置される。この第1ストッパ661は、第1リングギア512の回転を許可および禁止するための部材であり、第1ストッパシャフト部661a、第1ストッパ歯先部661b、第1ストッパ爪部661cを備えている。
第1ストッパシャフト部661aは、第1リングギア512と同じ高さの位置において、第1挿通孔形成部660aによって形成された挿通孔に、摺動可能に挿通されている樹脂部材である。第1ストッパシャフト部661aの形状は、真っ直ぐに伸びた柱形状である。また、第1ストッパシャフト部661aは、 出力シャフト24側の端部において第1ストッパ歯先部661bに一体に接続され、回転軸RS1側の端部において第1ストッパ爪部661cに一体に接続される。
第1ストッパ歯先部661bは、第1リングギア512と同じ高さの位置に配置される樹脂部材であり、第1リングギア512側の面が歯形状になっている。この第1ストッパ歯先部661bは、歯形状の面が第1リングギア512と係合している状態では第1リングギア512の回転を禁止し、歯形状の面が第1リングギア512から離れている状態では第1リングギア512の回転を禁止しない。
第1ストッパ爪部661cは、第1カム671の上側に配置され、第1カム671から力が伝達される樹脂部材である。第1ストッパ爪部661cの形状は、上下方向に伸びる円柱形状である。また、第1ストッパ爪部661cは、上部が第1ストッパシャフト部661aに一体に接続され、下端部が第1カム671に形成された溝に嵌る。これにより、第1カム671の回転時に第1カム溝形成部671bが第1ストッパ爪部661cに対して摺動可能となる。
第2ストッパ662は、回転軸RS1と出力シャフト24との間において、ハウジング21内で第1ストッパギア612に近い高さの位置に配置され、他のストッパ661、663、664と共に上下方向に積層配置される。この第2ストッパ662は、第1ストッパギア612の回転を許可および禁止するための部材であり、第1ストッパ661と同材質、同形状である。この第2ストッパ662は、第2ストッパシャフト部662a、第2ストッパ歯先部662b、第2ストッパ爪部662cを有している。
第2ストッパシャフト部662aは、第1ストッパギア612と同じ高さの位置において、第2挿通孔形成部660bによって形成された挿通孔に、摺動可能に挿通されている樹脂部材である。第2ストッパシャフト部662aの形状は、真っ直ぐに伸びた柱形状である。また、第2ストッパシャフト部662aは、出力シャフト24側の端部において第2ストッパ歯先部662bに一体に接続され、回転軸RS1側の端部において第2ストッパ爪部662cに一体に接続される。
第2ストッパ歯先部662bは、第1ストッパギア612と同じ高さの位置に配置される樹脂部材であり、第1ストッパギア612側の面が歯形状になっている。この第2ストッパ歯先部662bは、歯形状の面が第1ストッパギア612と係合している状態では第1ストッパギア612の回転を禁止し、歯形状の面が第1ストッパギア612から離れている状態では第1ストッパギア612の回転を禁止しない。
第2ストッパ爪部662cは、第2カム672の上側に配置され、第2カム672から力が伝達される樹脂部材である。第2ストッパ爪部662cの形状は、上下方向に伸びる円柱形状である。また、第2ストッパ爪部662cは、上部が第2ストッパシャフト部662aに一体的に接続され、下端部が第2カム672に形成された溝に嵌る。これにより、第2カム672の回転時に第2カム溝形成部672bが第1ストッパ爪部662cに対して摺動可能となる。
第3ストッパ663は、回転軸RS1と出力シャフト24との間において、ハウジング21内で第2リングギア522に近い高さの位置に配置され、他のストッパ661、662、664と共に上下方向に積層配置される。この第3ストッパ663は、第2リングギア522の回転を許可および禁止するための部材であり、第1ストッパ661と同材質、同形状である。この第3ストッパ663は、第3ストッパシャフト部663a、第3ストッパ歯先部663b、第3ストッパ爪部663cを有している。
第3ストッパシャフト部663aは、第2リングギア522と同じ高さの位置において、第3挿通孔形成部660cによって形成された挿通孔に、摺動可能に挿通されている樹脂部材である。第3ストッパシャフト部663aの形状は、真っ直ぐに伸びた柱形状である。また、第3ストッパシャフト部663aは、出力シャフト24側の端部において第3ストッパ歯先部663bに一体に接続される。回転軸RS1側の端部において第3ストッパ爪部663cに一体に接続される。
第3ストッパ歯先部662bは、第2リングギア522と同じ高さの位置に配置される樹脂部材であり、第2リングギア522側の面が歯形状になっている。この第3ストッパ歯先部663bは、歯形状の面が第2リングギア522と係合している状態では第2リングギア522の回転を禁止し、歯形状の面が第2リングギア522から離れている状態では第1ストッパギア612の回転を禁止しない。
第3ストッパ爪部663cは、第3カム673の上側に配置され、第3カム673から力が伝達される樹脂部材である。第3ストッパ爪部663cの形状は、上下方向に伸びる円柱形状である。また、第3ストッパ爪部663cは、上部が第3ストッパシャフト部663aに一体的に接続され、下端部が第3カム673に形成された溝に嵌る。これにより、第3カム673の回転時に第3カム溝形成部673bが第3ストッパ爪部663cに対して摺動可能となる。
第4ストッパ664は、回転軸RS1と出力シャフト24との間において、ハウジング21内で第2ストッパギア614に近い高さの位置に配置され、他のストッパ661、662、663と共に上下方向に積層配置される。この第4ストッパ664は、第2ストッパギア614の回転を許可および禁止するための部材であり、第1ストッパ661と同材質、同形状である。第4ストッパ664は、第4ストッパシャフト部664a、第4ストッパ歯先部664b、第4ストッパ爪部664cを有している。
第4ストッパシャフト部664aは、第2ストッパギア614と同じ高さの位置において、第4挿通孔形成部660dによって形成された挿通孔に、摺動可能に挿通されている樹脂部材である。第4ストッパシャフト部664aの形状は、真っ直ぐに伸びた柱形状である。この第4ストッパシャフト部664aは、出力シャフト24側の端部において第4ストッパ歯先部664bに一体に接続される。回転軸RS1側の端部において第4ストッパ爪部664cに一体に接続される。
第4ストッパ歯先部664bは、第2ストッパギア614と同じ高さの位置に配置された樹脂部材であり、第2ストッパギア614側の面が歯形状になっている。第4ストッパ歯先部664bは、歯形状の面が第2ストッパギア614と係合している状態では第2ストッパギア614の回転を禁止し、歯形状の面が第2ストッパギア614から離れている状態では第2ストッパギア614の回転を禁止しない。
第4ストッパ爪部664cは、第4カム674の上側に配置され、第4カム674から力が伝達される樹脂部材である。第4ストッパ爪部664cの形状は、上下方向に伸びる円柱形状である。第4ストッパ爪部664cの上部が第4ストッパシャフト部664aに一体的に接続され、下端部が第4カム674に形成された溝に嵌る。これにより、第4カム674の回転時に第4カム溝形成部674bが第4ストッパ爪部664cに対して摺動可能となる。
第1繋ぎ部品670aは、ハウジング21の底壁においてハウジング21に一体に形成された円柱形状の第1突起部21aと第1カム671との間に介在し、回転軸RS1を囲む樹脂部材である。この第1繋ぎ部品670aは、第1突起部21aに対して第1カム671が回転可能になるよう、第1突起部21aと第1カム671の両方に接続する。第1繋ぎ部品670aのうち、第1突起部21aと接続する下部は円筒形状で、第1カム671と接続する上部は、十字キー溝が形成された円柱形状となっている。
また、図6に示すように、円筒形状の下部には、第1突起部21aが遊嵌合で挿入される。また、図7に示すように、上部の十字キー溝には、第1カムオス軸部671eが挿入される。このようになっていることで、第1繋ぎ部品670aは、第1突起部21aに対して回転可能となるよう、第1突起部21aによって軸支される。
第1カム671は、他のカム672、673、674と共に同軸に上下方向に積層配置され、回転軸RS1を中心に回転することで第1ストッパ661を付勢して動かす部材である。回転は変位の一例に相当する。この第1カム671は、第1カム板部671a、第1カム溝形成部671b、第1カム外歯671c、第1カムメス軸部671d、第1カムオス軸部671eを有している。これら部材671a〜671eは、すべて一体に形成される。
第1カム板部671aは、回転軸RS1を中心として配置され、他のカム板部672a、673a、674aと共に上下方向に積層配置される円盤形状の樹脂部材である。
第1カム溝形成部671bは、第1カム板部671aの上面側において溝を形成する樹脂部材である。この溝は、回転軸RS1の周りを囲む環状に形成される。具体的には、溝は、回転軸RS1からの距離が一定でない偏心形状で伸びている。すなわち、溝は、回転軸RS1を中心とする周方向(変位方向)の位置によって、回転軸RS1を中心とする径方向位置(変位方向に直交する方向の位置)が変化する形状で伸びている。より具体的には、図13に示すように、溝の第1部分a、第2部分b、第3部分c、第4部分dから回転軸RS1までの距離をそれぞれRa、Rb、Rc、Rdとすると、Ra=Rd<Rb=Rcという関係になっている。ここで、回転軸RS1を上から見たとき、第2部分bは第1部分aよりも回転軸RS1を中心として90°時計回り方向にずれており、第3部分cは第2部分bよりも回転軸RS1を中心として90°時計回り方向にずれており、第4部分dは第3部分cよりも回転軸RS1を中心として90°時計回り方向にずれている。
また、第1カム溝形成部671bによって形成された溝に、第1ストッパ爪部661cの下端部が摺動可能に嵌る。このようになっていることで、第1カム671の回転時に、第1ストッパ爪部661cに対して第1カム溝形成部671bが摺動する。その結果、第1カム溝形成部671bによって第1ストッパ爪部が付勢(具体的には押圧)される。その結果、第1ストッパ661が第1挿通孔形成部660aにガイドされて、第1ストッパシャフト部661aの長手方向に移動する。
第1カム外歯671cは、第1カム板部671aの外周全体を覆い、第2切替ギア653から動力の伝達を受ける樹脂部材である。第1カム外歯671cにおいて、回転軸RS1の外側面は歯形状となっている。また、第1カム外歯671cは、第1カム板部671aの外周において、第1カム板部671aと一体に接続される。また第1カム外歯671cは、第2切替ギア653の外歯と噛み合う。
第1カムオス軸部671eは、第1カム板部671aの下面のうち、回転軸RS1およびその近傍から下方に伸び、第1カム671と第1繋ぎ部品670aが一体的に回転するよう、第1繋ぎ部品670aと接続する樹脂部材である。第1カムオス軸部671eの形状は、第1繋ぎ部品670aの十字キー溝に嵌る十字柱形状となっている。また、第1カムオス軸部671eは、第1カム板部671aと一体に接続すると共に、図7に示すように、第1繋ぎ部品670aの十字キー溝に挿入されている。このようになっていることで、第1カム671は、第1繋ぎ部品670aと一体的に回転可能となる。
第1カムメス軸部671dは、第1カム板部671aの上面のうち、回転軸RS1およびその近傍から上方に伸び、第1カム671と第2カム672が一体的に回転するよう、第2カム672と接続する樹脂部材である。第1カムメス軸部671dのうち、第1カム板部671aと一体に接続する下部は円筒形状で、第2カムオス軸部672eと接続する上部は、十字キー溝が形成された円柱形状となる。また、図8に示すように、この十字キー溝には、後述する第2カムオス軸部672eが挿入される。
第2カム672は、他のカム671、673、674と共に同軸に上下方向に積層配置され、回転軸RS1を中心に回転することで第2ストッパ662を付勢して動かす部材である。この第2カム672は、カム671と同形状かつ同材質である。したがって、第2カム672と第1カム671は同じ型を用いて成型される。この第2カム672は、第2カム板部672a、第2カム溝形成部672b、第2カム外歯672c、第2カムメス軸部672d、第2カムオス軸部672eを有している。これら部材672a〜672eはすべて一体に形成される。
第2カム板部672aは、第1カム板部671aと同形状、同材質の部材である。第2カム溝形成部672bは、第2カム板部672aの上面側に溝を形成する部材であり、第1カム溝形成部671bと同形状、同材質である。ただし、第2カム板部672aは、回転軸RS1に沿って上から見て、回転軸RS1を中心として、第1カム溝形成部671bに対して、反時計回り方向に180°ずれている。つまり、回転軸RS1を中心とする第2カム732の回転角位置は、回転軸RS1を中心とする第1カム730の回転角位置に対してずれている。また、第2カム溝形成部672bによって形成された溝に、第2ストッパ爪部662cの下端部が摺動可能に嵌る。
このようになっていることで、第2カム672の回転時に、第2ストッパ爪部662cに対して第2カム溝形成部672bが摺動する。その結果、第2カム溝形成部672bによって第2ストッパ爪部が付勢(具体的には押圧)される。その結果、第2ストッパ662が第2挿通孔形成部660bにガイドされて、第2ストッパシャフト部662aの長手方向に移動する。
第2カム外歯672cは、第2カム板部672aの外周全体を覆う部材であり、形状および材質は、第1カム外歯671cと同じである。
第2カムオス軸部672eは、第2カム板部672aの下面のうち、回転軸RS1およびその近傍から下方に伸び、第2カム672と第1カム671が一体的に回転するよう、第1カム671と接続する部材である。第2カム外歯672cの形状、材質は、第1カムオス軸部671eと同じである。また、第2カムオス軸部672eは、第2カム板部672aと一体に接続し、また、図8に示すように、第1カムメス軸部671dの十字キー溝に挿入されている。このようになっていることで、第2カム672は、第1カム671と一体的に回転可能となる。
第2カムメス軸部672dは、第2カム板部672aの上面のうち、回転軸RS1およびその近傍から上方に伸び、第2カム672と第3カム673が一体的に回転するよう、第3カム673と接続する部材である。第2カムメス軸部672dの形状、材質は、第1カムメス軸部671dと同じである。また、図9に示すように、第2カムメス軸部672dの十字キー溝には、後述する第3カムオス軸部673eが挿入される。
第3カム673は、他のカム671、672、674と共に同軸に上下方向に積層配置される部材であり、回転軸RS1を中心に回転することで第3ストッパ663を付勢して動かす。第3カム673の形状、材質は、第1カム671と同じである。したがって、第3カム673と第1カム671は同じ型を用いて成型される。この第3カム673は、第3カム板部673a、第3カム溝形成部673b、第3カム外歯673c、第3カムメス軸部673d、第3カムオス軸部673eを有している。これら部材672a〜672eはすべて一体に形成される。
第3カム板部673aは、樹脂第1カム板部671aと同形状、同材質の部材である。第3カム溝形成部673bは、第3カム板部673aの上面側に溝を形成する部材であり、第1カム溝形成部671bと同形状、同材質である。ただし、第3カム溝形成部673bは、回転軸RS1に沿って上から見て、回転軸RS1を中心として、第2カム溝形成部672bに対して、反時計回り方向に90°ずれている。また、第3カム溝形成部673bによって形成された溝に、第3ストッパ爪部663cの下端部が摺動可能に嵌る。
このようになっていることで、第3カム673の回転時に、第3ストッパ爪部663cに対して第3カム溝形成部673bが摺動する。その結果、第3カム溝形成部673bによって第3ストッパ爪部が付勢(具体的には押圧)される。その結果、第3ストッパ663が第3挿通孔形成部660cにガイドされて、第3ストッパシャフト部663aの長手方向に移動する。
第3カム外歯673cは、第3カム板部673aの外周全体を覆う部材であり、形状および材質は、第1カム外歯671cと同じである。第3カムオス軸部673eは、第3カム板部673aの下面のうち、回転軸RS1およびその近傍から下方に伸び、第3カム673と第2カム672が一体的に回転するよう、第2カム672と接続する部材である。第3カムオス軸部673eの形状および材質は第1カムオス軸部671eと同じである。また、第3カムオス軸部673eは、第3カム板部673aと一体に接続し、図9に示すように、第2カムメス軸部672dの十字キー溝に挿入されている。このようになっていることで、第3カム673は、第2カム672と一体的に回転可能となる。
第3カムメス軸部673dは、第3カム板部673aの上面のうち、回転軸RS1およびその近傍から上方に伸び、第3カム673と第4カム674が一体的に回転するよう、第4カム674と接続する部材である。第3カムメス軸部673dの形状および材質は、第1カムメス軸部671dと同じである。また、図10に示すように、第3カムメス軸部673dの十字キー溝には、第4カムオス軸部674eが挿入される。
第4カム674は、他のカム671、672、673と共に同軸に上下方向に積層配置される部材であり、回転軸RS1を中心に回転することで第4ストッパ664を付勢して動かす。第4カム674の形状および材質は第1カム671と同じである。したがって、第4カム674と第1カム671は同じ型を用いて成型される。この第4カム674は、第4カム板部674a、第4カム溝形成部674b、第4カム外歯674c、第4カムメス軸部674d、第4カムオス軸部674e。これら部材674a〜674eはすべて一体に形成される。
第4カム板部674aは、樹脂第1カム板部671aと同形状、同材質の部材である。第4カム溝形成部674bは、第4カム板部674aの上面側に溝を形成する部材であり、第1カム溝形成部671bと同形状、同材質である。ただし、第4カム溝形成部674bは、回転軸RS1に沿って上から見て、回転軸RS1を中心として、第3カム溝形成部673bに対して、反時計回り方向に180°ずれている。また、第4カム溝形成部674bによって形成された溝に、第4ストッパ爪部664cの下端部が摺動可能に嵌る。
このようになっていることで、第4カム674の回転時に、第4ストッパ爪部664cに対して第4カム溝形成部673bが摺動する。その結果、第4カム溝形成部673bによって第4ストッパ爪部が付勢(具体的には押圧)される。その結果、第4ストッパ663が第4挿通孔形成部660dにガイドされて、第4ストッパシャフト部664aの長手方向に移動する。
第4カム外歯674cは、第4カム板部674aの外周全体を覆う部材であり、形状および材質は、第1カム外歯671cと同じである。第4カムオス軸部674eは、第4カム板部674aの下面のうち、回転軸RS1およびその近傍から下方に伸び、第4カム674と第3カム673が一体的に回転するよう、第3カム673と接続する部材である。第4カムオス軸部674eの形状および材質は、第1カムオス軸部671eと同じである。また、第4カムオス軸部674eは、第4カム板部674aと一体に接続し、図10に示すように、第3カムメス軸部673dの十字キー溝に挿入されている。このようになっていることで、第4カム674は、第3カム673と一体的に回転可能となる。
第4カムメス軸部674dは、第4カム板部674aの上面のうち、回転軸RS1およびその近傍から上方に伸び、機能:第4カム674と第2繋ぎ部品670bが一体的に回転するよう、第2繋ぎ部品670bと接続する部材である。第4カムメス軸部674dの形状および材質は、第1カムメス軸部671dと同じである。また、図11に示すように、第1カムメス軸部671dの十字キー溝には、第2繋ぎ部品670bの十字柱が挿入される。
第2繋ぎ部品670bは、ハウジング21の上蓋においてハウジング21に一体に形成された円筒形状の第2突起部21bと第4カム674との間に介在し、回転軸RS1を囲む樹脂部材である。この第2繋ぎ部品670bは、第2突起部21bに対して第4カム674が回転可能になるよう、第2突起部21bと第4カム674の両方に接続する。また、第2繋ぎ部品670bは、第2突起部21bと接続する上部は円柱形状で、第4カム674と接続する下部は、十字柱の形状となっている。この円柱形状の上部は、図12に示すように、第2突起部21bに遊嵌合で挿入される。また、この下部の十字柱は、図11に示すように、第4カムメス軸部674dの十字キー溝に挿入される。このようになっていることで、第2繋ぎ部品670bは、第2突起部21bに対して回転可能となるよう、第2突起部21bによって軸支されると共に、第4カム674と一体的に回転する。
切替用モータ64は、第1〜第4カム671〜674を回転させるための動力を発生する切替用動力発生装置である。発生した動力は切替動力伝達機構を構成するモーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653を介して第1〜第4カム671〜674に伝達される。
なお、第1繋ぎ部品670a、第2繋ぎ部品670b、第1カム671、第2カム672、第3カム673、第4カム674は、互いに別部材として構成されている。
切替用モータ64は、取り付け手段(図示せず)によりハウジング21に固定されていると共に、動力を取り出すためのモータシャフト64aを有している。モータシャフト64aには、モーターウォーム651が固定されている。
モーターウォーム651は、ウォームホイールをなす第1切替ギア652と噛み合うように連結されている。第1切替ギア652は、平歯車であり、ハウジング21に形成されて図4の紙面上方に伸びる切替シャフト655に回転可能に指示されている。
第2切替ギア653は、平歯車であり、第1切替ギア652と一体に形成され、第1切替ギア652と同軸に回転可能となるよう、切替シャフト655に指示されている。また第2切替ギア653の外周に形成された外歯は、第1カム外歯671cと噛み合う。
これらモーターウォーム651、第1、第2切替ギア652、653が、減速機構を構成し、減速機構の入力側に切替用モータ64が繋がれる。このようになっていることで、切替用モータ64のモータシャフト64aの回転が、モーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653、を介して減速されて第1カム671に伝達される。
すると、第1繋ぎ部品670a、第1カム671、第2カム672、第3カム673、第4カム674、第2繋ぎ部品670bと一体的に、回転軸RS1を中心として回転する。
また、車両用空調装置1は、複数軸駆動用アクチュエータ20を作動させるための電気的構成として、図示しない制御装置を有している。この制御装置は、図示しない角度検出装置からの出力信号に基づいて、駆動用モータ22および切替用モータ64の回転位置を特定し、特定した回転位置等に基づいて駆動用モータ22および切替用モータ64の回転を制御する。
次に、上記のような構成における駆動用アクチュエータ20の作動について、図13を用いて説明する。まず、駆動用モータ22の動力を第1出力軸41に出力する第1出力軸モードについて説明する。
第1出力軸モード時には、制御装置は、第1〜第4カム671〜674が図13の一列目に示すような回転角位置を実現するよう制御する。すなわち、制御装置は、角度検出装置からの検出信号が所定の第1角度θ1を示すようになるまで、切替用モータ64を作動させ、検出信号が当該第1角度θ1を示すようになると、切替用モータ64を停止させる。これにより、図13の一列目に示すような回転角位置が実現する。
なお、図13は、カムシャフト67および第1ストッパレバー661〜664を図2と同じ視点で、回転軸RS1に沿って上から見て表した図である。また、図13中の点線は、第1〜第4カム671〜674の形状および角度を解り易くするために描いた仮想的な補助線であり、実際の物を表す線ではない。
図13の一列目に示すような回転角位置が実現すると、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは第4カム溝形成部674bの溝の第2部分bに位置するので、回転軸RS1から第4ストッパ爪部664cまでの距離が最大値Rbとなる。その結果、図5および図13に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、図13に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは第3カム溝形成部673bの溝の第4部分dに位置するので、回転軸RS1から第3ストッパ爪部663cまでの距離が最小値Rdとなる。その結果、図5および図13に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、図13に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部662cは第2カム溝形成部672bの溝の第3部分cに位置するので、回転軸RS1から第2ストッパ爪部662cまでの距離が最大値Rcとなる。その結果、図5および図13に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612に最も近い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合し、第1ストッパギア612が回転できなくなる。
またこのとき、図13に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは第1カム溝形成部671bの溝の第1部分aに位置するので、回転軸RS1から第1ストッパ爪部661cまでの距離が最小値Raとなる。その結果、図5および図13に示すように、第1ストッパ663が第1リングギア512から最も遠い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合しなくなり、第1リングギア512が回転可能となる。
この状態で制御装置が駆動モータ22を駆動させると、駆動モータ22の動力は、入力機構30→第1太陽ギア511→第1遊星ギア513→第1リングギア512→出力ギア411→第1出力軸41へと伝達される。
ここで、第1遊星ギア513に連結された第1遊星キャリア514は、第1ストッパギア612が第2ストッパ662の係合により回転できず固定されているため、駆動モータ22の動力が伝達されない。そのため、第1遊星キャリア514と一体に連結された第2太陽ギア521にも動力が伝達されないため、第2遊星歯車機構52には駆動モータ22の動力は伝達されず、第2、第3出力軸42、43に駆動モータ22の動力は伝達されない。
このように、第1ストッパギア612を第2ストッパ662で固定することで、駆動モータ22の動力を第1出力軸41のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第2出力軸42に出力する第2出力軸モードについて説明する。第2出力軸モード時には、制御装置は、第1〜第4カム671〜674が図13の二列目に示すような回転角位置を実現するよう制御する。すなわち、制御装置は、角度検出装置からの検出信号が所定の第2角度θ2を示すようになるまで、切替用モータ64を作動させ、検出信号が当該第2角度θ2を示すようになると、切替用モータ64を停止させる。これにより、図13の二列目に示すような回転角位置が実現する。ここで、第2角度θ2は、図13において上述の第1角度θ1から反時計回りに90°回転させた状態である。
図13の二列目に示すような回転角位置が実現すると、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは第4カム溝形成部674bの溝の第3部分cに位置するので、回転軸RS1から第4ストッパ爪部664cまでの距離が最大値Rcとなる。その結果、図14および図13に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、図13に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは第3カム溝形成部673bの溝の第1部分aに位置するので、回転軸RS1から第3ストッパ爪部663cまでの距離が最小値Raとなる。その結果、図14および図13に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、図13に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部662cは第2カム溝形成部672bの溝の第4部分dに位置するので、回転軸RS1から第2ストッパ爪部662cまでの距離が最小値Rdとなる。その結果、図14および図13に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能となる。
またこのとき、図13に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは第1カム溝形成部671bの溝の第2部分bに位置するので、回転軸RS1から第1ストッパ爪部661cまでの距離が最大値Rbとなる。その結果、図14および図13に示すように、第1ストッパ663が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
この状態で制御装置が駆動モータ22を駆動させると、駆動モータ22の動力は、入力機構30→第1太陽ギア511→第1遊星ギア513→第1遊星キャリア514、第2太陽ギア521→第2遊星ギア523→第2リングギア522→出力ギア421→第2出力軸42へと伝達される。
ここで、第1遊星ギア513に連結された第1リングギア512は、第1ストッパ661の係合により回転できず固定されているため、駆動モータ22の動力が伝達されない。そのため、第1リングギア512に出力ギア411を介して連結された第1出力軸41には、駆動モータ22の動力が伝達されない。
また、第2遊星ギア523に連結された第2遊星キャリア524は、第2ストッパギア614が、第4ストッパ664の係合により回転できずに固定されているため、駆動モータ22の動力が伝達されない。そのため、第2遊星キャリア524と一体に形成された第3出力軸43には、駆動モータ22の動力が伝達されない。
このように、第1リングギア512を第1ストッパ661で固定し、第2ストッパギア614を第4ストッパ664で固定することで、駆動モータ22の動力を第2出力軸42のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第3出力軸43に出力する第3出力軸モードについて説明する。第3出力軸モード時には、制御装置は、第1〜第4カム671〜674が図13の三列目に示すような回転角位置を実現するよう制御する。すなわち、制御装置は、角度検出装置からの検出信号が所定の第3角度θ3を示すようになるまで、切替用モータ64を作動させ、検出信号が当該第3角度θ3を示すようになると、切替用モータ64を停止させる。これにより、図13の三列目に示すような回転角位置が実現する。ここで、第3角度θ3は、図13において上述の第2角度θ2から反時計回りに90°回転させた状態である。
図13の三列目に示すような回転角位置が実現すると、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは第4カム溝形成部674bの溝の第4部分dに位置するので、回転軸RS1から第4ストッパ爪部664cまでの距離が最小値Rdとなる。その結果、図15および図13に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614から最も遠い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合しなくなり、第2ストッパギア614が回転可能となる。
またこのとき、図13に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは第3カム溝形成部673bの溝の第2部分bに位置するので、回転軸RS1から第3ストッパ爪部663cまでの距離が最大値Rbとなる。その結果、図15および図13に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522に最も近い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合し、第2リングギア522が回転できなくなる。
またこのとき、図13に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部662cは第2カム溝形成部672bの溝の第4部分aに位置するので、回転軸RS1から第2ストッパ爪部662cまでの距離が最小値Raとなる。その結果、図15および図13に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能となる。
またこのとき、図13に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは第1カム溝形成部671bの溝の第3部分cに位置するので、回転軸RS1から第1ストッパ爪部661cまでの距離が最大値Rcとなる。その結果、図15および図13に示すように、第1ストッパ663が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
この状態で制御装置が駆動モータ22を駆動させると、駆動モータ22の動力は、入力機構30→第1太陽ギア511→第1遊星ギア513→第1遊星キャリア514、第2太陽ギア521→第2遊星ギア523→第2遊星キャリア524→第3出力軸43へと伝達される。
ここで、第1遊星ギア513に連結された第1リングギア512は、第1ストッパ661との係合により回転できず固定されているため、駆動モータ22の動力が伝達されない。そのため、第1リングギア512に出力ギア411を介して連結された第1出力軸41には、駆動モータ22の動力が伝達されない。
また、第2遊星ギア523に連結された第2リングギア522は、第3ストッパ663との係合により回転できず固定されているため、駆動モータ22の動力が伝達されない。そのため、第2リングギア522に出力ギア421を介して連結された第2出力軸42には、駆動モータ22の動力が伝達されない。
このように、第1リングギア512を第1ストッパ661で固定し、第2リングギア522を第3ストッパ663で固定することで、駆動モータ22の動力を第3出力軸42のみに出力することができる。
以上の第1出力軸モード、第2出力軸モード、第3出力軸モード相互間の切り替えは、制御装置が切替用モータ64を正転させることでカム671〜674を上から見て時計回りに回転させることで実現してもよいし、制御装置が切替用モータ64を反転させることでカム671〜674を上から見て反時計回りに回転させることで実現してもよい。
なお、本実施形態においては、第1繋ぎ部品670a、第2繋ぎ部品670b、第1〜第4カム671〜674、モーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653、切替シャフト655が付勢機構の一例を構成する。
以上説明した通り、本実施形態では、第1ストッパ661は第1リングギア外歯512bに係合し、第2ストッパ662は第1ストッパギア外歯612aに係合し、第3ストッパ663は第2リングギア外歯522bに係合し、第4ストッパ664は第2ストッパギア外歯614aに係合する。つまり、第1ストッパがギア512、612、522、614の外周にある外歯に係合してギア512、612、522、614の回転が止められる。そして、ストッパレバー661〜664はこれら外歯の山のうちどの山とも噛み合うことが可能である。
このようになっていれば、従来のようにギア512、612、522、614に複数の貫通穴を空けてその貫通穴にストッパ棒を挿入するような場合に比べ、ギア512、612、522、614とストッパの係合位置を、ギア512、612、522、614のより外周に配置することができる。したがって、ギア512、612、522、614の回転を止められるギアの回転角位置の間隔(ピッチ)を低減することが可能になる。その結果、駆動用モータ22によって駆動される内外気切替ドア5、エアミックスドア13、吹出モードドア17、18がどの位置にあっても、第1〜第3出力軸モード間の切り替えを行うことができる。
また、ストッパ661〜664をギア512、612、522、614の外歯に係合させる場合もさせない場合も、カム溝形成部671b〜674bの付勢力を用いてストッパ661〜664を移動させることができる。したがって、ストッパ661〜664をギア512、612、522、614の外歯に係合させる場合とさせない場合とで異なる部材を用いてストッパ661〜664を移動させる場合に比べて、部品点数を低減することができる。また例えば、特許文献1のように、ストッパ661〜664をギア512、612、522、614の外歯に係合させる付勢力としてバネを用いる場合は、バネの弾性体としての性質上、ギア512、612、522、614の回転速度が高いと、狙った回転角度位置よりもずれた位置でギア512、612、522、614が停止されてしまう可能性が高くなる。
また、カム671〜674はすべて同形状となっているので、カム671〜674の製造設備の規模を低減することができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について、図16〜図22を用いて説明する。本実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20は、第1実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20に対して、切替用モータ64、モーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653、切替シャフト655が廃された構成になっている。更に本実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20は、第1実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20に対して、第1電磁付勢機構710、第2電磁付勢機構720、および縦スライドカム730(第1カムの一例に相当する)が追加された構成になっている。
第1電磁付勢機構710は、ハウジング21の底板に取り付けられ、電磁力を利用して縦スライドカム730を下から上に付勢する部材である。第2電磁付勢機構720は、ハウジング21の上蓋に取り付けられ、電磁力を利用して縦スライドカム730を上から下に付勢する部材である。
縦スライドカム730は、第1電磁付勢機構710と第2電磁付勢機構720の間に配置され、電磁付勢機構710、720の付勢力に応じて上下に変位する平板形状の樹脂部材である。縦スライドカム730の厚み方向は、回転軸RS1の方向に垂直であり、かつ、第1〜第4ストッパシャフト部661a〜664aの移動方向にも垂直である。
なお、縦スライドカム730は、上下方向以外には変位しないようになっている。これは、例えば、縦スライドカム730が図示しない上下方向に伸びるリニアレールに取り付けられることで実現されていてもよい。
第1電磁付勢機構710は、第1ソレノイド711、第1ばね712、第1磁性体713を有している。複数軸駆動用アクチュエータ20の制御装置は、第1ソレノイド711に対する通電および非通電を制御可能になっている。
第1ばね712は、下端がハウジング21の底板に固定され、上端が第1磁性体713に固定されており、回転軸RS1方向に伸長可能となっている。第1ばね712は、後述する第1、第2、第3出力軸モードのいずれにおいても、自然長よりも短い状態になっている。
第1磁性体713は、厚み方向が回転軸RS1方向に平行となる鉄板であり、下側の面において第1ばね712の上端と接続し、上側の面において縦スライドカム730の下端に固定されている。
制御回路が第1ソレノイド711に通電すると、第1ソレノイド711が磁界を発生し、その磁界によって第1磁性体713が第1ソレノイド711に引き寄せられる方向(すなわち下方向)に付勢される。制御回路が第1ソレノイド711への通電を停止すると、第1ソレノイド711が磁界を発生しなくなる。また、第1磁性体713は、第1ばね712によって常に上方に付勢されている。
第2電磁付勢機構720は、第2ソレノイド721、第2ばね722、第2磁性体723を有している。複数軸駆動用アクチュエータ20の制御装置は、第2ソレノイド721に対する通電および非通電を制御可能になっている。
第2ばね722は、上端がハウジング21の上蓋に固定され、下端が第2磁性体723に固定されており、回転軸RS1方向に伸長可能となっている。第2ばね722は、後述する第1、第2、第3出力軸モードのいずれにおいても、自然長よりも短い状態になっている。
第2磁性体723は、厚み方向が回転軸RS1方向に平行となる鉄板であり、上側の面において第2ばね722の下端と接続し、下側の面において縦スライドカム730の上端に固定されている。
制御回路が第2ソレノイド721に通電すると、第2ソレノイド721が磁界を発生し、その磁界によって第2磁性体723が第2ソレノイド721に引き寄せられる方向(すなわち上方向)に付勢される。制御回路が第2ソレノイド721への通電を停止すると、第2ソレノイド721が磁界を発生しなくなる。また、第2磁性体723は、第2ばね722によって常に下方に付勢されている。
縦スライドカム730は、第1〜第4ストッパ爪部661c〜664cに対向する側の面に、溝形成部731(第1カム溝形成部の一例に相当する)を有している。この溝形成部731は、蛇行しながら下方から上方に伸びる溝を形成する。この溝は、上下方向(縦スライドカム730の変位方向)の位置によって、ストッパ661〜664の移動方向の位置(変位方向に直交する方向の位置)が変化する形状で伸びている。また、図17、図18、図19、図20に示すように、この溝には、第1〜第4ストッパ爪部661c〜664cの先端部が、溝形成部731に対して摺動可能に嵌るようになっている。
本実施形態の第1〜第4ストッパ爪部661c〜664cは、第1実施形態とは違い、それぞれ、第1〜第4ストッパシャフト部661a〜664aから、下方ではなく、回転軸RS1方向に垂直に、かつ、第1〜第4ストッパシャフト部661a〜664aの移動方向にも垂直に、溝形成部731に近づくように伸びている。その他の複数軸駆動用アクチュエータ20の構成は、第1実施形態と同じである。
次に、上記のような構成における駆動用アクチュエータ20の作動について、図16、図21、図22を用いて説明する。まず、駆動用モータ22の動力を第1出力軸41に出力する第1出力軸モードについて説明する。
第1出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド711に通電せず、第2ソレノイド721に通電する。これにより、第1磁性体713が第1ソレノイド711の磁界によって下方に付勢されることがなく、かつ、第2磁性体723が第2ソレノイド721の磁界によって上方に付勢される。この結果、図16に示すように、第2磁性体723は上方に移動して第2ソレノイド721に接触し、それに伴って第1磁性体713は上方に移動する。したがって、縦スライドカム730も移動して最上方に位置するようになる。
このとき、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部731の溝のうち第2ストッパギア614に最も近い部分に位置する。その結果、図16に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部731の溝のうち第2リングギア522から最も離れた部分に位置する。その結果、図16に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部731の溝のうち第1ストッパギア612に最も近い部分に位置する。その結果、図16に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612に最も近い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合し、第1ストッパギア612が回転できなくなる。
またこのとき、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部731の溝のうち第1リングギア512から最も離れた部分に位置する。その結果、図16に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512から最も遠い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合しなくなり、第1リングギア512が回転可能となる。
このように、第2ストッパギア614の回転が止められ、第2リングギア522が回転可能となり、第1ストッパギア612の回転が止められ、第1リングギア512が回転可能となる点は、第1実施形態の第1出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第1出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第1出力軸41のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第2出力軸42に出力する第2出力軸モードについて説明する。第2出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド711に通電せず、第2ソレノイド721にも通電しない。これにより、第1磁性体713が第1ソレノイド711の磁界によって下方に付勢されることがなく、かつ、第2磁性体723が第2ソレノイド721の磁界によって上方に付勢されることもない。
この結果、図21に示すように、縦スライドカム730には、第1ばね712の伸長しようとする復元力が第1磁性体713を介して作用し、それと同時に、第2ばね722の伸長しようとする復元力が第2磁性体723を介して作用する。したがって、縦スライドカム730は、両方の復元力がつり合う位置に変位して停止する。この停止位置は、上記の第1出力軸モードにおける縦スライドカム730の位置と、後述する第3出力軸モードにおける縦スライドカム730の位置の、間の位置に該当する。
このとき、各ばね712、722は、双方から相応の圧縮負荷がかかっており、互いに伸びようとしている。その負荷により、縦スライドカム730のふらつきが低減される。これに対し、本実施形態とは異なり、上記停止位置においてばね712、722のうちいずれか一方または両方が自然長になっていると、僅かな外部からの負荷により、縦スライドカム730がふらついてしまう。
この第2出力軸モードにおいて、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部731の溝のうち第2ストッパギア614に最も近い部分に位置する。その結果、図21に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部731の溝のうち第2リングギア522から最も離れた部分に位置する。その結果、図21に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部731の溝のうち第1ストッパギア612から最も遠い部分に位置する。その結果、図21に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能になる。
またこのとき、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部731の溝のうち第1リングギア512に最も近い部分に位置する。その結果、図21に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
このように、第2ストッパギア614の回転が止められ、第2リングギア522が回転可能となり、第1ストッパギア612が回転可能となり、第1リングギア512の回転が止められる点は、第1実施形態の第2出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第2出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第2出力軸42のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第3出力軸43に出力する第3出力軸モードについて説明する。第3出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド711に通電し、第2ソレノイド721に通電しない。これにより、第1磁性体713が第1ソレノイド711の磁界によって下方に付勢され、かつ、第2磁性体723が第2ソレノイド721の磁界によって上方に付勢されることがない。
この結果、図22に示すように、第1磁性体713は下方に移動して第1ソレノイド711に接触し、それに伴って第2磁性体723は下方に移動する。したがって、縦スライドカム730も移動して最下方に位置するようになる。
このとき、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部731の溝のうち第2ストッパギア614から最も遠い部分に位置する。その結果、図22に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614から最も遠い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合しなくあり、第2ストッパギア614が回転可能となる。
またこのとき、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部731の溝のうち第2リングギア522に最も近い部分に位置する。その結果、図22に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522に最も近い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合し、第2リングギア522が回転できなくなる。
またこのとき、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部731の溝のうち第1ストッパギア612から最も遠い部分に位置する。その結果、図22に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能になる。
またこのとき、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部731の溝のうち第1リングギア512に最も近い部分に位置する。その結果、図22に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
このように、第2ストッパギア614が回転可能となり、第2リングギア522の回転が止められ、第1ストッパギア612が回転可能となり、第1リングギア512の回転が止められる点は、第1実施形態の第3出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第3出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第3出力軸42のみに出力することができる。
このように、本実施形態では、第1ストッパ爪部661c〜664cのすべてが、同じ1つの縦リニアカム730に形成された溝形成部731に嵌められている。このようになっていることで、カムの個数を1個に低減することができる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について、図23〜図40を用いて説明する。図23、図29、図35は、本実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20の一部を図5と同じ形式で表した一部拡大断面図である。
本実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20は、第1実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20に対して、切替用モータ64、モーターウォーム651、第1切替ギア652、第2切替ギア653、切替シャフト655が廃された構成になっている。更に本実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20は、第1実施形態の複数軸駆動用アクチュエータ20に対して、第1スライドカムガイド801、第2スライドカムガイド802、第1電磁付勢機構810、第2電磁付勢機構820、スライドカム基部830、第1横スライドカム831(第1カムの一例に相当する)、第2横スライドカム832(第2カムの一例に相当する)、第3横スライドカム833、第4横スライドカム834が追加された構成になっている。他の構成は、第1実施形態と同じである。
第1電磁付勢機構810は、電磁力を利用してスライドカム基部830および横スライドカム831〜834を付勢する部材である。付勢する方向は、図24に示すソレノイド駆動方向である。このソレノイド駆動方向は、回転軸RS1の方向に垂直かつ、ストッパシャフト部661a〜664aの移動方向に垂直な方向である。この第1電磁付勢機構810は、ハウジング21の底板に取り付けられると共に、ハウジング21内の上記ソレノイド駆動方向の一端に取り付けられる。
第2電磁付勢機構820は、ハウジング21の底板に取り付けられると共に、ハウジング21内の上記ソレノイド駆動方向の他端に取り付けられ、電磁力を利用してスライドカム基部830および横スライドカム831〜834をソレノイド駆動方向に付勢する部材である。
第1スライドカムガイド801は、ハウジング21の上蓋に取り付けられ、スライドカム基部830の上端を挟み込んでソレノイド駆動方向に移動可能にガイドするレール部材である。
第2スライドカムガイド802は、ハウジング21の底板に取り付けられ、スライドカム基部830の下端を挟み込んでソレノイド駆動方向に移動可能にガイドするレール部材である。
スライドカム基部830は、スライドカムガイド801、802にガイドされてソレノイド駆動方向にスライド可能な板形状の樹脂部材である。そしてスライドカム基部830は、横スライドカム831〜834と一体的に動くよう、横スライドカム831〜834に固定されている。例えば、スライドカム基部830は横スライドカム831〜834と一体成型されていてもよい。
横スライドカム831〜834は、この順に下から上に積層配置されている。第1横スライドカム831は、第1ストッパシャフト部661aの下方に位置し、スライドカム基部830の第1ストッパ661側の面において、スライドカム基部830に対して垂直に接続されている。第1横スライドカム831の厚み方向は、回転軸RS1に平行である。
また、第1横スライドカム831は、その上面に、第1溝形成部831aを有している。この第1溝形成部831aは、図28等に示すように、ソレノイド駆動方向(変位方向)の位置によって第1ストッパの移動方向の位置が変化する溝を形成する。また、図23、図28に示すように、この溝には、第1ストッパ爪部661cの先端部が、第1溝形成部831aに対して摺動可能に嵌るようになっている。
第2横スライドカム832は、第2ストッパシャフト部662aの下方に位置し、スライドカム基部830の第2ストッパ662側の面において、スライドカム基部830に対して垂直に接続されている。第2横スライドカム832の厚み方向は、回転軸RS1に平行である。
また、第2横スライドカム832は、その上面に、第2溝形成部832aを有している。この第2溝形成部832aは、図27等に示すように、ソレノイド駆動方向の位置によって第2ストッパシャフト部662aの移動方向における位置が異なる溝を形成する。また、図23、図27等に示すように、この溝には、第2ストッパ爪部662cの先端部が、第2溝形成部832aに対して摺動可能に嵌るようになっている。
第3横スライドカム833は、第3ストッパシャフト部663aの下方に位置し、スライドカム基部830の第3ストッパ663側の面において、スライドカム基部830に対して垂直に接続されている。第3横スライドカム833の厚み方向は、回転軸RS1に平行である。
また、第3横スライドカム833は、その上面に、第3溝形成部833aを有している。この第3溝形成部833aは、図26等に示すように、ソレノイド駆動方向の位置によって第3ストッパシャフト部663aの移動方向における位置が異なる溝を形成する。また、図23、図26等に示すように、この溝には、第3ストッパ爪部663cの先端部が、第3溝形成部833aに対して摺動可能に嵌るようになっている。
第4横スライドカム834は、第4ストッパシャフト部664aの下方に位置し、スライドカム基部830の第4ストッパ664側の面において、スライドカム基部830に対して垂直に接続されている。第4横スライドカム834の厚み方向は、回転軸RS1に平行である。
また、第4横スライドカム834は、その上面に、第4溝形成部834aを有している。この第4溝形成部834aは、図25等に示すように、ソレノイド駆動方向の位置によって第4ストッパシャフト部664aの移動方向における位置が異なる溝を形成する。また、図23、図25等に示すように、この溝には、第4ストッパ爪部664cの先端部が、第4溝形成部834aに対して摺動可能に嵌るようになっている。
なお、スライドカム基部830、横スライドカム831〜834は、第1スライドカムガイド801、第2スライドカムガイド802にガイドされることによって、ソレノイド駆動方向以外の方向には移動できないようになっている。
第1電磁付勢機構810は、第1ソレノイド811、第1ばね812、第1磁性体813を有している。複数軸駆動用アクチュエータ20の制御装置は、第1ソレノイド811に対する通電および非通電を制御可能になっている。
第1ばね812は、図24に示すように、一端がハウジング21内のソレノイド駆動方向の一端に固定され、他端が第1磁性体813に固定されており、ソレノイド駆動方向に伸長可能となっている。第1ばね812は、後述する第1、第2、第3出力軸モードのいずれにおいても、自然長よりも短い状態になっている。
第1磁性体813は、厚み方向がソレノイド駆動方向に平行となる鉄板であり、一方側の面において第1ばね812の上記他端と接続し、他方側の面において第1横スライドカム831の側面(ソレノイド駆動方向の一方側の側面)に固定されている。
制御回路が第1ソレノイド811に通電すると、第1ソレノイド811が磁界を発生し、その磁界によって第1磁性体813が第1ソレノイド811に引き寄せられる方向に付勢される。制御回路が第1ソレノイド811への通電を停止すると、第1ソレノイド811が磁界を発生しなくなる。また、第1磁性体813は、第1ばね812によって常にソレノイド駆動方向の第2電磁付勢機構820側に付勢されている。
第2電磁付勢機構820は、第2ソレノイド821、第2ばね822、第2磁性体823を有している。複数軸駆動用アクチュエータ20の制御装置は、第2ソレノイド821に対する通電および非通電を制御可能になっている。
第1ばね822は、図24に示すように、一端がハウジング21内のソレノイド駆動方向の一端に固定され、他端が第2磁性体823に固定されており、ソレノイド駆動方向に伸長可能となっている。第2ばね822は、後述する第1、第2、第3出力軸モードのいずれにおいても、自然長よりも短い状態になっている。
第2磁性体823は、厚み方向がソレノイド駆動方向に平行となる鉄板であり、一方側の面において第2ばね822の上記他端と接続し、他方側の面において第1横スライドカム831の側面(ソレノイド駆動方向の他方側の側面)に固定されている。
制御回路が第2ソレノイド821に通電すると、第2ソレノイド821が磁界を発生し、その磁界によって第2磁性体823が第2ソレノイド821に引き寄せられる方向に付勢される。制御回路が第2ソレノイド821への通電を停止すると、第2ソレノイド821が磁界を発生しなくなる。また、第2磁性体823は、第2ばね822によって常にソレノイド駆動方向の第1電磁付勢機構810側に付勢されている。
このように、第1磁性体813、第2磁性体823が第1横スライドカム831に固定されていることにより、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834は、磁性体813、814と一体的に移動する。
次に、上記のような構成における駆動用アクチュエータ20の作動について説明する。まず、駆動用モータ22の動力を第1出力軸41に出力する第1出力軸モードについて説明する。
第1出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド811に通電せず、第2ソレノイド821に通電する。これにより、第1磁性体813が第1ソレノイド811の磁界によって第1ソレノイド811側に付勢されることがなく、かつ、第2磁性体823が第2ソレノイド821の磁界によって第2ソレノイド821側に付勢される。
この結果、図24に示すように、第2磁性体823が移動して第2ソレノイド821に接触し、それに伴って第1磁性体813は第2電磁付勢機構820側に移動する。したがって、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834も同様に第2電磁付勢機構820側に移動するようになる。
このとき、図25に示すように、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部834の溝のうち第2ストッパギア614に最も近い部分に位置する。その結果、図23、図25に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、図26に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部833の溝のうち第2リングギア522から最も離れた部分に位置する。その結果、図23、図26に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、図27に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部832の溝のうち第1ストッパギア612に最も近い部分に位置する。その結果、図23、図27に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612に最も近い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合し、第1ストッパギア612が回転できなくなる。
またこのとき、図28に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部831の溝のうち第1リングギア512から最も離れた部分に位置する。その結果、図23、図28に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512から最も遠い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合しなくなり、第1リングギア512が回転可能となる。
このように、第2ストッパギア614の回転が止められ、第2リングギア522が回転可能となり、第1ストッパギア612の回転が止められ、第1リングギア512が回転可能となる点は、第1実施形態の第1出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第1出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第1出力軸41のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第2出力軸42に出力する第2出力軸モードについて説明する。第2出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド811に通電せず、第2ソレノイド821にも通電しない。これにより、第1磁性体813が第1ソレノイド811の磁界によって付勢されることがなく、かつ、第2磁性体823が第2ソレノイド821の磁界によって付勢されることもない。
この結果、図30に示すように、第1横スライドカム831には、第1ばね812の伸長しようとする復元力が第1磁性体813を介して作用し、それと同時に、第2ばね822の伸長しようとする復元力が第2磁性体823を介して作用する。したがって、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834は、両方の復元力がつり合う位置に変位して停止する。この停止位置は、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834の上記第1出力軸モードにおける位置と、後述する第3出力軸モードにおける位置の、間の位置に該当する。
このとき、各ばね812、822は、双方から相応の圧縮負荷がかかっており、互いに伸びようとしている。その負荷により、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834のふらつきが低減される。これに対し、本実施形態とは異なり、上記停止位置においてばね812、822のうちいずれか一方または両方が自然長になっていると、僅かな外部からの負荷により、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834がふらついてしまう。
この第2出力軸モードにおいて、図31に示すように、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部834の溝のうち第2ストッパギア614に最も近い部分に位置する。その結果、図29、図31に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614に最も近い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合し、第2ストッパギア614が回転できなくなる。
またこのとき、図32に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部833の溝のうち第2リングギア522から最も離れた部分に位置する。その結果、図29、図32に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522から最も遠い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合しなくなり、第2リングギア522が回転可能となる。
またこのとき、図33に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部832の溝のうち第1ストッパギア612から最も遠い部分に位置する。その結果、図29、図33に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能になる。
またこのとき、図34に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部831の溝のうち第1リングギア512に最も近い部分に位置する。その結果、図29、図34に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
このように、第2ストッパギア614の回転が止められ、第2リングギア522が回転可能となり、第1ストッパギア612が回転可能となり、第1リングギア512の回転が止められる点は、第1実施形態の第2出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第2出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第2出力軸42のみに出力することができる。
次に、駆動用モータ22の動力を第3出力軸43に出力する第3出力軸モードについて説明する。第3出力軸モード時には、制御装置は、第1ソレノイド811に通電し、第2ソレノイド821に通電しない。これにより、第1磁性体813が第1ソレノイド811の磁界によって第1ソレノイド811側に付勢され、かつ、第2磁性体823が第2ソレノイド721の磁界によって付勢されることがない。
この結果、図36に示すように、第1磁性体813が移動して第1ソレノイド811に接触し、それに伴って第2磁性体823は第1電磁付勢機構810側に移動する。したがって、スライドカム基部830および横スライドカム831〜834も同様に第1電磁付勢機構810側に移動するようになる。
このとき、図37に示すように、第4ストッパ664の第4ストッパ爪部664cは溝形成部834の溝のうち第2ストッパギア614から最も遠い部分に位置する。その結果、図35、図37に示すように、第4ストッパ664が第2ストッパギア614から最も遠い位置にある状態となり、第4ストッパ歯先部664bが第2ストッパギア外歯614aと係合しなくあり、第2ストッパギア614が回転可能となる。
またこのとき、図38に示すように、第3ストッパ663の第3ストッパ爪部663cは溝形成部833の溝のうち第2リングギア522に最も近い部分に位置する。その結果、図35、図38に示すように、第3ストッパ663が第2リングギア522に最も近い位置にある状態となり、第3ストッパ歯先部663bが第2リングギア外歯522bと係合し、第2リングギア522が回転できなくなる。
またこのとき、図39に示すように、第2ストッパ662の第2ストッパ爪部66cは溝形成部832の溝のうち第1ストッパギア612から最も遠い部分に位置する。その結果、図35、図39に示すように、第2ストッパ662が第1ストッパギア612から最も遠い位置にある状態となり、第2ストッパ歯先部662bが第1ストッパギア外歯612aと係合しなくなり、第1ストッパギア612が回転可能になる。
またこのとき、図40に示すように、第1ストッパ661の第1ストッパ爪部661cは溝形成部831の溝のうち第1リングギア512に最も近い部分に位置する。その結果、図35、図40に示すように、第1ストッパ661が第1リングギア512に最も近い位置にある状態となり、第1ストッパ歯先部661bが第1リングギア外歯512bと係合し、第1リングギア512が回転できなくなる。
このように、第2ストッパギア614が回転可能となり、第2リングギア522の回転が止められ、第1ストッパギア612が回転可能となり、第1リングギア512の回転が止められる点は、第1実施形態の第3出力軸モードと同じである。したがって、第1実施形態の第3出力軸モードと同じ作用により、駆動モータ22の動力を第3出力軸42のみに出力することができる。
このように、本実施形態では、横スライドカム831〜834が上下方向とは垂直な方向に移動するようになっている。したがって、上下方向における複数軸駆動用アクチュエータ20の体格を低減することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記、各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
第1繋ぎ部品670a、第2繋ぎ部品670b、第1〜第4カム671〜674は、それぞれ互いに別部材となっているが、これらは一体に形成されていてもよい。
(変形例2)
上記第1実施形態では、第2切替ギア653の外歯と第1カム外歯671cとが係合することで、第2切替ギア653からカム671〜674への動力伝達が実現している。しかし、第2切替ギア653からカム671〜674への動力伝達の形態は、必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、第1カム671の下部に、カム671〜674と一体的に回転する追加の歯車を配置し、その歯車の外歯と第2切替ギア653の外歯とを係合させるようになっていてもよい。
(変形例3)
また、上記実施形態では、ストッパ661〜664のすべてが、それぞれギア512、612、622、614の外歯に係合するようになっている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。
例えば、ストッパ661のみが第1リングギア外歯512bに係合するようになっており、第2ストッパ662、第3ストッパ663、第4ストッパ664は外歯に係合するのではなく、特許文献1のように各ギア612、622、614の貫通穴に挿入されるようになっていてもよい。このようになっていたとしても、少なくとも第1リングギア512については、当該ギアの回転を止められるギアの回転角位置の間隔を低減する効果を達成することができる。