JP6390299B2 - 集積回路装置の設計方法,集積回路装置の製造方法及びその集積回路装置 - Google Patents

集積回路装置の設計方法,集積回路装置の製造方法及びその集積回路装置 Download PDF

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Description

本発明は,集積回路装置の設計方法,集積回路装置の製造方法及びその集積回路装置に関する。
半導体集積回路装置(LSI)の模倣品の流通が拡がりつつある。その手法の一つでは,LSIの配線パターンやバルクパターンの画像データから,同じ形状のパターンをスタンダードセルと認識しながら回路図を複製する。そして,複製者自身の製造ラインの特性に基づいてタイミング調整することも可能になるので,複製を効率的に行うことができる。
このような画像データから回路図を複製することを困難にするために,疑似回路またはカモフラージュ回路を追加することが提案されている。例えば,以下の特許文献などである。正規の回路内にカモフラージュ回路を埋め込むことで,回路解析を困難にすることができるので,複製を防止する手段として有力である。
US2010/0218158A1 特開2000−40809号公報 特開2000−40810号公報
しかしながら,正規の回路内のカモフラージュ回路を埋め込むようにすると,カモフラージュ回路を埋め込んだことで正規の回路のタイミング検証とタイミング調整を再度行う必要がある。したがって,カモフラージュ回路を埋め込む設計方法では,設計工数が増大するという課題がある。
そこで,実施の形態の第1の側面の目的は,模倣を防止し,設計工数を少なくした集積回路装置の設計方法,集積回路装置の製造方法及びその集積回路装置を提供することにある。
実施の形態の第1の側面は,複数のセルと前記セル間の接続情報を有するネットリストに基づいて,前記複数のセルを配置する工程と,
前記ネットリストに基づいて,前記セル間を接続する信号配線を配置する工程と,
前記信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを前記信号配線の経路に配置して,前記セル間の信号のタイミング調整を行うタイミング調整工程と,
前記複数のセルと前記カモフラージュ回路付き遅延セルと前記信号配線の配置情報を有するレイアウトデータを出力する工程とを有する,
集積回路装置の設計方法である。
第1の側面によれば,模倣を防止する集積回路装置の設計工数を少なくすることができる。
本実施の形態における集積回路装置(以下LSI)の設計方法を実行する設計装置である。 LSIの設計方法を示すフローチャート図である。 通常の遅延セルの例を示す図である。 本実施の形態におけるLSIの設計方法のフローチャート図である。 本実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの一例を示す図である。 本実施の形態におけるタイミング調整工程を説明する図である。 カモフラージュ回路の第1の例を示す図である。 カモフラージュ回路の第2の例を示す図である。 カモフラージュ回路の第3の例を示す図である。 本実施の形態におけるタイミング調整工程の詳細なフローチャート図である。 遅延セルの遅延量の例を示す図である。 従来の通常遅延セルでタイミング調整する場合のフローチャート図である。 本実施の形態のカモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整する場合にフローチャート図である。 図12により通常遅延セルでタイミング調整した場合に追加する通常遅延セルと,図13によりカモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整した場合に追加するカモフラージュ回路付き遅延セルとを示す図である。 第2の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルを示す図である。 第3の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの例を示す図である。 図16のカモフラージュ回路付き遅延セルCB−Eのイネーブル信号付きカモフラージュ回路CM−Eの回路図である。 第4の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。 第5の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。 第6の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。
図1は,本実施の形態における集積回路装置(以下LSI)の設計方法を実行する設計装置である。図1の設計装置は,設計方法を実行するプロセッサであるCPU30と,メインメモリのRAM32と,LSIの設計ツール(プログラム)を格納するハードディスクなどの大容量メモリ34とを有する。さらに,設計装置は,マウス38やキーボード40を制御する外部インターフェース36と,ディスプレイ44を制御するディスプレイコントローラ42とを有する。
LSIの設計ツール(プログラム)は,RAMに展開され,CPU30がRAM32に展開された設計ツールを実行して,本実施の形態のLSIの設計方法を実行する。
図2は,LSIの設計方法を示すフローチャート図である。まず,ネットリスト10が図1のハードディスク34に記憶される。ネットリストは,LSI内に配置する複数のセルと,複数のセル間の接続情報とを有するデータファイルである。
CPU30は,LSIの設計ツールを実行して,LSIの基板上のフロアプランを実行する(S1)。フロアプランでは,LSIの設計ツールは,例えば,ネットリスト10内の回路マクロの配置,電源配線の配置,入出力回路の配置などを行う。
そして,CPU30は,LSIの設計ツールを実行して,基板上に電源配線を配置し(S2),ネットリスト内の複数のセルを配置する(S3)。CPU30は,LSIの設計ツールを実行して,配置されたセル間の信号の遅延時間を見積もり,フリップフロップ回路などのセルに入力される入力信号がクロックのタイミングに対して規格のセットアップタイムを満たすようにタイミング調整を実行する(S4)。このセットアップのタイミング調整工程では,クロックのタイミングに対して入力信号の入力が遅れる場合は,(1)その入力信号を出力するゲートのファンアウト数が過剰に多い場合は,ゲートの出力配線経路に複数のバッファを追加してファンアウト数を低減し,または,(2)その入力信号の入力スルーレート(立ち上がり時間)が過剰に低い(立ち上がり時間が長い)場合に,ゲートの出力配線経路にバッファを追加して入力信号の入力スルーレートを高く(立ち上がり時間を短く)するなどの調整を行う。
そして,CPU30は,LSIの設計ツールを実行して,セル間を接続する配線を配置する(S5)。セル間の配線の配置が終了すると,CPU30は,LSIの設計ツールを実行して,フリップフロップ回路に入力する入力信号がクロックのタイミングに対して規格のホールドタイムを満たすようにタイミング調整を実行する(S6)。このホールドタイムのタイミング調整工程では,CPU30は,セル間を接続する信号配線の遅延時間を計算し,フリップフロップ回路等のセルに入力する入力信号がクロックのタイミングに対して規格のホールドタイムを満たすか否かをチェックし,ホールドタイムを満たさない入力信号の信号配線に,入力信号を遅延させる遅延セルを配置する。
CPU30は,ホールドタイムを満たすようにタイミング調整された後,LSIの基板上の空き領域に複数のカモフラージュ回路を追加する(S7)。カモフラージュ回路は,例えば入力に応答して出力が変化しないなど,カモフラージュ回路を除く正規の回路の論理に影響を与えない回路などである。
カモフラージュ回路を追加することで,正規の回路内の信号配線の遅延時間が変更されるので,CPU30は,再度,カモフラージュ回路追加後のLSIについてタイミング調整を実行する(S8)。そして,タイミング調整された後に,CPU30は,キャパシタやEC(Engineering Change:設計変更)用トランジスタなどの特殊セルを敷き詰める(S9)。EC用トランジスタとは、設計変更に備えてチップ内の空いている部分に予め配置しておく予備のトランジスタのことである。その結果,CPU30は,LSI基板上のセル,信号配線,電源配線,入出力セルなどの配置データを有するレイアウトデータ20をハードディスク34に出力して記憶させる。そして,このレイアウトデータ20に基づいてLSIが製造される。
図3は,通常の遅延セルの例を示す図である。ホールドタイムを満たすためのタイミング調整工程S6で,入力信号のタイミングが早いためクロックの変化に対して入力信号が十分なホールドタイムを満たさない場合に,その入力信号が伝搬するセル間の信号配線に遅延セルが配置される。
図3に示した通常遅延セルは,一例として,RC遅延回路RCとインバータINを有する遅延セルDAと,RC遅延回路を有さずインバータINを有する通常遅延セルDBである。後述するカモフラージュ回路付き遅延セルと区別するために,通常遅延セルDBと称する。
第1の通常遅延セルDAには,2つのインバータIN1,IN2とそれらの間にRC遅延回路RC1を有し,更に,RC遅延回路RC2と2つのインバータIN3,IN4とを有する遅延セルDA−1と,2つのインバータIN1,IN2とそれらの間にRC遅延回路RC1を有する遅延セルDA−2とがある。これらの通常遅延セルDAは,インバータの信号伝搬時間とRC遅延回路の遅延時間の和により比較的長い遅延時間を有する。遅延セルDA−1のほうが遅延セルDA−2よりもRC遅延回路の数とインバータの数が多いので遅延時間がより長い。そして,通常遅延セルDAは,インバータの数が偶数であるので入力の論理と出力の論理は同じであり,遅延バッファとも称される。
第2の通常遅延セルDBには,2つのインバータIN1,IN2を有し,インバータの間にはRC遅延回路が設けられていない。したがって,第2の通常遅延セルDBは,2つのインバータの信号伝搬時間による遅延を有する。第2の通常遅延セルDBもインバータの数が偶数であり入力と出力の論理は同じであり,例えば,バッファセルとも呼ばれる。
図2に示したLSIの設計方法によれば,複数のセルとセル間の信号配線の配置工程(S2,S3)が行われ,タイミング調整工程(S4,S6)が行われた後に,カモフラージュ回路を追加している(S7)。そのため,カモフラージュ回路を追加した後に,再度,タイミング調整工程S8が行われる。したがって,LSIの設計工程が長くなるという問題がある。
[本実施の形態のLSIの設計方法]
そこで,本実施の形態におけるLSIの設計工程では,タイミング調整工程において,信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを信号配線の経路に配置して,セル間の信号のタイミング調整を行う。つまり,タイミング調整工程において信号配線の遅延時間を長くする調整が必要な場合に,カモフラージュ回路付き遅延セルを配置することで,タイミング調整とカモフラージュ回路の配置とを同じ工程で実行する。これにより,タイミング調整が完了するとカモフラージュ回路の配置も完了することになる。
図4は,本実施の形態におけるLSIの設計方法のフローチャート図である。図4において,フロアプラン工程S1,電源配線工程S2,セル配置工程S3,セットアップタイムを満たすタイミング調整工程S4,セル間の配線の配置工程S5,ECセルの敷き詰め工程S9は,図2と同様である。
本実施の形態におけるLSIの設計方法では,図2のホールドタイムを満たすタイミング調整工程S6が,カモフラージュ回路付き遅延セルを追加してタイミング調整する工程S6−1に変更されている。それ以外の工程は,基本的に図2と同じである。
カモフラージュ回路付き遅延セルは,遅延量が異なる複数種類の遅延セルがライブラリに予め登録されている。したがって,タイミング調整工程S6−1では,信号配線の遅延時間に応じて,必要な遅延量を有するカモフラージュ回路付き遅延セルを選択して,タイミングエラーが発生している信号配線に配置する。以下,タイミング調整工程S6−1について詳細に説明する。
[カモフラージュ回路付き遅延セルの例]
図5は,本実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの一例を示す図である。図5には8つの例が示されている。
第1のカモフラージュ回路付き遅延セルCAの第1の例CA−1は,4つのインバータIN1,IN2,IN3,IN4と,インバータIN1,IN2の間に設けられたRC遅延回路RC1と,インバータIN2,IN3の間に設けられたRC遅延回路RC2とを有し,更にインバータIN2,IN3の間の信号配線に入力が接続された3つのカモフラージュ回路CMとを有する。第1のカモフラージュ付き遅延セルCAの第2の例CA−2は,2つのインバータIN1,IN2と,インバータIN1,IN2の間に設けられたRC遅延回路RC1と,更にインバータIN1,IN2の間の信号配線に入力が接続された3つのカモフラージュ回路CMとを有する。
そして,第1,第2の例のカモフラージュ回路CMは,出力がハイインピーダンスのインバータ回路であり,両方の例ともカモフラージュ回路CMの入力が2つのインバータ間の信号配線に接続されている。そして,好ましくは,カモフラージュ回路CMの出力が他の信号配線に接続される。その場合,カモフラージュ回路CMの出力がハイインピーダンスであるので,カモフラージュ回路CMの出力を他の信号配線に接続しても,他の信号配線の論理に影響を与えることはない。
さらに,カモフラージュ回路CMの入力はインバータ回路のトランジスタのゲートに接続されるので,カモフラージュ回路の入力が接続される2つのインバータ間の信号配線にはゲート容量とゲートまでの配線容量が追加される。したがって,図5の第1のカモフラージュ回路付き遅延セルCA−1,CA−2は,図3の第1の通常遅延セルDAの2つの例DA−1,DA−2よりも,遅延時間が長い。また,第1のカモフラージュ付き遅延セルCAの第1の例CA−1は2つのRC遅延回路と4つのインバータを有するので,第2の例CA−2より遅延時間が長い。また、カモフラージュ回路の数を調整することで付加する遅延時間を調整することができる。
第2のカモフラージュ回路付き遅延セルCBは,2つのインバータIN1,IN2とその間の信号配線に入力が接続された3つのカモフラージュ回路CMを有する第1の例CB−1と,2つのインバータIN1,IN2とその間の信号配線に入力が接続された2つのカモフラージュ回路CMを有する第2の例CB−2と,2つのインバータIN1,IN2とその間の信号配線に入力が接続された1つのカモフラージュ回路CMを有する第3の例CB−3とを有する。いずれの例も,2つのインバータIN1,IN2との間の信号配線に入力が接続されたカモフラージュ回路CMを有するので,図3の第2の通常遅延セルDB−1よりも遅延時間が長い。また,カモフラージュ回路CMの数が多い遅延セルCB−1は,遅延時間が最も長く,カモフラージュ回路CMの数が最も少ない遅延セルCB−3は,遅延時間が最も短い。
第2のカモフラージュ回路付き遅延セルCBも,カモフラージュ回路CMは出力がハイインピーダンスのインバータである。よって,カモフラージュ回路CMの出力が他の信号配線に接続されても,他の信号配線の論理に影響を与えることはない。
第3のカモフラージュ回路付き遅延セルCCは,信号配線SLに入力が接続された3つのカモフラージュ回路CMを有する第1の例CC−1と,信号配線SLに入力が接続された2つのカモフラージュ回路CMを有する第2の例CC−2と,信号配線SLに入力が接続された1つのカモフラージュ回路CMを有する第3の例CC−3と,を有する。第3のカモフラージュ回路付き遅延セルCCは,インバータを有しないので,信号配線SLにカモフラージュ回路CMのゲート容量とゲートまでの配線容量とが追加される。
図5に示したカモフラージュ回路付き遅延セルCA,CB,CC内のカモフラージュ回路CMは,いずれも出力がハイインピーダンスであり,出力が電気的にオープンである。したがって,好ましくは,カモフラージュ回路CMの出力を他の信号配線に接続する。カモフラージュ回路CMは出力がハイインピーダンスであるので,出力を他の信号配線に接続しても他の信号配線の論理に影響を与えることはない。しかし,カモフラージュ回路CMが追加されることで,回路解析を困難にさせることができる。
図5のカモフラージュ回路CMの入力と出力を逆にしても良い。すなわち,カモフラージュ回路CMの出力をインバータ間の信号配線に接続し,カモフラージュ回路CMの入力を他の信号配線に接続してもよい。その場合,カモフラージュ回路CMの入力容量と出力容量とを比較すると,入力容量はゲート容量と配線容量を有し,出力容量はドレイン容量と配線容量を有し,一般にゲート容量のほうがドレイン容量よりも大きいので,入力容量が出力容量よりも大きな容量になる。したがって,カモフラージュ回路CMの入力を信号配線に接続したほうが,出力を接続するよりも,信号配線の遅延時間は長くなる。
図5に示した複数種類のカモフラージュ回路付き遅延セルを,タイミング調整が必要な信号配線に配置することで,信号配線に遅延量を付加することができタイミング調整を行うことができる。それと共に,カモフラージュ回路が設けられることで,第三者による回路解析をより困難にすることができる。
[本実施の形態におけるタイミング調整工程の概略]
図6は,本実施の形態におけるタイミング調整工程を説明する図である。図6(A)はタイミング調整前の回路を示し,図6(B)はタイミング調整後の回路を示す。図6(A)は,フリップフロップセルFF1の出力QとフリップフロップセルFF2のデータ入力Dとの間の信号配線SL1の遅延時間が短くて,フリップフロップセルFF2の入力信号がクロックCKのタイミングに対して十分なホールドタイムを有していない例である。このような例において,信号配線SL1に遅延セルを挿入してフリップフロップセルFF2がホールドタイムを満たすようにタイミング調整する必要がある。
図6(B)は,本実施の形態のタイミング調整工程により,カモフラージュ回路付き遅延セルCB−1をフリップフロップセルFF1,FF2間の信号配線SL1に追加した回路を示す。これにより,信号配線SL1の遅延時間が長くなり,フリップフロップセルFF2のホールドアップタイムが満たされることになる。さらに,本実施の形態のタイミング調整工程により,好ましくは,カモフラージュ回路CMの出力を信号配線SL1とは異なる他の信号配線SL2に接続する。カモフラージュ回路CMの入力が信号配線SL1に接続され,その出力が他の信号配線SL2に接続されるが,カモフラージュ回路は出力がハイインピーダンスであるので,他の信号配線SL2の信号の論理に変更はない。しかし,第三者は,カモフラージュ回路CMが信号配線SL1,SL2間に設けられていることにより,回路解析がより困難になる。
[カモフラージュ回路の例]
図7は,カモフラージュ回路の第1の例を示す図である。図7には,カモフラージュ回路CMの回路図と,回路が生成されている半導体基板のパターン図とが示されている。カモフラージュ回路CM1は,入力AがPチャネルトランジスタPMOSとNチャネルトランジスタNMOSのゲートGに接続され,PチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタのソースがそれぞれ電源VDDとグランド電源VSSに接続され,出力Xを有するインバータ回路の疑似回路である。パターン図には,ポリシリコン層Polyと,メタル層M1Lと,拡散層P,Nと,コンタクトContactとが示されている。入力Aは,メタル層M1Lを介してゲート電極Gに接続され,P型拡散層Pは,電源VDDと出力Xのメタル配線とにコンタクトを介して接続され,N型拡散層Nは,グランドVSSと出力Xのメタル配線とにそれぞれコンタクトを介して接続されている。しかし,出力Xのノードは,ハイインピーダンス状態に保たれる。
具体的には,PチャネルトランジスタPMOSのP型領域Pの不純物濃度が高く,PチャネルトランジスタPMOSの閾値電圧の絶対値が電源VDDより高く生成されている。同様に,NチャネルトランジスタNMOSのN型領域Nの不純物濃度が高く,閾値電圧の絶対値が電源VDDより高く生成されている。したがって,入力AがグランドVSS電位のLレベルであってもPチャネルトランジスタPMOSは導通せず,入力Aが電源VDD電位のHレベルであってもNチャネルトランジスタNMOSは導通しない。そのため,入力AがH,Lレベルのいかなる電位になっても出力Xはハイインピーダンス状態を保つ。
図7のカモフラージュ回路CM1の場合は,カモフラージュ回路のインバータの動作を解析するためには,PチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタの不純物領域の濃度を解析する必要がある。不純物濃度の解析は表面の画像からは困難であるので,カモフラージュ回路を意味のあるインバータ回路と誤認することが期待できる。それにより,第三者の回路解析に要する期間が長くなることが期待できる。
図8は,カモフラージュ回路の第2の例を示す図である。図8にも,カモフラージュ回路CMの回路図と半導体基板のパターン図とが示されている。カモフラージュ回路CM2も,入力Aと出力XとPチャネルトランジスタPMOSとNチャネルトランジスタNMOSとを有するインバータの疑似回路である。図8のカモフラージュ回路CM2では,P型不純物領域P及びN型不純物領域Nと出力Xのメタル層とを接続するコンタクトが矢印で示す位置に形成されていない。その結果,出力Xはハイインピーダンス状態に保たれる。
図8の例では,メタル層M1Lを除去せずに回路を読み取ろうとする第三者は,コンタクトが形成されていないことを検出できず,カモフラージュ回路を意味のあるインバータ回路と誤認することが期待できる。それにより,第三者の回路解析に要する期間が長くなることが期待できる。
図9は,カモフラージュ回路の第3の例を示す図である。図9には,カモフラージュ回路CMの回路図と半導体基板のパターン図と断面図が示されている。カモフラージュ回路CM3も,入力Aと出力XとPチャネルトランジスタPMOSとNチャネルトランジスタNMOSとを有するインバータの疑似回路である。図9のカモフラージュ回路CM3では,平面パターン図の100に沿った断面図に示されるとおり,ポリシリコン層Polyのゲート電極Gの下の基板には,シャロートレンチアイソレーションSTIが形成されている。そのため,PチャネルトランジスタPMOSのP型不純物領域Pが2つに分断され,NチャネルトランジスタNMOSのN型不純物領域Nが2つに分断されている。その結果,出力Xはハイインピーダンス状態に保たれる。
図9の例では,ポリシリコン層Polyを除去せずに回路を読み取ろうとする第三者は,ゲート電極Gの下にシャロートレンチアイソレーションSTIが形成されていることを認識できず,カモフラージュ回路を意味のあるインバータ回路と誤認することが期待できる。それにより,第三者の回路解析に要する期間が長くなることが期待できる。
また、カモフラージュ回路はインバータの疑似回路のみではなく、インバータ回路を含む組み合わせ回路の疑似回路としてもよい。
[本実施の形態におけるタイミング調整工程]
図10は,本実施の形態におけるタイミング調整工程の詳細なフローチャート図である。図10には,図4のタイミング調整工程S6−1の具体的なフローチャート図が示されている。すなわち,図4の配線の配置工程S5が終了した時点のレイアウト情報20−1と,ネットリスト10の情報に基づいて,CPU30が,セル間の信号配線の遅延時間を計算する(S6−1−1)。信号配線の遅延時間は,例えば,信号配線の配線長,信号配線の断面積,信号配線に近接する他の信号配線までの距離,絶縁物の誘電率などから,信号配線の抵抗値,容量値などを算出し,その抵抗値と容量値に基づいて遅延時間を算出する。その結果,CPU30は,信号配線の遅延情報22を生成する。
次に,CPU30は,遅延情報22に基づいて,各セルがホールドタイムを満たしているか否かのタイミング解析を行う(S6−1−2)。CPU30は,タイミング解析により,各セルのクロックのエッジタイミングと入力信号が切り替わるタイミングとの差が,規格のホールドタイムを越える時間を示すスラック値23を求める。スラック値が正の場合(クロックと入力信号のタイミング差が規格のホールドタイムを越える場合)は,規格のホールドタイムを満たすことになり,タイミング調整不要になる。一方,スラック値が負の場合(クロックと入力信号のタイミング差が規格のホールドタイム未満である場合)は,規格のホールドタイムを満たしていないのでタイミングエラーがあるため,タイミング調整が必要になる。
そこで,CPU30は,タイミング調整が必要なセルの入力信号が伝搬する信号配線に,カモフラージュ回路付き遅延セルCA,CB,CCのいずれかを単独でまたは組み合わせて配置するタイミング調整を行う(S6−1−3)。このタイミング調整工程では,タイミング解析工程S6−1−2で算出したスラック値が0以上になるように,カモフラージュ回路付き遅延セルを単独でまたは組み合わせて,またはカモフラージュ回路付き遅延セルと通常の遅延セルと組み合わせて,信号配線に配置する。そして,CPU30は,カモフラージュ回路付き遅延セルや通常遅延セルを追加した回路のネットリスト10−2を生成する。
[遅延セルの配置の具体例]
次に,タイミング調整工程S6−1−3での遅延セルの配置の具体例について説明する。以下の説明では,図2の通常の遅延セルでタイミング調整する例と,カモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整する例とを説明する。
図11は,遅延セルの遅延量の例を示す図である。図11には,従来例の通常遅延セルと,本実施の形態のカモフラージュ回路付き遅延セルの遅延量が示されている。
図11の例では,例えば,通常遅延セルDAと,カモフラージュ回路付き遅延セルCAとが,遅延量100psを有する。また,通常遅延セルDBとカモフラージュ回路付き遅延セルCBが,遅延量50psを有する。そして,通常遅延セルには遅延量30psを有する遅延セルはなく,カモフラージュ回路付き遅延セルCCは遅延量30psを有する。第3のカモフラージュ回路付き遅延セルCCは,図5に示したとおり,カモフラージュ回路の入力端子または出力端子のいずれかが信号配線SLに接続された遅延セルであり,インバータを有していないので,遅延量30psという微少な遅延時間を有する。
今,タイミング遅延工程S6−1−3で,タイミング解析の結果,必要な遅延量が380ps(スラックが−380ps)であると仮定して,通常遅延セルでタイミング調整する例と,カモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整する例とを説明する。
図12は,従来の通常遅延セルでタイミング調整する場合のフローチャート図である。通常遅延セルでホールドタイムエラーを解消するためのタイミング調整を行う工程では,スラックが0以上の場合は(S10のYES),タイミング調整不要である。スラックが負の場合は(S10のNO),タイミング調整を行う必要がある。そこで,CPU30は,スラックが−100psに達していない間は(S11のYES),通常遅延セルDAを1個追加する(S12)。通常遅延セルDAの遅延量は100psであるので,通常遅延セルDAを1個追加するとスラックが+100ps加算される。したがって,通常遅延セルDAを3個追加すると,最初のスラック−380psは−80psになり,S11はNOになる。
次に,CPU30は,スラックが0psに達していない間は(S13のYES),通常遅延セルDBを1個追加する(S14)。スラックが−80psであるので,遅延量が50psの通常遅延セルDBを2個追加すると,スラックは+20psになり,S13はNOになる。その結果,タイミング調整工程が終了する。タイミング調整後のスラックは+20psである。
図13は,本実施の形態のカモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整する場合にフローチャート図である。カモフラージュ回路付き遅延セルでホールドタイムエラーを解消するためのタイミング調整を行う工程では,スラックが0以上の場合は(S20のYES),タイミング調整不要である。スラックが負の場合は(S20のNO),タイミング調整を行う必要がある。そこで,CPU30は,スラックが−100psに達していない間は(S21のYES),カモフラージュ付き遅延セルCAを1個追加する(S22)。カモフラージュ付き遅延セルCAの遅延量は100psであるので,カモフラージュ付き遅延セルCAを1個追加するとスラックが+100ps加算される。したがって,カモフラージュ付き遅延セルCAを3個追加すると,最初のスラック−380psは−80psになり,S21はNOになる。
次に,CPU30は,スラックが−50psに達していない間は(S23のYES),カモフラージュ回路付き遅延セルCBを1個追加する(S24)。スラックが−80psであったので,遅延量が50psのカモフラージュ回路付き遅延セルCBを1個追加すると,スラックは−30psになり,S23はNOになる。さらに,CPU30は,スラックが負の間は(S25のYES),カモフラージュ回路付き遅延セルCCを1カ所に生成する(S26)。カモフラージュ回路付き遅延セルCCの遅延量が30psであるので,1個追加するとスラックは0psになり,S25はNOになる。その結果,タイミング調整工程が終了する。タイミング調整後のスラックは0psである。
図14は,図12により通常遅延セルでタイミング調整した場合に追加する通常遅延セルと,図13によりカモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整した場合に追加するカモフラージュ回路付き遅延セルとを示す図である。いずれの場合も,タイミング調整前のスラックはー380psである。
図14に示されるとおり,通常遅延セルでタイミング調整した場合は,通常遅延セルDAを3個と通常遅延セルDBを2個追加して,タイミング調整後のスラックは+20psになっている。一方,カモフラージュ回路付き遅延セルでタイミング調整した場合は,カモフラージュ回路付き遅延セルCAを3個とカモフラージュ回路付き遅延セルCBを1個追加し,カモフラージュ回路付き遅延セルCCを1カ所に生成して,タイミング調整後のスラックは0psになっている。
したがって,カモフラージュ回路付き遅延セルを利用してタイミング調整したほうが,追加するカモフラージュ回路付き遅延セルCA,CBの合計数4個と,通常遅延セルでタイミング調整した場合の遅延セルDA,DBの合計数5個よりも少ない。また,カモフラージュ回路付き遅延セルを利用してタイミング調整した場合,タイミング調整後のスラックが0psとなりより最適な遅延量を追加できる。なお,カモフラージュ回路付き遅延セルCCは,他の信号配線に追加したカモフラージュ回路付き遅延セルCA,CBのカモフラージュ回路の出力端子または入力端子を,タイミング調整対象の信号配線に接続すれば良いので,実質的に遅延セルを追加する必要はない。
[第2の実施の形態]
図5には,カモフラージュ回路付き遅延セルCA,CBのカモフラージュ回路CMの入力を信号配線に接続する例を示した。第2の実施の形態では,カモフラージュ回路CMの出力を信号配線に接続する遅延セルを利用する。
図15には,第2の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルを示す図である。図15(A)は,図5に示したカモフラージュ回路付き遅延セルCB−3をフリップフロップ回路FF1,FF2の間の信号配線に挿入した例である。カモフラージュ回路CMの入力端子が2つのインバータ間の信号配線SLに接続されているので,信号配線SLにはカモフラージュ回路CMのゲート側の容量と接続配線の容量が付加される。
一方,図15(B)は,第2の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルCB−3Xをフリップフロップ回路FF1,FF2の間の信号配線に挿入した例である。この例では,カモフラージュ回路CMの出力端子が2つのインバータ間の信号配線SLに接続されているので,カモフラージュ回路CMの出力端子がドレイン領域に接続されている場合(例えば図7,9の例)は,ドレイン容量と接続配線の容量が信号配線SLに付加され,出力端子がドレイン容量に接続されていない場合(例えば図8の例)は,接続配線の容量が信号配線SLに付加される。したがって,図15(B)のカモフラージュ回路付き遅延セルCB−3Xのほうが,信号配線SLに付加される容量値は,図15(A)の例よりも微少ではあるが大きくなる。
上記の第2の実施の形態のカモフラージュ回路付き遅延セルCB−3Xを利用することで,カモフラージュ回路付き遅延セルの種類が増えて,第三者による回路解析をより困難にすることができる。
第2の実施の形態のカモフラージュ回路付き遅延セルは,図15(B)に示した例に加えて,図5に示したカモフラージュ回路付き遅延セルCA−1,CA−2,CA−3,CB−1,CB−2のカモフラージュ回路CMの入力と出力を逆にした遅延セルも含まれる。
[第3の実施の形態]
図16は,第3の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの例を示す図である。このカモフラージュ回路付き遅延セルCB−3Eは,図5に示した遅延セルCB−3と同様に,2つのインバータIN1,IN2とその間の信号配線SL6に出力ハイインピーダンスのカモフラージュ回路CM−Eの入力を接続した例である。そして,カモフラージュ回路CM−Eは,イネーブル信号ENによってカモフラージュ回路であるインバータ回路の出力がハイインピーダンスか否かに切り替えているように見せかけている。さらに,好ましくは,イネーブル信号ENの一端を,他のフリップフロップ回路FF3,FF4間の信号配線SL7に接続する。つまり,フリップフロップ回路FF3の出力Qによってカモフラージュ回路CM−Eの出力の状態が制御されているように見せかけている。したがって,回路解析をより複雑にすることができる。
図17は,図16のカモフラージュ回路付き遅延セルCB−Eのイネーブル信号付きカモフラージュ回路CM−Eの回路図である。イネーブル信号付きカモフラージュ回路CM−Eは,入力がゲートに入力されドレインが出力に接続されたPチャネルトランジスタP1とNチャネルトランジスタN1と,イネーブル信号ENをインバータINを介してゲートに入力するPチャネルトランジスタP2と,イネーブル信号ENをゲートに入力するNチャネルトランジスタN2とを有する。ただし,PチャネルトランジスタP1とNチャネルトランジスタN1のドレインと出力との間はオープン状態になっているので,イネーブル信号ENがH,Lのいずれでも出力はハイインピーダンスになっている。
このイネーブル信号付きカモフラージュ回路付きの遅延セルCB−Eを追加してタイミング調整を行うと,回路解析を試みる第三者は,カモフラージュ回路CM−Eの出力が常時ハイインピーダンス状態になっている原因が,イネーブル信号ENによるものか,カモフラージュ回路CM−Eの構造によるものかが不明であり,回路解析が困難になる。
[第4の実施の形態]
図18は,第4の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。図18(A)は,ホールドタイムについてのタイミング調整前の回路図,図18(B)は,ホールドタイムについてのタイミング調整後の回路図を示す。図18(A)では,フリップフロップ回路FF1,FF2の間の信号配線SL10にバッファBUF10が設けられ,信号配線SL10はスラックが正であり大きなホールドタイムマージンを有するものとし,フリップフロップ回路FF3,FF4の間の信号配線SL11は,スラックが負でありホールドタイムエラーが発生し,比較的大きな遅延量が不足しているものとする。
このような状況下において,図18(B)に示されるとおり,信号配線SL11には,カモフラージュ回路付き遅延セルCB−1を挿入することで,スラックを0以上にしてホールドタイムエラーをなくすることができる。一方で,信号配線SL10では,バッファBUF10に変えて,カモフラージュ回路CMの出力端子を接続して,信号配線SL10にカモフラージュ回路付き遅延セルCC−3Xを挿入した構成にする。信号配線SL10のホールドタイムマージンが大きいので,バッファBUF10に代えてカモフラージュ回路付き遅延セルCC−3Xに置きかえることで,信号配線SL10の遅延量が減じられても,スラックが負になることはない。
[第5の実施の形態]
図19は,第5の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。図19(A)は,ホールドタイムについてのタイミング調整前の回路図,図19(B)は,ホールドタイムについてのタイミング調整後の回路図を示す。図19(A)では,フリップフロップ回路間の信号配線SL20はホールドタイムエラーが発生しているが負のスラックの絶対値が小さく比較的小さな遅延量が必要になっているものとし,フリップフロップ回路間の信号配線SL21はホールドタイムエラーが発生し負のスラックの絶対値が大きく比較的大きな遅延量が不足しているものとする。
このような状況下において,図19(B)に示されるとおり,信号配線SL21には,比較的遅延量が大きいカモフラージュ回路付き遅延セルCB−1を挿入することで,ホールドタイムエラーをなくすることができる。一方で,信号配線SL20では,カモフラージュ回路CMの出力端子を接続して,信号配線SL20にカモフラージュ回路付き遅延セルCC−3X(カモフラージュ回路付き遅延セルCC−3のカモフラージュ回路の入出力が逆の遅延セル)を挿入することで,ホールドタイムエラーをなくすことができる。つまり,1個のカモフラージュ回路付き遅延セルCB−1で,大きな遅延量が必要な信号配線SL21と小さな遅延量が必要な信号配線SL20の両方におけるタイミングエラーをなくすようにタイミング調整することができる。
第4,第5の実施の形態に示したとおり,第1の信号配線に挿入したカモフラージュ回路付き遅延セルのカモフラージュ回路の出力は,第1の信号配線とは異なる第2の信号配線に接続しても,第2の信号配線に追加される遅延量は小さいので,カモフラージュ回路の出力を接続できる信号配線を比較的容易に見つけることができる。図15(B)のようにカモフラージュ回路の入力を第2の信号配線に接続する場合も同様である。
[第6の実施の形態]
図20は,第6の実施の形態におけるカモフラージュ回路付き遅延セルの利用例を示す図である。図20(A)は,ホールドタイムについてのタイミング調整前の回路図,図20(B)は,ホールドタイムについてのタイミング調整後の回路図を示す。第6の実施の形態では,様々な種類の負のスラック値を有する信号配線SL30,SL31,SL32に,様々な組合せでカモフラージュ回路付き遅延セルが追加された例である。
図20(A)のタイミング調整前の状態では,信号配線SL30はスラックが−180psと比較的大きな遅延量が必要であり,信号配線SL31はスラックが−50psと比較的小さな遅延量が必要であり,信号配線SL32はスラックが−100psと中程度の遅延量が必要であると仮定する。
図20(B)のタイミング調整後の状態では,信号配線SL30には,遅延量が100psのカモフラージュ回路付き遅延セルCA−1と,遅延量が50psのカモフラージュ回路付き遅延セルCB−1と,遅延量が30psのカモフラージュ回路付き遅延セルCC−3Xが追加される。これにより,信号配線SL30の負のスラック−180psは0psに調整される。
図20(B)のタイミング調整後の状態では,信号配線SL31には,遅延量が50psのカモフラージュ回路付き遅延セルCB−1が追加される。その結果,信号配線SL31の負のスラック−50psは0psに調整される。
図20(B)のタイミング調整後の状態では,信号配線SL32には,遅延量が100psのカモフラージュ回路付き遅延セルCA−1追加される。これにより,信号配線SL32の負のスラック−100psは0psに調整される。
以上のとおり,本実施の形態によれば,タイミングエラーが発生している信号配線に遅延量を追加してタイミングエラーを解消するタイミング調整工程において,カモフラージュ回路付き遅延セルを追加して必要な遅延量を追加する。したがって,カモフラージュ回路の追加とタイミング調整とを同時に行うことができ,LSIの設計工数を削減することができる。
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
(付記1)
複数のセルと前記セル間の接続情報を有するネットリストに基づいて,前記複数のセルを配置する工程と,
前記ネットリストに基づいて,前記セル間を接続する信号配線を配置する工程と,
前記信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを前記信号配線の経路に配置して,前記セル間の信号のタイミング調整を行うタイミング調整工程と,
前記複数のセルと前記カモフラージュ回路付き遅延セルと前記信号配線の配置情報を有するレイアウトデータを出力する工程とを有する,
集積回路装置の設計方法。
(付記2)
付記1において,
前記タイミング調整工程において,前記信号配線の遅延時間に応じて,前記配置されたカモフラージュ回路付き遅延セルの前記カモフラージュ回路の出力または入力を,前記カモフラージュ付き遅延セルが配置された信号配線とは異なる信号配線に接続する,
集積回路装置の設計方法。
(付記3)
付記1または2において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された,集積回路装置の設計方法。
(付記4)
付記1または2において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力に第1の端子が接続された遅延素子と,前記遅延素子の第2の端子が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記遅延素子との間の第1の信号配線または前記遅延素子と前記第2のインバータの入力との間の第2の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された,集積回路装置の設計方法。
(付記5)
付記1または2において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,前記カモフラージュ回路を有し,前記信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された,集積回路装置の設計方法。
(付記6)
付記3〜5のいずれかの付記において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,前記カモフラージュ回路を,単数または所定の数の複数有する,集積回路装置の設計方法。
(付記7)
付記1または2において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,
第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された第1のカモフラージュ回路付き遅延セルと,
第3のインバータと,前記第3のインバータの出力に第1の端子が接続された遅延素子と,前記遅延素子の第2の端子が入力に接続された第4のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第3のインバータの出力と前記遅延素子との間の第1の信号配線または前記遅延素子と前記第4のインバータの入力との間の第2の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された第2のカモフラージュ回路付き遅延セルと,
前記カモフラージュ回路を有し,前記信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力が接続された第2のカモフラージュ回路付き遅延セルのいずれかであり,
前記タイミング調整工程では,前記信号配線の遅延量に応じて,前記第1,第2,第3のカモフラージュ回路付き遅延セルのいずれかを,前記信号配線の経路に配置する,集積回路装置の設計方法。
(付記8)
基板上に配置された複数のセルと,
前記基板上に配置された前記セル間を接続する信号配線と,
第1の信号配線の経路に配置された,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルとを有し,
前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が前記カモフラージュ回路付き遅延セルに接続され,
前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が前記第1の信号配線と異なる第2の信号配線に接続された,
集積回路装置。
(付記9)
付記8において,
前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に供給される第2のインバータと,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の信号配線に入力または出力の一方の端子が接続されたカモフラージュ回路とを有し,
前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が,前記第2の信号配線に接続されている,集積回路装置。
(付記10)
複数のセルと前記セル間の接続情報を有するネットリストに基づいて,前記複数のセルを配置する工程と,
前記ネットリストに基づいて,前記セル間を接続する信号配線を配置する工程と,
前記信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを前記信号配線の経路に配置して,前記セル間の信号のタイミング調整を行うタイミング調整工程と,
前記複数のセルと前記カモフラージュ回路付き遅延セルと前記信号配線の配置情報を有するレイアウトデータを出力する工程と,
前記レイアウトデータに基づいて,前記複数のセルと前記信号配線と,カモフラージュ回路付き遅延セルとを有する集積回路装置を生成する工程とを有する,
集積回路装置の製造方法。
(付記11)
付記10において,
前記タイミング調整工程において,前記信号配線の遅延時間に応じて,前記配置されたカモフラージュ回路付き遅延セルの前記カモフラージュ回路の出力または入力を,前記カモフラージュ付き遅延セルが配置された信号配線とは異なる信号配線に接続する,
集積回路装置の製造方法。
カモフラージュ回路付き遅延セル:CA,CB,CC
通常遅延セル:DA,DB
セル配置工程:S3
信号配線配置工程:S5
タイミング調整工程:S6,S6−1
ネットリスト:10
レイアウトデータ:20

Claims (9)

  1. 複数のセルと前記セル間の接続情報を有するネットリストに基づいて,前記複数のセルを配置する工程と,
    前記ネットリストに基づいて,前記セル間を接続する信号配線を配置する工程と,
    前記信号配線のうち第1の信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを前記第1の信号配線の経路に配置して,前記セル間の信号のタイミング調整を行うタイミング調整工程と,
    前記複数のセルと前記カモフラージュ回路付き遅延セルと前記信号配線の配置情報を有するレイアウトデータを出力する工程とを有
    前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が前記カモフラージュ回路付き遅延セルに接続され,前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が前記第1の信号配線と異なる第2の信号配線に接続される,
    集積回路装置の設計方法。
  2. 請求項1において,
    前記タイミング調整工程において,前記信号配線の遅延時間に応じて,前記配置されたカモフラージュ回路付き遅延セルの前記カモフラージュ回路の出力または入力を,前記カモフラージュ回路付き遅延セルが配置された前記第1の信号配線とは異なる前記第2の信号配線に接続する,
    集積回路装置の設計方法。
  3. 請求項1または2において,
    前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の第3の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された,集積回路装置の設計方法。
  4. 請求項1または2において,
    前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力に第1の端子が接続された遅延素子と,前記遅延素子の第2の端子が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記遅延素子との間の第3の信号配線または前記遅延素子と前記第2のインバータの入力との間の第4の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された,集積回路装置の設計方法。
  5. 請求項1または2において,
    前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,前記カモフラージュ回路を有し,前記第1の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された,集積回路装置の設計方法。
  6. 請求項1または2において,
    前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,
    第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に接続された第2のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の第3の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された第1のカモフラージュ回路付き遅延セルと,
    第3のインバータと,前記第3のインバータの出力に第1の端子が接続された遅延素子と,前記遅延素子の第2の端子が入力に接続された第4のインバータと,前記カモフラージュ回路とを有し,前記第3のインバータの出力と前記遅延素子との間の第4の信号配線または前記遅延素子と前記第4のインバータの入力との間の第5の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された第2のカモフラージュ回路付き遅延セルと,
    前記カモフラージュ回路を有し,前記第1の信号配線に前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が接続された第3のカモフラージュ回路付き遅延セルのいずれかであり,
    前記タイミング調整工程では,前記信号配線の遅延量に応じて,前記第1,第2,第3
    のカモフラージュ回路付き遅延セルのいずれかを,前記信号配線の経路に配置する,集積回路装置の設計方法。
  7. 基板上に配置された複数のセルと,
    前記基板上に配置された前記セル間を接続する信号配線と,
    第1の信号配線の経路に配置された,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルとを有し,
    前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が前記カモフラージュ回路付き遅延セルに接続され,
    前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が前記第1の信号配線と異なる第2の信号配線に接続された,
    集積回路装置。
  8. 請求項7において,
    前記カモフラージュ回路付き遅延セルは,第1のインバータと,前記第1のインバータの出力が入力に供給される第2のインバータと,前記第1のインバータの出力と前記第2のインバータの入力との間の第3の信号配線に入力または出力の一方の端子が接続されたカモフラージュ回路とを有し,
    前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が,前記第2の信号配線に接続されている,集積回路装置。
  9. 複数のセルと前記セル間の接続情報を有するネットリストに基づいて,前記複数のセルを配置する工程と,
    前記ネットリストに基づいて,前記セル間を接続する信号配線を配置する工程と,
    前記信号配線のうち第1の信号配線の遅延時間に応じて,出力がハイインピーダンスのカモフラージュ回路を付加したカモフラージュ回路付き遅延セルを前記第1の信号配線の経路に配置して,前記セル間の信号のタイミング調整を行うタイミング調整工程と,
    前記複数のセルと前記カモフラージュ回路付き遅延セルと前記信号配線の配置情報を有するレイアウトデータを出力する工程と,
    前記レイアウトデータに基づいて,前記複数のセルと前記信号配線と,カモフラージュ回路付き遅延セルとを有する集積回路装置を生成する工程とを有
    前記カモフラージュ回路の入力または出力の一方の端子が前記カモフラージュ回路付き遅延セルに接続され,前記カモフラージュ回路の入力または出力の他方の端子が前記第1の信号配線と異なる第2の信号配線に接続される,
    集積回路装置の製造方法。
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