JP6387815B2 - ホルムアルデヒド含有排水の処理方法 - Google Patents
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(1) 亜硫酸塩を添加しても排水の亜硫酸塩濃度は80mg/Lを超えることはなく、亜硫酸塩による殺菌効果は得られない。
(2) 上流側で使用された殺菌剤(酸化性物質)が排水中に残留していた場合でも、亜硫酸塩により酸化性物質が還元処理され、殺菌効果が失われる。特に、亜硫酸塩添加点から逆浸透膜装置の間のユニットは亜硫酸塩による殺菌効果の低下でスライムが発生しやすい。例えば、亜硫酸塩添加点から逆浸透膜装置との間には、ホルムアルデヒドと亜硫酸塩とを反応させるための反応槽が設けられるが、この反応槽の滞留時間を5分以上とするため、槽内はスライムが発生し易い環境となる。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
図1a〜1eは、本発明のホルムアルデヒド含有排水の処理方法の実施に好適なホルムアルデヒド含有排水の処理装置の一例を示す系統図であり、それぞれ、図1aは排水処理工程、図1bは亜硫酸塩押出工程、図1cは殺菌工程、図1dは待機工程、図1eは殺菌剤除去工程における水の流れを示す。図1a〜1eにおいて、実線は水が流れている配管を、破線は水が流れていない配管を示す。
亜硫酸塩の添加量は原水中のホルムアルデヒド濃度との比([SO3]/[HCHO]の重量比)が3以上、特に3〜7となる程度が好ましい。また、亜硫酸塩とホルムアルデヒドとの反応時のpHは3〜8程度であることが好ましく、RO膜装置4におけるpH条件は、7以上、特に7〜11、とりわけ8〜11とすることが好ましい。
なお、RO処理水の返送位置については、亜硫酸塩を多く含む反応槽3よりも上流側であれば特に限定されず、例えば一部を原水槽1へ残部を反応槽3に循環することや、全量を反応槽3に循環することもできる。
また、予め予備試験を行って亜硫酸塩の押出しが完了するまでの時間を推定しておき、タイマー制御で亜硫酸塩押出工程を終了するようにしてもよい。
殺菌剤が添加された水をRO膜装置4に導入すると殺菌剤によりRO膜が劣化する恐れがあるため、殺菌剤を含むRO給水はRO膜装置4に通水することなく全量を原水槽1に循環する。この殺菌工程は、殺菌剤の添加で系内の殺菌剤濃度が経時的に増加し、十分な殺菌剤濃度となるまで行われる。例えば、殺菌剤が次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩の場合は、反応槽3の出口での次亜塩素酸濃度が1mg/LasCl2に達するまで殺菌工程を継続することが好ましい。また、この殺菌工程についても、亜硫酸塩押出工程と同様に、予め予備試験を行って、系内の殺菌剤濃度が所定濃度に達するまでの時間を推定しておき、タイマー制御で殺菌工程を終了してもよい。
待機工程における殺菌剤濃度が上記上限より高くてもスライムの発生防止効果に差異は殆どなく、殺菌剤添加量が多くなり経済性を損ねる。待機工程における殺菌剤濃度が上記下限よりも低いと、装置の運転を停止した待機工程において、系内にスライムが発生する恐れがある。従って、待機工程において、系内の殺菌剤濃度が上記の下限を下回る場合は、再度図1cの殺菌工程を行うことが好ましい。この場合においても、予め予備試験を行って、系内の殺菌剤濃度が上記下限を下回る待機時間を推定しておき、タイマー制御で殺菌工程に移行してもよい。
以降、上記の各工程を順次繰り返し行う。
<通常運転(排水処理工程)>
レトルト排水と、殺菌剤として次亜塩素酸を添加したパストライザー排水との混合排水を想定して、ホルムアルデヒド0.5mg/L、次亜塩素酸1mg/LasCl2の模擬排水を調製した。この模擬排水のTOC濃度は1.0mg/L、pHは6.5であった。この模擬排水に対して、重亜硫酸ナトリウムを5mg/L添加し、反応槽で5分間滞留させ、その後、RO膜装置に通水してホルムアルデヒドを除去する連続処理を1時間行った。
上記の排水処理工程後、模擬排水の供給と重亜硫酸ナトリウムの添加を停止し、反応槽直前で殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムを添加し、反応槽からRO膜装置を経て得られたRO透過水の全量を重亜硫酸ナトリウム添加位置よりも上流側へ返送する循環通水を行った。反応槽出口で次亜塩素酸濃度が0.1mg/LasCl2に到達した時点で重亜硫酸ナトリウムの押出しが完了したと判断し(亜硫酸塩押出工程終了)、RO給水(反応槽流出水)の全量を循環ラインへの供給に切替えて連続通水を行った。循環通水を継続し、反応槽出口の次亜塩素酸濃度が1mg/LasCl2に到達した時点で殺菌性能が所定値に達したと判断し(殺菌工程終了)、すべての通水を停止すると共に次亜塩素酸ナトリウムの添加を停止した。以上の亜硫酸塩押出工程及び殺菌工程にはそれぞれ10分程度を要した。
上記処理を、更に3セット(合計4セット、計12日間)行い、それぞれ、通常運転再開時の反応槽出口の菌数を測定し、結果を表1に示した。なお、いずれの場合も、通所運転再開時の、殺菌剤押出し前の反応槽出口の殺菌剤濃度は0.1〜1.0mg/LasCl2であった。
実施例1と同様の通常運転を実施し、通常運転停止時には重亜硫酸ナトリウムの添加を停止し、殺菌剤を添加することなく通水を停止し、そのまま静置した。実施例1と同様に3日経過後、通常運転を再開し、再開時の反応槽出口の菌数を測定した。
上記処理を、更に3セット(合計4セット、計12日間)行い、それぞれ、通常運転再開時の反応槽出口の菌数を測定し、結果を表1に示した。
一方、比較例1の方法では、原水中に酸化剤が含まれているにも拘わらず、装置の運転停止期間の増加に伴い系内の菌数が増加し、スライム発生によるスライム障害の問題がある。
2 除濁膜装置
3 反応槽
4 RO膜装置
Claims (5)
- ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加して反応槽で反応させた後、該反応槽からの反応液を逆浸透膜装置で膜分離して透過水を処理水として得る排水処理工程を備えるホルムアルデヒド含有排水の処理方法において、
該排水処理工程後の排水処理停止時に、前記亜硫酸塩の添加を停止し、前記逆浸透膜装置よりも上流側において系内の水に殺菌剤を添加し、該殺菌剤が添加された水を、前記反応槽を経た後逆浸透膜装置を経ることなく、前記亜硫酸塩添加位置よりも上流側へ返送して循環させる殺菌工程を行うことを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。 - 請求項1において、前記殺菌剤を、前記亜硫酸塩添加位置よりも下流側であって、前記反応槽よりも上流側に添加することを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
- 請求項1又は2において、前記排水処理工程後の排水処理停止時に、前記殺菌工程に先立ち、前記亜硫酸塩の添加を停止し、前記逆浸透膜装置の透過水を前記反応槽よりも上流側に返送し、該逆浸透膜装置の濃縮水を系外へ排出する亜硫酸塩押出工程を行うことを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
- 請求項3において、前記亜硫酸塩押出工程において、前記殺菌剤の添加を行うことを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記排水処理工程における前記反応槽の滞留時間が5分以上であることを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
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