JP6385826B2 - プラスチックシンチレータ、シンチレーション測定用試料体及びプラスチックシンチレータの作製方法 - Google Patents

プラスチックシンチレータ、シンチレーション測定用試料体及びプラスチックシンチレータの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、シンチレーション検出器に用いるプラスチックシンチレータ等に関する。
シンチレーション検出器を用いた放射線の測定においては、従来液体シンチレータを用いることが一般的であった。しかし、液体シンチレータを用いると放射性廃液が生じるため、この処理に多大な負担がかかる。このため、シンチレーション検出器でプラスチックシンチレータを用いた測定が試されている(例えば非特許文献1参照)。
A.Tarancon, J.F.Garcia, G.Rauret, "Mixed waste reduction in radioactivity determination by using plastic scintillators", Analytica Chimica Acta, Spain, Elsevier, 463 (2002) p.125−134
しかしながら、プラスチックシンチレータで液体試料を測定する場合、時間がかかり効率が悪いため、その改良が求められている。
そこで、本発明は試料を効率的に測定できるプラスチックシンチレータ等を提供することを目的とする。
本発明のプラスチックシンチレータは、シンチレーション検出器に用いるプラスチックシンチレータであって、親水性を高める表面処理がされた測定面を備えたものである。
本発明のプラスチックシンチレータによれば、測定面に親水性を高める表面処理を施すことにより、試料を滴下すると、その測定面に沿って従来よりも広範囲に亘って広がり、効率の高い測定が可能となる。
本発明のプラスチックシンチレータの一態様において、前記測定面が、プラズマを照射することにより改質されていてもよい。これによれば、プラズマ処理が施された測定面に試料を滴下すると、その測定面に沿って試料が従来よりも広範囲に亘って広がり、効率の高い測定が可能となる。効率の向上には、プラズマ処理により測定面の親水性が高まることが貢献しているものと推察される。
本発明のプラスチックシンチレータの一態様において、前記シンチレーション検出器で測定の対象となる液体試料をそれぞれの測定面で挟み込むために2枚の前記プラスチックシンチレータを1組としてもよい。これによれば、液体試料を2枚のプラスチックシンチレータで挟み込むようにするために液体試料の接触表面積が拡がる。
本発明のシンチレーション測定用試料体は、放射性物質を含む液体試料を被測定物とするシンチレーション検出器に用いるシンチレーション測定用試料体であって、少なくとも1枚のプラスチックシンチレータを含み、前記プラスチックシンチレータの測定面に親水性を高める表面処理がされ、前記測定面に沿って前記被測定物による液膜が形成されているものである。
本発明のシンチレーション測定用試料体によれば、測定面に親水性を高める表面処理を施すことにより、試料を滴下すると、その測定面に沿って従来よりも広範囲に亘って広がり、効率の高い測定が可能となる。
本発明のシンチレーション測定用試料体の一態様において、前記測定面を有する2枚のプラスチックシンチレータが、それぞれの測定面間に前記被測定物が挟み込まれるようにして重ね合わされていてもよい。これによれば、液体試料を2枚のプラスチックシンチレータで挟み込むようにするために液体試料の接触表面積が拡がり、測定効率を高めることができる。
本発明のシンチレーション測定用試料体の一態様において、前記被測定物がトリチウム水であってもよい。これによれば、測定面に親水性を高める表面処理がされているので、トリチウム水のような液体であってもプラスチックシンチレータでの測定が可能となる。
本発明のプラスチックシンチレータの作製方法は、シンチレーション検出器に用いるプラスチックシンチレータの作製方法であって、プラスチックシンチレータの測定面にプラズマを照射してその表面を改質するプラズマ処理工程を備えたものである。
本発明のプラスチックシンチレータの作製方法によれば、プラスチックシンチレータの測定面にプラズマを照射することで測定面が改質される。そうすると、測定面に沿って試料が従来よりも広範囲に亘って広がり、効率の高い測定が可能となる。プラズマを照射するためにはプラズマ照射装置が必要となるが比較的手軽に作製することができる。
本発明のプラスチックシンチレータの作製方法の一態様において、前記プラスチックシンチレータを前記測定面と平行な方向に一定速度で往復揺動させる揺動工程をさらに備え、前記プラズマ処理工程では、揺動する測定面に対してプラズマを照射してもよい。これによれば、プラズマを照射する間、プラスチックシンチレータがその測定面と平行な方向に一定速度で往復揺動しているので、プラスチックシンチレータに対して広範囲でプラズマを照射することができる。
本発明のシンチレーション検出器は、親水性を高める表面処理がされた測定面を有するプラスチックシンチレータの前記測定面に液体試料を滴下して作製されたシンチレーション測定用試料体を設置する試料体設置部と、前記試料体設置部に設置されたシンチレーション測定用試料体を測定する光電子増倍管と、前記試料体設置部及び前記光電子増倍管を遮蔽する遮蔽体と、を備え、前記遮蔽体には、前記シンチレーション測定用試料体を前記試料体設置部に差し込んで取り付けるための取付口が設けられているものである。
本発明のシンチレーション検出器によれば、試料体設置部と光電子増倍管とを遮蔽体で覆うという簡易な構成とすることでシンチレーション検出器の小型化が可能となる。試料体設置部の取付口が遮蔽体に設けられているので、シンチレーション検出器に試料体を容易に設置することができる。
本発明のシンチレーション検出器の一態様において、前記試料体設置部には、前記シンチレーション測定用試料体に取付け可能なアダプタが設けられ、前記アダプタが、前記取付口を介して前記試料体設置部に取り付けられてもよい。これによれば、シンチレーション測定用試料体に対してアダプタを取り付けることで、試料体設置部への取付が容易となる。この態様において、前記試料体設置部には、前記アダプタを固定する固定手段と、前記固定手段に前記アダプタが固定されたことを検出する検出手段と、前記試料体設置部に設置されたシンチレーション測定用試料体と前記光電子増倍管との間に位置する開閉手段と、が設けられ、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開閉手段の開閉動作を制御する動作制御手段をさらに備えていてもよい。これによれば、光電子増倍管に対して外部からの光の影響を与えることを防ぐことができる。
本発明のシンチレーション検出器の一態様において、前記試料体設置部には、前記シンチレーション測定用試料体が設置された内部空間を乾燥させる乾燥手段が設けられていてもよい。これによれば、試料体設置部内部でシンチレーション測定用試料体を乾燥させることができるので、測定効率を高めることができる。
以上、説明したように、本発明によれば、プラズマ処理が施された測定面に試料を滴下すると、その測定面に沿って試料が従来よりも広範囲に亘って広がり、効率の高い測定が可能となる。
本発明の一形態に係るプラスチックシンチレータを用いた液体シンチレーション検出器での試料の測定を説明する概念図。 未処理PSに対してプラズマ処理をするプラズマ照射装置を示した概略図。 未処理PSにプラズマ照射する様子を撮像した画像を示す図。 1分間プラズマを照射したPSの測定面を走査型プローブ顕微鏡で観察した画像を示す図。 1分間プラズマを照射したPSの測定面を走査型プローブ顕微鏡で観察した画像を示す図。 未処理PSの測定面を走査型プローブ顕微鏡で観察した画像を示す図。 未処理PSの測定面を走査型プローブ顕微鏡で観察した画像を示す図。 プラスチックシンチレータに試料を滴下してプラズマの照射の有無を比較した画像を示す図。 PSに滴下した試料を説明する模式図。 未処理PSに滴下した試料を説明する模式図。 ダブルPSを説明する模式図。 プラズマ照射時間を変えたPSを用いて試料を測定した場合の測定効率を示したグラフ。 液体シンチレーション検出器でPSを用いて測定した場合の計数率と放射能との関係を示すグラフ。 PSを用いて測定した主なベータ線放出核種のスペクトルを示したグラフ。 本発明の一形態に係るシンチレーション検出器の概略図。 試料体設置部の要部を示す斜視図。 試料体設置部の断面図。 シンチレーション検出器の制御系の構成を示す機能ブロック図。 PCの各制御部及びデータ処理部が実行する測定実行処理を示すフローチャート。 第1の手順において、揺動する未処理PSにプラズマを照射することを説明する図。 プラズマ照射に使用するガスの種類を変更して作成された複数種類のPSの測定面の結合エネルギー分布を示したグラフ。 ダブルPSと、比較例として試料を2枚の未処理PSで挟み込んだダブル未処理PSとを撮像した画像。 乾燥剤の有無で比較したプラスチックシンチレータの測定効率を示すグラフ。 シリカゲルビーズを設置したガラスバイアルの斜視図。 変形例に係るシンチレーション検出器の要部を示す概念図。
図1は、本発明の一形態に係るプラスチックシンチレータ1を用いた液体シンチレーション検出器20での試料3の測定を説明する概念図である。プラスチックシンチレータ1(以下、PS1と省略する。)は、シート状、フィルム状、あるいは板状の本体1aを有する。試料3に応じてPS1の厚さや形状を適宜変更してよい。本体1aの表面には、試料3を滴下する測定面1bが設けられている。PS1の本体1aは、放射性核種の吸収性を有するポリスチレン等のプラスチックに蛍光物質を混ぜた周知の組成で構成される。一例として、サンゴバン株式会社製プラスチックシンチレータBC−400(0.5[mm]厚)を利用し、45[mm]×14[mm]のシート状とした。
まず、第1の手順として、プラズマ処理がされていない未処理のプラスチックシンチレータ(以下、未処理PSと省略する。)2に対して、プラズマ照射装置10を用いて測定面2bにプラズマを照射する。プラズマが照射された測定面2b(以下、プラズマが照射された未処理PS2をプラスチックシンチレータ1という。)は改質される。なお、詳細は後述する。
第2の手順では、PS1の測定面1bに試料3を滴下する。測定面1bにはプラズマが照射され、表面が改質される。その結果、測定面1bに沿って試料3が従来よりも広範囲に亘って広がることが確認された。ここで滴下される試料3は、液体試料である。なお、詳細は後述する。
第3の手順では、試料3が滴下されたPS1をガラスバイアル21にセットし、液体シンチレーション検出器20に装着して放射線を測定する。従来液体シンチレーション検出器20で用いられている液体シンチレータと同様、ガラスバイアル21にセットして放射線により生じる蛍光を測定することができる。液体シンチレーション検出器20として、周知技術を利用してよい。なお、図1では、後述するダブルPS1Dをガラスバイアル21にセットした図を示している。
図2は、未処理PS2に対してプラズマ処理をするプラズマ照射装置10を示した概略図である。プラズマ照射装置10として例えば、インパルス型高周波装置が用いられる。プラズマ照射装置10は、プラズマを照射するための石英ガラス管11と、高圧電源12から電圧が印加されるリング電極13と、接地されたリング電極14とを備えている。一例として、リング電極13、14間の間隙Gは、1[mm]、リング電極14から延びる石英ガラス管11の長さLは、60[mm]、リング電極14の幅Wは、10[mm]である。リング電極13の開口からアルゴンガスが供給され、電圧の印加により生じたプラズマが石英ガラス管11の開口から照射される。
図3は、未処理PS2にプラズマ照射する様子を撮像した画像である。図3は、上述の第1の手順に対応する画像である。このときのインパルス型高周波装置の動作設定として、高圧電源12から出力される電圧が10[kV]、高周波が10[kHz]、供給されるアルゴンガスの流量が4[L/min]である。また、石英ガラス管11の開口と、未処理PS2の測定面2bとの間隙が5[mm]である。このようにして、未処理PS2にプラズマ照射することにより、PS1を作製できる。なお、利用可能なプラズマの種類として、図1及び図2に示したような誘電体バリア放電を用いて発生させるDBDプラズマ以外に、インバータ電源を用いて真空で発生させるインバータプラズマや、大気圧下で発生させるマルチガスプラズマ等の周知の方法で発生させる各種のプラズマがある。周知のプラズマを利用してよい。
図4A及び図4Bは、PS1Aの測定面1bを走査型プローブ顕微鏡で観察した画像である。図4Aは10[μm]×10[μm]の範囲のPS1Aの測定面1bを撮像したものであり、図4Bは1[μm]×1[μm]の範囲のPS1Aの測定面1bを撮像したものである。また、図5A及び図5Bは、比較として、未処理PSの測定面1bを同様に走査型プローブ顕微鏡で観察した画像である。図5Aは10[μm]×10[μm]の範囲の未処理PS2の測定面1bを撮像したものであり、図5Bは1[μm]×1[μm]の範囲の未処理PS2の測定面1bを撮像したものである。10[μm]幅の画像を示す図4A及び図5Aを比較しても目立った差異は確認できないが、1[μm]幅の画像を示す図4B及び図5Bを比較するとPS1Aの測定面1bには凹凸が生じていることが確認できる。プラズマ照射による改質の結果、高低差100[nm]以下の微細な凹凸が生じている。
図6は、測定面1bに試料3を滴下してプラズマの照射の有無を比較した画像である。図6は、上述の第2の手順に対応する画像である。図6には、上述したプラズマ照射装置10による設定で1分間プラズマを照射したPS1Aと、同様に3分間プラズマを照射したPS1Bと、未処理PS2とが示されている。また、各PS1A、1B、2の測定面に滴下した試料3は、20[μL]のトリチウム水(化学式はHTO又はHHOで表記される。)である。未処理PS2に滴下された試料3は、プラスチックの疎水性により試料3が盛り上がっていることが確認される。一方、プラズマを照射したPS1A及びPS1Bでは、表面張力が低下し、試料3との接触表面積が大きくなる。1分間プラズマを照射したPS1AでもPS1Bと同程度まで接触表面積が広がっており、十分な改質作用が得られていることがわかる。接触表面積が大きくなれば、試料3の放射線エネルギーがPS1に多く届くため、測定効率を高めることができる。
図18は、プラズマ照射に使用するガスの種類を変更して作成された複数種類のPS1の測定面1bの結合エネルギー分布を示したグラフである。このグラフは、XPS分析を利用して得られ、横軸は結合エネルギー[eV]、縦軸は相対計数である。分析に使用したPS1はそれぞれ作成時のプラズマ照射に使用したガスが異なり、図18のグラフ中、酸素を使用したものを線L1、二酸化炭素と酸素とを混合したガスを使用したものを線L2、窒素を使用したものを線L3、空気を使用したものを線L4、二酸化炭素を使用したものを線L5、アルゴンと酸素とを混合したガスを使用したものを線L6、アルゴンを使用したものを線L7、比較例として未処理PS2を線L0でそれぞれ示している。結果、未処理PS2(線L0)に対して、いずれかのプラズマ処理をしたPS1(線L1〜L7)では、結合エネルギーが289[eV]付近で相対計数が増加していることから、C=O結合の割合が増えていることがわかり、親水基が付与されていることがわかる。したがって、図4Bで示された凹凸及び試料3の接触表面積が大きくなること、及び親水基が付与されていることから、プラズマ照射により測定面1bに親水性が付与されているといえる。
図7A及び図7Bは、PS1及び未処理PS2に滴下した試料3を説明する模式図である。図7Aに示すように、PS1の測定面1bはプラズマ処理による凹凸が生じて、親水性が付与されていると推察される。これにより、試料3と、PS1との接触表面積が広がっている。一方で、図7Bに示すように未処理PS2の測定面では、プラスチックの疎水性により試料3がはじかれて盛り上がる。なお、PS1は測定面1bへのプラズマ処理により試料3の接触表面積が広がるが、試料3の濃度等の条件によって広がりの大小が異なることが確認されている。しかし、未処理PS2と比較すると、プラズマ処理されたPS1の接触表面積は広がっている。
次に、上述した第3の手順である、液体シンチレーション検出器20による測定について詳述する。試料3を滴下したPS1は、ガラスバイアル21にセットされ、液体シンチレーション検出器20にて測定される。ガラスバイアル21へのセットの方法としては、図7Aに示すように、試料3が滴下された1枚のPS1(シングルPS1Sということがある。)と、図8に示すように、試料3を2枚のPS1の測定面1bで挟み込んだダブルPS1Dとの2通りの方法がある。ダブルPS1Dのようにすると試料3が2枚のPS1で挟まれるため、ダブルPS1Dの接触表面積は、シングルPS1Sに比べてさらに広がる。特に、ダブルPS1Dでは、プラズマ処理された測定面1bで挟み込むため、試料3が薄く広がることが確かめられている。なお、未処理PS2で試料3を挟み込んだ場合、プラスチックの疎水性のため試料3の輪郭が目視で確認される。図19は、ダブルPS1Dと、比較例として試料3を2枚の未処理PS2で挟み込んだダブル未処理PS2Dとを撮像した画像である。
図9は、プラズマ照射時間を変えたPS1を用いて試料3を測定した場合の測定効率を示したグラフである。図9のグラフは、紙面左側から順番に、液体シンチレータで測定したデータLq、シングルの未処理PS2で測定したデータNs、ダブルの未処理PS2で測定したデータNd、プラズマ処理を3分間施したシングルPS1Sで測定したデータPs3、プラズマ処理を2分間施したシングルPS1Sで測定したデータPs2、プラズマ処理を1分間施したシングルPS1Sで測定したデータPs1、プラズマ処理をそれぞれ3分間施したダブルPS1Dで測定したデータPd3、プラズマ処理をそれぞれ2分間施したダブルPS1Dで測定したデータPd2、及びプラズマ処理をそれぞれ1分間施したダブルPS1Dで測定したデータPd1を示している。
液体シンチレータを用いたデータLqと比較して未処理PS2を用いたデータNs、Ndは、いずれも測定効率が低く実用に耐えないことを示しているが、プラズマ処理を施したPS1で測定すると少なくとも10[%]以上測定効率が向上する。特に、ダブルPS1Dで測定すると、液体シンチレータで測定した場合と同等の効率が得られることがわかる。未処理PS2に対して、1分間以上プラズマを照射することで、測定効率が改善することが確認された。
図10は、シンチレーション検出器でPS1を用いて測定した場合の計数率(counts per minute)と放射能(ベクレル)との関係を示すグラフである。異なる濃度(図10では7つの異なる濃度)の試料をそれぞれ繰り返し数3で測定した結果である。計数率に対する放射能の量が一定している。つまり、本発明のPS1を用いた測定において、定量性が確保されていることが示されている。
従来、液体シンチレーション検出器では、ベータ線放出核種で標識された化合物からなる試料を液体シンチレータ内に溶かすため、溶けた試料自体が放射線によって発光した蛍光を遮ってしまう現象が生じる。このため、蛍光の減衰(クエンチング)が起こる。このクエンチングの程度は、試料毎に異なるため、スペクトルを測定しても液体シンチレータに溶けている放射性核種の種類は同定(特定)することができない問題があった。研究に用いる場合は、使用した放射性核種が明らかなため問題はないが、汚染検査等では、汚染原因となった核種が不明なため、十分な測定ができない。
上述の形態で、試料3としてベータ線放出核種のトリチウム水(化学式はHTO又はHHOで表記される。)を用いているが、トリチウム水は、次世代エネルギーとして期待されている核融合開発では必ず発生するものであり、環境へのリークが懸念される核種である。このため、トリチウム水の測定は今後重要となるが、現段階では、環境中の水分の濃縮を繰り返した後に液体シンチレータを用いて液体シンチレーション検出器で測定している。測定量が増えると、多量の廃液が発生するおそれがあり、廃棄に負担がかかる。また、液体シンチレータは、発がん性のある有機溶媒と、環境負荷となる界面活性剤と、毒性が強い波長変換剤の混合物であり有害なものでもある。
従って、廃液を発生させずにトリチウム水を高効率で測定できる方法が望まれている。特にトリチウムのベータ線エネルギーは現在知られているベータ線の中で最も小さく最大値が18.6[keV]、平均値が5[keV]であり、トリチウム水として存在する場合、自身の「水」に吸収されてしまい、直接接している部分でしか蛍光が生じないという問題もある。一方で、放射性廃液がほとんど生じないプラスチックシンチレータで測定する方法についても研究が進んでいるが、プラスチックの性質からトリチウム水の測定ができなかったり、できても測定に時間がかかり効率が悪く、測定者の負担となっている。
本発明のPS1の測定面1bに試料3を滴下すると、測定面1bに沿って試料3が従来よりも広範囲に亘って広がるため、試料3の放射線を受けて発せられる蛍光の量が多くなり、測定効率が高められる。
本発明では、上述したクエンチングの問題がPS1を用いることで解決する。図11は、PS1を用いて測定した主なベータ線放出核種のスペクトルを示したグラフである。図11のグラフでは、ベータ線放出核種として、トリチウム(H、最大エネルギー18.6[keV])n1、炭素14(14C、最大エネルギー156[keV])n2、硫黄35(35S、最大エネルギー167[keV])n3、リン33(33P、最大エネルギー249[keV])n4、カルシウム45(45Ca、最大エネルギー257[keV])n5、及びリン32(32P、最大エネルギー1711[keV])n6を示している。
従来の液体シンチレータを用いた測定では、上述の全てのスペクトルがクエンチングによりグラフ左側にシフトするが、その割合は試料毎に異なるため同定が困難であった。本発明では、図11に示すように放射性核種の同定が可能となる。特に多用される炭素14n2及び硫黄35n3の同定は不可能とされていたが、これが可能であることが示されている。このように、本発明のPS1を用いることにより、今まで不可能とされていた最大エネルギーの近いベータ線放出核種を識別することができる。
本発明では、液体シンチレータを用いずに簡易な方法で試料を測定できる。プラスチックシンチレータを用いるので放射性廃液が生じず、さらに、液体シンチレータのように廃液の付着したバイアルの洗浄が不必要となり、作業者の負担が軽減される。また、人体に対する有害性がなく、環境低負荷である。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、試料3としてトリチウム水で説明したがこれに限られない。例えば、他の放射性化合物に標識した核種であるH、14C、35S等でも測定可能である。また、シンチレーション検出器は、液体シンチレーション検出器20に限定されない。本発明のプラスチックシンチレータ1は、液体シンチレータを測定する装置として広く普及している液体シンチレーション検出器20で利用できるが、各種のシンチレーション検出器等でも利用できる。また、未処理PS2の測定面2bに対してプラズマを照射してPS1を作製する場合に、測定面2bの全面にプラズマを照射してもよいし、一部分のみを照射してもよい。試料3の滴下や測定時の条件に応じて適宜の変更が可能である。
また、本発明のプラスチックシンチレータ1を測定する装置として、以下に説明するシンチレーション検出器を用いてもよい。図12は、本発明の一形態に係るシンチレーション検出器の概略図を示している。シンチレーション検出器30は、シンチレーション測定用試料体としての試料体5を設置する試料体設置部31と、試料体設置部31に設置された試料体5を測定する一対の光電子増倍管32と、試料体設置部31及び一対の光電子増倍管32を遮蔽する遮蔽体33とを備えている。なお、試料体5は、測定面1bに試料3が滴下されたPS1のことをいい、図7Aに示すシングルPS1Sや、図8に示すダブルPS1Dは、試料体5の一例である。本形態においては、試料体5としてダブルPS1Dを用いて説明する。
試料体設置部31には、試料体取付部41と、乾燥手段としての乾燥剤取付部42と、開閉手段としての開閉部43とが設けられている。試料体設置部31において試料体5は、その測定面1bが垂直方向に対して平行となるように設置される。図13は、試料体設置部31の要部を示す斜視図、図14は、試料体設置部31の断面図である。試料体取付部41には、試料体5に取り付けるアダプタ44と、アダプタ44を試料体設置部31に差し込んで取り付けるための取付口45と、アダプタ44をスライド移動させて案内するガイド46と、アダプタ44を固定する固定手段としての固定部47と、アダプタ44の取付けを検出する検出センサとしての検出センサ48とが設けられている。アダプタ44には、試料体5の周囲を保持する保持部材44aと、保持部材44aに保持された試料体5を固定する固定部材44bとが設けられている。保持部材44aはコの字型の形状を有し、内周面には試料体5を案内する溝44cが設けられている。試料体5は、保持部材44aの開口44dから挿入され、溝44cに案内されて周囲を保持される。また、保持部材44aの外周面の上面及び下面にはそれぞれ凸部44eが設けられ、ガイド46の溝46aに案内される。固定部材44bは、保持部材44aの開口44d側に取り付けられて試料体5を固定する。固定部材44bは、遮蔽体33と同様の材料で構成される。アダプタ44は、試料体5のサイズに応じて適宜設計変更してよい。
取付口45は、遮蔽体33の外周側に設けられる。このため、取付口45を介して試料体5を試料体設置部31に取り付けることができる。取付口45には、開閉扉45aが設けられている。開閉扉45aは両開き扉で、各扉は閉じる向きにばね等で付勢されている。アダプタ44を取付口45に差し込むと開閉扉45aは奥側に向けて押し込まれるようにして開き、アダプタ44を取り出すと開閉扉45aは付勢力により閉じられる。ガイド46には、アダプタ44の凸部44eと嵌り合って案内する溝46aが設けられている。固定部47は、アダプタ44側に設けられた受け部(不図示)と噛み合ってアダプタ44を固定する。アダプタ44が固定されると、試料体5は、放射線を測定する測定位置に位置する。固定部47として、例えば、押す毎にロックと解除を繰り返すプッシュ式のラッチ機構等の公知の構成を利用してよい。検出センサ48は、固定部47へのアダプタ44の接触を検出する。検出センサ48は、接触センサや光電センサ等周知の各種センサを利用してよい。検出センサ48は、固定部47に設けられていなくてもよく、例えば、適宜の位置へのアダプタ44の進入を検出する構成としてもよい。
乾燥剤取付部42は、試料体取付部41の下方に設けられ、乾燥剤49を出し入れするためのケース42aが設けられている。乾燥剤49として、例えば、シリカゲル、ゼオライト等の吸湿剤が用いられる。また、乾燥剤取付部42と試料体取付部41との間の仕切りには、通気孔42bが設けられている。これにより、試料体5が設置された試料体設置部31の内部空間を乾燥させ、試料体5の乾燥を促進させている。また、乾燥剤取付部42には、閉じる方向にばね等で付勢されている開閉扉42cが設けられている。開閉扉42c及びケース42aの操作面42dは、遮蔽体33と同様の材料で構成してもよい。開閉部43には、開閉駆動機構(不図示)を有する開閉扉43aが設けられている。開閉扉43aは、光電子増倍管32に対向して設けられ、放射線を測定するときに開き、測定していないときには閉じるように制御される。開閉部43は、周知のシャッター機構を利用してよい。
光電子増倍管32は、放射線を測定する周知の光電子増倍管を利用してよい。本形態の光電子増倍管32として、例えば、ベータ線測定用サーベイメータに使用される1/2インチ径の小型の光電子増倍管を利用してよい。各光電子増倍管32は、対向して設置され、同時計数方式が採用されている。また、試料体設置部31の開閉扉45a、43aは常時付勢されているので、光電子増倍管32に対して遮蔽状態を保つことが可能である。遮蔽体33は、光電子増倍管32への自然放射線の影響を排除するため、金属、例えば鉛で形成される。あるいは、遮蔽体33として外側から鉛、鉄、アクリル等の順番で層状にした壁で囲ってもよい。これにより、鉛で外部からの自然放射線を防ぎながら、鉄、アクリルで鉛の含有放射線による影響を排除することができる。これらは一例であり、遮蔽体33に用いる材料や、壁の層の構成は適宜変更してよい。また、アダプタ44の固定部材44b、開閉扉42c及びケース42aの操作面42dについて遮蔽体33と同様の材料で構成されるとして説明したが、互いに異なる構成であってもよい。
試料体設置部31と光電子増倍管32とを遮蔽体33で覆うという簡易な構成とすること、及びデータ処理をPC34で実行させるようにすることで、シンチレーション検出器30の小型化が可能となる。また、試料体設置部31の取付口45が遮蔽体33に設けられているので、シンチレーション検出器30に試料体5を容易に設置することができる。試料体設置部31は、シンチレーション検出器30の内部で測定対象の試料体5を隔離するように構成されているため、試料体5からの試料遺漏の影響を他の構成部材に及ぼさない。なお、シンチレーション検出器30の重量は9[kg]以下が好ましく、寸法は幅1[m]以下が好ましい。シンチレーション検出器30に用いる光電子増倍管32の種類や、遮蔽体33の構成は、小型化を考慮して決定してよい。
シンチレーション検出器30は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと省略する。)34と接続される。PC34は、周知のコンピュータ機器を利用してよい。図15は、シンチレーション検出器30の制御系の構成を示す機能ブロック図である。PC34は、試料体設置部31及び光電子増倍管32の動作を制御するためのプログラムを実行することにより、PC34のコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)とソフトウエアとの組合せによって実現される設置部制御部51、PMT制御部52及びデータ処理部53が論理的装置として設けられる。設置部制御部51は、試料体設置部31の検出センサ48の検出結果に基づいて開閉部43の開閉動作を制御する。PMT制御部52は、光電子増倍管32の動作を制御する。データ処理部53は、光電子増倍管32から得られるデータを処理する。PC34には、記憶装置54が設けられ、データ処理部53で処理された測定データ55を記憶する。記憶装置54は、ハードディスクアレイ等の記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。
図16は、PC34の各制御部51、52及びデータ処理部53が実行する測定実行処理を示すフローチャートである。図16のフローチャートに沿って、シンチレーション検出器30の動作を説明する。試料体制御部51は、検出センサ48からの検出信号があるか否かを判別する(ステップS1)。試料体5に取り付けられたアダプタ44が試料体設置部31の取付口45に差し込まれると、アダプタ44の受け部が固定部47と噛み合って固定される。固定部47にアダプタ44が固定されると、検出センサ48による検出信号が試料体制御部51に送信される。検出信号を受信すると、試料体制御部51は、開閉部43の開閉扉43aを開くように開閉駆動機構の動作を制御する(ステップS2)。一方、検出信号が受信されない場合、試料体制御部51は、開閉部43の開閉動作を禁止し(ステップS3)、ステップS1に戻る。
ステップS2で開閉扉43aが開かれると、測定者によるPC34の操作に応じて、PMT制御部52は、光電子増倍管32を動作させ、放射線を測定する(ステップS4)。放射線測定後、データ処理部53は、得られた測定結果に基づいて測定データ55を生成し(ステップS5)、今回の処理を終了する。ステップS4及びステップS5の処理は、周知技術を利用してよく、詳細な説明は省略する。アダプタ44を試料体設置部31から取り外すと、取付口45の開閉扉45aが閉じるので遮蔽状態が維持される。なお、設置部制御部51が実行するステップS1〜S3の処理が動作制御手段として機能する。
上述した形態では、試料体設置部31を遮蔽体33に固定された形態で説明したが、これに限られない。例えば、試料体設置部31を遮蔽体33に対して着脱可能に構成してもよい。この場合において、試料体設置部31に設けられている開閉扉45aを遮蔽体33に設け、遮蔽状態を維持するようにしてもよい。また、上述した形態では、2つの光電子増倍管32を試料体設置部31の両側に対向するようにして設けられているが、これに限られない。試料体設置部31の片側に1つの光電子増倍管32を設けてもよいし、あるいは、径の異なる複数の光電子増倍管を組み合わせて構成するようにしてもよい。また、上述したシンチレーション検出器30が、高圧電源又は電圧高圧化装置を備えていてもよい。
上述した形態では、シンチレーション検出器30の測定対象として、ダブルPS1Dで説明したがこれに限られない。測定対象として、シングルPS1Sでもよい。また、様々なサイズのPS1が測定可能である。測定対象のPS1に応じたアダプタ44を用いればよい。また、アダプタ44はなくてもよい。取付口45に対して出入りする支持体を設け、この支持体に対し試料体5を直接取り付けるようにしてもよい。支持体は、試料体5の縁部を支持するようにすればよい。また、支持体をガラスバイアル21に利用されているガラスやプラスチックシンチレータと同様の材質等の測定に影響しない材料で形成すればトレイ形状も可能である。
上述した形態では、シンチレーション検出器30に乾燥剤を使用している。以下、乾燥剤の効果について説明する。図20は、乾燥剤の有無で比較したプラスチックシンチレータの測定効率を示すグラフである。図20のグラフは、試料3が滴下されたPS1をガラスバイアル21にセットし、液体シンチレーション検出器20に装着して放射線を測定した結果である。乾燥剤としてシリカゲルビーズ49a(和光純薬工業株式会社製、シリカゲル、大粒状(白色))を15粒、ガラスバイアル21の底部に設置した。図21は、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21の斜視図を示す。
図20のグラフ中、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21でプラズマ処理したダブルPS1Dを測定した結果を線L11に、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21でプラズマ処理したシングルPS1Sを測定した結果を線L12に、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21でプラズマ未処理のダブル未処理PS2Dを測定した結果を線L13に、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21でプラズマ未処理のシングル未処理PS2を測定した結果を線L14にそれぞれ示している。図20のグラフの横軸は経過時間[h]、縦軸は測定効率[%]である。また、図20のグラフ中、比較例としてシリカゲルビーズ49aを設置していないガラスバイアル21で測定した結果を線L15〜18に示す。線L15はプラズマ処理したダブルPS1Dの測定結果、線L16はプラズマ処理したシングルPS1Sの測定結果、線L17はプラズマ未処理のダブル未処理PS2Dの測定結果、線L18はプラズマ未処理のシングル未処理PS2の測定結果をそれぞれ示している。この測定に用いたプラスチックシンチレータには、アルゴンガスを用いて1分間DBDプラズマ処理した。また、試料3として、33Bq−5μLのトリチウム水をそれぞれ同量滴下した。各プラスチックシンチレータは、試料3を滴下した1時間後から時間間隔をおいて複数回、1回2分間の測定を34時間後まで行った。
測定結果から、シリカゲルビーズ49aを設置していないプラスチックシンチレータは安定した測定効率が得られるまで6時間程度を要しているが、シリカゲルビーズ49aを設置したプラスチックシンチレータは、測定を開始した直後、シリカゲルビーズ49aを設置したガラスバイアル21でプラズマ処理したダブルPS1D(線L11)やシングルPS1S(線L12)であれば1時間後から安定した測定効率が得られていることがわかる。また、シリカゲルビーズ49aの有無で比較すると、若干ではあるが、シリカゲルビーズ49aを設置した結果の方がより高い効率が得られた。図20の実験では、実験の都合上1〜2時間後から計測が開始されているため、一定となる測定効率は1〜2時間後の結果からしか得られていないが、実際には1時間以内でも安定した測定効率が得られることが十分に想定できる。なお、図20の実験において1試料の測定は、2分間で十分な感度を有している。また、シンチレーション検出器30に乾燥剤49を設置した場合でも、測定開始後に一定の測定効率を得るまでに要する時間は数分から数十分で可能であり、従来より大幅な短縮が類推できる。
また、シンチレーション検出器30は、上述した形態に限られない。例えば、試料体設置部31を試料循環型の構成としてもよい。図22は、変形例に係るシンチレーション検出器30Aの要部を示す概念図であり、シンチレーション検出器30Aの試料体設置部31Aが示されている。なお、シンチレーション検出器30Aにおいて、試料体設置部31A以外の構成は上述したシンチレーション検出器30と同様の構成としてよい。試料体設置部31Aには、少なくとも1つのプラスチックシンチレータ1C(図22では、3つのPS1Cが示されている。)を設置可能な設置部61と、試料3が入った試料容器62と、試料容器62内の試料3を設置部61に送るポンプ63と、設置部61から排出された試料を貯留する廃液容器64とが設けられている。設置部61には、少なくとも1つのPS1Cが設置され、ポンプ63で送られてきた試料3がPS1Cに供給される。PS1Cの測定面には、細い溝が設けられており、この細い溝に試料3が供給される。設置部61に複数のPS1Cが設置されている場合、各PS1Cは連結され、試料3が各PS1Cを流れる。廃液容器64の代わりに、試料容器62に戻す構成としてもよい。このような試料循環型の試料体設置部31Aの構成は、周知技術を利用してよい。また、使用するPS1Cの形状は、筒型としてもよい。
また、上述した第1の手順において、未処理PS2に対して測定面2bにプラズマを照射する際に、未処理PS2を測定面2bと平行な方向に一定速度で往復揺動させてもよい。この場合において、プラズマ照射装置10は、揺動する測定面2bに対してプラズマを照射する。未処理PS2を揺動させる装置として、振とう装置60が設けられている。図17は、第1の手順において、揺動している未処理PS2にプラズマを照射することを説明する図である。振とう装置60として、周知の各種振とう式恒温水槽や、各種振とう器等の振とう装置を利用してよい。振とう装置60が、未処理PS2を一定速度で往復揺動させ、プラズマ照射装置10が一定距離からプラズマを照射する。これにより、振とう装置60を設けない場合に比べて未処理PS2に対して広範囲でプラズマを照射できる。

Claims (7)

  1. 放射性物質を含んだ被測定物としての液体試料の放射線を受けて蛍光物質から発せられる蛍光を検出するシンチレーション検出器に用いられるプラスチックシンチレータであって、
    前記蛍光物質が混ぜられ、かつ親水性を高める表面処理がされた測定面を備えたプラスチックシンチレータ。
  2. 前記シンチレーション検出器で測定の対象となる液体試料をそれぞれの測定面で挟み込むために2枚の前記プラスチックシンチレータを1組とする請求項1に記載のプラスチックシンチレータ。
  3. 放射性物質を含んだ被測定物としての液体試料の放射線を受けて蛍光物質から発せられる蛍光を検出するシンチレーション検出器に用いられるシンチレーション測定用試料体であって、
    前記蛍光物質が混ぜられた少なくとも1枚のプラスチックシンチレータを含み、前記プラスチックシンチレータの測定面に親水性を高める表面処理がされ、前記測定面に沿って前記被測定物による液膜が形成されているシンチレーション測定用試料体。
  4. 前記測定面を有する2枚のプラスチックシンチレータが、それぞれの測定面間に前記被測定物が挟み込まれるようにして重ね合わされている請求項3に記載のシンチレーション測定用試料体。
  5. 前記被測定物がトリチウム水である請求項3又は4に記載のシンチレーション測定用試料体。
  6. 放射性物質を含んだ被測定物としての液体試料の放射線を受けて蛍光物質から発せられる蛍光を検出するシンチレーション検出器に用いられるプラスチックシンチレータの作製方法であって、
    前記蛍光物質が混ぜられたプラスチックシンチレータの測定面にプラズマを照射してその表面を改質するプラズマ処理工程を備えたプラスチックシンチレータの作製方法。
  7. 前記プラスチックシンチレータを前記測定面と平行な方向に一定速度で往復揺動させる揺動工程をさらに備え、
    前記プラズマ処理工程では、揺動する測定面に対してプラズマを照射する請求項6に記載のプラスチックシンチレータの作製方法。
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