JP6384683B2 - 切削インサートおよび切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、コーナ部を含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材が固着された切削インサート、およびその切削インサートを備える切削工具に関する。
従来、切れ刃部分をいわゆる超高圧焼結体で形成した切削工具が知られている。従来の超高圧焼結体を備える切削工具には、特許文献1に示すものがある。特許文献1の切削工具では、ダイヤモンドおよび立方晶窒化硼素の少なくとも一方を含有する超高圧焼結体で、切れ刃部材が形成されている。切れ刃部材の一方の端面(上面)にはすくい面が形成されている。切れ刃部材の周側面には逃げ面が形成されている。すくい面と逃げ面との交差稜線部に、円弧状のコーナ切れ刃を有する切れ刃が形成されている。
特開2007−260848号公報
超高圧焼結体製の切れ刃部材が取り付けられるベース部材は例えば超硬合金から作製される。一般に、超硬合金に比べて超高圧焼結体は靱性が低い。したがって、超高圧焼結体を切れ刃の材料に用いた切削インサートを用いて切削加工を行う場合、切削インサートと被加工物との間に切りくずが挟まることなどにより、切削インサートの切れ刃周辺にチッピングや欠損が発生する場合がある。このようなチッピングや欠損は、工具寿命を短くする。
本発明の目的は、超高圧焼結体を切れ刃の材料に用いた切削工具において、切れ刃周辺のチッピングや欠損を抑制ないしは防止することにある。
本発明の一態様によれば、対向する2つの端面と、端面間に延在する周側面と、を有し、2つの端面のうちの略多角形の第1の端面のすくい面と周側面の逃げ面との交差稜線部に切れ刃を備える切削インサートであって、切削インサートは、基部と、基部につながる先端ノーズ部とを含む。先端ノーズ部に、切れ刃部材が設けられる。切れ刃部材は、立方晶窒化ほう素およびダイヤモンドの少なくとも一方を含む。第1の端面に対向する方向から切削インサートをみたとき、先端ノーズ部において定められる第1のコーナ部は第1のコーナ内角αを有し、第1の端面に対向する方向から切削インサートをみたとき、第1のコーナ部以外の第1の端面の全コーナ部のうちで基部の輪郭に沿って定められる最大コーナ内角が最小である第2のコーナ部は、第2のコーナ内角βを有し、第1のコーナ内角αは第2のコーナ内角βよりも小さい。交差稜線部はホーニングが付されている。第1の端面に対向する方向から切削インサートをみて、基部の輪郭に沿って切削インサートの略多角形の仮想輪郭形状を定めるとき、先端ノーズ部は、仮想輪郭形状よりも内側に配置される。先端ノーズ部におけるホーニングの幅は、基部におけるホーニングの幅よりも小さく、切れ刃部材における切れ刃に付されるホーニングの幅は、切れ刃部材における切れ刃の全体に亘って一定である。

本発明の切削工具は、本発明の切削インサートを備える切削工具である。
上記構成を有する本発明の一態様によれば、超高圧焼結体を切れ刃の材料に用いた切削工具において、切れ刃周辺のチッピングや欠損を抑制ないしは防止することができる。
図1は実施形態における切削インサートの斜視図である。 図2は図1の切削インサートの平面図である。 図3は図1の切削インサートの正面図である。 図4は図1の切削インサートの右側面図である。 図5は図1の切削インサートを装着した切削工具の斜視図である。 図6は図1の切削インサートの部分拡大平面図である。 図7は図5の切削工具と被加工物との隙間の説明図である。 図8は第1参考例における切削インサートの斜視図である。 図9は図8の切削インサートの平面図である。 図10は図8の切削インサートの正面図である。 図11は図8の切削インサートの右側面図である。 図12は第2参考例における切削インサートの斜視図である。 図13は図12の切削インサートの平面図である。 図14は図12の切削インサートの正面図である。 図15は図12の切削インサートの左側面図である。 図16は図12の切削インサートを装着した切削工具の斜視図である。 図17は第3参考例における切削インサートの斜視図である。 図18は図17の切削インサートの平面図である。 図19は図17の切削インサートの正面図である。 図20は図17の切削インサートの右側面図である。 図21は図17の切削インサートを装着した切削工具の斜視図である。 図22は図21の切削工具と被加工物との隙間の説明図である。 図23は第4参考例における切削インサートの斜視図である。 図24は図23の切削インサートの平面図である。 図25は図23の切削インサートの正面図である。 図26は図23の切削インサートの右側面図である。 図27は第5参考例における切削インサートの斜視図である。 図28は図27の切削インサートの平面図である。 図29は図27の切削インサートの正面図である。 図30は図27の切削インサートの右側面図である。
本発明を適用した切削インサートの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1から図4に示すように、実施形態における切削インサート1は、2つの対向する端面5、6と、これらの端面の間をつなぐ周側面7とを備える。なお、図1において表されている一方の端面5を上面と称し、他方の端面6を下面と称することがある。なお、上面など空間内の向きや位置関係を示す表現を本明細書において用いているが、これは便宜上のものであって、空間内の絶対的な向きや位置関係を規定することを企図したものではない。
この実施形態における切削インサート1は、略菱形板状を基本形状とするように、外郭形状(輪郭形状)が形成されている。したがって、第1の端面5は、略菱形形状を有し、4つのコーナ部2を有する。切削インサート1は、第1の端面5の4つのコーナ部2のうち、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が、超硬合金などを材料とするベースチップ13に固着されている。この実施形態における切削インサート1の超高圧焼結体は、立方晶窒化ほう素を含有する焼結体とされている。この実施形態における切削インサート1は、第2のコーナ部2bを含む領域にも、切れ刃部材3が固着されている。なお、残りの2つのコーナ部2c1、2c2には、切れ刃部材3が配置されていない。
ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10にそれぞれがつながる2つの先端ノーズ部11とを有する。各先端ノーズ部11には、切れ刃部材3が固着されるように構成されている。2つの先端ノーズ部11の各々に切れ刃部材3が固着されることで、第1および第2のコーナ部2a、2bが形成されている。なお、第2のコーナ部2bは、第1のコーナ部2aの対角に位置する。
切れ刃部材3は、略板状の部材であり、2つの対向する端面と、これらの間に延在する周側面とを有する。切れ刃部材3は、2つの端面のうちの一方の端面3aと、周側面3bとが露出するように、ベースチップ13に配置される。切れ刃部材3のこの一方の端面3aを上面と称し得る。切れ刃部材3の露出する一方の端面3aおよび周側面3bの一部は、切削インサート1の表面の一部を形成している。すなわち、切れ刃部材3の端面(上面)3aは、切削インサート1の第1の端面(上面)5の一部を形成し、切れ刃部材3の周側面3bは、切削インサート1の周側面7の一部を形成している。1つの切れ刃部材3に関して、1つの切れ刃4が形成されている。逃げ面は、周側面7に形成され、すくい面は、第1の端面5に形成されている。したがって、切れ刃部材3の上面3aはすくい面になり、周側面3bは逃げ面となる。切れ刃4は、すくい面と逃げ面との交差稜線部に形成されている。この実施形態における切削インサート1は、右勝手での使用と左勝手での使用とのどちらにも対応できるように、第1の端面5に対向する方向からみた図2において(切削インサート1の平面視において)、第1のコーナ部2aの2等分線Dに対して線対称な形状とされている。なお、第1のコーナ部2aの2等分線Dとは、平面視において、第1のコーナ部2aの外郭形状を2等分する仮想直線のことを意味する。切削インサート1の平面視において、第1のコーナ部2aの2等分線Dは、第2のコーナ部2bの2等分線でもある。
切削インサート1は、2つの端面5、6のそれぞれの中央を貫通する穴12を備えている。穴12の中心軸線は、2等分線Dと交差する。図5に示すように、この実施形態における切削工具20では、切削インサート1がホルダ21に着脱自在に装着されている。切削工具20は、旋盤加工用のバイトである。切削インサート1は、ホルダ21に形成された凹状のチップ座に載置され、固定部材(押さえ部材)22が切削インサート1の上面5および穴12の内面に当接することで、ホルダ21に固定される。しかし、これに限定されない。ホルダなどの工具ボデーは、既知の様々な従来技術の形状が適用できる。
前述のとおり、この実施形態における切削インサート1は、略菱形板状を基本形状とするように、外郭形状が形成されている。第1端面(上面)5の略菱形の仮想輪郭形状(基本形状)Sは、図2の平面視において定められる。第2の端面(下面)6に関しても、第1の端面5と同様に、第2の端面6に対向する方向から切削インサート1をみて、略菱形の仮想輪郭形状を定められる。ただし、切削インサート1の仮想輪郭形状Sの輪郭線は、切削インサートの基部10の輪郭に沿って定められる。この仮想輪郭形状Sは、その輪郭線から切削インサート1がはみ出さないように定められ、かつ、第1の端面のコーナ部2の数に一致する数のコーナ部を有する。第1の端面5の略菱形の仮想輪郭形状Sにおいて、鋭角側の頂角は約80°とされ、鈍角側の頂角は約100°とされている。先端ノーズ部11に関する第1のコーナ部2aは、略菱形の仮想輪郭形状Sの鋭角側の頂角に対応する。第2のコーナ部2bも、略菱形の仮想輪郭形状Sの鋭角側の頂角に対応し、第1のコーナ部2aと同じコーナ内角を有する。また、基部10に関する2つのコーナ部2c1、2c2は、略菱形の仮想輪郭形状Sの鈍角側の頂角に対応し、互いに同じコーナ内角を有する。
切削インサート1の第2の端面6は、第1の端面5と対向する平坦面とされている。第2の端面6は、切削インサート1が切削工具20に装着されるときの着座面とされる。この実施形態における切削インサート1は、第2の端面6側に切れ刃部材3が配置されていない。第2のコーナ部2bは、第1の端面5および第2の端面6を通過するように定められる軸線Cに対して、第1のコーナ部2aと180°回転対称な形状に形成されている。別の表現をすると、第1の端面5の中央をとおり第1の端面5と直交する軸線Cに対して、第1のコーナ部2aと180°回転対称な形状に形成されている。この実施形態における切削インサート1は、穴12の中心軸線に軸線Cが一致している。この切削インサート1は、第1のコーナ部2aを使用することによって第1のコーナ部2aの周辺に摩耗などが生じた場合、切削インサート1の向きを変えて第2のコーナ部2bを第1のコーナ部2aと入れ替えることで、少なくとも2回の使用ができる。以降は説明を簡略にするため、第1のコーナ部2aに関して説明し、特に必要な場合を除いて、第2のコーナ部2bについての説明は省略する。
図2に示すように、平面視において、第1のコーナ部2aの頂角を刃先角αと定めると、第1のコーナ部2aの刃先角αは、約70°とされている。なお、第1のコーナ部2aの頂角とは、第1のコーナ部2aの両側に延びる直線状の2つの切れ刃部分のなす角αのことである。
ここで、切れ刃部材3についてさらに説明する。切れ刃部材3に関して、図2の切削インサート1の平面視において、その端面3aの縁部(端面3aと周側面3bとの交差稜線部)に沿って切れ刃4が延在する。切れ刃4は、切れ刃部材3に定められるコーナ(コーナ切れ刃)4aと、このコーナ4aの両側に延びる切れ刃部分4b、4cとを有する。切れ刃部分4b、4cは、図2において、直線状である。また、切れ刃部分4b、4cは、図2において、端面3aの縁部に延在し、切れ刃部材3を超えた領域のコーナ先端部1dにおける第1の端面5の縁部に直線状に滑らかにつながる。図2において、これら2つの切れ刃部分4b、4cのなす角が、第1のコーナ部2aのコーナ内角であり、前述の刃先角αである。刃先角αは、第1のコーナ内角とも呼称される。
前述のとおり、図2において、第1の端面(上面)5の略菱形の仮想輪郭形状(基本形状)Sが定められる。仮想輪郭形状Sにおける、第2のコーナ部2bに対応する鋭角の仮想コーナ部の仮想頂角(コーナ内角)を、ここで角度βとし、第1のコーナ部2aに対応する仮想頂角を角度β2とする。角度βは、第2のコーナ内角βとも呼称され、角度β2は、第3のコーナ内角β2とも呼称される。仮想輪郭形状Sの、第1のコーナ部2aにおける角度β2は、第2のコーナ部2bにおける角度βと同じ角度である。第2のコーナ内角βおよび第3のコーナ内角β2は、いずれも約80°とされている。すなわち、刃先角αは第2および第3のコーナ内角β、β2よりも小さく、第2および第3のコーナ内角β、β2と刃先角αとの差は、約10°とされている。したがって、図2および図6から明らかなように、切削インサート1は、第1および第2のコーナ部2a、2bのそれぞれにおいて、仮想輪郭形状Sよりも、幅狭になるように形成されている。ベースチップ13の基部10は、図2において仮想輪郭形状Sに一致する輪郭形状を有する。基部10には、2つの鈍角の頂角に対応する2つのコーナ部2c1、2c2がある。これら2つのコーナ部2c1、2c2のそれぞれから第1のコーナ部2aに向けて延在する2つの辺部9は直線状であり、ここでは直線部9と呼称する。図2において第1のコーナ部2aに向けての2つの直線部9がなす角が第3のコーナ内角β2であり、第2のコーナ部2bに向けての2つの直線部がなす角が第2のコーナ内角βである。このように、ベースチップ13の基部10は、切れ刃4を形成する切れ刃部材3を含む先端ノーズ部11よりも幅広の角度を有するように形成されている。
基部10は、チップ座の側壁面と当接する周側面7の当接面7aを定める。すなわち平面視において、各々の直線部9は、輪郭形状の中で最も外方に配置されている。各々の直線部9を延長する仮想直線は、輪郭形状と交差せずに接する。当接面7aは、第2のコーナ部2bに関してコーナ部を挟むようにして2つ設けられている。したがって、当接面7aは、第1のコーナ部2aに関してコーナ部を挟むようにして2つ設けられている。当接面7aは、凹部(凹領域)8と接続している。凹部8は、第1の端面5から第2の端面6にまで延在し、第1の端面5から第2の端面6の間でその周方向の幅は変化しない。図2において、凹部8は、第1のコーナ部2aとこの第1のコーナ部2aの隣りに位置する一方の鈍角のコーナ部2c1との間の周側面7の部分に形成され、特に、切れ刃部材3における周側面3bを含むように第1のコーナ部2a寄りに設けられている。同様に、第1のコーナ部2aとこの第1のコーナ部2aの隣りに位置する他方の鈍角のコーナ部2c2との間の周側面7の部分にも、凹部8が形成されている。凹部8は、第1のコーナ部2aに対応する周側面と、この第1のコーナ部2aに最も近い当接面7aとをつなぐ凹状側面でもある。なお、先端ノーズ部11を除いて、周側面7のうち、チップ座の側壁面と当接しない部分の形状(つまり凹部8から先端ノーズ部11の周側面を除いた部分の形状)は、どのような形状とされても構わない。逆に言えば、周側面7には、チップ座の側壁面と当接させない部分を凹部8として設けることができ、その凹部8にも切れ刃4などを形成することができる。この実施形態における切削インサート1は、コーナ切れ刃4aの両側に切れ刃部分4b、4cがつながるので、第1のコーナ部2aに関して2つの凹部8が設けられる。切削インサート1は、チップ座の側壁面と当接しない部分にも切れ刃4などが形成されるように、第2のコーナ部2bの周辺にも、凹部8が形成され、刃先角αが約70°の切れ刃4を備えている。すなわち凹部8は、第1および第2のコーナ部2a、2bの両側に形成され、合計4つ形成されている。
次に、本実施形態の切削インサートおよび切削工具の作用および効果について説明する。ここでは、第1のコーナ部2aの切れ刃4が作用切れ刃となるようにホルダ21のチップ座に切削インサート1が装着された場合について説明する。この場合、第2の端面つまり下面6がチップ座の底面と当接するように載置される。そして、図2において2つの鈍角のコーナ部2c1、2c2よりも第2のコーナ部2b寄りの2つの当接面7aが、それぞれ、対応するチップ座の側壁面に当接させられる。チップ座の側壁面は、底面と略直角に交差するように延在する。そして、その状態で固定部材22により、切削インサート1は固定される。このようにホルダ21に切削インサート1が固定されたバイトは、回転する被加工物30に対して進められて、被加工物30の切削加工に用いられる。
この実施形態における切削インサート1は、仮想頂角βが約80°に形成されているため、JIS B 4121やISO3364で規格化されている鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができる。第2のコーナ内角βは、基部10の輪郭形状に沿って定められる全コーナ2の最大コーナ内角のうち、最少のコーナ内角である。ただし、前述のとおり、第3のコーナ内角β2も、第2のコーナ内角βと同じ角度であり、基部10の輪郭形状に沿って定められる全コーナ2の最大コーナ内角のうち、最少のコーナ内角である。そして、コーナ部2c1、2c2は鈍角であり、それぞれ鈍角の最大コーナ内角を有する。したがって、第1のコーナ部2aの切れ刃4が作用切れ刃とされるとき、第1のコーナ部以外の3つのコーナ部2b、2c1、2c2の最大コーナ内角は全て第1のコーナ部2aの第1のコーナ内角αよりも大きい。よって、ホルダ21で用いられる通常の切削インサートと比して、切れ刃4の第1のコーナ4aの先端ノーズ部11が幅狭な切削インサート1を使用することができる。この実施形態で例示した切削工具20のホルダ21は、従来から多く用いられているホルダの一例である。刃先角が80°の切削インサートを用いる旋盤用のバイトは、外径加工と端面加工との両方を高能率に切削加工することができるため、多く用いられている。この実施形態の切削インサート1は、多く用いられているホルダ21に装着することで、刃先角が80°の略菱形板状の切削インサートと同様に、外径加工と端面加工との両方を高能率に切削加工することができる。切削インサート1は、切削インサートだけを交換することで、多く用いられているホルダ21が利用できる。また、従来の切削工具で用いられた加工プログラムなども、そのまま利用できる。ホルダ21に対する第1および第2のコーナ部2a、2bの位置は、鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートのコーナ部の位置と、ほぼ同じ位置にされることが好ましい。このように第1および第2のコーナ部2a、2bの位置が設定されると、多く用いられているホルダ21に切削インサート1を装着するときに、第1および第2のコーナ部2a、2bおよびその周辺の切れ刃4が、ホルダ21の外側に大きく突き出されて固定が不安定になることや、小さすぎてホルダ21から切れ刃4が突出しないことが防止される。ただし、切削インサートは、第1のコーナ部2aの位置を、鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートのコーナ部の位置と合わせなくても構わない。すなわち、従来から多く用いられているホルダに限定しない場合などは、切削インサート単体での第1のコーナ部2aの位置は、どのような位置とされても構わない。その場合は、切削インサートの形状に合わせたホルダが用いられることが好ましい。
前述のとおり、先端ノーズ部11において定められる第1のコーナ部2aの刃先角(第1のコーナ内角)αは第1のコーナ部2a以外で最小の第2のコーナ2bの最大コーナ内角βよりも小さい。それゆえ、先端ノーズ部11の切れ刃部材3における第1のコーナ部2aの周辺は、このホルダ21に取り付けられる通常の切削インサートの大きさに比して幅狭のコーナ内角に形成されている。したがって、切削インサート1によれば、被加工物30と切れ刃4周辺との隙間を大きくできる。そのため、切れ刃周辺に切りくずが挟まることを防止し、チッピングや欠損の発生を抑制することができ、切削インサートの工具寿命を延長することができる。
前述のとおり、この実施形態における切削インサート1は、第1のコーナ部2aの刃先角(第1のコーナ内角)αが約70°とされている。また第2のコーナ部2bの仮想頂角(第2のコーナ内角)βは約80°とされている。すなわち図6に示すように、鋭角側が仮想頂角βの菱形の仮想輪郭形状Sの辺(仮想線)に対して、刃先角αは、片側の角度γ((β−α)/2)だけ小さくされている。ここでは、この角度を第4の角度γと呼ぶ。この実施形態の切削インサートでは、仮想頂角βが約80°とされ、第4の角度γが約5°とされ、第1のコーナ部2aの両側で約10°小さくされている。このため、図7の説明図に示すように、フランジ形状などを有する被加工物30を切削加工するときなどに、切れ刃4として切削加工に関与しない切れ刃4周辺の部分(例えば凹部8)は、鋭角側の刃先角が80°の菱形の仮想輪郭形状Sの辺と比較して、被加工物30から離れて配置されるようになる。すなわち、切削インサート1の周側面7に凹部8が形成されていて、なおかつ立方晶窒化ほう素を切れ刃部材3とする切削工具20は、一般に切削条件の切込みが小さいので、図7に示すE部およびF部で、くぼんだ領域つまり凹部8によって被加工物30と切削インサート1との隙間が大きくされる。
本発明者の実験によって、超高圧焼結体を切れ刃の材料に用いた切削インサートについて、切れ刃周辺がチッピングまたは欠損する原因の1つが、切りくずが切削インサートと被加工物30との間に挟まることであることが解明された。チッピングや欠損は、超硬合金のベースチップの部分よりも超高圧焼結体の切れ刃部材3の部分で発生しやすい。超高圧焼結体は、超硬合金などと比較して靱性が低く、チッピングや欠損が発生しやすいため、超硬合金などを基本として規格化された外郭形状(輪郭形状)では、超高圧焼結体で問題が発生する場合があることが解明された。したがって、超高圧焼結体の切れ刃部材と、被加工物30との隙間を大きくすることが好ましい。具体的には、平面視において、ベースチップ13である超硬合金の部分と、切れ刃部材3との、境界部付近の被加工物30との隙間を大きくすることが好ましい。菱形の仮想輪郭形状Sの辺(仮想線)に対して、超硬合金の部分と切れ刃部材3との境界部付近の隙間は、0.03mm以上、なおかつ0.60mm以下の範囲が好ましい。本実施形態の切削インサートは、被加工物30と切れ刃4周辺の切削に関与しない部分との隙間(E部またはF部)が大きくなるため、切りくずなどが挟み込まれることが防止される。したがって、切削インサート1の切れ刃4周辺でのチッピングや欠損の発生をさらに抑制し、工具寿命を延長できる。
一方で、切削加工に関与する切れ刃4の部分は、従来の80°の刃先角を有する略菱形の切削インサートの切れ刃と比較して、ほとんど輪郭形状を変えないことが好ましい。切削に関与しない部分の隙間を大きくすることと、切削に関与する切れ刃4の輪郭形状を変えないことの相反する要求を満たすため、第4の角度γは、1°以上、なおかつ9°以下の範囲が好ましい。すなわち、この実施形態のように第1のコーナ部2aの両側に凹部8を設ける場合、仮想頂角βと刃先角αとの差は、2°以上、なおかつ18°以下の範囲が好ましい。別の表現をすると、頂角が80°の菱形の仮想輪郭形状Sのとき、刃先角αは、62°以上、なおかつ78°以下の範囲とされることが好ましい。ただし凹部8は、必ずしも第1および第2のコーナ部2a、2bの両側に設けられなくても構わない。また両側に凹部8が設けられる場合でも、鏡面対称な形状に限定されない。したがって、片側だけに凹部8が設けられる場合などを含めて、仮想頂角βと刃先角αとの差は、1°以上、なおかつ18°以下の範囲が好ましい。第4の角度γが1°未満のときは、頂角が80°の菱形の仮想輪郭形状Sの辺に対して、隙間がほとんど増えないため、切りくずの挟み込みなどを抑制もしくは防止する効果が得られない。一方、第4の角度γが9°を超えると、被加工物30の仕上げ面のあらさが低下するなどの不具合が生じる場合がある。この場合、仕上げ面のあらさを保つには、切削条件のうち、送りなどを下げる必要性が生じる。なお、仮想頂角βが約80°とは、79°以上、なおかつ81°以下の範囲が好ましい。第4の角度γは、3°以上、なおかつ7°以下の範囲がさらに好ましい。すなわち、仮想頂角βと刃先角αとの差は、3°以上、なおかつ14°以下の範囲がさらに好ましい。切削インサート1は、これらの角度に形成されると、チッピングや欠損の発生が抑制され、工具寿命が延長される効果が増大される。
この実施形態における切削インサート1は、切れ刃4にホーニングが付されている。すなわち、切れ刃4はホーニングを有する。ホーニングは、第1のコーナ部2aのコーナ切れ刃4aから刃先角αの切れ刃部分4b、4cに沿って設けられている。したがって、コーナ切れ刃4aおよび切れ刃部分4b、4cは、ホーニングの幅および形状が一定とされている。図1から図4に示すように、この実施形態における切削インサート1は、切れ刃部分4b、4cと平行にホーニングが延長され、切れ刃4の延びる方向に沿って第1のコーナ部2aから離間するにつれ、ホーニングの幅が広くなる幅拡大部分を備える。ホーニングの幅が広くされると、さらにチッピングや欠損の発生を抑制できる。
切削インサート1は、ホーニングが刃先角αの切れ刃4の部分に沿って付されることに限定されない。切れ刃4に沿って第1のコーナ部2aから離間するにつれ、ホーニングの幅が広くなるホーニング形状は、通常に80°の刃先角を有する略菱形の切削インサートなどに付された場合でも、チッピングまたは欠損を防止する効果が得られる。これは、ホーニングの幅が広くなることによる効果と、ホーニングが広くなることで、切れ刃4の部分と被加工物30との間の隙間を増やす効果とを両方得られるからである。すなわち、切削インサート1の逃げ面は、適切な逃げ角が与えられるようにホルダ21に載置され、ホーニングの幅が広くなると同時にホーニングの高さ方向の寸法が大きくなるため、逃げ角によって切れ刃4が側面視で下がると共に平面視で後退し、被加工物30と切れ刃4との隙間が増大するのである。しかし、この実施形態における切削インサート1は、刃先角αの切れ刃4の部分が設けられることで、切れ刃4として作用する部分のホーニングの幅を一定にして切削抵抗を低く抑えつつ、幅拡大部分を備えることで、切れ刃として作用しない部分では十分な隙間を確保して、チッピングまたは欠損の発生を抑制することができる。なお、切削に関与する切れ刃4のホーニングの形状や大きさについては、種々の既知の従来技術が適用できる。
図示しないが、側面視において、切削インサート1は、切れ刃4が、第1のコーナ部2aから離間するにつれ第2の端面6に近づくように傾斜するように形成されても構わない。側面視において、切れ刃4がこのように傾斜すると、逃げ角によって切れ刃4が側面視で下がると共に平面視で後退し、被加工物30と切れ刃4との隙間が増大する。切れ刃4の傾斜は、すくい面に正のすくい角が付与されることで傾斜させられても構わない。
次に、第1参考例における切削インサート101を、図8から図11を参照しながら説明する。説明を簡略にするため、以下の説明では、実施形態における切削インサート1と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。また、第1参考例に係る切削インサート101の、実施形態の切削インサート1との主たる相違点について説明する。
この第1参考例における切削インサート101は、第1の端面5に、頂角が約70°の第1のコーナ部2aと、最大コーナ内角としての頂角が約80°の第2のコーナ部2bとを備える略四角形板状に形成されている。第1のコーナ部2aと第2のコーナ部2bとは、対角に配置されている。なお、残りのコーナ部2c1、2c2のそれぞれの平面視でのコーナ内角は、鈍角である。第2のコーナ部2bを挟む2つの辺(図9参照)に対応する周側面7は、実施形態における切削インサート1と同じホルダ21に装着できるように構成されている。すなわち、第2のコーナ部2bを挟む2つの辺に対応する周側面7の当接面7aは、JIS B 4121やISO3364で規格化されている鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができるように形成されている。切削インサート101は、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。したがって、刃先角αは約70°とされ、第2のコーナ部2bの頂角(第2のコーナ内角)βは約80°とされている。この第1参考例における切削インサート101の第1の端面5側は、第1のコーナ部2aに切れ刃部材3が固着され、残りの3つのコーナ部2b、2c1、2c2には切れ刃部材3が配置されていない。切削インサート101は、第1の端面5と平行で、第1および第2の端面5、6の中央をとおる軸線であり、なおかつ第1のコーナ部2aの2等分線Dと平行な軸線(穴12の中心軸線Cに直交する軸線)に対して180°回転対称な形状に形成されている。別の表現をすると、切削インサート101は、平面視において、切削インサート101の表裏で同じ形状に形成されている。すなわち第2の端面6にも、切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。切れ刃4にはホーニングが付されている。ホーニングの幅は、切れ刃4に沿って一定とされている。しかし、これに限定されない。ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10につながる先端ノーズ部11とを有する。
図9の平面図で示すように、第1のコーナ部2aの2等分線D上の寸法において、切削インサート101の第1の端面5の中央から第1のコーナ部2aまでの長さ寸法Aと、中央から第2のコーナ部2bまでの長さ寸法Bとを定める。この第1参考例における切削インサート101は、ほぼ中央に穴12があるため、長さ寸法AおよびBは穴12の中心軸線Cからの寸法と一致する。切削インサート101は、長さ寸法AとBとがほぼ等しくされることが好ましい。このような形状に形成されることで、切削工具20に装着されたときに、鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の基本形状のコーナ部に対して、本第1参考例の切削インサート101の第1のコーナ部2aの位置は、ほぼ同じ位置にされることが好ましい。このような位置にされると、多く用いられているホルダ21に切削インサート101を装着するときに、第1のコーナ部2aおよびその周辺の切れ刃4が、ホルダ21の外側に大きく突き出されて固定が不安定になることや、小さすぎてホルダ21から切れ刃4が突出しないことが防止される。すなわち、多く用いられる80°の略菱形板状の切削インサートのコーナ部および切れ刃の位置と、ほぼ同じ位置に第1のコーナ部2aおよび切れ刃4の位置が配置される。このため、切削インサートだけを交換することで、多く用いられているホルダ21を利用できる。なお長さ寸法Aと長さ寸法Bとは、厳密に同じ寸法にされることは要求されない。多く用いられている80°の略菱形板状の切削インサートのコーナ部および切れ刃の位置と、長さ寸法Aとをほぼ合わせることだけが要求され、その目的の範囲内で、長さ寸法Aは長さ寸法Bと多少異なる寸法とされることが許容される。この違いは、工作機械に装着されたときに原点合わせを行うことによって調整されることができる。長さ寸法Aと長さ寸法Bとの差は、1mm以下の範囲が好ましい。長さ寸法Aと長さ寸法Bとの差は、0.2mm以下の範囲がさらに好ましい。この第1参考例における切削インサート101は、第2のコーナ部2bに丸み(コーナ半径)が設けられていないが、これに限定されない。第2のコーナ部2bのコーナ半径は、例えば0.8mmなど、任意の丸みが設けられても構わない。なお、長さ寸法Bは、コーナ半径が0.8mmの場合の長さ寸法を基準とされることが好ましい。
次に、第2参考例における切削インサート201を、図12から図15を参照しながら説明する。説明を簡略にするため、以下の説明では、実施形態および第1参考例における切削インサート1、101と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。また、以下では、第2参考例における切削インサート201の、実施形態および第1参考例における切削インサート1、101との主たる相違点について説明する。
この第2参考例における切削インサート201は、第1の端面5に頂角が約70°の第1のコーナ部2aと、頂角が約80°の2つのコーナ部2b1、2b2と、それら3つのコーナ部の間に配置される3つの鈍角のコーナ部2c1、2c2、2c3とを備える略六角形板状に形成されている。図13に示すように、平面視において、この第2参考例における切削インサート201は、第1のコーナ部2aの2等分線Dに対して線対称な形状にされている。ここでは便宜的に、第2のコーナ部2b1を、図13において左上に配置されるコーナ部2とする。また、第3のコーナ部2c1を、第1のコーナ部2aと第2のコーナ部2b1との間に存するコーナ部2とする。切削インサート201は、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。したがって、刃先角(第1のコーナ内角)αは約70°とされ、第2のコーナ部2bの頂角(第2のコーナ内角)βは約80°とされ、第3のコーナ部2c1の頂角は、約165°とされている。すなわち、第3のコーナ部2c1の頂角は、刃先角αおよび第2のコーナ部の頂角βよりも大きい。なお、コーナ部2c3の頂角は、約160°とされている。また、コーナ部2b2の頂角は、第2のコーナ部2b1と同じ約80°とされ、コーナ部2c2の頂角は、第3のコーナ部2c1と同じ約165°とされている。この第2参考例における切削インサート201の第1の端面5側は、第1のコーナ部2aに切れ刃部材3が固着され、残りの5つのコーナ部2b1、2b2、2c1、2c2、2c3には、切れ刃部材3が配置されていない。切削インサート201は、第1の端面5と平行で、第1および第2の端面5、6の中央をとおる軸線であり、なおかつ第1のコーナ部2aの2等分線Dと平行な軸線(穴12の中心軸線Cに直交する軸線)に対して180°回転対称な形状に形成されている。別の表現をすると、切削インサート101は、平面視において、切削インサート101の表裏で同じ形状に形成されている。すなわち第2の端面6にも、切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。なお、図12から図15では、ホーニングが省略されて描かれていない。ホーニングは、どのような形状および幅とされても構わず、様々な従来技術が適用される。ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10につながる先端ノーズ部11とを有する。
切削インサート201は、2つの端面5、6のそれぞれのほぼ中央を貫通する穴12を備えている。図16に示すように、この第2参考例における切削工具220は、切削インサート201がホルダ221に着脱自在に装着されている。この切削工具220は、旋盤加工用のバイトである。切削インサート201は、ホルダ221に形成された凹状のチップ座に載置され、固定部材が切削インサート201の上面5および穴12の内面に当接することで、ホルダ221に固定される。この第2参考例における切削工具220において、固定部材は、実施形態における切削工具20の固定部材22と同じものを用いることができる。
切削インサート201の第2のコーナ部2bを含む周側面7は、JIS B 4121やISO3364で規格化されている略六角形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができるように形成されている。すなわち、第2のコーナ部2bの頂角βが約80°に形成され、コーナ部2c3の頂角が約160°に形成され、なおかつ第1のコーナ部2aの2等分線Dに対して線対称な形状にされているため、JIS B 4121やISO3364で規格化されている刃先角が80°の略六角形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができる。この第2参考例で例示した切削工具220のホルダ221は、多く用いられているホルダの一例である。刃先角が80°の切削インサートを用いる旋盤用のバイトは、外径加工と端面加工との両方を高能率に切削加工することができるため、多く用いられている。本第2参考例の切削インサート201は、多く用いられているホルダ221に装着することで、刃先角が80°の略六角形板状の切削インサートと同様に、外径加工と端面加工との両方を高能率に切削加工することができる。この第2参考例の切削インサート201は、切削インサートだけを交換することで、多く用いられているホルダ221が利用できる。また、従来の切削工具で用いられた加工プログラムなども、そのまま利用できる。
図13の平面図に示すように、第1のコーナ部2aの2等分線D上の寸法における切削インサート201の第1の端面5の中央から第1のコーナ部2aまでの長さ寸法Aと、第2のコーナ部2bの2等分線上の寸法における第1の端面5の中央から第2のコーナ部2bまでの長さ寸法Bとを定める。この第2参考例における切削インサート201は、ほぼ中央に穴12があるため、長さ寸法AおよびBは穴12の中心軸線Cからの寸法と一致する。切削インサート201は、長さ寸法AとBとがほぼ等しくされることが好ましい。このような形状に形成されることで、切削工具220に装着されたときに、従来の略六角形板状の基本形状における切削インサートのコーナ部に対して、本第2参考例の切削インサート201の第1のコーナ部2aの位置を、ほぼ同じ位置に揃えることができる。この結果、多く用いられているホルダ221に切削インサート201を装着するときに、第1のコーナ部2aおよびその周辺の切れ刃4が、ホルダ221の外側に大きく突き出されて固定が不安定になることや、小さすぎてホルダ221から切れ刃4が突出しないことが防止される。すなわち、多く用いられている刃先角が80°の六角形板状の切削インサートのコーナ部および切れ刃の位置と、ほぼ同じ位置に第1のコーナ部2aおよび切れ刃4の位置が配置される。なお長さ寸法Aと長さ寸法Bとは、厳密に同じ寸法にされることは要求されない。六角形の基本形状における切削インサートのコーナ部および切れ刃の位置と、長さ寸法Aとをほぼ合わせることだけが要求され、その目的の範囲内で、長さ寸法Aは長さ寸法Bと多少異なる寸法とされることが許容される。この違いは、工作機械に装着されたときに原点合わせを行うことによって調整されることができる。この第2参考例の切削インサート201は、第2のコーナ部2bに約0.8mmの丸み(コーナ半径)が設けられている。しかし、これに限定されない。第2のコーナ部2bの丸みは、任意のコーナ半径にされて構わない。なお長さ寸法Bは、コーナ半径が0.8mmの場合の長さ寸法を基準とされる
ことが好ましい。
次に、第3参考例における切削インサート301を、図17から図20を参照しながら説明する。説明を簡略にするため、以下の説明では、実施形態から第2参考例における切削インサート1、101、201と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。また、以下では、第3参考例における切削インサート301の、実施形態から第2参考例における切削インサート1、101、201との主たる相違点について説明する。
図18に示すように、この第3参考例における切削インサート301は、第1の端面5に、鋭角側の仮想頂角が約55°の第1および第2のコーナ部2a、2bと、鈍角側の2つのコーナ部2c1、2c2とを備える略菱形板状に形成されている。切削インサート301は、第1の端面5の4つのコーナ部2のうち、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が、ベースチップ13に固着され、切れ刃4が形成されている。この第3参考例の切削インサート301は、第2のコーナ部2bを含む領域にも、切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。切削インサート301は、右勝手での使用に対応できるように勝手があり、平面視において、第1のコーナ部2aの2等分線に対して非対称な形状とされている。すなわち、図18に基づいて説明すると、下側のコーナ部2である第1のコーナ部2aの周辺は、右側だけに凹部8が形成されている。ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10にそれぞれがつながる2つの先端ノーズ部11とを有する。
切削インサート301は、2つの端面5、6のそれぞれの中央を貫通する穴12を備えている。図21に示すように、この第3参考例における切削工具320は、切削インサート301がホルダ321に着脱自在に装着されている。この切削工具320は、旋盤加工用のバイトである。切削インサート301は、ホルダ321に形成された凹状のチップ座に載置され、固定部材が切削インサート301の上面5および穴12の内面に当接することで、ホルダ321に固定される。この第3参考例における切削工具320において、固定部材は、実施形態における切削工具20の固定部材22と同じものを用いることができる。
切削インサート301の第2の端面6は、第1の端面5と対向する平坦面とされている。前述のとおり、この第3参考例の切削インサート301は、第1の端面5側の第1および第2のコーナ部2a、2bに各々の切れ刃部材3が固着されている。切れ刃部材3は、略菱形の鋭角側となる2つのコーナ部2a、2bに固着され、鈍角側となる残り2つのコーナ部2c1、2c2には配置されていない。また第2の端面6側には、切れ刃部材3が配置されていない。第2のコーナ部2bは、第1の端面5の中央をとおり第1の端面5と直交する軸線Cに対して、第1のコーナ部2aと180°回転対称な形状に形成されている。別の表現をすると、第2のコーナ部2bは、穴12の中心軸線Cに対して、第1のコーナ部2aと180°回転対称な形状に形成されている。
図18に示すように、平面視において、第1のコーナ部2aのコーナ切れ刃4aの両側に延びる直線状の2つの切れ刃部分4b、4cのなす角を刃先角αと定めると、第1のコーナ部2aの刃先角αは、約50°とされている。一方、平面視において、略菱形の仮想輪郭形状Sにおける第2のコーナ部2bの両側にのびる2つの辺のなす角(最大コーナ内角)を仮想頂角(第2のコーナ内角)βと定めると、仮想頂角βは、約55°とされている。すなわち、仮想頂角βと刃先角αとの差は、約5°とされている。凹部8が片側のみに形成されているため、第4の角度γも約5°とされている。第1のコーナ部2aと第2のコーナ部2bとは、対角に配置されている。なお仮想頂角βは、平面視において、第2のコーナ部2bの両側に配置される2つの直線部9のなす角でもある。これらの直線部9は、チップ座の側壁面と当接する周側面7の当接面7aに対応する。すなわち仮想頂角βは、チップ座の側壁面との2つの当接面7aの実質的になす角に相当する。各々の直線部9は、輪郭形状の中で最も外方に配置されている。すなわち、各々の直線部9を延長する仮想直線は、輪郭形状と交差せずに接する。周側面7のうち、チップ座の側壁面と当接しない部分の形状は、どのような形状とされても構わない。逆に言えば、周側面7には、チップ座の側壁面と当接させない部分を凹部8として設けることができ、その凹部8にも切れ刃4などを形成することができる。この第3参考例における切削インサート301は、チップ座の側壁面と当接しない部分にも切れ刃4などが形成されるように、第2のコーナ部2bの周辺にも、凹部8が形成され、刃先角αが約50°の切れ刃4を備えている。すなわち、第1および第2のコーナ部2a、2bの周辺に、それぞれ凹部8が1つずつ形成されている。凹部8は、第1および第2のコーナ部2a、2bの各々の片側のみに形成され、合計2つ形成されている。
この第3参考例の切削インサート301は、仮想頂角βが約55°に形成されているため、JIS B 4121やISO3364で規格化されている鋭角側の頂角が55°の略菱形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができる。この第3参考例で例示した切削工具320のホルダ321は、従来から多く用いられているホルダの一例である。刃先角が55°の切削インサートを用いる旋盤用のバイトは、ならい加工などに適するため、多く用いられている。この第3参考例における切削インサート301は、多く用いられているホルダ321に装着することで、刃先角が55°の略菱形板状の切削インサートと同様に切削加工することができる。切削インサート301は、切削インサートだけを交換することで、多く用いられているホルダ321が利用できる。また、従来の切削工具で用いられた加工プログラムなども、そのまま利用できる。第1および第2のコーナ部2a、2bのホルダ321に対する位置は、鋭角側の頂角が55°の略菱形板状の基本形状Sにおける切削インサートのコーナ部の位置と、ほぼ同じ位置にされることが好ましい。このように第1および第2のコーナ部2a、2bの位置が設定されると、多く用いられている一般的なホルダ321に切削インサート301を装着するときに、第1および第2のコーナ部2a、2bおよびその周辺の切れ刃4が、ホルダ321の外側に大きく突き出されて固定が不安定になることや、小さすぎてホルダ321から切れ刃4が突出しないことが防止される。
前述のとおり、この第3参考例における切削インサート301は、第1のコーナ部2aの刃先角(第1のコーナ内角)αが約50°とされている。また第2のコーナ部 2bの仮想頂角(第2のコーナ内角)βは約55°とされている。すなわち、鋭角側が仮想頂角βの菱形の仮想輪郭形状Sの辺に対して、刃先角αは、約5°だけ小さくされている。このため、図22の説明図に示すように、フランジ形状などを有する被加工物30を切削加工するときなどに、切れ刃4として切削加工に関与しない切れ刃4周辺の部分は、鋭角側の刃先角が55°の略菱形板状の仮想輪郭形状Sの辺と比較して、被加工物30から離れて配置されるようになる。すなわち、切削インサート301の周側面7に凹部8が1つ形成されていて、なおかつ立方晶窒化ほう素を切れ刃部材3とする切削工具320は、一般に切削条件の切込みが小さいので、図22に示すG部で、凹部8によって被加工物30と切削インサート301との隙間が大きくされる。被加工物30と切れ刃4周辺の切削に関与しない部分との隙間(G部)が大きくなるため、切りくずなどが挟み込まれることが防止される。したがって、切削インサート301の切れ刃4周辺でのチッピングや欠損の発生を抑制し、工具寿命を延長できる。なお、図22をみれば明らかなように、凹部8が形成されていない側の切れ刃4は、元々被加工物30との隙間が大きいため凹部8を必要としない。ただし、ならい加工などを行う場合は、第1のコーナ部2aの両側に凹部8が形成されても構わない。凹部8の大きさおよび配置位置は、適用されるホルダの切れ刃角、被加工物30の形状、および切削条件などに応じて、適時変更することができる。この第3参考例における切削インサート301の刃先角αと仮想頂角βとの差は、1°以上、なおかつ9°以下の範囲が好ましい。刃先角αと仮想頂角βとの差は、3°以上、なおかつ7°以下の範囲がさらに好ましい。図17から図20では、ホーニングが省略されて描かれていない。ホーニングは、どのような形状および幅とされても構わず、様々な従来技術が適用できる。
次に、第4参考例における切削インサート401を、図23から図26を参照しながら説明する。説明を簡略にするため、以下の説明では、実施形態から第3参考例における切削インサート1、101、201、301と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。また、以下では、第5実施形態における切削インサート401の、実施形態から第3参考例における切削インサート1、101、201、301との主たる相違点について説明する。
この第4参考例における切削インサート401は、第1参考例における切削インサート101から、凹部408が形成されるように変形した例である。この第4参考例の切削インサート401の凹部408は、実施形態における切削インサート1の凹部8と、形成される位置および形状が異なっている。この第4参考例における凹部408は、第1のコーナ部2aから離間し、かつ切れ刃部材3からも離間した位置に形成されている。凹部408は、第1のコーナ部2aの2等分線Dに対して、左右対称に2つ形成されている。図24に示すように平面視において、切削インサート401は、凹部408が形成されたことにより第5の角度εを有する部分を備える。第5の角度εは、約55°とされている。また、第1のコーナ部2aの刃先角αは、約70°とされている。すなわち、刃先角αよりも第4の角度εが小さくされるように、凹部408が形成されている。凹部408は、切れ刃部材3(切れ刃4周辺)と被加工物30との隙間を直接増大するわけではない。凹部408は、切削インサート401のベースチップ13と被加工物30との隙間を増大させることにより、切りくず排出性をさらに向上し、間接的に、切れ刃4周辺でのチッピングや欠損の発生を抑制する。ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10につながる先端ノーズ部11とを有する。
切削インサート401は、第1の端面5に頂角が約70°の第1のコーナ部2aと、頂角が約80°の第2のコーナ部2bとを備える略四角形板状に形成されている。第1のコーナ部2aと第2のコーナ部2bとは、対角に配置されている。第2のコーナ部2bを挟む2つの辺に対応する周側面7の当接面7aは、実施形態における切削インサート1と同じホルダ21に装着できるように構成されている。すなわち、第2のコーナ部2bを挟む2つの辺に対応する周側面7の当接面7aは、JIS B 4121やISO3364で規格化されている鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができるように形成されている。切削インサート401は、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。したがって、刃先角(第1のコーナ内角)αは約70°とされ、第2のコーナ部2bの頂角(第2のコーナ内角)βは約80°とされている。この第4参考例における切削インサート401の第1の端面5側は、第1のコーナ部2aに切れ刃部材3が固着され、残りの3つのコーナ部2b、2c1、2c2には切れ刃部材3が配置されていない。切削インサート401は、第1の端面5と平行で、第1および第2の端面5、6の中央をとおる軸線であり、なおかつ第1のコーナ部2aの2等分線Dと平行な軸線(穴12の中心軸線Cと直交する軸線)に対して180°回転対称な形状に形成されている。すなわち第2の端面6にも、切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。切れ刃4にはホーニングが付されている。ホーニングの幅は、切れ刃4に沿って一定とされている。しかし、これに限定されず、ホーニングは、既知の様々な従来技術が適用できる。
次に、第5参考例における切削インサート501を、図27から図30を参照しながら説明する。説明を簡略にするため、以下の説明では、実施形態から第4参考例における切削インサート1、101、201、301、401と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。また、以下では、第6実施形態における切削インサート501の、実施形態から第4参考例における切削インサート1、101、201、301、401との主たる相違点について説明する。
この第5参考例における切削インサート501は、第1参考例における切削インサート101から、第5の角度εが形成される部分を有するように変形した例であり、第4参考例における切削インサート401にも類似している。図28の平面図に示すように、平面視において、切削インサート501は、第5の角度εの部分を有し、第5の角度εは、約55°とされている。また、第1のコーナ部2aの刃先角αは、約70°とされている。すなわち、刃先角αよりも、第5の角度εが小さくされることで、切削インサート501と被加工物30との間の隙間が増大している。第5の角度εを有する部分は、切れ刃部材3(切れ刃4周辺)と被加工物30との隙間を直接増大するわけではない。この部分は、切削インサート501のベースチップ13と被加工物30との隙間を増大させることにより、切りくず排出性をさらに向上し、間接的に、切れ刃4周辺でのチッピングや欠損の発生を抑制する。ベースチップ13は、穴12を含む基部10と、この基部10につながる先端ノーズ部11とを有する。
切削インサート501は、第1の端面5に頂角が約70°の第1のコーナ部2aと、頂角が約80°の第2のコーナ部2bとを備える略四角形板状に形成されている。第1のコーナ部2aと第2のコーナ部2bとは、対角に配置されている。第2のコーナ部2bを挟む2つの辺に対応する周側面7の当接面7aは、実施形態における切削インサート1と同じホルダ21に装着できるように構成されている。すなわち、第2のコーナ部2bを挟む2つの辺に対応する周側面7の当接面7aは、JIS B 4121やISO3364で規格化されている鋭角側の頂角が80°の略菱形板状の切削インサートを用いるホルダへ装着することができるように形成されている。切削インサート501は、第1のコーナ部2aを含む領域に、超高圧焼結体を含有する切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。したがって、刃先角(第1のコーナ内角)αは約70°とされ、第2のコーナ部2bの頂角(第2のコーナ内角)βは約80°とされている。この第5参考例における切削インサート501の第1の端面5側は、第1のコーナ部2aに切れ刃部材3が固着され、残りの3つのコーナ部2b、2c1、2c2には切れ刃部材3が配置されていない。切削インサート401は、第1の端面5と平行で、第1および第2の端面5、6の中央をとおる軸線であり、なおかつ第1のコーナ部2aの2等分線Dと平行な軸線(穴12の中心軸線Cと直交する軸線)に対して180°回転対称な形状に形成されている。すなわち第2の端面6にも、切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されている。切れ刃4にはホーニングが付されている。ホーニングの幅は、切れ刃4に沿って一定とされている。しかし、これに限定されず、ホーニングは、既知の様々な従来技術が適用できる。
以上、本発明に係る切削インサートおよび切削工具の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本発明の切削インサートは、超高圧焼結体の切れ刃部材が固着された切削インサートであれば、どのような形態のものでも構わない。切れ刃部材の固着方法は、ろう付けなどの既知の固着方法が適用できる。しかし切削インサートは、略多角形板状であることが好ましい。さらに、JIS B 4121やISO3364で規格化された切削インサートを装着できる、多く用いられているホルダに装着できる形式のものが好ましい。
施形態における切削インサート1は、第1の端面5側にだけ切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されたが、これに限定されず、第2の端面6側にも切れ刃部材3が固着され、切れ刃4が形成されても構わない。実施形態における切削インサート1は、略菱形板状とされたが、仮想頂角βを80°とする略六角形板状にすることもできる。その場合は、第1の端面5に3つの切れ刃部材3および切れ刃4を配置することができる。第2の端面6にも3つの切れ刃部材3および切れ刃4を配置することができるため、合計で6つのコーナ部2(先端ノーズ部11)に切れ刃4を形成することができる。また、仮想頂角βを60°とし、略正三角形板状の基本形状を備える切削インサートにすることもできる。なお略正三角形板状の基本形状とするときは、刃先角αを42°以上、なおかつ58°以下の範囲とし、仮想頂角βを59°以上、なおかつ61°以下の範囲とすることが好ましい。切削インサート1は、仮想頂角βを55°または35°とする略菱形板状の基本形状にすることもできる。第1参考例および第2参考例における切削インサート101、201についても、第2のコーナ部の頂角βの異なる略菱形板状や、略正三角形板状などの基本形状にすることができる。また第1の端面5にのみ切れ刃部材3および切れ刃4が形成され、第2の端面6は平坦面とされても構わない。切削インサートは、第1のコーナ部2aの2等分線に対して、左右非対称にされても構わない。すなわち、略菱形板状、略六角形板状および略三角形板状の基本形状から、片側だけ隙間が増やされるなど、左右非対称にされても構わない。さらに、第3参考例における切削インサート301のように、凹部8が片側のみに形成されても構わない。また第4参考例および第5参考例における切削インサート401、501のように、刃先角αより小さな第5の角度εの部分をさらに有しても構わない。第4参考例における切削インサート401のように、切れ刃部材3から離間したベースチップに、さらに凹部が形成されても構わない。
本発明の切削インサートの切れ刃部材の材料は、立方晶窒化ほう素およびダイヤモンドの少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。すなわち、切れ刃および切れ刃の周辺の工具材料は、立方晶窒化ほう素を含有する焼結体または立方晶窒化ほう素を含有する焼結体の表面にPVDまたはCVDによるコーティング膜が被膜されたもの、またはダイヤモンドを含有する焼結体の中から選択されることが好ましい。
本発明の切削インサートは、切削工具に装着され、さらに切削工具が工作機械に装着されることにより、鋼材などの切削加工に利用できる。旋盤用のバイトや回転切削工具などに適用され、適用切削工具への制約がほとんどない。実施形態には旋盤用のバイトに装着される切削インサートだけを説明したが、これにも限定されない。回転切削工具に用いられる切削インサートにも適用できる。
本発明の切削インサートおよび切削工具は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更及び追加が可能である。例えば、切れ刃周辺にチップブレーカが形成されても構わない。さらに、切れ刃部分にワイパー刃のような仕上げ刃部分が設けられても構わない。
施形態における切削インサート
2 コーナ部
2a 第1のコーナ部
2b、2b1、2b2 第2のコーナ部
2c1、2c2、2c3 第3のコーナ部
3 切れ刃部材
3a 切れ刃部材の端面(上面)
3b 切れ刃部材の周側面
4 切れ刃
4a コーナ切れ刃
4b、4c 切れ刃部分
5 第1の端面(上面)
6 第2の端面(下面)
7 周側面
7a 当接面
8 凹部(凹領域)
9 直線部
10 基部
11 先端ノーズ部
12 穴
13 ベースチップ
20施形態における切削工具
21 ホルダ
22 固定部材
30 被加工物
101 第1参考例における切削インサート
201 第2参考例における切削インサート
220 第2参考例における切削工具
221 第2参考例におけるホルダ
301 第3参考例における切削インサート
320 第3参考例における切削工具
321 第3参考例におけるホルダ
401 第4参考例における切削インサート
408 凹部(凹領域)
501 第5参考例における切削インサート
A 切削インサートの中央から第1のコーナ部までの寸法
B 切削インサートの中央から第2のコーナ部までの寸法
C 穴の中心軸線
D 第1のコーナ部の2等分線
S 仮想輪郭形状
α 第1のコーナ内角(刃先角)
β 第2のコーナ内角
β2 第3のコーナ内角
γ 第4の角度
ε 第5の角度

Claims (15)

  1. 対向する2つの端面(5、6)と、該端面(5、6)間に延在する周側面(7)と、を有し、該2つの端面(5、6)のうちの略多角形の第1の端面(5)のすくい面と前記周側面(7)の逃げ面との交差稜線部に切れ刃(4)を備える切削インサート(1)であって、
    該切削インサートは、基部(10)と、該基部(10)につながる先端ノーズ部(11)とを含み、該先端ノーズ部(11)に、切れ刃部材(3)が設けられ、
    前記切れ刃部材(3)は、立方晶窒化ほう素およびダイヤモンドの少なくとも一方を含み、
    前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記先端ノーズ部(11)において定められる第1のコーナ部(2a)は第1のコーナ内角(α)を有し、
    前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記第1のコーナ部(2a)以外の該第1の端面(5)の全コーナ部(2)のうちで前記基部(10)の輪郭に沿って定められる最大コーナ内角が最小である第2のコーナ部(2b)は、第2のコーナ内角(β)を有し、
    前記第1のコーナ内角(α)は前記第2のコーナ内角(β)よりも小さく、
    前記交差稜線部はホーニングが付されており、
    前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみて、前記基部(10)の輪郭に沿って該切削インサートの前記略多角形の仮想輪郭形状(S)を定めるとき、
    前記先端ノーズ部(11)は、前記仮想輪郭形状(S)よりも内側に配置され、
    前記先端ノーズ部(11)における前記ホーニングの幅は、前記基部(10)におけるホーニングの幅よりも小さ
    前記切れ刃部材(3)における切れ刃(4)に付されるホーニングの幅は、前記切れ刃部材(3)における切れ刃(4)の全体に亘って一定である、切削インサート。
  2. 前記仮想輪郭形状(S)における前記先端ノーズ部(11)の前記第1のコーナ部(2a)に対応する仮想コーナ部の第3のコーナ内角(β2)は、前記第1のコーナ内角(α)よりも大きい請求項1に記載の切削インサート。
  3. 前記第3のコーナ内角(β2)と前記第1のコーナ内角(α)との差は、1°以上、かつ18°以下の範囲とされる請求項2に記載の切削インサート。
  4. 前記第2のコーナ内角(β)と前記第1のコーナ内角(α)との差は、1°以上、かつ18°以下の範囲とされる請求項1から3のいずれか一項に記載の切削インサート。
  5. 前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記第1の端面(5)は、略四角形の輪郭形状を有し、
    前記第1のコーナ部(2a)と前記第2のコーナ部 (2b)とは対角に配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の切削インサート。
  6. 前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記第1の端面(5)は、略六角形の輪郭形状を有し、
    前記第1のコーナ部(2a)と前記第2のコーナ部(2b)との間に、前記第1のコーナ内角(α)よりも大きな頂角を有する第3のコーナ部(2c1)が配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の切削インサート。
  7. 前記第1のコーナ内角(α)は、62°以上、かつ78°以下の範囲とされ、
    前記第2のコーナ内角(β)は、79°以上、かつ81°以下の範囲とされる請求項1から6のいずれか一項に記載の切削インサート。
  8. 前記第1のコーナ内角(α)は、62°以上、かつ78°以下の範囲とされ、
    前記第3のコーナ内角(β2)は、79°以上、かつ81°以下の範囲とされる請求項2または3に記載の切削インサート。
  9. 前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記第1の端面(5)は、略三角形の輪郭形状を有し、
    前記第1のコーナ内角(α)は、42°以上、かつ58°以下の範囲とされ、
    前記第2のコーナ内角(β)は、59°以上、かつ61°以下の範囲とされる請求項1に記載の切削インサート。
  10. 前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、前記第1のコーナ部(2a)と該第1のコーナ部(2a)の隣のコーナ部(2)との間の辺を構成する前記周側面(7)の部分は、少なくとも1つの凹部(8)を有する請求項1から9のいずれか一項に記載の切削インサート。
  11. 前記凹部(8)は、前記第1のコーナ部(2a)寄りに設けられ、
    前記仮想輪郭形状における前記先端ノーズ部(11)の前記第1のコーナ部(2a)に対応する前記略多角形における基本形状の辺と、前記第1のコーナ部(2a)の前記第1のコーナ内角(α)を形成する前記切れ刃(4)の少なくとも一部とは、第4の角度(γ)をなし、該第4の角度(γ)は1°以上、かつ9°以下の範囲とされる請求項10に記載の切削インサート。
  12. 前記第1の端面(5)に対向する方向から該切削インサートをみたとき、該切削インサートの中央から前記第1のコーナ部(2a)までの長さ(A)は、該中央から前記第2のコーナ部(2b)までの長さ(B)とほぼ等しくされる請求項1に記載の切削インサート。
  13. 前記ホーニングは、前記切れ刃(4)に沿って前記第1のコーナ部(2a)から離間するにつれ、幅が広くなる幅拡大部分を備える請求項1から12のいずれか一項に記載の切削インサート。
  14. 側面視において、前記切れ刃(4)は、前記第1のコーナ部(2a)から離間するにつれ前記2つの端面(5、6)のうちの第2の端面(6)に近づくように傾斜する請求項1から13のいずれか一項に記載の切削インサート。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の切削インサート(1)を備える切削工具。
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