JP6383714B2 - リチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法および評価用セル - Google Patents

リチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法および評価用セル Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の充放電中に生じる電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法とその評価用セルに関する。
リチウムイオン二次電池を充放電する際には、電解質や電極材中に反応分布が生じることが知られている(非特許文献1参照)。この反応分布は、特に高速で充放電する場合に顕著となる。
反応分布が顕著である場合、電極内では局所的に過充電・過放電の状態となり、電池性能や安全性が低下する。そのため、充放電中に生じる電極内の反応分布を知ることができれば、電池性能劣化のメカニズムの解明等に繋がる新たな情報を取得できるようになる。
しかしながら、電極中の活物質の種類にも依存するものの、多くの場合、充放電停止直後から電極中の反応分布が緩和する。そのため、充放電後に電池を解体して電極を取り出してから分析に供するのには、時間がかかりすぎて緩和してしまい、真の電極内の反応分布を観察することは困難である。
そこで、充放電中の電極内の反応分布を観察する方法として、in−situ観察する方法(その場観察法)が報告されている(非特許文献2)。
SUNBEAM Annual Report with Research Results,Part2,Vol.2,P79−81(2012) Photon Factory Activity Report 2012 #30(2013)B
しかしながら、その場観察法では、XAFS法による解析など、反応分布の分析に使用できる手法は限られている。また、リチウムイオン二次電池の充放電中に生じる電極中の反応分布は、放電後約数分で緩和して分布がほぼ無くなってしまうことから、通常行われる電池を解体してからの調査では、分布が無くなった状態となってしまい、充放電の最中に生じている分布を可視化することができない。
そこで本発明者らは、充放電停止直後からの電極中の反応分布の緩和は、電極内のリチウムイオンの移動による濃度変化であると考え、充放電中に生じる電極内におけるリチウムイオン濃度分布を分析する新たな方法を提供することとした。
すなわち本発明の目的は、TEM(透過型電子顕微鏡)、SEM(走査型電子顕微鏡)、XPS(X線光電子分光法)、XRD(X線回折法)、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ−発光分光分析法)、GD−OES(グロー放電発光分析法)等、多種多様な分析手法に適用可能な、リチウムイオン二次電池の電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、充電又は放電を停止してから1分以内に、リチウムイオンの移動に要する電解質のイオン伝導性を低下させることにより、リチウムイオン濃度分布の緩和を停止・抑制することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]に係るものである。
[1] 電極及び電解質を含むリチウムイオン二次電池を充放電する工程と、
前記充放電する工程の任意の時点で充電又は放電を停止する工程と、
前記充電又は放電を停止してから1分以内に、前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程と、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持した後の前記電極を取り出して分析に供する工程と、
を含む、リチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
[2] 前記リチウムイオン二次電池が単層ラミネートセルであり、
前記充放電する工程の前に露点−50℃以下のドライ環境下で、前記単層ラミネートセルの外装を除去する工程と、前記外装を除去した単層ラミネートセルの正極、セパレータ及び負極の対を電解液に浸漬する工程と、を行い、
前記充放電する工程が、前記浸漬する工程で前記対が電解液に浸漬された状態で行われ、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、電極中の電解液を溶媒に置換することで行われる、前記[1]に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
[3] 前記リチウムイオン二次電池が積層型構造又は巻回型構造のセルであり、
前記セルの外装には溶液のin−out端子が設けられ、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記in−out端子を通じて電解液を溶媒に置換されることで行われる、前記[1]に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
[4] 前記リチウムイオン二次電池が積層型構造又は巻回型構造のセルであり、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルを液体窒素に浸漬する工程、その後前記冷却状態を保ったまま前記セルを露点−50℃以下のドライ環境下で解体する工程、及び、次いで露点−50℃以下のドライ環境下で前記解体したセルを常温に戻すと同時に、少なくとも前記電極を溶媒に浸漬することにより電解液を溶媒に置換する工程を含む、前記[1]又は[3]に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
[5] 前記リチウムイオン二次電池が全固体型のセルであり、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルを加熱して前記電解質をイオン伝導性が10−4S・cm−1以下の相に変態させることで行われる、前記[1]に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
[6] 前記リチウムイオン二次電池が全固体型のセルであり、
前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルに外力を加えることで前記電解質にクラックを生じさせ、前記電解質のイオン伝導性を10−4S・cm−1以下にすることで行われる、前記[1]に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
本発明によれば、TEM、SEM、XPS、XRD、ICP−AES、GD−OES等の非常に多種多様な分析手法が適用可能となり、劣化メカニズムの解明、および電池特性の改善に繋がる新たな情報を取得することが可能となる。
図1は、リチウムイオン二次電池が単層ラミネートセルである場合において、電解液に浸漬された状態で行われる充放電する工程を示した模式図である。 図2は、グロー放電発光分析法(GD−OES)を用い、正極中の深さ方向Li濃度分布を測定した結果(実施例1(Before)及び比較例1(After))を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法は、下記工程(b)〜(e)を含むことを特徴とする。
(b)電極及び電解質を含むリチウムイオン二次電池を充放電する工程、
(c)前記充放電する工程の任意の時点で充電又は放電を停止する工程、
(d)前記充電又は放電を停止してから1分以内に、前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程、
(e)前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持した後の前記電極を取り出して分析に供する工程。
上記工程(b)の前に(a)前準備を行う工程、が設けられていてもよい。
本発明におけるリチウムイオン二次電池は一般的に用いられるものであれば特に制限されない。
例えば、正極には正極活物質、導電助剤、バインダー等を含むことができる。正極活物質にはリチウム金属酸化物が挙げられ、リチウム以外に含まれていてもよい金属としては、Ni、Mn、Co、Fe、Al等が挙げられる。導電助剤やバインダーにも一般的に用いられるものを用いることができる。
負極には負極活物質、導電助剤、バインダー等を含むことができる。負極活物質にはグラファイト、ハードカーボン、スズ系材料、ケイ素系材料、チタン酸系材料、ゲルマニウム系材料等が挙げられる。導電助剤やバインダーにも一般的に用いられるものを用いることができる。
電解質はリチウムイオン伝導性を有するものであればよく、非水系電解液、ポリマー電解質、イオン液体電解質、固体電解質等が挙げられる。
さらに、電解質の種類によっては、セパレータを用いることが好ましい。また、集電体やガスケット、電極タブ(電極リード、電極端子)、絶縁材等、適宜公知の物を使用することができる。
リチウムイオン二次電池の構造は特に制限されず、例えば単層ラミネートセル、積層ラミネートセル等の積層型構造のセル、角型セルや18650型セル等の巻回型構造のセル、全固体型のセル、コイン型セル等が挙げられる。
工程(b)の充放電する工程において、充電レート、放電レート、充電終止電圧、放電終止電圧、充放電温度等の充放電試験条件は、用いる正極材料、負極材料、電解質等や、試験目的に合わせて任意に定めることができる。
工程(d)のリチウムイオン濃度分布を保持する工程においては、セル内の電解液をイオン伝導性の無い溶媒に置換したり、電解質のイオン伝導性を10−4S・cm−1以下に低下させたりすることで行われる。電解質のイオン伝導性がゼロでない場合は、該リチウムイオン濃度分布は極めて緩やかに緩和してしまうことから、該緩和が進まないうちに電極の取り出しと分析(工程(e))を行うことが必要となる。
例えば電解質のイオン伝導性が10−4S・cm−1オーダーである場合には、工程(d)から12時間以内に工程(e)を行うことが好ましい。
工程(e)における分析は、TEM、SEM、XPS、XRD、ICP−AES、GD−OES等、多種多様な分析手法が適用できる。
<単層ラミネートセル>
リチウムイオン二次電池が単層ラミネートセルの場合には、工程(b)の前に前準備を行う工程(a)を含むことが好ましい。
工程(a)として、露点−50℃以下のドライ環境下で、前記単層ラミネートセルの外装を除去する工程(a1−1)と、前記外装を除去した単層ラミネートセルの正極、セパレータ及び負極の対を電解液に浸漬する工程(a1−2)とを含む工程(a1)が好ましい。
工程(a1)は、リチウムイオン二次電池を構成するリチウムが空気中の酸素と反応して変質しないために、露点−50℃以下のドライ環境下で行うことが好ましい。露点−50℃とは、水分量(容量)0.0039%に相当する。露点は−60℃以下がより好ましい。
また、リチウムは窒素とも反応することから、該ドライ環境はAr雰囲気のグローブボックス内等で行うことが好ましい。以下、本明細書においてドライ環境とは、上記と同じ意味を表す。
工程(a1−1)では露点−50℃以下のドライ環境下で単層ラミネートセルの外装を除去するが、単層ラミネートセルが短絡しなければ、どのように除去してもよい。例えば、単層ラミネートセルの外装をハサミ等で切って開封し、除去してもよい。
工程(a1−2)では露点−50℃以下のドライ環境下で、外装を除去した単層ラミネートセルの正極、セパレータ及び負極の対を電解液に浸漬する。図1に示したように、電解液に浸漬する際、正極1、セパレータ2及び負極3の対をセラミック板6で挟み、拘束することが好ましい。これは、セラミック板の重みによって電解液4から前記対が浮くことを防止でき、さらには接触抵抗を低減することができるためである。
工程(a1)の後、正極及び負極に繋がる各電極タブ5をそれぞれ充放電装置に接続し、続く充放電する工程(b)を行う。
充放電する工程(b)として、前記工程(a1−2)で前記対が電解液に浸漬された状態で行われる工程(b1)が好ましい。この工程(b1)も露点−50℃以下のドライ環境下で行われることが好ましい。
工程(b1)の任意の時点で充電又は放電を停止する工程(c)を経た後、前記充電又は放電を停止してから1分以内に、前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する(工程(d))。単層ラミネートセルにおいては、工程(d)として、電極中の電解液を、充電又は放電を停止してから1分以内に、溶媒に置換することで工程(d1)が行われる。
工程(d1)は電極のみを溶媒に浸漬してもよく、正極、セパレータ及び負極の対を溶媒に浸漬してもよく、図1における電解液4全体を溶媒に入れ替えてもよい。
電極中の電解液を置換する溶媒は、イオン伝導性が無いものが好ましく、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルエーテル(DME)等が好ましく挙げられる。
通常、充電又は放電を停止させた直後から、電極内におけるリチウムイオン濃度分布は緩和する。そこで、本発明においては、該電解液をイオン伝導性の低い溶媒に置換して溶液に含まれるリチウム塩(溶質)を溶媒にて希釈することにより、イオン伝導性を限りなくゼロに近付け、電極内のリチウムイオンを移動できなくする。これによりリチウムイオン濃度の緩和を抑制できるようになり、充放電中の電極内におけるリチウムイオン濃度分布を分析することができるようになる。
単層ラミネートセルにおいて、上記工程(a1)を経て工程(b1)を行うことにより、工程(e)において電極を取り出す際には既に外装がないことから、セルを解体する手間なく電極を直接取り出すことができる。
<積層型構造、巻回型構造>
リチウムイオン二次電池が積層型構造又は巻回型構造のセルの場合には、工程(b)の前に前準備を行う工程(a2)を含むことが好ましい。
工程(a2)として、セルの外装に溶液のin−out端子を設けることが好ましい。該in−out端子のin端子から所望の液体(溶媒)を流入し、セル内の電解液をout端子から排出することにより、電解液を該溶媒に置換することができる。
すなわち、前記工程(a2)を行うことにより、工程(d)である電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程を、電解液を溶媒に置換する(工程(d2))ことで行うことができるようになる。
in−out端子を設ける際は、元々溶液のin−out端子が付いたセルを作製しても、セルにin−out端子を後付けしてもよい。in−out端子を後付けする場合には、ドライ環境下で工程(a2)を行うことが好ましい。
in端子からの溶媒の流入量やout端子からの排出量は特に限定されない。工程(d2)において電解液を置換する溶媒は、イオン伝導性が無いものが好ましく、先の<単層ラミネートセル>における工程(d1)と同様の溶媒を用いることができる。
工程(e)において電極を取り出す際、前記工程(d2)でイオン伝導性を有する電解液は除去されており、電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持できていることから、電極を取り出すためのセルの解体に長時間を要してもよい。
また、積層型構造又は巻回型構造のセルにおいて、工程(d)である電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程を、セルを液体窒素に浸漬する工程(d3−1)、その後前記冷却状態を保ったまま前記セルを露点−50℃以下のドライ環境下で解体する工程(d3−2)及び次いで露点−50℃以下のドライ環境下で前記解体したセルを常温に戻すと同時に、少なくとも前記電極を溶媒に浸漬することにより電解液を溶媒に置換する工程(d3−3)を含む工程(d3)とすることも好ましい。
該工程(d3)は、上記工程(a2)及び工程(d2)と共に行ってもよく、独立して行ってもよい。
工程(d3−1)は、セル内の電解質のイオン伝導性を低下させるために行う。しかしセル内の電解質のイオン伝導性や冷却された電解質の温度を正確に測定するのは難しいため、セル全体を液体窒素に浸漬することで冷却すればよい。
電解液の種類によって低温時のイオン伝導性が大きく異なることから、セル全体の好ましい温度は一義に定義できない。例えば、電解液として1M LiPF/EC:DEC=1:1(vol.)を用いる場合にはセルの温度を−20℃以下とすると電解液が凝固するため好ましく、−50℃以下とするとイオン伝導性がより低下するためにより好ましい。
セルの冷却は、液体窒素と同程度かそれ以上の冷却能があれば可能であり、液体窒素に代えて、例えば液体ヘリウム等を用いてもよい。
工程(d3−2)では、冷却状態を保ったままセルを解体する。ここで「冷却状態を保つ」とは、電解液のイオン伝導度が低い温度、又は電解液が凝固している状態を保ったまま、セルを解体することを意味する。セルの解体はセルのすべてが解体されていなくともよく、続く工程(d3−3)で電極内の電解液を溶媒に置換(溶媒で希釈)できる程度に部分的に解体されていればよい。
その後工程(d3−3)で、解体したセルを常温に戻すと同時に、前記解体したセルのうち、少なくとも前記電極を溶媒に浸漬することにより、電極内の電解液を溶媒に置換する。工程(d3−3)において電解液を置換する溶媒は、イオン伝導性が無いものが好ましく、先の<単層ラミネートセル>における工程(d1)と同様の溶媒を用いることができる。
<全固体型>
リチウムイオン二次電池が全固体型のセルの場合、電解質も固体であることから、工程(d)として、電解質を溶媒で置換することが難しい。そこで、工程(d)である電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程を、セルを加熱して前記電解質をイオン伝導性が好ましくは10−4S・cm−1以下の相に変態させる(工程(d4))ことにより、リチウムイオン濃度分布を保持することが好ましい。なお、加熱はセルごと行われるので、加熱雰囲気は密閉雰囲気となる。また、加熱温度は電解質の種類によって適宜設定する。
また、全固体型のセルにおいては、工程(d)として、セルに外力を加えることで電解質にクラックを生じさせ、イオン伝導のパスを減少させ(工程(d5))、リチウムイオン濃度分布を保持することも好ましい。
電解質が固体であることから、外力を加えてクラックが発生すると、その部分のイオン伝導のパスが失われる。具体的には、電解質のイオン伝導性が10−4S・cm−1以下となるほどにイオン伝導のパスを減少させることが好ましい。
セルに加える外力としては、ラミネートセルごと折り曲げたり、セルを圧潰する等の物理的力等が挙げられる。
工程(d4)及び工程(d5)は、セルが破壊されない限り電解質がセルの密閉空間内に留まることから、必ずしもドライ環境下で行われる必要はないが、その後の工程(e)における電極の取り出しやそれに伴うセルの解体、分析は露点−50℃以下のドライ環境下で行う。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、その趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[単層ラミネートセルの作製]
活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3(NMC))、導電助剤(アセチレンブラック)及びバインダー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))を重量比86:7:7で混練し、溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用い、集電体である45×45mmのAl箔上に塗布、80℃で12時間真空乾燥させて正極を作製した。ロールプレスにて2.5g/ccの密度とした。
活物質(グラファイト)、導電助剤(アセチレンブラック)及びバインダー(PVDF)を重量比86:7:7で混練し、溶媒としてNMPを用い、集電体である50×50mmのCu箔上に塗布、80℃で12時間真空乾燥させて負極を作製した。ロールプレスにて1.3g/ccの密度とした。
電解液は1M LiPF/EC:DEC=1:1(vol.)を用いた。
得られた電極、電解液及びポリエチレン製の多孔質セパレータを用いて露点−50℃以下のドライベンチ中で単層ラミネートセルを作製した。
[リチウムイオン濃度分布の分析]
得られた単層ラミネートセルを下記条件で3サイクル充放電するコンディショニングを行った後、ドライ環境下(露点−50℃以下)で外装を解体した。負極、セパレータ、正極が接したまま短絡しないように取り出し、バット中の電解液(1M LiPF/EC:DEC=1:1(vol.))に浸漬させ、さらに正極と負極の外側をそれぞれセラミック板で押さえつけることにより拘束した。
(条件)
上限電圧 4.2V
下限電圧 2.7V
充放電レート 0.2C
測定温度 25℃
休止時間 10分
次いで、10Cの放電レートにて充電率(SOC)75%まで放電させた。なお、1Cとは定電流放電(定電流充電)において、1時間で放電(充電)が終了する電流値を表し、10Cとは、1/10時間(0.1時間)で放電(充電)が終了する電流値を表す。
放電停止直後、1分以内に正極を取り出し、溶媒(DEC)に浸漬することにより、正極中の電解液を除去し、リチウムイオン濃度分布の保持を行った。
その後正極を取り出してグロー放電発光分析法(GD−OES、(株)堀場製作所製 GD−Profiler2)を用い、正極中の深さ方向リチウムイオン濃度分布を測定した。結果を図2の「Before」に示す。(実施例1)
その後、GD−OES測定に供した正極を再度1M LiPF/EC:DEC=1:1(vol.)の電解液に1時間浸漬した。これは、放電停止直後、正極中の電解液を除去せず、リチウムイオン濃度分布の保持ができていない(電解液の除去に時間がかかった)場合の模擬試験である。
その後、正極を溶媒(DEC)に浸漬することにより、正極中の電解液を除去し、実施例1と同様にグロー放電発光分析法による深さ方向リチウムイオン濃度分布を測定した。結果を図2の「After」に示す。(比較例1)
その結果、充放電停止直後に電極内部から電解液を除去しないと電極の深さ方向のリチウムイオン濃度分布に大きな差が見られないのに対し(比較例1 After)、充放電停止直後に電極内の電解液を溶媒に置換することで除去することにより、電極の深さ方向リチウムイオン濃度分布に大きな差が見られる(実施例1 Before)ことが分かった。
すなわち、充電又は放電を停止してから1分以内に電極内の電解液を除去することにより、電極内のリチウムイオン濃度分布を保持(リチウムイオン濃度分布の緩和を抑制)することにより、充放電時の電極内のリチウムイオン濃度分布状態を維持できていると判断できる。
一方で、電解液除去に時間がかかる従来の調査方法では濃度分布の緩和が起こり、ほとんど充放電時の状態が考察できない状態になっていることが確認された。
1 正極
2 セパレータ
3 負極
4 電解液
5 電極タブ
6 セラミック板

Claims (8)

  1. 電極及び電解質を含むリチウムイオン二次電池を充放電する工程と、
    前記充放電する工程の任意の時点で充電又は放電を停止する工程と、
    前記充電又は放電を停止してから1分以内に、前記電解質のイオン伝導性を低下させて前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程と、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持した後の前記電極を取り出して分析に供する工程と、
    を含む、リチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  2. 前記リチウムイオン二次電池が単層ラミネートセルであり、
    前記充放電する工程の前に露点−50℃以下のドライ環境下で、前記単層ラミネートセルの外装を除去する工程と、前記外装を除去した単層ラミネートセルの正極、セパレータ及び負極の対を電解液に浸漬する工程と、を行い、
    前記充放電する工程が、前記浸漬する工程で前記対が電解液に浸漬された状態で行われ、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、電極中の電解液をイオン伝導性が無い溶媒に置換することで行われる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  3. 前記リチウムイオン二次電池が積層型構造又は巻回型構造のセルであり、
    前記セルの外装には溶液のin−out端子が設けられ、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記in−out端子を通じて電解液をイオン伝導性が無い溶媒に置換されることで行われる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  4. 前記リチウムイオン二次電池が積層型構造又は巻回型構造のセルであり、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルを液体窒素に浸漬する工程、その後電解液のイオン伝導度が低い温度、又は電解液が凝固している状態を保ったまま前記セルを露点−50℃以下のドライ環境下で解体する工程、及び、次いで露点−50℃以下のドライ環境下で前記解体したセルを常温に戻すと同時に、少なくとも前記電極をイオン伝導性が無い溶媒に浸漬することにより電解液を溶媒に置換する工程を含む、請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  5. 前記溶媒が、リチウム塩を溶解可能な溶媒である、請求項2〜4の何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  6. 前記溶媒が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはジメチルエーテルである、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  7. 前記リチウムイオン二次電池が全固体型のセルであり、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルを加熱して前記電解質をイオン伝導性が10−4S・cm−1以下の相に変態させることで行われる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
  8. 前記リチウムイオン二次電池が全固体型のセルであり、
    前記電極におけるリチウムイオン濃度分布を保持する工程が、前記セルに外力を加えることで前記電解質にクラックを生じさせ、前記電解質のイオン伝導性を10−4S・cm−1以下にすることで行われる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極内のリチウムイオン濃度分布を分析する方法。
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