JP6383646B2 - 金属缶 - Google Patents

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Description

本発明は、缶胴に立体感を呈する縞模様が印刷された金属缶に関する。
飲料用アルミニウム缶等の金属缶の意匠性を高めるための手法として、マット調の塗膜形成やエンボス加工が知られている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、樹脂成分に熱膨張性微小中空体フィラーおよび多孔性粒子状シリカを含有させた発泡マットインキが記載されている。前記発泡マットインキは塗装後の焼付によりフィラーを発泡させて凹凸を生じさせ、さらにシリカの艶消し効果によりマット感を強調したものである。また、前記シリカは、平均粒径が0.1〜12μmで一次粒子がシロキサン結合して二次凝集体を形成し、その二次凝集体の表面にシラノール基を有し、および/または表面を疎水化した粒子を形成した粒子である。また、インキ組成物中のシリカ粒子は2〜30重量%である。
特許文献2には、水性塗料100重量部に、吸油量が100〜400mL/100gで平均粒径1〜10μmのシリカ粒子1〜12重量部を配合した水性塗料組成物が記載されている。
特許文献3には、缶胴にエンボス加工して形成した三角形の凹エンボス部をさらに小さい三角形に区分し、隣接する小三角形を高反射部と低反射部とに塗り分けて立体感に変化を付ける方法が記載されている。
特開平10−279852号公報(特許請求の範囲、[0005][0014]〜[0016]) 特開2009−203298号公報(請求項1) 特開2004−210326号公報(特許請求の範囲、図1、2)
しかしながら、特許文献1、2で用いられているシリカ粒子は光の散乱効果が小さいためにマット感が乏しいので、高級感を感じさせるマット感を得ようとするとシリカ粒子の添加量を増やさなければならない。シリカ粒子量の多い塗料は塗膜が剥離しやすい。また、塗膜表面の凹凸が大きいために缶の滑りが悪くなり、缶の製造ラインや内容物の充填ラインで缶が詰まりやすくなる。
特許文献3はエンボス加工と印刷という2つの工程が必要であるために製造効率の点で難がある。また、凹エンボス部と印刷の位置を合わせなければならない。
本発明は上述した背景技術に鑑み、印刷によって立体感を感じさせる意匠性の高い金属缶の提供を目的とする。
即ち、本発明は下記[1]〜[6]に記載の構成を有する。
[1]円筒形の缶胴の周壁に、複数の筋状のセルが缶胴の周方向に連続して形成された縞模様が印刷された金属缶であり、
前記縞模様は、
セル内が缶胴の周方向において階調が変化するグラデーションで表示されるとともに、隣接するセルの境界が明るさの不連続によって表示され、
セル内は、セルの周方向の一端が他端よりも暗く、かつ一端と他端の中間部に明るさの頂点となる明部が形成されている、
ことを特徴とする金属缶。
[2]前記縞模様が、缶胴の半径をr、印刷画像の高さをhとするとき、印刷画像の底辺とセルとが交わる角度で表されるセルの傾斜角度θがtan−1(h/πr)°以上で90°未満となされた斜め縞であり、
前記セルの周方向における幅D1が缶胴の周長さの2.0〜6.5%であり、前記セルの一端から前記明部までの距離が前記幅D1の50〜95%である前項1に記載の金属缶。
[3]前記セル内はセルの流れ方向に階調が変化するグラデーションで表示され、前記明部が流れ方向の下方で一端側にシフトしている前項2に記載の金属缶。
[4]前記縞模様がセルと周壁の底辺とが直角に交わる縦縞であり、
前記セルの周方向におけるセルの幅D2が缶胴の周長さの3.5〜8.0%であり、
前記セルの一端から前記明部までの距離が前記幅D2の50〜70%であり、
かつ前記明部と他端との間に暗さの頂点となる暗部を有し、さらに前記暗部の他端側に他端に続く第2明部が形成されている前項1に記載の金属缶。
[5]前記縞模様の上にマット調塗膜が積層されている前項1〜4のうちのいずれか1項に記載の金属缶。
[6]前記マット調塗膜の60°鏡面光沢度が12〜35%である前項5に記載の金属缶。
上記[1]に記載の金属缶は、縞模様を構成するセルが周方向の一端が他端よりも暗くなるグラデーション印刷によって表示されている。このグラデーションの周方向の中間部に明部が形成されているので、明暗の組み合わせによって立体感を感じさせることができる。また、セルの境界を明るさの不連続で表すことにより、複数のセルに跨がるグラデーションの流れを損なうことなく各セルの区切りが表現され、より複雑な立体感を有する縞模様を表現することができる。
上記[2]に記載の金属缶は縞模様が斜め縞であり、規定されたセルの傾斜角度θおよび幅D1により、強い立体感を感じさせることができる。
上記[3]に記載の金属缶は、斜め縞のセル内においてセルの流れ方向においてもグラデーション印刷がなされ、明部を下方で一端側にシフトさせることで、円筒形の缶胴上でセルをスパイラルに見せ、かつスパイラルを強調することで強い立体感を感じさせることができる。
上記[4]に記載の金属缶は縞模様が縦縞であり、規定されたセルの幅D2により強い立体感を感じさせることができる。また、セル内においては、周方向の他端の第2明部が隣接するセルの一端の暗部に接していることでより明るく見えて、突出する稜線のように見せることができる。また、周方向の中間部の明部と前記第2明部という2箇所に明部を設け、かつこれらの間に暗部を設けることで、第2明部の凸感が強調される。
上記[5]に記載の金属缶は、縞模様の上にマット調塗膜が積層されて光沢が抑えられているので、縞模様は艶消しによる高級感が醸し出される。
上記[6]に記載の金属缶は、60°鏡面光沢度が12〜35%の範囲に設定されているので、縞模様の視認を妨げることなくマット感を感じさせることができる。
本発明の金属缶の一実施形態である斜め縞を印刷した缶胴の斜視図である。 図1Aの斜め縞の部分拡大図である。 缶胴の印刷画像の平面展開図である。 斜め縞の周方向における2個のセルの網点濃度の変化図である。 斜め縞の流れ方向における網点濃度の変化図である。 斜め縞における周方向の影の形成を説明する図である。 斜め縞における流れ方向の影の形成を説明する図である。 本発明の金属缶の一実施形態である縦縞を印刷した缶胴の斜視図である。 図6Aの縦縞の部分拡大図である。 斜め縞の周方向における2個のセルの網点濃度の変化図である。
図1Aおよび図6Aはビールや清涼飲料の容器として使用される飲料用アルミニウム缶の有底円筒形の缶胴1、2である。前記缶胴1、2の周壁10の平滑な部分に斜め縞11または縦縞41の縞模様が印刷されている。また、前記缶胴1,2は、周壁の上部にネック加工が施されており、上端開口部に蓋を取り付けて密封するツーピース缶である。
前記金属缶の材質は限定されず、アルミニウム、鋼等を使用できる。また、金属缶の形状も平坦な周壁を有していること以外に制限はなく、縮径されたネック部を有さないストレート缶、缶胴の上部に雄ねじ部を形成してスクリューキャップを装着するようにしたボトル缶、無底缶胴に底体および蓋体を取り付けるスリーピース缶のいずれにでも適用できる。また、缶の用途も飲料用に限定されない。
縞模様とは複数の筋状のセルが缶胴の周方向に連続して形成される模様である。図1Bは図1Aの斜め縞11を構成する1つのセル12の拡大図である。図6Bは図6Aの縦縞42を構成する1つのセル42の拡大図である。これらの縞模様は、セル12、42内が缶胴1、2の周方向において階調が変化するグラデーションで表示されるとともに、隣接するセル12、42の境界が明るさの不連続によって表示され、さらに、セル12、42の周方向の一端が他端よりも暗く、かつ一端と他端の中間部に明るさの頂点となる明部21、31、51が形成されることにより、立体感を呈している。なお、図1Aにおいては、一部のセルにのみグラデーションを表示して残りのセルのグラデーション表示を省略しているが、缶胴1には全てのセル12に図1Bに示したグラデーションが表示されている。
缶胴に印刷された縞模様は、縞模様の形態や寸法によって立体感の感じ方に強弱差があり、またより強く立体感を感じさせるグラデーションの付け方がある。以下に、より強く立体感を感じさせる縞模様およびグラデーションの付け方について詳述する。
グラデーションを付ける手法として、網点印刷の網点濃度を変化させる方法がある。網点濃度はインクが付着している部分の面積率で表され、100%は全面にインクがのって塗りつぶされている状態であり、0%はインクが全く付着していない状態である。網点濃度が高い程インクの付着面積率が高く濃色となり暗く見える。逆に網点濃度が低い程インクの付着面積率が低く淡色となり明るく見える。そして、明暗および明暗の強弱を組み合わせることによって凹凸を感じさせる。また、凹凸感は目の錯覚によるものであるから、見る人の感じ方や照明の具合等で凹凸感が変化し、この変化がさらに複雑で美しい立体感を醸し出す要因となる。以下の説明において、「網点濃度が高い」は「暗い」と同義であり、「網点濃度が低い」は「明るい」と同義である。
前記缶胴1、2は同一寸法であり印刷された縞模様11、41のみが異なる。図2は、図1Aおよび図6Aの缶胴1、2の周壁10の縞模様11、41が印刷されている部分10aを平面に展開した図であり、複数の筋状のセル12、42のうちの1本のみを表示している。
なお、前記缶胴1、2を示す図面において同一の符号は同一物を示すものとして重複する説明を省略する。
[斜め縞の縞模様]
図2に示されているように、斜め縞11とはセル12の流れ方向Xが印刷画像10aの底辺13に対して傾斜した縞模様であり、印刷画像10aの底辺13とセル12とが交わる角度θが0°よりも大きく90°よりも小さい範囲をとる縞模様が斜め縞である。前記傾斜角度θが0°に近くなる、換言するとセル12の流れ方向Xが印刷画像10aの底辺13に対して平行に近くなると立体感が乏しくなるので、本発明においては傾斜角度θが一定値以上となる斜め縞を推奨する。本発明においては、缶胴1を正面から見たとき、一つのセル12の上端および下端を視認できる角度を傾斜角度θの最小値とする。
なお、前記傾斜角度θが90°の縞模様とは図6Aに示した縦縞41である。
前記印刷画像10aの底辺13と周壁10の底辺(符号なし)の位置は一致していないが、これらの方向はいずれも円周方向であって一致している。また、図1Aの斜め縞11および図6Aの縦縞41において、後述する印刷画像10aの高さhは周壁10の高さ(符号なし)と略一致しているが、本発明は印刷画像10aの高さが周壁10の高さと一致していることを要件としない。即ち、周壁10の高さ方向の一部に縞模様が印刷されている場合も本発明に含まれる。
ここで、缶胴の半径をr、印刷画像10aの高さをh、セル12を印刷画像10aの底辺13上に投影したときの寸法(以下、「セルの投影寸法」と略する)をAとすると、セル12の傾斜角度θはtanθ=h/Aで表される。周壁10の底辺寸法wは缶胴の周長さであるからw=2πrで表される。円筒缶では視認可能な領域は底辺寸法wのうちの1/2であるから、視認可能なセル12の投影寸法Aの最大値はw/2以下である。
傾斜角度θはtanθ=h/Aで表されるから、
tanθ=h/A=h/(w/2)=2h/w
θ=tan−1(2h/w)=tan−1(2h/2πr)=tan−1(h/πr)
となる。
従って、傾斜角度θの最小値はtan−1(h/πr)°である。また、傾斜角度θは90°よりも小さいことが条件であるから、斜め縞のセル12の傾斜角度θはtan−1(h/πr)°以上で90°未満である。特に好ましい傾斜角度θは50〜80°であり、さらに好ましい傾斜角度θは60〜70°である。
なお、前記斜め縞11はセル12の流れ方向Xが右高左低であるが、流れ方向が左右逆転した右低左高の斜め縞となる場合もある。本発明において、セルの傾斜角度θは流れ方向が左右どちらであっても90°未満となる角度で表わされる。
また、前記セル12の周方向の寸法で表される幅D1も立体感の強弱に影響を与える要因である。前記幅D1は缶胴1の周長さwの2.0〜6.5%の範囲が好ましい。幅D1が2.0%よりも小さくなると、後述する印刷によるグラデーションを識別しにくくなってグラデーション効果が弱くなる。また、セル12の本数が多くなるので、グラデーション効果の低下と相俟って単調な印象になり、単なる線のように見えて立体感が乏しくなる。一方、幅D1が6.5%を超えると、缶胴1の丸みが目立ってグラデーション効果が低下する。斜め縞11におけるセル12の好ましい幅D1は周長さwの2.2〜5.0%であり、さらに好ましい幅D1は周長さwの2.5〜4.0%である。直径66mmの缶胴を例に挙げると、周長さw=2×π×33=207.4mmであるから、セル12の幅D1の好適範囲であるwの2.0〜6.5%は4.1〜13.5mmである。
上述したように前記斜め縞11はセル12の流れ方向Xが右高左低であり、缶胴1の左斜め上に光源を配置して右斜め下方向に照明し、缶胴1を正面から見たときに、最も強く立体感を感じるように、セル12内のグラデーションが設定されている。
図3、4、表1は、図1A、1Bの斜め縞11を構成するセル12内のグラデーションをセル12内の位置と網点濃度とで表している。また、セル12内の周方向の一端を左端、他端を右端として表している。前記缶胴1は直径66mm、周長さw=2×π×33=207.4mmであり、これらの図表に示したデータは120Lpi(ライン/インチ)の網点印刷に基づいている。前記セル12の幅D1は6.753mmであり、wの3.2%であり、セル12の傾斜角度θは67.7°である。
図3は、セル12の周方向における網点濃度の変化例を示すグラフであり、縦軸が網点濃度を表し、横軸が1つのセル12の左端を起点とする周方向の位置を表し、セル12の2個分をフルスケールで表している。また、実線がセル12の流れ方向Xの上端における網点濃度を表し、点線が流れ方向Xの下端における網点濃度を表している。
これらの図表に示すように、周方向における左端側に網点濃度が最大値となる最大濃度部20、30が存在し、網点濃度が最小値となる最小濃度部21、31が左端と右端との間に存在し、右端に網点濃度が前記最大値よりも低く最小値よりも高い中間値となる中間濃度部22、32が存在し、前記最大濃度部20、30から最小濃度部21、31へと網点濃度が連続的に低くなるとともに、前記中間濃度部22、32から最小濃度部21、31へと網点濃度が連続的に低くなる。即ち、両端から最小濃度部21、31に向かって網点濃度が低くなるグラデーションであり、幅方向の中間部に最も明るい最小濃度部21、31があって中間部が凹んだエンボスのように見える。前記最小濃度部21、31は本発明における明部に対応し、左端と右端の中間部に形成された明るさの頂点である。
前記セル12は、網点濃度を流れ方向Xにも変化させ、流れ方向Xにもグラデーションを付けることでさらに立体感が強められている。図3において、流れ方向Xにおける上端(実線)と下端(点線)の網点濃度が異なっていることから、流れ方向Xにもグラデーションが付いていることが分かる。周方向の左端から最小濃度部21、31までの間は上端から下端へ網点濃度が低くなるように変化し、最小濃度部21、31から右端までの間は上端から下端へ網点濃度が高くなるように変化している。また、流れ方向Xにおける網点濃度の変化率を周方向において差をつけることもできる。このため、周方向における最大濃度部20、30および最小濃度部21、31の位置が流れ方向Xにおいて変化することがあり、最大濃度部20、30は周方向の左端側に存在するが左端上ではないこともある。前記セル12の下端において、周方向の左端の網点濃度は最大濃度部30よりも低く中間濃度部32よりも高い。かかる網点濃度により、第2暗部33を形成している。
前記セル12は周方向に連続しているので、一つのセル12の右端と隣接するセル12の左端とは隙間無く接している。図3に示されているように、流れ方向Xの上端において、左側のセルの右端の中間濃度部22と右側のセルの最大濃度部20とが接し、両者の境界においてグラデーションが途切れて網点濃度が不連続になっている。同様に、下端において、左側のセルの右端の中間濃度部32と右側のセルの第2暗部33とが接し、両者の境界においてグラデーションが途切れて網点濃度が不連続になっている。上記の網点濃度の不連続点はセル12の流れ方向Xに連なって不連続線25を形成し、この明るさの不連続線25がセル間の境界線となっている。網点濃度は明るさを示しているから、明るさの不連続によって隣接するセル12の境界が示されている。このように、セル12の境界を明るさの不連続で表すことにより、個々のセル12による凹凸感に関連性を持たせ複数のセル12に跨がるグラデーションの流れを損なうことなく各セル12の区切りを表現できる。そして、より複雑な立体感を感じさせる斜め縞11を表現することができる。仮に、セルの境界を色彩や明るさの異なる線で表現すると、セルの区切りが明確になりすぎて隣接するセルとの関連性が途切れるので単調な縞模様となる。
また、前記セル12は、周方向の両端が中間部よりも暗く中間部が明るくなるグラデーションを付け、中間部が凹んだエンボスのように見えるようにしている。右高左低に傾斜するセル12に対し、左斜め上から右斜め下に向けて照明すると、缶胴1への入射光とセル12の流れ方向Xとが交差する。このような照明下では、照明から遠い側に形成される陰影が濃くなるので、明暗差が生じやすく凹凸感を表現しやすい。図4に示されているように、セル12の四隅においては、左上部B1が最も暗く、左下部B3、右下部B2、右上部B4の順に明るく見える。即ち、印刷による明暗と一致しており、前記照明が印刷によるグラデーションを強調するので、立体感を強く感じさせるができる。
グラデーション方向の変換点である最小濃度部21、31は幅方向の中心または中間濃度部22、32が存在する右端側に寄った位置、即ち最大濃度部20、30から遠くなる位置に形成することが好ましい。このように中心または右端側に寄せることで、左端から右端へと明るくなるグラデーションの流れを感じさせつつ、最小濃度部21、31の存在を際立たせて立体感を強く感じさせることができる。最小濃度部21、31を網点濃度の高い左端側に寄せると、明るい最小濃度部21,31が切り立った稜線のように見えて全体のグラデーションの流れが崩れるおそれがある。このような理由により、周方向の左端から最小濃度部21、31までの距離は幅D1の50〜95%が好ましく、より好ましくは幅D1の55〜92%であり、さらに好ましくは幅D1の58〜90%である。図3、図4、表1の例では、流れ方向Xの上端において左端から最小濃度部21までの距離は5.873mmであり、幅D1の87%である。また、流れ方向Xの下端において左端から最小濃度部31までの距離は3.942mmであり、幅D1の58%である。
また、前記セル12は流れ方向Xにもグラデーションが形成されている。その結果、最小濃度部21、31が流れ方向Xの下方に進むにつれて左端側にシフトしている。また、最小濃度部21、31のシフトに伴って、最小濃度部21、31の両側の暗い部分がセルの境界と平行になっておらず、最大濃度部20、30が流れ方向Xの下方に進むにつれて右端側にシフトして、下端側の左端上には最大濃度部30よりも網点濃度の低い第2暗部33が形成されている。また、最小濃度部21、31が下方に進むにつれて左端側にシフトすることにより、左端側の暗い部分の幅が下方に進むにつれて狭くなっている。上記のように流れ方向Xにグラデーションを付ける理由は以下のとおりである。
前記斜め縞11を平面に展開するとセル12の流れ方向Xは直線で表される(図2参照)が、円筒形の缶胴上1ではスパイラルに見え、スパイラルを強調することで立体感を強めることができる。
図5Aは、波線60が平面上に展開された周方向のグラデーションの濃淡を表し、このグラデーションが矢印で示される左斜め上からの照明光Lを受けたときに影61ができる箇所を斜線で示している。前記波線60の上端点がセル12の左端を示し、左端側の影61ができることを示している。また影61は斜線の長さが長いほど影が濃く暗く見えることを示している。従って、セル12の左端側を暗くすれば左斜め上から照明されているように見せることができ、コントラストを強く感じさせてスパイラルを強調することができる。
図5Bは缶胴1を正面視したときのセル12の見え方を示した図であり、62が隣接するセル12の境界、即ちセル12の左端を示している。上述したように、缶胴1に印刷されたセルはスパイラルに見えるので、傾斜角度θのセル12は、流れ方向Xの中央でθに見える傾斜角度が流れ方向Xの上下に進むほど傾斜角度が大きくなり、90°に近づいたかのように見える。しかも、傾斜角度θが変化しているように見えることで曲線に見え、スパイラルに見える。照明光Lとセル12の流れ方向Xの交差角度の変化に伴って影の大きさも変化し、境界線が湾曲している部分に大きな影ができる。
従って、セル12の左端側の暗い部分の幅を下方に進むにつれて狭くすることによって、左斜め上から照明を受けているような錯覚を起こしやすい。その結果、スパイラルが強調されて立体感を強く感じさせることができる。
なお、前記最大濃度部20,30はセル12の左端上にあることは要さず、左端の近傍に存在していても良い。前記最大濃度部20,30が左端側に存在すれば、左端側から右端側に向かって明るくなるグラデーションの流れを感じさせることができる。図3、4、表1のセル12においては、上端の最大濃度部20は左端上に存在し、下端の最大濃度部30は左端から0.300mm右端側に寄っている。最大濃度部30を右端側に寄せる場合は、シフト量をセル12の幅D1の10%以下とすることが好ましく、5%以下であればより好ましい。
前記セル12内の網点濃度の最大値に対する最小値および中間値に制限はないが、立体感を強く感じさせる好ましい網点濃度の比率は以下のとおりである。
周方向において、最大濃度部20の網点濃度を100%としたとき、中間濃度部22の相対網点濃度を10〜15%、中間濃度部32の相対網点濃度を35〜65%、最小濃度部21の相対網点濃度を8%以下最小濃度部31の相対網点濃度を5%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、中間濃度部22の相対網点濃度が10〜15%、中間濃度部32の相対網点濃度が45〜55%、最小濃度部21の相対網点濃度が7%以下、最小濃度部31の相対網点濃度が3%以下である。図3、4、表1の上端の網点濃度の変化に着目すると、左端上の最大濃度部20の絶対濃度84%を100%とした時の中間濃度部22の相対網点濃度は13.1%(絶対濃度11%)であり、最小濃度部21の相対網点濃度は4.8%(絶対濃度4%)である。
流れ方向Xにおいて、セル12内の網点濃度の最大値を100%とするとき、相対的な網点濃度差は10〜50%の範囲とすることが好ましい。より好ましい相対的網点濃度差は20〜45%であり、さらに好ましい相対的網点濃度差は26〜40%である。セル12の流れ方向Xにおいて網点濃度の差が大きくなりすぎると明暗差が大きくなりすぎて自然な立体感が損なわれるおそれがある。逆に網点濃度の差が小さくなると立体感を強める効果が乏しくなる。図3、図4、表1の左端上の網点濃度の変化に着目すると、上端の最大濃度部20の絶対濃度84%を100%とした時の下端部左端上の相対網点濃度は63.1%(絶対濃度53%)であり、その相対的網点濃度差は36.9%である。
[縦縞の縞模様]
図2、6Aに示すように、縦縞41とはセル42と周壁10の底辺、即ち印刷画像10aの底辺13とが直角に交わる縞模様である。斜め縞11と縦縞41は、セル12,42の流れ方向Xの相違により立体感を感じさせるセルの好適寸法やグラデーションの付け方が異なる。
縦縞41において、セル42の周方向における幅D2は缶胴2の周長さwの3.5〜8.0%の範囲が好ましい。幅D2が3.5%よりも小さくなると、後述する印刷によるグラデーションを識別しにくくなってグラデーション効果が弱くなる。また、セル42の本数が多くなるので、グラデーション効果の低下と相俟って単調な印象になり、単なる線のように見えて立体感が損なわれる。一方、幅D2が8.0%を超えると、缶胴2の丸みが目立ってグラデーション効果が低下する。縦縞41におけるセルの好ましい幅D2は缶胴2の周長さwの3.8〜6.5%であり、さらに好ましい幅D2は缶胴2の周長さwの4.0〜5.5%である。
図7および表2は、図6A、6Bの縦縞41を構成するセル42内のグラデーションをセル42内の位置と網点濃度とで表している。また、セル42内の周方向の一端を左端、他端を右端として表している。前記缶胴2は直径66mm、周長さw=2×π×33=207.4mmであり、これらの図表に示したデータは120Lpiの網点印刷に基づいている。前記セル42の幅D2は10.360mmである。
図7は、セル42の周方向における網点濃度の変化例を示すグラフであり、縦軸が網点濃度を表し、横軸が1つのセル42の左端を起点とする周方向の位置を表し、セル42の2個分をフルスケールで表している。
これらの図表に示すように、周方向において網点濃度が最大となる最大濃度部50が左端に存在し、右端側に向かって、網点濃度が極小値、極大値をとり、網点濃度が再び低くなって、その先は右端まで一定濃度となる。最大濃度部50から極小値となる極小部51へは網点濃度が低くなるグラデーションが形成され、極小部51から極大値となる極大部52へは網点濃度が高くなるグラデーションが形成され、極大部52から一定濃度となる第2明部53の始点53aへは網点濃度が低くなるグラデーションが形成される。また、第2明部53は右端上の終点53bまで続いている。前記極小部51および第2明部53はそれらの左右よりも明るいので凹んだエンボスのように見え、極大部52はそれらの左右よりも暗いので凹んでいるように見える。前記極小部51は本発明における縦縞の明部に対応し、左端と右端の中間部に形成された明るさの頂点である。また、前記極大部52は本発明における縦縞の暗部に対応し、前記明部と右端との間に形成された暗さの頂点である。
また、前記セル42の流れ方向Xにおいて網点濃度は変化せず、上端から下端まで一定の網点濃度で印刷されている。
前記セル42は周方向に連続しているので、一つのセル42の右端と隣接するセル42の左端とは隙間無く接している。図7に示されているように、左側のセルの右端の第2明部53の終点53bと右側のセルの最大濃度部50とが接し、両者の境界においてグラデーションが途切れて網点濃度が不連続になっている。前記縦縞41は流れ方向Xの上端から下端まで同一の網点濃度で印刷されているから、上記の網点濃度の不連続点はセル42の流れ方向Xに連なって不連続線55を形成し、この不連続線55がセル間の境界線となっている。網点濃度は明るさを示しているから、明るさの不連続線によって隣接するセル42の境界が示されている。また、上述した斜め縞11と同じく、セル42の境界を明るさの不連続で表すことにより、複数のセル42に跨がるグラデーションの流れを損なうことなく各セル42の区切りを表現でき、より複雑な立体感を感じさせる縦縞41を表現することができる。
前記縦縞41のセル42は、最大濃度部50および極大部52を網点濃度の頂点とする2つの暗部と、極小部51および第2明部53という2つの明部を有している。第2明部53は隣のセル42の前記最大濃度部50に接していることで明るさが強調される。また、第2明部53は所定の網点濃度(本例では2%)を一定領域内に連続させることで稜線のように見せ、稜線によって縦縞41の立体感を強く感じさせている。また、左端側の最大濃度部50から右端側に向かって網点濃度が低くなり、極小部51と第2明部53との間の領域が第2明部53からの反射光を受けているように見え、第2明部53による凸感が強調される。しかし、極小部51から第2明部53までを一様に明るくすると第2明部53の凸感が薄れるので、極小部51と第2明部53との間に極大部52を配置し、これらの明部よりも暗い領域を設けている。前記極大部52を設けることで第2明部53の凸感が却って強調される。
グラデーション方向の変換点となる極小部51の位置は、前記最大濃度部50との間の距離が前記幅D2の50〜70%であることが好ましく、同じく前記第2明部53の始点53aの位置は前記最大濃度部50と始点53aまでの距離が前記幅D2の90〜99%であることが好ましい。このように中心から右端側に寄った位置に2つの明部を形成することで、幅方向の全域にグラデーションの流れを感じさせつつ、2つの明部を際立たせることができ、立体感を強く感じさせることができる。前記最大濃度部50から極小部51および一定濃度部53の始点53aまでのさらに好ましい距離は幅D2の55〜65%および95〜99%であり、なお一層好ましい距離は幅D2の58〜62%および97〜99%である。図7および表2の例では、前記最大濃度部50から極小部51までの距離は6.265mmであり、幅D2(10.360mm)の60%である。同じく、前記最大濃度部50から極大部52までの距離は8.302mmであり、幅D2の80%である。前記最大濃度部50から第2明部53の開始点53aの距離は10.146mmであり、幅D2の98%である。
また、前記極大部52の位置は限定されないが、前記極小部51と第2明部53の始点53aとの間の略中央とすることが好ましい。
縦縞41においては、周方向の最大濃度部50はセル42の左端上に存在するので、上述した最大濃度部50と各部との距離は左端から各部までの距離である。
また、セル42内の網点濃度の絶対値に制限はないが、立体感を強く感じさせる濃度比率として、最大濃度部50の網点濃度を100%としたとき、極小部51の相対網点濃度を5%以下、極大部52の相対網点濃度を10〜25%、第2明部53の相対網点濃度を8%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、極小部51の相対網点濃度が1〜3%、極大部52の相対網点濃度が15〜20%であり、第2明部53の相対網点濃度が5%以下である。また、極小部51と第2明部53の相対網点濃度は同一であっても良いし差が合ってもよい。図7および表2の例では、左端上の最大濃度部50の絶対濃度53%を100%とした時の極小部51の相対網点濃度は1.9%(絶対濃度1%)であり、極大部52の相対網点濃度は17.0%(絶対濃度9%)、第2明部53の相対網点濃度は3.8%(絶対濃度2%)である。
前記斜め縞11および縦縞41は、周方向の左端側が暗く右端側が明るくなるグラデーションを表示しているが、本発明はグラデーションの方向を限定するものではない。逆方向のグラデーションも本発明に含まれる。
上述したように、斜め縞11、縦縞41のどちらでもグラデーション印刷によって立体感を感じさせることができる。とりわけ、斜め縞11は円筒形の缶胴上でセルがスパイラルに見えるので錯覚を起こしやすく、縦縞41よりも立体感を強く感じさせることができる。また、斜め縞11においては、セルの流れ方向Xが斜め上からの照明光と交差することになることも立体感が強められる要因となる。
また、グラデーション印刷による立体感は目の錯覚によって感じるものであるから、上述の図1A、図1Bの斜め縞11および図6A、6Bの縦縞41の立体感の説明における凹凸は絶対的なものではない。どのように錯覚するかあるいは錯覚の程度は見る人によって違いがあるため、見る人によっては凹凸を逆転して感じることがある。また、凹凸の程度の感じ方にも差がある。さらに、同じ人が見ても、照明や金属製の缶胴に映り込む背景等に影響を受けて凹凸を逆転して感じることもある。
[マット調塗膜]
前記マット調塗膜は、塗料に固体微粒子を配合して調製した液状の塗膜組成物を印刷した縞模様上に塗布し、固化することにより形成する。マット調塗膜は缶胴の金属光沢および縞模様11,41の印刷インキの光沢を抑えて高級感を醸し出す効果がある。
塗料は金属缶用の周知のものを使用でき、特に限定されない。ポリエステル、アクリル樹脂、アミノ樹脂等の樹脂に溶剤を加えて塗料を例示でき、揮発性の溶剤成分が少ない点で水性塗料が好ましい。
固体微粒子はシリカ、アルミナ、タルク等を使用でき、特に限定されない。これらのうちでも、少量で強いマット感が得られるシリカを推奨できる。シリカの中でも、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している多孔質シリカ粒子が好ましい。前記二次粒子は一次粒子間に微細な細孔を有しているので光の散乱効果が大きく、少量でマット感を得ることができる。また、少量でマット感が得られ塗膜表面に凹凸ができにくい。このため、大きな凹凸により缶の滑りが悪くなったり、缶の製造ラインや内容物の充填ラインで缶が詰まりやすくなったりすることがない。
前記多孔質シリカ粒子の二次粒子の平均粒子径は2.0〜10μmの範囲であることが好ましい。前記二次粒子の平均粒子径が小さくなるほど強いマット感が得られるが、平均粒子径2.0μm未満になると縞模様が見えにくくなって意匠性が低下するおそれがある。一方平均粒子径が10μmを超えると光の散乱効果が小さくなってマット感が弱くなる。マット感を得るために多量のシリカ粒子を配合すると、塗膜が硬くなって剥離し易くなる。また、塗膜表面の凹凸が大きくなるので、製缶ラインまたは充填ラインにおいて缶の流れを妨げるおそれがある。特に好ましい平均粒子径は2.2〜6.0μmであり、より好ましくは2.5〜4.0μmである。
また、前記二次粒子の平均粒子径はマット調塗膜の厚さよりも小さいことが好ましい。このような粒子径のシリカを用いればマット調塗膜の表面凹凸が大きくならないので、上述した表面凹凸による問題を回避できる。
前記二次粒子において一次粒子間に形成される細孔径は0.5〜100nmの範囲であることが好ましい。前記細孔径は小さくなりすぎてもまた大きくなりすぎて光の散乱効果が小さくなってマット感が弱くなるので、上記の範囲であることが好ましい。特に好ましい細孔径は5.0〜80nmの範囲であり、より好ましくは10.0〜70nmである。
前記マット調塗膜において、塗料の樹脂成分100質量部に対して0.5〜5質量部の多孔質シリカ粒子が含まれていることが好ましい。多孔質シリカ粒子が0.5質量部未満であるとマット感が弱くなる。一方、5質量部を超えてもマット感は変わらない。また、増量により塗膜が硬くなって剥離性が低下するおそれがある。多孔質シリカ粒子の好ましい配合割合は塗料の樹脂成分100質量部に対して1〜4質量部であり、より好ましくは、2〜3質量部である。
前記マット調塗膜は、塗料中に多孔質シリカ粒子を分散させて塗膜用組成物を調製し、この塗膜用組成物を印刷した縞模様上に塗布し、焼き付けることにより形成される。前記マット調塗膜の量は20〜100mg/dmの範囲が好ましい。前記塗膜量は焼き付け後の量である。塗膜量が20mg/dmより少なくなって塗膜厚さが薄くなるとマット感が乏しくなり、かつ塗膜が傷つきやすくなる。一方、塗膜量が100mg/dmより多くなると剥離しやすくなり、コストも高くなる。マット調塗膜のより好ましい量は30〜80mg/dmの範囲であり、さらに好ましい範囲は40〜60mg/dmである。また、前記塗膜量は10cm×10cmあたりの塗膜質量として表されるが塗膜厚さを反映する数値である。
前記マット調塗膜のマット感の強弱は光沢度で表すことができる。前記マット調塗膜の光沢度は、JIS Z8741に基づく60°鏡面光沢度が12〜35%の範囲であることが好ましい。60°鏡面光沢度が12%未満ではマット感が強く縞模様が見えにくくなる。一方35%を超えると反射光が強くなってマット感が乏しくなる。60°鏡面光沢度のより好ましい範囲は15〜30%であり、さらに好ましい範囲は19〜25%である。
(実施例1)
半径33mmのアルミニウム製DI缶からなる缶胴の周壁10の平坦部分に、120Lpiの網点印刷により、図1A、1Bに示す斜め縞11を印刷した。印刷した平坦部分を展開すると、図2に参照されるように、底辺wが2πr=207.4mm、高さhが95mmの長方形である。縞模様の印刷仕様は表3に示すとおりである。
前記印刷層上にオーバーコート層としてマット調塗膜を形成した。前記マット調塗膜の材料として、DICグラフィックス株式会社製の2ピース缶外面缶胴用水性塗料1WB306と、シリカ粒子を用いた。前記シリカ粒子は一次粒子が凝集して二次粒子が形成された多孔質シリカ粒子であり、二次粒子の平均粒子径が3.7μm、二次粒子の細孔径は30nm(度数分布の最頻値)である、塗膜組成物は前記水性塗料100質量部に2.5質量部の多孔質シリカ粒子を配合して調製し、上記の缶胴1の斜め縞11の印刷面上に塗布し、200℃で30秒以上焼き付けて乾燥させた。乾燥後の塗膜量は50.7mg/dmであった。
上記の缶胴1を目視観察したところ、立体感およびマット感を感じる縞模様であった。
前記オーバーコート層の光沢度については、縞模様の影響を排除するために、アルミニウム製DI缶の外周面に、縞模様の代わりに白インキで全面印刷し、実施例1と同じ塗膜組成物でマット調塗膜を形成した試験用缶を作製し、この試験用缶で測定した。光沢度は、Gardner社製のmicro TRI glossを用い、缶胴の中央部で、60°鏡面光沢度をJIS Z8741に準拠して測定した。測定した光沢度を表3に示す。
(実施例2)
オーバーコート層として艶のある塗膜を形成したこと以外は、実施例1と同じ方法で斜め縞の缶胴およびオーバーコート層の光沢度測定用の試験缶を作製した。
前記オーバーコート層は、DICグラフィックス株式会社製の2ピース缶外面缶胴用水性塗料1WB306のみを用いて形成した。乾燥後の塗膜量は42.2mg/dmであった。
また、実施例1と同じ方法で前記試験缶の光沢度を測定した。測定した光沢度を表3に示す。
(実施例3)
縞模様を図6に示す縦縞42に変更したことを以外は実施例1と同じ方法で縞模様の印刷およびマット調のオーバーコート層を形成した。
(実施例4)
縞模様を図6A、6Bに示す縦縞42に変更したことを以外は実施例4と同じ方法で縞模様の印刷および艶のあるオーバーコート層を形成した。
実施例1〜4の缶胴はいずれも立体感を感じさせるものであった。また、実施例1、3の缶胴は十分にマット感を感じさせるものであった。
本発明は、ビールや清涼飲料用の缶として好適に利用できる。
1、2…缶胴
10…周壁
10a…印刷画像
11…斜め縞(縞模様)
12、42…セル
13…底辺
20、30、50…最大濃度部
21、31…最小濃度部(明部)
22、32…中間濃度部
41…縦縞(縞模様)
51…極小部(明部)
52…極大部(暗部)
53…第2明部
53a…第2明部の始点
θ…セルの傾斜角度
r…缶胴の半径
h…印刷画像の高さ
A…セルの投影寸法
w…缶胴の周長さ
D1、D2…セルの幅
X…セルの流れ方向

Claims (5)

  1. 円筒形の缶胴の周壁に、複数の筋状のセルが缶胴の周方向に連続して形成された縞模様が印刷された金属缶であり、
    前記縞模様が、缶胴の半径をr、印刷画像の高さをhとするとき、印刷画像の底辺とセルとが交わる角度で表されるセルの傾斜角度θがtan −1 (h/πr)°以上で90°未満となされた斜め縞であり、
    セル内が缶胴の周方向において階調が変化するグラデーションで表示されるとともに、隣接するセルの境界が明るさの不連続によって表示され、
    セル内は、セルの周方向の一端が他端よりも暗く、かつ一端と他端の中間部に明るさの頂点となる明部が形成され、
    前記セルの周方向における幅D1が缶胴の周長さの2.0〜6.5%であり、前記セルの一端から前記明部までの距離が前記幅D1の50〜95%であることを特徴とする金属缶。
  2. 前記セル内はセルの流れ方向に階調が変化するグラデーションで表示され、前記明部が流れ方向の下方で一端側にシフトしている請求項に記載の金属缶。
  3. 円筒形の缶胴の周壁に、複数の筋状のセルが缶胴の周方向に連続して形成された縞模様が印刷された金属缶であり、
    前記縞模様がセルと周壁の底辺とが直角に交わる縦縞であり、
    セル内が缶胴の周方向において階調が変化するグラデーションで表示されるとともに、隣接するセルの境界が明るさの不連続によって表示され、
    セル内は、セルの周方向の一端が他端よりも暗く、かつ一端と他端の中間部に明るさの頂点となる明部が形成され、
    前記セルの周方向におけるセルの幅D2が缶胴の周長さの3.5〜8.0%であり、
    前記セルの一端から前記明部までの距離が前記幅D2の50〜70%であり、
    かつ前記明部と他端との間に暗さの頂点となる暗部を有し、さらに前記暗部の他端側に他端に続く第2明部が形成されていることを特徴とする金属缶。
  4. 前記縞模様の上にマット調塗膜が積層されている請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の金属缶。
  5. 前記マット調塗膜の60°鏡面光沢度が12〜35%である請求項に記載の金属缶。
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