以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
図1は、鉄道システム1の概要及び架線電圧の変動を示す。ここでの鉄道システム1は、A変電所101a、B変電所101b、車両103a及び車両103bがそれぞれ架線102に接続して構成される。A変電所101a及びB変電所101bは、架線102を介して車両103a及び103bに電力を供給する施設である。
車両103a及び103bは、変電所からの電力の供給を受けて力行又は回生する電気車両である。ここでは車両103aが力行中の車両(力行車両)、車両103bが回生中の車両(回生車両)として示されている。なお車両103a及び103bを区別しない場合には、総称して「電気車両103」と呼ぶ。
電気車両103は、後述するように蓄電又は放電する電力蓄積装置を備える。ここでは力行車両103aが電力蓄積装置において蓄積された電力を放電しながら力行することにより、電力蓄積装置を備えない車両が力行する場合と比較して、架線電圧を相対的に104aから104bに上昇させていることが示されている。
図2は、電気車両103の全体構成を示す。電気車両103は、車両を駆動する駆動装置201、蓄電又は放電する電力蓄積装置202、運転士の操作を受け付けるマスタコントローラ203、車両速度を計測する車両速度計測装置204、車両の架線電圧を計測する架線電圧計測装置205及び電力蓄積装置202に充放電指令255を与える列車制御装置206を備えて構成される。なお電力蓄積装置202及び列車制御装置206を「駆動システム」と呼ぶ。
以下電気車両103における制御信号の流れについて説明する。まずマスタコントローラ203は、運転士からの操作を受け付けると、駆動指令251を生成して駆動装置201及び列車制御装置206に出力する。次いで駆動装置201は、入力した駆動指令251に基づいて、架線102又は電力蓄積装置202から電力の供給を受けて電気車両103を駆動する。
車両速度計測装置204は、駆動装置201の駆動動作により電気車両103の車両速度が変動すると、変動した車両速度252を計測し、計測した車両速度252を列車制御装置206に出力する。一方で架線電圧計測装置205は、架線電圧を計測し、計測した架線電圧253を列車制御装置206に出力する。また電力蓄積装置202は、現在充電量254を算出して列車制御装置206に出力する。
列車制御装置206は、マスタコントローラ203からの駆動指令251、車両速度計測装置204からの車両速度252、架線電圧計測装置205からの架線電圧253及び電力蓄積装置202からの現在充電量254を入力すると、これらの信号に基づいて、充放電指令255を生成して電力蓄積装置202に出力する。電力蓄積装置202は、列車制御装置206からの充放電指令255に基づいて、蓄電又は放電を実行する。
なお電気車両103がここでは図示しない自動車両運転装置を搭載している場合には、マスタコントローラ203又は自動車両運転装置から駆動指令251が出力されるとしてもよい。
図3は、列車制御装置206の内部構成を示す。列車制御装置206は、車両位置算出部301、データベース302、回生車両有無判断部303及び電力蓄積指令部304を備えて構成される。なおこれらは基板上に複数の半導体チップが設置された集積回路からなる。
車両位置算出部301は、入力した車両速度252に基づいて、積分により車両位置351を算出する。データベース302は、変電所データベース352及び車両特性353を格納する。変電所データベース352には変電所の位置が登録されており、車両特性353には車両の性能等の情報が含まれる。
回生車両有無判断部303は、駆動指令251、車両位置351、変電所データベース352、車両特性353及び架線電圧253に基づいて、同一架線内に回生車両が存在するか否かを判断する。電力蓄積指令部304は、回生車両有無判断部303により判断された回生車両有無結果354、駆動指令251及び現在充電量254に基づいて、電力蓄積装置202に対する充放電指令255を決定する。
充放電指令255の決定に際して電力蓄積指令部304は、内部に備える充放電指令判断テーブルT1を参照する。この充放電指令判断テーブルT1の詳細については後述する(図6)。
また回生車両有無判断部303は、予測架線電圧算出部311及び回生車両判断部312から構成される。予測架線電圧算出部311は、車両位置351、変電所データベース352、車両特性353及び現在充電量254に基づいて、予測架線電圧361を算出する。回生車両判断部312は、駆動指令251、架線電圧253、現在充電量254及び予測架線電圧361に基づいて、回生車両が存在するか否かを判断する。
図4は、予測架線電圧算出処理の処理フローを示す。この予測架線電圧算出処理は、予測架線電圧算出部311により実行される。なおここでの処理は、同一架線内に自車両しか存在しない場合に実行されるものとする。
まず予測架線電圧算出部311は、車両位置351及び変電所データベース352に基づいて、電気車両103の前後方向で最も近い変電所位置Xt1及びXt2を取得する(SP1)。例えば図1の場合、車両103a(又は103b)の前後方向で最も近い変電所はA変電所101a及びB変電所101bである。よって車両103a(又は103b)は、A変電所101aの位置情報及びB変電所101bの位置情報を取得する。
次に予測架線電圧算出部311は、変電所位置Xt1及びXt2と、自車両の車両位置351とに基づいて、各変電所から電力が供給される場合の架線抵抗値Rt1及びRt2を算出する(SP2)。次いで予測架線電圧算出部311は、現在充電量254に基づいて、自車両の放電電力量を算出する(SP3)。
次いで予測架線電圧算出部311は、駆動指令251及び車両特性353に基づいて車両を駆動させるために必要な電力量を算出し、また冷暖房や照明等の補機が消費する電力量を算出し、これらを合算するとともに合算した値からステップSP3で算出した放電電力量を減算して、架線102から供給すべき必要電力量Pを算出する(SP4)。
そして予測架線電圧算出部311は、必要電力量Pが0以上であるか否かを判断する(SP5)。この判断で肯定結果を得ると、予測架線電圧算出部311は、架線102から電力の供給が必要である力行中であると判断する。
そして予測架線電圧算出部311は、ステップSP2で算出したRt1及びRt2と、ステップSP4で算出した必要電力量Pと、各変電所からの送り出し電圧0V1及び0V2とに基づいて、下記式1の連立方程式を計算して、各変電所から供給される電流I1及びI2を算出する(SP6)。なお下記式1のIは、自車両に供給される電流である。また電流の向きは、変電所から車両に供給される向きを正とする。
次いで予測架線電圧算出部311は、ステップSP6で算出したI1又はI2及び各変電所の送り出し電圧0V1及び0V2に基づいて、下記式2を計算して、予測架線電圧(車両の予測パンタ点電圧)PVを算出する(SP7)。
これに対し、予測架線電圧算出部311は、ステップSP5で否定結果を得ると、架線102から電力の供給が必要ではない回生中であると判断し、このときの予測架線電圧を駆動機器の保護のために電流の絞込みを開始する電圧値とする(SP8)。
予測架線電圧算出部311は、ステップSP6又はSP7で算出又は決定した予測架線電圧値を回生車両判断部312に出力して処理を終了する。
図5は、回生車両判断処理の処理フローを示す。この回生車両判断処理は、回生車両判断部312により実行される。まず回生車両判断部312は、入力した駆動指令251に基づいて、自車両が回生しているか否かを判断する(SP11)。
回生車両判断部312は、ステップSP11の判断で肯定結果を得ると、自車両回生とする判断結果354を電力蓄積指令部304に出力して処理を終了する(SP12)。これに対し、ステップSP11の判断で否定結果を得ると、回生車両判断部312は、架線電圧253が予測架線電圧よりも大きいか否かを判断する(SP13)。
回生車両判断部312は、ステップSP13の判断で肯定結果を得ると、同一架線に回生中の他車両が存在するものと判断し、他車両回生とする判断結果354を電力蓄積指令部304に出力して処理を終了する(SP14)。なおここでの判断は以下の考えに基づくものである。
すなわち電気車両103が力行する場合には、架線102を通して変電所から電力の供給を受けるため、力行する架線電圧は低下する。一方で電気車両103が回生する場合には、自車両から他車両に電力を供給する形になるため架線電圧が上昇する。よって自車両が1車両で走行している場合に予測される予測架線電圧よりも実際の架線電圧が高い場合には、必ず、同一架線を走行している他車両の何れかが回生していることになる。
これに対し回生車両判断部312は、ステップSP13の判断で否定結果を得ると、回生車両は存在しないとする判断結果354を電力蓄積指令部304に出力して処理を終了する(SP15)。
図6は、充放電指令判断テーブルT1の概念図を示す。充放電指令判断テーブルT1は、電力蓄積指令部304が電力蓄積装置202に対して充電指令又は放電指令の何れかを含む充放電指令255を出力する際に参照するテーブルである。
なおここでは説明の便宜上、テーブルT1を参照して充放電指令255を決定して出力するとしているが必ずしもこれに限らず、電力蓄積指令部304が各種入力信号及び各種プログラムに基づいて判断した結果がこの図6のテーブルT1に示されるとしてもよい。
電力蓄積指令部304は、回生車両判断部312からの判断結果354と、駆動指令241と、架線電圧253と予め定められた電圧閾値α及びβとの大小関係と、現在充電量254と使用範囲の上下限値との大小関係とに基づいて、充放電指令判断テーブルT1を参照して電力蓄積装置202に対する充放電指令を決定する。
なお電圧閾値αは、高電圧に伴う駆動機器の保護のために電流の絞込みを開始する電圧値であり、電圧閾値βは、低電圧において駆動電力を絞る際の電圧値である。よって電圧閾値αと電圧閾値βとの間には、電圧閾値α>電圧閾値βの関係が成立する。
テーブルT1内の(1)と(2)との間及び(2)と(3)との間には、制御ハンチングを防ぐためにヒステリシスが設けられているものとする。また架線電圧≧電圧閾値αが成立した後は、制御ハンチングを防ぐために、架線電圧<電圧閾値α−V1が成立するまで、架線電圧≧電圧閾値αが成立している状態とする。
同様に架線電圧≦電圧閾値βが成立した後は、制御ハンチングを防ぐために、架線電圧>電圧閾値β+V2が成立するまで、架線電圧≦電圧閾値βが成立している状態とする。なお直流1500Vの電化路線では、V1及びV2は、それぞれ10V程度とっておけばよい。
以下充放電指令の決定手法について説明する。自車両が回生している場合、かつ、架線電圧253が電圧閾値α以上の場合には、架線電圧253が電圧閾値α近傍となるように電力蓄積装置202に対して充電指令を出力する。
これにより回生性能を最大限確保することができる。ただし電力蓄積装置202の現在充電量254が使用範囲の上限値以上の場合には、電力蓄積装置202の劣化や破壊を防止するため充電しないように制御する。よってテーブルT1における(a)−(2)及び(a)−(3)は充電指令となり、(a)−(1)は指令なしとなる。
次に自車両が回生している場合、かつ、架線電圧253が電圧閾値α未満の場合には、回生電力を消費してくれる力行車両が存在することになる。よって架線電圧253を上昇させて自車両の回生性能を上昇させるように電力蓄積装置202に対して放電指令を出力する。
これにより回生される電力が増加し、同一架線内に存在する他車両に対して変電所から供給される電力を低減することができ、消費電力量を低減することができる。ただし電力蓄積装置202の現在充電量が使用範囲の下限値以下の場合には、電力蓄積装置202の劣化や破壊を防止するため放電しないように制御する。よってテーブルT1における(b)−(1)及び(b)−(2)は放電指令となり、(b)−(3)は指令なしとなる。
なおこのときの放電指令は、制御ハンチングを引き起こさないように、架線電圧253が電圧閾値α−V1で最大放電電力、架線電圧253が電圧閾値αのときに0となるようにする。すなわち、下記式3を満たす放電指令を出力する。これにより自車両の放電により架線電圧253が電圧閾値αを超えることを防止することができる。
次に他車両が回生している場合、かつ、自車両が力行している場合について説明する。架線電圧253が電圧閾値α以上の場合には、回生している車両が存在しているものの、回生電力を消費しきれない状態である。このため力行しながら充電して他車両の回生電力量を増加するように電力蓄積装置202に対して充電指令を出力する。
これにより消費電力量を低減することができる。ただし電力蓄積装置202の現在充電量254が使用範囲の上限値以上の場合には、電力蓄積装置202の劣化や破壊を招くため充電しないように制御する。よってテーブルT1における(c)−(2)及び(c)−(3)は充電指令となり、(c)−(1)は指令なしとなる。
一方で架線電圧253が自車両の存在する区間に近い変電所のなかで最も大きい送り出し電圧以下の場合には、回生車両が存在し、回生電力を消費可能な状態である。このため電力蓄積装置202からの放電及び回生車両からの回生電力により架線電圧253を大きく上昇させるように電力蓄積装置202に対して放電指令を出力する。
ただし電力蓄積装置202の現在充電量254が使用範囲の下限値以下の場合には、電力蓄積装置202の劣化や破壊を招くため放電しないように制御する。よって(d)−(1)及び(d)−(2)は放電指令となり、(d)−(3)は指令なしとなる。
また、架線電圧253が自車両の存在する区間に近い変電所のなかで最も大きい送り出し電圧よりも大きく、かつ、架線電圧253が電圧閾値α未満の場合には、自車両は回生車両の回生電力だけで力行していることになる。このためこれ以上、架線電圧253が上昇しないように電力蓄積装置202に対して放電しないように制御する。よって(e)−(1)、(e)−(2)及び(e)−(3)は指令なしとなる。
次に他車両が回生している場合、かつ、自車両が惰行又は停車している場合について説明する。この場合は電力蓄積装置202の現在充電量254にかかわらず、指令なしとなる。この理由は以下の考え方に基づくものである。
すなわち同一架線内に電気車両103が2車両しか存在しない場合であって、一方の車両が惰行又は停車しており、他方の車両が回生している場合を考える。この場合、惰行又は停車している車両の架線電圧253は予測架線電圧よりも高くなっているが、惰行又は停車している車両が電力蓄積装置202から放電すると、回生している車両の回生電力を消費してくれる車両が存在しないこととなり、結果として架線電圧253が電圧閾値αを越えて、回生電力が低減してしまう。よって(f)−(1)、(f)−(2)及び(f)−(3)は指令なしとなる。これにより他車両の回生電力の低減を抑制し、消費電力量を低減することができる。
次に回生車両が存在しない場合であって、自車両が力行している場合に架線電圧253が電圧閾値βを下回っている場合について説明する。この場合には、自車両の駆動電力を絞ることとなり、加速力が低下する。その結果として消費電力量が増大することが考えられる。
このため架線電圧253が電圧閾値βを下回った場合には、放電することで加速力を確保し、結果として消費電力量の低減に寄与することができる。ただし上記の通り、電力蓄積装置202の現在充電量254が使用範囲の下限値以下の場合には、劣化や破壊を招くために放電しないように制御する。よって(g)−(1)及び(g)−(2)は放電指令となり、(g)−(3)は指令なしとなる。
次に回生車両が存在しない場合であって、自車両が力行している場合に架線電圧253が電圧閾値βを上回っている場合又は回生車両が存在しない場合であって、自車両が惰行若しくは停車している場合について説明する。この場合には、原則として放電しない。ただし電力蓄積装置202の現在充電量254が使用範囲の上限値に達している場合には、電力蓄積装置202の充電余力の確保が必要なため、電力を多く消費する力行の場合のみ放電する。
よって(h)−(1)は放電指令、(h)−(2)、(h)−(3)、(i)−(1)、(i)−(2)及び(i)−(3)は指令なしとなる。この場合、(h)−(1)のみ消費電力量を低減することができる。
以上のように電力蓄積装置202に対して充放電指令を出力することにより、同一架線内に回生車両が存在している場合に架線電圧253を上昇させて、回生電力を増加させることができる。このため同一架線内に存在する車両に対して変電所から供給される電力を低減させて、消費電力量を低減することができる。
図7及び図8を参照して、車両の走行動作に伴い変動する架線電圧、現在充電量、充放電指令及び消費電力量について説明する。図7は線区の一例を示しており、ここでの線区は3変電所及び5駅で構成されている。図8は図7に示す線区を車両701がA駅から出発してE駅に向かい、車両702がE駅から出発してA駅に向かう場合に上記説明してきた電力蓄積装置202に対する制御を実行したときの架線電圧等の変動履歴を示す。
図8において示される変動履歴のうち、(x1)は車両701の速度パターン、(x2)は車両702の速度パターン、(x3)は車両701の予測架線電圧(点線)及び架線電圧(実線)、(x4)は車両701の現在充電量、(x5)は車両701の充放電指令、(x6)は車両702の予測架線電圧(点線)及び架線電圧(実線)、(x7)は車両702の現在充電量、(x8)は車両702の充放電指令、(x9)は線区の消費電力量の履歴である。
なお(x4)及び(x7)の現在充電量の履歴においては横方向に点線が4本示されている。これらの点線は、上から順に電力蓄積装置202の上限値、上限値に達した後に上限値と下限値の間に状態変化するためのヒステリシス値、下限値に達した後に上限値と下限値の間に状態変化するためのヒステリシス値、電力蓄積装置202の下限値をそれぞれ表わしている。
またt0〜t34は、車両701及び702の状態が変化した際の時刻である。また車両701及び702の現在充電量の履歴は使用範囲の中間値を初期値とする。以下時刻t0〜t34ごとに各状態について説明する。
まず時刻t0では、(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように、車両701がA駅から力行を開始し、車両702はE駅に停車している状態である。時刻t0から、時刻t1になるまでは、この状態が持続される。
このとき車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。
よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間になっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方(x6)車両702の架線電圧も車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値の間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、制御適用前後で変化がない。
次に時刻t1では、車両702がE駅から力行を開始する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように、車両701及び702ともに力行している状態である。
このとき走行に必要な電力は、車両701及び702に供給されていることから、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも小さくなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間になっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値の間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、制御適用前後で変化がない。
次に時刻t2では、車両701及び702が力行することで車両701の架線電圧が低下し架線電圧β=架線電圧となる。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように、車両701及び702ともに力行している状態である。
このとき走行に必要な電力は、車両701及び702に供給されていることから、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも小さくなり、架線電圧βに達した状態となっている。このため、架線電圧β=架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(g)−(2)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となる。
これにより(x3)車両701の架線電圧が上昇していくが、ヒステリシスの範囲であるため、架線電圧β≧架線電圧が成立している状態として考える。この状態が架線電圧β+V2<架線電圧が成立するか、或いは、車両701又は702の駆動状態が変化するまで続く。ここでは車両701及び702の駆動状態が力行から惰行に変化する時刻t3まで続く。
上述した処理により、時刻t2〜t3の間は、(x4)車両701の現在充電量は低下していく。このとき車両701が制御適用前と同じ電力を使用する場合には、変電所から供給される電流が低減することになるため、変電所から車両の間の架線でのロスを低減することとなり消費電力量を低減することができる。
なお車両701の電力蓄積装置202から放電するが、車両701は変電所からも電力供給されている。このため同一架線内の電流を考えると、車両702だけに供給する場合よりも電流が大きくなる。よって(x6)車両702の架線電圧は、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。
ただし車両702の電圧が上昇したことで架線電圧が押し上げられ車両702の電圧も上昇する。このとき車両702が制御適用前と同じ電力を使用する場合には、変電所から供給される電流が低減することになるため、変電所から車両の間の架線でのロスを低減することとなり消費電力量を低減することができる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t3では、車両701及び702ともに惰行となる。この状態が続く時刻t4までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように車両701及び702は惰行である。
このとき走行に必要な電力は、車両701及び702の何れも補機電力のみ供給されているため、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この期間では差がないため、時刻t3までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t4では、車両702が制動となる。ただし最大限の回生をした場合に回生電力を十分に消費できない状態である。この状態が続く時刻t5までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように、車両701は惰行、車両702は制動である。このとき車両702から電力が回生され、車両701へと電力が供給されることになる。
これにより(x3)車両701の架線電圧は、車両702の回生電力により電圧が押し上げられるため、予測架線電圧よりも高い値となり、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧は、回生電力を使用してくれる車両が惰行のため補機電力分しか使用しないことから、回生電力を絞り込む処理が働き、回生電力を絞り込む電圧すなわち電圧閾値αよりも大きくなり、電圧閾値β<予測架線電圧=電圧閾値α<架線電圧となる。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x7)車両702の現在充電量が徐々に上昇する。また(x6)車両702の架線電圧は電圧閾値α近傍に抑制される。この期間においては車両701の消費電力量は車両702の回生電力量で補えるため、変電所からの供給電力量はない。よって(x9)線区の消費電力量は、この期間では差がないため、時刻t4までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t5では、車両702が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態、すなわち車両701の消費電力>車両702の回生電力が成立する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は惰行、車両702は制動である。このとき車両702から電力が回生され、車両701へと電力が供給されることになる。
これにより(x3)車両701の架線電圧は、車両702の回生電力により電圧が押し上げられるため、予測架線電圧よりも高い値となり、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧は、架線電圧<電圧閾値α-V1が成立するまでは、架線電圧≧電圧閾値αが成立している状態となるため充電指令となるが、車両701の消費電力>車両702の回生電力が成立しているため、架線電圧が急降下し、すぐに架線電圧<電圧閾値α-V1が成立する。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧=架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となる。
これにより、車両702の架線電圧が上昇していく。この結果、車両702の回生電力が増加することで、車両701が変電所から供給される電力が少なくなるため、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t6では、車両702がD駅停止となる。この状態が続く時刻t7までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は惰行、車両702は停止である。
このとき走行に必要な電力は、車両701及び702の何れも補機電力のみ供給されているため、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
なお車両702は車両701と同じ動作となる。すなわち(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t6までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t7では、車両701が制動となり、車両702がD駅から出発(力行)となる。すなわち車両701で発生した回生電力が車両702へと供給されている。ただし車両701が大電力を回生するのに対して、車両702が力行で必要な電力は小さい状態であるため、車両701の回生電力を十分に利用できない場合である。
なお本ケースについては説明の都合上、車両702から説明する。車両702は力行中であるが、車両701の回生の影響を受けて架線電圧が上昇する。この結果、(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも高くなる。このため、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。
また車両702から見ると、架線電圧>変電所送り出し電圧となっており、車両702の消費電力は、車両701の回生電力だけで十分である状態である。(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(e)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令は指令なしとなる。
一方で車両701について考えると、車両701の最大回生電力を消費しきれる車両はいないため、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧=電圧閾値α≦架線電圧となる。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x4)車両701の現在充電量が徐々に上昇する。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t7までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t8では、車両701が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。このとき車両702の消費電力>車両701の回生電力である。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンに示されているように、車両701は制動、車両702は力行である。
なお本ケースについても説明の都合上、車両702から説明する。車両702は力行中であるが、車両701の回生の影響を受けて架線電圧が上昇する。この結果、(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも高くなる。このため、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。
また車両702から見ると、架線電圧<変電所の送り出し電圧となっており、車両701の回生電力だけでなく、変電所からも電力供給を受けていることになる。(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(d)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となり、(x6)車両702の架線電圧は上昇する。
一方で車両701は、車両702の放電アシストを受けるものの、車両702の消費電力>車両701の回生電力であるため、車両701の架線電圧は急降下し、すぐに架線電圧<電圧閾値α-V1が成立する。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧=架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(2)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令は放電指令となり、(x3)車両701の架線電圧は、架線電圧α付近に保たれる。
このため、車両701の回生電力が増加することとなる。また車両702からの放電も行われるため、制御適用後の消費電力量は、制御適用前に比べて減少する。よって(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t9では、車両701がB駅に停車し、車両702が力行している状態である。すなわち車両701には補機電力が、車両702には走行に必要な電力と補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t9までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t10では、車両701は停止、車両702は惰行となる。この状態が続く時刻t11までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は停止、車両702は惰行である。
このとき走行に必要な電力は、車両701及び702の何れも補機電力のみ供給されているため、(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
なお車両702は車両701と同じ動作となる。すなわち(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも低い値となる。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t10までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t11では、車両701がB駅から力行し、車両702が惰行している状態である。すなわち、車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t11までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t12では、車両701及び702ともに惰行となる。この状態が続く時刻t13までについて説明する。本動作は時刻t3〜t4までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t12までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t13では、車両702が制動となる。ただし最大限の回生をした場合に回生電力を十分に消費できない状態である。この状態が続く時刻t14までについて説明する。本動作は時刻t4〜t5までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。またこの結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x7)車両702の現在充電量が徐々に上昇する。これに伴い、(x6)車両702の架線電圧は電圧閾値αに保たれる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t13までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t14では、車両702が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。本動作は時刻t5〜t6までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなり、(x6)車両701の制御適用後の架線電圧は架線電圧と同じ値となる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となる。この結果、回生電力が増加し、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t15では、車両701は惰行状態を維持したままであるが、車両702がC駅停止となる。この状態が続く時刻t16までについて説明する。本動作は時刻t6〜t7までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t15までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t16では、車両701が制動となり、車両702がC駅から出発(力行)となる。すなわち車両701で発生した回生電力が車両702へと供給されており、車両701が大電力を回生するのに対して、車両702が力行で必要な電力は小さい状態であり、車両701の回生電力を十分に利用できない場合である。この状態から次に状態が変化する時刻t17までについて説明する。本動作は時刻t7〜t8までの動作と同じとなる。
すなわち(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(e)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x4)車両701の現在充電量が徐々に上昇する。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t16までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t17では、車両701が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。このとき車両702の消費電力>車両701の回生電力である。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は制動、車両702は力行である。
なお本ケースについても説明の都合上、車両702から説明する。車両702は力行中であるが、車両701の回生の影響を受けて架線電圧が上昇する。この結果、(x6)車両702の架線電圧は、予測架線電圧よりも高くなる。このため、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。また車両702から見ると、架線電圧<変電所の送り出し電圧となっており、車両701の回生電力だけでなく、変電所からも電力供給を受けていることになる。(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(d)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となり、(x6)車両702の架線電圧は上昇する。
一方で車両701は、車両702の放電アシストを受けるものの、車両702の消費電力>車両701の回生電力であるため、車両701の架線電圧は急降下し、すぐに架線電圧<電圧閾値α-V1が成立する。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧=架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の上限値となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(1)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となり、(x3)車両701の架線電圧は、架線電圧α付近に保たれる。このため車両701の回生電力が増加することとなる。また車両702からの放電も行われるため、制御適用後の消費電力量は、制御適用前に比べて減少する。よって(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t18では、車両701がC駅に停車し、車両702が惰行している状態である。すなわち車両701及び702に補機電力が供給されている。このため車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の上限値に達した後、使用範囲の上限値から下限値の間のヒステリシス値を下回っていないため、図6の(1)の状態となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(1)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t18までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t19では、車両701がC駅から力行し、車両702が惰行している状態である。すなわち車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。
また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の上限値に達した後、使用範囲の上限値から下限値との間のヒステリシス値を下回っていないため、図6の(1)の状態となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(1)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となり、(x4)車両701の現在充電量は、徐々に低下する。また車両701から放電することで、(x3)車両701の架線電圧は上昇していく。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。制御適用後の消費電力量は、制御適用前に比べて車両701の放電電力分減少する。よって(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t20では、車両701がC駅から力行し、車両702が惰行している。この状態は時刻t19と同一だが、(x4)車両701の現在充電量が使用範囲の上限値から下限値の間のヒステリシス値を下回ったことで状態が変化している。このとき車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t20までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t21では、車両701は惰行、車両702は制動となる。この状態が続く時刻t22までについて説明する。本動作は時刻t4〜t5までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x7)車両702の現在充電量が徐々に上昇し、(x6)車両702の架線電圧は低下していく。なお本期間において変電所として使用する電力は制御適用前後で変わらないことから、時刻t20までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t22では、車両702が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。本動作は時刻t5〜t6までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となり、(x6)車両702の架線電圧は上昇していく。この結果、回生電力が増加し、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t23では、車両701は惰行状態が継続されるが、車両702がB駅停止となる。この状態が続く時刻t24までについて説明する。本動作は時刻t6〜t7までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t23までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t24では、車両701が制動となり、車両702がD駅から出発(力行)となる。すなわち車両701で発生した回生電力が車両702へと供給されており、車両701が大電力を回生するのに対して、車両702が力行で必要な電力は小さい状態であり、車両701の回生電力を十分に利用できない場合である。本動作は時刻t7〜t8までの動作と同じとなる。
よって(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(e)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x4)車両701の現在充電量が徐々に上昇する。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t24までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t25では、車両701が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は制動、車両702は力行である。このとき車両701から回生される電力を力行する車両702で十分に使用できる状態である。本動作は時刻t17〜t18までの動作と同じとなる。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(d)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となり、(x6)車両702の架線電圧は上昇する。
また(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(1)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となり、(x3)車両701の架線電圧は、架線電圧α付近に保たれる。このため車両701の回生電力が増加することとなる。
また車両702からの放電も行われるため、制御適用後の消費電力量は、制御適用前に比べて減少する。よって(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t26では、車両701がD駅に停車し、車両702が力行している状態である。すなわち車両701には補機電力が、車両702には走行に必要な電力と補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。
よって(x3)車両701の架線電圧は、予測架線電圧よりも低くなり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の上限値に達した後、使用範囲の上限値から下限値の間のヒステリシス値を下回っていないため、図6の(1)の状態となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(1)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x6)車両702の架線電圧も、車両701の影響を受けて予測架線電圧よりも低い値となり、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値の間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t26までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t27では、車両701がD駅から力行し、車両702が惰行している状態である。すなわち車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。本動作は時刻t19〜t20までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(1)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となり、(x4)車両701の現在充電量は、徐々に低下する。また車両701から放電することで、(x3)車両701の架線電圧は上昇する。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。制御適用後の消費電力量は、制御適用前に比べて車両701の放電電力分減少する。よって(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t28では、車両701がD駅から力行し、車両702が惰行している。この状態は時刻t27と同一だが、(x4)車両701の現在充電量が使用範囲の上限値から下限値の間のヒステリシス値を下回ったことで状態が変化している。このとき車両701には走行に必要な電力と補機電力が、車両702には補機電力が供給されているため、車両701だけで必要な電力よりも多くの電力が使われていることになる。本動作は時刻t20〜t21までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(h)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t28までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t29では、車両701及び702ともに惰行となる。この状態が続く時刻t30までについて説明する。本動作は時刻3〜t4までの動作と同じとなる。
すなわち(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
また(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、回生車両は存在しないという結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(i)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t29までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t30では、車両701が制動となるが、車両702は惰行状態が継続される。この状態が続く時刻t31までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は制動、車両702は惰行である。
このとき(x3)車両702の架線電圧は、回生電力を使用してくれる車両が惰行のため、補機電力分しか使用してくれないことから、回生電力を絞り込む処理が働き、回生電力を絞り込む電圧、すなわち電圧閾値αよりも大きくなり、電圧閾値β<予測架線電圧=電圧閾値α<架線電圧となる。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x4)車両701の現在充電量が徐々に上昇し、(x3)車両701の架線電圧は電圧閾値α付近に保たれる。一方で車両701から電力が回生され、車両702へと電力が供給されることになる。
これにより(x6)車両702の架線電圧は、車両701の回生電力により電圧が押し上げられるため、予測架線電圧よりも高い値となり、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は指令なしとなる。この結果、(x9)線区の消費電力量は、この区間では差がないため、時刻t30までの結果を引き継いで、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t31では、車両701が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は制動、車両702は惰行である。
このとき車両701から電力が回生され、車両702へと電力が供給されることになる。また車両702の消費電力>車両701の回生電力であるため、車両701の架線電圧は急降下し、すぐに架線電圧<電圧閾値α-V1が成立する。このため、架線電圧β<架線電圧<予測架線電圧=架線電圧αである。また(x4)車両701の現在充電量は、使用範囲の上限値になっている。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(1)の放電指令となるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は放電指令となる。
これにより(x4)車両701の現在充電量は徐々に低減する。ただし図6の(1)と(2)との間にあるヒステリシスゾーンに存在するため、図6の(1)の状態として考える。また(x3)車両701の制御適用後の架線電圧は、車両701の放電効果により、架線電圧よりも上昇する。
一方で(x6)車両702の架線電圧は、車両701の回生電力により電圧が押し上げられるため、予測架線電圧よりも高い値となり、架線電圧β<予測架線電圧<架線電圧<架線電圧αである。また(x7)車両702の現在充電量は、使用範囲の下限値と上限値との間となっている。
(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x8)車両702の充放電指令は指令なしとなる。この結果、回生電力が増加し、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
次に時刻t32では、車両701がE駅に停止し、車両702が制動となる。この状態が続く時刻t33までについて説明する。(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されるように、車両701は停止、車両702は制動である。
このとき車両702から電力が回生され、車両701へと電力が供給されることになる。本動作は、車両701と車両702との動作を入れ替えれば、時刻t17〜t18までの動作と同じとなる。
よって(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(2)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(a)−(2)の充電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は充電指令となる。
電力蓄積装置202への充電に伴い、(x7)車両702の現在充電量が徐々に上昇し、(x6)車両702の架線電圧は電圧閾値α付近に保たれる。この結果、回生電力が増加し、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
最後に時刻t33〜t34では、車両702が制動により速度が低下し、最大限の回生をした場合でも回生電力を消費できる状態となる。本動作は、車両701と車両702との状態が入れ替わったと考えると、時刻t31〜t32までの動作と同じである。
(x1)車両701の速度パターン及び(x2)車両702の速度パターンにより示されているように、車両701は停止、車両702は制動である。このとき車両702から電力が回生され、車両701へと電力が供給されることになる。
(x1)、(x3)及び(x4)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、他車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(f)−(1)の指令なしとなるため、(x5)車両701の充放電指令の状態は指令なしとなる。
一方で(x2)、(x6)及び(x7)の条件に基づいて、図5の回生車両判断処理を実行すると、自車両回生という結果354が得られる。この結果354に基づいて、図6のテーブルT1を参照すると、充放電指令は(b)−(2)の放電指令となるため、(x8)車両702の充放電指令の状態は放電指令となり、(x6)車両702の架線電圧は上昇する。この結果、回生電力が増加し、(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。
以上で2列車が走行し終えたことになる。このとき(x9)線区の消費電力量は、制御適用後で制御適用前よりも小さくなる。また(x4)車両701の現在充電量、(x7)車両702の現在充電量の何れも初期値より増加しており、消費電力量の低減が電力蓄積装置202の充電量低下によるものではないことも確認できる。このことから、本発明を適用することで消費電力量を低下させることが可能となる。