JP6378010B2 - 希土類錯体ポリマーとその製造方法、及びプラスチック成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類錯体ポリマーとその製造方法、及び希土類錯体ポリマーを含有するプラスチック成形体に関する。
プラスチック材料に対して、識別情報を付与するために蛍光体を配合することが検討されている。例えば、食品トレーに利用されているプラスチック材料に蛍光体を配合し、そのトレーから発せられる蛍光を検出することで、バーコード等と同様に情報を読み取ることができる。そのため、プラスチック材料に蛍光体を配合することによってトレーに食品の産地等の情報を付与することができる。この場合、蛍光体を配合させたプラスチック材料から蛍光を検出するためには、特定の波長の光を照射する必要があるが、用いる蛍光体の種類によって得られる蛍光スペクトルも様々であるので、暗号として情報を付与することができる。このような性質を利用して、蛍光体を用いて暗号情報を付与する技術が注目されている。
プラスチック材料は、一般に高温(例えば、ポリカーボネート製品では、300℃程度)で溶融させて成形加工されるため、蛍光体には、成形加工プロセスにおける高温の加熱後でも、分解せずに十分な強度の蛍光発光を生じ得ることが求められる。
希土類イオンに有機配位子が配位した有機希土類錯体は、プラスチック材料中に均一に分散することが可能であり、またプラスチック材料に分散させても蛍光を生じることができることが知られている。しかしながら、これまで、有機希土類錯体は、プラスチック材料の成形加工に必要な温度まで加熱されると、錯体を構成している配位子が分解してしまうため、プラスチック材料に配合することが困難な傾向にあった。
そのような状況下、下記特許文献1には、希土類イオンに光増感機能を有する分子の一種以上を配位させた複核希土類錯体は、耐熱性を有することから、プラスチック材料に配合して成形加工することが可能であることが示されている。
下記特許文献2には、耐熱性をさらに向上させるために、希土類錯体を配位結合により複数連結させて希土類錯体ポリマーを合成する方法が記載されている。
国際公開第2005/044770号 国際公開第2012/150712号
特許文献2に記載された希土類錯体ポリマーは、十分に高い耐熱性を有しているものの、プラスチック材料等への分散性が必ずしも十分でなく、この点で更に改良が求められることが分かった。希土類錯体ポリマーをプラスチック材料等に混合して様々な産業用途で十分に活用するためには、希土類錯体ポリマーがプラスチック材料中又は溶媒中で、容易に均一に分散可能であることが望ましい。
そこで本発明は、プラスチック材料に配合して成形加工するために十分な耐熱性を有し、かつ分散性が良好な希土類錯体ポリマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、三価の希土類イオンと、ホスフィンオキシド多座配位子と、単座配位子及び/又はキレート配位子と、を含み、前記キレート配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子であり、1つのホスフィンオキシド多座配位子が、2つ以上の希土類イオンに配位して2つ以上の当該希土類イオン同士を橋かけしており、単座配位子及び/又はキレート配位子が1つの希土類イオンに配位している希土類錯体ポリマーを提供する。本発明によれば、十分な耐熱性を有し、かつ分散性が良好な希土類錯体ポリマーを得ることができる。
希土類錯体ポリマーは、200nm以下の平均粒径を有するポリマー粒子であることが好ましく、150nm以下の平均粒径を有するポリマー粒子であることがより好ましい。
単座配位子及び/又はキレート配位子は、ホスフィンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
希土類錯体ポリマーにおいて、ホスフィンオキシド多座配位子が、下記式(1)で表される構造を有するホスフィンオキシド二座配位子であると、上述した効果が更に良好に得られる傾向にある。

[式(1)中、R11は、二価の有機基を示し、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基を示す。Ar12とAr13、及びAr14とAr15は、互いに直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。nは、1〜20の整数である。]
また、上記効果を一層良好に得る観点からは、希土類錯体ポリマーが、希土類イオンに配位している、下記式(2)で表される配位子を更に含むことが好ましい。さらに、複数のホスフィンオキシド多座配位子と、複数の下記式(2)で表される配位子とが配位していることにより、8配位以上の配位構造を形成している希土類イオンを含むことが好ましい。

[式(2)中、Aは水素原子又はハロゲン原子を示し、Zは水素原子又は重水素原子を示す。同一分子中の複数のAはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
上記式(1)で表される構造を有するホスフィンオキシド二座配位子は、R11が、下記式(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)で表される基であると好ましい。このような構造を有するホスフィンオキシド二座配位子を含む希土類錯体ポリマーによれば、上述した効果が一層良好に得られるようになる。

[式中、Rは一価の有機基を示し、mは、0から、Rが結合している環における置換可能な部位の数までの整数であり、Phはフェニル基を示す。式中のmの合計値が2以上である場合、同一分子中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本発明は、プラスチック材料と、プラスチック材料中に分散された希土類錯体ポリマーとを含有するプラスチック成形体を提供する。上記希土類錯体ポリマーは耐熱性にも優れるため、高温が必要とされるプラスチック材料を適用した場合でも加工しやすい。また、かかるプラスチック成形体は、成形体中に含有された上記希土類錯体ポリマーが均一に分散することができるため、透明性に優れている。
本発明は、三価の希土類イオンを、ホスフィンオキシド多座配位子と、単座配位子及び/又はキレート配位子と反応させることを含み、キレート配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子である、希土類錯体ポリマーの製造方法を提供する。また、この製造方法により得られる希土類錯体ポリマーを提供する。この製造方法によれば、十分な耐熱性を有し、かつ分散性に優れた希土類錯体ポリマーを得ることができる。
本発明によれば、プラスチック材料に配合して成形加工するために十分な耐熱性を有し、かつ分散性が良好な希土類錯体ポリマーを得ることができる。
dpbpの割合と希土類錯体ポリマーの平均粒径の関係を示す図である。 dpbpの割合と希土類錯体ポリマーの平均粒径の関係を示す図である。 希土類錯体ポリマー懸濁液の透過率変化量を示す図である。 希土類錯体ポリマーの380nm励起(配位子励起)による固体状態の発光スペクトルを示す図である。 希土類錯体ポリマーの熱重量分析の結果を示す図である。 dpbpの割合と希土類錯体ポリマーの平均粒径の関係を示す図である。 合成時温度と希土類錯体ポリマーの平均粒径の関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る希土類錯体ポリマーは、三価の希土類イオンと、ホスフィンオキシド多座配位子と、単座配位子及び/又はキレート配位子とを含む。キレート配位子は、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子である。
1つのホスフィンオキシド多座配位子は、その複数の配位可能な部位が、2つ以上のそれぞれ異なる希土類イオンに配位することにより、それらの2つ以上の希土類イオン同士を橋かけしている。ホスフィンオキシド多座配位子が配位した希土類イオンに、更に別のホスフィンオキシド多座配位子が配位することによって、次々と希土類イオン同士を橋かけし、希土類錯体ポリマーを形成している。このように、本明細書における錯体ポリマーとは、複数の金属イオンが配位子による配位結合を介して複数連結された構造を有する配位高分子をいう。
上記希土類錯体ポリマーは、希土類イオンがホスフィンオキシド多座配位子によって橋かけされた構造を含むことから、安定な分子構造を有している。そのため、プラスチック材料に配合されて高温での成形加工に供されても分解し難く、優れた耐熱性を発揮することができる。さらに、上記希土類錯体ポリマーは、希土類イオンに配位する配位子がホスフィンオキシド多座配位子であるため、発光強度や光耐久性の低下の原因となる水素原子を少なくすることができる。
三価の希土類イオンとしては、例えば、Eu(III)イオン、Tb(III)イオン、Sm(III)イオン、Yb(III)イオン、Nd(III)イオン、Er(III)イオンが挙げられる。なかでも、高い発光強度及び耐熱性を得る観点からは、Eu(III)イオン又はTb(III)イオンが好ましく、Eu(III)イオンが更に好ましい。三価の希土類イオンは、希土類錯体ポリマー全量中、0.1〜20質量%であることが好ましい。
ホスフィンオキシド多座配位子は、ホスフィンオキシド基を有する化合物である多座配位子であり、複数の希土類イオンを橋かけして高分子状の構造を形成する役割を有する。したがって、ホスフィンオキシド多座配位子としては、配位部位を2つ以上有するものであればよく、例えば、ホスフィンオキシド二座配位子、ホスフィンオキシド三座配位子等を用いることができる。ホスフィンオキシド多座配位子の中でも、耐熱性向上の点から、ホスフィンオキシド二座配位子を用いることが好ましい。
ホスフィンオキシド二座配位子としては、例えば、下記式(1)で表される構造を有するホスフィンオキシド二座配位子が挙げられる。
式(1)中、R11は、二価の有機基を示す。二価の有機基は特に限定されず、複数の基が連結した基であってもよい。R11としては、例えば、二価の不飽和基、二価の芳香族基、オキシアルキレン基等が挙げられ、これらの基には更に他の基が結合していてもよい。また、R11は、これらの二価の基が複数結合して構成される基であってもよく、さらにポリマー状の構造を有する基であってもよい。nは、1〜20の整数である。
ここで、二価の不飽和基としては、ビニレン基等のアルケニレン基が挙げられる。芳香族基とは、リン原子との2つの結合手を有する芳香環からなる基であり、芳香環は、リン原子との結合部位以外において更に置換基を有していてもよい。この芳香環としては、ベンゼン環、チオフェン環、ピリジン環等が挙げられる。オキシアルキレン基としては、オキシメチレン基等が挙げられる。また、これらの二価の基が複数結合した基としては、例えば、2つ以上の芳香環が結合した基や、両末端でリン原子と結合するポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる基等が挙げられる。
なかでも、R11としては、少なくとも1つの芳香環を含む基が好ましく、複数の芳香環を含む基であるとより好ましい。R11が、芳香環を含む、特に芳香環を複数含むことにより、希土類錯体ポリマーの耐熱性が更に高められる傾向にある。より優れた耐熱性を得る観点からは、R11としては、下記式(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)で表される基が好ましく、下記式(3b)又は(3c)で表される基がより好ましく、下記式(3c)で表される基が更に好ましい。
式(3a)、(3b)、(3c)及び(3d)中、Rは一価の有機基を示し、mは、0から、Rが結合している芳香環(ベンゼン環又はチオフェン環)における置換可能な部位の数までの整数であり、Phはフェニル基を示す。式中のmの合計値が2以上である場合、同一分子中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rとしての一価の有機基としては、CからC20の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基等が挙げられる。
また、式(1)中、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。一価の芳香族基とは、リン原子との結合手を1つ有する芳香環からなる基であり、この芳香環は、リン原子との結合部位以外において更に置換基を有していてもよい。芳香環としては、R11において二価の芳香族基を形成し得る芳香環と同じものが挙げられる。また、置換基としては、Rとしての一価の有機基と同じ基や、ホスフィンオキシド基(−P(=)R3132で表される基;R31やR32としては、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15と同じ基が挙げられる。)等が例示される。Ar12、Ar13、Ar14及びAr15を構成する芳香環が、置換基としてホスフィンオキシド基を有する場合は、この部分において希土類イオンに配位してもよい。さらに、Ar12とAr13、及びAr14とAr15は、互いに直接結合していてもよく、また、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基等の二価の有機基からなる連結基を介して結合していてもよい。
Ar12、Ar13、Ar14及びAr15としては、それぞれ独立に、下記式(6)で表される基が挙げられる。

[式(6)中、R61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、CからC20の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基又はメルカプト基を示す。]
希土類錯体ポリマーにおいて、一部の希土類イオンには、単座配位子及び/又はキレート配位子(以下、場合により「配位子L」ともいう。)が配位している。単座配位子は1つの配位部位を有しており、1つの金属イオンと配位することができる。キレート配位子は、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子である。キレート配位子は、複数の配位部位を有しており、それら複数の配位部位が同一の金属イオンと配位することができる。
1つの配位子Lは、1つの希土類イオンにのみ配位し、希土類イオン同士を橋かけすることができないと考えられる。したがって、配位子Lが希土類イオンに配位することにより、その希土類イオンのさらなる重合反応が抑制される。希土類錯体ポリマーの製造において、三価の希土類イオン及びホスフィンオキシド多座配位子に加えて、上記配位子Lを組み合わせて反応させることにより、小粒径であり分散性に優れた希土類錯体ポリマーの粒子を容易に得ることができる。また、原料中の配位子Lの配合割合を調整することにより、得られる希土類錯体ポリマーの粒子の粒径を任意に制御することもできる。
単座配位子は、キレート配位子と同様に、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子であることが好ましい。窒素原子を配位子として有する化合物としては、例えば、ピリジン環含有化合物等の環上に窒素を含有する複素芳香族化合物、第三級アミンなどが挙げられる。硫黄原子を配位子として有する化合物としては、例えば、スルフィド基を含有する化合物、硫黄原子を環上に有する複素不飽和環式化合物などが挙げられる。以上に挙げた配位子Lとしては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)、1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド)(Biphepo)、ビス[2−(ジフェニルホスホリル)フェニル]エーテル(dpepo)、4,5−ビス(ジフェニルホスホリル)−9,9−ジメチルキサンテン(xantpo)、4,5−ビス(ジ−t−ブチルホスホリル)−9,9−ジメチルキサンテン(tBu−xantpo)、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、1,10−フェナントロリン、ピリジン、ビピリジン、タービピリジン、チオフェン、トリアリルアミン等を用いることができる。これらの中でも、発光効率向上及びナノ粒子形成の容易性の点から、ホスフィンオキシド基を有する化合物が好ましく、TPPOがより好ましい。
希土類錯体ポリマーを構成している希土類イオンには、安定な錯体構造を取る観点から、上記ホスフィンオキシド多座配位子及び配位子Lに加えて、その他の配位子が複数配位していることが好ましい。高い耐熱性を得るとともに、発光強度等の特性を良好に得る観点からは、1つの希土類イオンに配位子Lが配位していない場合、2つ以上の部位でホスフィンオキシド多座配位子が配位し、かつその他の部位に他の配位子が更に配位していることが好ましい。希土類イオンに配位子Lが配位している場合には、1つの配位子L及び1つ以上のホスフィンオキシド多座配位子に加えて、他の配位子が更に配位していることが好ましい。その他の配位子は、希土類イオンに対して、モル比で2〜4が配位していることが好ましい。
他の配位子としては、希土類錯体ポリマーの耐熱性を高めるために、多座配位子が好ましい。なかでも、アセチルアセトナート又はその誘導体からなる配位子が好ましい。このような配位子としては、下記式(2)で表される配位子が挙げられる。

[式中、Aは水素原子又はハロゲン原子、Zは水素原子又は重水素原子を示す。同一分子中の複数のAはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
上記式(2)で表される配位子の中でも、より高い耐熱性を得る観点から、ヘキサフルオロアセチルアセトナートからなる配位子が好ましい。
耐熱性、発光強度及び光耐久性を好適に得るために、希土類錯体ポリマーは、2つ以上のホスフィンオキシド二座配位子と、2つ以上の上記式(2)で表される配位子とが配位していることにより、8配位以上の配位構造を形成している希土類イオンを含むことが好ましい。同様の観点から、1つ以上のホスフィンオキシド二座配位子と、2つ以上の上記式(2)で表される配位子と、1つ以上の配位子Lとにより、8配位以上の配位構造を形成している希土類イオンを含むことが好ましい。
好適な希土類錯体ポリマーの一例として、下記式(4)で表される構造を有するものが挙げられる。この例の希土類錯体ポリマーは、希土類イオンが、Eu(III)イオンであり、ホスフィンオキシド多座配位子が、上記R11で表される二価の基としてArで表される二価の芳香族基を有しており、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15としてフェニル基を有しており、かつ、Eu(III)イオンには3つのヘキサフルオロアセチルアセトナートが配位しており、Eu(III)イオンにより8配位型の配位構造が形成されているものである。さらに、連結構造の末端に位置するEu(III)イオンには、配位子LとしてTPPOが配位している。

[式(4)中、qは任意の整数を示す。]
本実施形態に係る希土類錯体ポリマーは、その粒径が、例えば数百nm以下のナノオーダーレベルであるポリマー粒子とすることができる。また、合成された希土類錯体ポリマーは、結晶状態で得ることができる。すなわちポリマー粒子は、上記希土類錯体ポリマーを含むナノ結晶であってもよい。
本実施形態に係る希土類錯体ポリマーは、小粒径のポリマー粒子として得ることが容易である。ポリマー粒子の平均粒径は、例えば850nm以下にすることができ、650nm以下、550nm以下、500nm以下、400nm以下又は300nm以下とすることができる。また、ポリマー粒子の平均粒径は、例えば200nm以下にすることができる。ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは150nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下である。また、平均粒径は好ましくは10nm以上である。
本実施形態に係る希土類錯体ポリマーの粒子は、平均粒径が小さいだけでなく、粒径の分散度を低く抑えることができる。一度の合成反応において得られるポリマー粒子の粒径の標準偏差は、平均粒径の60%以下であることが好ましい。
本実施形態の希土類錯体ポリマーは、例えば、希土類イオンの原料である希土類金属化合物と、ホスフィンオキシド多座配位子及び配位子Lとなるべきそれぞれの化合物とを、必要に応じて触媒の存在下で、これらを溶解または分散できる溶媒中にて攪拌する方法(液−液拡散法)によって合成することができる。溶媒としては、希土類金属化合物及び配位子となるべき化合物に対してそれぞれ好適なものを混合して用いてもよく、例えば、ジクロロメタン/メタノールの混合溶媒を適用することができる。触媒としては、例えば、必要に応じてトリメチルアミンや水酸化リチウム等を添加することができる。合成時の温度は、−80〜70℃とすることができる。合成時の温度は25℃以下とすることが好ましく、−30℃以上0℃以下とすることがより好ましい。合成時の温度がより低い程、より平均粒径の小さい希土類錯体ポリマー粒子が得られる傾向にある。
上記配位子Lの配合割合は、ホスフィンオキシド多座配位子と配位子Lとの総量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係る希土類錯体ポリマーの製造方法によれば、小粒径で分散性に優れる希土類錯体ポリマーを得ることができる。また、希土類錯体ポリマーの反応に用いるホスフィンオキシド多座配位子と配位子Lとの割合を調整することによって、得られる希土類錯体ポリマーの粒子の粒径を任意に制御することもできる。具体的には、例えば、ホスフィンオキシド多座配位子に対する配位子Lの配合割合を上昇させると、得られる希土類錯体ポリマーの粒子の粒径をより小さくすることができる。これにより、用途に応じた粒径を有する希土類錯体ポリマーの粒子を得ることができる。
本実施形態の希土類錯体ポリマーは、有機配位子を有し、かつ小粒径の粒子であることから、プラスチック材料及び溶媒への分散性が良好である。また、本実施形態の希土類錯体ポリマーは優れた耐熱性と、蛍光体としての特性を有している。そのため、この希土類錯体ポリマーは、プラスチック材料に配合してから成形加工を行うことが容易な蛍光体として適用することができる。
プラスチック材料に粒子を分散させようとする際には、一般的に、例えば、粒子を予め溶媒に分散させてから、粒子が分散した溶媒をプラスチック材料等と混合するという方法が用いられる。本実施形態に係る希土類錯体ポリマーは、溶媒への分散性に優れており、液中で沈降しにくいという性質を有している。本実施形態に係る希土類錯体ポリマーを溶媒中に分散させた懸濁液を、プラスチック材料等に適用することによって、均一に分散した希土類錯体ポリマーを含有するプラスチック材料及びプラスチック成形体を容易に得ることができる。得られるプラスチック成形体は、高い透明性を有することができる。
希土類錯体ポリマーを配合させるプラスチック材料は、特に制限されず、種々の材料を適用することができる。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
希土類錯体ポリマーを配合して成形加工する方法としては、特に限定されないが、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、押出成形、反応成形、中空成形、熱成形、FRP成形等が挙げられる。これらの成形方法では、高温、特にポリカーボネート樹脂を用いる場合には約300℃の高温が必要となる。これに対し、本実施形態の希土類錯体ポリマーは、配位子の構造等を適宜選択することによって、300℃を超えるような高温であっても安定に存在でき、高い発光強度を維持することができるので、上述したようなプラスチック材料に配合して成形加工を行うことが可能である。
本実施形態の希土類錯体ポリマーは、高い耐熱性、分散性及び発光強度に加えて、分光スペクトルを行ったときのピークの半値幅が狭く、美しい発光色を呈することができるほか、量子放射効率や蛍光寿命といった点でも優れた効果を奏することができる。
上記希土類錯体ポリマーの製造方法によれば、所望の粒径を有する希土類錯体ポリマーを得ることができるため、用途に応じて所望の分散性及び透明性を得ることができる。例えば、ナノ粒子又はナノ結晶においては、一般的に知られているように、光の透過性を確保するために粒径が波長の1/5以下であることが必要になり、1/10以下であることが望ましい。例えば、太陽光発電においては、可視領域の光が電気エネルギーに効率よく変換される一方、紫外領域の光は電気エネルギーへの変換効率が低い。この紫外領域の光を可視領域の光に変換する用途に、本実施形態に係る希土類錯体ポリマーを用いる場合には、紫外領域から可視領域までの光を透過させる必要があり、粒径の小ささとより均一な分散性が求められる。その他、インクジェット用の顔料インクの場合には、ノズル部での目詰まりを抑制する等のために、粒径が100nm以下のポリマー粒子又はナノ結晶を用いることが望ましい。また、LED又はディスプレイ用の発光体としてポリマー粒子又はナノ結晶を用いる際にも、発光体の塗布性又は樹脂マトリックスへの分散性を向上させるため、粒径が100nm以下であることが望ましい。その他、セキュリティインク用の発光体としてもポリマー粒子又はナノ結晶を利用することができる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の方法にしたがって、ホスフィンオキシド多座配位子の原料を合成し、さらにそれを用いて各種の希土類錯体ポリマーを合成した。なお、下記の各種分析は、次の条件で行った。IR測定は、日本光学社製、FT/IR−350を用いて行った。H−NMR測定は、日本電子社製、JNM−EX270(270MHz)を用いて行い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として化学シフトを決定した。元素分析及び質量分析は、北海道大学機器分析部門にて行った。熱重量測定は、リガク社製TermoEvo TG8120を用い、アルゴン雰囲気下、1℃/分の昇温速度で行った。DSC測定は、マックサイエンス社製、DSC3220を用い、2℃/分の昇温速度で行った。
<1,4−ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル(dpbp)の合成>
100mLの三口フラスコをフレームドライして、内部をArで置換した。この三口フラスコに、1.9g(6.0mmol)の4,4’−ジブロモビフェニル及び30mLのTHFを入れ、液体窒素/エタノールで約−80℃に冷却した。この溶液に、9.3mL(15mmol)の1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液をシリンジでゆっくり添加した。この添加は、約15分かけて行い、この間、黄色の析出物が生成した。この溶液を−10℃で3時間攪拌した。次に、溶液を再び−80℃に冷却した後、2.7mL(15mmol)のジクロロフェニルホスファイドを滴下し、14時間攪拌させながら徐々に室温に戻した。その後、反応を止め、酢酸エチルで抽出を行った。得られた溶液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた組成生物を、アセトン及びエタノールで複数回洗浄することにより精製し、白色の粉末を得た。
次に、上記で得られた白色の粉末及び約40mLのジクロロメタンをフラスコに入れ、この溶液を0℃に冷却し、そこに30%の過酸化水素水(約5mL)を加えた。この混合物を、2時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、エバポレータで溶媒を留去して、白色の粉末を得た。この白色の粉末をジクロロメタンで再結晶して、1,4−ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル(dpbp)の白色の結晶を得た(収量:1.1g(収率:33%))。生成物の分析結果は以下の通りであった。
IR(KBr):1120(st、P=O)cm−1
H−NMR(270MHz,CDCl,25℃)δ7.67−7.80(m、16H;P−C,C),7.45−7.60(m、12H;P−C,C)ppm.
ESI−Mass(m/z)=555.2[M+H]
元素分析:(C3628の計算値):C,77.97;H,5.09%、(実測値):C,77.49;H,5.20%
<1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド)(Biphepo)の合成>
0.5gの2,2’−ビス(フェニルホスフィノ)ビフェニル(BIPHEP:東京化成工業社製)をジクロロメタン(30mL)に溶解し、氷冷下にて30%過酸化水素水を少量滴下した。3時間攪拌した後、水およびジクロロメタンにて抽出し、取り出したジクロロメタン相を水で洗浄した。洗浄後、ジクロロメタン相を硫酸マグネシウムで乾燥して水を除去した。次いで、濾紙にて濾過し、回収した濾液からエバポレータにてジクロロメタンを留去した。得られた固体にヘキサンを添加して再沈殿させ、再度エバポレータにてジクロロメタンを留去した。得られた固体を真空ラインにて3時間乾燥し、水/エタノールで再結晶させてBiphepo(1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド))を得た。
(希土類錯体ポリマーの合成)
まず、Eu(III)イオンの原料である酢酸ユーロピウム(和光純薬工業社製)と、上記式(2)で表される配位子の原料である1,1,1,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン(東京化成工業社製)とを混合して、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)(Eu(hfa)(HO))を合成した。
製造例1
合成したビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)、dpbp、及び、配位子LであるTPPO(トリフェニルホスフィンオキシド、東京化成工業社製)又は合成したBiphepo(1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド))を含むメタノールを準備し、この溶液を65℃で加熱しながら撹拌を行い、6時間還流した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、さらにメタノール及びクロロホルムで数回洗浄し、目的とする希土類錯体ポリマーの結晶を得た。本例では、上記式(4)において、Arが上記式(3b)で表される基(m=0)である希土類錯体ポリマー(実施例1〜4)、及び実施例1〜4におけるTPPOの代わりにBiphepoを配位子Lとして用いる希土類錯体ポリマー(実施例5〜8)を合成した。また、いずれの配位子Lも用いないものを比較例1、2とした。ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)の配合割合はいずれの例においてもdpbpとTPPO又はBiphepoとの合計量100質量部に対して100質量部とした。原料中のdpbpと、TPPO又はBiphepoの配合割合を表1及び2に示す。
(粒径評価:条件1)
実施例及び比較例で得られた希土類錯体ポリマーの粒子をメタノールと水の混合溶液に分散させ、ゼータ電位粒度分布測定装置(Delsa Nano HC、BECKMAN COULTER社製)を用いて、液温25℃でポリマー粒子の平均粒径及び標準偏差を測定した。平均粒径は、Contin解析による個数分布解析により求めた。Contin解析は、後方散乱光の光子相関法(PCS)データ等の解析法として、産業分野や科学分野で最も広く普及している解析手法である。配位子LとしてTPPOを用いた結果を表1及び図1(a)に、Biphepoを用いた結果を表2及び図1(b)に示す。なお、平均粒径及び標準偏差は、1種のサンプルにつき3回測定を行った結果の平均値により示した。
(粒径評価:条件2)
実施例及び比較例で得られた希土類錯体ポリマーの粒子をエチルアルコール(溶媒の屈折率:1.3611、溶媒の粘度:1.1015mPa・s)に0.1質量%の濃度で分散させた後、超音波を印加して均一に分散させて測定した以外は、条件1の粒径評価と同様の方法で、ポリマー粒子の平均粒径及び標準偏差を測定した。配位子LとしてTPPOを用いた結果を表1及び図2(a)に、Biphepoを用いた結果を表2及び図2(b)に示す。条件2の粒径評価方法は、条件1の粒径評価方法に比べてより正確な平均粒径及び標準偏差を示す。
(沈降性評価)
実施例及び比較例で得られた希土類錯体ポリマーを分散させた懸濁液の透過率変化量を測定することにより、沈降速度の評価を行った。ポリマーが沈降するにつれて懸濁液の透過率は上昇する。具体的な測定方法は以下のとおりである。メタノールと水の混合溶液(メタノール:水=1:1(体積比))に各ポリマーのサンプルを0.1%濃度で均一に分散させたポリマー懸濁液を得た。1cm四方の透明容器に4mlのポリマー懸濁液を入れ、吸収スペクトル測定装置(V−670、日本分光社製)で測定した透過率(%)を懸濁液の透過率とした。均一に分散させた直後の懸濁液の透過率(基準透過率)を測定しておき、次に、懸濁液の入ったままの容器を所定時間静置した後の透過率を同様に測定した。透過率変化量(%)は、各時間における透過率と基準透過率との差により表した。基準透過率からの変化がない場合、透過率変化量は0%となる。結果を図3(a)及び(b)のグラフに示す。図3(a)はTPPOを用いた場合の、(b)はBiphepoを用いた場合の結果である。
沈降性評価の結果、原料中のdpbpに対するTPPO又はBiphepoの割合が高くなるほど透過率上昇量が低く抑えられていた。実施例4及び実施例7では、分散直後からの溶液透過率に変化がなかった。dpbpの混合割合が大きいほど、得られる希土類錯体ポリマーの粒子の粒径が大きくなるため、沈降が早いと考えられる。希土類錯体ポリマーの粒子の粒径が小さいほど、沈降が遅く、溶液中でより均一な分散状態を長く維持することができる。
(発光特性評価)
比較例1(dpbp:100%、TPPO:0%)及び実施例2(dpbp:60%、TPPO:40%)で作製した希土類錯体ポリマーの発光特性を測定した。分光光度計(FP−6300、日本分光社製)を用いて測定し、両者を比較するため()のピークで正規化を行った。比較例1及び実施例2の、380nm励起(配位子励起)による固体状態の発光スペクトルをそれぞれ図4(a)及び図4(b)に示す。実施例2で得られた希土類錯体ポリマーは、TPPO及びBiphepoのいずれも用いない比較例1の希土類錯体ポリマーと同程度の十分に高い発光強度を有し、かつほぼ同一の発光スペクトル形状を有していた。
(熱重量分析)
比較例1(dpbp:100%、TPPO:0%)及び実施例4(dpbp:20%、TPPO:80%)で作製した希土類錯体ポリマーの熱重量分析を行った。示唆熱熱重量同時測定装置(TG/DTA6300、セイコーインスツルメンツ社製)を用いた。結果を図5に示す。実施例4で得られた希土類錯体ポリマーは、TPPO及びBiphepoのいずれも用いずに作製した比較例1のポリマーと同程度の高い耐熱性を有していた。
製造例2
上述の方法で合成したビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)及びdpbp、並びに製造例1で用いたものと同様の配位子LであるTPPOを、溶媒としてメタノールを使用して混合した後、この溶液を0℃で2時間撹拌した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、更にメタノール及びクロロホルムで数回洗浄し、目的とする希土類錯体ポリマーの結晶を得た。得られた希土類錯体ポリマーの粒子について、上述の条件2で粒径評価を行った。なお、測定結果における平均粒径及び標準偏差は、1種のサンプルにつき6回測定した結果の平均値により示した。ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)の配合割合はいずれの例においてもdpbp及びTPPOの合計量100質量部に対して100質量部とした。原料中のdpbpとTPPOの配合割合及び粒径評価の結果を表3及び図6に示す。
製造例2の方法において、合成時の温度を0℃、−15℃又は−30℃とし、比較例1と同様の配合割合で希土類錯体ポリマーを合成した。得られた希土類錯体ポリマーの粒子について、上述の条件2で粒径評価を行った。結果を表4及び図7に示す。
表4および図7から、合成時の温度を0℃以下とすることにより、より平均粒径の小さい希土類錯体ポリマー粒子が得られることがわかる。dpbpに配位子Lを併用した場合も同様に、合成時の温度を0℃以下にすることによって、より平均粒径の小さい希土類錯体ポリマー粒子が得られると考えられる。

Claims (10)

  1. 三価の希土類イオンと、ホスフィンオキシド多座配位子と、単座配位子及び/又はキレート配位子と、を含み、
    前記ホスフィンオキシド多座配位子が、下記式(1)で表される構造を有するホスフィンオキシド二座配位子であり、

    [式(1)中、R 11 は、二価の有機基を示し、Ar 12 、Ar 13 、Ar 14 及びAr 15 は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基を示す。Ar 12 とAr 13 、及びAr 14 とAr 15 は、互いに直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。nは、1〜20の整数である。]
    前記単座配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物であり、
    前記キレート配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子であり、
    1つの前記ホスフィンオキシド多座配位子が、2つ以上の前記希土類イオンに配位して2つ以上の前記希土類イオン同士を橋かけしており、
    1つの前記単座配位子及び/又は前記キレート配位子が、1つの前記希土類イオンに配位している、希土類錯体ポリマー。
  2. 200nm以下の平均粒径を有するポリマー粒子であ
    前記平均粒径が、前記ポリマー粒子をメタノールと水の混合溶液に分散させ、ゼータ電位粒度分布測定装置を用いて液温25℃で測定され、Contin解析による個数分布解析により求められる値である、請求項1記載の希土類錯体ポリマー。
  3. 150nm以下の平均粒径を有するポリマー粒子であり、
    前記平均粒径が、前記ポリマー粒子をメタノールと水の混合溶液に分散させ、ゼータ電位粒度分布測定装置を用いて液温25℃で測定され、Contin解析による個数分布解析により求められる値である、請求項1記載の希土類錯体ポリマー。
  4. 記キレート配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか一項記載の希土類錯体ポリマー。
  5. 前記希土類イオンに配位している、下記式(2)で表される配位子を更に含む、請求項1〜のいずれか一項記載の希土類錯体ポリマー。

    [式中、Aは水素原子又はハロゲン原子を示し、Zは水素原子又は重水素原子を示し、同一分子中の複数のAはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
  6. 前記R11が、下記式(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)で表される基である、請求項1〜5のいずれか一項記載の希土類錯体ポリマー。

    [式中、Rは一価の有機基を示し、mは、0から、Rが結合している環における置換可能な部位の数までの整数であり、Phはフェニル基を示す。式中のmの合計値が2以上である場合、同一分子中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
  7. 複数の前記ホスフィンオキシド多座配位子と、複数の前記式(2)で表される配位子とが配位していることにより、8配位以上の配位構造を形成している前記希土類イオンを含む、請求項記載の希土類錯体ポリマー。
  8. プラスチック材料と、前記プラスチック材料中に分散された請求項1〜のいずれか一項記載の希土類錯体ポリマーと、を含有するプラスチック成形体。
  9. 三価の希土類イオンを、ホスフィンオキシド多座配位子と、単座配位子及び/又はキレート配位子と反応させることを含み、
    前記ホスフィンオキシド多座配位子が、下記式(1)で表される構造を有するホスフィンオキシド二座配位子であり、

    [式(1)中、R 11 は、二価の有機基を示し、Ar 12 、Ar 13 、Ar 14 及びAr 15 は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基を示す。Ar 12 とAr 13 、及びAr 14 とAr 15 は、互いに直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。nは、1〜20の整数である。]
    前記単座配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物であり、
    前記キレート配位子が、ホスフィンオキシド基を有する化合物、及び窒素原子又は硫黄原子を配位子として有する化合物から選ばれる配位子である、
    希土類錯体ポリマーの製造方法。
  10. 請求項記載の製造方法により得られる希土類錯体ポリマー。
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