JP6377063B2 - プレーナーパッチクランプ装置及びプレーナーパッチクランプシステム - Google Patents
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Description
[1]
細胞配置領域を有する第一表面及びその反対面である第二表面を有すると共に、細胞配置領域内に細胞を通過させないが液体を通過させ得る貫通孔を有する電気絶縁性基板と、
電気絶縁性基板の第一表面側で貫通孔と連通可能に設けられ、第一導電性液体を保持するための第一液溜部と、
第一液溜部と第一導電性液体を介して電気的導通可能に配置される第一の電極部と、
電気絶縁性基板の第二表面側で貫通孔と連通可能に設けられ、第二導電性液体を保持するための第二液溜部と、
第二液溜部と第二導電性液体を介して電気的導通可能に配置される第二電極部と、
第二液溜部に連結され、第二液溜部に第二導電性液体を送液する送液流路と、
第二液溜部に連結され、第二液溜部から第二導電性液体を排液する排液流路と、
送液流路及び/又は排液流路に設けられ、第二導電性液体の流通を許容又は停止し得ると共に、第二液溜部と第二電極部との電気的導通を許容又は停止し得るバルブと
を有する、プレーナーパッチクランプ装置。
[2]
電気絶縁性基板が細胞配置領域及びそれに対応する貫通孔をそれぞれ複数有するとともに、複数の細胞配置領域に対応して第二液溜部が複数設けられ、
送液流路が、送液主流路と、送液主流路から分岐され、複数の第二液溜部にそれぞれ連結される複数の送液支流路とを有し、
排液流路が、複数の第二液溜部にそれぞれ連結される複数の排液支流路と、複数の排液支流路が合流する排液主流路とを有し、
第二電極部が、送液主流路及び/又は排液主流路に設けられ、
バルブが、各送液支流路及び/又は各排液支流路に設けられる、
項目[1]に記載のプレーナーパッチクランプ装置。
[3]
バルブ閉時におけるバルブ前後の電気抵抗値が1メガオーム以上である、項目[1]又は[2]に記載のプレーナーパッチクランプ装置。
[4]
項目[1]〜[3]の何れか一項に記載のプレーナーパッチクランプ装置と、
前記プレーナーパッチクランプ装置の各バルブの開閉を制御する制御部と、
前記プレーナーパッチクランプ装置の各電極部における電気信号を検出する電気検出部と
を備えるプレーナーパッチクランプシステム。
[5]
前記プレーナーパッチクランプ装置を複数備える、項目[4]に記載のプレーナーパッチクランプシステム。
[6]
前記プレーナーパッチクランプ装置に配置された細胞に由来する光信号を検出する光検出部を更に備える、項目[4]又は[5]に記載のプレーナーパッチクランプシステム。
[7]
項目[1]〜[3]のいずれか一項に記載のプレーナーパッチクランプ装置、又は項目[4]〜[7]のいずれか1項に記載のプレーナーパッチクランプシステムを用いて、神経ネットワークに影響を与える薬剤をスクリーニングする方法。
本発明のプレーナーパッチクランプ装置は、基板の細胞配置面とは反対側の液溜部と電極部との間の流路にバルブ(好ましくはマイクロバルブ)を配置し、当該バルブによって電解液の流通及び電気的導通の許容/停止を制御する構成を有する。プレーナーパッチクランプ装置においては、単一チャンネル装置毎に、送液流路及び排液流路という一対の流路が設けられる。
まず、単一チャンネル型のプレーナーパッチクランプ装置(これを適宜「単一チャンネル装置」と略称する。)について説明する。単一チャンネル装置は、プレーナーパッチクランプ法による測定が可能な単一の構造単位(これを「チャンネル」と呼ぶ)を有する装置である。
図1に、本発明の一実施形態に係る単一チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(単一チャンネル装置)(1)の模式断面図を示す。但し、本発明のプレーナーパッチクランプ装置は、図1の単一チャンネル装置(1)に限定されるものではない。
次に、単一チャンネル装置を複数組み合わせた多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(これを適宜「多チャンネル装置」と略称する。)について説明する。多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置は、プレーナーパッチクランプ法による測定が可能な構造単位(チャンネル)を複数有する装置である。
図4Aに、本発明の一実施形態に係る多チャンネル型装置(1a)の模式断面図を示す。但し、本発明のプレーナーパッチクランプ装置は、図4Aの多チャンネル装置(1a)に限定されるものではない。例えば、図4Bに示すように、第一液溜部(6)において細胞配置領域が連続しており、測定対象の細胞間で神経ネットワークを形成させることもできる。さらに、図4Cに示すように第二電極部を備える送排液系を2以上設けてもよい。送排液流路に設けられたバルブにより、測定対象の細胞をそれぞれの送排液系で選択することができる。それにより、細胞ネットワークを形成している細胞における電流変化又は電位変化を二以上の測定点で測定することができ、バルブにより測定対象細胞を切り替えることもできる。
また、複数の第二液溜部(6’)の各々に連結される送液支流路(8b)及び/又は排液支流路(9b)に、バルブ(10)が設けられる。
第二電極が配置されていない流路については、支流路が合流して主流路を形成しなくてもよい。例えば、送液主流路(8a)に第二電極部(7’)が配置された場合、排液支流路(8b)は、排液主流路を形成せずに、そのまま排液されてもよい。
その他の構成等は、図1の多チャンネル型装置(1)と同様である。
多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置を複数組み合わせることにより、複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置を構成することができる。図5は、かかる複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)の一例を示し、具体的には、5チャンネルの培養型プレーナーパッチクランプ装置を4個組み合わせた合計20チャンネルの複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)を表す。図5(a)はかかる装置(1b)の上面図であり、中央の円形部に4つの正方形型の多チャンネル基板(D1〜D4)が配置され、かかる多チャンネル基板(D1〜D4)における5の液溜区画(22)において電気信号を測定することができる。さらに円形部の周囲に、4つの流路分岐板(M1〜M4)と、4つの前置増幅器(P1〜P4)が配置されている。各流路分岐板には、バルブ(10)の制御を可能にする5の圧空(圧縮空気)ライン(21)が連結しており、各前置増幅器は、一方で流路分岐板(M1〜M4)内に配置された第二電極部(7’)と接続され、もう一方でチャンネル電流計測用の機器に接続される。図5(b)は、流路分岐板(M1〜M4)の拡大図であり、送液主流路端子(19a)から伸びる送液主流路(8a)、そして送液主流路(8a)から分岐する送液支流路(8b)からなる送液系と、排液主流路端子(20a)から伸びる排液主流路(9a)、そして排液主流路から分岐する排液支流路(9b)からなる排液系、並びにそれらの液体の流通及び電気的導通を許容又は停止するバルブ(10)、そして第二電極部(7’)が配置されている。図5(b)において、バルブ(10)に接続している圧空ライン(21)は図示しておらず、2対の送液支流路(8b)及び排液支流路(9b)のみを図示しており、他の3組の送液支流路(8b)及び排液支流路(9b)は図を複雑にしないため省略してある。図5(c)は、図5(a)の中央の円形部の拡大図であり、図5(b)の送液支流路(8b)と排液支流路(9b)が、送液支流路端子(19b)及び排液支流路端子(20b)を介して基板上の1の液溜区画(22)に接続されている。第二電極部(7’)はそれぞれの流路分岐板(M1〜M4)に1個設置してある。5対のバルブ(10)のうち所定の1対のバルブ(10)を開として、基板上の所定の液溜区画(22)に存在する細胞(5)の電気的特性を、同時に最大4チャンネルで計測可能である。
本発明のパッチクランプ装置は、流路制御システムと、チャンネル電流計測システムに接続されて制御される。図7は、多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置のバルブの制御系の構成の一例を表す概念図である。流路制御システムは、流路に配置されたポンプにより第二導電性液体の液流を生じさせ、さらにバルブ(10)の開閉についての制御信号を出力するシーケンサー(26)を作動させてバルブ(10)を開閉させることにより、第二導電性液体の流通及び電気的導通の許容又は停止を制御することができる。バルブ(10)の開閉が圧縮空気により制御される場合、シーケンサー(26)による出力された制御信号を、バルブ(10)を制御する空気圧へと変換する電磁弁(29)が使用される。シーケンサー(26)と電磁弁(29)は接続ライン(28)を介して接続されており、電磁弁(29)に伝えられた電気信号は、空気圧へと変換される。電磁弁接続端子(30)に接続された圧空ライン(21)を介して、空気圧はバルブ(10)へと伝えられて、流路を開閉する。シーケンサー(26)は流路制御用の制御パソコン(27)に接続ライン(28)を介して接続しており、制御パソコン(27)により操作することができる。チャンネル電流計測システムは、プレーナーパッチクランプの通常のシステムを用いることができ、例えば電流増幅器、ローパスフィルター、及びアナログデジタルコンバーターを制御する電流計測用のパソコンを含む。流路制御用のパソコン(27)と電流計測用のパソコンはそれぞれ協働して作動してもよいし、単一のパソコンで制御が行われてもよい。
本発明のプレーナーパッチクランプ装置、多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置、複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置、並びにプレーナーパッチクランプシステムを用いて、神経細胞ネットワークに影響を与える候補薬剤のハイスループットスクリーニングを行うことができる。候補薬剤をスクリーニングするための条件として、本発明の装置により測定したチャンネル電流が、(1)健康状態、(2)疾患状態、を表現しえるものであって、かつ、(3)疾患状態に候補薬剤を作用させて健康状態に戻りえること、を実証できる構造となっていることが必要である。実施例で示したとおり、本発明のプレーナーパッチクランプ装置は、上記(1)、(2)、及び(3)の状態をそれぞれ測定することができ、薬剤のスクリーニングが可能であることが示された。装置構成としては、図1に表されるような単一チャンネル装置をたくさん準備すればそのことは可能であるが、電極部のメンテナンスが大変であることから、図4A〜Cに表される多チャンネル型装置を用いることが好ましく、さらには図5の装置のように、多チャンネル型基板(D1〜D4)を複数含む複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置を使用して、バルブの制御により各液溜区画のチャンネル電流を順次測定することにより、効率的にスクリーニングを行うことが可能になる。
図5に示す構成の複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)を用意した。当該装置が有する20チャンネルのうち、観察を行わない19のチャンネルに対応する19対のマイクロバルブ(31)を圧空により閉状態とし、観察を行うチャンネルに対応する1対のバルブを開状態として、第二電極部(7’)に電圧を印加し電流を注入することによりCa2+イメージングを行った。より具体的に、本実施例では、前もって神経細胞用培地を満たした35mmデイッシュ内に基板を設置し、細胞配置領域(4)に、ラット大脳皮質神経細胞を播種し、細胞定着箇所に細胞を定着させた。ついで、この培地にCa2+イメージング用の蛍光色素、Oregon Green BAPTA1(インビトロジェン)を400nMの濃度で溶解して37℃、5%CO2環境下の培養容器内で約1時間放置した、その後基板のみをデイッシュより取り出し、当該観測を行うチャンネルに貫通孔(3)の位置を合わせて設置した。そしてまず、第一液溜部(6)にバス溶液として、2.5mM CaCl2、1.25mM MgCl2、10mM d−グルコース、140mM NaCl、3mM KCl及び10mM 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)(pH7.4)の溶液を満たした。次に、第二液溜部(6’)に排液流路(9)を通して約10kPaの陰圧を印加した状態で送液流路(8)より、バス溶液と同一の溶液を導入した。ついで、第二電極部(7’)からピーク値10μA幅100μsの電流を注入し電気刺激を行った。電気刺激に応じて上昇した細胞内のCa2+の濃度に応じて発せられる蛍光をCCDカメラのついた蛍光顕微鏡(ニコン社製正立顕微鏡NikonLV100)で観察し、撮影を行った。得られた蛍光観察像を図8(a)に示す。細胞1、2、3、4と番号付けがなされており、細胞1が微細貫通孔(3)の上に存在する。細胞1への2回の電流注入に応じて、細胞1〜4の活動電位発生に応じて細胞内にCa2+が流入し、蛍光の発光が観察された。得られた蛍光強度の経時変化のグラフを図8(b)に示す。細胞1に発生した活動電位が周囲の細胞2〜4にも伝搬していることが観察された。
図5に示す複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)の20チャンネルのうち観察を行わない19のチャンネルに対応する19対のバルブを圧空により閉状態とし、観察を行うチャンネルに対応する1対のバルブを開状態として、チャンネルロドプシン発現細胞におけるチャンネル電流を記録した。より具体的にはプレーナーパッチクランプ装置の細胞配置領域(4)にチャンネルロドプシンChRWRプラスミドを遺伝子導入して得たチャンネルロドプシン発現HEK293細胞を播種し、細胞定着箇所に細胞を定着させた。第一導電性液体及び第二導電性液体には、細胞培養液として、基礎培地DMEM(Gibco)に10% FBS(Gibco)、1% グルタマックス(Gibco)、0.5%ペニシリンストレプトマイシンおよび500μg/ml G418を添加した培地を用い、37℃、5%CO2雰囲気下で培養器内で5日間培養した。そしてプレーナーパッチクランプ装置を培養器より取り出し、蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse 80i)の試料台に設置し、ピペットを用いて第一導電性液体をバス溶液に置換した。続いて、排液流路(9)から−10kPaの陰圧を印加し、第二導電性液体としてピペット溶液を送液流路(8)から導入した。ついで、同様に−10kPaの陰圧の印加のもと、ナイスタチン添加(100μg/ml)ピペット溶液を送液流路(8)から導入した。これにより貫通孔(3)部の細胞膜にナイスタチンを埋め込み細胞内と下部液溜部が電気的に導通状態となるようにし、いわゆるホールセル状態を実現した。次に波長473nmのレーザー光(パワー1.5mW)(住友大阪セメント(株)、LD473-F5)を照射し、ホールセルモードで得られるチャンネル電流出力を前置増幅器Pで増幅し、2kHzのローパスフィルターを通した後A−Dコンバーターで変換した信号を記録した。得られた電流の経時変化のグラフを図9に示す。使用したバス溶液は実施例1と同じである。ピペット溶液として、100mM l−グルタミン、120mM CsOH、50mM HEPES、2.5mM MgCl2、及び1.25mM Na2EGTA(pH7.4)の溶液を用いた。
薬剤の投与によるチャンネル電流変化の測定
本発明の複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)を用いて、神経ネットワークに作用する薬剤のハイスループットスクリーニングが可能であることを示す実験を行った。図5に示す複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)の約2ミクロン径の貫通孔(3)を有するSi基板表面(2S)の細胞定着箇所(24)に胎生17日のラット大脳皮質を解剖して得た神経細胞(5)を播種した。市販の神経細胞培地(住友ベークライト株式会社)を添加して、デイッシュ内で11日間培養し、神経細胞ネットワークを形成させ、光学顕微鏡で観測した(図10)。次にその神経細胞(5)が配置されたSi基板(2)を複合多チャンネル型プレーナーパッチクランプ装置(1b)にセットし、第一液溜部(6)の各液溜区画(22)にバス溶液(145 mM NaCl + 3 mM KCl + 10mM HEPES + 2 mM CaCl2 + 8 mM Glucose + 1 mM MgCl2・6H2O,pH7.3)を添加して満たした。次に送液支流路及び排液支流路に設置されたバルブを開状態として、送液支流路から第二液溜部にピペット溶液(140mM KCl + 10 mM HEPES + 2 mM CaCl2+ 5 mM EGTA + 2 mM Mg-ATP, pH7.3)を導入した。次に、20チャンネルのうち観察を行わない19のチャンネルに対応する19対のバルブを圧空により閉状態とし、観察を行うチャンネルに対応する1対のバルブを開状態として、第一電極部(7)及び第二電極部(7’)間に、30mVの電圧をかけ、電流を測定した。ホールセルモードを形成する以前はチャンネル電流は観測されず、印加膜電位に関係なく平らなベースラインが記録された。次に、第二液溜部に、ナイスタチン溶液(100 μg/mL)を導入し、貫通孔に接触している細胞膜に小孔を開けて、ホールセルモードを形成した。ホールセルモードを形成すると、印加膜電位に依存して振幅するチャンネル電流が観測された(図11A)。印可膜電位は、それぞれ+10mV、+20mV、+30mV、+40mV、+50mV、-10mV、-20mV、-30mV、-40mV、及び-50mVであった。この状態で第一液溜部にグルタミン酸を最終濃度が20μMとなるように添加した。これにより、チャンネル電流に変化が見られた(図11B)。60分程度計測を行った後、第一液溜部の1の液溜区画(22)に、AMPA受容体アンタゴニストである6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン(CNQX)(200μM)およびNMDA受容体アンタゴニストであるD−(−)−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸(D−AP5)(200μM)を溶解したバス溶液を導入し、再度チャンネル電流を計測した(図11C)。図11A、図11B、及び図11Cの間で明瞭な違いが見られ、それぞれ健康状態、グルタミン毒性による疾患状態及び薬品でグルタミン毒性を緩和した状態に相当する。この状態をより明瞭に表示する目的で、印加膜電位−20mVのチャンネル電流に着目して、観測されている一つ一つのパルス状波形の面積を計算した。結果を図12(a)、図12(b)、図12(c)にグラフとして表した。横軸は各パルスの面積、縦軸は所定の面積のパルスの数である。グルタミン酸毒性の状態の下では、大きな面積のパルスのチャンネル電流が増加し(図12(b))、この増加は、AMPA受容体アンタゴニストであるCNQXおよびNMDA受容体アンタゴニストであるD−AP5を加えることで、ほぼ増加が消失した。チャンネル電流パルスの総和を図12(d)に示すが、この健康状態、グルタミン毒性の状態、アンタゴニスト添加による毒性の消失あるいは緩和の様子がより明瞭に観察できた。別の液溜区画(22)に、他の候補薬剤を導入し、計測する区画に対応する送液支流路(8b)及び排液支流路(9b)のバルブ(10)を開状態とし、その他のバルブ(10)を閉状態として、同様にチャンネル電流を測定することにより、候補薬剤の神経細胞ネットワークに及ぼす影響を測定することができ、これにより候補薬剤のハイスループットスクリーニングが可能になる。
チャンネル電流の変化の測定結果(図12(a)〜(d))が、健康状態、グルタミン酸添加による疾患状態、及び薬剤添加による回復状態を表していることを示すため、以下に述べるCa2+イメージングを行った。Ca2+イメージングにより、グルタミン酸毒性の影響である細胞内のCa2+の濃度の変調を測定することができる。
1a 多チャンネル装置
1b 複合多チャンネル型パッチクランプ装置
2 電気絶縁性基板
2S 第一表面
2S’ 第二表面
3 貫通孔
4 細胞配置領域
5 細胞
6 第一液溜部
6a 主液溜部
6b 副液溜部
6c 導入用通液路
6’ 第二液溜部
7 第一電極部
7’ 第二電極部
8 送液流路
9 排液流路
8a 送液主流路
9a 排液主流路
8b 送液支流路
9b 排液支流路
10 バルブ
11 第一スペーサー部材
11’ 第二スペーサー部材
12 第一プレート部材
12’ 第二プレート部材
13 蓋部材
14 電極容器
15 電極溶液
16 Ag/AgCl電極
17 無機多孔質材料
18 電極ピン
D、D1〜D4 多チャンネル型基板
P1〜P4 前置増幅器
M1〜M4 マイクロ流路分岐板
19a 送液主流路端子
20a 排液主流路端子
19b 送液支流路端子
20b 排液支流路端子
21 圧空ライン
22 液溜区画
23 パーティション部材
24 細胞定着箇所
25 突起部
26 シーケンサー
27 制御パソコン
28 接続ライン
29 電磁弁
30 電磁弁接続端子
31 マイクロバルブ
32 マイクロ流路
33 空圧パット
34 変形部
Claims (8)
- 細胞配置領域を有する第一表面及びその反対面である第二表面を有すると共に、細胞配置領域内に細胞を通過させないが液体を通過させ得る貫通孔を有する電気絶縁性基板と、
電気絶縁性基板の第一表面側で貫通孔と連通可能に設けられ、第一導電性液体を保持するための第一液溜部と、
第一液溜部と第一導電性液体を介して電気的導通可能に配置される第一電極部と、
電気絶縁性基板の第二表面側で貫通孔と連通可能に設けられ、第二導電性液体を保持するための第二液溜部と、
第二液溜部と第二導電性液体を介して電気的導通可能に配置される第二電極部と、
第二液溜部に連結され、第二液溜部に第二導電性液体を送液する送液流路と、
第二液溜部に連結され、第二液溜部から第二導電性液体を排液する排液流路と、
送液流路及び/又は排液流路に設けられ、第二導電性液体の流通を許容又は停止し得ると共に、第二液溜部と第二電極部との電気的導通を許容又は停止し得るバルブと
を有し、前記電気絶縁性基板が細胞配置領域及びそれに対応する貫通孔をそれぞれ複数有するとともに、複数の細胞配置領域に対応して第二液溜部が複数設けられ、
送液流路が、送液主流路と、送液主流路から分岐され、複数の第二液溜部にそれぞれ連結される複数の送液支流路とを有し、
排液流路が、複数の第二液溜部にそれぞれ連結される複数の排液支流路と、複数の排液支流路が合流する排液主流路とを有し、
第二電極部が、送液主流路及び/又は排液主流路に設けられ、
バルブが、各送液支流路及び/又は各排液支流路に設けられる、
プレーナーパッチクランプ装置。 - バルブ閉時におけるバルブ前後の電気抵抗値が1メガオーム以上である、請求項1に記載のプレーナーパッチクランプ装置。
- 培養型プレーナーパッチクランプ装置である、請求項1又は2に記載のプレーナーパッチクランプ装置。
- 前記培養型プレーナーパッチクランプ装置の第一表面側の貫通孔周辺部に細胞外マトリクス形成物質が配置される、請求項3に記載のプレーナーパッチクランプ装置。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のプレーナーパッチクランプ装置と、
前記プレーナーパッチクランプ装置の各バルブの開閉を制御する制御部と、
前記プレーナーパッチクランプ装置の各電極部における電気信号を検出する電気検出部と
を備えるプレーナーパッチクランプシステム。 - 前記プレーナーパッチクランプ装置を複数備える、請求項5に記載のプレーナーパッチクランプシステム。
- 前記プレーナーパッチクランプ装置に配置された細胞に由来する光信号を検出する光検出部を更に備える、請求項5又は6に記載のプレーナーパッチクランプシステム。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のプレーナーパッチクランプ装置、又は請求項5〜7のいずれか1項に記載のプレーナーパッチクランプシステムを用いて、神経細胞に対する薬剤をスクリーニングする方法。
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