JP2009204407A - パッチクランプ素子用基板、平面基板型パッチクランプ素子及び細胞イオンチャンネル活性測定方法 - Google Patents

パッチクランプ素子用基板、平面基板型パッチクランプ素子及び細胞イオンチャンネル活性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の小型化が容易で使用が簡単であり、しかも高感度で正確な測定が可能とされる平面基板型パッチクランプ素子の技術を提供する。
【解決手段】電気絶縁性の基板の両方の表面側を連通させる貫通孔における片方の開口部は細胞より小さい口径とされ、この開口部の周縁には細胞外マトリックス形成物質を有するパッチクランプ素子用基板。この基板の貫通孔の両方の表面側に、導電性液体を保持する液溜部と、この導電性液体に対して通電可能に配置された電極を設けた平面基板型パッチクランプ素子。
【選択図】図2

Description

本発明は、パッチクランプ素子用基板、平面基板型パッチクランプ素子及び細胞イオンチャンネル活性測定方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、装置の小型化が容易であり、使用が簡単かつ容易であり、高感度で正確な測定が可能とされ、集積回路化も可能なパッチクランプ素子用基板と平面基板型パッチクランプ素子(プレーナーパッチクランプ素子)、及びこれらを利用する細胞イオンチャンネル活性測定方法に関する。
生命体を構成する細胞の表面には種々の膜タンパク質が配置されており、細胞表面の特定サイトへの化学物質(リガンドなどの信号伝達物質)の結合や電気あるいは光の刺激(ゲートトリガー)により膜タンパク質の開口部であるチャンネルが変形し、細胞膜の外側と内側の間でのイオンや化学物質の輸送(チャンネルカレント)が制御されている。
上記の制御を行うタンパク質をチャンネルタンパク質といい、このチャンネルタンパク質が脂質膜に埋め込まれた状態で存在するチャンネルとして生命機能を保っている。このチャンネルタンパク質の電気的変化を測定することにより、そのチャンネルタンパク質を含む細胞の活動状態や細胞外の物質との相互作用を検出できるようになる。
チャンネルタンパク質をシリコン固体表面に保持して電気的結合を作ることにより、集積化された測定素子を作ることができるので、従来、それらの提案が多くなされている。
特に近年、シリコンチップのような固体基板上のパッチクランプ装置を開発することに多大な努力がなされている。通常、これらの基板は、従来のパッチクランプ電極の開口部に相当する細胞の配置及び固着のための一つ以上の貫通孔を備えている。
特表2003−511668公報 特表2005−536751公報 例えば上記の特許文献1には、複数のパッチクランプ細胞にてパッチクランプ記録を実施するための複数の電極からなる平面的パッチクランプ電極配列について記載されている。
しかし、特許文献1に記載された発明では、細胞を基板貫通孔の入り口に置く際に細胞を吸引して誘導するため、細胞を弱らせ寿命を短くさせている。従って、測定対象である細胞の良好な生理状態を十分な時間にわたって維持し難く、ひいては細胞イオンチャンネル活性の信頼性ある測定結果を得ることが難しい。
又、上記の特許文献2には、シリコン基板の上下の表面に電極を設け、二つの電極の間に電気的に連通させるための孔を貫通し、貫通孔の入り口に置いた細胞の電気的変化を測定するプレーナー型パッチクランプ装置が開示されている。
しかし、特許文献2に記載された発明では、細胞との電気的な連通を確立するために細胞を置く部分に突起を設けるため、細胞に無用の力学的ストレスを与え、イオンチャンネル活性に悪影響を与える。そのため、測定精度を低下させ、更に細胞の状態をも変えてしまう恐れを有している。
以上のように、平面基板の両側の表面に微細な孔を貫通させて導電性を持たせる公知のプレーナー型パッチクランプ装置を使用する方法では、下記の問題点があった。
(1)測定対象とする細胞の寿命が1時間から30分以下と短いため、創薬スクリーニングなどの限られた応用しかできなく、ピペットパッチクランプが活躍している細胞の機能解析などへの応用が不可能である。
(2)平面基板上の両側の表面を連通する孔に細胞をトラップする工程(トラップ工程)において(2-1)穴がつまる、(2-2)細胞をうまく運べない、などの問題が生じる。
(3)なお、いわゆるホールセルクランプモードの測定では、基板に設けた貫通孔の一方の表面側の開口部に細胞を固着させた後、その開口部に接するところで細胞膜に穴を開ける工程が必要である。即ち、通常、細胞外がアース電位で細胞内に所定の電圧を印可するが、基板に設けた孔のところの細胞膜に孔を開けることにより、基板の反対側のチャンバー内が細胞内と同じ電位、即ち、反対側チャンバーに設置した電極が細胞内に導通することになる。このような穴あけ工程では、従来、物理的に細胞膜を破壊して穴を開けるのが一般的であるが、このような穴あけ工程も細胞にはストレスを与えることになり、細胞の状態を変化させ、また細胞の寿命を縮めてしまう。
そこで本発明は、平面基板型パッチクランプ素子を用いる細胞イオンチャンネル活性測定において、基板に形成された貫通孔の一方の開口部を細胞膜で覆う状態を素早く簡単に作り出し、覆った状態での電極間の抵抗を十分に低くし、かつ電気容量を小さくバックグランドノイズを小さくし、また貫通孔の開口部を覆う細胞の寿命を有効に延長することを、解決すべき技術的課題とする。
又、本発明は、平面基板型パッチクランプ素子を用いる細胞イオンチャンネル活性測定において、測定対象である細胞へのストレスを低減することも、解決すべき技術的課題とする。
更に本発明は、熟練が不要で簡便に操作できるイオンチャンネル活性測定用の平面基板型パッチクランプ素子と、そのためのパッチクランプ素子用基板を提供することも、解決すべき技術的課題とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、電気絶縁性の基板であって、基板の両方の表面側を連通させる貫通孔を備え、この貫通孔における第一の表面側への開口部は測定対象である細胞より小さい口径を持つ細胞定着用開口部とされ、この細胞定着用開口部の周縁における細胞とほぼ同じ大きさの領域の表面には細胞外マトリックス形成物質を有する、パッチクランプ素子用基板である。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る貫通孔が、前記細胞定着用開口部から第二の表面側への開口部に向かって次第に口径が大きくなる、パッチクランプ素子用基板である。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る電気絶縁性の基板がシリコン基板である、パッチクランプ素子用基板である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係るシリコン基板が、第一の表面側のシリコン層と、中間の酸化シリコン層と、第二の表面側のシリコン層とが順次に積層された構造を有する、パッチクランプ素子用基板である。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る基板が、第一の表面側に前記細胞外マトリックス形成物質を有する前記貫通孔を複数備え、かつ、これらの貫通孔が電気絶縁壁構造を介在させ得る相互間隔をもって形成されている、パッチクランプ素子用基板である。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、第1発明〜第4発明のいずれかに記載したパッチクランプ素子用基板の貫通孔の第一の表面側と第二の表面側にそれぞれ、導電性液体を保持するための液溜部と、この液溜部の導電性液体に対して通電可能に配置された電極とを設け、前記貫通孔により第一の表面側の液溜部と第二の表面側の液溜部とを導電的に連通させた、平面基板型パッチクランプ素子である。
(第7発明)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、第5発明に記載したパッチクランプ素子用基板の複数の貫通孔について、それらの第一の表面側と第二の表面側にそれぞれ、導電性液体を保持するための液溜部と、この液溜部の導電性液体に対して通電可能に配置された電極とを設け、前記貫通孔により第一の表面側の液溜部と第二の表面側の液溜部とを導電的に連通させると共に、第一の表面側及び第二の表面側において各貫通孔に設けた液溜部の相互間を電気的に絶縁した、平面基板型パッチクランプ素子である。
(第8発明)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、第6発明に記載した平面基板型パッチクランプ素子の第二の表面側の液溜部に導電性液体を導入したもとで、第一の表面側の液溜部には測定対象細胞を分散させた導電性液体を導入して、細胞外マトリックス形成物質の作用により前記測定対象細胞を無負荷で細胞定着用開口部に誘導・定着させることにより細胞定着用開口部を塞ぎ、これらの液溜部に通電可能な前記電極によって測定対象細胞の細胞膜におけるイオンチャンネルの開閉を測定する、細胞イオンチャンネル活性測定方法である。
(第9発明)
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、第7発明に記載した平面基板型パッチクランプ素子の各貫通孔について設けた第二の表面側の液溜部に導電性液体を導入したもとで、第一の表面側の液溜部には複数の種類の測定対象細胞をそれぞれ分散させた導電性液体を導入して、細胞外マトリックス形成物質の作用によりそれぞれの前記測定対象細胞を無負荷で細胞定着用開口部に誘導・定着させることにより細胞定着用開口部を塞ぎ、これらの液溜部に通電可能な前記電極によって複数種類の測定対象細胞の細胞膜におけるイオンチャンネルの開閉を同時に測定する、細胞イオンチャンネル活性測定方法である。
(第10発明)
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、前記第8発明又は第9発明に係るイオンチャンネル活性の測定をホールセルクランプモードで行うに当たり、細胞膜穿孔性物質の溶液を第二の表面側の液溜部から貫通孔に供給することにより細胞膜穴あけ工程を行う、細胞イオンチャンネル活性測定方法である。
本発明のパッチクランプ素子用基板は、基板に設けた貫通孔の第一の表面側への開口部(細胞定着用開口部)の周縁に細胞外マトリックス形成物質を有する。そのため、この基板を用いた平面基板型パッチクランプ素子による細胞イオンチャンネル活性測定において、第一の表面側の液溜部に保持された導電性液体(例えば、細胞培養液)中に分散させた測定対象細胞は、細胞外マトリックス形成物質の作用により細胞定着用開口部に誘導され定着する。即ち、細胞が細胞定着用開口部に定着するに当たり、吸引その他のイオンチャンネル活性に悪影響を与えるストレスが負荷されない。
そのため、測定対象である細胞を弱らせたり寿命を短くさせたりすることなく、細胞の良好な生理状態を測定に十分な時間にわたって維持することができ、ひいては細胞イオンチャンネル活性の信頼性ある測定結果を得ることができる。しかも、細胞定着用開口部への細胞の定着は自律的に行われるので、熟練した操作を何ら要しない。
更に、細胞定着用開口部は測定対象である細胞より小さい口径を持ち、かつ、細胞定着用開口部の周縁における細胞とほぼ同じ大きさの領域の表面には細胞外マトリックス形成物質を有するので、細胞定着用開口部が細胞によって完全に塞がれると共に、その周縁領域の表面にも細胞膜が密着する。このため、細胞定着用開口部の部分で十分な面積をもって導電性物質が完全に遮断され、細胞の吸引等を行うことなくギガオームシールを達成することができる。ギガオームシールとは、当該導電性物質の遮断すなわち絶縁性の程度がギガオームほどの高い抵抗値となっていることを端的に表現する技術用語である。
次に、パッチクランプ素子用基板の貫通孔が、細胞定着用開口部から第二の表面側への開口部に向かって次第に口径が大きくなる形状を備える場合、第1の表面側と第2の表面側との電極間の導電性が高まり、イオンチャンネルたんぱく質からの微弱電流に対する応答速度が速くなる。
電気絶縁性の基板としては、例えばシリコン基板が好ましい。第一の表面側のシリコン層と、中間の酸化シリコン層と、第二の表面側のシリコン層とが順次に積層された構造を有するシリコン基板(SOI基板と称する)が、とりわけ好ましい。このような積層構造のシリコン基板においては、極めて絶縁性の高い中間層が二つのシリコン層間に存在するので、測定対象細胞のイオンチャンネル閉鎖時に高抵抗状態と低い寄生容量を確立でき、バックグランドのノイズを低減できる。
第7発明の平面基板型パッチクランプ素子を用いて第9発明の細胞イオンチャンネル活性測定方法を実施すると、複数種類ないし多数種類の測定対象細胞についての細胞イオンチャンネル活性測定を、同時に、かつ互いに独立に行うことができる。
第10発明の細胞イオンチャンネル活性測定方法によれば、従来の穴あけ工程のように物理的に細胞膜を破壊して穴を開けるのではないため、測定対象細胞に余計なストレスを与えず、細胞の良好な生理状態を維持できる。従って細胞イオンチャンネル活性のより信頼性ある測定結果を得ることができる。
以下において、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施形態によって限定されない。
(本実施形態の基本的な構成と作用・効果)
本発明の平面基板型パッチクランプ素子の具体的態様を図1に示し、図1における基板の要部の拡大図を図2に示す。
シリコン基板Pは、単結晶シリコンからなり第一の表面側を構成する第一シリコン層1と、酸化シリコンからなる絶縁層2と、第二の表面側を構成する第二シリコン層3が順次に積層された構造を有する。この三層構造を有するシリコン基板を、先にも述べたように、SOI基板と呼ぶ。
このシリコン基板Pにおいて、第一シリコン層1と絶縁層2には測定対象である細胞4よりもかなり小さい口径を持つ極細孔5が貫通している。図2においては、細胞膜4aと、この細胞膜4aに埋め込まれた状態で存在する膜タンパク質4bによって細胞4を表現している。上記の極細孔5は第二シリコン層3を貫通する細孔6に連通している。細孔6は第二の表面側への開口部に向かって次第に口径が大きくなる円錐形に形成されている。そして、極細孔5と細孔6により、シリコン基板Pの第一の表面側と第二の表面側を連通させる貫通孔が構成されている。
極細孔5の第一の表面側への開口部(細胞定着用開口部)の周縁には、細胞4とほぼ同じ大きさの領域の表面にわたり、細胞外マトリックス形成物質7の薄い層が設けられている。
図1に示すように、シリコン基板Pの第一の表面側には上部流体回路基板8と上部チャンバー構成材9を重ね、かつ、上部チャンバー構成材9の上側の開口部をカバーグラス10で閉鎖することにより、第一の表面側の液溜部11を構成している。上部流体回路基板8には、液溜部11に保持される導電性液体に対して通電可能な上部電極12を設けている。なお、カバーグラス10の上方近接位置には顕微鏡13を設置することができる。
細胞のイオンチャンネル活性の測定時には、測定対象となる細胞4を分散させた導電性液体(培養液)を上記の液溜部11に導入すると、細胞外マトリックス形成物質7の誘導・定着作用により、細胞4が培養液の中を移動していき、図2に示すように、極細孔5の細胞定着用開口部を塞ぐ状態で、細胞外マトリックス形成物質7に固着する。
一方、シリコン基板Pの第二の表面側には、下部流体回路基板14と下部チャンバー構成材15を重ねることによって、第二の表面側の液溜部16を構成している。下部流体回路基板14には、液溜部16に保持される導電性液体に対して通電可能な下部電極17を設けている。細胞のイオンチャンネル活性の測定時には、適宜な組成の導電性液体を上記の液溜部16に導入する。
以上のように構成された平面基板型パッチクランプ素子においては、上記のように、第二の表面側の液溜部16に導電性液体を導入したもとで、第一の表面側の液溜部11には測定対象細胞4を分散させた導電性液体を導入して、細胞外マトリックス形成物質7の作用により測定対象細胞4を無負荷で細胞定着用開口部に誘導して定着させ、第一の表面側の液溜部11に通電可能な上部電極12と第二の表面側の液溜部16に通電可能な下部電極17によって、測定対象細胞4の細胞膜4aにおけるイオンチャンネルの開閉を測定することができる。
(本実施形態の更に詳細な構成と作用・効果)
以上のように構成された平面基板型パッチクランプ素子の実施形態においては、細胞4とほぼ同じ大きさの領域の表面にわたり設けられた細胞外マトリックス形成物質7に従って細胞4が広がり、細胞外マトリックス形成物質7を介して第一シリコン層1の表面にきっちりと密着される。
図2においては、細胞膜4aと膜タンパク質4bとを明瞭に図示するために、あえて細胞膜4aと第一シリコン層1との間に空間が存在するかのように表現しているが、実際には、細胞膜4aと第一シリコン層1との間には十分な面積で導電性物質を完全に遮断できる密着を確保することができる。従って、細胞4を強く吸引をすることなくギガオームシールを達成することができるので、密着のための強い細胞吸引が不要であり、細胞4への傷害の程度を低くすることができ、寿命を長くできる。
また、細胞外マトリックス形成物質7が極細孔5の細胞定着用開口部の周縁に、ほぼ細胞4の大きさ程度に配置されているので、細胞4が一つ素早く正確に細胞定着用開口部の周りに固着することができる。若し、二つ以上の細胞4が細胞定着用開口部を覆った場合には、二つの細胞4の接触部分でイオン性物質の移動が起きて、抵抗を小さくしノイズ発生の原因となる。しかし、本発明においては、このような不具合を生じない。
本発明では、第一シリコン層1の表面における細胞外マトリックス形成物質7を有する領域の大きさは、細胞4とほぼ同じ大きさであるのが適切であり、細胞外マトリックス形成物質7に固着するときの細胞4の面積の75%以上で、かつ150%以下の面積であることが望ましい。
通常は、20〜50μmのサイズの適宜な形状(例えば、円形または矩形)のパターン状に細胞外マトリックス形成物質7の層を設ける。
また、測定対象となる細胞4が固着するときに自然に取る形状に予め合わせたパターンに設けた細胞外マトリックス形成物質7を使用すると、細胞へのストレスをより少なくすることができて望ましい。
細胞外マトリックス形成物質7は、例えば、燐酸でバッファーされた生理的食塩水に溶かしてシリコン基板Pの上に直接塗布し、乾燥させることで、基板上に形成することができる。
また、例えば「ソフトマター(Soft Matter)2007,3,168−177」に記載のマイクロコンタクトプリンティング法を利用して細胞外マトリックス形成物質7を所望の形、量でシリコン基板Pに配置することができる。
この細胞外マトリックス形成物質7の材料の塗布工程で極細孔5が詰まることを避けるため、細胞定着用開口部の周辺1〜数μmの近傍領域では細胞外マトリックスを塗布しないパターンとするのも望ましい。
細胞外マトリックス形成物質7を設けることで、細胞4がこの細胞外マトリックス形成物質7を感知して移動してくるので、細胞4を極細孔5の部分に移動・定着させる際に吸引の必要がない。
前記したように、従来は基板に設けた微細な貫通孔からの吸引により細胞を貫通孔のところに運んでいて、これが貫通孔を詰まらせる原因のひとつであったが、本発明によれば、このような吸引を不要とし、あるいは強い吸引をしなくて済むので、貫通孔の詰まりを防止し、かつ吸引による細胞4へのストレスを解消ないし減少させることができる。
細胞外マトリックス形成物質7の構成材料としては、下記のものを例示することができる。
ポリリジン、コラーゲン(I型、II型、IV型)、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、プロテオグリカン(バーシカン、デコリンなど)、プロテオグリカン(アグリカン)、リンクタンパク質、エンタクチン、テネイシン、プロテオグリカン〔コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(パールカンなど)、ケラタン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン〕、ヒアルロン酸(グリコサミノグリカンの一種)、エラスチン、フィブリンなど。
第一の表面側の液溜部11には、細胞4を極細孔5の部分に移動させる際等の細胞4に対して処理操作を加える際には生理的食塩水や培養液を使用し、電流測定(細胞イオンチャンネル活性測定)時には緩衝成分のみを含む液を使用する、というように溶液を入れ替えることが好ましく、そのため、液溜部11には液の注入と排出を行い得る適宜な構成の液体流路系(図示省略)を設けることが望ましい。同様のことが、第二の表面側の液溜部16についても言える。
図示する平面基板型パッチクランプ素子による細胞イオンチャンネル活性測定はセルアタッチモードで行うこともできるが、より好ましくはホールセルクランプモードで行うことができる。セルアタッチモードとは、細胞4を極細孔5の真上に固定した状態で、極細孔5に接した部分の細胞膜4aの表面にあるイオンチャンネルを流れる電流を測定するモードである。一方、ホールセルクランプモードとは、細胞4を極細孔5の真上に固定した状態で、極細孔5に接した部分の細胞膜4aに孔を開けて、細胞4の外部から細胞4の内部に流れる全電流を測定するモードである。
イオンチャンネル活性の測定をホールセルクランプモードで行うに当たり、細胞膜4aを穿孔することができる物質の溶液を第二の表面側の液溜部16から極細孔5に供給することにより、細胞膜穴あけ工程を行うことができる。
このような細胞穴開け工程として、細胞4が極細孔5の真上に固定された状態で、上下側の液溜部11及び16の溶液をチャンネル電流計測用の溶液(液溜部11側を細胞外液相当の溶液、液溜部16側を細胞内液相当の溶液)に置き換えた後、液溜部16にナイスタチン(nystatin)、やアンフォテリシンB等の細胞膜4aに孔を開ける性質を有する抗生物質の細胞内液による溶液を供給し、この溶液を極細孔5に通すことにより、細胞膜4aに穴を開ける。
上記の細胞穴開け工程において、これらの抗生物質の拡散速度が非常に遅い。そのため、液溜部16に差し込むように形成し先端が極細孔5の極めて近傍にある1mm又はそれ以下の細い内径のノズル18を用い、このノズル18から細胞穴開け用の溶液が細胞4に吹き付けるように噴き出される構成を採用することが好ましい。また、このノズル18を表面をAgCl化した銀などの金属で作成して前記下部電極17の端子を兼ねさせることにより、よりコンパクトで安定な素子構成が可能になる。
本実施形態の平面基板型パッチクランプ素子によれば、セルアタッチモードとホールセルクランプモードのいずれの測定モードに対しても、細胞4とシリコン基板Pの密着している面積を大きくすることができ、かつ細胞外マトリックス形成物質7と細胞4の結合により細胞4がシリコン基板Pに強く密着するので、容易にギガオームシールが達成でき、且つ細胞4の寿命を長くできるので長時間の測定にも耐えることができる。また、シリコン基板PのSOI構造の故に、高い絶縁抵抗と十分小さい容量を容易に実現できる。
細胞4の周り、極細孔5、細孔6には導電性液体が充填されているが、細胞4は第一シリコン層1に固着していて、イオンが第一シリコン層1の表面と極細孔5との間を移動できないため、細胞4のイオンチャンネルが導電状態になった時のみ、電極と銀ノズル18との間に電通状態が生じるように保たれている。
そして本願発明では、SOI構造のシリコン基板Pを使用しているので、極めて絶縁性の高い絶縁層2が第一シリコン層1、第二シリコン層3の間に存在し、細胞4のイオンチャンネルが開いていないときは高抵抗状態を確立でき、バックグランドのノイズを低減でき、ピコアンペアレベルの電流を正確に測定することができる。
前記のように、絶縁層2には、通常SiOが用いられる。その厚みはSOI基板利用により5nmから10μmが可能であるが、寄生容量低減と絶縁抵抗増大の観点から、BOX層(SOI基板における酸化シリコンからなる絶縁層2)の膜厚は厚い方が好ましい。但し、BOX層が厚すぎると、孔開け加工が簡単でなくなる。BOX層が薄すぎれば、容量が大きくなり、抵抗は低くなってノイズが高くなる。
極細孔5の管路の中間での絶縁層2の配置により、極細孔5の部分のコンデンサー容量Cが小さくなり、ノイズを低減できる。
シリコン基板Pが誘電率の大きなシリコンだけであると、容量が大きくなり、雑音が大きくなり、バイオセンサーとして不利である(Siの比誘電率:12.1、SiOの比誘電率:4.5、真空の誘電率:8.85×10−12 Fm−1)。誘電率 e 、ギャップ d 、面積 S の平衡平板コンデンサーの容量は、C=Sx(ε/d)で与えられる。
液溜部11、16に保持される導電性液体はイオンを含むものであれば良いが、イオンチャンネルの開閉に係わる化学物質が運搬される緩衝液を使用することが好ましい。また細胞が生体内でさらされる外部イオン環境と同じ溶液が使用可能であり、さらに細胞の生体膜を通過するイオン電流を測定するために通常使用される溶液も使用できる。
図4の(a)〜(d)にシリコン基板Pの形成方法の具体的態様を示す。図4において、第一シリコン層1側の極細孔5の形成には、電子ビーム露光とプラズマエッチングの組み合わせ、収束イオンビーム加工、レーザー加工、光露光とプラズマエッチング等の既知の各種の加工技術が適用可能である。
次いで、第二シリコン層3側からの細孔6の形成においては、SOI基板であるSi(100)基板を用い、ダイアモンドドリルで一定の深さの、孔を開けた後、残部を、TMAHエッチングで除去することにより、深さ方向に徐々に孔が小さくなる形状の加工が達成できる。TMAHエッチングに代えてXeFガスによるエッチングでも同様の加工が可能である。いずれも毎分0.1μm程度の速度のエッチングが可能である。
次いで、図1に示す上部流体回路基板8と下部流体回路基板14、及び上部チャンバー構成材9と下部チャンバー構成材15との間に、図4の(b)の段階の基板をシリコン基板Pとしてセットし、第一の液溜部11に1%〜10%の希フッ酸を入れ、第二の液溜部16に純水をいれ、絶縁層2の厚みとエッチング速度に応じて所定の時間だけ絶縁層2のエッチングを行い、ちょうど絶縁層2が完全にエッチングで除去される時点で、第一の液溜部11に純水を添加してエッチングを停止する。
エッチング速度は10%希フッ酸の場合で70nm/min.である。
このようにすると、絶縁層2が貫通すると同時に第一の液溜部11の希フッ酸が第二の液溜部16の純水により希釈されるため、絶縁層2が過剰に除去されるのを自動的に防ぐことが出来る。
さらに、シリコン基板Pの構造として、第一のシリコン層1における極細孔5の入り口付近の構造が、図4の(d)の部分拡大図によって示すように、滑らかになっていることが、細胞膜4aと極細孔5との間のシール抵抗を高くする。
図4に記載の例では、図4(a)の工程の前に全体を熱酸化し、表面に1ミクロンの熱酸化膜を形成しておき、(c)の工程で、絶縁層2の除去と同時にこの最初の熱酸化膜が除去されるようにした。さらにこれに熱酸化を加えると(本実施例では膜の厚み1ミクロン)、(d)に示すように、極細孔5の形状が滑らかになるとともに、電気容量が減少する。電気容量CはC=ε(S/d)で与えられ、εは絶縁膜や熱酸化膜SiOの誘電率(4.5×8.85×10−12−1−2)である。Sは導電性液体に接触するSi基板の面積、dは酸化膜の厚さである。さらにこの基板にスパッターにより約1ミクロン厚のSiO膜を堆積した結果が(d)である。さらに、微細孔の形状は滑らかになり、酸化膜は厚くなるため、電気容量は小さくなる。
本発明では、第二のシリコン層3を貫通する細孔6は、球状に絶縁層2との境界までえぐられた形をもち、そこで極細孔5につながっている。
この細孔6は形状が第二のシリコン層3側の表面から奥に行くほど徐々に口径が小さくなることが重要である。例えば、角錐あるいは円錐状である。
この作業はドリルを用いてもよいし、通常の電子ビーム露光も利用でき、さらに光露光によるリソグラフィによりパタン形成した後プラズマエッチングにより穴形成をしてもよい。
上記細孔6の径は第二のシリコン層3の表面で100〜3000μm程度である。この径が大きいほど、イオンセンサーを介して電通性を持っている電極間の導電性が高まり、イオンチャンネルたんぱく質からの微弱電流に対する応答速度が速くなる。
要するに、シリコン基板Pの構造として、第一のシリコン層1の極細孔5の入り口付近の構造が滑らかになっていることが、いわゆる細胞膜と孔部とのシール抵抗を高くするうえで重要である。また、基板の電気容量を減少することは、雑音低減の観点から重要である。
第一のシリコン層1の表面に配置される上部流体回路基板8は、基板の上に設置して極細孔5の上にある細胞4を液で浸す第1の液溜部11を形成する。又、図3のように極細孔5を複数設ける場合には、複数の第1の液溜部11を形成できるように作られている。図1の具体的構成では、上部流体回路基板8の上に上部電極12が設けられて、上部の液溜部11に保持された液体と電気的に連通している。
第二のシリコン層3の表面に配置される下部流体回路基板14は第2の液溜部16を形成する。図1の具体的構成では、第2の液溜部16に差し込まれているノズル18が下部電極17の端子の役割をしているが、それに代えて、別途に下部電極を下部流体回路基板14に設けてもよい。
上部流体回路基板8、下部流体回路基板14等をアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂、PDMSあるいはこれらの組み合わせ、などの透明な材料で構成することが望ましい。
図3は、シリコン基板Pに上記した構成に係る複数の貫通孔を設け、複数の細胞を同時に測定できるようにした態様である。即ち、図1及び図2において既に説明した構成についての詳細な再説明は省略するが、単一のシリコン基板Pに、極細孔5と細孔6からなる貫通孔が複数に設けられ、これらの各貫通孔ごとに、図1に示したものと同様の第一の表面側の液溜部11に及び上部電極12に関わる各種の構成要素と、第二の表面側の液溜部16及び下部電極17に関わる各種の構成要素とが形成されている。
そして、複数の第一の表面側の液溜部11は隔壁19により、複数の第二の表面側の液溜部1は隔壁20により、互いに液密な状態で電気的に絶縁されている。これらの隔壁19、20は、絶縁状態を作るため電気抵抗を高める部材で作成することにより、各液溜部の電気的独立を維持できる。
この態様で、複数の下部電極を、それぞれ独立に信号測定回路21(図1参照)につなげることで、細胞毎に独立のデータを同時に測定することができる。
以下に本発明の実施例を説明する。
Sigma-Aldrich Inc. (St.Louis, MO)製のフィブロネクティンを500 μg/mlの濃度で含む燐酸緩衝生理水(PBS)を前記のシリコン基板Pの表面に塗布して乾燥させた。フィブロネクチンの塗布量は1平方センチあたり約5μgであった。
このシリコン基板Pの上下に前記したように流体回路基板と液溜部を設置し、構成された流体回路の中に培養液を注入した。培養液の組成を下記に示す。
使用した細胞はHEK-293細胞で、まずDulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM,
Sigma-Aldrish)の中で、10% (V/V) foetal bovine serum (FBS, Biological industries), 1% (V/V) gluta max (Gibco), 0.5% (V/V) penicillin - streptomycin
(Gibco) and 500 mg/ml geneticin (G418, Gibco)を供給しつつ培養した。培養液から遠心分離して分離されたHEK-293細胞は10%のFBSが供給されたDMEMの中に分散されて第一の液溜部11中におかれた。細胞は、フィブロネクチンの塗布されているところに移動し固着した。
次いで、前記した実施形態の通り、すなわち、図1の液溜部16にナイスタチン(nystatin)、やアンフォテリシンB等の細胞膜4aに孔を開ける性質の抗生物質の細胞内液による溶液を供給し、この溶液を、極細孔5に通すことにより、細胞膜4aに穴を開けた。
電流計測時には、第一の液溜部11には、140mMのNaCl, 5mMの KCl, 10mMのHEPES, 2mMのMgCl2, 2mMのCaCl2, 10mMの Glucoseを含み、pHをNaOHで7.4に調整した細胞外液を培養液と入れ替え、第二の液溜部16には、140mMのKCl, 5mMのEGTA, 10mMの HEPESを含み、pHをKOHで7.4に調整した細胞内液を培養液と入れ替えた。
0.5mMのカプサイシンを上記の細胞外液に含ませて細胞を刺激して細胞のイオンチャンネルを開き、ついでCa2+を細胞外液に入れることでカプサイシンの影響を無効化する。これを繰り返したときの上部電極12とノズル18の銀との間の電流変化を図5に示す。このとき電圧は30mVに保持されている。
図5から、カプサイシン注入時から刺激持続中は電流が下がり、刺激を除くと電流が上がることが読み取れる。細胞のイオンチャンネルの導電の程度を測定できていることが示されている。図5において、ステージIとステージIIIはカプサイシン注入時を示し、ステージIIとステージIVは液溜部の洗浄時すなわちカプサイシンを洗い流す行程時を示す。
本発明によって、装置の小型化が容易で使用が簡単であり、しかも高感度で正確な測定が可能とされる平面基板型パッチクランプ素子の技術が提供される。
本発明の平面基板型パッチクランプ素子の具体的態様の1例を示す。
図1における基板の要部を拡大して示す。
本発明の平面基板型パッチクランプ素子の他の具体的態様を示す。
貫通孔の形成工程を示す。
本発明の実施例の評価結果を示す。
符号の説明
P シリコン基板
1 第一シリコン層
2 絶縁層
3 第二シリコン層
4 細胞
5 極細孔
6 細孔
7 細胞外マトリックス形成物質
11 第一の表面側の液溜部
12 上部電極
16 第二の表面側の液溜部
17 下部電極
18 ノズル

Claims (10)

  1. 電気絶縁性の基板であって、基板の両方の表面側を連通させる貫通孔を備え、この貫通孔における第一の表面側への開口部は測定対象である細胞より小さい口径を持つ細胞定着用開口部とされ、この細胞定着用開口部の周縁における細胞とほぼ同じ大きさの領域の表面には細胞外マトリックス形成物質を有することを特徴とするパッチクランプ素子用基板。
  2. 前記貫通孔が、前記細胞定着用開口部から第二の表面側への開口部に向かって次第に口径が大きくなることを特徴とする請求項1に記載のパッチクランプ素子用基板。
  3. 前記電気絶縁性の基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッチクランプ素子用基板。
  4. 前記シリコン基板が、第一の表面側のシリコン層と、中間の酸化シリコン層と、第二の表面側のシリコン層とが順次に積層された構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパッチクランプ素子用基板。
  5. 前記基板が、第一の表面側に前記細胞外マトリックス形成物質を有する前記貫通孔を複数備え、かつ、これらの貫通孔が電気絶縁壁構造を介在させ得る相互間隔をもって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のパッチクランプ素子用基板。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のパッチクランプ素子用基板の貫通孔の第一の表面側と第二の表面側にそれぞれ、導電性液体を保持するための液溜部と、この液溜部の導電性液体に対して通電可能に配置された電極とを設け、前記貫通孔により第一の表面側の液溜部と第二の表面側の液溜部とを導電的に連通させたことを特徴とする平面基板型パッチクランプ素子。
  7. 請求項5に記載のパッチクランプ素子用基板の複数の貫通孔について、それらの第一の表面側と第二の表面側にそれぞれ、導電性液体を保持するための液溜部と、この液溜部の導電性液体に対して通電可能に配置された電極とを設け、前記貫通孔により第一の表面側の液溜部と第二の表面側の液溜部とを導電的に連通させると共に、第一の表面側及び第二の表面側において各貫通孔に設けた液溜部の相互間を電気的に絶縁したことを特徴とする平面基板型パッチクランプ素子。
  8. 請求項6に記載の平面基板型パッチクランプ素子の第二の表面側の液溜部に導電性液体を導入したもとで、第一の表面側の液溜部には測定対象細胞を分散させた導電性液体を導入して、細胞外マトリックス形成物質の作用により前記測定対象細胞を無負荷で細胞定着用開口部に誘導・定着させることにより細胞定着用開口部を塞ぎ、これらの液溜部に通電可能な前記電極によって測定対象細胞の細胞膜におけるイオンチャンネルの開閉を測定することを特徴とする細胞イオンチャンネル活性測定方法。
  9. 請求項7に記載の平面基板型パッチクランプ素子の各貫通孔について設けた第二の表面側の液溜部に導電性液体を導入したもとで、第一の表面側の液溜部には複数の種類の測定対象細胞をそれぞれ分散させた導電性液体を導入して、細胞外マトリックス形成物質の作用によりそれぞれの前記測定対象細胞を無負荷で細胞定着用開口部に誘導・定着させることにより細胞定着用開口部を塞ぎ、これらの液溜部に通電可能な前記電極によって複数種類の測定対象細胞の細胞膜におけるイオンチャンネルの開閉を同時に測定することを特徴とする細胞イオンチャンネル活性測定方法。
  10. 前記イオンチャンネル活性の測定をホールセルクランプモードで行うに当たり、細胞膜穿孔性物質の溶液を第二の表面側の液溜部から貫通孔に供給することにより細胞膜穴あけ工程を行うことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の細胞イオンチャンネル活性測定方法。
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