以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
[車両構成]
図1は、第1の実施形態に係る車両制御システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の有する構成要素を示す図である。車両制御システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。また、上述した電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
図1に示すように、自車両Mには、ファインダ20−1から20−7、レーダ30−1から30−6、およびカメラ40等のセンサと、ナビゲーション装置50と、車両制御装置100とが搭載される。ファインダ20−1から20−7は、例えば、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。例えば、ファインダ20−1は、フロントグリル等に取り付けられ、ファインダ20−2および20−3は、車体の側面やドアミラー、前照灯内部、側方灯付近等に取り付けられる。ファインダ20−4は、トランクリッド等に取り付けられ、ファインダ20−5および20−6は、車体の側面や尾灯内部等に取り付けられる。上述したファインダ20−1から20−6は、例えば、水平方向に関して150度程度の検出領域を有している。また、ファインダ20−7は、ルーフ等に取り付けられる。ファインダ20−7は、例えば、水平方向に関して360度の検出領域を有している。
上述したレーダ30−1および30−4は、例えば、奥行き方向の検出領域が他のレーダよりも広い長距離ミリ波レーダである。また、レーダ30−2、30−3、30−5、30−6は、レーダ30−1および30−4よりも奥行き方向の検出領域が狭い中距離ミリ波レーダである。以下、ファインダ20−1から20−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ20」と記載し、レーダ30−1から30−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ30」と記載する。レーダ30は、例えば、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体を検出する。
カメラ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ40は、フロントウィンドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ40は、例えば周期的に繰り返し自車両Mの前方を撮像する。
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
図2は、第1の実施形態に係る車両制御システム1を搭載した自車両Mの機能構成図である。自車両Mには、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40の他、ナビゲーション装置50と、車両センサ60と、表示部62と、スピーカ64と、動作検出部66と、操作デバイス70と、操作検出センサ72と、切替スイッチ80と、走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、ブレーキ装置94と、車両制御装置100とが搭載される。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、表示部62およびスピーカ64は、「情報出力部」の一例である。
ナビゲーション装置50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報(ナビ地図)、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置50は、GNSS受信機によって自車両Mの位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。ナビゲーション装置50により導出された経路は、経路情報154として記憶部150に格納される。自車両Mの位置は、車両センサ60の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、車両制御装置100が手動運転モードを実行している際に、目的地に至る経路について音声やナビ表示によって案内を行う。なお、自車両Mの位置を特定するための構成は、ナビゲーション装置50とは独立して設けられてもよい。また、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の一機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御装置100との間で無線または有線による通信によって情報の送受信が行われる。
車両センサ60は、車速を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
表示部62は、情報を画像として表示する。表示部62は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electroluminescence)表示装置等を含む。本実施形態では、表示部62は、自車両Mのフロントウィンドウに画像を反射させて、車両乗員の視野内に画像を表示するヘッドアップディスプレイであるものとして説明する。なお、表示部62は、ナビゲーション装置50が備える表示部や、自車両Mの状態(速度等)を表示するインストルメントパネルの表示部であってもよい。スピーカ64は、情報を音声として出力する。
動作検出部66は、運転者の動作を検出する。運転者とは、ステアリングホイールやアクセルペダル、ブレーキペダルが設けられた運転席に着座した車両乗員である。動作検出部66は、運転者による自車両Mに対する運転操作を受け付ける操作デバイス70とは別体のハードウェアである(図10参照)。動作検出部66は、例えば、ガーニッシュ(ダッシュボード)等に設置される機械式のスイッチであってもよいし、ナビゲーション装置50のタッチパネルに設けられるGUI(Graphical User Interface)スイッチであってもよい。動作検出部66は、運転者の所定の動作(例えばスイッチの操作)を受け付け、運転者の所定の動作を受け付けたことを示す受付信号を生成し、動作要求部128に出力する。また、動作検出部66は、音声により入力を受け付けるマイクであってもよい。なお、動作検出部66は、運転者以外の車両乗員が操作可能なスイッチを含んでもよい。
動作検出部66がマイクである場合、例えばマイクに音声が入力され、入力された音声(波形)が予め設定された音声(波形)と合致するとマイクに接続された制御部により判定されたとき、マイクは受付信号を生成し、動作要求部128に出力する。また、動作検出部66は、車両乗員の状態や動きを検知するモーションキャプチャ装置であってもよい。例えばモーションキャプチャ装置は、カメラや赤外線センサによって運転者の所定の動きを検知した場合、受付信号を生成し、生成した受付信号を動作要求部128に出力する。運転者の所定の動きとは、予め設定された身振りや手振り等であって、例えば、運転者が手を振る動きや、目を所定時間以内に所定回数瞬きする動き、首を左右または上下に所定時間以内に所定回数振る動き等である。
また、モーションキャプチャ装置は、運転者の状態が所定の状態であると検知した場合、受付信号を生成し、生成した受付信号を動作要求部128に出力してもよい。運転者の状態が所定の状態とは、例えば運転者が車両環境を監視可能でない状態であって、例えば進行方向を視認していない状態、運転者が眠っている状態や、意識を失っている状態を含む。また、動作検出部66は、運転者の心拍を計測する心拍計であってもよい。この場合、心拍計に接続された制御部が、心拍計により計測された心拍が所定の状態であると判定した場合、受付信号を生成し、生成した受付信号を動作要求部128に出力する。心拍が所定の状態とは、例えば、所定時間内における心拍数が所定数以上または所定数未満である状態や、心拍の反復(リズム)が不規則である状態である。
操作デバイス70は、例えば、アクセルペダルやステアリングホイール、ブレーキペダル、シフトレバー等を含む。操作デバイス70には、運転者による操作の有無や量を検出する操作検出センサ72が取り付けられている。操作検出センサ72は、例えば、アクセル開度センサ、ステアリングトルクセンサ、ブレーキセンサ、シフト位置センサ等を含む。操作検出センサ72は、検出結果としてのアクセル開度、ステアリングトルク、ブレーキ踏量、シフト位置等を走行制御部130に出力する。なお、これに代えて、操作検出センサ72の検出結果が、直接的に走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、またはブレーキ装置94に出力されてもよい。
切替スイッチ80は、運転者等によって操作されるスイッチである。切替スイッチ80は、運転者等の操作を受け付け、走行制御部130による制御モードを自動運転モードまたは手動運転モードのいずれか一方に指定する制御モード指定信号を生成し、制御切替部140に出力する。自動運転モードとは、上述したように、運転者が操作を行わない(或いは手動運転モードに比して操作量が小さい、または操作頻度が低い)状態で走行する運転モードであり、より具体的には、行動計画に基づいて走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、およびブレーキ装置94の一部または全部を制御する運転モードである。
走行駆動力出力装置90は、例えば、自車両Mが内燃機関を動力源とした自動車である場合、エンジンおよびエンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)を備え、自車両Mが電動機を動力源とした電気自動車である場合、走行用モータおよび走行用モータを制御するモータECUを備え、自車両Mがハイブリッド自動車である場合、エンジンおよびエンジンECUと走行用モータおよびモータECUを備える。走行駆動力出力装置90がエンジンのみを含む場合、エンジンECUは、後述する走行制御部130から入力される情報に従って、エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整し、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を出力する。また、走行駆動力出力装置90が走行用モータのみを含む場合、モータECUは、走行制御部130から入力される情報に従って、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整し、上述した走行駆動力を出力する。また、走行駆動力出力装置90がエンジンおよび走行用モータを含む場合、エンジンECUおよびモータECUの双方は、走行制御部130から入力される情報に従って、互いに協調して走行駆動力を制御する。
ステアリング装置92は、例えば、電動モータを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリング装置92は、走行制御部130から入力される情報に従って、電動モータを駆動させ、転舵輪の向きを変更する。
ブレーキ装置94は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置である。電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、走行制御部130から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。電動サーボブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置94は、上記説明した電動サーボブレーキ装置に限らず、電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。電子制御式油圧ブレーキ装置は、走行制御部130から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する。また、ブレーキ装置94は、走行駆動力出力装置90に含まれ得る走行用モータによる回生ブレーキを含んでもよい。
[車両制御装置]
以下、車両制御装置100について説明する。なお、車両制御装置100は、「制御部」の一例である。
車両制御装置100は、例えば、自車位置認識部102と、外界認識部104と、行動計画生成部106と、走行態様決定部110と、第1軌道生成部112と、車線変更制御部120と、動作要求部128と、走行制御部130と、制御切替部140と、記憶部150とを備える。自車位置認識部102、外界認識部104、行動計画生成部106、走行態様決定部110、第1軌道生成部112、車線変更制御部120、動作要求部128、走行制御部130、および制御切替部140のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、記憶部150は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部150に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部150にインストールされてもよい。
自車位置認識部102は、記憶部150に格納された地図情報152と、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報とに基づいて、自車両Mが走行している車線(走行車線)、および、走行車線に対する自車両Mの相対位置を認識する。地図情報152は、例えば、ナビゲーション装置50が有するナビ地図よりも高精度な地図情報であり、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。より具体的には、地図情報152には、道路情報や、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれる。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。交通規制情報には、工事や交通事故、渋滞等によって車線が封鎖されているといった情報が含まれる。
図3は、自車位置認識部102により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。自車位置認識部102は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部102は、自車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
外界認識部104は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等から入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。本実施形態における周辺車両とは、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、上記各種機器の情報に基づいて周辺車両の加速度、車線変更をしているか否か(あるいは車線変更をしようとしているか否か)を含んでもよい。また、外界認識部104は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。
行動計画生成部106は、自動運転のスタート地点、および/または自動運転の目的地を設定する。自動運転のスタート地点は、自車両Mの現在位置であってもよいし、自動運転を指示する操作がなされた地点でもよい。行動計画生成部106は、そのスタート地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。なお、これに限らず、行動計画生成部106は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。
行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。イベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに前走車両を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、走行車線を変更させる合流イベント等が含まれる。例えば、有料道路(例えば高速道路等)においてジャンクション(分岐点)が存在する場合、車両制御装置100は、自動運転モードにおいて、自車両Mを目的地の方向に進行するように車線を変更したり、車線を維持したりする必要がある。従って、行動計画生成部106は、地図情報152を参照して経路上にジャンクションが存在していると判明した場合、現在の自車両Mの位置(座標)から当該ジャンクションの位置(座標)までの間に、目的地の方向に進行することができる所望の車線に車線変更するための車線変更イベントを設定する。なお、行動計画生成部106によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報156として記憶部150に格納される。
図4は、ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。図示するように、行動計画生成部106は、目的地までの経路に従って走行した場合に生じる場面を分類し、個々の場面に即したイベントが実行されるように行動計画を生成する。なお、行動計画生成部106は、自車両Mの状況変化に応じて動的に行動計画を変更してもよい。
行動計画生成部106は、例えば、生成した行動計画を、外界認識部104によって認識された外界の状態に基づいて変更(更新)してもよい。一般的に、車両が走行している間、外界の状態は絶えず変化する。特に、複数の車線を含む道路を自車両Mが走行する場合、他車両との距離間隔は相対的に変化する。例えば、前方の車両が急ブレーキを掛けて減速したり、隣の車線を走行する車両が自車両M前方に割り込んで来たりする場合、自車両Mは、前方の車両の挙動や、隣接する車線の車両の挙動に合わせて速度や車線を適宜変更しつつ走行する必要がある。従って、行動計画生成部106は、上述したような外界の状態変化に応じて、制御区間ごとに設定したイベントを変更してもよい。
具体的には、行動計画生成部106は、車両走行中に外界認識部104によって認識された他車両の速度が閾値を超えたり、自車線に隣接する車線を走行する他車両の移動方向が自車線方向に向いたりした場合に、自車両Mが走行予定の運転区間に設定されたイベントを変更する。例えば、レーンキープイベントの後に車線変更ベントが実行されるようにイベントが設定されている場合において、外界認識部104の認識結果によって当該レーンキープイベント中に車線変更先の車線後方から車両が閾値以上の速度で進行してきたことが判明した場合、行動計画生成部106は、レーンキープイベントの次のイベントを車線変更から減速イベントやレーンキープイベント等に変更する。この結果、車両制御装置100は、外界の状態に変化が生じた場合においても、安全に自車両Mを自動走行させることができる。
[レーンキープイベント]
走行態様決定部110は、行動計画に含まれるレーンキープイベントが走行制御部130により実施される際に、定速走行、追従走行、減速走行、カーブ走行、障害物回避走行などのうちいずれかの走行態様を決定する。例えば、走行態様決定部110は、自車両Mの前方に他車両が存在しない場合に、走行態様を定速走行に決定する。また、走行態様決定部110は、前走車両に対して追従走行するような場合に、走行態様を追従走行に決定する。また、走行態様決定部110は、外界認識部104により前走車両の減速が認識された場合や、停車や駐車などのイベントを実施する場合に、走行態様を減速走行に決定する。また、走行態様決定部110は、外界認識部104により自車両Mがカーブ路に差し掛かったことが認識された場合に、走行態様をカーブ走行に決定する。また、走行態様決定部110は、外界認識部104により自車両Mの前方に障害物が認識された場合に、走行態様を障害物回避走行に決定する。
第1軌道生成部112は、走行態様決定部110により決定された走行態様に基づいて、軌道を生成する。軌道とは、自車両Mが走行態様決定部110により決定された走行態様に基づいて走行する場合に、到達することが想定される将来の目標位置を、所定時間ごとにサンプリングした点の集合(軌跡)である。第1軌道生成部112は、少なくとも、自車位置認識部102または外界認識部104により認識された自車両Mの前方に存在する対象OBの速度、および自車両Mと対象OBとの距離に基づいて自車両Mの目標速度を算出する。第1軌道生成部112は、算出した目標速度に基づいて軌道を生成する。対象OBとは、前走車両や、合流地点、分岐地点、目標地点などの地点、障害物などの物体等を含む。
以下、特に対象OBの存在を考慮しない場合と、考慮する場合との双方における軌道の生成について説明する。図5は、第1軌道生成部112により生成される軌道の一例を示す図である。図中(A)に示すように、例えば、第1軌道生成部112は、自車両Mの現在位置を基準に、現時刻から所定時間Δt経過するごとに、K(1)、K(2)、K(3)、…といった将来の目標位置を自車両Mの軌道として設定する。以下、これら目標位置を区別しない場合、単に「目標位置K」と表記する。例えば、目標位置Kの個数は、目標時間Tに応じて決定される。例えば、第1軌道生成部112は、目標時間Tを5秒とした場合、この5秒間において、所定時間Δt(例えば0.1秒)刻みで目標位置Kを走行車線の中央線上に設定し、これら複数の目標位置Kの配置間隔を走行態様に基づいて決定する。第1軌道生成部112は、例えば、走行車線の中央線を、地図情報152に含まれる車線の幅員等の情報から導出してもよいし、予め地図情報152に含まれている場合に、この地図情報152から取得してもよい。
例えば、上述した走行態様決定部110により走行態様が定速走行に決定された場合、第1軌道生成部112は、図中(A)に示すように、等間隔で複数の目標位置Kを設定して軌道を生成する。
また、走行態様決定部110により走行態様が減速走行に決定された場合(追従走行において前走車両が減速した場合も含む)、第1軌道生成部112は、図中(B)に示すように、到達する時刻がより早い目標位置Kほど間隔を広くし、到達する時刻がより遅い目標位置Kほど間隔を狭くして軌道を生成する。この場合において、前走車両が対象OBに設定されたり、前走車両以外の合流地点や、分岐地点、目標地点などの地点、障害物等が対象OBに設定されたりすることがある。これにより、自車両Mからの到達する時刻が遅い目標位置Kが自車両Mの現在位置と近づくため、後述する走行制御部130が自車両Mを減速させることになる。
また、図中(C)に示すように、道路がカーブ路である場合に、走行態様決定部110は、走行態様をカーブ走行に決定する。この場合、第1軌道生成部112は、例えば、道路の曲率に応じて、複数の目標位置Kを自車両Mの進行方向に対する横位置(車線幅方向の位置)を変更しながら配置して軌道を生成する。また、図中(D)に示すように、自車両Mの前方の道路上に人間や停止車両等の障害物OBが存在する場合、走行態様決定部110は、走行態様を障害物回避走行に決定する。この場合、第1軌道生成部112は、この障害物OBを回避して走行するように、複数の目標位置Kを配置して軌道を生成する。
[車線変更イベント]
車線変更制御部120は、行動計画に含まれる車線変更イベントが走行制御部130により実施される際の制御を行う。車線変更制御部120は、例えば、ターゲット位置設定部122と、車線変更可否判定部124と、第2軌道生成部126とを備える。なお、車線変更制御部120は、分岐イベントや合流イベントが走行制御部130により実施される際に、後述する処理を行ってもよい。
ターゲット位置設定部122は、自車両が進行すべき車線(隣接車線)に向けて車線変更する際のターゲット位置TAを設定する。ターゲット位置TAは、例えば隣接車線において選択された2台の周辺車両の間に設定される相対的な位置である。以下、隣接車線を走行する上記「2台の周辺車両」のうち、ターゲット位置TAの直前を前方基準車両mBと称する。また、ターゲット位置TAの直後を走行する車両を後方基準車両mCと称する。
図6は、第1の実施形態におけるターゲット位置設定部122がターゲット位置TAを設定する様子を示す図である。図中、mAは前走車両を表し、mBは前方基準車両を表し、mCは後方基準車両を表している。また、矢印dは自車両Mの進行(走行)方向を表し、L1は自車線を表し、L2は隣接車線を表している。図6の例の場合、ターゲット位置設定部122は、隣接車線L2上において、前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間にターゲット位置TAを設定する。
車線変更可否判定部124は、ターゲット位置設定部122により設定されたターゲット位置TAに(すなわち前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に)車線変更が可能か否かを判定する。以下、その手法の一例について、図6を参照して説明する。本図に示す手法は、自車両Mの側方にターゲット位置TAを設定した場合の一例である。
まず、車線変更可否判定部124は、例えば、自車両Mを車線変更先の車線L2に射影し、前後に若干の余裕距離を持たせた禁止領域RAを設定する。禁止領域RAは、車線L2の横方向の一端から他端まで延在する領域として設定される。禁止領域RA内に周辺車両の一部でも存在する場合、車線変更可否判定部124は、ターゲット位置TAへの車線変更が可能でないと判定する。
禁止領域RA内に周辺車両が存在しない場合、車線変更可否判定部124は、更に、自車両Mと周辺車両との衝突余裕時間TTC(Time-To Collision)に基づいて、車線変更が可能か否かを判定する。車線変更可否判定部124は、例えば、自車両Mの前端および後端を車線変更先の車線L2側に仮想的に延出させた延出線FMおよび延出線RMを想定する。延出線FMは、自車両Mの前端を仮想的に延出させた線であり、延出線RMは、自車両Mの後端を仮想的に延出させた線である。車線変更可否判定部124は、延出線FMと前方基準車両mBの衝突余裕時間TTC(B)、および延出線RMと後方基準車両mCの後方基準車両TTC(C)を算出する。衝突余裕時間TTC(B)は、延出線FMと前方基準車両mBとの距離を、自車両Mおよび前方基準車両mBの相対速度で除算することで導出される時間である。衝突余裕時間TTC(C)は、延出線RMと後方基準車両mCとの距離を、自車両Mおよび後方基準車両mCの相対速度で除算することで導出される時間である。車線変更可否判定部124は、衝突余裕時間TTC(B)が閾値Th(B)よりも大きく、且つ衝突余裕時間TTC(C)が閾値Th(C)よりも大きい場合に、自車両Mはターゲット位置TAへの車線変更が可能であると判定する。
また、車線変更可否判定部124は、前走車両mA、前方基準車両mB、および後方基準車両mCの速度、加速度、または躍度(ジャーク)等を加味して、ターゲット位置TA内に自車両Mが車線変更可能であるか否かを判定してもよい。例えば、前走車両mAの速度よりも前方基準車両mBおよび後方基準車両mCの速度が大きく、自車両Mの車線変更に必要な時間の範囲内で前方基準車両mBおよび後方基準車両mCが前走車両mAを追い抜くことが予想されるような場合、車線変更可否判定部124は、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCの間に設定されたターゲット位置TAに自車両Mが車線変更可能でないと判定する。
第2軌道生成部126は、上述した車線変更可否判定部124によりターゲット位置TA内に自車両Mが車線変更可能であると判定された場合、このターゲット位置TA内に車線変更するための軌道を生成する。
図7は、第1の実施形態における第2軌道生成部126が軌道を生成する様子を示す図である。例えば、第2軌道生成部126は、前走車両mA、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCを所定の速度モデルで走行するものとして仮定し、これら3台の車両の速度モデルと自車両Mの速度とに基づいて、自車両Mが前走車両mAと干渉せずに、将来のある時刻において自車両Mが前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に位置するように軌道を生成する。例えば、第2軌道生成部126は、現在の自車両Mの位置から、車線変更先の車線の中央、且つ車線変更の終了地点までをスプライン曲線等の多項式曲線を用いて滑らかに繋ぎ、この曲線上に等間隔あるいは不等間隔で目標位置Kを所定個数配置する。この際、第2軌道生成部126は、目標位置Kの少なくとも1つがターゲット位置TA内に配置されるように軌道を生成する。
動作要求部128は、自車両Mが自動運転モードで走行している間、目的地までの経路上に特定領域が存在する場合、特定領域に自車両Mが到着する所定時間前、または所定距離前に、表示部62またはスピーカ64に、動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を出力させる。動作要求部128は、表示部62またはスピーカ64により上記情報が出力された後に、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合に、特定領域を自車両Mの目的地に設定する。
より具体的には、動作要求部128は、自車両Mと特定領域との距離が第1の所定距離以内になったときに、表示部62またはスピーカ64に第1段階の情報を出力させる。第1段階の情報が出力された後、所定時間以内(または自車両Mが所定距離を走行するまでの間)に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、動作要求部128は、特定領域を自車両Mの目的地に設定する。
次に、動作要求部128は、自車両Mと特定領域との距離が第2の所定距離以内になったときに、表示部62またはスピーカ64に第2段階の情報を出力させる。第2の所定距離は、第1の所定距離より短い距離である。第2段階の情報が出力された後、所定時間以内(または自車両Mが所定距離を走行するまでの間)に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合に、動作要求部128は、目的地を特定領域に設定した状態を維持する。特定領域とは、道路の本線とは異なる領域であり、例えばパーキングエリアや、サービスエリア、道路の路肩に設けられた退避領域等である。これによって、自車両Mを安全に停車させることができる。特定領域の位置に関する情報は、例えば地図情報152に記憶されている。
[走行制御]
走行制御部130は、制御切替部140による制御によって、制御モードを自動運転モードあるいは手動運転モードに設定し、設定した制御モードに従って、走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、およびブレーキ装置94の一部または全部を含む制御対象を制御する。走行制御部130は、自動運転モード時において、行動計画生成部106によって生成された行動計画情報156を読み込み、読み込んだ行動計画情報156に含まれるイベントに基づいて制御対象を制御する。
例えば、このイベントがレーンキープイベントである場合、走行制御部130は、第1軌道生成部112により生成された軌道に従い、ステアリング装置92における電動モータの制御量(例えば回転数)と、走行駆動力出力装置90におけるECUの制御量(例えばエンジンのスロットル開度やシフト段等)とを決定する。具体的には、走行制御部130は、軌道の目的位置K間の距離と、目的位置Kを配置した際の所定時間Δtとに基づいて、所定時間Δtごとの自車両Mの速度を導出し、この所定時間Δtごとの速度に従って、走行駆動力出力装置90におけるECUの制御量を決定する。また、走行制御部130は、目的位置Kごとの自車両Mの進行方向と、この目的位置を基準とした次の目的位置の方向とのなす角度に応じて、ステアリング装置92における電動モータの制御量を決定する。
また、上記イベントが車線変更イベントである場合、走行制御部130は、第2軌道生成部126により生成された軌道に従い、ステアリング装置92における電動モータの制御量と、走行駆動力出力装置90におけるECUの制御量とを決定する。
走行制御部130は、イベントごとに決定した制御量を示す情報を、対応する制御対象に出力する。これによって、制御対象の各装置(90、92、94)は、走行制御部130から入力された制御量を示す情報に従って、自装置を制御することができる。また、走行制御部130は、車両センサ60の検出結果に基づいて、決定した制御量を適宜調整する。
また、走行制御部130は、手動運転モード時において、操作検出センサ72により出力される操作検出信号に基づいて制御対象を制御する。例えば、走行制御部130は、操作検出センサ72により出力された操作検出信号を、制御対象の各装置にそのまま出力する。
制御切替部140は、行動計画生成部106によって生成され、記憶部150に格納された行動計画情報156に基づいて、走行制御部130による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに、または手動運転モードから自動運転モードに切り換える。また、制御切替部140は、切替スイッチ80から入力される制御モード指定信号に基づいて、走行制御部130による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに、または手動運転モードから自動運転モードに切り換える。すなわち、走行制御部130の制御モードは、運転者等の操作によって走行中や停車中に任意に変更することができる。
また、制御切替部140は、操作検出センサ72から入力される操作検出信号に基づいて、走行制御部130による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。例えば、制御切替部140は、操作検出信号に含まれる操作量が閾値を超える場合、すなわち、操作デバイス70が閾値を超えた操作量で操作を受けた場合、走行制御部130の制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。例えば、自動運転モードに設定された走行制御部130によって自車両Mが自動走行している場合において、運転者によってステアリングホイール、アクセルペダル、またはブレーキペダルが閾値を超える操作量で操作された場合、制御切替部140は、走行制御部130の制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。これによって、車両制御装置100は、人間等の物体が車道に飛び出して来たり、前走車両mAが急停止したりした際に運転者により咄嗟になされた操作によって、切替スイッチ80の操作を介さずに直ぐさま手動運転モードに切り替えることができる。この結果、車両制御装置100は、運転者による緊急時の操作に対応することができ、走行時の安全性を高めることができる。
[動作要求部の処理]
以下、動作要求部128により実行される処理について、より詳細に説明する。図8は、動作要求部128により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、自動運転モードで自車両Mが走行している間、実行される。また、以下の説明では、特定領域はパーキングエリアであるものとして説明する。
まず、動作要求部128が、行動計画生成部106により生成された自動運転区間における経路に存在するパーキングエリアの中から、特定領域を設定する(ステップS100)。図9は、特定領域の設定について説明するための図である。動作要求部128は、例えば、地図情報152を参照して、自動運転を開始するスタート地点Sから目的地Gまでの経路において、所定の条件を満たすパーキングエリアを特定領域に設定する。所定の条件とは、スタート地点Sから起算して第1基準距離を超える位置にあること、または既に特定領域に設定されたパーキングエリアPAから第1基準距離を超える位置にあることである。第1基準距離は、例えば20から40[km]の範囲内に設定される。なお、第1基準距離を超え、第1基準距離よりも長い第2基準距離(例えば60[km])以内に特定領域が設定できない場合、第1基準距離以内に位置するパーキングエリアを特定領域として設定してもよい。また、第1基準距離を超え、第1基準距離よりも長い第2基準距離以内に特定領域が設定できない場合、第1基準距離を超え、第2基準距離以内に存在する、パーキングエリアとは異なる施設を特定領域として設定してもよい。
図示する例では、動作要求部128は、スタート地点Sから目的地Gまでの間に存在するパーキングエリアPA1からPA3のうち、所定の条件を満たさない(スタート地点Sから10[km]の地点に存在する)パーキングエリアPA1を特定領域に設定せず、所定の条件を満たすパーキングエリアPA2およびPA3を特定領域に設定する。このように動作要求部128は、所定の条件に基づいて、特定領域を設定することにより、後述する動作検出部66に対する所定の動作を促す情報出力の頻度を適度にすることができ、運転者が感じる煩わしさを抑制することができる。なお、動作要求部128は、スタート地点Sから目的地Gまでの経路に存在するすべてのパーキングエリアを特定領域として設定してもよい。
次に、動作要求部128が、ナビゲーション装置50によって特定された自車両Mの位置に基づいて、自車両Mから特定領域(または本線から特定領域へ進入するための分岐車線)までの距離が第1の所定距離以内になるまで待機する(ステップS102)。ステップS102で対象となる特定領域とは、自車両Mの進行方向において最初に存在する特定領域である。なお、本処理と並行して、走行制御部130は、行動計画生成部106、走行態様決定部110、または第1軌道生成部112等の処理結果に基づいて、制御対象を制御して目的地に向けて自車両Mを走行させているものとする。
自車両Mから特定領域までの距離が第1の所定距離以内となると、動作要求部128が、動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を表示部62に表示させる(ステップS104)。図10は、HUDである表示部62に表示される動作要求画像IMの一例を示す図である。動作要求画像IMは、動作検出部66に対する所定の動作を促す情報である。例えば動作検出部66がスイッチ部の場合、動作要求画像IMには、スイッチ操作を促す情報が表示される。
次に、動作要求部128は、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたか否かを判定する(ステップS106)。より具体的には、動作要求部128は、ステップS104で動作検出部66に対する所定の動作を促す情報が表示部62に表示されたときから、所定時間以内に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたか否かを判定する。なお、動作要求部128は、「所定時間以内」に代えて、所定の動作を促す情報が表示部62に表示されたときから、「自車両Mが所定距離進むまでの間」に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたか否かを判定してもよい。
ステップS106で動作検出部66により運転者の所定の動作が検出された場合、動作要求部128が、次の特定領域を設定し(ステップS118)、ステップS102の処理に進む。なお、次の特定領域が存在しない(ステップS100で設定した特定領域のうち、ステップS102で処理の対象とした特定領域が最後の特定領域であった)場合は、本フローチャートの処理は終了する。
(所定時間/所定距離以内に)動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、動作要求部128は、自動運転の目的地を特定領域に設定する(ステップS108)。ここで、自車両Mが特定領域に連結された車線を走行していない場合、且つステップS108で動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、車両制御装置100が、行動計画生成部106や、車線変更制御部120等の制御によって、車線変更を実施する。図11は、車両制御装置100により実行される車線変更制御の流れを示すフローチャートである。まず、車両制御装置100が、自車両Mが走行する車線が特定領域に連結された車線であるか否かを判定する(ステップS200)。特定領域に連結された車線とは、本線からパーキングエリアに進入するための分岐車線に連結されている本線である。
自車両Mが走行する車線が特定領域に連結された車線である場合、車両制御装置100が、目的地に向けて自車両Mが走行するように自車両Mを制御する(ステップS202)。自車両Mが走行する車線が特定領域に連結された車線でない場合、車両制御装置100は、自車両Mを車線変更させる(ステップS204)。
これにより、自車両Mが第2の所定距離以内に進入したときに、仮に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、自車両Mはスムーズに分岐車線に車線変更して、特定領域に進入することができる。また、車両制御装置100は、自車両Mが、複数の車線のうち、特定領域と連結された車線とは異なる車線を走行している場合、表示部62またはスピーカ64により情報が出力された後に、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出された場合、特定領域と連結された車線に向けて自車両Mを車線変更させない。
次に、動作要求部128は、自車両Mから特定領域までの距離が第2の所定距離以内になるまで待機する(ステップS110)。
自車両Mから特定領域までの距離が第2の所定距離以内となった場合、動作要求部128が、動作検出部66に対する所定の動作を促す音声をスピーカ64に出力させる(ステップS112)。ステップS112における動作検出部66に対する所定の動作を促すことを示す情報の出力態様は、ステップS104における情報の出力態様に比して、運転者が情報を認識しやすい態様であると好適である。ステップS112の処理時における自車両Mの位置は、ステップS104における処理がされたときの自車両Mの位置より、自車両Mは特定領域に近いためである。車両制御装置100は、自車両Mから特定領域までの距離が近くなるのに応じて、段階的に動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を運転者に通知するための演出を強くする。車両制御装置100は、例えば、ステップS104において動作検出部66に対する所定の動作を促す音声をスピーカ64に出力させた場合、ステップS112では、ステップS104でスピーカ64に出力させた音声に比して、大きい音声で動作検出部66に対する所定の動作を促す音声を出力させる。また、車両制御装置100は、例えば、ステップS104において動作検出部66に対する所定の動作を促す画像を表示部62に表示させた場合、ステップS112では動作検出部66に対する所定の動作を促す画像を表示部62に表示させ、且つ動作検出部66に対する所定の動作を促す音声をスピーカ64に出力させる。
これにより運転者に動作検出部66に対する所定の動作が必要であることを、より容易に認識させることができる。なお、ステップS104およびステップS112において動作検出部66に対する所定の動作を促すことを示す情報の出力に代えて、動作要求部128は、単なるブザー音をスピーカ64に出力させてもよい。
次に、動作要求部128は、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたか否かを判定する(ステップS114)。より具体的には、動作要求部128は、ステップS112で動作検出部66に対する所定の動作を促す情報が表示部62に表示されたときから、所定時間以内に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたか否かを判定する。
動作検出部66により運転者の所定の動作が検出された場合、動作要求部128は、自動運転の目的地を特定領域から元の目的地に戻し(ステップS116)、次の特定領域を設定する(ステップS118)。動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、本フローチャートの処理は終了する。
なお、上述した処理では、動作要求部128は、部動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を表示部62またはスピーカ64に2回出力させるものとしたが、動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を、3回以上表示部62またはスピーカ64に出力させてもよい。
また、例えば車両制御装置100は、運転者が車両環境を監視可能な状態(例えば進行方向を視認している状態)である場合、動作検出部66の所定の動作を促す情報を表示部62またはスピーカ64に出力させることを省略してもよい。この場合、例えば自車両Mは、運転者を撮像するカメラおよびカメラにより撮像された画像を解析する画像解析部を備える。画像解析部は、カメラにより撮像された画像を解析し、運転者が車両環境を監視可能な状態であるか否かを判定する。また、例えば運転者が車両環境を監視可能な状態であるである場合、車両制御装置100は、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されたものとみなして、自車両Mを目的地に向けて走行させてもよい。
図12は、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合に生成される行動計画の一例を示す図である。自車両Mから特定領域までの距離が第1の所定距離以内となった後、および第2の所定距離以内となった後に、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、行動計画生成部106は、パーキングエリアに停車するための行動計画を生成する。自車両Mから特定領域までの距離が第1の所定距離以内となった後、所定時間以内に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、行動計画生成部106は、走行車線L2を走行するレーンキープイベント、および走行車線L2から走行車線L1に車線変更するイベントを生成する。また、自車両Mから特定領域までの距離が第2の所定距離以内となった後、所定時間以内に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、行動計画生成部106は、パーキングエリアPAに連結される分岐車線L3に車線変更(分岐)、分岐車線L3を走行するレーンキープイベント、およびパーキングエリアPAに進入して自車両Mを所定の位置に停車させるイベントを生成する。所定の位置とは、例えばパーキングエリアPAにおいて自車両Mを安全に停車させることができる位置であり、例えば退避エリアや駐車スペースである。第1軌道生成部112または第2軌道生成部126は、行動計画生成部106によって生成された行動計画に基づいて軌道を生成する。走行制御部130は、第1軌道生成部112または第2軌道生成部126により生成された軌道に基づいて自車両Mを制御する。
図13は、自車両Mの挙動の一例を示す図である。図示する例では、本線L1およびL2は、自動運転の目的地に連結された車線である。分岐車線L3は、本線L1から分岐してパーキングエリアに連結された分岐車線である。本線L1は、分岐車線L3に連結された車線、すなわち特定領域に連結された車線である。
自車両Mがパーキングエリアから第1の所定距離以内に進入した場合において、自車両Mが特定領域に連結していない本線L2を走行している場合、行動計画生成部106は、車線変更のための行動計画を生成する。車線変更制御部120は、車線変更のための軌道を生成する。走行制御部130は、車線変更制御部120により生成された起動に沿って、自車両Mを本線L2から本線L1に車線変更させる。
更に、自車両Mから特定領域までの距離が第2の所定距離以内において、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、自車両MはパーキングエリアPAに向けて走行する。この場合、自車両Mは、走行車線L1から分岐する分岐車線L3に車線変更し、特定領域(図中、PA)に向けて走行する。これにより、自車両Mは、特定領域に停車することができる。一方、自車両Mから特定領域までの距離が第1の所定距離以内、または第2の所定距離以内において、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合は、自車両Mは目的地(図中、G)に向けて走行する。
上述した処理により、車両制御装置100は、車両乗員が車両環境を監視可能な状態であることを確認することができる。これによって、車両制御装置100は、自動運転を継続するか否かを適切に判定することができる。動作検出部66により車両乗員の所定の動作が検出された場合は、車両乗員が車両環境を監視可能な状態であることが推認される。従って、車両制御装置100は自動運転を継続する。一方、動作検出部66により車両乗員の所定の動作が検出されなかった場合は、車両乗員が車両環境を監視可能な状態でないことが推認される。従って、車両制御装置100は特定領域に自車両Mを移動させ、自動運転を中断する。
車両環境を監視可能でない状態とは、例えば車両乗員が眠っている状態や、意識を失っている状態を含む。このような場合、自動運転を継続することは適切でない場合がある。車両制御装置100は、動作検出部66により車両乗員の所定の動作が検出されなかった場合、すなわち車両乗員が車両環境を監視可能でない状態である場合、自動運転を中断するために目的地を特定領域に設定し、設定した特定領域に向けて自車両Mを走行させる。これにより自車両Mは、特定領域の安全な場所に停車することができる。
以上説明した第1の実施形態における車両制御装置100、車両制御方法、および車両制御プログラムによれば、目的地までの経路に存在する特定領域に自車両Mが接近した場合に、情報出力部に車両乗員に対して動作検出部66に対する所定の動作を促す情報を出力させ、情報出力部により情報が出力された後に、動作検出部66により車両乗員の所定の動作が検出されなかった場合、自車両Mが特定領域に向けて走行するように、自車両Mの走行を制御することにより、車両乗員が車両環境を監視可能な状態であることを確認することができる。
なお、上記実施形態では、自車両Mから特定領域までの距離が所定距離(第1の所定距離、または第2の所定距離)以内において、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、自車両Mは特定領域に向けて走行するものとしたが、「所定距離」に代えて「所定時間」としてもよい。例えば、自車両Mが特定領域に到着する所定時間前に、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、自車両Mは特定領域に向けて走行する。自車両Mが特定領域に到着する所定時間とは、例えば、ナビゲーション装置50により導出された自車両Mの位置から特定領域までの所要時間である。ナビゲーション装置50は、例えば、渋滞等の道路状況を反映した自車両Mの位置から特定領域までの所要時間が算出する。これにより、自車両Mが走行する道路が渋滞している場合、より適切なタイミングで運転者に動作検出部66に対する所定の動作を促すことを示す情報を、表示部62またはスピーカ64に出力させることができる。
また、自車両Mから特定領域までの距離が所定距離(第1の所定距離、または第2の所定距離)以内において、動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、動作要求部128が、表示部62またはスピーカ64に情報を出力させるものとしたが、これに限られない。例えば、情報を出力する情報出力部は、運転者が五感によって動作検出部66に対する所定の動作が必要なことを認識することができるものであればよい。例えば、情報出力部は、運転者が着座している座席を振動させる振動部や、運転者に向けて光を照射する照射部等であってもよい。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、動作要求部128が、既に設定されている自動運転区間における目的地に代えて、特定領域を自車両Mの目的地に設定することで、行動計画生成部106が第1軌道生成部112および第2軌道生成部126に特定領域に至るまでの軌道を生成させるものとした。これに対して、第2の実施形態における車両制御装置100Aは、第3軌道生成部129を更に備え、第3軌道生成部129が、動作要求部128の指示に基づいて、特定領域に至るまでの軌道を生成する点で、第1の実施形態と相違する。以下、係る相違点を中心に説明する。
図14は、第1の実施形態に係る車両制御システム1Aを搭載した自車両Mの機能構成図である。第2の実施形態の車両制御装置100Aは、第1の実施形態の車両制御装置100が有する機能構成に加え、更に第3軌道生成部129を備える。
第2の実施形態の動作要求部128は、第1の実施形態と同様に第1段階および第2段階の情報が出力された後、所定時間以内に動作検出部66により運転者の所定の動作が検出されなかった場合、特定領域に至る軌道を第3軌道生成部129に生成させる。第3軌道生成部129は、動作要求部128の指示に基づいて、特定領域に至る軌道を生成する。例えば、第3軌道生成部129は、走行車線を走行する軌道や、車線変更するための軌道、分岐車線に分岐するための軌道、特定領域に進入し、進入した特定領域の安全な位置に停止するための軌道等を生成する。なお、第3軌道生成部129は、車線変更するための軌道や、分岐車線に分岐するための軌道を、車線変更制御部120を呼び出して車線変更制御部120に生成させてもよい。走行制御部130は、第3軌道生成部129により軌道が生成されている間は、第3軌道生成部129によって生成された軌道に基づいて自車両Mを制御する。
以上説明した第2の実施形態における車両制御装置100A、車両制御方法、および車両制御プログラムによれば、第3軌道生成部129が、動作要求部128の指示により、特定領域に進入して、停車するための軌道を生成するため、第1の実施形態と同様の処理が実現できる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。