JP6375202B2 - 精製混合油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精製混合油の製造方法に関する。
近年の健康指向の高まりを受けて、油脂中の脂肪酸の機能について多数の研究がなされている。例えば、魚油の構成成分であるエイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)とドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)について、抗動脈硬化作用、脳機能改善作用、視覚機能改善作用、抗腫瘍作用、抗炎症作用等が報告されている。
2005年には、厚生労働省よりエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸を合計で1g以上/日という摂取目標量(成人)が推奨され、これらを多く含む油脂の利用が望まれている。
エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を多く含む油脂を食用油として実用化するにあたっては、油脂中のこれらの濃度調整のために、魚油とその他の動植物油脂を混合することが考えられる。
混合油の調製に関しては、一般的に精製工程を経た精製油同士を混合して調製するところ、例えば、分別後に脱臭処理が施されていないパーム軟質油とパーム系油以外の植物油とを所定の比率にて混合して得た調合油に脱臭処理を施す耐冷性を示す食用油の製造方法(特許文献1)や、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に脱臭処理を施す食用油の製造方法(特許文献2)等が報告されている。
特開2011−72192号公報 特開2010−202774号公報
本発明者らは、魚油を配合した混合油の調製を試みたところ、魚油は一般的な精製工程を経ても、またトコフェロール等の酸化防止剤を含有させても酸化安定性が著しく低く、劣化臭・異臭味が発生し易いため、所望のエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含む混合油を調製するのは困難であることが判明した。
したがって、本発明は、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を多く含みながら、高い酸化安定性を有し、風味及び色相の良好な精製混合油を製造する方法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、魚油を単独で脱臭するのではなく、魚油と植物油脂を脱臭処理前に予め混合し、当該混合油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行えば酸化安定性が向上すること、また、風味及び色相が良好となることを見出した。
すなわち、本発明は、次の工程(1)及び(2):
(1)未脱臭魚油と未脱臭植物油脂とを混合し、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が0.6〜10質量%である混合油を調製する工程、
(2)前記混合油に、混合油の温度が180〜250℃で水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程
を含む、精製混合油の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、高い酸化安定性を有し、風味及び色相の良好な、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を多く含む精製混合油が効率よく得られる。
本発明の精製混合油の製造方法は、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合し、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が0.6〜10質量%である混合油を調製する工程(1)と、前記混合油に、混合油の温度が180〜250℃で水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程(2)を含む。
なお、本明細書において「油」と「油脂」は同義であり、油(油脂)を構成する物質にはトリアシルグリセロールのみならずモノアシルグリセロールやジアシルグリセロールも含まれる。すなわち、本発明において油(油脂)は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものである。
また、本明細書において「未脱臭」とは、油(油脂)に対して水蒸気を接触させる脱臭を行っていないことを意味する。
本発明の方法に供する未脱臭魚油とは、水産動物油脂であり、例えば、イワシ、ニシン、サンマ、サバ、カツオ、マグロ、イカ、タラ肝臓等の原料から採取することができる。
本発明の方法に供する魚油は、150℃以上の熱履歴を受けていないことが好ましく、130℃以上の熱履歴を受けていないことがより好ましく、110℃以上の熱履歴を受けていないことが更に好ましい。
本発明の方法に供する未脱臭植物油脂とは、植物に由来する油脂であり、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、米油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物の種子、果肉或いはそれらから分離された副産物に由来する油脂、それらのエステル交換油、水素添加油又は分別油等の油脂類を挙げることができる。これらの油脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
植物油脂は、使用性の点から、低温耐性に優れた液状油脂を用いるのが好ましく、更に大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油等の植物種子油、及び藻油から選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好ましい。なお、液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8−27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。
未脱臭植物油脂のヨウ素価は、80以上、更に85〜140、殊更90〜125であるのが工業的生産性の点、精製混合油の酸化安定性向上の点から好ましい。ヨウ素価は、脂肪酸中に存在する不飽和二重結合の総数の指標であり、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「ヨウ素価(ウィス−シクロヘキサン法)(2.3.4.1−1996)」に従って測定できる。
〔工程(1)〕
未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の混合は、原料となる水産動物や植物から搾油し、必要に応じて油分以外の固形分を濾過や遠心分離等により除去して得られる所謂原油(粗油)同士を混合しても、また、油脂に対して行われる精製処理のうち1又は2以上の処理をそれぞれ施した未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合してもよい。また、魚油又は植物油脂の原油と、油脂に対して行われる精製処理のうち1又は2以上の処理を施した未脱臭魚油又は未脱臭植物油脂を混合してもよい。また、混合後に精製処理を行っても良い。
油脂に対して行われる精製処理としては、油脂に水、場合によっては更に酸を添加混合して、リン脂質やたんぱく質等のガム質を除去する脱ガム処理;油脂にアルカリを添加混合して、遊離脂肪酸を除去するアルカリ脱酸処理;油脂に水を接触させ、油水分離を行う操作を行う水洗処理;油脂に活性白土や活性炭等の吸着剤を接触させ、有色成分を除去する脱色処理がある。また、アルカリを使用せずに、油脂を蒸留して、脂肪酸や環境汚染物質等の軽質の副生物を除去する蒸留処理や、この他に、低温で、油脂から固形分を分離する脱ロウ処理等がある。
前記油脂に対して行われる1又は2以上の処理のうち、本発明の方法では、精製混合油の風味及び色相を良好とする点から、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理、並びに必要に応じて脱ガム処理、脱ロウ処理が、未脱臭魚油、未脱臭植物油脂或いはこれらの混合油のいずれか段階で行われるのが好ましい。
すなわち、後述するように、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う場合は、未脱臭魚油はアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理、及び必要に応じて脱ガム処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂は脱ガム処理、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、及び必要に応じて蒸留処理を施した未脱臭植物油脂であるのが好ましい。
また、水蒸気を接触させる脱臭処理を行う前に、混合油に脱色処理及び蒸留処理を行う場合は、未脱臭魚油はアルカリ脱酸処理及び水洗処理、及び必要に応じて脱ガム処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂は脱ガム処理、アルカリ脱酸処理及び水洗処理を施した未脱臭植物油脂であるのが好ましい。
また、水蒸気を接触させる脱臭処理を行う前に、混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理を行う場合は、未脱臭魚油は、原油、又は脱ガム処理を施した脱ガム油でよいが、魚油の特性を考慮して、アルカリ脱酸処理を施したアルカリ脱酸油、水洗処理を施した水洗油、脱色処理を施した脱色油、又は蒸留処理を施した蒸留油であるのが好ましい。未脱臭植物油脂は原油、又は脱ガム処理を施した脱ガム油であるのが好ましい。
未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の混合は、攪拌等の周知の方法で行うことができる。
未脱臭魚油と未脱臭植物油脂との混合割合は、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が後述した量を満たすように油脂の種類により適宜設定できるが、未脱臭魚油の割合が、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の合計の1質量%以上、更に2質量%以上、更に3質量%以上が好ましく、また、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下であることが好ましい。未脱臭魚油の割合は、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の合計の1〜30質量%、更に2〜20質量%、更に3〜10質量%が好ましい。
未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は0.6〜10質量%である。油脂を構成する全脂肪酸に対するエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は、生理効果の点から、0.7質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、1.2質量%以上が殊更好ましく、また、酸化安定性の点から、9質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましく、6質量%以下が殊更好ましい。油脂を構成する全脂肪酸に対するエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は、0.7〜9質量%であるのが好ましく、0.8〜8質量%であるのがより好ましく、1〜7質量%であるのが更に好ましく、1.2〜6質量%であるのが殊更好ましい。なお、本明細書における脂肪酸量は遊離脂肪酸換算量である。
混合油の油脂を構成するエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、油脂を構成する脂肪酸のうち60〜100質量%が不飽和脂肪酸であることが好ましく、より好ましくは70〜99質量%、更に75〜97質量%、更に80〜95質量%が不飽和脂肪酸であるのが外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、更に16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。
また、混合油の油脂を構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は、低温での結晶析出抑制の点で、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下、更に15質量%以下、更に10質量%以下であるのがより好ましい。また、油脂の工業的生産性の点で、0.5質量%以上であることが好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、更に16〜22のものが好ましい。
混合油中、トリアシルグリセロールの含有量は、油脂の工業的生産性の点から、15質量%以上が好ましく、更に50質量%以上、更に75質量%以上、更に78質量%以上、更に88質量%以上、更に90質量%以上、更に92質量%以上が好ましく、また、工業的生産性の点で、100質量%以下が好ましく、更に99.5質量%以下、更に99質量%以下が好ましい。
また、混合油中、ジアシルグリセロールの含有量は、0質量%でもよいが、フライ用途に使用すると、油ちょう時の泡立ちが少ない、油切れがよい、食感を良好とする点から、0.1質量%以上が好ましく、更に0.2質量%以上が好ましく、また、85質量%以下が好ましく、更に50質量%以下、更に25質量%以下、更に19質量%以下、更に9質量%以下、更に7質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。
また、混合油中、モノアシルグリセロールの含有量は、高温での発煙抑制の点から、3質量%以下が好ましく、更に0〜2質量%が好ましい。
また、遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、風味、高温での発煙抑制、油脂の工業的生産性の点から、混合油中に5質量%以下が好ましく、更に0〜2質量%、更に0〜1質量%が好ましい。
〔工程(2)〕
工程(1)で得られた混合油に水蒸気を接触させる脱臭処理としては、減圧水蒸気蒸留が挙げられ、バッチ式、半連続式、連続式等で行ってもよい。処理すべき油脂の量が少量の場合はバッチ式を用い、多量になると半連続式、連続式を用いることが好ましい。
半連続式装置としては、例えば数段のトレイを備えた脱臭塔からなるガードラー式脱臭装置等が挙げられる。本装置は、上部から脱臭すべき油脂を供給し、トレイ上で油脂と水蒸気の接触を適当な時間行った後、油脂を下段のトレイへ下降させ、間欠的に次々と下降しながら移動することにより処理を行うものである。
連続式装置としては、薄膜状の油脂と水蒸気を接触させることが可能な、構造物が充填された薄膜脱臭装置等が挙げられる。
脱臭処理において、混合油に水蒸気を接触させる際の混合油の温度は、180〜250℃であるが、風味向上の点から、200℃以上、殊更210℃が好ましく、また、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸を含む不飽和脂肪酸のトランス化抑制の点から、240℃以下、殊更235℃以下が好ましい。混合油に水蒸気を接触させる際の混合油の温度は、200〜240℃が好ましく、210〜235℃がより好ましい。
混合油と水蒸気の接触時間は、風味を良好とする点から、3〜120分が好ましく、更に4〜90分、殊更5〜60分が好ましい。
また、混合油と水蒸気を接触させる際の圧力は、風味を良好とする点から、130〜2600Paが好ましく、更に200〜1300Pa、殊更260〜900Paが好ましい。
混合油に接触させる水蒸気の量は、混合油に対して0.3〜20%/hr、更に0.5〜10%/hrとすることが、風味を良好とする点から好ましい。
本発明の方法では、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の混合油に対して最終工程として工程(2)の脱臭処理を行えばよい。かかる脱臭処理の前には、必要に応じて、前記油脂に対して行われる精製処理のうち1又は2以上の処理を行ってもよい。
例えば、工程(2)の脱臭処理前に、混合油に対して、蒸留処理を行ってもよく、また、脱色処理及び蒸留処理を行ってもよく、また、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理を行ってもよい。これらの処理は、以上の順序で行うのが好ましい。
なかでも、魚油は水洗処理の際に乳化し、歩留まりが低下し易いが、植物油脂と混合した状態で水洗処理を行うと、歩留まりの低下を抑制できることが見出されたことから、精製混合油の酸化安定性向上に加えて、歩留まりの低下の抑制の点から、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理をこの順に行い、次いで脱臭処理を行うのが好ましい。
未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油にアルカリ脱酸処理を行う場合、使用するアルカリとしては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。なかでも、脱酸効率の点、取り扱い性の点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、更に水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが好ましい。
アルカリの使用量は、1価のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩の場合は、混合油中の遊離脂肪酸に対して1mol倍以上であることが、遊離脂肪酸を中和し石けんを形成させ、同時に夾雑するガム質、金属塩、着色成分などが除去分離する点から好ましい。2価のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩の場合は、アルカリの使用量は、混合油中の遊離脂肪酸に対して0.5mol倍以上であることが、同様の点から好ましい。
混合油とアルカリの接触温度は、遊離脂肪酸とアルカリとの反応性の点から、20〜150℃が好ましく、更に25〜120℃、更に30〜90℃が好ましい。
また、混合油とアルカリとの接触時間は、工業的生産性の点から、0.1〜180分が好ましく、更に0.5〜120分、更に1〜90分、更に5〜60分が好ましい。
アルカリとしては、アルカリ水溶液を用いるのが好ましく、更にアルカリ金属の水酸化物の水溶液を用いるのが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、工業的生産性の点から、1〜50質量%が好ましく、更に5〜40質量%、更に10〜30質量%が好ましい。
混合油とアルカリとの接触方法は、バッチ式混合、連続式混合等が挙げられるが、処理すべき油脂の量が少量の場合はバッチ式を用い、多量になると連続式を用いることが好ましい。混合方法は、静置、攪拌、振とう、ラインミキサー等が挙げられる。
続いて行われる水洗処理は、複数回、例えば2回、3回繰り返してもよい。
混合油に水を接触させる方法としては、例えば、油脂と水を混合・撹拌し濾別するバッチ式が挙げられる。このとき、窒素等の不活性ガスの気流下とすることが好ましい。
水としては、例えば、水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水が例示される。
水の使用量は、水溶性成分が十分に除去できるという点から、混合油に対して、1〜50質量%、更に3〜30質量%、更に5〜20質量%が好ましい。
水の温度は、工業的生産性の点から、80℃以下が好ましく、更に20〜80℃、更に30〜75℃が好ましい。
水洗時間は、油脂と水とを十分に接触させる点から、0.1〜120分が好ましく、0.2〜60分がより好ましく、0.3〜30分が更に好ましい。
混合油に脱色処理を行う場合、混合油に接触させる吸着剤としては、活性炭、二酸化ケイ素、酸性白土、活性白土、活性アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を用いることができる。なかでも、風味及び色相を良好とする点から、酸性白土、活性白土が好ましい。
吸着剤の使用量は、濾過速度が早く生産性が良好である点から、混合油に対して1質量%以上、更に1.5〜5質量%、殊更2〜4質量%が好ましい。
混合油と吸着剤の接触温度は、工業的生産性の点から、20〜150℃が好ましく、更に30〜135℃、更に40〜120℃が好ましい。また、接触時間は、同様の点から、3〜180分が好ましく、更に5〜120分、更に7〜90分、更に15〜60分が好ましい。圧力は、減圧下でも常圧でもよいが、酸化抑制及び脱色性の点から減圧下が好ましく、更に0.1〜30kPa、更に1〜20kPa、更に5〜15kPaが好ましい。
混合油に蒸留処理を行う場合、薄膜式蒸発装置を用いて行うのが好ましい。薄膜式蒸発装置としては、薄膜を形成する方法によって、遠心式薄膜蒸留装置、流下膜式蒸留装置、ワイプトフィルム蒸発装置(Wiped film distillation)等が挙げられる。
圧力は、揮発性の有臭成分を除去する点、設備コストや運転コストを小さくする点、蒸留能力を上げる点、蒸留温度を最適に選定できる点から、減圧下が好ましく、更に2〜300Pa、更に3〜200Pa、更に3〜100Pa、更に3〜90Paが好ましい。
温度は、揮発性の有臭成分を除去する点、風味を良好とする点から、180〜280℃、更に190〜260℃、更に195〜250℃が好ましい。
滞留時間は、揮発性の有臭成分を除去する点、風味を良好とする点から、5〜120秒、更に10〜90秒、更に15〜60秒が好ましい。
精製途中の混合油の酸化安定性は、精製混合油の酸化安定性を良好にする点、風味を良好にする点から、実施例に記載の油脂120℃におけるCDM試験法(Conductometric Determination Method:ランシマット法)による誘導時間(h)が0.5時間以上、更に1.0時間以上、殊更1.5時間以上であることが好ましい。CDM試験法は、油脂の酸化安定性を評価する油脂分析試験の公定法であり、この時間が大きいほうが、酸化安定性が高いと判断できる。
本発明の処理の結果、高い酸化安定性を有し、風味及び色相の良好な精製混合油が得られる。本発明の方法により得られる精製混合油の油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は、前述した混合油中の好ましい範囲と同じである。
本発明の精製混合油の酸化安定性は、実施例に記載の油脂120℃におけるCDM試験法による誘導時間(h)が、酸化安定性を良好にする点から0.5時間以上、更に1.0時間以上、殊更1.5時間以上であることが好ましい。
本発明の精製混合油の色相は、実施例に記載の方法で測定される10R+Yの値が12以下、更に8以下、更に7以下であることが好ましい。
また、本発明の精製混合油のトコフェロール含有量は、環境汚染物質の除去の指標となる点から、60ppm(質量百万分率)以下、更に10〜50ppmが好ましい。
本発明の方法により得られる精製混合油には、一般の食用油脂と同様に、保存性及び風味安定性の向上を目的として、抗酸化剤を添加することができる。抗酸化剤としては、天然抗酸化剤、アスコルビン酸パルミテート、トコフェロール等が挙げられる。
また、本発明の方法により得られる精製混合油は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。
本発明の態様及び好ましい実施態様を以下に示す。
<1>次の工程(1)及び(2):
(1)未脱臭魚油と未脱臭植物油脂とを混合し、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が0.6〜10質量%である混合油を調製する工程、
(2)前記混合油に、混合油の温度が180〜250℃で水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程
を含む、精製混合油の製造方法。
<2>未脱臭植物油脂が、好ましくは大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油及び藻油から選ばれる1種又は2種以上の油脂である<1>に記載の精製混合油の製造方法。
<3>未脱臭植物油脂のヨウ素価が、好ましくは80以上、より好ましくは85〜140、更に好ましくは90〜125である<1>又は<2>に記載の精製混合油の製造方法。
<4>未脱臭魚油の混合割合が、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の合計の好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜10質量%である<1>〜<3>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<5>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.2質量%以上であり、また、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下であり、また、好ましくは0.7〜9質量%、より好ましくは0.8〜8質量%、更に好ましくは1〜7質量%、更に好ましくは1.2〜6質量%である<1>〜<4>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<6>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、油脂を構成する全脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜99質量%、更に好ましくは75〜97質量%、更に好ましくは80〜95質量%である<1>〜<5>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<7>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、油脂を構成する全脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは0.5質量%以上である<1>〜<6>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<8>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、トリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは15質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、更に好ましくは78質量%以上、更に好ましくは88質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは92質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99質量%以下である<1>〜<7>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<9>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、ジアシルグリセロールの含有量が、好ましくは0質量%、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは19質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である<1>〜<8>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<10>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、モノアシルグリセロールの含有量が、好ましくは3質量%以下、より好ましくは0〜2質量%である<1>〜<9>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<11>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油において、遊離脂肪酸又はその塩の含有量が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0〜1質量%である<1>〜<10>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<12>混合油に水蒸気を接触させる際の混合油の温度が、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃であり、また、好ましくは240℃以下、より好ましくは235℃以下であり、また、好ましくは200〜240℃、より好ましくは210〜235℃である<1>〜<11>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<13>混合油と水蒸気の接触時間が、好ましくは3〜120分、より好ましくは4〜90分、更に好ましくは5〜60分である<1>〜<12>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<14>混合油と水蒸気を接触させる際の圧力が、好ましくは130〜2600Pa、より好ましくは200〜1300Pa、更に好ましくは260〜900Paである<1>〜<13>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<15>混合油に接触させる水蒸気の量が、混合油に対して好ましくは0.3〜20%/hr、より好ましくは0.5〜10%/hrである<1>〜<14>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<16>未脱臭魚油が、好ましくはアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂が脱ガム処理、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、及び必要に応じて蒸留処理を施した未脱臭植物油脂である<1>〜<15>のいずれか1に記載の精製混合油の製造方法。
<17>未脱臭魚油が、好ましくはアルカリ脱酸処理及び水洗処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂が脱ガム処理を施した未脱臭植物油脂であって、工程(2)の前に、混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理をこの順に行う工程を含む、<1>〜<15>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<18>工程(2)の前に、混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理をこの順に行う工程を含む、<1>〜<15>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<19>未脱臭魚油が、好ましくは原油、脱ガム処理を施した脱ガム油、アルカリ脱酸処理を施したアルカリ脱酸油、水洗処理を施した水洗油、脱色処理を施した脱色油、又は蒸留処理を施した蒸留油であり、未脱臭植物油脂が、原油、又は脱ガム処理を施した脱ガム脂である<18>に記載の精製混合油の製造方法。
<20>アルカリ脱酸処理におけるアルカリの使用量が、1価のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩の場合は、混合油中の遊離脂肪酸に対して好ましくは1mol倍以上であり、2価のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩の場合は、混合油中の遊離脂肪酸に対して好ましくは0.5mol倍以上である<18>又は<19>に記載の精製混合油の製造方法。
<21>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油とアルカリの接触温度が、好ましくは20〜150℃、より好ましくは25〜120℃、更に好ましくは30〜90℃である<18>〜<20>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<22>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油とアルカリとの接触時間が、好ましくは0.1〜180分、より好ましくは0.5〜120分、更に好ましくは1〜90分、更に好ましくは5〜60分である<18>〜<21>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<23>アルカリ水溶液の濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である<18>〜<22>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<24>水洗処理における水の使用量が、混合油に対して好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である<18>〜<23>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<25>水洗処理における水の温度が、好ましくは80℃以下、より好ましくは20〜80℃、更に好ましくは30〜75℃である<18>〜<24>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<26>水洗時間が、好ましくは0.1〜120分、より好ましくは0.2〜60分、更に好ましくは0.3〜30分である<18>〜<25>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<27>脱色処理に使用する吸着剤が、好ましくは活性炭、二酸化ケイ素、酸性白土、活性白土、活性アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ又はアルミニウムシリケートであり、より好ましくは酸性白土又は活性白土である<18>〜<26>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<28>吸着剤の使用量が、混合油に対して好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5〜5質量%、更に好ましくは2〜4質量%である<18>〜<27>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<29>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油と吸着剤の接触温度が、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜135℃、更に好ましくは40〜120℃である<18>〜<28>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<30>未脱臭魚油と未脱臭植物油脂を混合した混合油と吸着剤の接触時間が、好ましくは3〜180分、より好ましくは5〜120分、更に好ましくは7〜90分、更に好ましくは15〜60分である<18>〜<29>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<31>脱色処理における圧力が、好ましくは減圧下であり、より好ましくは0.1〜30kPa、更に好ましくは1〜20kPa、更に好ましくは5〜15kPaである<18>〜<30>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<32>蒸留処理における圧力が、好ましくは減圧下であり、より好ましくは2〜300Pa、更に好ましくは3〜200Pa、更に好ましくは3〜100Pa、更に好ましくは3〜90Paである<18>〜<31>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<33>蒸留処理における温度が、好ましくは180〜280℃、より好ましくは190〜260℃、更に好ましくは195〜250℃である<18>〜<32>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<34>蒸留処理における滞留時間が、好ましくは5〜120秒、より好ましくは10〜90秒、更に好ましくは15〜60秒である<18>〜<33>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<35>精製途中の混合油の油脂120℃におけるCDM試験法による誘導時間(h)が、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1.0時間以上、更に好ましくは1.5時間以上である<18>〜<34>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
<36>精製混合油の油脂120℃におけるCDM試験法による誘導時間(h)が、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1.0時間以上、更に好ましくは1.5時間以上である<1>〜<35>のいずれかに記載の精製混合油の製造方法。
〔分析方法〕
(i)酸化安定性
酸化安定性は、日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」2003年版中の「CDM試験(2.5.1.2−1996)」に従って評価した。
自動油脂安定性試験装置 892プロフェッショナルランシマット(メトロームジャパン製)を用いて、油脂サンプルを容器中で温度120℃に加熱しながら清浄空気を送り込み、酸化により生成した揮発性物質を水中に補集し、その水の導電率が急激に変化する折曲点までの時間(hr)を測定した。
(ii)トコフェロールの定量
トコフェロール量は日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「トコフェロールの定量法(参3.4−1996)」に従って測定した。
(iii)色相
精製油脂の色相は、日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「色(2.2.1−1996)」に従って、ロビボンド比色計を用い5.25インチセルにより測定し、次の式(1)で求めた値をいう。
色相=10R+Y (1)
(式中、R=Red値、Y=Yellow値)
(iv)遊離脂肪酸濃度の算出
遊離脂肪酸濃度は、混合油の酸価及び脂肪酸組成を測定し、油脂製品の知識(株式会社 幸書房)に従って、次の式(2)で求めた値をいう。なお、酸価は、American Oil Chemists.Society Official Method Ca5a−40により測定した。
脂肪酸濃度(質量%)=x×y/56.1/10 (2)
(x=酸価[mgKOH/g]、y=脂肪酸組成から求めた平均分子量)
〔風味評価〕
風味の評価は、5人のパネルにより、各人1〜2gを生食し、下記に示す基準にて官能評価することにより行い、その平均値を四捨五入して示した。
(風味の評価基準)
4:刺激味がほとんど無く、風味が非常に良い
3:刺激味が少なく、風味が良い
2:やや刺激味があり、風味がやや悪い
1:刺激味があり、風味が悪い
実施例1
〔混合油の調製〕
原料油Aとして、魚粗油にアルカリ脱酸処理及び脱色処理を施したカツオマグロ脱色油(油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は33.6質量%)(兼松新東亜食品製、以下同じ)、原料油Bとして、菜種粗油に脱ガム処理を施した脱ガム菜種油(サミット製油製、ヨウ素価118、以下同じ)を使用した。
原料油Aを5質量%と原料油Bを95質量%混合して、混合油を得た。混合油の油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は1.7質量%であった。
〔アルカリ脱酸処理〕
アルカリ脱酸工程は、4ツ口フラスコに入れた混合油の遊離脂肪酸に対し、1.1モル倍の水酸化ナトリウムを15%水溶液にして添加し、N雰囲気下にて70℃で5分間、500r/minで攪拌した。その後、遠心分離(日立工機製CR22GIIIローターR9A 5000r/min×10min)処理し、固相を除去してアルカリ脱酸油を得た。
〔水洗処理〕
次いで、水洗工程を行った。4ツ口フラスコに入れたアルカリ脱酸油に対して水を10質量%加えて、N雰囲気下にて70℃で10分間、500r/minで攪拌した。その後、遠心分離(日立工機製CR22GIIIローターR9A 5000r/min×10min)処理して、水相を除去した。この操作を2回繰り返した。その後、4ツ口フラスコに油相を入れ、温度70℃、時間30min、撹拌300r/min、圧力400Pa以下で脱水し、Nで常圧に戻し、水洗油を得た。
〔脱色処理〕
次いで、脱色工程を行った。4ツ口フラスコに入れた水洗油に対して、活性白土(ガレオンアースV2R:水澤化学工業(株)製)を3質量%加え、圧力9.3kPaに調整し、温度110℃に昇温後、20分間脱色処理した。その後、70℃まで冷却し、活性白土を濾別して脱色油を得た。
〔蒸留処理〕
次いで、蒸留工程を行った。脱色油をワイプトフィルム蒸発装置((株)神鋼環境ソルーション2−03型、内径5cm、伝熱面積0.03m2)を用いて薄膜蒸留を行った。脱色油を加熱ヒーター温度設定245℃、冷却水温度80℃、圧力25Pa、流量150g/h、滞留時間20秒の条件で処理し、残渣側から蒸留油を得た。
〔脱臭処理〕
次いで、脱臭工程を行った。蒸留油をクライゼンフラスコに入れて、温度215℃、時間60min、圧力400Pa、水蒸気3%対油/hの一定条件で水蒸気脱臭処理し、精製混合油として脱臭油を得た。
実施例2
〔魚油のアルカリ脱酸処理、水洗処理〕
原料油Aとしてカツオマグロ脱色油を使用し、実施例1と同様に、アルカリ脱酸処理、水洗処理を行って水洗油Aを得た。
〔菜種油のアルカリ脱酸処理、水洗処理〕
原料油Bとして脱ガム菜種油を使用し、実施例1と同様に、アルカリ脱酸処理、水洗処理を行って水洗油Bを得た。
〔混合油の調製〕
水洗油Aを5質量%と水洗油Bを95質量%混合し、混合油を得た。混合油の油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は1.7質量%であった。
〔脱色処理、蒸留処理、脱臭処理〕
次いで、混合油に対して、実施例1と同様に、脱色処理、蒸留処理、脱臭処理を行って精製混合油を得た。
比較例1
〔魚油のアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、蒸留処理、脱臭処理〕
原料油Aとしてカツオマグロ脱色油を使用し、原料油Aに対して、実施例1と同様に、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、蒸留処理、脱臭処理を行って脱臭油Aを得た。
〔菜種油のアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、蒸留処理、脱臭処理〕
原料油Bとして脱ガム菜種油を使用し、原料油Bに対して、実施例1と同様に、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、蒸留処理、脱臭処理を行って脱臭油Bを得た。
脱臭油Aを5質量%と脱臭油Bを95質量%混合し、精製混合油とした。精製混合油の油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は1.6質量%であった。
実施例及び比較例の分析値と歩留まりを表1に示す。
Figure 0006375202
表1より明らかなように、魚油脱臭油と菜種脱臭油を混合した精製混合油よりも、本発明の方法により得られた精製混合油は、酸化安定性が高く、風味及び色相が良好であった。特に、未脱臭魚油単独で各精製工程を行うと10%以上のロスが発生するところ、未脱臭魚油と未脱臭菜種油を混合した後にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、蒸留処理及び脱臭処理を行うと、魚油のロスを抑えられ、歩留まりが良かった。

Claims (6)

  1. 次の工程(1)及び(2):
    (1)未脱臭魚油と未脱臭植物油脂とを混合し、油脂を構成する全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量が0.6〜10質量%である混合油を調製する工程、
    (2)前記混合油に、混合油の温度が180〜250℃で水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程
    を含む、精製混合油の製造方法。
  2. 未脱臭植物油脂のヨウ素価が80以上である請求項1記載の精製混合油の製造方法。
  3. 未脱臭魚油がアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂が脱ガム処理、アルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理、及び必要に応じて蒸留処理を施した未脱臭植物油脂である請求項1又は2記載の精製混合油の製造方法。
  4. 未脱臭魚油がアルカリ脱酸処理及び水洗処理を施した未脱臭魚油であり、未脱臭植物油脂が脱ガム処理を施した未脱臭植物油脂であって、工程(2)の前に、混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理をこの順に行う工程を含む、請求項1又は2記載の精製混合油の製造方法。
  5. 工程(2)の前に、混合油にアルカリ脱酸処理、水洗処理、脱色処理及び蒸留処理をこの順に行う工程を含む、請求項1又は2記載の精製混合油の製造方法。
  6. 未脱臭魚油の混合割合が、未脱臭魚油と未脱臭植物油脂の合計の1〜30質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の精製混合油の製造方法。
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