JP6372910B2 - 生花の流通・販売方法、及び生花製品 - Google Patents
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Description
また、流通において生花は、段ボール箱やバケツ等に入れられた状態であるため、衝撃等から生花を保護することができない。しかも、生花は農薬や虫、雑菌等が付着しているおそれのあるため、特に飲食品など他の商品と一緒に流通・展示することが制限されるものである。
また、流通段階における衝撃等から生花を保護することを目的として、包材フィルムよりなる包装体で生花を包装した後、この包装体の内部にエアを充填し、エアによって包装体が容易に潰れることなく生花の圧潰を防止するようにした手段も提案されている(たとえば、特許文献3を参照)。
さらに、生花の鮮度を保持すると共に、食品と隣接して陳列可能することを目的として、生花をポリエチレンテレフタレート製二軸延伸ブロー成形容器(以下、「PET缶」という。)に生け、水のない状態で密封包装し、0.1〜0.5kg/cm3
の圧力に加圧した後、これを低温で保存または流通するようにした手段も提案されている(たとえば、特許文献4を参照)。
すなわち、本発明における第二の生花の流通・販売方法は、硫酸アルミニウムを主成分として含む水揚げ処理液の中に前記生花の根もと側を所定時間浸漬した後、上記第一又は第二の生花の流通・販売方法を実施するものである。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1に示すように、本発明における生花の流通・販売方法は、まず、収穫した生花の表面を、アクリルポリマー(アクリル共重合体)を主成分として含む被覆処理液でコーティングする(第一工程)。
このディップノイは、生花より水分や栄養素等の蒸散を防ぐために、生花の花冠・蕾ならず、葉、茎を含めた全体をコーティングする処理剤である。ディップノイは、アクリル系樹脂がベースとなっており、プロクロラズや水のほか、第四級アンモニウム化合物、亜硫酸水素ナトリウム、イソプロピルアルコールが配合され、色やにおい等は生花側に影響しないものとなっている。
この袋体は、生花を収容することができる大きさ、形状をし、生花を収容した後に、その収容口が密閉でき、かつ、後述するように内部へエアを充填することで風船のように膨らむことができる柔軟なものであれば、材質は特に限定されない。
図5において、袋体10は、下方へ向かうにしたがって徐々に幅が小さくなる下向きの略三角形状をした縦長の収容部11を有し、上方に生花を収容するための収容口12を備えるものとして示されている。
このエア充填口13は、後述する工程(第三工程)において、収容部11の中へ充填したエアが逆流して漏れない構造の逆止弁となっている。ゆえに、エアの充填によって膨らんだ袋体10は無闇に萎まずに、このエアによって衝撃等から生花を保護することができるものとなっている。
この手提部14は、後述する工程(第四工程)において、フック等に係止したり、生花製品の購入後において、生花が収容されて膨らんだ袋体10を片手でぶら提げるように把持して持ち帰ることができるので非常に便利である。
ここで、所定の低温度とは、生花の生理活性を最も抑制する温度をいい、具体的には、2〜7℃が良く、望ましくは2〜4℃とする。
図6において、生花製品20は、袋体10の収容部11内に生花Fが収容され、この収容部11の収容口12が熱溶着によって封止された密閉部15を有し、充填口13より充填されたエアAで収容部11が膨化したものとして示されている。
生花製品20の展示においては、たとえばコンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーマーケット、ディスカウントストア、ホームセンター等の店舗や、自動販売機において行うことができる。
すなわち、これまで生花製品は、顧客が購入して家へ持ち帰る際、生花Fの根もと側部分を保持することで手の温もりを生花Fに伝えてしまったり、低温雰囲気中に置かれて(展示されて)いた生花をいきなり外気温に晒してしまったりすることから、生花は大きなダメージを受けるものとなっていた。特に、夏場など外気温が高いときは、温度による大きなストレスを受けるものとなっていた。
しかしながら、本発明における生花製品20の場合、生花Fに直接手を触れることなく手提部14,14を用いて生花製品20を手に提げて持ち帰ることができるので、手の温もりを生花Fに伝えることなく、生花Fの鮮度を維持することができる。
しかも、本発明における生花製品20では、生花Fの周囲が袋体10で覆われているので、顧客が購入して家へ持ち帰る際に強い風が吹いているときであっても、花冠が風によるストレスに晒されることなく確実に保護されるものとなる。
また、本発明は、上述した第1の実施の形態における一連の工程を全て、所定の低温度を維持した環境下で行うものとすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、第一工程から所定の低温度を維持した環境下で行うものとする点で異なる。
なお、以下に述べる他の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分の説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
被覆処理液は、第1の実施の形態と同様に、グリーノイ社のディップノイを用いることができる。
引き続き、収容口12を密閉した袋体10内にエア充填口13を介してエアを充填して当該袋体10を膨化させ、生花製品20とする(第三工程)。
その後、上記所定の低温度を維持したまま、生花製品20を搬送し、この生花製品20に直接手を触れることなく、袋体10内に収容したままの生花製品20を店舗等において展示する(第四工程)。
また、本発明は、上述した第1の実施の形態における一連の工程前に、所定の前処理を施すものとすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、生花の表面を被覆処理液でコーティングする第一工程の前に所定の前処理を行うものとする点で異なる。
生花は、収穫後2〜4時間以内に水揚げ処理液に浸漬することが望ましく、浸漬しておく時間は、少なくとも一夜、望ましくは18〜24時間とする。
このプリノイは、生花の導管を開いて水揚げを良くする処理剤である。プリノイは、硫酸アルミニウムがベースとなっており、水のほか、第四級アンモニウム化合物、陰イオン界面活性剤が配合されたものとなっている。
さらに、作業を実施する周囲の雰囲気を、生花の生育(開花)は抑制するが障害は起こさない所定の低温度とし、この環境下で、収容口12を密閉した袋体10内にエア充填口13を介してエアを充填して当該袋体10を膨化させ、生花製品とする(第三工程)。
その後、上記所定の低温度を維持したまま、生花製品20を搬送し、この生花製品20に直接手を触れることなく、袋体10内に収容したままの生花製品20を店舗等において展示する(第四工程)。
また、本発明は、上述した第3の実施の形態における一連の工程を全て、所定の低温度を維持した環境下で行うものとすることもできる。すなわち、上述した第3の実施の形態とは、前処理工程から所定の低温度を維持した環境下で行うものとする点で異なり、上述した第1の実施の形態とは、生花の表面を被覆処理液でコーティングする第一工程の前に所定の前処理を行うと共に、前処理工程から所定の低温度を維持した環境下で行うものとする点で異なる。
水揚げ処理液は、第3の実施の形態と同様に、グリーノイ社のプリノイを用いることができる。
さらに、収容口12を密閉した袋体10内にエア充填口13を介してエアを充填して当該袋体10を膨化させ、生花製品とする(第三工程)。
その後、上記所定の低温度を維持したまま、生花製品20を搬送し、この生花製品20に直接手を触れることなく、袋体10内に収容したままの生花製品20を店舗等において展示する(第四工程)。
Claims (8)
- 収穫した生花の鮮度を維持して流通・販売する方法であって、
アクリルポリマーを主成分として含む被覆処理液で生花の表面をコーティングした後、
柔軟な袋体の中に前記生花を収容して、当該袋体の収容口を密閉し、
次いで、前記袋体内にエアを充填して当該袋体を膨化させ、
その後、膨化した前記袋体内に収容したままの前記生花を搬送し、
さらに、前記生花に直接手を触れることなく前記袋体内に収容したまま前記生花を展示する、
これら一連の工程において、少なくとも袋体内にエアを充填して当該袋体を膨化させる工程以降を、もしくは全工程を、生花の生育は抑制するが障害は起こさない所定の低温度の環境下で行うことを特徴とする生花の流通・販売方法。 - 前記生花の表面を被覆処理液でコーティングする前に、硫酸アルミニウムを主成分として含む水揚げ処理液の中に前記生花の根もと側を浸漬しておく前処理工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生花の流通・販売方法。
- 前記袋体の収容口を密閉する際に、当該袋体内にエチレンガス吸収剤を配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の生花の流通・販売方法。
- 前記被覆処理液のコーティングは、当該被覆処理液の中に生花全体を浸漬することにより行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の生花の流通・販売方法。
- 前記展示は、冷蔵ショーケースにおいて実施されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の生花の流通・販売方法。
- 前記袋体は、透明であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の生花の流通・販売方法。
- 前記袋体は、提手部を備え、
前記展示は、前記冷蔵ショーケース内において前記提手部を係止し、前記袋体内に収容した生花の根もとが下方を向いた起立状態を保持するように行うことを特徴とする請求項6に記載の生花の流通・販売方法。 - 表面がアクリルポリマーを主成分として含む被覆処理液でコーティングされた生花と、
前記生花を収容する柔軟な袋体と、
から構成され、
前記袋体は、前記生花の収容口が密閉され、内部に充填されたエアによって膨化していると共に、前記生花の周囲に生花の生育は抑制するが障害は起こさない所定の低温度に冷やされた前記エアが存在している、
ことを特徴とする生花製品。
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