JP6372095B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6372095B2
JP6372095B2 JP2014043954A JP2014043954A JP6372095B2 JP 6372095 B2 JP6372095 B2 JP 6372095B2 JP 2014043954 A JP2014043954 A JP 2014043954A JP 2014043954 A JP2014043954 A JP 2014043954A JP 6372095 B2 JP6372095 B2 JP 6372095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot air
fiber bundle
carbon fiber
heat treatment
area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014043954A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015168897A (ja
Inventor
崇暁 津田
崇暁 津田
暁 加地
暁 加地
洋二 畑中
洋二 畑中
未奈美 大原
未奈美 大原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2014043954A priority Critical patent/JP6372095B2/ja
Publication of JP2015168897A publication Critical patent/JP2015168897A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6372095B2 publication Critical patent/JP6372095B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維を製造する方法として、炭素繊維前駆体繊維束(以下、これを繊維束と称することがある)を耐炎化処理した後、炭素化処理する方法が広く知られている。
この炭素繊維の製造時の耐炎化処理としては、例えば、熱処理装置を用いて、空気等の酸化雰囲気下で、繊維束を熱風により熱処理する方法が採用されている。
しかしながら、耐炎化処理は繊維束の発熱を伴う酸化反応であることから、熱処理炉内を循環させる熱風の風量や風速を上げて、繊維束の熱を速やかに除去することが重要である。さらに、熱処理室内の繊維束を均等に熱処理することが重要である。
上記課題を解決する方法として、例えば、特許文献1は、熱処理室内に熱風を吹き出す熱風吹出口と、熱処理室内の熱風を吸い込む熱風吸込口を備え、耐炎化炉の熱処理室が仕切り板によって区画され、熱風に対して前駆体繊維が、並流方向に走行する並流通路と、向流方向に走行する向流通路が、熱風吸込み口近傍にて連通している耐炎化炉が開示されている。
特開2008−231603号公報
しかし、特許文献1に記載された熱処理炉では、熱風を吹き出す吹出しノズルと、各仕切り板の位置関係を極めて精密に制御しない限り、熱風が各仕切り板の間に均等に流れ込まないため、各区画の間で熱風の風速斑が大きくなるおそれがある。そしてそのような精密な制御は、工業製品の加工においては実質的に実現困難である。
上記課題を解決するために、本発明者らは検討を行い、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化処理して耐炎化繊維束とし、前記耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法であって、
前記耐炎化処理が、下記の条件を満足する炭素繊維束の製造方法。
・シート状の炭素繊維前駆体繊維束を複数回折り返して、熱処理室内を多段で走行させ、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向に対して平行に熱風を吹き付け、熱処理する。
・前記熱処理室内に、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向において第一熱風区域と第二熱風区域とを設け、
前記第一熱風区域は、前記熱処理室の一端側にあって、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に、シートの重なる方向において複数の熱風の流れを有し、
前記第二熱風区域は、前記第一熱風区域の下流にあって、熱風の流れの2つ以上が混合して流れる。
・前記第一熱風区域の熱風流路断面積は、前記第二熱風区域の熱風流路断面積より大きい。
本発明によると、熱処理室内の各繊維束に均等に熱風を送ることが可能となる。さらに熱処理炉に供給する総熱風量を増すことなく、各繊維束への熱風の風速を向上することが可能となる。その結果、熱処理炉の熱風循環ファンへの負荷を増すことなく、炭素繊維の生産性を向上することができる。
本実施形態に係る代表的な熱処理炉1の構造を模式的に表す側断面図である。 本実施形態に係る熱処理炉1の構造の一例を模式的に表す側断面図であって、隣り合う2シートの炭素繊維前駆体繊維束の間にあって、一つの吹出しノズル3の出口に、複数のスリット状開口部が設けられている。 本実施形態に係る熱処理炉1の構造の一例を模式的に表す側断面図であって、隣り合う2シートの炭素繊維前駆体繊維束の間に、複数個の吹出しノズル3が設けられている。 本実施形態に係る仕切り板11の先端付近を拡大して模式的に表す側断面図である。 図4の実施形態に係る熱処理炉1の構造を模式的に表す側断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて詳細に説明する。
本願発明は、耐炎化処理が、下記の条件を満足する。
・シート状の炭素繊維前駆体繊維束を複数回折り返して、熱処理室内を多段で走行させ、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向に対して平行に熱風を吹き付け、熱処理する。
・前記熱処理室内に、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向において第一熱風区域と第二熱風区域とを設け、
前記第一熱風区域は、前記熱処理室の一端側にあって、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に、シートの重なる方向において複数の熱風の流れを有し、
前記第二熱風区域は、前記第一熱風区域の下流にあって、熱風の流れの2つ以上が混合して流れる。
・前記第一熱風区域の熱風流路断面積は、前記第二熱風区域の熱風流路断面積より大きい。
図1は本願発明に用いる熱処理炉の側断面図を模式的に示している。本実施形態の熱処理炉1は、熱処理室2、繊維束8の導出入口10及び10‘、熱処理室2の室内側に対向して配される複数の吹出しノズル3と、複数の吸込みノズル4を備える。吹出しノズル3と吸込みノズル4は、繊維束8を上下から挟むように配される。シート状の繊維束を複数回折り返して、かかる熱処理室内を多段で走行させ、前記繊維束の長手方向に対して平行に熱風をあて、熱処理する。熱処理室2の外部には、吹出しノズル3と吸込みノズル4との間で熱風を循環するための循環流路7を備える。循環流路7には、吸込みノズル4から送られてきた熱風を加熱する気体加熱手段5、及び加熱された熱風を吹出しノズル3に送る送風機6が配される。また、シート状の繊維束8は、多段に配されたガイドロール9に掛け回され、熱処理室1の導出入口10,10’を通して、熱処理室2の内部を複数回往復して走行する。
この際、前記熱処理室内に、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向において第一熱風区域14と第二熱風区域15とを設ける。
前記第一熱風区域は、前記熱処理室の一端側にあって、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に、シートの重なる方向において複数の熱風の流れを有する。
前記第一熱風区域14における複数の熱風の流れの形成手段は限定されない。図1の例においては、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に向かって吹出しノズル3を一つ設け、更に第一熱風区域14に、熱風の流れと平行な部材を設けて、吹出しノズル3から吹出される一つの熱風の流れを、複数に分割している。
熱風の流れと平行な部材を設ける場合、吹出しノズル3と部材との間にある程度の空間を設けると、流れを複数に分割するにあたって、均一性を保ちやすくなる。この距離は50mm以上が好ましい。一方この距離が長すぎると、その分前記第二熱風区域15の長さが短くなる。従ってこの距離は1000mm以下が好ましい。
このほか、例えば一つの吹出しノズル3の出口に、複数のスリット状開口部16を設けて、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に複数の熱風の流れを作ってもよい(図2)。図2において、第一熱風区域14とは、1つの吹出しノズル3から吹出される、一つの熱風の流れが、複数のスリット状開口部16によって分割され、該繊維束の間に複数の流れを形成する区域のことを言う。
また、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間に吹出しノズル3を複数個設けて、複数の熱風の流れを作ってもよい(図3)。図3において、第一熱風区域14とは、該繊維束の間に設けられた複数個の吹出しノズル3から吹出される熱風が、該繊維束の間で複数の流れを形成し、流れる区域のことを言う。
前記第二熱風区域15は、前記第一熱風区域14の下流にあって、熱風の流れの2つ以上が混合して流れる。
そして、前記第一熱風区域14の熱風流路断面積は、前記第二熱風区域15の熱風流路断面積より大きい。なおここでいう熱風流路断面積とは、隣り合う繊維束2シートの間において、シートの重なる方向の断面積中で、熱風が流れることが可能な部分の面積の合計をいう。
前記第二熱風区域15における混合された熱風の流れの形成手段は限定されない。図1の例においては、吹出しノズル3と吸込みノズル4の間であって、前記第一熱風区域14の下流側に、仕切り板11を繊維束長手方向と平行に設けている。この場合、前記第一熱風区域14からの複数の熱風の流れは、熱風流路断面積がより狭い前記第二熱風区域15に向かって流れる過程で混合され、各繊維束に均等に熱風を送ることが可能となる。更には供給する総熱風量を増すことなく、各繊維束への熱風の風速を向上することが可能となる。
前記第二熱風区域15の熱風流路断面積は、前記第一熱風区域14の熱風流路断面積に対し、30%以上95%以下の範囲とすることが必要である。この範囲とすることで、熱風の急縮小による圧力損失の発生を抑制することができる。下限は、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。また上限は、85%以下がより好ましく、80%以下がさらに好ましい。
前記第二熱風区域15の長さは、単純に熱処理の効率のみを考えるのであれば、長いほど好ましいのであるが、熱風の流れの均一性を達成するにあたっては、その他区域との長さのバランスをとることが必要となる。従って前記第二熱風区域の長さは、熱処理室2内の熱風の流れる距離(吹出しノズル3と吸込みノズル4の間の距離)に対し、70%以上90%以下の範囲であることが好ましい。
前記第一熱風区域14の長さ(注;多孔板を含まない長さ)は、前述のバランスを考慮すると、熱処理室2内の熱風の流れる距離(吹出しノズル3と吸込みノズル4の間の距離)に対し、3%以上15%以下の範囲であることが好ましい。
図1の例においては、仕切り板11は、前記第二熱風区域15を、1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風をあてる区域と、別の1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風をあてる区域とに分割している。従って仕切り板11の体積の分だけ、熱風が流れることが可能な部分の体積が減少する。即ち本願発明における上記要件を、簡便な構成で達成することが可能となる。
そのほか、例えば前記第二熱風区域15の入口においてスリット状の流路を有する整流部材を配置しても、類似の効果を得ることができる。
上記のような構成を採用することにより、ある隣り合う3シートの繊維束において、一つの隣り合う2シートの繊維束の間、及びもう一つの隣り合う2シートの繊維束の間において、それぞれ別の前記第一熱風区域14で形成された流れを、繊維束を通して、1シートの繊維束の一方側、他方側のそれぞれにおいて合流させることが可能となる。このため更に均一性を向上させることができる。
前記第一熱風区域14からの複数の熱風の流れの混合は、前記第一熱風区域14と前記第二熱風区域15との間に、熱風混合区域17を設けることによって、更に均一性を向上させることができる。
この際、前記熱風混合区域17に、熱風の流れと平行な孔開き部材を設けて、前記孔開き部材の一方側と他方側とで熱風の流れを連通させると、前記第一熱風区域からの複数の熱風の流れを、記第二熱風区域15に向かってスムーズに流すことができる。
なお、最初に熱処理室内に入る繊維束、及び最後に熱処理室外に出る繊維束については、図1に示すように、繊維束と熱処理室の内壁との間において、前述の要件を満足する第一熱風区域14と第二熱風区域15とを設けることが好ましい。この場合、「熱処理室の内壁と、当該炭素繊維前駆体繊維束の間」が、前述の「隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間」に相当する。
前記第一熱風区域14に流入する熱風の線速は、隣り合う2シートの前記炭素繊維前駆体繊維束の間のそれぞれについて同じであることが好ましい。また、繊維束シートの幅方向の熱風の線速のばらつきを、極力小さくすることが好ましい。
前記第二熱風区域における、吹出しノズル3から下流2mの地点(安定した線速を計測可能な地点)における各区画間の線速斑は、平均線速に対し10%以内に収めることが好ましい。さらに好ましくは7%以内である。
図4は、本願発明の第一熱風区域14、熱風混合区域15、第二熱風区域16の構成の一部を模式的に示した側断面図である。また、図5は、図4の実施形態に係る熱処理炉1の構造を模式的に表す側断面図である。図4の左から順に、薄板部13a、多孔板13b、厚板12で構成されている。
薄板部13aは、第一熱風区域14において熱風の流れと平行に配される部材である。多孔板13bは、熱風混合区域17において熱風の流れと平行に配される孔開き部材である。厚板12は、第二熱風区域15を、1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風を吹き付ける区域と、別の1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風を吹き付ける区域とに分割する。
薄板部13aと多孔板部13bとは一体化されて薄板13をなし、上下に2枚配される。薄板13は、シートが重なる方向の外寸が厚板12の厚さと同じとなる位置で、厚板12と一体化されている。薄板部13、厚板12の外寸、厚さは全領域で一定である。
なお、薄板部13a、多孔板部13b、厚板12は、この例においては一体化されているが、別々の部材として設置しても構わない。
吹出しノズル3から吹出され、第一熱風区域14に吹き込まれる熱風は、一方の薄板部13aの上と、他方の薄板部13aの下と、及び両者の間とを、3つの流れとして熱風の直進性が保持された状態で進んだ後、多孔板部13bの孔から、厚板12の上側及び下側の第二熱風区域15に、混合された状態で流れ出る。
厚板12及び薄板13のシート幅方向の長さは、熱処理室の内部の同方向長さと等しくすると、各繊維束走行区間のシート幅方向の風速斑を抑制できるため好ましい。
薄板部13a、多孔板13b、厚板12は、これら部材の自重、熱処理室内の温度変化による歪等によって、許容範囲を超えて変形しない材質とする。コストと性能のバランスを考慮すると、鉄、ステンレスが好ましい。また厚板12の内部に空洞を有しても構わない。
多孔板部13bの開孔率は、10%以上50%以下が好ましい。ここでいう開孔率とは、多孔板の全面積に対する貫通孔の合計面積の比率をいう。10%未満になると圧損が大きくなるため、薄板13における上下2枚の平板の間を通過する熱風の流量が減少し、糸条走行区間に直接流れる熱風の流量が増加する。この際、当該吹出しノズルと、その上側及び/又は下側の吹出しノズルとの間で、吹き出し圧力に僅かな圧力差があれば、誘因効果により前記各区画に流入する流量に差が生じ、その結果、各区画間の風速斑が増加する。また、開孔率が50%より大きくなると、厚板12の上側と下側の繊維束走行区間の僅かな圧力差によって、それぞれの区画に多孔板から送出される熱風の風量に差が生じ、各繊維束走行区間の間の熱風の風速斑が増加する。開孔率は20%以上30%以下がより好ましい。
多孔板部13bの形態は、圧損により熱風を整流化する作用を有していれば、特に限定されず、例えばメッシュ、エキスパンドメタル等を用いればよい。また材質についても特に限定されず、例えばステンレスを用いればよい。
多孔板部13bの面積は、開孔率と、前記第一熱風区域14の熱風流路断面積とを考慮して適宜調整すればよい。これは若干の試行錯誤により決定できる事項である。
仕切り板11の設置方法は、例えば、熱処理室2のシート幅方向にレールを設置し、そのレール上に仕切り板を敷き詰めれば、仕切り板の設置と取り外しを容易に行うことができる。また、仕切り板11の厚みを適宜選ぶことによって、各糸条走行区間の断面積を変更して、同区間内の熱風の風速を所望の値とできる。
以上説明したように、本発明によれば、均等に熱風を送り、熱処理炉に供給する総熱風量を増すことなく、熱風の風速を向上することが可能となる。この効果により、熱処理炉の熱風循環ファンへの負荷を増すことなく、炭素繊維の生産性を向上することができる。
以下、本発明の具体的な構成を実施例に基づいて説明するが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
[風速及び風速斑の測定]
熱処理室2において、吹出しノズルと吸込みノズルの間の間隔を5000mm、繊維束の導出入口(10、10‘)の間隔を220mmとし、熱処理室2の外側左右両端に、それぞれ1台のガイドロールを配設して、熱処理室内を、繊維束を3回往復走行させた。吹出しノズル3の吹き出し口端面の位置をゼロ点として、熱処理室2の内部において、繊維束の走行方向に向かって2000mmの位置で、繊維束の導出入口の中間点の高さで、熱風の線速測定を実施した。すなわち線速測定は、繊維束が走行する3ケ所で実施した。線速測定には、多点風速計SYSTEM6243 MODEL1560(KANOMAX社製)と0965−04プローブ(同)を用いた。1回/秒の頻度で30秒間測定を行い、その平均を線速とした。上記3ケ所で測定した線速の最大線速から最小線速を引いた値を、上記3ケ所で測定した線速の平均値で割った値を線速斑とした。
仕切り板を設置する前の熱風の線速は1.5m/s、線速斑は15%であった。表1に参考例として示す。
[実施例1]
高さH=155mmの吹出しノズルからx=100mmの位置に、長さa=265mm、厚さc=1.0mmの平板と、長さb=265mm、厚さc=1.0mm、開孔率30%の多孔板と、厚さT=55mmの厚板をこの順で設置した。薄板部を構成する多孔板と平板の垂直方向の内寸は53mmとなる。
第一熱風区域断面積に対する第二熱風区域断面積は76%であり、熱処理室の長さに対する第一熱風区域長さは5.3%である。また、厚板の末端と吸込みノズルの間の間隔は300mmのため、熱処理室の長さに対する第二熱風区域長さは81%である。
その結果、熱風の線速は2.0m/sに増加し、表1に示す通り、線速斑は7.0%で良好であった。
[実施例2]
厚板の厚さをT=155mmとした以外は、実施例1と同様として熱風の線速と線速斑の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
吹出しノズルと平板の距離をx=0mm(吹出しノズルと平板が接触)とした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
吹出しノズルと平板の距離をx=600mmとした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
多孔板の開孔率を10%にした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
多孔板の開孔率を50%にした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
多孔板の長さをa=530mmとした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
平板の長さをb=530mmとした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
薄板部を構成する多孔板と平板の厚さをc=10mmとした以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜9では、仕切り板の設置と、平板と多孔板の適正化によって、各区画の風速は増加し、風速斑は良好であった。
[比較例1]
薄板部を設けずに、吹出しノズルからx=100mmの位置に、厚さT=55mmの厚板を設置した以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。その結果、風速は2.0m/s、風速斑は18%であった。
仕切り板に薄板部が設けられていないため、吹出しノズルから吹き出した熱風の流れは、厚板先端部で各区画に流量が均等となるように分配されず、その結果、風速斑が増加した。
[比較例2]
薄板部において、平板を設けず、吹出しノズルからx=100mmの位置に、多孔板と厚板を順に設置した以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
仕切り板に平板が設けられていないため、熱風は、多孔板を通して拡がりながら糸条走行区画に流れ出す。その際、上下ノズルとの圧力差に起因した誘因効果により、各区画間に流れ出す熱風の流量に差が発生し、風速斑が大きくなる。
[比較例3]
薄板部において、多孔板部を設けず、吹出しノズルからx=100mmの位置に、平板と厚板を順に設置した以外は、実施例1と同様として風速測定を行った。結果を表1に示す。
仕切り板に多孔板が設けられていないため、吹出しノズルの熱風は、薄板部内を通過せず、糸条走行区画に直接流入する。その際、熱風は、仕切り板先端部で各区画に流量が均等となるように分配されず、風速斑が増加した。
1 熱処理炉
2 熱処理室
3 吹出しノズル
4 吸込みノズル
5 気体加熱手段
6 送風機
7 循環流路
8 繊維束
9 ガイドロール
10 繊維束の導出入口
10‘ 繊維束の導出入口
11 仕切り板
12 厚板
13 薄板
13a 薄板部
13b 多孔板部
14 第一熱風区域
15 第二熱風区域
16 スリット状開口部
17 熱風混合区域

Claims (4)

  1. 炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化処理して耐炎化繊維束とし、前記耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法であって、
    前記耐炎化処理が、下記の条件を満足する炭素繊維束の製造方法。
    ・シート状の炭素繊維前駆体繊維束を複数回折り返して、熱処理室内を多段で走行させ、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向に対して平行に熱風をあて、熱処理する。
    ・前記熱処理室内に、前記炭素繊維前駆体繊維束の長手方向において第一熱風区域と第二熱風区域とを設け、
    前記第一熱風区域は、前記熱処理室の一端側にあって、前記前記シート状の炭素繊維前駆体繊維束を折り返すことで生じた、隣り合う折り返されたシート同士の間に、シートの重なる方向において複数の熱風の流れを有し、
    前記第二熱風区域は、前記第一熱風区域の下流にあって、熱風の流れの2つ以上が混合して流れる。
    ・前記第一熱風区域の熱風流路断面積は、前記第二熱風区域の熱風流路断面積より大きい。
  2. 下記の条件を満足する請求項1に記載の炭素繊維束の製造方法。
    ・前記第一熱風区域と前記第二熱風区域との間に、熱風混合区域を有する。
  3. 下記の条件を満足する請求項1又は2記載の炭素繊維束の製造方法。
    ・前記シート状の炭素繊維前駆体繊維束を折り返すことで生じた、隣り合う折り返されたシート同士の間に、その長手方向と平行に仕切板を設け、前記第二熱風区域を、1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風をあてる区域と、別の1枚の前記炭素繊維前駆体繊維束に熱風をあてる区域とに分割する。
  4. 下記の条件を満足する請求項3記載の炭素繊維束の製造方法。
    ・熱風混合区域に、熱風の流れと平行な孔開き部材を設けて、前記孔開き部材の一方側と他方側とで熱風の流れを連通させる。
JP2014043954A 2014-03-06 2014-03-06 炭素繊維の製造方法 Active JP6372095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014043954A JP6372095B2 (ja) 2014-03-06 2014-03-06 炭素繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014043954A JP6372095B2 (ja) 2014-03-06 2014-03-06 炭素繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015168897A JP2015168897A (ja) 2015-09-28
JP6372095B2 true JP6372095B2 (ja) 2018-08-15

Family

ID=54201905

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014043954A Active JP6372095B2 (ja) 2014-03-06 2014-03-06 炭素繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6372095B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112710160B (zh) * 2019-10-25 2023-06-23 中冶长天国际工程有限责任公司 解析塔冷态启动时热风风机控制方法及装置
TWI746379B (zh) * 2021-02-20 2021-11-11 吳浩嘉 碳纖維分束方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62228865A (ja) * 1986-03-31 1987-10-07 三菱レイヨン株式会社 横型熱処理炉
JPS62228867A (ja) * 1986-03-31 1987-10-07 三菱レイヨン株式会社 炭素繊維製造用の横型熱処理炉
JPH10237723A (ja) * 1996-12-16 1998-09-08 Toray Ind Inc 熱処理炉、および炭素繊維の製造方法
DE69706028T2 (de) * 1996-12-16 2001-11-29 Toray Industries Wärmebehandlungsofen für Fasern
JPH10266023A (ja) * 1997-03-24 1998-10-06 Toho Rayon Co Ltd ポリアクリロニトリル系耐炎繊維の製造方法及びその装置
JP4279925B2 (ja) * 1999-01-12 2009-06-17 三菱レイヨン株式会社 横型熱処理炉及び熱処理方法
JP4818964B2 (ja) * 2007-03-19 2011-11-16 三菱レイヨン株式会社 耐炎化炉
JP5022073B2 (ja) * 2007-03-20 2012-09-12 三菱レイヨン株式会社 耐炎化炉及び炭素繊維の製造方法
JP2010133059A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐炎化炉及びこれを用いた炭素繊維の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015168897A (ja) 2015-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101604932B1 (ko) 내염화 열처리로
RU2594415C2 (ru) Окислительная печь
JP5856082B2 (ja) 酸化炉
JP3868907B2 (ja) 耐炎化熱処理装置、及び同装置の運転方法
JP6372095B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
JP2019532191A (ja) 酸化炉
JP2010100967A (ja) 熱処理炉ならびに耐炎化繊維束および炭素繊維の製造方法
JP5716872B1 (ja) 横型熱処理装置及びこの横型熱処理装置を用いた炭素繊維の製造方法
EP0110557B1 (en) Apparatus for producing oxidized filaments
TWI507579B (zh) 碳纖維束的製造方法以及碳纖維前驅體纖維束的加熱爐
JP5812205B2 (ja) 気体供給吹出ノズル及びこれを用いた耐炎化繊維と炭素繊維との製造方法
KR102435113B1 (ko) 오븐을 통과하는 가스의 분배를 위한 배출 노즐 플레이트를 포함하는 오븐 및 오븐 작동 방법
JP4961256B2 (ja) 耐炎化熱処理装置
JP2018502227A (ja) センターツーエンド繊維酸化炉の改良された供給プレナム
JP2014221956A (ja) 熱処理装置及び該熱処理装置を用いた耐炎化繊維の製造方法
JP7249274B2 (ja) 炉を通るガスを分配する吐出ノズルプレートを備える炉、および、該炉を動作させる方法
JP4493468B2 (ja) 耐炎化処理炉
JP4276669B2 (ja) 耐炎化熱処理装置、及び同装置の運転方法
JP4838700B2 (ja) 熱処理装置および熱処理方法
JP4437427B2 (ja) 熱処理炉
JP2013091863A (ja) 繊維シートの加熱処理炉

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170303

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180123

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6372095

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151