JP6371784B2 - ホイール式建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばアクスル装置を介して左,右の車輪(ホイール)を回転駆動するホイールローダ等のホイール式建設機械に関する。
一般に、ホイール式建設機械の代表例としては、例えばホイールローダ等が知られている。このホイールローダは、後部車体の前側に前部車体が左,右方向に揺動可能に連結され、前部車体には、アーム、バケットを含んだ作業装置が取付けられている。一方、後部車体には、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、油圧ポンプ等が搭載され、前記エンジンの動力がトルクコンバータを介してトランスミッションに伝達されるようになっている。
さらに、前,後の車体には、トランスミッションの出力軸に接続されることにより左,右両側の車輪を回転駆動するアクスル装置が設けられている。このアクスル装置は、左,右方向の中間部に配置され内部がデファレンシャル機構収容室となったデファレンシャルケースと、前記デファレンシャルケースの左,右両側に配置されると共に、前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室との間が隔壁によって画成され内部がブレーキ機構収容室となった左,右のブレーキケースと、前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室に設けられ前記駆動源の駆動力を左,右方向に配置された回転軸に分配するデファレンシャル機構と、前記デファレンシャル機構の前記左,右の回転軸の回転を前記左,右の車輪に伝える左,右のアクスルシャフトと、前記左,右のブレーキケースの前記ブレーキ機構収容室にそれぞれ設けられ前記デファレンシャル機構の前記回転軸の回転に制動を与える左,右のブレーキ機構とにより構成されている。
ここで、ブレーキ機構は、前記回転軸に取付けられて前記回転軸と一緒に回転する複数枚の回転ディスクと、前記回転ディスクを左,右方向から対面して挟むように前記ブレーキケースに非回転状態で取付けられた複数枚の非回転ディスクと、前記非回転ディスクと対面して前記ブレーキケースに設けられ前記非回転ディスクを前記回転ディスクに押付けて制動力を発生させる円環状のピストンとにより構成されている。
ブレーキ機構のピストンには、左,右方向に移動可能に設けられたピン部材が設けられている。一方、ブレーキケースの隔壁には、ピストンと一緒に移動するピン部材に当接する環状板と、環状板を介して前記ピン部材を前記ピストンによる各ディスクの押圧方向と反対側に付勢するばね部材と、ばね部材を位置決めするストッパとが設けられている(例えば、特許文献1参照)。これにより、ピストンは、ピストンへの押圧力を解除した場合、ばね部材の付勢力によって規定の寸法だけ戻す構成としている。
国際公開第2004/109142号
ところで、制動(押圧力)を解除したときにピストンが戻される寸法は、ピストンを押圧したときの残圧およびピストンと隔壁との間に設けられたシール部材による摺動抵抗に対し、ばね部材の付勢力がつり合う位置までとなる。ここで、ばね部材には、付勢力に多少の個体差があり、経時的にも付勢力が変化する。また、シール部材においても、経時的な摺動抵抗の変化が生じる。
従って、特許文献1によるものでは、ばね部材の付勢力によってピストンを戻そうとした場合に、ピストンの戻り寸法が一定にならない虞がある。このために、ブレーキ機構の操作性にバラツキが生じることになり、ブレーキ機構の動作性能が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、制動を解除したときのピストンの戻り寸法を一定にすることができ、ブレーキ機構の動作性能を向上できるようにしたホイール式建設機械を提供することにある。
本発明によるホイール式建設機械は、駆動源を備えた車体と、前記車体に設けられ前記駆動源に接続されることにより左,右方向の両側の車輪を回転駆動するアクスル装置と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、前記アクスル装置は、左,右方向の中間部に配置され内部がデファレンシャル機構収容室となったデファレンシャルケースと、前記デファレンシャルケースの左,右両側に配置されると共に、前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室との間が隔壁によって画成され内部がブレーキ機構収容室となった左,右のブレーキケースと、前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室に設けられ前記駆動源の駆動力を左,右方向に配置された回転軸に分配するデファレンシャル機構と、前記デファレンシャル機構の前記左,右の回転軸の回転を前記左,右の車輪に伝える左,右のアクスルシャフトと、前記左,右のブレーキケースの前記ブレーキ機構収容室にそれぞれ設けられ前記デファレンシャル機構の前記回転軸の回転に制動を与える左,右のブレーキ機構とを備え、前記ブレーキ機構は、前記回転軸に取付けられて前記回転軸と一緒に回転する1枚以上の回転ディスクと、前記回転ディスクを左,右方向から対面して挟むように前記ブレーキケースに非回転状態で取付けられた1枚以上の非回転ディスクと、前記非回転ディスクと対面して前記ブレーキケースに設けられ前記非回転ディスクを前記回転ディスクに押付けて制動力を発生させる円環状のピストンとにより構成してなるホイール式建設機械において、前記ブレーキ機構は、前記ブレーキケースの前記隔壁と左,右方向に離間すると共に前記隔壁と対面した状態で前記ピストンの内径側から径方向の内向きに突出して設けられた突出部位と、前記突出部位に左,右方向に貫通して設けられたピン孔と、前記ピン孔から両端側が左,右方向の突出した状態で前記ピン孔に左,右方向に移動可能に挿嵌され前記ピストンが非制動位置にあるとき左,右方向の一端が前記隔壁に当接可能なピン部材と、前記回転ディスクと前記非回転ディスクが離間することができる離間寸法をもって前記ピン部材の左,右方向の他端と離間して設けられ、前記離間寸法の範囲で前記ピン部材の移動を許すストッパ部材とを含んで構成したことを特徴としている。
本発明によれば、制動を解除したときのピストンの戻り寸法を一定にすることができ、ブレーキ機構の動作性能を向上することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るホイールローダを示す正面図である。 図1中のフロントアクスル装置を前方から拡大して示す外観斜視図である。 フロントアクスル装置の内部構造を示す断面図である。 図3中のブレーキ機構、遊星歯車減速機構等を拡大して示す要部拡大の断面図である。 図3中の矢示V−V方向から見た断面図である。 ピストン、各突出部位、各ピン部材およびストッパ部材の配置関係を示す分解斜視図である。 図4中のVII部を拡大して示す断面図である。 組立状態からピン部材がストッパ部材に当接するまでピストンを移動させた状態を図7と同様位置から見た断面図である。 ピストンによって各ディスクを押圧して制動を与えた状態を図7と同様位置から見た断面図である。 ピストンによる制動を解除し、弾性部材によってピストンをピン部材が隔壁の当接面に当接するまで戻した状態を図7と同様位置から見た断面図である。 摩耗した回転ディスクを用いて制動を与えた状態を図7と同様位置から見た断面図である。 摩耗した回転ディスクを用いた制動を解除し、弾性部材によってピストンをピン部材が隔壁の当接面に当接するまで戻した状態を図7と同様位置から見た断面図である。 本発明の第2の実施の形態によるピン部材、保護部材を含むブレーキ機構等を図7と同様位置から見た断面図である。 本発明の第3の実施の形態によるストッパ部材を含むブレーキ機構等を図7と同様位置から見た断面図である。 図14中のストッパ部材を単体で示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態に係るホイール式建設機械の代表例として、ホイールローダを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、第1の実施の形態によるホイールローダ1は、ホイール式建設機械を構成するものである。このホイールローダ1は、後部車体2と、この後部車体2の前側に左,右方向に揺動可能に連結された前部車体3と、後部車体2の左,右方向の両側に設けられた後輪4(左側のみ図示)と、前部車体3の左,右方向の両側に設けられた前輪5(左側のみ図示)と、前部車体3の前側に府仰動可能に設けられた作業装置6と、後述のアクスル装置11,12とを含んで構成されている。
ここで、後部車体2には、駆動源となるエンジン7、トルクコンバータ8、トランスミッション9、油圧ポンプ(図示せず)等が搭載されている。トランスミッション9は、前,後方向に延びたプロペラシャフト9Aを介してリヤアクスル装置11に接続され、プロペラシャフト9Bを介してフロントアクスル装置12に接続されている。後部車体2の上側には、オペレータが搭乗するキャブ10が設けられている。
リヤアクスル装置11は、後部車体2の下側に位置して設けられている。このリヤアクスル装置11は、左,右方向に延びて形成され、その左,右の端部に後輪4がそれぞれ取付けられている。
一方、フロントアクスル装置12は、前部車体3の下側に位置して設けられている。このフロントアクスル装置12は、リヤアクスル装置11と同様に左,右方向に延びて形成され、その左,右の端部に前輪5がそれぞれ取付けられている。
ここで、リヤアクスル装置11とフロントアクスル装置12とは、ほぼ同様に構成されている。このため、本実施の形態では、フロントアクスル装置12の構成について詳細に説明し、リヤアクスル装置11の構成の説明は省略するものとする。
フロントアクスル装置12は、プロペラシャフト9Bに接続されることにより左,右の前輪5を回転駆動するものである。フロントアクスル装置12は、図2、図3に示すように、後述のデファレンシャルケース14、ブレーキケース15、デファレンシャル機構20、遊星歯車減速機構27、ブレーキ機構33、突出部位40、ピン部材42、ストッパ部材43を含んで構成されている。
ケーシング13は、フロントアクスル装置12の外形を構成している。このケーシング13は、左,右方向の中央に位置する中央筒部13Aと、この中央筒部13Aの左,右両側にそれぞれ取付けられた側方筒部13Bとにより密閉容器として形成され、その内部には、潤滑油が充填されている。ケーシング13は、左,右方向で異なる部材を収容しており、それぞれの機能毎に後述のデファレンシャルケース14、左,右のブレーキケース15および左,右のアクスルチューブ16に区分されている。
デファレンシャルケース14(以下、デフケース14という)は、ケーシング13の左,右方向の中央部に配置されている。このデフケース14は、後述するブレーキケース15の隔壁15A間の範囲となり、内部はデファレンシャル機構20を収容するデファレンシャル機構収容室14Aとなっている。デファレンシャル機構収容室14Aの左,右両側は、ブレーキケース15の隔壁15Aによって仕切られている。デフケース14の後側には、トランスミッション9側に突出するように突出筒14Bが設けられ、該突出筒14B内には、後述の入力軸17が回転自在に配置されている。
ブレーキケース15は、デフケース14の左,右両側に配置されている。左,右のブレーキケース15は、デフケース14内のデファレンシャル機構収容室14Aとの間が隔壁15Aによって画成されている。この隔壁15Aは、デフケース14の内周面から縮径した円環状の板状体として形成され、その中心部には後述の回転軸25が挿通されている。これにより、ブレーキケース15の内部は、各隔壁15Aに仕切られてブレーキ機構収容室15Bとなっている。
ここで、図4、図7に示すように、ブレーキケース15の各隔壁15Aには、外周側に位置して前記ブレーキ機構収容室15B側(左,右方向の外側)に開口するように段付円環状のピストン挿着部15Cが設けられている。また、各隔壁15Aには、ピストン挿着部15Cよりも内径側に位置して円環状の環状突起15Dが設けられ、該環状突起15Dの先端部(後述の回転ディスク35と対面する部位)は、平坦な取付面15Eとなっている。各隔壁15Aには、ピストン挿着部15Cと環状突起15Dとの間に位置して平坦な当接面15Fが設けられている。この当接面15Fは、制動を解除してピストン37が戻されたときに、ピン部材42の一端部42Aが当接するストッパとして機能する。
ここで、環状突起15Dの突出寸法(左,右方向の長さ寸法)は、取付面15Eと当接面15Fとの間の左,右方向寸法が、ピン部材42の長さ寸法よりも後述の離間寸法Gだけ大きな値に設定されている。
各隔壁15Aの内周側には、段付き筒状のリテーナ15Gが設けられている。このリテーナ15Gの内周側には、ギヤケース21、回転軸25を回転可能に支持する後述の軸受18が取付けられている。
さらに、各ブレーキケース15の左,右方向の外側は、側方筒部13Bを用いたアクスルチューブ16となっている。このアクスルチューブ16は、縮径しつつ左,右方向に延びる円筒状体として形成されている。左,右のアクスルチューブ16内には、それぞれ後述のアクスルシャフト32が回転可能に設けられている。
入力軸17は、デフケース14の突出筒14B内に2個の軸受18を介して回転可能に設けられている(図3参照)。この入力軸17は、外部に突出したフランジ部17Aがプロペラシャフト9Bに接続されている。また、入力軸17の内部側には、ベベルギヤからなるピニオンギヤ19が設けられている。
デファレンシャル機構20は、デフケース14のデファレンシャル機構収容室14Aに設けられている。このデファレンシャル機構20は、駆動源となるエンジン7の駆動力を左,右方向に配置された回転軸25、アクスルシャフト32を介して左,右の前輪5に分配するものである。そして、デファレンシャル機構20は、左,右のブレーキケース15の各隔壁15A(リテーナ15G)に軸受18を介して左,右方向を軸線として回転可能に支持されたギヤケース21と、該ギヤケース21内に固定されたスパイダ22に回転可能に設けられた複数のデフ用ピニオンギヤ23と、該各デフ用ピニオンギヤ23と噛合う2個のサイドギヤ24と、基端側が該サイドギヤ24とスプライン結合され、先端側がアクスルシャフト32に向けて左,右の方向に延びた2本の回転軸25とにより構成されている。
ギヤケース21の外周側には、入力軸17のピニオンギヤ19に噛合うデフ用リングギヤ26が設けられている(図3参照)。このデフ用リングギヤ26はベベルギヤにより形成され、ギヤケース21、デフ用ピニオンギヤ23、サイドギヤ24、回転軸25等と共に、デファレンシャル機構20を構成している。
デファレンシャル機構20は、トランスミッション9による回転力が入力軸17、ピニオンギヤ19、デフ用リングギヤ26を介してギヤケース21に伝わると、デフ用ピニオンギヤ23、サイドギヤ24を介して左,右の回転軸25を適宣に回転運動させるものである。
遊星歯車減速機構27は、後述のブレーキ機構33と一緒に左,右のブレーキケース15のブレーキ機構収容室15Bにそれぞれ設けられている。左,右の遊星歯車減速機構27は、回転軸25の回転を減速してアクスルシャフト32に伝達するものである。また、各遊星歯車減速機構27は、回転軸25の先端側に一体形成されたサンギヤ28と、アクスルチューブ16の内周側に固着して設けられたリングギヤ29と、サンギヤ28とリングギヤ29とに噛合する複数のプラネットギヤ30と、該各プラネットギヤ30を回転可能に支持するキャリア31とを含んで構成されている。
アクスルシャフト32は、左,右のアクスルチューブ16内をそれぞれ長さ方向(軸方向)に延びて配置されている。各アクスルシャフト32は、左,右の回転軸25の回転を左,右の前輪5に伝えるものである。各アクスルシャフト32は、基端側が遊星歯車減速機構27のキャリア31にスプライン結合され、各アクスルチューブ16内を左,右方向に延びている。一方、各アクスルシャフト32の先端側は、アクスルチューブ16から突出し、その端部には左,右の前輪5がそれぞれ取付けられている。
次に、本発明の特徴部分である左,右のブレーキ機構33の構成について詳しく説明する。
左,右のブレーキ機構33は、左,右のブレーキケース15のブレーキ機構収容室15Bにそれぞれ設けられている。各ブレーキ機構33は、デファレンシャル機構20の回転軸25の回転に制動を与えるもので、例えば湿式多板型のブレーキ機構として構成されている。
ブレーキ機構33は、図4に示すように、回転軸25の外周側にスプライン結合された円筒状のハブ34と、回転軸25の外周側にハブ34を介して取付けられ該ハブ34とスプライン結合することにより回転軸25と一緒に回転する複数枚、例えば2枚の回転ディスク35と、該各回転ディスク35を左,右方向から対面して挟むようにブレーキケース15(ケーシング13の中央筒部13A)に回転不能に(非回転状態で)取付けられた複数枚、例えば3枚の非回転ディスク36と、外部からの油圧力によって非回転ディスク36を回転ディスク35に押付けるピストン37と、各非回転ディスク36間に位置して各非回転ディスク36の径方向外側に配置され、各非回転ディスク36に対し互いに離間する方向の弾性力(付勢力)を付与する弾性部材38とを含んで構成されている。
各ブレーキ機構33は、例えばブレーキペダル(図示せず)を足踏み操作し、後述の油室37Dに供給された圧油によってピストン37を軸方向に移動させ、非回転ディスク36を回転ディスク35に押付ける。これにより、摩擦力で制動力を発生し、前輪5にブレーキをかけるものである。
ここで、回転ディスク35は、円環状の板体により形成され、非回転ディスク36と軸方向に交互に隣合う状態で、回転軸25の外周側に配置されている。回転ディスク35の内周側は、雌スプライン35Aとなって回転軸25に取付けられたハブ34の雄スプライン34Aとスプライン結合している。これにより、回転ディスク35は、ハブ34に対して軸方向に移動可能な状態で、回転軸25と一緒に回転することができる。図7に示すように、回転ディスク35の左,右方向の両面には、径方向の外側寄りに位置して摩擦材35Bがそれぞれ設けられている。
非回転ディスク36は、全体として円環状の板体により形成され、2枚の回転ディスク35をそれぞれ左,右方向から対面して挟むように3枚設けられている。非回転ディスク36は、その外周縁がブレーキケース15の内周面側に左,右方向に移動可能に、かつ、ブレーキケース15に対して非回転状態で取付けられている。
ピストン37は、その外周面37Aが段付き円筒面となり、内周面37Bが一定の直径寸法をもった円筒面として形成されている。ピストン37は、ブレーキケース15のブレーキ機構収容室15Bに設けられたピストン挿着部15Cに、左,右方向に移動可能に挿着されている。ピストン37は、非回転ディスク36を回転ディスク35に押付けて摩擦接触させることにより、回転軸25に制動力を付与するものである。
ここで、ピストン37の外周面37Aには、軸方向に離間して2本のシール部材37Cが全周に亘って設けられている。ピストン37の外周面37Aとピストン挿着部15Cとの間には、各シール部材37Cによって円環状の油室37D(図8等参照)が形成されている。さらに、ピストン37の内周面37Bには、後述の突出部位40が周方向に間隔をもって複数個設けられている。
弾性部材38は、回転ディスク35よりも外径側に位置して、隣合う各非回転ディスク36の間に設けられている。弾性部材38は、例えば皿ばね、波ワッシャ等からなり、隣合う非回転ディスク36に対し互いに離間する方向の弾性力を付与している。これにより、図10、図12に示すように、非制動時は、弾性部材38の弾性力により、各非回転ディスク36間にそれぞれ隙間が形成されると共に、ピストン37が後述する規定の離間寸法Gだけ押し戻される。
エンドプレート39は、各ディスク35,36を挟んでピストン37の反対側に設けられている。このエンドプレート39は、円環状の強度部材として形成され、リングギヤ29の端面に当接している。これにより、エンドプレート39は、ピストン37との間で回転ディスク35と非回転ディスク36とを挟持し、このときのピストン37の押圧力を受止めることができる。
次に、各ディスク35,36を押圧したピストン37の押圧力(制動)を解除したときに、このピストン37を規定の離間寸法Gだけ戻すための構成について述べる。このピストン37を規定寸法Gだけ戻すための構成は、前述した弾性部材38、後述の突出部位40、ピン孔41、ピン部材42、ストッパ部材43を含んでいる。
突出部位40は、ブレーキケース15の隔壁15Aと対面するように、ピストン37の内径側となる内周面37Bから径方向の内向きに突出して設けられている。突出部位40は、例えばピストン37の周方向に等しい間隔をもって複数個、例えば6個設けられている(図5参照)。各突出部位40は、隔壁15Aの当接面15Fと左,右方向に離間すると共に、隔壁15Aの当接面15Fと対面した状態でピストン37の内周面37Bから径方向の内側に向けて延びている。各突出部位40には、当接面15Fと対応する位置に後述のピン孔41が設けられている。
ピン孔41は、当接面15Fと対応する位置、即ち、各突出部位40のほぼ中央部位に左,右方向に貫通して設けられている。このピン孔41は、後述のピン部材42が軸方向となる左,右方向に移動可能に挿嵌されるもので、挿嵌されたピン部材42との間で後述する所定の摩擦抵抗を発生するように内径寸法(直径寸法)が設定されている。即ち、ピン孔41の内径寸法は、自由状態のピン部材42の外径寸法よりも小さな値に設定されている。
ピン部材42は、突出部位40に設けられたピン孔41から両端側が突出した状態でピン孔41に左,右方向に移動可能に挿嵌されている。これにより、ピン部材42の両端部のうち、左,右方向の内側(隔壁15A側)となる一端としての一端部42Aが、隔壁15Aの当接面15Fに当接可能となっている。一方、左,右方向の外側(各ディスク35,36側)となる他端としての他端部42Bは、後述のストッパ部材43に当接可能となっている。ピン部材42は、径方向に弾性力をもったスプリングピンからなり、突出部位40に穿設されたピン孔41に対して弾性変形した状態(径方向の外側に向けてばね力をもった状態)で挿嵌されている。即ち、ピン部材42とピン孔41との間には、摩擦抵抗が付与されている。
ストッパ部材43は、隔壁15Aに設けられた環状突起15Dの取付面15Eにボルト44を用いて取付けられている。これにより、ストッパ部材43は、ピン部材42が左,右方向に移動可能な離間寸法Gを有する状態で、ピン部材42を挟んで隔壁15Aと左,右方向に離間して設けられている。図5、図6に示すように、ストッパ部材43は、隔壁15Aの当接面15Fと対面するように円環状に形成された環状取付部43Aと、該環状取付部43Aの外周から径方向の外側に突出した複数個の当接部43Bとにより構成されている。当接部43Bは、突出部位40と対応するように周方向に等間隔をもって6個配置されている。
ストッパ部材43を隔壁15Aの環状突起15Dに取付けた状態では、当接面15Fとストッパ部材43との離間寸法は、ピン部材42の長さ寸法よりも寸法Gだけ大きな値に設定されている。これにより、ピン部材42(ピストン37)は、当接面15Fとストッパ部材43との間を離間寸法Gだけ移動することができる。この場合、離間寸法Gは、制動を解除してピストン37がブレーキケース15の隔壁15A側に戻るのを許可するための隙間であり、各回転ディスク35と各非回転ディスク36とを離間させて接触を防止しつつ、次回の制動時には瞬時にピストン37によって各ディスク35,36を押圧できる適正な寸法に設定されている。
ここで、非制動時にピストン37を適正な位置まで安定的に戻すために、各部に設定された弾性力(押付け力)と摩擦力(摩擦抵抗)の大きさの関係について述べる。
まず、油室37Dに供給された油圧によるピストン37の押付け力(押圧力)が最も大きな値に設定されている。制動時のピストン37の押付け力に次いで、突出部位40に設けられたピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗が大きな値に設定されている。
一方、ピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗は、弾性部材38の弾性力(押付け力)よりも大きな値に設定されている。また、弾性部材38による弾性力は、非制動時のピストン37を移動させるときの摩擦抵抗、即ち、ブレーキケース15のピストン挿着部15Cとピストン37の各シール部材37Cとの間の摩擦抵抗よりも大きな値に設定されている。
ここで、ブレーキケース15の隔壁15Aに対してピストン37、ピン部材42、ストッパ部材43を組付けるときの作業の一例について述べる。
まず、各突出部位40に穿設されたピン孔41にピン部材42が挿嵌されたピストン37を、ブレーキケース15の隔壁15Aに設けられたピストン挿着部15Cに挿着する。次に、環状突起15Dの取付面15Eにストッパ部材43の環状取付部43Aを当接させ、この状態で、ボルト44を用いてストッパ部材43を環状突起15Dに取付ける。このように、ピン部材42、ストッパ部材43等は、特殊な工具等を用いることなく、簡単な作業、少ない工数で組付けることができる。
次に、前述した各部の押付け力、摩擦力等の力関係に基づくブレーキ機構33による制動時の動作について、図7ないし図12を用いて説明する。
ブレーキ機構33を組立てた直後の状態(ブレーキペダルが1回も踏まれていない状態)について、その一例を述べる。例えば、図7に示すように、ピストン37に設けられた突出部位40およびピン部材42が隔壁15Aの当接面15Fに近接している。また、各非回転ディスク36間は、弾性部材38によって確保される隙間寸法よりも大きく離間している。
オペレータによってブレーキペダルが踏まれると、図8に示すように、油室37Dに圧油が供給されてピストン37が矢示A方向に移動される。このときには、油圧によるピストン37の押付け力(押圧力)は、ピストン挿着部15Cとピストン37の各シール部材37Cとの間の摩擦抵抗よりも大幅に大きな値に設定されているから、ピストン37を円滑に移動させることができる。
続いて、ブレーキペダルをさらに踏み込むと、図9に示すように、ピストン37が非回転ディスク36に当接し、各ディスク35,36を押付ける。従って、各回転ディスク35の摩擦材35Bと各非回転ディスク36との間で摩擦力が高まるから、この摩擦抵抗によって回転軸25に対する制動力を発生することができる。この場合、油圧によるピストン37の押付け力(押圧力)は、各弾性部材38の弾性力による反対向きの押圧力よりも大きな値に設定されているから、ピストン37は、各弾性部材38に抗して各ディスク35,36を強く押付けることができる。
しかも、ブレーキペダルを大きく踏み込んだ場合には、ピストン37の各突出部位40に設けた各ピン部材42がストッパ部材43の当接部43Bに当接し、このストッパ部材43を矢示A方向に押圧する。このときに、突出部位40のピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗は、制動時のピストン37の押付け力よりも小さな値に設定している。従って、ピン部材42は、ストッパ部材43に当接した位置で移動が規制されるから、ピストン37(突出部位40)だけが移動限界位置(制動位置)まで矢示A方向に移動することができる。
次に、ブレーキペダルから足を離してブレーキ機構33による制動を解除した場合、弾性部材38による弾性力は、非制動時のピストン37を移動させるときの摩擦抵抗、即ち、ブレーキケース15のピストン挿着部15Cとピストン37の各シール部材37Cとの間の摩擦抵抗よりも大きな値に設定されている。これにより、図10に示すように、ピストン37は、弾性部材38による弾性力によって矢示B方向に移動する。
そして、各弾性部材38によって非回転ディスク36間が適正な間隔となるまでピストン37が移動したときに、ピストン37の突出部位40に設けられたピン部材42の一端部42Aが隔壁15Aの当接面15Fに当接する。この場合、突出部位40のピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗は、弾性部材38の弾性力よりも大きな値に設定している。従って、ピストン37の移動は、ピン部材42が隔壁15Aに当接した位置、即ち、矢示B方向に離間寸法Gだけ戻された位置で停止される。これにより、ピストン37は、制動の解除時に毎回寸法Gだけ戻されることになるから、各ディスク35,36間の接触を防止しつつ、次回の制動時には瞬時に適正なブレーキ操作ができる位置に配置することができる。
次に、各回転ディスク35の摩擦材35Bが摩耗した場合のピストン37の動作について説明する。
この場合には、前述した各回転ディスク35が通常状態のときと同様に、図11に示すように、ピストン37は、各非回転ディスク36を各回転ディスク35に押付けて回転軸25に対する制動力を発生することができる。この際、各回転ディスク35の摩擦材35Bが摩耗した分だけピストン37の移動量が大きくなり、これに伴って、ピン部材42をストッパ部材43に当接した位置に残し、ピストン37だけが矢示A方向にさらに移動することになる。
一方、ブレーキ機構33による制動を解除した場合には、図12に示すように、ピストン37は、弾性部材38による弾性力によって矢示B方向に移動し、ピン部材42が隔壁15Aに当接する離間寸法Gだけ戻されて停止される。このように、各回転ディスク35の摩擦材35Bが摩耗した場合でも、制動が解除されたときには、ピストン37を毎回寸法Gだけ戻すことができる。
本実施の形態によるホイールローダ1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、キャブ10に搭乗したオペレータは、周囲のレバー、ペダル類(いずれも図示せず)を操作して走行用のトランスミッション9を作動させる。このときにトランスミッション9の出力軸の回転力がプロペラシャフト9Bからフロントアクスル装置12の入力軸17、デファレンシャル機構20、遊星歯車減速機構27を介して左,右のアクスルシャフト32に伝達される。これにより、各アクスルシャフト32に接続された左,右の前輪5を回転駆動することができる。同様に、トランスミッション9の出力軸の回転を、プロペラシャフト9Aからリヤアクスル装置11に伝えることにより、左,右の後輪4を回転駆動することができる。
このように、前,後の車輪5,4を回転駆動することにより、作業現場に向けてホイールローダ1を走行させることができる。この走行時に左,右いずれかの方向に曲がった場合には、デファレンシャル機構20の各デフ用ピニオンギヤ23が自転しつつ各サイドギヤ24に回転力を伝達する。これにより、例えば左方向に曲がるときには、内輪側となる左側の車輪5,4の回転数を、外輪側となる右側の車輪5,4の回転数よりも低下させることができ、内側と外側の車輪5,4間の回転数差によってスムーズに曲がることができる。
また、走行時には、ブレーキペダル(図示せず)を操作することにより、ブレーキ機構33によって回転軸25に制動力を発生させ、減速または停車することができる。このブレーキ機構33は、制動を解除したときにピストン37を離間寸法Gだけ矢示B方向に戻すことができ、各ディスク35,36間の接触を防止しつつ、次回の制動時には瞬時に適正なブレーキ操作を行うことができる。
かくして、本実施の形態によれば、デファレンシャル機構20の各回転軸25の回転に制動を与える左,右のブレーキ機構33は、ブレーキケース15の隔壁15Aと左,右方向に離間すると共に隔壁15Aと対面した状態でピストン37の内径側から径方向の内向きに突出して設けられた突出部位40と、突出部位40に左,右方向に貫通して設けられたピン孔41と、ピン孔41から両端側が左,右方向の突出した状態でピン孔41に左,右方向に移動可能に挿嵌されピストン37が非制動位置にあるとき左,右方向の一端部42Aが隔壁15Aに当接可能なピン部材42と、各回転ディスク35と各非回転ディスク36が離間することができる離間寸法Gをもってピン部材42の左,右方向の他端部42Bと離間して設けられ、離間寸法Gの範囲でピン部材42の移動を許すストッパ部材43とを含んで構成している。
従って、非制動時にピストン37は、弾性部材38による付勢力によって矢示B方向に戻され、突出部位40、ピン孔41、ピン部材42およびストッパ部材43により離間寸法Gだけ戻った位置で移動が規制される。
この結果、ブレーキ機構33による制動を解除したときのピストン37の戻り寸法を毎回一定にすることができるから、ブレーキ機構33の動作性能を向上することができ、信頼性を高めることができる。
しかも、ブレーキ機構33は、突出部位40、ピン孔41、ピン部材42、ストッパ部材43を含んで構成しているから、ブレーキ機構33は、少ない種類の部品によって形成することができる。また、ストッパ部材43は、ボルト44を用いて隔壁15Aに取付けることができるから、特殊な組付け工具等を用いることなく、簡単なスパナ、ソケットレンチ等を用いて容易に組付けることができ、組立作業性を向上することができる。
ピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗は、制動時のピストン37の押付け力よりも小さな値に設定している。従って、回転軸25の回転に制動を与えるべく、ピストン37を矢示A方向に移動させて各ディスク35,36に押付けたときには、このピストン37と一緒に突出部位40をピン部材42に対して移動させることができる。
各非回転ディスク36の間には、各非回転ディスク36が互いに離間する方向に弾性力を付与する弾性部材38を設けている。この上で、ピン孔41とピン部材42との間の摩擦抵抗は、前記弾性部材38の弾性力よりも大きな値に設定している。従って、弾性部材38によってピストン37が矢示B方向に移動されたときの距離は、ピン部材42の一端部42Aが隔壁15Aの当接面15Fに当接した位置、即ち、矢示B方向に寸法Gだけ戻された位置とすることができる。これにより、ピストン37は、制動の解除時に毎回寸法Gだけ戻されることになるから、各ディスク35,36間の接触を防止しつつ、次回の制動時には瞬時に適正なブレーキ操作ができる位置に配置することができ、ブレーキ機構33に対する信頼性を高めることができる。
また、各弾性部材38は、各非回転ディスク36が互いに離間する方向に弾性力を付与しているから、回転ディスク35と非回転ディスク36を十分に離間させることができ、これらの摺接(引き摺り)によるロストルクや発熱を低減することができる。
次に、図13は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、ピン部材のブレーキケースの隔壁側の端部には、隔壁に対する衝突時の衝撃を緩和するための保護部材を設けると共に、ピン部材のストッパ部材側の端部には、ストッパ部材に対する衝突時の衝撃を緩和するための保護部材を設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図13において、第2の実施の形態によるピン部材51は、第1の実施の形態によるピン部材42とほぼ同様に、突出部位40に設けられたピン孔41から両端側が左,右方向の突出した状態で、ピン孔41に左,右方向に移動可能に挿嵌されている。しかし、第2の実施の形態によるピン部材51は、その左,右方向の一端部51Aに保護部材52が設けられ、他端部51Bとに保護部材53が設けられている点で、第1の実施の形態によるピン部材42と相違している。また、第2の実施の形態によるピン部材51は、両端部51A,51Bに保護部材52,53が設けられているから、この保護部材52,53の厚さ寸法の分だけ左,右方向(軸方向)に短く形成されている。
ここで、各保護部材52,53は、短尺な有蓋筒状のキャップとして形成され、ピン部材51の一端部51Aが隔壁15Aの当接面15Fに当接するとき、またはピン部材51の他端部51Bがストッパ部材43の当接部43Bに当接するときの面積を拡大するものである。これにより、ブレーキケース15の当接面15F、ストッパ部材43の当接部43Bに対する単位面積当たりの負荷を軽減して衝突時の衝撃を緩和することができ、ピン部材51、隔壁15A、ストッパ部材43の摩耗等を抑制することができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、ピン部材51の左,右方向の一端部51Aと他端部51Bとに保護部材52,53を設ける構成としている。これにより、ブレーキケース15の隔壁15Aおよびストッパ部材43に対する衝突時の衝撃を緩和することができ、耐久性、信頼性等を向上することができる。
次に、図14および図15は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、ストッパ部材のうち突出部位と対面する面には、ピン部材と当接してピストンを案内するための案内突片を設ける構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図14、図15において、第3の実施の形態によるストッパ部材61は、第1の実施の形態によるストッパ部材43とほぼ同様に、円環状の環状取付部61Aと、該環状取付部61Aの外周から径方向の外側に突出した例えば6個の当接部61Bとにより構成されている。しかし、第3の実施の形態によるストッパ部材61は、後述の案内突片62が設けられている点で、第1の実施の形態によるストッパ部材43と相違している。
案内突片62は、ストッパ部材61を形成する各当接部61Bのうち、突出部位40と対面する面61B1に、突出部位40に向けて突設されている。各案内突片62は、各ピン部材42に対しピストン37の径方向の内側から当接することにより、ピストン37を左,右方向に移動可能に支持するものである。各案内突片62は、各ピン部材42を径方向の内側から支持することにより、ブレーキケース15のピストン挿着部15C内でピストン37が径方向(偏心方向)に移動するのを規制している。従って、各案内突片62は、ピストン37が重力によって偏心し、該ピストン37の外周面37Aがピストン挿着部15Cに接触するのを防止することができる。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態によれば、ストッパ部材61の各当接部61Bのうち、突出部位40と対面する面61B1には、突出部位40に向けて突出する案内突片62を設けている。これにより、案内突片62は、ピン部材42と当接してピストン37を案内することができ、隔壁15Aのピストン挿着部15Cに対するピストン37の位置ずれを防止することができる。この結果、ピストン37や隔壁15Aの摩耗、摩耗粉の噛み込みによるシール不良等を防止でき、信頼性や寿命を向上することができる。
なお、第1の実施の形態では、ストッパ部材43は、ボルト44を用いてブレーキケース15の隔壁15Aに設けられた環状突起15Dに取付ける構成としている。これにより、ストッパ部材43は、ピン部材42が左,右方向に移動可能な離間寸法Gを有する状態で、ピン部材42を挟んで隔壁15Aと左,右方向に離間して設けている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、ブレーキケース15から環状突起15Dを廃止し、ギヤケース21、回転軸25を回転可能に支持する軸受18が取付けられたリテーナ15Gの外周側にストッパ部材43を一体的に設ける構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
第1の実施の形態では、突出部位40、ピン孔41、ピン部材42およびストッパ部材43の当接部43Bを、周方向に間隔をもって6箇所に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば突出部位40、ピン孔41、ピン部材42およびストッパ部材43の当接部43Bを周方向の2〜5箇所、または7箇所以上に配置する構成としてもよい。また、突出部位は、円環状の1枚の板体として形成し、その周方向の複数箇所にピン孔を形成する構成としてもよい。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
第1の実施の形態では、デフケース14の左,右両側に並ぶようにブレーキケース15を設け、デファレンシャル機構20の左,右両側に隣接してブレーキ機構33を配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、デフケースとブレーキケースとを、例えば、特開2010-137781号公報のように配置してもよい。
即ち、デフケースの左,右両側の離間した位置、例えば車輪の内部または近傍にアクスルチューブを介してブレーキケースを設け、このブレーキケース内にブレーキ機構を配置する構成としてもよい。この場合、ブレーキケースの隔壁は、このブレーキケースを形成する容器のうち左,右方向の内側(アクスルチューブ側)に位置する壁面となる。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
第1の実施の形態では、回転ディスク35を2枚設け、非回転ディスク36を3枚設けた場合を例に挙げて設している。しかし、本発明はこれに限らず、回転ディスク35と非回転ディスク36をそれぞれ1枚以上設ける構成としてもよい。即ち、回転ディスク35と非回転ディスク36は、1枚以上10枚以下、好ましくは1枚以上5枚以下の範囲で枚数を設定することができる。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
さらに、上述した各実施の形態では、ホイール式建設機械としてトランスミッション9と前,後の車輪5,4との間にアクスル装置12,11を備えたホイールローダ1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前,後に車輪を有する油圧ショベル、鉱山用大型ダンプトラック、トラクタ等の他のホイール式建設機械にも広く適用できるものである。
1 ホイールローダ(ホイール式建設機械)
2 後部車体
3 前部車体
4 後輪
5 前輪
6 作業装置
7 エンジン(駆動源)
11 リヤアクスル装置
12 フロントアクスル装置
13 ケーシング
14 デファレンシャルケース(デフケース)
14A デファレンシャル機構収容室
15 ブレーキケース
15A 隔壁
15B ブレーキ機構収容室
15C ピストン挿着部
15D 環状突起
15E 取付面
15F 当接面
20 デファレンシャル機構
25 回転軸
32 アクスルシャフト
33 ブレーキ機構
35 回転ディスク
36 非回転ディスク
37 ピストン
37C シール部材
38 弾性部材
40 突出部位
41 ピン孔
42,51 ピン部材
42A,51A 一端部
42B,51B 他端部
43,61 ストッパ部材
52,53 保護部材
61B1 面
62 案内突片
A 制動時のピストンの移動方向
B 非制動時のピストンの移動方向、弾性部材の弾性力の方向
G 非制動時にピストンが戻される適正な寸法(離間寸法)

Claims (5)

  1. 駆動源を備えた車体と、前記車体に設けられ前記駆動源に接続されることにより左,右方向の両側の車輪を回転駆動するアクスル装置と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、
    前記アクスル装置は、
    左,右方向の中間部に配置され内部がデファレンシャル機構収容室となったデファレンシャルケースと、
    前記デファレンシャルケースの左,右両側に配置されると共に、前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室との間が隔壁によって画成され内部がブレーキ機構収容室となった左,右のブレーキケースと、
    前記デファレンシャルケースの前記デファレンシャル機構収容室に設けられ前記駆動源の駆動力を左,右方向に配置された回転軸に分配するデファレンシャル機構と、
    前記デファレンシャル機構の前記左,右の回転軸の回転を前記左,右の車輪に伝える左,右のアクスルシャフトと、
    前記左,右のブレーキケースの前記ブレーキ機構収容室にそれぞれ設けられ前記デファレンシャル機構の前記回転軸の回転に制動を与える左,右のブレーキ機構とを備え、
    前記ブレーキ機構は、
    前記回転軸に取付けられて前記回転軸と一緒に回転する1枚以上の回転ディスクと、前記回転ディスクを左,右方向から対面して挟むように前記ブレーキケースに非回転状態で取付けられた1枚以上の非回転ディスクと、前記非回転ディスクと対面して前記ブレーキケースに設けられ前記非回転ディスクを前記回転ディスクに押付けて制動力を発生させる円環状のピストンとにより構成してなるホイール式建設機械において、
    前記ブレーキ機構は、
    前記ブレーキケースの前記隔壁と左,右方向に離間すると共に前記隔壁と対面した状態で前記ピストンの内径側から径方向の内向きに突出して設けられた突出部位と、
    前記突出部位に左,右方向に貫通して設けられたピン孔と、
    前記ピン孔から両端側が左,右方向の突出した状態で前記ピン孔に左,右方向に移動可能に挿嵌され前記ピストンが非制動位置にあるとき左,右方向の一端が前記隔壁に当接可能なピン部材と、
    前記回転ディスクと前記非回転ディスクが離間することができる離間寸法をもって前記ピン部材の左,右方向の他端と離間して設けられ、前記離間寸法の範囲で前記ピン部材の移動を許すストッパ部材とを含んで構成したことを特徴とするホイール式建設機械。
  2. 前記ピン孔と前記ピン部材との間の摩擦抵抗は、制動時の前記ピストンの前記押付け力よりも小さな値に設定してなる請求項1に記載のホイール式建設機械。
  3. 前記各非回転ディスクの間には、前記各非回転ディスクが互いに離間する方向に弾性力を付与する弾性部材を設け、
    前記ピン孔と前記ピン部材との間の摩擦抵抗は、前記弾性部材の弾性力よりも大きな値に設定してなる請求項1または2に記載のホイール式建設機械。
  4. 前記ピン部材の前記ブレーキケースの前記隔壁側の端部には、前記隔壁に対する衝突時の衝撃を緩和するための保護部材を設けると共に、前記ピン部材の前記ストッパ部材側の端部には、前記ストッパ部材に対する衝突時の衝撃を緩和するための保護部材を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のホイール式建設機械。
  5. 前記ストッパ部材のうち前記突出部位と対面する面には、前記ピン部材と当接して前記ピストンを案内するための案内突片を設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のホイール式建設機械。
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